JP4708070B2 - 角度検出信号処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レゾルバの角度検出信号を処理して角度データを求める角度検出信号処理装置に関するものである。
様々な機械装置において、回転軸や可動部の位置情報を知ることは最も基本的な機能である。例えば電動機において、回転子に最適なトルクを与えるためには、回転子の位置に応じた最適な回転磁界を発生するように制御を行う必要がある。例えば自動車関連ではハイブリッドカーの電動機やパワーステアリング等において高信頼性、低コストの角度センサが求められている。また、このような角度センサは、パワーショベル等の土木建築機材や様々な工作機械、製造設備、更には航空宇宙関係と、その応用が極めて多岐に渡る。
角度を検出し制御する方法は、極めて多様な方法が考案されている。例えば最も簡単な角度の制御には、ステッピングモータが用いられる。これは、回転に伴って発生するパルスの数を角度の情報として用いるものである。しかしながら、ステッピングモータを用いる方法は、回転にスリップが起こるとステッピングモータ自身でそれを検知することができないため、信頼性が高いとはいえない。
高信頼性の角度制御には、何らかの角度センサを用いることが一般的である。代表的な角度センサとしては、例えば、ホール素子を用いて着磁パターンとホール素子の相対的な位置を磁気的に検出するものや、光学エンコーダ等の光学的方法で角度を検出するものが知られている。
しかしながら、極めて高信頼性が要求される用途ではそれらも十分ではない。ホール素子を用いる方法は熱や振動に堅牢とはいえないし、光学的方法は油等の汚れに脆弱であり、そのうえ光源を必要とすることからその信頼性も問題になる。
現在、最も信頼性が高く堅牢な角度センサとして、電磁誘導を利用した角度センサが知られている。この角度センサはレゾルバと称されており、原理的には図29に示すようにモータに類似した構造を持つ。
回転子51に巻かれたコイル52は周波数ωの励磁信号Vによって励磁されており、固定子53には2組のコイル54および55が直角に配置されている。回転子51が回転軸を中心に角度θ(t)だけ回転すると、コイル54および55には次式のような信号VおよびVが誘起する。
Figure 0004708070
この信号より角度θ(t)を算出するのが角度検出信号処理装置であり、特にデジタルデータで角度を出力する信号処理装置をR−D(レゾルバ−デジタル)変換装置と呼ぶ。レゾルバは、基本的に磁性体でできた回転子と固定子と巻き線しかないために、堅牢で汚れや温度等の環境の影響が非常に小さいという特長を持つ。そのためレゾルバは、自動車、パワーショベル等の土木建設機材、工作機械や製造設備、更には宇宙航空関係など、高度な信頼性を要求される用途に最も適した角度検出方式である。
実際のレゾルバは、非常に多様な構造が提案されている。図29は原理的なものであり、このままでは回転子に励磁電流を供給するための回転ブラシが必要である。それを無くすためにロータリトランスを使用したり、より新しい構造では回転子にコイルを持たせず固定子のコイルにより励磁し、回転子と固定子のギャップの変化による磁束変化を固定子で感知する構造等が提案されている。式(1)および式(2)で表される信号を出力するレゾルバを、以下では1相励磁2相出力型と称する。
上述のように様々な構造のものがある中で、レゾルバから出力として得られる信号に注目すると、式(1)および式(2)で示すように、励磁信号を軸回転角θ(t)の余弦関数Cosθ(t)と正弦関数Sinθ(t)とで変調した信号を出力する1相励磁2相出力型のレゾルバが、最も一般的に用いられる。
一方、信号処理の容易さから考えると、余弦関数同士の積Cosωt×Cosθ(t)、ならびに正弦関数同士の積Sinωt×Sinθ(t)を出力するレゾルバの方がよい。ところが、そのような信号を出力するレゾルバは、図30に示すような独立した回転子56、57と固定子58、59の対を2組用意して同軸上に構成する必要がある。このような方式は、2相励磁2相出力型と称されており、信号処理が非常に簡単になる。しかしながら、独立した回転子と固定子の対が2組必要で、機械的構造が複雑、かつ厚みの大きな構造となってしまうなど、構造上の不利益が大きいため、限定的にしか使われない。
2相励磁2相出力型の信号処理が簡単になる理由について簡単に説明する。
2相励磁2相出力型のレゾルバより出力される信号V、Vは次式で表される。
Figure 0004708070
上式から、その差と和を取ることにより、コサイン信号Cos(ωt+θ(t))およびCos(ωt−θ(t))が簡単に得られる。
Figure 0004708070
信号をこのように変換することができると、例えば、2つの信号のゼロクロス点の時間差を測定することによって非常に簡単に角度θ(t)を求めることができる。
図31はその信号処理を表すブロック図である。まず信号VおよびVの加減算により信号VおよびVを求める。次にコンパレータを通して信号VおよびVのゼロクロスを求める。そして、例えばその立ち上がりエッジを微分回路により算出し、信号VとVの立ち上がりエッジ間におけるクロックパルスの数をカウンタで計数すると、それは求める角度θ(t)に比例する。したがって、このカウンタの計数値から角度θ(t)をデジタル変換した出力が取り出せる。
次に、1相励磁2相出力型レゾルバに広く用いられている従来のR−D変換装置について説明する。図32にその構成の一例を示す。
例えば12ビットの角度データを得るために少なくとも11ビットの分解能、望ましくは12ビットの分解能を有するサイン信号およびコサイン信号のROM(Read only memory)が用意され、任意の角度φ(t)に対してサイン信号Sinφ(t)およびコサイン信号Cosφ(t)が生成される。これらは、D/A変換器(DAC)においてアナログ信号に変換される。求めるべき角度θ(t)に対して角度φ(t)を追従させるため、まずレゾルバより出力される信号Vにサイン信号Sinφ(t)が乗ぜられるとともに、信号Vにコサイン信号Cosφ(t)が乗ぜられる。そして、前者を反転して後者に加算することにより、次式に示す信号V1が生成される。
Figure 0004708070
更に式(7)の信号V1には、コサイン信号Cosωtが乗ぜられて同期検波が行われる。これにより、サイン信号Sin{θ(t)−φ(t)}の成分が取り出される。
Figure 0004708070
式(8)におけるコサインの項Cos2ωtは周波数が高いため、ループフィルタにおいて減衰し、式の末尾に示す低域の項のみが取り出される。このループフィルタの出力は、バイポーラ(両極性)VCO(電圧制御発振器:Voltage Controlled Oscillator)に入力される。バイポーラVCOでは、図33に示すように、入力信号の絶対値に比例する周波数を持ったパルス信号と、入力の極性を判定した極性信号が生成される。アップダウン・カウンタでは、極性信号が正の場合、バイポーラVCOのパルス信号に応じてアップカウントがなされ、極性が負の場合にダウンカウントがなされる。その結果、アップダウン・カウンタのカウンタ値は、角度φ(t)のデジタルデータそのものとなる。
得られた角度φ(t)のデジタルデータは、サイン/コサインROMによってサイン信号Sinφ(t)およびコサイン信号Cosφ(t)のデジタルデータに変換され、これらがD/A変換器においてアナログ信号に変換される。ループフィルタは積分特性をしており、直流利得が無限大のため、出力が有限であるためには入力の定常値はゼロでなければならない。したがって、角度φ(t)は角度θ(t)に追従するように変化する。
特開平11−83544号公報
ところで、2相励磁2相出力型レゾルバの信号処理における図31に示すような信号のゼロクロス点を用いる角度の検出方法には、次のような不利益がある。
図34は、図31に示す回路における各部の信号波形の一例を示す図である。
図34の例において、信号Vがゼロクロスする時刻t1からクロックパルスCPのカウントが開始され、信号Vがゼロクロスする時刻t2でカウントが終了する。このカウンタ値は、角度θ(t)を反映しており、そのまま角度のデジタル値として使うことが可能である。カウント値は、時刻t2において1つ取り出される。
図31に示す回路では、角度θ(t)が非常に早く変化している場合、時刻t2で得られる角度のデジタル値が一体どの時点の角度を検出したデータであるか、厳密には定義できない。なぜなら、信号Vのゼロクロス点は時刻t1における信号Vの状態を示し、信号Vのゼロクロス点は時刻t2における信号Vの状態を示しているため、両者の位相差である角度θ(t)は、せいぜい時刻t1とt2のあたりにおける角度と定義する他ないからである。また、こうした角度のデータが時刻t2で出力されるということは、角度を検出してデータを得るまでに明らかに遅延が生じることを意味する。しかも、励磁周波数の1周期ごとに1つのデータしか得られないため、角度の連続的な変化を把握することができない。
こうした不利益があることから、ゼロクロス点によって角度を求めるR−D変換装置は、例えば高速で回転する軸の角度をリアルタイムで得るような応用には適さない。
加えて、信号のゼロクロス点を用いる方式の不利益として、外来ノイズに脆弱なことが挙げられる。ゼロクロス点の付近にわずかなノイズが混入すると、ゼロクロスの時間が揺らいでしまうからである。
一方、図32に示すR−D変換装置の特徴は、出力をリアルタイムで得ることである。アップダウン・カウンタは角度φ(t)のデータを常に持ち続ける。角度φ(t)が角度θ(t)を追随するための遅延は存在するが、通常その遅延は角度θ(t)の機械的な動きに対して十分短いものである。また、この方式では波形全体を照合するため、一部に外来ノイズが重畳しても、ゼロクロス検出のように脆弱ではない。
しかしながら、図32に示すR−D変換装置は、処理が複雑で回路規模が大きく、その結果消費電力が大きくコストが高いという不利益がある。
すなわち、複雑なバイポーラVCOやアップダウン・カウンタを必要とする。また、12ビット分解能を得るためには最低11ビット、望ましくは12ビットの分解能と精度を持つ大容量のサイン/コサインROMと高分解能のD/A変換器を必要とする。
図35は、サイン/コサインROMとD/A変換器に必要な分解能を説明するための図である。角度2πを12ビットで分解するためには、正弦波の最大傾斜を考えると12ビットのπ分の1の分解能が必要である。すなわち、2πを212に分解すると、出力のステップの最大値は‘1/(212/π)’となる。したがって10ビットでは少し足らず、11ビットが必要である。他の誤差要因を考えると余裕を見て12ビットが望ましい。これを単純にROMのテーブルで用意すると、かなり大きな容量のメモリが必要である。補間等によりメモリ容量を間引く手法も存在するが、いずれにしてもこの実現手段は高度で大規模なアナログ回路とデジタル回路の双方を必要とし、消費電力が大きく、高価なものとなる。
バイポーラVCOは、周波数ゼロから発振しなければならないため、実現が難しい回路である。しかも、周波数ゼロ付近でデッドゾーンを生じ易くなり、位相ロックループの制御が不安定になる不利益がある。
アナログ乗算回路もシステムの性能を制約する要素である。アナログ乗算回路は、ギルバート型乗算回路と呼ばれる図36に示す回路が汎用的に用いられる。この回路は、無線通信回路のミキサ(周波数混合回路)を筆頭に、広く用いられているアナログ機能回路である。非常にシンプルな回路で高周波まで動作できるように、バイポーラトランジスタの特性を巧みに利用している。しかしながら、例えば12ビットあるいはそれ以上の精度を必要とするR−D変換装置などの高精度な信号処理の機能回路としては、絶対精度が必要なレベルには及ばない。この回路の入力のダイナミックレンジは例えば20mVp−p程度であり、それに対する入力換算オフセット電圧は典型的には1〜2mV程度である。したがって、絶対精度としては10%程度が保証範囲に過ぎない。エミッタ帰還抵抗等の手段でダイナミックレンジを拡大する方法もあるが、オフセット電圧も増えるため相対的な精度は大して改善されない。回路的な工夫にトリミング等の方法を併用しても1%の絶対精度を保証することは非常に困難である。したがって、8ビット程度の精度は実現可能であるが、12ビットには遠く及ばない。
そのため、従来の高精度なR−D変換装置においては、ギルバート型乗算回路に替えて乗算型D/A変換器等を用いることにより乗算回路の精度の制約を回避する必要があった。したがってアナログ乗算回路の実現手段も、高精度を実現するためには消費電力の増大とコストの増加を招く要因となっていた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成でありながら、リアルタイムで精度の高い角度を求めることができる角度検出信号処理装置を提供することにある。
第1の発明の角度検出信号処理装置は、第1の周波数を有する余弦関数の信号の振幅が第1の角度を有する余弦関数の信号によって変調された第1の角度検出信号と、上記第1の周波数を有する余弦関数の信号の振幅が上記第1の角度を有する正弦関数の信号によって変調された第2の角度検出信号とを含んだレゾルバの検出出力に基づいて、上記第1の角度の情報を取得する角度検出信号処理装置であって、第2の周波数を有する複素信号である第1の入力信号と上記第1の角度検出信号とを乗じた第1の積と、上記第2の周波数を有する複素信号であって上記第1の入力信号と直交する第2の入力信号と上記第2の角度検出信号とを乗じた第2の積との和に応じた第1の信号、ならびに、上記第1の積と上記第2の積との差に応じた第2の信号を出力する信号処理部と、前記第1の角度に対して所定の周波数オフセットを有する所定の位相角に追随するように、上記第1の信号に含まれる第1の極性の周波数を持つ信号成分に位相がロックされた第1の位相ロック信号の位相角を示す第1のデータを出力する第1の位相ロック部と、前記第1の角度に対して所定の周波数オフセットを有する所定の位相角に追随するように、上記第2の信号に含まれる上記第1の極性の周波数を持つ信号成分に位相がロックされた第2の位相ロック信号の位相角を示す第2のデータを出力する第2の位相ロック部と、上記第1のデータが示す位相角と上記第2のデータが示す位相角との差を演算する位相差演算部と、を有する。
第2の発明の角度検出信号処理装置は、第1の周波数を有する余弦関数の信号の振幅が第1の角度を有する余弦関数の信号によって変調された第1の角度検出信号と、上記第1の周波数を有する余弦関数の信号の振幅が上記第1の角度を有する正弦関数の信号によって変調された第2の角度検出信号とを含んだレゾルバの検出出力に基づいて、上記第1の角度の情報を取得する角度検出信号処理装置であって、第2の周波数を有する複素信号である第1の入力信号と上記第1の角度検出信号とを乗じた第1の積と、上記第2の周波数を有する複素信号であって上記第1の入力信号と直交する第2の入力信号と上記第2の角度検出信号とを乗じた第2の積との和または差に応じた信号を出力する信号処理部と、上記第1の周波数と上記第2の周波数との和または差に応じた大きさを持つ角周波数を有し、レゾルバに供給される上記第1の周波数を有する励磁信号の位相角、ならびに、上記第1の入力信号および上記第2の入力信号の位相角と所定の関係を有する位相角を示す第1のデータを生成する第1の位相角データ生成部と、前記第1の角度に対して所定の周波数オフセットを有する所定の位相角に追随するように、上記信号処理部の出力信号に含まれる第1の極性の周波数を持つ信号成分に位相がロックされた位相ロック信号の位相角を示す第2のデータを出力する位相ロック部と、上記第1のデータが示す位相角と上記第2のデータが示す位相角との差を演算する位相差演算部と、を有する。
本発明によれば、バイポーラVCO等を含まない簡易な構成でありながら、リアルタイムで精度の高い角度を求めることができる。
以下、本発明を実施するための5つの形態について、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る角度検出信号処理装置の構成の一例を示す図である。
第1の実施形態に係る角度検出信号処理装置は、1相励磁2相出力型のレゾルバから出力される式(1)および式(2)に示す角度検出信号
=Cosωt・Cosθ(t);
=Cosωt・Sinθ(t);
を入力し、角度θ(t)の情報を取得するものである。なお、以下の説明では、角度検出信号の振幅Vを‘1’として表記を省略する。
図1に示す角度検出信号処理装置は、信号処理部400と、第1の位相ロック部PLL1と、第2の位相ロック部PLL2と、位相差演算部500とを有する。
信号処理部400は、本発明の信号処理部の一実施形態である。
第1の位相ロック部PLL1は、本発明の第1の位相ロック部の一実施形態である。
第2の位相ロック部PLL2は、本発明の第2の位相ロック部の一実施形態である。
位相差演算部500は、本発明の位相差演算部の一実施形態である。
[信号処理部400]
信号処理部400は、レゾルバから出力される角度検出信号V,Vと、互いに直交関係にある周波数ωの複素信号_Vi1,_Vi2とを入力し、これらの信号に所定の演算を行った結果として、複素信号_VCP,_VCNを出力する。なお、下線‘_’を付された記号は本明細書において複素信号を表す。
詳しく述べると、信号処理部400は、複素信号_Vi1と角度検出信号Vとを乗じた積_VIXと、複素信号_Vi2と角度検出信号Vとを乗じた積_VIQとの差を複素信号_VCPとして出力するとともに、この積_VIXと積_VIQとの和を複素信号_VCNとして出力する。
複素信号_Vi1,_Vi2は、例えば次式で表される。
Figure 0004708070
信号処理部400は、例えば図1に示すように、乗算部401,…,404と、減算部405,406と、加算部407,408とを有する。
乗算部401は、角度検出信号Vと周波数ωの信号‘Cosωt’とを乗算する。
乗算部402は、角度検出信号Vと周波数ωの信号‘−Sinωt’とを乗算する。
乗算部403は、角度検出信号Vと周波数ωの信号‘−Sinωt’とを乗算する。
乗算部404は、角度検出信号Vと周波数ωの信号‘−COSωt’とを乗算する。
後で詳しく述べるように、複素信号_VCPおよび_VCNは、正の周波数(ω)の信号成分と負の周波数(−ω)の信号成分をそれぞれ有している。そして、この2つの複素信号において互いに同一極性の周波数を持つ信号成分同士を比較すると、その位相差は角度2×θ(t)になっている。
[PLL1,PLL2]
位相ロック部PLL1は、複素信号_VCPに含まれる所定の極性(正または負)の周波数を持つ信号成分に位相がロックされた複素信号_VUOの位相角に応じたデータPA1を出力する。
位相ロック部PLL2は、複素信号_VCNに含まれる上記所定の極性の周波数を持つ信号成分に位相がロックされた複素信号_VLOの位相角に応じたデータPA2を出力する。
通常の位相ロック回路が実信号の位相にロックするものであるのに対し、位相ロック部PLL1,PLL2は、入力される複素信号に含まれる特定の極性の周波数を持つ信号成分の位相にロックする。すなわち、入力される複素信号が正周波数と負周波数の信号成分を有する場合に、例えば正周波数の信号成分のみに複素信号_VUO,_VLOの位相をロックさせ、その位相角のデータPA1,PA2を出力する。
位相ロック部PLL1およびPLL2の詳細な構成について説明する。
図1の例において、位相ロック部PLL1は、位相角データ生成部300−1と、複素信号処理部100−1と、帰還部200−1とを有する。
また、位相ロック部PLL2は、位相角データ生成部300−2と、複素信号処理部100−2と、帰還部200−2とを有する。
位相角データ生成部300−1,300−2は、本発明の位相角データ生成部の一実施形態である。
複素信号処理部100−1,100−2は、本発明の複素信号処理部の一実施形態である。
帰還部200−1,200−2は、本発明の帰還部の一実施形態である。
位相角データ生成部300−1は、帰還部200−1より入力される帰還制御信号Vf1に応じた周期で反復されるデータであって、当該周期内の位相角を示すデータを、上述した位相角のデータPA1として生成する。
位相角データ生成部300−1は、例えば、信号生成部301とカウンタ302とを有する。
信号生成部301は、本発明の信号生成部の一実施形態である。
カウンタ302は、本発明のカウンタの一実施形態である。
信号生成部301は、帰還制御信号Vf1に応じた周波数を有する信号を生成する回路であり、例えば電圧制御発振器(VCO)などを用いて構成される。
カウンタ302は、信号生成部301において生成される信号を分周する回路であり、所定ビット長nの計数値を出力する。例えば、‘0’から‘2−1’まで1ずつ増える計数値を反復して出力する。カウンタ302は、このカウンタ302の計数値を先に述べた位相角のデータPA1として出力する。
位相角データ生成部300−2は、帰還部200−2より入力される帰還制御信号Vf2に応じた周期で反復されるデータであって、当該周期内の位相角を示すデータを、上述した位相角のデータPA2として生成する。
位相角データ生成部300−2も、例えば上述した信号生成部301とカウンタ302とを用いて構成されており、カウンタ302の計数値を位相角のデータPA2として出力する。
複素信号処理部100−1は、複素信号_VCPと複素信号_VUOとを乗算した場合に得られる複素信号の偏角に応じた信号VUCを生成する。複素信号_VCPは、先ほど説明した信号処理部400より出力される信号である。複素信号_VUOは、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1に応じた位相角(ωt+φ(t))を有し互いに直交する信号成分VUO−IおよびVUO−Qを含んでおり、周波数が所定の極性(例えば負)に設定される。
複素信号処理部100−1は、この信号VUCとして、例えば複素信号_VCPと複素信号_VUOとを乗算した場合に得られる複素信号の実部成分または虚部成分に応じた信号を生成する。
複素信号処理部100−1は、例えば、乗算部101および102と、加算部103と、複素信号生成部107とを有する。
乗算部101は、本発明の第1の演算部の一実施形態である。
乗算部102は、本発明の第2の演算部の一実施形態である。
加算部103は、本発明の第3の演算部の一実施形態である。
複素信号生成部107は、本発明の複素信号生成部の一実施形態である。
複素信号生成部107は、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1に応じた位相角を有し互いに直交する信号成分VUO−IおよびVUO−Qをそれぞれ生成する。信号成分VUO−Iを実部成分、信号成分VUO−Qを虚部成分とする複素信号の周波数は、所定の極性(例えば負)を持つように設定される。
複素信号生成部107は、例えば、サイン/コサインの振幅データをテーブルとして持つROMを用いて位相角のデータを振幅のデータに変換し、それをD/A変換器によってアナログの信号に変換することにより、信号成分VUO−IおよびVUO−Qを生成しても良い。
また、複素信号生成部107は、図2に示すような簡易的な回路を用いて、位相が4分の1周期ずれている矩形状の信号成分VUO−IおよびVUO−Qを生成しても良い。
図2は、複素信号生成部107の構成の一例を示す図である。複素信号生成部107は、例えば図2(A)に示すように、排他的論理和回路XORと、アンプA1およびA2を用いて構成することができる。
排他的論理和回路XORは、カウンタ302の計数値の最上位ビットbMSBとその下位ビットbMSB−1との排他的論理和を演算する。
アンプA1は、ビットbMSBが‘1’の場合に正、‘0’の場合に負の極性を持つ正負が同一振幅の矩形状の信号を、信号成分VUO−Qとして出力する。
アンプA2は、ビットbMSB−1が‘1’の場合に正、‘0’の場合に負の極性を持つ正負が同一振幅の矩形状の信号を、信号VUO−Iとして出力する。
このような回路によれば、図2(B)に示す論理値のパターンからも分かるように、位相が4分の1周期ずれている矩形信号を生成することができる。
このような矩形信号を用いると、乗算結果に高調波成分が含まれることになるが、後で詳しく説明するように、角度θ(t)が比較的ゆっくり変化する場合や位相ロック部の帯域が狭い場合などでは、この高調波成分を帰還部200−1によって十分に減衰させることができるため、必要な精度を得ることができる。
なお、上述のように矩形信号を乗算する方式は、後の実施形態で説明する擬似正弦波を用いた乗算に対応させると、図2(C)に示すように、最も簡単な2値の擬似正弦波乗算を行っていることに対応する。
図2(C)の例においては、乗算部101および102にそれぞれスイッチ回路111および極性反転回路112が設けられる。
乗算部101のスイッチ回路111は、ビットbMSB−1が‘1’の場合に複素信号_VCPの実部(乗算部405の乗算結果)をそのまま出力し、‘0’の場合には複素信号_VCPの実部を極性反転回路112で極性反転して出力する。
乗算部102のスイッチ回路111は、排他的論理和回路XORの出力が‘1’の場合に複素信号_VCPの虚部(乗算部406の乗算結果)をそのまま出力し、‘0’の場合には複素信号_VCPの虚部を極性反転回路112で極性反転して出力する。
乗算部101は、複素信号生成部107において生成される信号成分VUO−Qと、複素信号_VCPの実部成分とを掛け合わせる。乗算部101は、例えばギルバート型乗算回路などのアナログ乗算器を有しても良いし、乗算型のD/A変換器を有しても良い。あるいは、図2(C)に示すように、スイッチ回路と極性反転回路とを有する構成でも良い。
乗算部102は、複素信号生成部107において生成される信号成分VUO−Iと、複素信号_VCPの虚部成分とを掛け合わせる。乗算部102についても、乗算部101と同様、アナログ乗算器や乗算型D/A変換器を有する構成や、図2(C)に示すようにスイッチ回路と極性反転回路を有する構成などにより実現可能である。
加算部103は、乗算部101および102の乗算結果の和を上述した信号VUCとして出力する。加算部103より出力される信号VUCは、複素信号_VCPと複素信号_VUOとを複素乗算した場合に得られる複素信号の虚部成分に相当する信号になる。
なお、複素信号_VCPと複素信号_VUOとを複素乗算した場合に得られる複素信号の実部成分に相当する信号を出力する場合には、乗算部101の乗算結果と乗算部102の乗算結果との差を演算し、信号VUCとして出力することも可能である。
複素信号処理部100−2は、複素信号_VCNと複素信号_VLOとを乗算した場合に得られる複素信号の偏角に応じた信号VLCを生成する。複素信号_VCNは、先ほど説明した信号処理部400より出力される信号である。複素信号_VLOは、位相角データ生成部300−2において生成されるデータPA2に応じた位相角(ωt−φ(t))を有し互いに直交する信号成分VLO−IおよびVLO−Qを含んでおり、周波数が所定の極性(例えば負)に設定される。
複素信号処理部100−2は、この信号VLCとして、例えば、複素信号_VCNと複素信号_VLOとを乗算した場合に得られる複素信号の実部成分または虚部成分に応じた信号を生成する。
複素信号処理部100−2は、例えば上述した複素信号処理部100−1と同様に、乗算部101,102と、加算部103と、複素信号生成部107とを有する構成でも良い。この場合、複素信号処理部100−2は、複素信号_VCNと複素信号_VLOとを複素乗算した場合に得られる複素信号の虚部成分に相当する信号VLCを生成する。
帰還部200−1は、複素信号処理部100−1において生成される信号VUCに応じて、複素信号_VCPおよび複素信号_VUOの乗算結果として得られる複素信号の偏角が一定値に収束するように帰還制御を働かせる帰還制御信号Vf1を生成する。
帰還部200−1は、例えば、複素信号処理部100−1において生成される信号VUCを所定の伝達特性をもって増幅するフィルタ回路として構成される。
図3(A)は、帰還部200−1の構成の一例を示す図であり、図3(B)はその伝達特性の一例を示す図である。
図3(A)に示す帰還部200−1は、演算増幅器OP1と、抵抗R1およびR2と、キャパシタC1およびC2を有する。
演算増幅器OP1の負側入力端子(−)と出力との間には、抵抗R2およびキャパシタC2の直列回路とキャパシタC1とが並列に接続されており、正側入力端子(+)はグランドに接続される。帰還部200−1の入力信号は、抵抗R1を介して演算増幅器OP1の負側入力端子(−)へ入力さる。帰還部200−1の出力信号は、演算増幅器OP1の出力端子から出力される。
上記の構成によると、図3(B)の伝達特性に示すように、周波数が低くなるほど帰還部200−1のゲインは大きくなり、直流では演算増幅器OP1の開ループゲインに相当する非常に大きなゲインとなる。
このように、帰還部200−1が非常に大きな直流利得を持つ場合、複素信号処理部100−1の出力信号VUCは定常状態においてゼロになる必要がある。この場合、出力信号VUCがゼロの状態において、複素信号_VUOの位相が複素信号_VCPの位相にロックする。
帰還部200−2は、複素信号処理部100−2において生成される信号VLCに応じて、複素信号_VCPおよび複素信号_VLOの乗算結果として得られる複素信号の偏角が一定値に収束するように帰還制御を働かせる帰還制御信号Vf2を生成する。
帰還部200−2についても、例えば複素信号処理部100−1と同様に、大きな直流利得を持つフィルタ回路によって構成することができる。
[位相差演算部500]
位相差演算部500は、位相ロック部PLL1およびPLL2より出力される位相角のデータPA1およびPA2に基づいて、複素信号_VUOと複素信号_VLOとの位相差を演算する。
複素信号_VCPおよび_VCNは、後で述べるように、両者の同一周波数の信号成分同士が角度θ(t)に応じた位相差(2×θ(t))を有しているため、この信号成分に位相がロックされた複素信号_VUOおよび_VLOも角度θ(t)に応じた位相差(2×θ(t))を有している。そのため、位相差演算部500の演算結果として得られる位相差から、角度θ(t)の情報を取得することができる。
ここで、上述した構成を有する第1の実施形態に係る角度検出信号処理装置の動作を説明する。
まず、信号処理部400、位相ロック部PLL1およびPLL2、位相差演算部500による概略的な動作を説明する。
信号処理部400から出力される複素信号_VCPは、周波数ωの複素信号_Vi1と周波数ωの角度検出信号Vとを乗じた積_VIXと、周波数ωの複素信号_Vi2と周波数ωの角度検出信号Vとを乗じた積_VQXとの差に応じた信号である。この複素信号_VCPは、後述するように、周波数ωと周波数ωとの差の周波数ω(=ω−ω)を持つ信号成分と、周波数ωと周波数ωとの和の周波数−ω(=−(ω+ω))を持つ信号成分とを含んでいる。
信号処理部400から出力される複素信号_VCNは、積_VIXと積_VQXとの和に応じた信号であり、この複素信号_VCNも、差の周波数ω(=ω−ω)の信号成分と和の周波数ω(=−(ω+ω))の信号成分とを含んでいる。
後述するように、複素信号_VCPおよび_VCNに含まれる周波数ωの信号成分同士は、角度θ(t)に応じた位相差(2×θ(t))を有する。また、複素信号_VCPおよび_VCNに含まれる周波数−ωの信号成分同士も、角度θ(t)に応じた位相差(2×θ(t))を有する。
他方、位相ロック部PLL1の複素信号_VUOは、複素信号_VCPに含まれる所定の極性(正または負)の周波数を持つ信号成分に位相をロックされた信号である。位相ロック部PLL2の複素信号_VLOも、複素信号_VCPに含まれる上記所定の極性(複素信号_VUOと同じ極性)の周波数を持つ信号成分に位相をロックされた信号である。すなわち、複素信号_VUOおよび_VLOの位相ロック対象となる信号は、互いに同一極性の周波数を有している。
ここで、周波数ωと周波数−ωが互いに異なる極性を有するものとする。例えば、周波数ωが正、周波数−ωが負になるように、周波数ωおよびωが設定されているものとする。
この条件において、例えば複素信号_VUOおよび_VLOが共に正周波数の信号に位相をロックされるものとすると、複素信号_VUOおよび_VLOの位相は、複素信号_VCPおよび_VCNに含まれる周波数ωの信号成分の位相にそれぞれロックされる。その結果、複素信号_VUOと_VLOとの位相差は、角度θ(t)に応じた位相差(2×θ(t))を有する。
また、例えば複素信号_VUOおよび_VLOが共に負周波数の信号に位相ロックされるものとすると、複素信号_VUOおよび_VLOの位相は、複素信号_VCPおよび_VCNに含まれる周波数−ωの信号成分の位相にそれぞれロックされる。この場合も、複素信号_VUOと_VLOとの位相差は、角度θ(t)に応じた位相差(2×θ(t))を有する。
したがって、位相差演算部500において演算される複素信号_VCPと複素信号_VCNとの位相差は、角度θ(t)に応じた大きさ(2×θ(t))を有する。
このように位相ロック部PLL1、PLL2においては、複素信号_VCP,_VCNに含まれる所定の周波数(ωもしくは−ω)の信号成分に位相をロックする動作を行うため、仮に角度θ(t)が周波数ゼロの一定値になる場合でも、複素信号_VUO,_VLOは所定の周波数(ωもしくは−ω)を持つように制御される。したがって、複素信号_VUOおよび_VLOの位相角に応じたデータPA1およびPA2を出力するために、例えばバイポーラVCOのような直流(周波数ゼロ)から発振する手段を設ける必要がない。
また、複素信号_VCPおよび_VCNの位相差を、ゼロクロス点の時間差により求めるのではなく、位相ロック部PLL1、PLL2において刻々に生成されるデータPA1,PA2に基づいて求めるため、角度θ(t)の情報をリアルタイムで取得することが可能になり、外来ノイズの影響を受け難くなる。
次に、位相ロック部PLL1およびPLL2における複素信号の位相ロック動作(複素位相ロック動作)について詳しく説明する。
複素位相ロック動作を説明するにあたり、先ず、実信号と複素信号との関係について説明する。
複素周波数ωsは、次のように定義される。
Figure 0004708070
複素信号は、複素平面で定義されるために、単純に実信号としては表現することができず、実部成分Cosωtと虚部成分Sinωtに分け、2つの信号の組として定義することができる。
図4は、複素平面上で表された複素信号を示す図である。
図4に示すように、複素信号は、原点を角速度ωで回転する複素平面上のベクトルと考えることができる。複素信号の実部は余弦成分、虚部は正弦成分になる。
このような複素信号に対し、単一信号として実世界に存在する通常の信号を、本明細書では実信号と呼んでいる。
以下では、正弦波および余弦波の実信号を複素信号として見たときに、これらがどのような複素信号として表されるかについて考察する。実信号としての余弦波と正弦波は次式で表すことができる。
Figure 0004708070
この式から明らかなように、実信号は、正負対称な周波数を持つ2つの複素信号の和で表されることが判る。
図4の複素平面において、正の周波数は反時計回りに廻るベクトルであり、負の周波数とは時計回りに廻るベクトルであると定義する。この定義に基づいて式(11)および(12)の関係を図示すると、図5のようになる。
実信号2Cosωstは、正の周波数を有する複素信号ejωstと負の周波数を有する複素信号e-jωstとの和である。これを複素平面上に描くと、図5の左図に示すように、互いに逆向きに回転する2つのベクトルの和として表すことができる。2つのベクトルは、時間t=0において実軸上で重なり、時間とともに回転しても実軸に対して常に線対称になる。そのため、2つのベクトルを合成した場合、常に虚部が打ち消されてゼロになり、実部のみが残る。
同様に、実信号2Sinωstは、正の周波数を有する複素信号−jejωstと負の周波数を有する複素信号je-jωstとの和であり、図5の右図に示すように、実軸に対しては常に線対称になるため、やはり2つのベクトルを合成すると虚部は常に打ち消されてゼロになり、実部のみが残る。
これを静止したベクトルとして表すために、図6に示す座標系を用いる。
図6の座標系では、虚部を表すz軸と実部を表すy軸とがなす複素平面に対して垂直な方向に、複素信号の角周波数または周波数を表すx軸を設ける。
図7は、複素平面(z−y平面)上に、時間t=0のときの正弦波信号および余弦波信号をベクトルで図解した図である。ただし、時間t=0のときの位相は何れもゼロであるとする。図7(A)は余弦波信号Cosωstのベクトルを示し、図7(B)は正弦波信号Sinωstのベクトルを示す。
このように、実信号はどんな信号であろうとも、複素信号として見ると正負の対称な周波数を持つ2つの複素信号を含んでいる。そして、これらのベクトルは、時間と共に互いに逆回転しており、常に虚部が打ち消し合うため、両者の和としての実信号には虚部が存在しない。
以上、実信号と複素信号との関係について述べた。
位相ロック部PLL1およびPLL2は、入力信号を複素信号として扱い、この複素信号の正周波数の信号成分または負周波数の信号成分の何れか一方に位相がロックされた複素信号を生成して、その位相角に応じたデータPA1、PA2を得るものである。
位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1は、帰還制御信号Vf1に応じた周期で反復されるデータであって、当該周期内の位相角を示すデータである。例えばカウンタ302の計数値は、帰還制御信号Vf1に応じた周期で‘0’から‘2−1’までの変化を繰り返す。そのため、このデータPA1に応じた位相角を有する直交信号成分VUO−IおよびVUO−Qは、いずれも、帰還制御信号Vf1に応じた周波数を有する。
すなわち、複素信号_VUOは、帰還制御信号Vf1に応じた大きさの周波数を有しており、その極性が所定の極性に設定された複素信号である。
複素信号処理部100−1においては、この複素信号_VCPと複素信号_VUOとを乗算した場合に得られる複素信号の偏角に応じた信号VUCが生成される。仮に、次式に示すように、複素信号_VCPが正の周波数ωを有し、複素信号_VUOが負の周波数−ωを有するものとする。
Figure 0004708070
これらを乗算すると、次式のようになる。
Figure 0004708070
式(15)に示す複素信号の偏角は‘θ(t)−φ(t)’であり、帰還部200−1はこの偏角が一定値(例えばゼロ)に近づくように、帰還制信号Vf1を生成する。例えば、複素信号処理部100−1において、式(15)に示す複素信号の虚部成分
Sin(θ(t)−φ(t));
が信号VUCとして出力されるものとする。この場合、図3(B)に示すように帰還部200−1の直流ゲインを非常に大きくすると、定常的には、
UC=Sin(θ(t)−φ(t))≒0;
が成立するように帰還制御が働く。そのため、角度θ(t)とφ(t)とがほぼ等しくなるように、複素信号_VUOの位相が複素信号_VCPの位相に追従する。
すなわち、複素信号_VCPおよび_VUOを乗算した場合に得られる複素信号の偏角は、複素信号_VCPの偏角(ωt+θ(t))と複素信号_VUOの偏角−(ωt+φ(t))とを足し合わせた偏角(θ(t)−φ(t))に等しくなる。複素信号処理部100−1においては、これらを足し合わせた偏角(θ(t)−φ(t))に応じた信号VUCが生成される。
そして、帰還部200−1では、複素信号処理部100−1において生成された信号VUCに応じて、上記足し合わせた偏角が一定値(例えばゼロ)に収束するように帰還制御を働かせる帰還制御信号Vf1が生成される。その結果、複素信号_VUOの位相が複素信号_VCPの位相にロックする。
ところで、偏角が一定になるということは、偏角が時間的に一定で、周波数がゼロになることに相当する。したがって、上記足し合わせた偏角が一定値に収束するためには、複素信号_VCPおよび_VUOが、互いに等しい大きさで極性が正負に反対の周波数を持っている必要がある。
例えば、式(14)に示すように複素信号_VUOが負の周波数を持つ場合、これが複素信号_VCPの正の周波数ωを相殺するように、複素信号_VUOの周波数が制御される。複素信号_VUOが正の周波数を持つ場合は、これが複素信号_VCPの負の周波数−ωを相殺するように、複素信号_VUOの周波数が制御される。
これに対し、複素信号_VCPおよび_VUOが同一極性の周波数を持っていると、上記足し合わせた偏角は常に周波数を持ち、これを一定値に収束させることができない。そのため、この場合、帰還制御が働かず、複素信号_VUOの位相は複素信号_VCPに追従しない。
仮に、複素信号_VCPおよび_VUOが次式に示すように何れも正の周波数ωを有するものとする。
Figure 0004708070
これらを乗算すると、次式のようになる。
Figure 0004708070
この場合、乗算結果の複素信号の偏角には角周波数2ωという周波数が残存し、これを一定値に収束させることはできない。そのため、複素信号_VUOの位相を複素信号_VCPにロックさせることはできない。
したがって、位相ロック部PLL1、PLL2においては、入力の複素信号_VCP、_VCNに含まれる特定の極性(例えば正極性)の周波数を持つ成分に対してのみ複素信号_VUO、_VLOの位相をロックさせることができる。
以上、位相ロック部PLL1およびPLL2における複素位相ロック動作について説明した。
位相ロック部PLL1,PLL2では、この複素位相ロック動作によって、複素信号_VCP,_VCNに含まれる所定極性の周波数を持つ信号成分(例えば正周波数の信号成分)にのみ複素信号_VUO,_VLOの位相がロックされ、その位相角のデータPA1,PA2が生成される。
位相差演算部500では、この位相角のデータPA1およびPA2に基づいて、複素信号_VUOおよび_VLOの位相差が演算され、この演算結果より、複素信号_VCPおよび_VCNに含まれる所定極性の周波数を持つ信号成分同士の位相差に関する情報が取得される。
そこで次に、この複素信号_VCPおよび_VCNにおける同一極性の周波数を持つ信号成分同士が、角度θ(t)に応じた位相差を持つ理由について説明する。
構造の簡単な1相励磁2相出力型のレゾルバの出力信号V,Vは、次式で与えられる。
Figure 0004708070
これらの信号から、式(5)および(6)に示すように角度θ(t)に応じた位相差を持つ信号を作ることが、ある種のR−D(レゾルバ−デジタル)変換信号処理回路の命題になっていることは先に述べた。
図8は、レゾルバの出力信号V、Vを複素信号のベクトルとして表したものである。
図8における‘P’および‘N’の記号は、周波数ωの極性と角度θの極性との関係を表している。すなわち、正の周波数ωにおいて角度θ(t)が反時計方向に廻るベクトルを正のベクトル(ωt+θ(t))、角度θ(t)が時計方向に廻るベクトルを負のベクトル(ωt−θ(t))と定義する。また、負の周波数−ωにおいて角度θ(t)が時計方向に廻るベクトルを正のベクトル(−ωt−θ(t))、角度θ(t)が反時計方向に廻るベクトルを負のベクトル(−ωt+θ(t))と定義する。図8において、正のベクトルには‘P’、負のベクトルには‘N’の符号を付して示している。
これを言い換えると、周波数ωと角度θの極性が等しいベクトルを正のベクトル‘P’、周波数ωと角度θの極性が異なるベクトルを負のベクトル‘N’として表している。
図8(A)および(B)に示すように、レゾルバの出力信号V、Vそのものは、同じ周波数に正のベクトルと負のベクトルが混在するため、そのままでは式(5)および(6)に示すような信号を分離することができない。
そこで、構造の複雑な2相励磁2相出力方式に立ち返ると、‘Sinωt×Sinθ(t)’のベクトルは、図8(C)のように図解することができる。この信号は、‘Cosωt×Cosθ(t)’との和および差を演算することにより、‘Cos(ωt+θ(t))’および‘Cos(ωt−θ(t))’へ簡単に変換できることは先に説明した(式(5),(6))。
ここで、図8(B)の‘Cosωt×Sinθ(t)’と図8(C)の‘Sinωt×Sinθ(t)’とを、正の周波数の信号成分にのみ注目して比較すると、‘Cosωt×Sinθ(t)’を時計方向に90°、すなわち−90°回転させることにより、これを‘Sinωt×Sinθ(t)’へ変換できることが分かる。
また、図8(B)の‘Cosωt×Sinθ(t)’と図8(C)の‘Sinωt×Sinθ(t)’とを、負の周波数の信号成分にのみ注目して比較すると、‘Cosωt×Sinθ(t)’を反時計方向に90°、すなわち90°回転させることにより、これを‘Sinωt×Sinθ(t)’へ変換できることが分かる。
2つの複素信号ベクトルの一方を他方に対して−90°(もしくは90°)回転させるには、互いに直交した複素信号ベクトルをその2つの複素信号ベクトルにそれぞれ乗算すれば良い。
図9は、ある複素信号ベクトルに任意の角周波数と位相を持つ複素信号ベクトルを乗算する例を示す。図9に示すように、複素信号ベクトル同士の乗算を行うことによって、複素信号ベクトルの角周波数と位相を任意の値に変換することが可能である。
この原理を用いて位相の変換を行うことにより、正周波数(もしくは負周波数)の信号成分については、1相励磁2相出力方式における角度検出信号(式(1)および(2))の位相関係を、2相励磁2相出力方式における角度検出信号(式(1)および(2))と同様な位相関係へ変換することが可能である。
図10は、角度検出信号Vを角度検出信号Vに対して−90°回転させる例を示す図である。
角度検出信号Vに周波数−ωの複素信号e−jω1tを乗算して得られる積_VIXは、元の角度検出信号Vに対して周波数が‘−ω’だけシフトするものの、位相については変化しない。これに対し、角度検出信号Vに周波数−ωの複素信号−j・e−jω1t(複素信号e−jω1tを−90°回転させた信号)を乗算して得られる積_VQXは、元の角度検出信号Vに対して周波数が‘−ω’だけシフトし、かつ、位相が−90°回転する。
したがって、図10に示すように、積_VIXに対する積_VQXの位相角は、角度検出信号Vに対する角度検出信号Vの位相角に比べて−90°回転している。
図10の最下段に示す積_VQXと、図8(C)に示す‘Sinωt×Sinθ(t)’とを正周波数の信号成分のみについて比較すると、両者は等価になっていることが分かる。
図11は、このようにして得られる積_VIXと積_VQXとの差(_VIX−_VQX)ならびに和(_VIX+_VQX)を演算する処理の一例をベクトルによって図解した図である。
図11の最下段の演算結果を見ると、積_VIXおよび_VQXの減算により得た複素信号_VCPと、積_VIXおよび_VQXの加算により得た複素信号_VCNとに含まれる同一周波数の信号成分同士は、‘2×θ’の位相差を有していることが分かる。
図11は、図10および図11に示す信号処理を実現する回路の一例を示す図である。この信号処理は、数式によって表すと次のようになる。
Figure 0004708070
ただし式(21),(22)における周波数ωおよびωはそれぞれ次式で表される。
Figure 0004708070
式(21)および(22)からも分かるように、複素信号_VCPおよび_VCNの同一周波数の信号成分同士は、‘2×θ(t)’の位相差を有している。
ここで、式(23),(24)に示す周波数ωおよびωが何れも正となるように周波数ω,ωが設定されているものとする。すなわち、周波数ωに対して
|ω|≧ω≧−|ω
の関係を満たすように周波数ωが選ばれているものとする。この場合、複素信号_VCPおよび_VCNに含まれる同一極性の周波数の信号成分同士は、‘2×θ(t)’の位相差を有することになる。
以上、複素信号_VCPおよび_VCNに含まれる同一極性の周波数の信号成分同士が角度θ(t)に応じた位相差(2×θ(t))を持つ理由について説明した。
次に、複素信号処理部100−1、100−2の出力信号VUC,VLCが角度θ(t)と角度φ(t)との差に応じた信号になることについて、数式を用いて説明する。
複素信号_VUOおよび_VLOが何れも負の周波数−ωを持つものとして、複素信号_VUOおよび_VCP、複素信号_VLOおよび_VCNそれぞれ複素乗算すると、次式のようになる。
Figure 0004708070
一方、複素数の乗算は次のように表される。
Figure 0004708070
式(27)の演算をブロック図で表すと、図13(A)のようになる。この複素乗算結果のうち、実際に必要な信号は位相角データ生成部300−1、300−2に入力する実信号である。そのため、複素信号処理部100−1、100−2には、図13(A)における実部の演算部分のみを抽出した図13(B)の構成をそれぞれ設ければよい。すなわち、複素信号処理部100−1、100−2において複素信号の演算処理を行う部分には、2つの乗算部(101、102)と1つの加算部(103)をそれぞれ設ければよい。
複素信号_VUOの実部成分VUO−Iと虚部成分VUO−Q、複素信号_VLOの実部成分VLO−Iと虚部成分VLO−Qは、それぞれ次式のように表される。
Figure 0004708070
また、複素信号_VCPの実部成分VCP−Iと虚部成分VCP−Q、複素信号_VCNの実部成分VCN−Iと虚部成分VCN−Qは、式(21),(22)の関係からそれぞれ次式のように表される。
Figure 0004708070
式(28)〜(35)で表される各信号と、式(3),(4)で表される角度検出信号V,Vとを図1に示す回路に当てはめて演算を行うと、複素信号処理部100−1、100−2の出力信号VUC、VLCはそれぞれ次式のように表される。
Figure 0004708070
式(36),(37)は、確かに式(25),(26)の虚部を表しており、角度θ(t)およびφ(t)を反映した信号が得られることが分かる。
式(36)および(37)の第2項目は、周波数2ωの高周波成分であり、帰還部200−1のフィルタ作用によって減衰する。
先に述べたように、帰還部200−1,200−2が大きな直流利得を有している場合、帰還制御信号Vf1,Vf2は、式(36)および(37)の第1項がほぼゼロとなるような値に収束する。その結果、位相ロック部PLL1,PLL2では、‘φ(t)≒θ(t)’となるようにそれぞれ帰還制御が働く。
以上説明したように、本実施形態に係る角度検出信号処理装置によれば、位相ロック部PLL1、PLL2において、検出対象の角度θ(t)ではなく、周波数ωt(もしくは−ωt)のオフセットを持った位相角ωt±θ(t)(もしくは−ωt±θ(t))を追随するように位相ロック動作が行われる。そのため、角度θ(t)の周波数に対して励磁周波数ωt(もしくは−ωt)を十分高く設定すれば、位相ロック部PLL1、PLL2の位相ロック対象となる信号の周波数がゼロになることはない。機械の回転は、周波数としてみれば極めて低いものであり、例えば30,000rpmの回転速度も周波数換算では500Hz程度である。したがって、周波数ω(もしくは−ω)を周波数に換算して例えば数kHz以上に設定しておけば、通常こうした問題を生じることはない。
従来は、構造の簡単な1相励磁2相出力型のレゾルバにおいて、検出対象の角度θ(t)に追随するような位相ロックループを構成して角度θ(t)を求めていた。その場合、角度θ(t)は正負に極性反転したり、静止して直流値になる。そのため、位相ロックループに搭載するVCOは直流から動作が可能であるとともに、正負の値を表現できることが要求され、例えばバイポーラ(両極性)型VCOを用いる必要があった。また、VCOの出力信号を計数するカウンタには、アップダウンカウントの機能が必要であった。
したがって、本実施形態によれば、バイポーラVCOやアップダウン・カウンタなど、構成が複雑で規模が大きく、消費電力が大きい回路を削除することができる。
また、本実施形態では、位相ロック部PLL1、PLL2において、検出対象の角度θ(t)に対し周波数ωt(もしくは−ωt)のオフセットを持った位相角ωt±θ(t)(もしくは−ωt±θ(t))を追随するように位相ロック動作が行われる。そのため、仮にレゾルバが静止していても位相ロック部PLL1、PLL2は周波数ωt(もしくは−ωt)で廻り続けることになり、振幅に分解能が無くとも位相角には高い分解能を得ることができる。
従来は、VCOからの位相出力φ(t)が角度θ(t)を追随するため、乗算器に入力するコサイン信号Cosφ(t)やサイン信号Sinφ(t)には高い分解能が要求される。例えば12ビットの角度分解能を得るためには、少なくともコサイン信号Cosφ(t)、サイン信号Sinφ(t)に11ビットの分解能が必要である。このことは、レゾルバが静止してコサイン信号Cosφ(t)およびサイン信号Sinφ(t)が一定値(直流)になったとき、直流信号に高い分解能が無い限り、高い角度分解能の位相追随が不可能であることからも直感的に明らかである。このように、従来は正確なコサイン信号Cosφ(t)やサイン信号Sinφ(t)を出力する必要があったために、波形データを格納する大容量のROMや高分解能のD/A変換器、オフセットの少ない乗算型D/A変換器などが必要とされていた。
したがって、本実施形態によれば、大容量のROMや高分解能のD/A変換器、乗算型D/A変換器など、構成が複雑で規模が大きく、消費電力が大きい回路を削除することができる。
このように、本実施形態によれば、波形データのROM、アップダウン・カウンタといった複雑なデジタル機能や、乗算型D/A変換器、バイポーラVCOといった特殊な機能回路を必要とせず、シンプルなシステムにより高性能な角度検出信号処理装置を実現することができる。これにより、レソルバの角度検出信号処理装置を極めてシンプルに小さなハードウェアで構成することが可能になり、大幅な低消費電力化、低コスト化を実現することができる。また、ハードウェアがシンプルになることで、信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態では、位相ロック部において入力信号に位相をロックさせる信号が厳密に正弦波である必要がなくなり、極端な場合は図2に示すように矩形波でもよくなる。矩形波の場合、第3次高調波が含まれるために高速あるいは時間変化率が高い角度の検出には適さないが、回路構成を大幅に簡易化できる利点がある。
しかも、位相ロック部において入力信号に位相をロックさせる信号が、例えば階段波、極端な場合には矩形波でも良くなることから、後の実施形態でも述べるように、アナログ信号同士の乗算ではなくスイッチにより極性や重み係数を切り替える方式の乗算回路を使うことも可能になる。これにより、前述したアナログ乗算回路に起因する精度の制約を飛躍的に緩和することが可能になる。
更には、従来、角度θ(t)に応じた位相差を持つ信号を得るために、構造の複雑な2相励磁2相出力型レゾルバを用いるか、あるいは、1励磁2相出力型レゾルバにおいて複雑な信号処理を行う必要があったが、本実施形態によれば、特定の極性の周波数を持つ信号成分のみに位相をロックさせる複素信号の位相ロック動作を用いることによって、非常にシンプルな構成により、1励磁2相出力型レゾルバの出力信号から角度θ(t)の情報を取得することができる。
その上、本実施形態の方法によれば、刻々に更新される位相角ωpt±θ(t)(もしくは−ωt±θ(t))のデータPA1、PA2に基づいて角度θ(t)の情報を得ることができるため、リアルタイムの角度検出が可能になるとともに、ゼロクロス点の時間差から位相差を求める従来の方法に比べて外来ノイズに対する耐性を大幅に向上できる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図14は、本発明の第2の実施形態に係る角度検出信号処理装置の構成の一例を示す図である。
先の実施形態において述べた本発明の重要な特長として、位相ロック部において入力信号に位相がロックされる信号、すなわち、入力信号と乗算される信号の振幅情報が、厳密な正弦波である必要がないことが挙げられる。例えば図2に示す複素信号生成部107では、矩形波を入力する例を示している。また、より高調波を低減させる場合、例えば第15図に示すような階段波を使っても良い。図16に示す4値の階段波は、信号周期の8分の1の周期で振幅が階段状に変化し、その変化時刻における正弦波の信号値を標本化して1次ホールドしたものと等価になるように設定されている。
図17は、図16に示す階段波の周波数スペクトルを示す。この階段波の信号は、正弦波をその8倍の周波数で標本化したものと等しいため、正弦波の周波数fの8倍が標本化周波数となり、周波数fの4倍がナイキスト周波数となる。したがって周波数8fの周辺の‘7f’と‘9f’にもスペクトルが立つ。基本周波数fと、標本化により生じる周波数7fとの間にはスペクトルがない。1次ホールドと同じ効果により、7次高調波(7f)と9次高調波(9f)は基本波に対して各々17.1dB及び19.3dB減衰する。
図16の例において階段波は4値のレベルを有するが、これを例えば8値にまで増やした場合、最も低い高調波は15次となる。この場合のスペクトルは、正弦波を16倍の周期で標本化したものと等価である。後述するように、典型的には4値の階段波でも十分な精度を得ることができる。このような階段状の波形を持つ信号を以下では疑似正弦波と呼ぶ。
本実施形態に係る角度検出信号処理装置では、位相ロック部における乗算に、上述のような疑似正弦波が用いられる。
図14に示す角度検出信号処理装置は、図1に示す角度検出信号処理装置における複素信号処理部100−1、100−2を、次に述べる複素信号処理部100A−1、100A−2に置き換えたものであり、他の構成について両者は同じである。
また、複素信号処理部100A−1と100A−2は同様な構成を有しているため、以下では複素信号処理部100A−1のみを説明する。
複素信号処理部100A−1は、正弦波乗算部104と、余弦波乗算部105と、加算部106とを有する。
正弦波乗算部104および余弦波乗算部105において乗算される係数の基本波は、互いに直交している。例えば、正弦波乗算部104において乗算される係数の基本波は、カウンタデータPA1の正弦波に対応し、余弦波乗算部105において乗算される係数の基本波は、カウンタデータPA1の余弦波に対応する。
なお、正弦波乗算部104は、本発明の第4の演算部の一実施形態である。
余弦波乗算部105は、本発明の第5の演算部の一実施形態である。
加算部106は、本発明の第6の演算部の一実施形態である。
加算部106は、後述する正弦波乗算部104の乗算結果S104と余弦波乗算部105の乗算結果S105とを加算して、信号VUCを生成する。
正弦波乗算部104は、1周期を区分する複数の角度範囲の間で、位相角データ生成部のデータPA1が示す位相角が別の角度範囲に移る場合に、予め設定した複数の重み係数の中から、この移動先の角度範囲における所定の位相角での虚部成分VUO−Qの瞬時値に応じた重み係数を選択して、複素信号_VCPの実部成分VCP−Iに掛け合わせる。
擬似正弦波を乗ずる場合、例えば、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1に基づいて、虚部成分VUO−Qのk分の1(kは正の4の倍数を示す。以下同じ。)周期ごとの瞬時値に応じた重み係数を、k分の1周期ごとに切り替えて複素信号_VCPの実部成分VCP−Iに掛け合わせる。
また、矩形波を乗ずる場合、例えば、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1に基づいて、虚部成分VUO−Qの半周期ごとのピーク値に応じた重み係数を、半周期ごとに切り替えて複素信号_VCPの実部成分VCP−Iに掛け合わせる。
余弦波乗算部105は、1周期を区分する複数の角度範囲の間で、位相角データ生成部のデータPA1が示す位相角が別の角度範囲に移る場合に、予め設定した複数の重み係数の中から、この移動先の角度範囲における所定の位相角での実部成分VUO−Iの瞬時値に応じた重み係数を選択して、複素信号_VCPの虚部成分VCP−Qに掛け合わせる。
擬似正弦波を乗ずる場合、例えば、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1に基づいて、実部成分VUO−Iのk分の1周期ごとの瞬時値に応じた重み係数を、k分の1周期ごとに切り替えて複素信号_VCPの虚部成分VCP−Qに掛け合わせる。
また、矩形波を乗ずる場合、例えば、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1に基づいて、実部成分VUO−Iの半周期ごとのピーク値に応じた重み係数を、半周期ごとに切り替えて複素信号_VCPの虚部成分VCP−Qに掛け合わせる。
図18は、正弦波乗算部104の構成の一例を示す図である。
図18に示す正弦波乗算部104は、乗算部MP1と、制御部CNT1とを有する。乗算部MP1は、n個の係数乗算回路M1〜Mnと、n個の係数選択スイッチSW1〜SWnと、極性選択スイッチSWpと、極性反転回路INVとを含む。
係数乗算回路M1,…,Mnは、複素信号_VCPの実部成分VCP−Iに重み係数a1,…,anを乗算する。
係数選択スイッチSW1,…,SWnは、一方の端が係数乗算回路M1,…,Mnの出力にそれぞれ接続され、他方の端がノードN1に接続される。
極性反転回路INVは、ノードN1に出力される係数乗算回路M1,…,Mnの乗算結果を反転する。
極性選択スイッチSWpは、係数選択スイッチSW1,…,SWnに接続されるノードN1、または、極性反転回路INVの出力に接続されるノードN2の何れか一方を選択し、出力ノードN3に接続する。正弦波乗算部104の乗算結果S104は、出力ノードN3から出力される。
制御部CNT1は、1周期を区分する複数の角度範囲の間で、位相角データ生成部のデータPA1が示す位相角が別の角度範囲に移る場合に、予め設定した複数の重み係数の中から、この移動先の角度範囲における所定の位相角での虚部成分VUO−Qの瞬時値に応じた重み係数が選択されるように、係数選択スイッチSW1〜SWn,SWpを制御する。
例えば、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1のうち、最上位から所定ビット数のデータCB1を用いて、虚部成分VUO−Qのk分の1周期ごとの瞬時値に応じた重み係数がk分の1周期ごとに切り替えられるように、係数選択スイッチSW1〜SWn,SWpを制御する。
図18は正弦波乗算部104の構成例であるが、余弦波乗算部105もこれと同様な構成にすることが可能である。
なお、上述した正弦波乗算部104、余弦波乗算部105による重み係数の切り替えは、乗算する実部成分VUO−I、虚部VUO−Qの1周期に対してk分の1周期ごとに行うことが望ましい。これにより、実部成分VUO−Iと虚部成分VUO−Qとの位相差をπ/2(4分の1周期)に保ちつつ、正弦波乗算部104および余弦波乗算部105において同一の重み係数の乗算回路を用いることが可能になる。
図19は、2つの係数乗算回路M1,M2を用いて乗算部MP1を構成した場合における、係数選択スイッチSW1,SW2および極性選択スイッチSWpの制御方法の一例を示す図である。
この場合、重み係数は+a1、−a1、+a2、−a2の4値である。
また、重み係数の時系列上の推移を示す波形mo(t)は、図20に図示するように、正弦波状の信号成分(VUO,VLO)をサンプリングして得られる波形になる。乗算回路の重み係数は、例えばこの図20に示すように、重み係数を切り替える時点における信号成分(VUO,VLO)のサンプリング値と等しくなるように選ばれる。
重み係数が2つの場合、乗算部は図21に示すような非常にシンプルな構成にすることが可能である。
図21は、重み係数が2つの場合における乗算部MP1Aの構成例を示す図である。
図21に示す乗算部MP1Aは、抵抗R1,…,R6と、係数選択スイッチSW3およびSW4と、極性選択スイッチSW5,…,SW8と、演算増幅器AMP1とを有する。
入力端子Tin+およびTin−の間には、複素信号_VCPの実部成分VCP−Iが差動信号として入力される。
入力端子Tin+は、抵抗R1およびR3の直列回路を介して、極性選択スイッチSW5およびSW7の一方の端子にそれぞれ接続される。極性選択スイッチSW5の他方の端子は演算増幅器AMP1の負側入力端子IN−に接続され、極性選択スイッチSW7の他方の端子は演算増幅器AMP1の正側入力端子IN+に接続される。
入力端子Tin−は、抵抗R2およびR4の直列回路を介して、極性選択スイッチSW6およびSW8の一方の端子にそれぞれ接続される。極性選択スイッチSW6の他方の端子は演算増幅器AMP1の正側入力端子IN+に接続され、極性選択スイッチSW8の他方の端子は演算増幅器AMP1の負側入力端子IN−に接続される。
係数選択スイッチSW3は抵抗R3に並列に接続され、係数選択スイッチSW4は抵抗R4に並列に接続される。
演算増幅器AMP1の正側出力端子は、出力端子Tout+に接続されるとともに、抵抗R5を介して正側入力端子IN+に接続される。
演算増幅器AMP1の負側出力端子は、出力端子Tout−に接続されるとともに、抵抗R6を介して負側入力端子IN−に接続される。
抵抗R1〜R6の抵抗値は、例えば次のように設定される。
抵抗R1,R2 … 42.29kΩ;
抵抗R3,R4 … 62.15kΩ;
抵抗R5,R6 … 40kΩ;
図21に示す乗算部MP1Aによると、係数選択スイッチSW3およびSW4をオンにしたとき、係数値a1=R5/R1になる。また、係数選択スイッチSW3およびSW4をオフにしたとき、係数値a2=R5/(R1+R3)になる。
また、極性選択スイッチSW7およびSW8をオフ、極性選択スイッチSW5およびSW6をオンにしたとき、乗算部MP1Aの重み係数の極性は正に設定される。すなわち、出力信号S104は実部成分VCP−Iと同一極性になる。
逆に、極性選択スイッチSW7およびSW8をオン、極性選択スイッチSW5およびSW6をオフにしたとき、乗算部MP1Aの重み係数の極性は負に設定される。すなわち、出力信号S104は実部成分VCP−Iと反対の極性になる。
以上の動作から、スイッチS3〜8の制御は、例えば図22に示すように行われる。
図23は、図21に示す乗算部を複素信号処理部100A−1に用いた場合の位相ロック部PLL1Aの構成例を示す。
図23の例において、正弦波乗算部104は、乗算部MP1Aとその制御部CNT1Aを有し、余弦波乗算部105は、乗算部MP2Aとその制御部CNT2Aを有する。
乗算部MP2Aは、図21に示す乗算部MP1Aと同様な構成を有する。
制御部CNT1AおよびCNT2Aは、例えば図22に示すようなスイッチの制御を行うことにより、実部成分VCP−Iと虚部成分VUO−Qとの乗算、もしくは、虚部成分VCP−Iと実部成分VUO−Iとの乗算を実現する。
図23の例において、加算部106は、2つの加算回路1061および1062を有しており、乗算部MP1Aの差動出力信号S104と乗算部MP2Aの差動出力信号S105とを加算する。
すなわち、加算回路1061は、乗算部MP1AおよびMP2Aの正側の出力信号同士を加算し、信号VUCの正側の信号として出力する。加算回路1062は、乗算部MP1AおよびMP2Aの負側の出力信号同士を加算し、信号VUCの負側の信号として出力する。
以上説明したように、本実施形態によれば、疑似正弦波による重み係数の乗算回路を用いることによって、極めて検出精度を高くすることができるという利点がある。
すなわち、重み係数は例えば抵抗値の比によって決定することができるため、よく考慮されたレイアウトを行えば0.1%程度の精度を得ることも可能である。
また、本実施形態では、疑似正弦波による重み係数の乗算回路が、例えば図21に示す回路のように演算増幅器を除いてほとんど受動素子で回路を構成できるため、従来に比較して飛躍的にオフセット電圧を小さくできるという利点がある。
図21の回路においては、演算増幅器AMP1がオフセット電圧を発生する。仮に信号レベルを2Vとし、オフセット電圧を0.2mVとすれば、信号対オフセット電圧比は80dBとなる。これは、図36のギルバート型に代表される従来のアナログ乗算回路と比較すると2〜3桁程度も小さいオフセットである。0.2mVのオフセットの演算増幅器を実現するには、かなり注意深い回路設計とレイアウトを必要とするが、仮にもう少しオフセットが悪くても12ビットの分解能には間題ない。
本実施形態において疑似正弦波による乗算が可能なのは、位相ロック部において角度θ(t)ではなく周波数ω(もしくは−ω)のオフセットを持った位相角ω±θ(t)(もしくは−ω±θ(t))に追従して位相ロック動作を行うためである。
角度θ(t)に追随して位相ロック動作が行われる場合、上述のような疑似正弦波による乗算を行うと、量子化歪みの影響により全くまともな動作をすることができない。角度θ(t)は軸が静止しているときには直流信号であるため、量子化歪み、即ち高調波歪みが直流の信号に重畳する。また、角度θ(t)がゆっくり動いていると、その周波数成分は非常に低いため、高調波が位相ロックループの帯域内に入ってきてやはり悪影響を与える。それは、図32に示す従来の装置においてコサイン信号Cosφ(t)とサイン信号Sinφ(t)を生成するD/A変換器の分解能が2〜3ビット程度しかない場合に全く機能しないことを考えると自明なことである。
本実施形態では、位相ロック部が周波数ω(もしくは−ω)だけオフセットをもって動作するため、いかなる動作条件においても高調波が常に位相ロックループの帯域外の高い周波数にしか存在しなくなり、ループに悪影響を与えなくなる。例えば4値の階段波形を持つ疑似正弦波では、最も低い高調波が7次になるため、ほとんどあらゆる場合において高調波の影響を考慮する必要がなくなる。
ここで、疑似正弦波の極端な例として、矩形波を用いた場合にどうなるかについて簡単に考察する。
矩形波を乗ずる場合には、例えば図2(C)に示すように、入力のアナログ信号の極性を単に反転する機能だけの非常に簡易な構成で乗算回路を具現化できる。
ここでは簡単な例として、式(23),(24)に示す周波数変換の係数Kを‘0.5’、位相ロック部がロックする周波数を‘ω’とし、式(21)に示す複素信号_VCPの周波数成分にのみ注目する。この場合、複素信号_VCPは、図24(A)に示されるように、正周波数の成分‘0.5ωt+θ(t)’と負周波数の成分‘−(1.5ωt−θ(t))’とを有している。ただし、図24に示す信号のスペクトルは、何れも信号の位相を考慮せずに周波数のみを表現している。
複素信号処理部100では、図24(A)に示す複素信号_VCPの成分‘0.5ωt+θ(t)’と図24(B)に示す複素信号_VUOの成分‘−(0.5ωt+φ(t))’(定常的にはφ(t)≒θ(t))とを乗ずることによって、直流に ‘θ(t)−φ(t)’の信号成分を得ることを目的としている。
このとき、複素信号_VCPの成分‘−(1.5ωt−θ(t))’は、複素信号_VUOの成分‘−(0.5ωt+φ(t))’と乗算されることによって、図24(C)に示す‘−(2ωt−θ(t)+φ(t))’にシフトする。
ここで、図24(B)の複素信号_VUOに矩形波を用いた場合、‘−(0.5ωt+φ(t))’に対する第3次高調波‘−3(0.5ωt+φ(t))’が発生する。この成分が、複素信号_VCPの成分‘0.5ωt+θ(t)’に乗算されると、図24(C)に示す‘−(ωt−θ(t)+3φ(t))’が発生する。
周波数2ωの成分‘一(2ωt−θ(t)+φ(t))’は、複素信号_VUOの3次高調波の有無とは関係なしに存在する。しかしながら、定常的には
θ(t)≒φ(t);
が成立するため、この成分は定常値として‘2ωt’であり、角度θ(t)とは無関係に2つの位相ロック部(PLL1、PLL2)に同じ揺らぎを与える。この揺らぎによる誤差は、位相差演算部500においてカウンタの計数値の差を求める際に同相モードとして打ち消しあう。
これに対してて、周波数ωの成分‘−(ωt−θ(t)+3φ(t))’は、角度θ(t)に依存するため2つの位相ロック部(PLL1、PLL2)に同じ揺らぎを与えない。したがって、その成分による影響は雑音となり、検出精度に若干の影響を与える可能性がある。
より高い分解能が必要な場合や、位相ロック部の帯域を極力広げたい場合、角度θ(t)の周波数が非常に高くなった場合、即ち機械軸が非常に高速に回転することを想定する必要が場合などにおいては、この信号成分‘−(ωt−θ(t)−3φ(t))’が低い周波数に移動し、検出精度を劣化させる原因になる可能性がある。したがって、そのような場合には、例えば図20に示す4値の疑似正弦波による乗算が望ましい。4値による疑似正弦波は、最も低い高調波が7次であるため、前記のような考察がほとんど不要である。
一方、それほど高い分解能が必要ない場合や、位相ロックループの帯域が狭くてよい場合には、矩形波による乗算回路も可能である。この場合は、回路構成を大幅に簡易化できる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図25は、本発明の第3の実施形態に係る角度検出信号処理装置の構成の一例を示す図である。
上述した実施形態では基本的に2つの位相ロック部を用いており、角度θ(t)に対して所定の周波数オフセットを持った位相角(ω±θ(t)/−ω±θ(t))に追随するデータPA1,PA2に基づいて角度θ(t)の情報を取得している。
一方、レゾルバに供給する励磁信号は位相角‘ωt’であり、位相ロック部においてロックする位相角(ω±θ(t)/−ω±θ(t))に対して、例えば式(23),(24)に示すような一定の関係を有している。
そこで本実施形態に係る角度検出信号処理装置では、レゾルバに供給する励磁信号の位相角と位相ロック部においてロックする位相角とが一定の関係を有することを利用して、角度θ(t)の情報を取得する。
図25に示す角度検出信号処理装置は、図14に示す角度検出信号処理装置における位相ロック部PLL2Aを削除し、信号処理部400を信号処理部400Aに変更し、更に、位相角データ生成部800、信号発生部900,1000を設けたものである。
信号処理部400Aは、レゾルバから出力される角度検出信号V,Vと、互いに直交関係にある周波数ωの複素信号_Vi1,_Vi2とを入力し、これらの信号に所定の演算を行った結果として、複素信号_VCPを出力する。
すなわち、信号処理部400Aは、複素信号_Vi1と角度検出信号Vとを乗じた積_VIXと、複素信号_Vi2と角度検出信号Vとを乗じた積_VIQとの差を複素信号_VCPとして出力する。
信号処理部400Aは、例えば図25に示すように、信号処理部400の構成要素のうち複素信号_VCPの生成に関わる構成要素として、乗算部401,…,404と、減算部405,406とを有する。図25に示すこれらの構成要素は、図1に示す同一符号の構成要素と同じである。
信号発生部900は、後述する位相角データ生成部800において生成される位相角のデータに基づいて、レゾルバに供給する励磁信号V(=Cosωt)を発生する。
信号発生部1000は、位相角データ生成部800において生成される位相角のデータに基づいて、信号処理部400Aに供給する複素信号_Vi1および_Vi2を生成する。例えば、複素信号_Vi1の実部と複素信号_Vi2の虚部に対応する信号成分‘Cosωt’、ならびに、複素信号_Vi1の虚部と複素信号_Vi2の実部に対応する信号成分‘Sinωt’を生成する。
位相角データ生成部800は、励磁信号Vの位相角‘ωt’、複素信号_Vi1の位相角‘−ωt’、および複素信号_Vi2の位相角‘−ωt−π/2’(複素信号_Vi1のベクトルを−90°回転したもの)と所定の関係を有する位相角であって、角周波数−ω(もしくはω)を有する位相角を示すデータPA3を生成する。
位相角データ生成部800は、例えば位相角‘−ωt’を示すデータPA3を生成する。
位相角‘−ωt’は、式(23)を参照すると、位相角‘ωt’との間に、
−ωt=−Kωt;
という関係を有する。
また、同じ式(23)を参照すると、位相角‘ωt’は位相角‘−ωt’および ‘−ωt−π/2’との間に、
−ωt=−(ω−ω)t=−{K/(1−K)}ωt;
という関係を有する。
位相角‘−ωt’を示すデータPA3が生成される場合、位相ロック部PLL1Aでは、複素信号_Vcpに含まれる周波数ωの信号成分に複素信号_VUOの位相をロックさせる動作が行われる。この場合、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1は位相角‘−ωt−θ(t)’を示す。
データPA1が位相角‘−ωt−θ(t)’を示し、データPA3が位相角‘−ωt’を示すことから、両者が示す位相角の差は‘θ(t)’となる。そのため、位相差演算部500の演算結果は角度θ(t)に応じた値となる。
また、位相角データ生成部800では、位相角‘ωt’を示すデータPA3を生成しても良い。
位相角‘ωt’は、式(24)を参照すると、位相角‘ωt’との間に、
ωt=(2−K)ωt;
という関係を有する。
また、同じ式(24)を参照すると、位相角‘ωt’は位相角‘−ωt’および ‘−ωt−π/2’との間に、
ωt=(ω+ω)t={(2−K)/(1−K)}ωt;
という関係を有する。
位相角‘ωt’を示すデータPA3が生成される場合、位相ロック部PLL1Aでは、複素信号_Vcpに含まれる周波数−ωの信号成分に複素信号_VUOの位相をロックさせる動作が行われる。この場合、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1は位相角‘ωt−θ(t)’を示す。
データPA1が位相角‘ωt−θ(t)’を示し、データPA3が位相角‘ωt’を示すことから、両者が示す位相角の差は‘θ(t)’となる。そのため、位相差演算部500の演算結果は角度θ(t)に応じた値となる。
次に、図25に示す角度検出信号処理装置において、周波数変換係数Kを‘0.5’および‘2’に設定する場合における構成の一例について、図26および図27を参照して説明する。
図26は、周波数変換係数Kを‘0.5’とし、位相ロック部PLL1Aにおいて周波数ωに位相をロックさせる場合の構成の一例を示す図である。
図26の例において、位相角データ生成部800は、発振器801とカウンタ802とを有する。
発振器801は、周波数ωに対して2n−1倍の周波数2n−1・ωで発振する。
カウンタ802は、nビットの計数値を出力するカウンタであり、発振器801から出力される周波数2n−1・ωの信号をn分周して周波数0.5ωの信号を生成する。カウンタ802のnビットの計数値は、周波数0.5ωの信号の位相角を示すデータPA3として位相差演算部500に出力される。
カウンタ802の計数値は、位相角を示すデータとして、信号発生部900および1000にも供給される。
信号発生部900では、カウンタ802から供給される位相角のデータに基づいて、励磁信号V(=Cosωt)が生成される。
信号発生部1000では、カウンタ802から供給される位相角のデータに基づいて、複素信号_Vi1の実部および複素信号_Vi2の虚部に対応する信号成分Cos(0.5ωt)、ならびに、複素信号_Vi1の虚部および複素信号_Vi2の実部に対応する信号成分Sin(0.5ωt)が生成される。
図27は、周波数変換係数Kを‘0’とし、位相ロック部PLL1Aにおいて周波数ωに位相をロックさせる場合の構成の一例を示す図である。
図27の例において、位相角データ生成部800は、発振器801とカウンタ802とを有する。
発振器801は、周波数ωに対して2n+1倍の周波数2n+1・ωで発振する。
カウンタ802は、nビットの計数値を出力するカウンタであり、発振器801から出力される周波数2n+1・ωの信号をn分周して周波数2ωの信号を生成する。カウンタ802のnビットの計数値は、周波数2ωの信号の位相角を示すデータPA3として位相差演算部500に出力される。
カウンタ802の計数値は、位相角を示すデータとして、信号発生部900および1000にも供給される。
信号発生部900では、カウンタ802から供給される位相角のデータに基づいて、励磁信号V(=Cosωt)が生成される。
信号発生部1000では、カウンタ802から供給される位相角のデータに基づいて、複素信号_Vi1の実部および複素信号_Vi2の虚部に対応する信号成分Cos(−ωt)、ならびに、複素信号_Vi1の虚部および複素信号_Vi2の実部に対応する信号成分Sin(−ωt)が生成される。
なお、上述した図25〜図27に示す角度検出信号処理装置では、図14に示す角度検出信号処理装置と同様に、重み係数の切り替えによって階段波信号の乗算を行う複素信号処理部100A−1を用いる例を示しているが、これに限らず、例えば図28に示すように、複素信号を生成して乗算を行う複素信号処理部100−1を用いてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、レゾルバに供給する励磁信号の位相角と位相ロック部においてロックする位相角とが一定の関係を有することを利用して角度θ(t)の情報を取得することにより、位相ロック部の数を減らすことができるため、先の実施形態と比較して更に構成を簡易化することが可能になる。
なお、本実施形態では、レゾルバ内において励磁入力と検出出力との間に位相推移があると、この推移分の位相が検出する角度データのオフセットになる。そのため、本実施形態においては、位相がよく管理されているレゾルバを用いることが好ましい。仮に安定した一定の誤差を生じるのであれば、これをキャンセルするように角度データを補正することで、検出精度の低下を有効に抑えることができる。また、位相のオフセットが問題ならないような応用分野、例えば位相の変化を捉えることが重要な分野において、本実施形態は有用である。
以上、本発明の幾つかの実施形態について述べたが、本発明はこれらの形態にのみ限定されるものではなく、様々なバリエーションを含んでいる。
例えば、レゾルバから出力される角度検出信号VおよびVはアナログ信号でも良いし、これをA/D変換器においてデジタル信号に変換したものを入力しても良い。後者の場合、本発明の位相ロック部はデジタル回路によって構成しても良いし、本発明の処理をコンピュータによってプログラムにしたがって実行させることも可能である。
信号処理部400やその他のユニットで用いられる乗算部には、例えばアナログ型の乗算回路を用いても良いし、図18に示すように重み係数の切り替えによって階段波信号の乗算を行う回路を用いても良い。
第1の実施形態に係る角度検出信号処理装置の構成の一例を示す図である。 複素信号生成部の構成の一例を示す図である。 帰還部の構成例とその伝達特性の一例を示す図である。 複素平面上で表された複素信号を示す図である。 実信号を複素平面上のベクトルとして表現した図である。 周波数軸を用いて複素信号のベクトルを表現した図である。 複素平面上に、時刻t=0のときの正弦波信号および余弦波信号をベクトルで図解した図である。 レゾルバの2つの出力信号を複素周波数のベクトルとして表現した図である。 ベクトルの位相角を回転させる操作を説明するための図である。 信号処理部において行われる複素数の乗算処理の例をベクトルによって図解した図である。 信号処理部において行われる複素数の加減算処理の例をベクトルによって図解した図である。 図11および図12に示す信号処理を行う回路の一例を示す図である。 複素信号の乗算について説明するためのブロック図である。 第2の実施形態に係る角度検出信号処理装置の構成の一例を示す図である。 階段波の乗算を説明するための図である。 4値の階段波と、これの元になる正弦波との関係を説明するための図である。 図16に示す4値の階段波の周波数スペクトルの一例を示す図である。 正弦波乗算部の構成の一例を示す図である。 重み係数が2つの場合における、図18に示す正弦波乗算部の各スイッチの制御例を示す図である。 時系列で選択される重み係数値の推移と正弦波信号との関係を説明するための図である。 重み係数が2つの場合における乗算部の構成例を示す図である。 図21に示す乗算部の各スイッチの制御例を示す図である。 図21に示す乗算部を複素信号処理部に用いた場合の位相ロック部の構成例を示す図である。 位相ロック部において矩形波を乗算に用いた場合における各信号の周波数スペクトルの一例を示す図である。 第3の実施形態に係る角度検出信号処理装置の第1の構成例を示す図である。 図25に示す角度検出信号処理装置のより具体的な構成の一例を示す第1の図である。 図25に示す角度検出信号処理装置のより具体的な構成の一例を示す第2の図である。 第3の実施形態に係る角度検出信号処理装置の第2の構成例を示す図である。 1相2励磁型のレゾルバの構成例を示す図である。 2相2励磁型のレゾルバの構成例を示す図である。 2相2励磁型レゾルバに用いられる従来の角度検出信号処理装置の構成例を示す図である。 1相2励磁型レゾルバに用いられる従来の角度検出信号処理装置の構成例を示す図である。 バイポーラVCOの入力信号について説明するための図である。 図31に示す角度検出信号処理装置における各部の信号波形の一例を示す図である。 サイン/コサインROMとD/A変換器に必要な分解能を説明するための図である。 ギルバート型乗算回路の構成の一例を示す図である。
符号の説明
100−1,100−2,100A−1,100A−2…複素信号処理部、101,102…乗算部、103,106…加算部、104,700−1,700−2…正弦波乗算部、105…余弦波乗算部、200−1,200−2…帰還部、300−1,300−2,800…位相角データ生成部、301…信号生成部、302…カウンタ、400,400A…信号処理部、500…位相差演算部

Claims (16)

  1. 第1の周波数を有する余弦関数の信号の振幅が第1の角度を有する余弦関数の信号によって変調された第1の角度検出信号と、上記第1の周波数を有する余弦関数の信号の振幅が上記第1の角度を有する正弦関数の信号によって変調された第2の角度検出信号とを含んだレゾルバの検出出力に基づいて、上記第1の角度の情報を取得する角度検出信号処理装置であって、
    第2の周波数を有する複素信号である第1の入力信号と上記第1の角度検出信号とを乗じた第1の積と、上記第2の周波数を有する複素信号であって上記第1の入力信号と直交する第2の入力信号と上記第2の角度検出信号とを乗じた第2の積との和に応じた第1の信号、ならびに、上記第1の積と上記第2の積との差に応じた第2の信号を出力する信号処理部と、
    前記第1の角度に対して所定の周波数オフセットを有する所定の位相角に追随するように、上記第1の信号に含まれる第1の極性の周波数を持つ信号成分に位相がロックされた第1の位相ロック信号の位相角を示す第1のデータを出力する第1の位相ロック部と、
    前記第1の角度に対して所定の周波数オフセットを有する所定の位相角に追随するように、上記第2の信号に含まれる上記第1の極性の周波数を持つ信号成分に位相がロックされた第2の位相ロック信号の位相角を示す第2のデータを出力する第2の位相ロック部と、
    上記第1のデータが示す位相角と上記第2のデータが示す位相角との差を演算する位相差演算部と、
    を有する角度検出信号処理装置。
  2. 上記第1の位相ロック部および上記第2の位相ロック部は、
    入力される帰還制御信号に応じた周期で反復されるデータであって、当該周期内の位相角を示すデータを、上記第1のデータもしくは上記第2のデータとして生成する位相角データ生成部と、
    上記第1の信号もしくは上記第2の信号である第1の複素信号と、上記位相角データ生成部において生成されるデータに応じた前記所定の位相角を有し互いに直交する第1信号成分および第2信号成分を含み、周波数が上記第1の極性と反対の極性に設定される第2の複素信号とを乗算した場合に得られる複素信号の偏角に応じた信号を生成する複素信号処理部と、
    上記複素信号処理部において生成される信号に応じて、上記偏角が一定値に収束するように帰還制御を働かせる上記帰還制御信号を生成する帰還部と、
    をそれぞれ有する、
    請求項1に記載の角度検出信号処理装置。
  3. 上記位相角データ生成部は、
    入力される帰還制御信号に応じた周波数を有する信号を生成する信号生成部と、
    上記信号生成部において生成される信号を分周するカウンタと、
    を有し、上記カウンタの計数値を上記第1のデータもしくは上記第2のデータとして出力する、
    請求項2に記載の角度検出信号処理装置。
  4. 上記複素信号処理部は、上記偏角に応じた信号として、上記第1の複素信号と上記第2の複素信号とを乗算した場合に得られる複素信号の実部成分または虚部成分に応じた信号を生成し、
    上記帰還部は、上記複素信号処理部において生成される信号が一定値に収束するように帰還制御を働かせる上記帰還制御信号を生成する、
    請求項2に記載の角度検出信号処理装置。
  5. 上記複素信号処理部は、
    上記位相角データ生成部において生成されるデータに応じた位相角を有し互いに直交する上記第1信号成分および上記第2信号成分をそれぞれ生成する複素信号生成部と、
    上記複素信号生成部において生成される上記第1信号成分と上記第1の複素信号の実部成分とを掛け合わせる第1の演算部と、
    上記複素信号生成部において生成される上記第2信号成分と上記第1の複素信号の虚部成分とを掛け合わせる第2の演算部と、
    上記第の演算部および上記第2の演算部の演算結果の和を演算する第3の演算部と、
    を有する、
    請求項4に記載の角度検出信号処理装置。
  6. 上記複素信号処理部は、
    1周期を区分する複数の角度範囲の間で、上記位相角データ生成部のデータが示す位相角が別の角度範囲に移る場合、複数の重み係数の中から、当該移動先の角度範囲における所定の位相角での上記第1信号成分の瞬時値に応じた重み係数を選択して、上記第1の複素信号の実部成分に掛け合わせる第4の演算部と、
    1周期を区分する複数の角度範囲の間で、上記位相角データ生成部のデータが示す位相角が別の角度範囲に移る場合、複数の重み係数の中から、当該移動先の角度範囲における所定の位相角での上記第2信号成分の瞬時値に応じた重み係数を選択して、上記第1の複素信号の虚部成分に掛け合わせる第5の演算部と、
    上記第4の演算部および上記第5の演算部の演算結果の和もしくは差を演算する第6の演算部と、
    を有する、
    請求項4に記載の角度検出信号処理装置。
  7. 上記第4の演算部は、上記位相角データ生成部において生成されるデータに基づいて、上記第1信号成分のk分の1(kは正の4の倍数を示す)周期ごとの瞬時値に応じた重み係数を、k分の1周期ごとに切り替えて上記第1の複素信号の実部成分に掛け合わせ、
    上記第5の演算部は、上記位相角データ生成部において生成されるデータに基づいて、上記第2信号成分のk分の1周期ごとの瞬時値に応じた重み係数を、k分の1周期ごとに切り替えて上記第1の複素信号の虚部成分に掛け合わせる、
    請求項6に記載の角度検出信号処理装置。
  8. 上記第4の演算部は、上記位相角データ生成部において生成されるデータに基づいて、上記第1信号成分の半周期ごとのピーク値に応じた重み係数を、半周期ごとに切り替えて上記第1の複素信号の実部成分に掛け合わせ、
    上記第5の演算部は、上記位相角データ生成部において生成されるデータに基づいて、上記第2信号成分の半周期ごとのピーク値に応じた重み係数を、半周期ごとに切り替えて上記第1の複素信号の虚部成分に掛け合わせる、
    請求項6に記載の角度検出信号処理装置。
  9. 第1の周波数を有する余弦関数の信号の振幅が第1の角度を有する余弦関数の信号によって変調された第1の角度検出信号と、上記第1の周波数を有する余弦関数の信号の振幅が上記第1の角度を有する正弦関数の信号によって変調された第2の角度検出信号とを含んだレゾルバの検出出力に基づいて、上記第1の角度の情報を取得する角度検出信号処理装置であって、
    第2の周波数を有する複素信号である第1の入力信号と上記第1の角度検出信号とを乗じた第1の積と、上記第2の周波数を有する複素信号であって上記第1の入力信号と直交する第2の入力信号と上記第2の角度検出信号とを乗じた第2の積との和または差に応じた信号を出力する信号処理部と、
    上記第1の周波数と上記第2の周波数との和または差に応じた大きさを持つ角周波数を有し、レゾルバに供給される上記第1の周波数を有する励磁信号の位相角、ならびに、上記第1の入力信号および上記第2の入力信号の位相角と所定の関係を有する位相角を示す第1のデータを生成する第1の位相角データ生成部と、
    前記第1の角度に対して所定の周波数オフセットを有する所定の位相角に追随するように、上記信号処理部の出力信号に含まれる第1の極性の周波数を持つ信号成分に位相がロックされた位相ロック信号の位相角を示す第2のデータを出力する位相ロック部と、
    上記第1のデータが示す位相角と上記第2のデータが示す位相角との差を演算する位相差演算部と、
    を有する角度検出信号処理装置。
  10. 上記第1の位相角データ生成部は、
    所定の周波数の信号を生成する第1の信号生成部と、
    上記第1の信号生成部において生成された信号を分周する第1のカウンタと、
    を有し、上記第1のカウンタの計数値を上記第1のデータとして出力する、
    請求項9に記載の角度検出信号処理装置。
  11. 上記第1のカウンタの計数値に応じて上記励磁信号を発生する第1の信号発生部と、
    上記第1のカウンタの計数値に応じて上記第1の入力信号および上記第2の入力信号を発生する第2の信号発生部とを有する、
    請求項10に記載の角度検出信号処理装置。
  12. 上記位相ロック部は、
    入力される帰還制御信号に応じた周期で反復されるデータであって、当該周期内の位相角を示すデータを上記第2のデータとして生成する第2の位相角データ生成部と、
    上記信号処理部の出力信号である第1の複素信号と、上記第2の位相角データ生成部において生成される上記第2のデータに応じた前記所定の位相角を有し互いに直交する第1信号成分および第2信号成分を含み、周波数が上記第1の極性と反対の極性に設定される第2の複素信号とを乗算した場合に得られる複素信号の偏角に応じた信号を生成する複素信号処理部と、
    上記複素信号処理部において生成される信号に応じて、上記偏角が一定値に収束するように帰還制御を働かせる上記帰還制御信号を生成する帰還部と、
    を有する、
    請求項9に記載の角度検出信号処理装置。
  13. 上記第2の位相角データ生成部は、
    入力される帰還制御信号に応じた周波数を有する信号を生成する第2の信号生成部と、
    上記第2の信号生成部において生成される信号を分周する第2のカウンタと、
    を有し、上記第2のカウンタの計数値を上記第2のデータとして出力する、
    請求項12に記載の角度検出信号処理装置。
  14. 上記複素信号処理部は、上記偏角に応じた信号として、上記第1の複素信号と上記第2の複素信号とを乗算した場合に得られる複素信号の実部成分または虚部成分に応じた信号を生成し、
    上記帰還部は、上記複素信号処理部において生成される信号が一定値に収束するように帰還制御を働かせる上記帰還制御信号を生成する、
    請求項12に記載の角度検出信号処理装置。
  15. 上記複素信号処理部は、
    上記第2の位相角データ生成部において生成されるデータに応じた位相角を有し互いに直交する上記第1信号成分および上記第2信号成分をそれぞれ生成する複素信号生成部と、
    上記複素信号生成部において生成される上記第1信号成分と上記第1の複素信号の実部成分とを掛け合わせる第1の演算部と、
    上記複素信号生成部において生成される上記第2信号成分と上記第1の複素信号の虚部成分とを掛け合わせる第2の演算部と、
    上記第の演算部および上記第2の演算部の演算結果の和を演算する第3の演算部と、
    を有する、
    請求項14に記載の角度検出信号処理装置。
  16. 上記複素信号処理部は、
    1周期を区分する複数の角度範囲の間で、上記第2の位相角データ生成部のデータが示す位相角が別の角度範囲に移る場合、複数の重み係数の中から、当該移動先の角度範囲における所定の位相角での上記第1信号成分の瞬時値に応じた重み係数を選択して、上記第1の複素信号の実部成分に掛け合わせる第4の演算部と、
    1周期を区分する複数の角度範囲の間で、上記第2の位相角データ生成部のデータが示す位相角が別の角度範囲に移る場合、複数の重み係数の中から、当該移動先の角度範囲における所定の位相角での上記第2信号成分の瞬時値に応じた重み係数を選択して、上記第1の複素信号の虚部成分に掛け合わせる第5の演算部と、
    上記第4の演算部および上記第5の演算部の演算結果の和もしくは差を演算する第6の演算部と、
    を有する、
    請求項14に記載の角度検出信号処理装置。
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