JP4708070B2 - 角度検出信号処理装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、極めて高信頼性が要求される用途ではそれらも十分ではない。ホール素子を用いる方法は熱や振動に堅牢とはいえないし、光学的方法は油等の汚れに脆弱であり、そのうえ光源を必要とすることからその信頼性も問題になる。
2相励磁2相出力型のレゾルバより出力される信号VI、VQは次式で表される。
図31はその信号処理を表すブロック図である。まず信号VIおよびVQの加減算により信号VPおよびVNを求める。次にコンパレータを通して信号VPおよびVNのゼロクロスを求める。そして、例えばその立ち上がりエッジを微分回路により算出し、信号VPとVNの立ち上がりエッジ間におけるクロックパルスの数をカウンタで計数すると、それは求める角度θ(t)に比例する。したがって、このカウンタの計数値から角度θ(t)をデジタル変換した出力が取り出せる。
例えば12ビットの角度データを得るために少なくとも11ビットの分解能、望ましくは12ビットの分解能を有するサイン信号およびコサイン信号のROM(Read only memory)が用意され、任意の角度φ(t)に対してサイン信号Sinφ(t)およびコサイン信号Cosφ(t)が生成される。これらは、D/A変換器(DAC)においてアナログ信号に変換される。求めるべき角度θ(t)に対して角度φ(t)を追従させるため、まずレゾルバより出力される信号VIにサイン信号Sinφ(t)が乗ぜられるとともに、信号VQにコサイン信号Cosφ(t)が乗ぜられる。そして、前者を反転して後者に加算することにより、次式に示す信号V1が生成される。
図34の例において、信号VPがゼロクロスする時刻t1からクロックパルスCPのカウントが開始され、信号VNがゼロクロスする時刻t2でカウントが終了する。このカウンタ値は、角度θ(t)を反映しており、そのまま角度のデジタル値として使うことが可能である。カウント値は、時刻t2において1つ取り出される。
こうした不利益があることから、ゼロクロス点によって角度を求めるR−D変換装置は、例えば高速で回転する軸の角度をリアルタイムで得るような応用には適さない。
すなわち、複雑なバイポーラVCOやアップダウン・カウンタを必要とする。また、12ビット分解能を得るためには最低11ビット、望ましくは12ビットの分解能と精度を持つ大容量のサイン/コサインROMと高分解能のD/A変換器を必要とする。
そのため、従来の高精度なR−D変換装置においては、ギルバート型乗算回路に替えて乗算型D/A変換器等を用いることにより乗算回路の精度の制約を回避する必要があった。したがってアナログ乗算回路の実現手段も、高精度を実現するためには消費電力の増大とコストの増加を招く要因となっていた。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る角度検出信号処理装置の構成の一例を示す図である。
第1の実施形態に係る角度検出信号処理装置は、1相励磁2相出力型のレゾルバから出力される式(1)および式(2)に示す角度検出信号
VI=Cosωot・Cosθ(t);
VQ=Cosωot・Sinθ(t);
を入力し、角度θ(t)の情報を取得するものである。なお、以下の説明では、角度検出信号の振幅Voを‘1’として表記を省略する。
信号処理部400は、本発明の信号処理部の一実施形態である。
第1の位相ロック部PLL1は、本発明の第1の位相ロック部の一実施形態である。
第2の位相ロック部PLL2は、本発明の第2の位相ロック部の一実施形態である。
位相差演算部500は、本発明の位相差演算部の一実施形態である。
信号処理部400は、レゾルバから出力される角度検出信号VI,VQと、互いに直交関係にある周波数ω1の複素信号_Vi1,_Vi2とを入力し、これらの信号に所定の演算を行った結果として、複素信号_VCP,_VCNを出力する。なお、下線‘_’を付された記号は本明細書において複素信号を表す。
複素信号_Vi1,_Vi2は、例えば次式で表される。
乗算部401は、角度検出信号VIと周波数ω1の信号‘Cosω1t’とを乗算する。
乗算部402は、角度検出信号VIと周波数ω1の信号‘−Sinω1t’とを乗算する。
乗算部403は、角度検出信号VQと周波数ω1の信号‘−Sinω1t’とを乗算する。
乗算部404は、角度検出信号VQと周波数ω1の信号‘−COSω1t’とを乗算する。
位相ロック部PLL1は、複素信号_VCPに含まれる所定の極性(正または負)の周波数を持つ信号成分に位相がロックされた複素信号_VUOの位相角に応じたデータPA1を出力する。
位相ロック部PLL2は、複素信号_VCNに含まれる上記所定の極性の周波数を持つ信号成分に位相がロックされた複素信号_VLOの位相角に応じたデータPA2を出力する。
また、位相ロック部PLL2は、位相角データ生成部300−2と、複素信号処理部100−2と、帰還部200−2とを有する。
位相角データ生成部300−1,300−2は、本発明の位相角データ生成部の一実施形態である。
複素信号処理部100−1,100−2は、本発明の複素信号処理部の一実施形態である。
帰還部200−1,200−2は、本発明の帰還部の一実施形態である。
信号生成部301は、本発明の信号生成部の一実施形態である。
カウンタ302は、本発明のカウンタの一実施形態である。
位相角データ生成部300−2も、例えば上述した信号生成部301とカウンタ302とを用いて構成されており、カウンタ302の計数値を位相角のデータPA2として出力する。
複素信号処理部100−1は、この信号VUCとして、例えば複素信号_VCPと複素信号_VUOとを乗算した場合に得られる複素信号の実部成分または虚部成分に応じた信号を生成する。
乗算部101は、本発明の第1の演算部の一実施形態である。
乗算部102は、本発明の第2の演算部の一実施形態である。
加算部103は、本発明の第3の演算部の一実施形態である。
複素信号生成部107は、本発明の複素信号生成部の一実施形態である。
図2は、複素信号生成部107の構成の一例を示す図である。複素信号生成部107は、例えば図2(A)に示すように、排他的論理和回路XORと、アンプA1およびA2を用いて構成することができる。
排他的論理和回路XORは、カウンタ302の計数値の最上位ビットbMSBとその下位ビットbMSB−1との排他的論理和を演算する。
アンプA1は、ビットbMSBが‘1’の場合に正、‘0’の場合に負の極性を持つ正負が同一振幅の矩形状の信号を、信号成分VUO−Qとして出力する。
アンプA2は、ビットbMSB−1が‘1’の場合に正、‘0’の場合に負の極性を持つ正負が同一振幅の矩形状の信号を、信号VUO−Iとして出力する。
このような回路によれば、図2(B)に示す論理値のパターンからも分かるように、位相が4分の1周期ずれている矩形信号を生成することができる。
図2(C)の例においては、乗算部101および102にそれぞれスイッチ回路111および極性反転回路112が設けられる。
乗算部101のスイッチ回路111は、ビットbMSB−1が‘1’の場合に複素信号_VCPの実部(乗算部405の乗算結果)をそのまま出力し、‘0’の場合には複素信号_VCPの実部を極性反転回路112で極性反転して出力する。
乗算部102のスイッチ回路111は、排他的論理和回路XORの出力が‘1’の場合に複素信号_VCPの虚部(乗算部406の乗算結果)をそのまま出力し、‘0’の場合には複素信号_VCPの虚部を極性反転回路112で極性反転して出力する。
複素信号処理部100−2は、この信号VLCとして、例えば、複素信号_VCNと複素信号_VLOとを乗算した場合に得られる複素信号の実部成分または虚部成分に応じた信号を生成する。
図3(A)に示す帰還部200−1は、演算増幅器OP1と、抵抗R1およびR2と、キャパシタC1およびC2を有する。
演算増幅器OP1の負側入力端子(−)と出力との間には、抵抗R2およびキャパシタC2の直列回路とキャパシタC1とが並列に接続されており、正側入力端子(+)はグランドに接続される。帰還部200−1の入力信号は、抵抗R1を介して演算増幅器OP1の負側入力端子(−)へ入力さる。帰還部200−1の出力信号は、演算増幅器OP1の出力端子から出力される。
上記の構成によると、図3(B)の伝達特性に示すように、周波数が低くなるほど帰還部200−1のゲインは大きくなり、直流では演算増幅器OP1の開ループゲインに相当する非常に大きなゲインとなる。
帰還部200−2についても、例えば複素信号処理部100−1と同様に、大きな直流利得を持つフィルタ回路によって構成することができる。
位相差演算部500は、位相ロック部PLL1およびPLL2より出力される位相角のデータPA1およびPA2に基づいて、複素信号_VUOと複素信号_VLOとの位相差を演算する。
信号処理部400から出力される複素信号_VCNは、積_VIXと積_VQXとの和に応じた信号であり、この複素信号_VCNも、差の周波数ωp(=ω0−ω1)の信号成分と和の周波数ωn(=−(ω0+ω1))の信号成分とを含んでいる。
後述するように、複素信号_VCPおよび_VCNに含まれる周波数ωpの信号成分同士は、角度θ(t)に応じた位相差(2×θ(t))を有する。また、複素信号_VCPおよび_VCNに含まれる周波数−ωnの信号成分同士も、角度θ(t)に応じた位相差(2×θ(t))を有する。
この条件において、例えば複素信号_VUOおよび_VLOが共に正周波数の信号に位相をロックされるものとすると、複素信号_VUOおよび_VLOの位相は、複素信号_VCPおよび_VCNに含まれる周波数ωpの信号成分の位相にそれぞれロックされる。その結果、複素信号_VUOと_VLOとの位相差は、角度θ(t)に応じた位相差(2×θ(t))を有する。
また、例えば複素信号_VUOおよび_VLOが共に負周波数の信号に位相ロックされるものとすると、複素信号_VUOおよび_VLOの位相は、複素信号_VCPおよび_VCNに含まれる周波数−ωnの信号成分の位相にそれぞれロックされる。この場合も、複素信号_VUOと_VLOとの位相差は、角度θ(t)に応じた位相差(2×θ(t))を有する。
したがって、位相差演算部500において演算される複素信号_VCPと複素信号_VCNとの位相差は、角度θ(t)に応じた大きさ(2×θ(t))を有する。
また、複素信号_VCPおよび_VCNの位相差を、ゼロクロス点の時間差により求めるのではなく、位相ロック部PLL1、PLL2において刻々に生成されるデータPA1,PA2に基づいて求めるため、角度θ(t)の情報をリアルタイムで取得することが可能になり、外来ノイズの影響を受け難くなる。
図4に示すように、複素信号は、原点を角速度ωで回転する複素平面上のベクトルと考えることができる。複素信号の実部は余弦成分、虚部は正弦成分になる。
以下では、正弦波および余弦波の実信号を複素信号として見たときに、これらがどのような複素信号として表されるかについて考察する。実信号としての余弦波と正弦波は次式で表すことができる。
実信号2Cosωstは、正の周波数を有する複素信号ejωstと負の周波数を有する複素信号e-jωstとの和である。これを複素平面上に描くと、図5の左図に示すように、互いに逆向きに回転する2つのベクトルの和として表すことができる。2つのベクトルは、時間t=0において実軸上で重なり、時間とともに回転しても実軸に対して常に線対称になる。そのため、2つのベクトルを合成した場合、常に虚部が打ち消されてゼロになり、実部のみが残る。
同様に、実信号2Sinωstは、正の周波数を有する複素信号−jejωstと負の周波数を有する複素信号je-jωstとの和であり、図5の右図に示すように、実軸に対しては常に線対称になるため、やはり2つのベクトルを合成すると虚部は常に打ち消されてゼロになり、実部のみが残る。
図6の座標系では、虚部を表すz軸と実部を表すy軸とがなす複素平面に対して垂直な方向に、複素信号の角周波数または周波数を表すx軸を設ける。
図7は、複素平面(z−y平面)上に、時間t=0のときの正弦波信号および余弦波信号をベクトルで図解した図である。ただし、時間t=0のときの位相は何れもゼロであるとする。図7(A)は余弦波信号Cosωstのベクトルを示し、図7(B)は正弦波信号Sinωstのベクトルを示す。
位相ロック部PLL1およびPLL2は、入力信号を複素信号として扱い、この複素信号の正周波数の信号成分または負周波数の信号成分の何れか一方に位相がロックされた複素信号を生成して、その位相角に応じたデータPA1、PA2を得るものである。
すなわち、複素信号_VUOは、帰還制御信号Vf1に応じた大きさの周波数を有しており、その極性が所定の極性に設定された複素信号である。
Sin(θ(t)−φ(t));
が信号VUCとして出力されるものとする。この場合、図3(B)に示すように帰還部200−1の直流ゲインを非常に大きくすると、定常的には、
VUC=Sin(θ(t)−φ(t))≒0;
が成立するように帰還制御が働く。そのため、角度θ(t)とφ(t)とがほぼ等しくなるように、複素信号_VUOの位相が複素信号_VCPの位相に追従する。
そして、帰還部200−1では、複素信号処理部100−1において生成された信号VUCに応じて、上記足し合わせた偏角が一定値(例えばゼロ)に収束するように帰還制御を働かせる帰還制御信号Vf1が生成される。その結果、複素信号_VUOの位相が複素信号_VCPの位相にロックする。
これに対し、複素信号_VCPおよび_VUOが同一極性の周波数を持っていると、上記足し合わせた偏角は常に周波数を持ち、これを一定値に収束させることができない。そのため、この場合、帰還制御が働かず、複素信号_VUOの位相は複素信号_VCPに追従しない。
位相差演算部500では、この位相角のデータPA1およびPA2に基づいて、複素信号_VUOおよび_VLOの位相差が演算され、この演算結果より、複素信号_VCPおよび_VCNに含まれる所定極性の周波数を持つ信号成分同士の位相差に関する情報が取得される。
図8における‘P’および‘N’の記号は、周波数ωoの極性と角度θの極性との関係を表している。すなわち、正の周波数ωoにおいて角度θ(t)が反時計方向に廻るベクトルを正のベクトル(ωot+θ(t))、角度θ(t)が時計方向に廻るベクトルを負のベクトル(ωot−θ(t))と定義する。また、負の周波数−ωoにおいて角度θ(t)が時計方向に廻るベクトルを正のベクトル(−ωot−θ(t))、角度θ(t)が反時計方向に廻るベクトルを負のベクトル(−ωot+θ(t))と定義する。図8において、正のベクトルには‘P’、負のベクトルには‘N’の符号を付して示している。
これを言い換えると、周波数ωoと角度θの極性が等しいベクトルを正のベクトル‘P’、周波数ωoと角度θの極性が異なるベクトルを負のベクトル‘N’として表している。
ここで、図8(B)の‘Cosωot×Sinθ(t)’と図8(C)の‘Sinωot×Sinθ(t)’とを、正の周波数の信号成分にのみ注目して比較すると、‘Cosωot×Sinθ(t)’を時計方向に90°、すなわち−90°回転させることにより、これを‘Sinωot×Sinθ(t)’へ変換できることが分かる。
また、図8(B)の‘Cosωot×Sinθ(t)’と図8(C)の‘Sinωot×Sinθ(t)’とを、負の周波数の信号成分にのみ注目して比較すると、‘Cosωot×Sinθ(t)’を反時計方向に90°、すなわち90°回転させることにより、これを‘Sinωot×Sinθ(t)’へ変換できることが分かる。
この原理を用いて位相の変換を行うことにより、正周波数(もしくは負周波数)の信号成分については、1相励磁2相出力方式における角度検出信号(式(1)および(2))の位相関係を、2相励磁2相出力方式における角度検出信号(式(1)および(2))と同様な位相関係へ変換することが可能である。
角度検出信号VIに周波数−ω1の複素信号e−jω1tを乗算して得られる積_VIXは、元の角度検出信号VIに対して周波数が‘−ω1’だけシフトするものの、位相については変化しない。これに対し、角度検出信号VQに周波数−ω1の複素信号−j・e−jω1t(複素信号e−jω1tを−90°回転させた信号)を乗算して得られる積_VQXは、元の角度検出信号VQに対して周波数が‘−ω1’だけシフトし、かつ、位相が−90°回転する。
したがって、図10に示すように、積_VIXに対する積_VQXの位相角は、角度検出信号VIに対する角度検出信号VQの位相角に比べて−90°回転している。
図10の最下段に示す積_VQXと、図8(C)に示す‘Sinωot×Sinθ(t)’とを正周波数の信号成分のみについて比較すると、両者は等価になっていることが分かる。
図11の最下段の演算結果を見ると、積_VIXおよび_VQXの減算により得た複素信号_VCPと、積_VIXおよび_VQXの加算により得た複素信号_VCNとに含まれる同一周波数の信号成分同士は、‘2×θ’の位相差を有していることが分かる。
|ω0|≧ω1≧−|ω0|
の関係を満たすように周波数ω1が選ばれているものとする。この場合、複素信号_VCPおよび_VCNに含まれる同一極性の周波数の信号成分同士は、‘2×θ(t)’の位相差を有することになる。
式(36)および(37)の第2項目は、周波数2ωoの高周波成分であり、帰還部200−1のフィルタ作用によって減衰する。
先に述べたように、帰還部200−1,200−2が大きな直流利得を有している場合、帰還制御信号Vf1,Vf2は、式(36)および(37)の第1項がほぼゼロとなるような値に収束する。その結果、位相ロック部PLL1,PLL2では、‘φ(t)≒θ(t)’となるようにそれぞれ帰還制御が働く。
従来は、構造の簡単な1相励磁2相出力型のレゾルバにおいて、検出対象の角度θ(t)に追随するような位相ロックループを構成して角度θ(t)を求めていた。その場合、角度θ(t)は正負に極性反転したり、静止して直流値になる。そのため、位相ロックループに搭載するVCOは直流から動作が可能であるとともに、正負の値を表現できることが要求され、例えばバイポーラ(両極性)型VCOを用いる必要があった。また、VCOの出力信号を計数するカウンタには、アップダウンカウントの機能が必要であった。
したがって、本実施形態によれば、バイポーラVCOやアップダウン・カウンタなど、構成が複雑で規模が大きく、消費電力が大きい回路を削除することができる。
従来は、VCOからの位相出力φ(t)が角度θ(t)を追随するため、乗算器に入力するコサイン信号Cosφ(t)やサイン信号Sinφ(t)には高い分解能が要求される。例えば12ビットの角度分解能を得るためには、少なくともコサイン信号Cosφ(t)、サイン信号Sinφ(t)に11ビットの分解能が必要である。このことは、レゾルバが静止してコサイン信号Cosφ(t)およびサイン信号Sinφ(t)が一定値(直流)になったとき、直流信号に高い分解能が無い限り、高い角度分解能の位相追随が不可能であることからも直感的に明らかである。このように、従来は正確なコサイン信号Cosφ(t)やサイン信号Sinφ(t)を出力する必要があったために、波形データを格納する大容量のROMや高分解能のD/A変換器、オフセットの少ない乗算型D/A変換器などが必要とされていた。
したがって、本実施形態によれば、大容量のROMや高分解能のD/A変換器、乗算型D/A変換器など、構成が複雑で規模が大きく、消費電力が大きい回路を削除することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図14は、本発明の第2の実施形態に係る角度検出信号処理装置の構成の一例を示す図である。
図16の例において階段波は4値のレベルを有するが、これを例えば8値にまで増やした場合、最も低い高調波は15次となる。この場合のスペクトルは、正弦波を16倍の周期で標本化したものと等価である。後述するように、典型的には4値の階段波でも十分な精度を得ることができる。このような階段状の波形を持つ信号を以下では疑似正弦波と呼ぶ。
また、複素信号処理部100A−1と100A−2は同様な構成を有しているため、以下では複素信号処理部100A−1のみを説明する。
正弦波乗算部104および余弦波乗算部105において乗算される係数の基本波は、互いに直交している。例えば、正弦波乗算部104において乗算される係数の基本波は、カウンタデータPA1の正弦波に対応し、余弦波乗算部105において乗算される係数の基本波は、カウンタデータPA1の余弦波に対応する。
なお、正弦波乗算部104は、本発明の第4の演算部の一実施形態である。
余弦波乗算部105は、本発明の第5の演算部の一実施形態である。
加算部106は、本発明の第6の演算部の一実施形態である。
擬似正弦波を乗ずる場合、例えば、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1に基づいて、虚部成分VUO−Qのk分の1(kは正の4の倍数を示す。以下同じ。)周期ごとの瞬時値に応じた重み係数を、k分の1周期ごとに切り替えて複素信号_VCPの実部成分VCP−Iに掛け合わせる。
また、矩形波を乗ずる場合、例えば、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1に基づいて、虚部成分VUO−Qの半周期ごとのピーク値に応じた重み係数を、半周期ごとに切り替えて複素信号_VCPの実部成分VCP−Iに掛け合わせる。
擬似正弦波を乗ずる場合、例えば、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1に基づいて、実部成分VUO−Iのk分の1周期ごとの瞬時値に応じた重み係数を、k分の1周期ごとに切り替えて複素信号_VCPの虚部成分VCP−Qに掛け合わせる。
また、矩形波を乗ずる場合、例えば、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1に基づいて、実部成分VUO−Iの半周期ごとのピーク値に応じた重み係数を、半周期ごとに切り替えて複素信号_VCPの虚部成分VCP−Qに掛け合わせる。
図18に示す正弦波乗算部104は、乗算部MP1と、制御部CNT1とを有する。乗算部MP1は、n個の係数乗算回路M1〜Mnと、n個の係数選択スイッチSW1〜SWnと、極性選択スイッチSWpと、極性反転回路INVとを含む。
例えば、位相角データ生成部300−1において生成されるデータPA1のうち、最上位から所定ビット数のデータCB1を用いて、虚部成分VUO−Qのk分の1周期ごとの瞬時値に応じた重み係数がk分の1周期ごとに切り替えられるように、係数選択スイッチSW1〜SWn,SWpを制御する。
この場合、重み係数は+a1、−a1、+a2、−a2の4値である。
また、重み係数の時系列上の推移を示す波形mo(t)は、図20に図示するように、正弦波状の信号成分(VUO,VLO)をサンプリングして得られる波形になる。乗算回路の重み係数は、例えばこの図20に示すように、重み係数を切り替える時点における信号成分(VUO,VLO)のサンプリング値と等しくなるように選ばれる。
図21に示す乗算部MP1Aは、抵抗R1,…,R6と、係数選択スイッチSW3およびSW4と、極性選択スイッチSW5,…,SW8と、演算増幅器AMP1とを有する。
演算増幅器AMP1の負側出力端子は、出力端子Tout−に接続されるとともに、抵抗R6を介して負側入力端子IN−に接続される。
抵抗R1,R2 … 42.29kΩ;
抵抗R3,R4 … 62.15kΩ;
抵抗R5,R6 … 40kΩ;
逆に、極性選択スイッチSW7およびSW8をオン、極性選択スイッチSW5およびSW6をオフにしたとき、乗算部MP1Aの重み係数の極性は負に設定される。すなわち、出力信号S104は実部成分VCP−Iと反対の極性になる。
以上の動作から、スイッチS3〜8の制御は、例えば図22に示すように行われる。
乗算部MP2Aは、図21に示す乗算部MP1Aと同様な構成を有する。
制御部CNT1AおよびCNT2Aは、例えば図22に示すようなスイッチの制御を行うことにより、実部成分VCP−Iと虚部成分VUO−Qとの乗算、もしくは、虚部成分VCP−Iと実部成分VUO−Iとの乗算を実現する。
すなわち、加算回路1061は、乗算部MP1AおよびMP2Aの正側の出力信号同士を加算し、信号VUCの正側の信号として出力する。加算回路1062は、乗算部MP1AおよびMP2Aの負側の出力信号同士を加算し、信号VUCの負側の信号として出力する。
すなわち、重み係数は例えば抵抗値の比によって決定することができるため、よく考慮されたレイアウトを行えば0.1%程度の精度を得ることも可能である。
図21の回路においては、演算増幅器AMP1がオフセット電圧を発生する。仮に信号レベルを2Vとし、オフセット電圧を0.2mVとすれば、信号対オフセット電圧比は80dBとなる。これは、図36のギルバート型に代表される従来のアナログ乗算回路と比較すると2〜3桁程度も小さいオフセットである。0.2mVのオフセットの演算増幅器を実現するには、かなり注意深い回路設計とレイアウトを必要とするが、仮にもう少しオフセットが悪くても12ビットの分解能には間題ない。
角度θ(t)に追随して位相ロック動作が行われる場合、上述のような疑似正弦波による乗算を行うと、量子化歪みの影響により全くまともな動作をすることができない。角度θ(t)は軸が静止しているときには直流信号であるため、量子化歪み、即ち高調波歪みが直流の信号に重畳する。また、角度θ(t)がゆっくり動いていると、その周波数成分は非常に低いため、高調波が位相ロックループの帯域内に入ってきてやはり悪影響を与える。それは、図32に示す従来の装置においてコサイン信号Cosφ(t)とサイン信号Sinφ(t)を生成するD/A変換器の分解能が2〜3ビット程度しかない場合に全く機能しないことを考えると自明なことである。
本実施形態では、位相ロック部が周波数ωp(もしくは−ωn)だけオフセットをもって動作するため、いかなる動作条件においても高調波が常に位相ロックループの帯域外の高い周波数にしか存在しなくなり、ループに悪影響を与えなくなる。例えば4値の階段波形を持つ疑似正弦波では、最も低い高調波が7次になるため、ほとんどあらゆる場合において高調波の影響を考慮する必要がなくなる。
矩形波を乗ずる場合には、例えば図2(C)に示すように、入力のアナログ信号の極性を単に反転する機能だけの非常に簡易な構成で乗算回路を具現化できる。
ここでは簡単な例として、式(23),(24)に示す周波数変換の係数Kを‘0.5’、位相ロック部がロックする周波数を‘ωp’とし、式(21)に示す複素信号_VCPの周波数成分にのみ注目する。この場合、複素信号_VCPは、図24(A)に示されるように、正周波数の成分‘0.5ωot+θ(t)’と負周波数の成分‘−(1.5ωot−θ(t))’とを有している。ただし、図24に示す信号のスペクトルは、何れも信号の位相を考慮せずに周波数のみを表現している。
このとき、複素信号_VCPの成分‘−(1.5ωot−θ(t))’は、複素信号_VUOの成分‘−(0.5ωot+φ(t))’と乗算されることによって、図24(C)に示す‘−(2ωot−θ(t)+φ(t))’にシフトする。
θ(t)≒φ(t);
が成立するため、この成分は定常値として‘2ωot’であり、角度θ(t)とは無関係に2つの位相ロック部(PLL1、PLL2)に同じ揺らぎを与える。この揺らぎによる誤差は、位相差演算部500においてカウンタの計数値の差を求める際に同相モードとして打ち消しあう。
一方、それほど高い分解能が必要ない場合や、位相ロックループの帯域が狭くてよい場合には、矩形波による乗算回路も可能である。この場合は、回路構成を大幅に簡易化できる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図25は、本発明の第3の実施形態に係る角度検出信号処理装置の構成の一例を示す図である。
一方、レゾルバに供給する励磁信号は位相角‘ωot’であり、位相ロック部においてロックする位相角(ωp±θ(t)/−ωn±θ(t))に対して、例えば式(23),(24)に示すような一定の関係を有している。
そこで本実施形態に係る角度検出信号処理装置では、レゾルバに供給する励磁信号の位相角と位相ロック部においてロックする位相角とが一定の関係を有することを利用して、角度θ(t)の情報を取得する。
すなわち、信号処理部400Aは、複素信号_Vi1と角度検出信号VIとを乗じた積_VIXと、複素信号_Vi2と角度検出信号VQとを乗じた積_VIQとの差を複素信号_VCPとして出力する。
信号処理部400Aは、例えば図25に示すように、信号処理部400の構成要素のうち複素信号_VCPの生成に関わる構成要素として、乗算部401,…,404と、減算部405,406とを有する。図25に示すこれらの構成要素は、図1に示す同一符号の構成要素と同じである。
位相角‘−ωpt’は、式(23)を参照すると、位相角‘ωot’との間に、
−ωpt=−Kωot;
という関係を有する。
また、同じ式(23)を参照すると、位相角‘ωpt’は位相角‘−ω1t’および ‘−ω1t−π/2’との間に、
−ωpt=−(ωo−ω1)t=−{K/(1−K)}ω1t;
という関係を有する。
データPA1が位相角‘−ωpt−θ(t)’を示し、データPA3が位相角‘−ωpt’を示すことから、両者が示す位相角の差は‘θ(t)’となる。そのため、位相差演算部500の演算結果は角度θ(t)に応じた値となる。
位相角‘ωnt’は、式(24)を参照すると、位相角‘ωot’との間に、
ωnt=(2−K)ωot;
という関係を有する。
また、同じ式(24)を参照すると、位相角‘ωnt’は位相角‘−ω1t’および ‘−ω1t−π/2’との間に、
ωnt=(ωo+ω1)t={(2−K)/(1−K)}ω1t;
という関係を有する。
データPA1が位相角‘ωnt−θ(t)’を示し、データPA3が位相角‘ωnt’を示すことから、両者が示す位相角の差は‘θ(t)’となる。そのため、位相差演算部500の演算結果は角度θ(t)に応じた値となる。
図26の例において、位相角データ生成部800は、発振器801とカウンタ802とを有する。
カウンタ802は、nビットの計数値を出力するカウンタであり、発振器801から出力される周波数2n−1・ωoの信号をn分周して周波数0.5ωoの信号を生成する。カウンタ802のnビットの計数値は、周波数0.5ωoの信号の位相角を示すデータPA3として位相差演算部500に出力される。
信号発生部900では、カウンタ802から供給される位相角のデータに基づいて、励磁信号VE(=Cosωot)が生成される。
信号発生部1000では、カウンタ802から供給される位相角のデータに基づいて、複素信号_Vi1の実部および複素信号_Vi2の虚部に対応する信号成分Cos(0.5ωot)、ならびに、複素信号_Vi1の虚部および複素信号_Vi2の実部に対応する信号成分Sin(0.5ωot)が生成される。
図27の例において、位相角データ生成部800は、発振器801とカウンタ802とを有する。
カウンタ802は、nビットの計数値を出力するカウンタであり、発振器801から出力される周波数2n+1・ωoの信号をn分周して周波数2ωoの信号を生成する。カウンタ802のnビットの計数値は、周波数2ωoの信号の位相角を示すデータPA3として位相差演算部500に出力される。
信号発生部900では、カウンタ802から供給される位相角のデータに基づいて、励磁信号VE(=Cosωot)が生成される。
信号発生部1000では、カウンタ802から供給される位相角のデータに基づいて、複素信号_Vi1の実部および複素信号_Vi2の虚部に対応する信号成分Cos(−ωot)、ならびに、複素信号_Vi1の虚部および複素信号_Vi2の実部に対応する信号成分Sin(−ωot)が生成される。
Claims (16)
- 第1の周波数を有する余弦関数の信号の振幅が第1の角度を有する余弦関数の信号によって変調された第1の角度検出信号と、上記第1の周波数を有する余弦関数の信号の振幅が上記第1の角度を有する正弦関数の信号によって変調された第2の角度検出信号とを含んだレゾルバの検出出力に基づいて、上記第1の角度の情報を取得する角度検出信号処理装置であって、
第2の周波数を有する複素信号である第1の入力信号と上記第1の角度検出信号とを乗じた第1の積と、上記第2の周波数を有する複素信号であって上記第1の入力信号と直交する第2の入力信号と上記第2の角度検出信号とを乗じた第2の積との和に応じた第1の信号、ならびに、上記第1の積と上記第2の積との差に応じた第2の信号を出力する信号処理部と、
前記第1の角度に対して所定の周波数オフセットを有する所定の位相角に追随するように、上記第1の信号に含まれる第1の極性の周波数を持つ信号成分に位相がロックされた第1の位相ロック信号の位相角を示す第1のデータを出力する第1の位相ロック部と、
前記第1の角度に対して所定の周波数オフセットを有する所定の位相角に追随するように、上記第2の信号に含まれる上記第1の極性の周波数を持つ信号成分に位相がロックされた第2の位相ロック信号の位相角を示す第2のデータを出力する第2の位相ロック部と、
上記第1のデータが示す位相角と上記第2のデータが示す位相角との差を演算する位相差演算部と、
を有する角度検出信号処理装置。 - 上記第1の位相ロック部および上記第2の位相ロック部は、
入力される帰還制御信号に応じた周期で反復されるデータであって、当該周期内の位相角を示すデータを、上記第1のデータもしくは上記第2のデータとして生成する位相角データ生成部と、
上記第1の信号もしくは上記第2の信号である第1の複素信号と、上記位相角データ生成部において生成されるデータに応じた前記所定の位相角を有し互いに直交する第1信号成分および第2信号成分を含み、周波数が上記第1の極性と反対の極性に設定される第2の複素信号とを乗算した場合に得られる複素信号の偏角に応じた信号を生成する複素信号処理部と、
上記複素信号処理部において生成される信号に応じて、上記偏角が一定値に収束するように帰還制御を働かせる上記帰還制御信号を生成する帰還部と、
をそれぞれ有する、
請求項1に記載の角度検出信号処理装置。 - 上記位相角データ生成部は、
入力される帰還制御信号に応じた周波数を有する信号を生成する信号生成部と、
上記信号生成部において生成される信号を分周するカウンタと、
を有し、上記カウンタの計数値を上記第1のデータもしくは上記第2のデータとして出力する、
請求項2に記載の角度検出信号処理装置。 - 上記複素信号処理部は、上記偏角に応じた信号として、上記第1の複素信号と上記第2の複素信号とを乗算した場合に得られる複素信号の実部成分または虚部成分に応じた信号を生成し、
上記帰還部は、上記複素信号処理部において生成される信号が一定値に収束するように帰還制御を働かせる上記帰還制御信号を生成する、
請求項2に記載の角度検出信号処理装置。 - 上記複素信号処理部は、
上記位相角データ生成部において生成されるデータに応じた位相角を有し互いに直交する上記第1信号成分および上記第2信号成分をそれぞれ生成する複素信号生成部と、
上記複素信号生成部において生成される上記第1信号成分と上記第1の複素信号の実部成分とを掛け合わせる第1の演算部と、
上記複素信号生成部において生成される上記第2信号成分と上記第1の複素信号の虚部成分とを掛け合わせる第2の演算部と、
上記第1の演算部および上記第2の演算部の演算結果の和を演算する第3の演算部と、
を有する、
請求項4に記載の角度検出信号処理装置。 - 上記複素信号処理部は、
1周期を区分する複数の角度範囲の間で、上記位相角データ生成部のデータが示す位相角が別の角度範囲に移る場合、複数の重み係数の中から、当該移動先の角度範囲における所定の位相角での上記第1信号成分の瞬時値に応じた重み係数を選択して、上記第1の複素信号の実部成分に掛け合わせる第4の演算部と、
1周期を区分する複数の角度範囲の間で、上記位相角データ生成部のデータが示す位相角が別の角度範囲に移る場合、複数の重み係数の中から、当該移動先の角度範囲における所定の位相角での上記第2信号成分の瞬時値に応じた重み係数を選択して、上記第1の複素信号の虚部成分に掛け合わせる第5の演算部と、
上記第4の演算部および上記第5の演算部の演算結果の和もしくは差を演算する第6の演算部と、
を有する、
請求項4に記載の角度検出信号処理装置。 - 上記第4の演算部は、上記位相角データ生成部において生成されるデータに基づいて、上記第1信号成分のk分の1(kは正の4の倍数を示す)周期ごとの瞬時値に応じた重み係数を、k分の1周期ごとに切り替えて上記第1の複素信号の実部成分に掛け合わせ、
上記第5の演算部は、上記位相角データ生成部において生成されるデータに基づいて、上記第2信号成分のk分の1周期ごとの瞬時値に応じた重み係数を、k分の1周期ごとに切り替えて上記第1の複素信号の虚部成分に掛け合わせる、
請求項6に記載の角度検出信号処理装置。 - 上記第4の演算部は、上記位相角データ生成部において生成されるデータに基づいて、上記第1信号成分の半周期ごとのピーク値に応じた重み係数を、半周期ごとに切り替えて上記第1の複素信号の実部成分に掛け合わせ、
上記第5の演算部は、上記位相角データ生成部において生成されるデータに基づいて、上記第2信号成分の半周期ごとのピーク値に応じた重み係数を、半周期ごとに切り替えて上記第1の複素信号の虚部成分に掛け合わせる、
請求項6に記載の角度検出信号処理装置。 - 第1の周波数を有する余弦関数の信号の振幅が第1の角度を有する余弦関数の信号によって変調された第1の角度検出信号と、上記第1の周波数を有する余弦関数の信号の振幅が上記第1の角度を有する正弦関数の信号によって変調された第2の角度検出信号とを含んだレゾルバの検出出力に基づいて、上記第1の角度の情報を取得する角度検出信号処理装置であって、
第2の周波数を有する複素信号である第1の入力信号と上記第1の角度検出信号とを乗じた第1の積と、上記第2の周波数を有する複素信号であって上記第1の入力信号と直交する第2の入力信号と上記第2の角度検出信号とを乗じた第2の積との和または差に応じた信号を出力する信号処理部と、
上記第1の周波数と上記第2の周波数との和または差に応じた大きさを持つ角周波数を有し、レゾルバに供給される上記第1の周波数を有する励磁信号の位相角、ならびに、上記第1の入力信号および上記第2の入力信号の位相角と所定の関係を有する位相角を示す第1のデータを生成する第1の位相角データ生成部と、
前記第1の角度に対して所定の周波数オフセットを有する所定の位相角に追随するように、上記信号処理部の出力信号に含まれる第1の極性の周波数を持つ信号成分に位相がロックされた位相ロック信号の位相角を示す第2のデータを出力する位相ロック部と、
上記第1のデータが示す位相角と上記第2のデータが示す位相角との差を演算する位相差演算部と、
を有する角度検出信号処理装置。 - 上記第1の位相角データ生成部は、
所定の周波数の信号を生成する第1の信号生成部と、
上記第1の信号生成部において生成された信号を分周する第1のカウンタと、
を有し、上記第1のカウンタの計数値を上記第1のデータとして出力する、
請求項9に記載の角度検出信号処理装置。 - 上記第1のカウンタの計数値に応じて上記励磁信号を発生する第1の信号発生部と、
上記第1のカウンタの計数値に応じて上記第1の入力信号および上記第2の入力信号を発生する第2の信号発生部とを有する、
請求項10に記載の角度検出信号処理装置。 - 上記位相ロック部は、
入力される帰還制御信号に応じた周期で反復されるデータであって、当該周期内の位相角を示すデータを上記第2のデータとして生成する第2の位相角データ生成部と、
上記信号処理部の出力信号である第1の複素信号と、上記第2の位相角データ生成部において生成される上記第2のデータに応じた前記所定の位相角を有し互いに直交する第1信号成分および第2信号成分を含み、周波数が上記第1の極性と反対の極性に設定される第2の複素信号とを乗算した場合に得られる複素信号の偏角に応じた信号を生成する複素信号処理部と、
上記複素信号処理部において生成される信号に応じて、上記偏角が一定値に収束するように帰還制御を働かせる上記帰還制御信号を生成する帰還部と、
を有する、
請求項9に記載の角度検出信号処理装置。 - 上記第2の位相角データ生成部は、
入力される帰還制御信号に応じた周波数を有する信号を生成する第2の信号生成部と、
上記第2の信号生成部において生成される信号を分周する第2のカウンタと、
を有し、上記第2のカウンタの計数値を上記第2のデータとして出力する、
請求項12に記載の角度検出信号処理装置。 - 上記複素信号処理部は、上記偏角に応じた信号として、上記第1の複素信号と上記第2の複素信号とを乗算した場合に得られる複素信号の実部成分または虚部成分に応じた信号を生成し、
上記帰還部は、上記複素信号処理部において生成される信号が一定値に収束するように帰還制御を働かせる上記帰還制御信号を生成する、
請求項12に記載の角度検出信号処理装置。 - 上記複素信号処理部は、
上記第2の位相角データ生成部において生成されるデータに応じた位相角を有し互いに直交する上記第1信号成分および上記第2信号成分をそれぞれ生成する複素信号生成部と、
上記複素信号生成部において生成される上記第1信号成分と上記第1の複素信号の実部成分とを掛け合わせる第1の演算部と、
上記複素信号生成部において生成される上記第2信号成分と上記第1の複素信号の虚部成分とを掛け合わせる第2の演算部と、
上記第1の演算部および上記第2の演算部の演算結果の和を演算する第3の演算部と、
を有する、
請求項14に記載の角度検出信号処理装置。 - 上記複素信号処理部は、
1周期を区分する複数の角度範囲の間で、上記第2の位相角データ生成部のデータが示す位相角が別の角度範囲に移る場合、複数の重み係数の中から、当該移動先の角度範囲における所定の位相角での上記第1信号成分の瞬時値に応じた重み係数を選択して、上記第1の複素信号の実部成分に掛け合わせる第4の演算部と、
1周期を区分する複数の角度範囲の間で、上記第2の位相角データ生成部のデータが示す位相角が別の角度範囲に移る場合、複数の重み係数の中から、当該移動先の角度範囲における所定の位相角での上記第2信号成分の瞬時値に応じた重み係数を選択して、上記第1の複素信号の虚部成分に掛け合わせる第5の演算部と、
上記第4の演算部および上記第5の演算部の演算結果の和もしくは差を演算する第6の演算部と、
を有する、
請求項14に記載の角度検出信号処理装置。
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