JP6153002B2 - 分配器、合成器、並びに分配器及び合成器を備えた電子装置 - Google Patents

分配器、合成器、並びに分配器及び合成器を備えた電子装置 Download PDF

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Description

本発明は、分配器、合成器、並びに分配器及び合成器を備えた電子装置に関する。
高周波信号の増幅回路では、入力信号を分配器により分割し、並列に配置された複数のFET(Field Effect Transistor)にて増幅した後、再び合成器により合成することで、増幅された入力信号を得ることのできる構成が知られている。また、信号の分配・合成の過程で生じる信号の位相分散を抑制するために、FETを一方向だけでなくこれと直交する方向にも配置し、FETの配列方向のチップ長さを低減した構成が知られている(例えば、特許文献1を参照)
特開平3−289701号公報
上記のようにFETを並列に配置すると、FETの配列方向におけるチップの長さが増大し、それに合わせて分配器及び合成器における同方向の長さも増大するため、信号の位相分散が生じやすくなってしまう。その結果、位相差により合成信号に損失が生じ、出力が小さくなってしまうという課題がある。特許文献1の方法では、FETの配列方向におけるチップ長さを抑制することで、位相分散を一定程度抑制することが可能であるが、当該方法でも位相差を低減するには不十分な場合があった。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、位相分散による合成信号の損失を低減することのできる分配器、合成器、並びに当該分配器及び合成器を備えた電子装置を提供することを目的とする。
本発明は、第1伝送線路に接続される基部と、前記基部から2つに分岐し、それぞれが複数の第2伝送線路に接続される分岐部と、を備え、前記分岐部には、前記基部及び前記第2伝送線路と接続されていない辺のうち外側の辺から、内側に向かう切り込み部が形成されていることを特徴とする分配器または合成器である。
上記構成において、前記切り込み部は、前記分岐部のそれぞれに形成されている構成とすることができる。
上記構成において、前記第1伝送線路から伝送される信号の周波数をλ、前記切り込み部の切り込み深さをa、前記切り込み部の開口部の長さをb、前記分岐部のうち前記第2伝送線路と接続される辺から前記切り込み部の形成位置までの距離をcとした場合に、λ/40≦a、b、c≦3λ/40の関係をそれぞれ充足する構成とすることができる。
上記構成において、前記切り込み部の平面形状は、矩形である構成とすることができる。
上記構成において、前記切り込み部の平面形状は、三角形である構成とすることができる。
上記構成において、前記切り込み部の平面形状は、略半円形である構成とすることができる。
上記構成において、前記基部の平面形状は、略半円形である構成とすることができる。
上記構成において、前記基部の平面形状は、略台形である構成とすることができる。
上記構成において、前記基部の平面形状は、矩形である構成とすることができる。
本発明は、入力伝送線路に接続される分配器と、出力伝送線路に接続される合成器と、前記分配器及び前記合成器の間に接続され、増幅用の複数のトランジスタを含む半導体チップと、を備え、前記分配器及び前記合成器の少なくとも一方は、前記入力伝送線路または前記出力伝送線路に接続される基部と、前記基部から2つに分岐し、それぞれが前記半導体チップと接続された複数の中間伝送線路に接続される分岐部と、を備え、前記分岐部には、前記基部及び前記中間伝送線路と接続されていない辺のうち外側の辺から、内側に向かう切り込み部が形成されていることを特徴とする電子装置である。
上記構成において、前記切り込み部は、前記分岐部のそれぞれに形成されている構成とすることができる。
上記構成において、前記分配器及び前記半導体チップ間、並びに前記合成器及び前記半導体チップ間のうち、少なくとも一方の間に接続された整合回路を有する構成とすることができる。
上記構成において、前記整合回路は、前記複数の中間伝送線路のそれぞれに対応して形成されたキャパシタを含む基板と、前記基板及び前記半導体チップ間に形成されたボンディングワイヤを含む構成とすることができる。
本発明に係る分配器、合成器、及び電子装置によれば、位相分散による合成信号の損失を低減することができる。
実施例1に係る電子装置の外観斜視図である。 実施例1に係る電子装置の上面図である。 位相分散による合成信号の損失を説明するための図である。 第1比較例に係る分配器の上面模式図である。 第1比較例に係る分配器のシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例1に係る分配器の上面模式図である。 実施例1に係る分配器のシミュレーション結果を示すグラフである。 第2比較例に係る分配器の上面模式図である。 第2比較例に係る分配器のシミュレーション結果を示すグラフである。 切り込み部の切り込み深さを変化させた場合の位相の変化を示すグラフである。 切り込み部の切り込み長さを変化させた場合の位相の変化を示すグラフである。 切り込み部の切り込み位置を変化させた場合の位相の変化を示すグラフである。 実施例2に係る分配器の上面模式図である。 実施例2に係る分配器のシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例3に係る分配器の上面模式図である。 実施例3に係る分配器のシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例3に係る分配器の上面模式図である。 実施例3の変形例に係る分配器の上面模式図である。
図1は、実施例1に係る電子装置の外観斜視図である。電子装置100は、高周波回路の増幅器10を含む装置である。増幅器10は、筐体12に内蔵されており、図1は筐体12を透視した図となっている。増幅器10は、入力伝送線路(不図示)と接続された分配器14と、出力伝送線路(不図示)と接続された合成器16とを有する。分配器14と合成器16との間には、増幅用のFET(不図示)が内蔵された半導体チップ18が設けられている。分配器14及び半導体チップ18、合成器16及び半導体チップ18は、それぞれ複数のボンディングワイヤ19により接続されている。
図2は、図1に示す増幅器10の上面模式図である。分配器14及び合成器16は、それぞれ中央に凹部を有する略U字形状となっている。分配器14は入力伝送線路20に、合成器16は出力伝送線路22に、それぞれ接続されている。分配器14のうち、入力伝送線路20が接続された側と反対側には、複数のボンディングワイヤ19aが接続されている。同様に、合成器16のうち、出力伝送線路22が接続された側と反対側には、複数のボンディングワイヤ19bが接続されている。
合成器16側にある複数のボンディングワイヤ19bは、半導体チップ18に接続されている。半導体チップ18内には、複数の増幅用のFET24が並列(縦方向)に配列されており、それぞれのFET24が各ボンディングワイヤ19bと接続された構成となっている。また、図1では図示を省略したが、半導体チップ18と分配器14との間には、キャパシタ基板26が接続されている。キャパシタ基板26には、ボンディングワイヤ19a及び19cが接続される第1の金属層と、これと対向して接地された第2の金属層とで、キャパシタ28が形成されている。半導体チップ18内の複数のFET24と、キャパシタ基板26のキャパシタ28とは、複数のボンディングワイヤ19cのそれぞれにより接続されている。
入力伝送線路20から入力された信号は、分配器14において複数の伝送線路へと分配される。そして、各伝送線路上の信号は、半導体チップ18内のFET24により増幅された後、合成器16へと出力される。合成器16では、増幅済みの各信号を1つに合成し、出力伝送線路22を介して出力する。これにより、増幅器10では、高周波信号の増幅を行うことができる。
なお、図中の符号30aで示す半導体チップ18の前段部分には、回路に直列に接続されたインダクタ(L)としてのボンディングワイヤ19a及び19bと、2つのインダクタの間のノードを接地するキャパシタ28(C)とにより、整合回路30aが形成されている。また、符号30bで示す半導体チップ18の後段部分には、回路に直列に接続されたインダクタ(L)としてのボンディングワイヤ19cにより、整合回路30bが形成されている。このように、実施例1に係る増幅器10は、分配器14と合成器16との間に整合回路30を備える構成としてもよいし、当該整合回路30を備えない構成としてもよい。また、整合回路の構成についても、上記の例以外のものを用いてもよい。
ここで、FET24を並列に配置することで半導体チップ18の縦方向のサイズ(y)が大きくなると、分配器14の縦方向のサイズ(w)もこれに伴い大きくなる。その結果、分配された信号の間で位相分散(Δφ)が生じてしまう場合がある。合成器16においても、半導体チップ18の縦方向のサイズ(y)の拡大に伴い、同様の位相分散の問題が生じうる。
図3は、位相分散による合成信号の損失を説明するための図である。図3(a)は位相分散がない状態を、図3(b)は位相分散がある状態をそれぞれ示す。ここでは、2つの信号(OQ、OR)を1つの信号(OP)に合成する例について説明する。2つの信号の合成信号(OP)は、各信号のベクトルの和(OQ+OR)で表される。
図3(a)の場合、2つの信号(OQ、OR)の位相は揃っているため、両者の合成信号(OP)の絶対値は、各信号の絶対値の合計と等しくなっており、信号の損失は生じていない。これに対し、図3(b)の場合、2つの信号(OQ、OR)の位相にはΔφの開きがある。このため、両者の合成信号(OP)の絶対値は、各信号の絶対値の合計より小さくなり、信号の損失が生じている。このように、分配器14または合成器16において位相分散が生じると、合成信号に損失が生じてしまう。
ここで、電磁シミュレーターを用いたシミュレーションの結果、位相分散の発生には、分配器14及び合成器16の形状が大きく関係していることが判明した。以下、当該シミュレーションから得られた各種知見について説明する。
図4は、シミュレーションに用いた第1比較例に係る分配器の上面模式図である。分配器14は、略U字形状を有する分配器であり、U字の底部側に入力端子40が、反対側に出力端子44が、それぞれ形成されている。入力端子40と分配器14との間には第1伝送線路42が、出力端子44と分配器14との間には第2伝送線路46が、それぞれ接続されている。本シミュレーションでは、計算上の便宜のため、図2のボンディングワイヤ19aに代わる構成として第2伝送線路46を採用した。
本シミュレーションでは、入力端子40の数を1とし、これに1の番号を付した。また、出力端子44の数を10とし、これらに2〜11の番号を付した。分配器14は、入力端子40から出力端子44に至る途中で2つに分岐しており、一方の分岐には番号2〜6の出力端子44が、他方の分岐には番号7〜11の出力端子44が、それぞれ接続されている。
本シミュレーションでは、分配器14の縦方向の長さ(A)は1360μm、U字の分岐の先端部分(第2伝送線路46が接続される部分)の長さ(B)は各640μmとした。また、第2伝送線路46の長さ(C)は530μm、分配器14の横方向の長さ(D)は1200μm、第1伝送線路42の幅(E)は440μmとした。また、分配器に用いる基板は、比誘電率39、厚み200μmとして計算した。
図5は、第1比較例に係る分配器のシミュレーション結果を示すグラフである。グラフの横軸は周波数を示し、左側の縦軸は信号出力のマグニチュード[dB]を、右側の縦軸は信号の位相[°]をそれぞれ示す。本グラフでは、出力端子44のうち番号が7〜11の信号については不図示とし、出力端子44のうち番号が2〜6の端子と入力端子40(番号1)の間の信号のみを図示している。比較例に係る分配器14は左右対称のU字形状となっており、2つの分岐先である番号2〜6の信号と番号7〜11の信号の性質は、互いに変わらないと考えられるためである。信号のうち、例えば「S21」と表記したものは、端子番号が1番(入力端子40)と2番(出力端子44)との間の信号を示したものであり、以下出力端子44の番号が変わった場合も同様の表記とする。
図5に示すように、信号S11(入力端子40から入力され、第1伝送線路42の端部で反射される信号)のマグニチュードは、周波数が10GHz〜12GHzの付近で大きく落ち込んでおり、リターンロスが最小化されている。一方、信号S21(入力端子40から入力され、出力端子44のうち番号2の端子に出力される信号)のマグニチュードは、周波数10GHz〜12GHzの付近で約−10dBとなっている。これは、分配器14が、10GHz〜12GHzの周波数帯の信号を通過させることを示している。本比較例では出力端子44の数が10であるため、分配後の信号のマグニチュードは約10分の1(−10dB)となっている。
また、図5に示すように、出力端子44のうち最も外側に位置する端子(番号2)との間の信号(S21)は、出力端子44のうち最も内側に位置する端子(番号6)との間の信号(S61)に比べ、位相遅延が小さいことが分かる。また、その他の端子(番号3〜5)との間の信号の位相は、上記2つの信号の位相の間にあり、内側(番号5)から外側(番号3)に向かうにつれて位相遅延が小さくなる傾向にあった。このように、第1比較例に係る分配器では、信号の位相分散が生じている。その結果、図3(b)に示すような信号合成の際の損失が生じうる。
図6は、実施例1に係る分配器の上面模式図である。分配器14は、比較例と同様に略U字形状を有する分配器であり、U字の底部側に入力端子40が、反対側に出力端子44が、それぞれ形成されている。入力端子40と分配器14との間には第1伝送線路42が、出力端子44と分配器14との間には第2伝送線路46が、それぞれ接続されている。本シミュレーションにおいても、計算上の便宜のため、図2のボンディングワイヤ19aに代わる構成として第2伝送線路46を採用した。
ここで、分配器14のうち、第1伝送線路42が接続される側を基部50と称し、当該基部50から分岐して第2伝送線路46に接続される側を分岐部52と称することとする。分岐部52は、U字形状の中央に形成された凹部54の長さにより、その範囲が決定されている。
実施例1に係る分配器14では、第1比較例と異なり、分岐部52に切り込み部60が形成されている。切り込み部60は、分岐部52において、基部50及び第2伝送線路46に接続された辺を除く辺のうち、外側の辺から内側に向かって形成されている。実施例1では、切り込み部60の形状は矩形状となっており、切り込み深さをa、開口部の長さをb、切り込みの形成位置(分岐部52のうち、第2伝送線路46と接続された辺から切り込み部60の形成位置までの距離)をcとして、それぞれ図示している。
本シミュレーションにおいても、第1比較例と同様に、入力端子40の数を1とし、これに1の番号を付した。また、出力端子44の数を10とし、これらに2〜11の番号を付した。分配器14における分岐部52のうち、一方の分岐には番号2〜6の出力端子44を、他方の分岐には番号7〜11の出力端子44を、それぞれ接続した。
本シミュレーションにおいても、第1比較例と同様に、分配器14の縦方向の長さ(A)は1360μm、U字の分岐の先端部分(第2伝送線路46が接続される部分)の長さ(B)は各640μmとした。また、第2伝送線路46の長さ(C)は530μm、分配器14の横方向の長さ(D)は1200μm、第1伝送線路42の幅(E)は440μmとした。
図7は、実施例1に係る分配器のシミュレーション結果を示すグラフである。図5と同様に、グラフの横軸は周波数を示し、左側の縦軸は信号の大きさであるマグニチュード[dB]を、右側の縦軸は信号の位相[°]をそれぞれ示す。また、出力端子44のうち番号が7〜11の信号については不図示とし、出力端子44のうち番号が2〜6の端子と入力端子40(番号1)の間の信号のみを、信号S21〜S61として図示している。
図7に示すように、信号S11(入力端子40から入力され、第1伝送線路42の端部で反射される信号)のマグニチュードは、周波数が10GHz〜12GHzの付近で大きく落ち込んでいる。一方、信号S21(入力端子40から入力され、出力端子44のうち番号2の端子に出力される信号)のマグニチュードは、周波数10GHz〜12GHzの付近で約−10dBとなっている。これは、分配器14が、第1比較例と同様に、10GHz〜12GHzの周波数帯の信号を通過させることを示している。実施例1では出力端子44の数が10であるため、分配後の信号のマグニチュードは約10分の1(−10dB)となっている。
また、図7に示すように、実施例1では、出力端子44のうち最も外側に位置する端子(番号2)との間の信号(S21)と、出力端子44のうち最も内側に位置する端子(番号6)との間の信号(S61)とを比較した場合に、位相遅延の差がほとんど生じていないことが分かる。このため、実施例1に係る分配器では、信号の位相分散が抑制され、図3(b)に示すような信号合成の際の損失も抑制されることとなる。
図5及び図7のシミュレーション結果から判明した点は、以下の通りである。まず、分配器14において信号を分配する場合、分岐部52の最も外側を通る信号(S21)の位相遅延が最も小さくなり、最も内側を通る信号(S61)の位相遅延が最も大きくなる。一見すると、最も内側を通る信号(S61)の方が、入力端子40から出力端子44までの到達距離が短いため、位相が早くなる(位相遅延が小さくなる)とも考えられるが、実際には上記の通り逆の結果となっている。これは、例えば川の流れと同様に、分岐部52の外側の方が信号の流れが速く、内側の方が信号の流れが遅いためではないかと推測されるが、正確な要因は不明である。
そこで、実施例1では、上記のうち分岐部52の外側を通る信号(S21)の流れを妨げるために、分岐部52の一部に切り込み部60を設けた。これにより、分岐部52の外側を通る信号は、分岐部52の周囲を迂回しないと出力端子44に到達することができないため、その伝送距離が増大する。このため、外側の信号(S21)の位相遅延が大きくなり、元々位相遅延が大きかった内側の信号(S61)の位相に近づく。その結果、図7のように、内側と外側の信号で、ほとんど位相分散が生じない結果になった。
以上のように、実施例1に係る分配器14によれば、分岐部52の外側に切り込み部60を設けることにより、第1比較例に比べ、信号の位相遅延差に基づく位相分散を抑制することができる。その結果、信号合成の際の損失を低減することが可能となる。
上記切り込み部60は、形成箇所によりその効果が異なる。以下、この点について説明する。
図8は、第2比較例に係る分配器の上面模式図である。第2比較例では、切り込み部60が、分岐部52ではなく、基部50における第1伝送路42付近に形成されている。
図9は、第2比較例に係る分配器のシミュレーション結果を示すグラフである。図示するように、第2比較例では、第1比較例(図5)の場合と同じように、分配器14の外側を通る信号(S21)の位相遅延が、内側を通る信号(S61)の位相遅延より小さくなっており、信号間で位相分散が生じていることが分かる。この場合、 図3(b)に示すように、信号合成の際の損失が生じうる。従って、切り込み部60は、基部50に形成したとしてもあまり効果はなく、実施例1(図6)のように分岐部52に形成することが好ましい。
次に、位相分散を抑制するために好ましいと考えられる、切り込み部60の各パラメータについて説明する。切り込み部60のパラメータとしては、図6で説明したように、切り込み深さ(a)、開口部の長さ(b)、切り込みの形成位置(c)がある。
図10〜図12は、切り込み部60の各パラメータ(a、b、c)を様々に変化させたシミュレーション結果を示すグラフである。横軸は各パラメータの値を、縦軸は信号の位相[°]をそれぞれ示し、最も外側(S21)と最も内側(S61)の信号についてのみ図示する。
図10は、開口部の長さb及び切り込みの形成位置cをそれぞれ200μm、信号の周波数を12GHzで固定し、切り込み深さaを0〜300μmの範囲で変化させたものである。この場合、図示するように、a=100μm付近でS21とS61の位相遅延が一致した。
図11は、切込み深さaを150μm、切り込みの形成位置cを200μm、信号の周波数を12GHzで固定し、開口部の長さbを60〜400μmの範囲で変化させたものである。この場合、図示するように、b=210μm付近でS21とS61の位相遅延が一致した。
図12は、 切込み深さaを150μm、 開口部の長さbを200μm、信号の周波数を12GHzで固定し、切り込みの形成位置cを0〜300μmの範囲で変化させたものである。この場合、図示するように、c=180μm付近でS21とS61の位相遅延が一致した。
以上のように、実施例1に係る分配器14(図6)を用いた場合、各パラメータa〜cについて、0μm〜300μmの範囲で、外側の信号(S21)と内側の信号(S61)が一致する条件を確定することができる。これを信号の波長(λ)で規格化すると、各パラメータa、b、cの値は、「λ/40≦a、b、c≦3λ/40」の関係を充足することが好ましい。
実施例2は、切り込み部の形状を様々に変化させた例である。
図13は、実施例2に係る分配器の構成を示す上面模式図である。実施例1と同様に、分配器14全体の形状は略U字形であり、基部50と分岐部52に分かれている。分岐部52には切り込み部60が形成されているが、その形状は略三角形となっている。実施例2では、切り込み深さa(開口部から三角形の頂点までの距離)の値を250μm、開口部の長さbの値を200μm、切り込みの形成位置cの値を200μmとした。
図14は、実施例2の分配器に係るシミュレーション結果を示すグラフであり、実施例1の図7に対応するものである。図示するように、分岐部52の最も外側を通る信号(S21)と、最も内側を通る信号(S61)とで、位相遅延がほぼ同じになっており、他の信号(S31〜S51)についても位相遅延が揃っている。このように、実施例2に係る分配器14のような三角形の切り込み形状でも、実施例1と同様に信号の位相分散を抑制し、合成信号の損失を低減することができる。これは、三角形状の切り込み部60を分岐部52に形成することで、実施例1と同様に、分岐部52の外側を通る信号の伝送距離が増加し、位相遅延が大きくなり、内側の信号と位相が揃ったためと考えられる。
図15は、実施例2の変形例に係る分配器の構成を示す図である。図13と異なり、切り込み部60の形状は略半円形となっている。本変形例では、切り込み深さa(開口部から半円の最も深い位置までの距離)の値を180μm、開口部の長さbの値を200μm、切り込みの形成位置cの値を200μmとした。
図16は、上記変形例に係るシミュレーション結果を示すグラフである。図示するように、分岐部52の最も外側を通る信号(S21)と、最も内側を通る信号(S61)とで、位相遅延がほぼ同じになっており、他の信号(S31〜S51)についても位相遅延が揃っている。このように、本変形例のような略半円形の切り込み形状でも、実施例1及び2と同様に信号の位相分散を抑制し、合成信号の損失を低減することができる。これは、略半円形状の切り込み部60を分岐部52に形成することで、分岐部52の外側を通る信号の伝送距離が増加し、位相遅延が大きくなり、内側の信号と位相が揃ったためと考えられる。
実施例3は、分配器の形状を様々に変更した例である。
図17は、実施例3に係る分配器の上面模式図である。実施例1〜2と共通の部材については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。実施例1〜2では、図6のように基部50の形状が略半円形で、分配器14全体の形状は略U字形状となっていたが、実施例3では図17のように、分配器14のうち基部50の形状が略台形状となっている。その結果、第1伝送路42側から分岐部に向かう基部50の外周部分は、実施例1〜2とは異なり直線となっている。
実施例3に係る分配器14においても、実施例1〜2と同様に、分岐部52の外側に切り込み部60が形成されている。これにより、実施例1〜2の場合と同様に、信号間の位相分散を抑制し、合成信号の損失を低減することができる。
図18は、実施例3の変形例に係る分配器の上面模式図である。本変形例では、基部50の形状が矩形状であり、分配器14全体としても矩形に凹部54による切り込みが入った形状となっている。また、他の実施例と同様に、分岐部52には切り込み部60が形成されている。これにより、実施例1〜2の場合と同様に、信号間の位相分散を抑制し、合成信号の損失を低減することができる。
実施例1〜2のように分配器14の形状を略U字にした場合と、実施例3のように基部50を略台形とした場合には、入力端子40と各出力端子42間の特性インピーダンスを揃えやすいという利点がある。一方、上記変形例のように基部50を矩形状とした場合は、特性インピーダンスの値を小さくし、端子間の距離を小さくすることで、装置の小型化を図ることができるという利点がある。いずれの形状においても、分岐部52に切り込み部60を形成することにより、位相分散に基づく合成信号の損失を低減することができる点は共通である。
実施例1〜3では、分配器14を例に説明を行ったが、切り込み部60を合成器16に形成した場合も、同様の効果を得ることができると考えられる。従って、実施例1〜3に係る構成は、合成器16に対しても適用可能である。実施例1〜3に係る増幅器10及び電子装置100としては、分配器14及び合成器16のうち、少なくとも一方が上記切り込み部60の構成を備えていればよいが、分配器14と合成器16の両方が切り込み部60を備える構成とすることがより好ましい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 増幅器
12 筐体
14 分配器
16 合成器
18 FETチップ
19 ボンディングワイヤ
20 入力伝送線路
22 出力伝送線路
24 FET
26 キャパシタ基板
28 キャパシタ
30 整合回路
40 入力端子
42 第1伝送線路
44 出力端子
46 第2伝送線路
50 基部
52 分岐部
54 凹部
60 切り込み部
100 電子装置

Claims (13)

  1. 第1伝送線路に接続される基部と、
    前記基部から2つに分岐し、それぞれが複数の第2伝送線路に接続される分岐部と、を備え、
    前記分岐部には、前記基部及び前記第2伝送線路と接続されていない辺のうち外側の辺から、内側に向かう切り込み部が形成され
    前記切り込み部の開口部の長さは、前記切り込み部の切り込み深さより大きいことを特徴とする分配器または合成器。
  2. 前記切り込み部は、前記分岐部のそれぞれに形成されていることを特長とする請求項1に記載の分配器または合成器。
  3. 前記第1伝送線路から伝送される信号の周波数をλ、前記切り込み部の切り込み深さをa、前記切り込み部の開口部の長さをb、前記分岐部のうち前記第2伝送線路と接続される辺から前記切り込み部の形成位置までの距離をcとした場合に、
    λ/40≦a<b≦3λ/40かつλ/40≦c≦3λ/40
    の関係充足することを特徴とする請求項1または2に記載の分配器または合成器。
  4. 前記切り込み部の平面形状は、矩形であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分配器または合成器。
  5. 前記切り込み部の平面形状は、三角形であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分配器または合成器。
  6. 前記切り込み部の平面形状は、略半円形であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の分配器または合成器。
  7. 前記基部の平面形状は、略半円形であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の分配器または合成器。
  8. 前記基部の平面形状は、略台形であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の分配器または合成器。
  9. 前記基部の平面形状は、矩形であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の分配器または合成器。
  10. 入力伝送線路に接続される分配器と、
    出力伝送線路に接続される合成器と、
    前記分配器及び前記合成器の間に接続され、増幅用の複数のトランジスタを含む半導体チップと、を備え、
    前記分配器及び前記合成器の少なくとも一方は、
    前記入力伝送線路または前記出力伝送線路に接続される基部と、
    前記基部から2つに分岐し、それぞれが前記半導体チップと接続された複数の中間伝送線路に接続される分岐部と、を備え、
    前記分岐部には、前記基部及び前記中間伝送線路と接続されていない辺のうち外側の辺から、内側に向かう切り込み部が形成され
    前記切り込み部の開口部の長さは、前記切り込み部の切り込み深さより大きいことを特徴とする電子装置。
  11. 前記切り込み部は、前記分岐部のそれぞれに形成されていることを特長とする請求項10に記載の電子装置。
  12. 前記分配器及び前記半導体チップ間、並びに前記合成器及び前記半導体チップ間のうち、少なくとも一方の間に接続された整合回路を有することを特徴とする請求項10または11に記載の電子装置。
  13. 前記整合回路は、前記複数の中間伝送線路のそれぞれに対応して形成されたキャパシタを含む基板と、前記基板及び前記半導体チップ間に形成されたボンディングワイヤを含むことを特徴とする請求項12に記載の電子装置。
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