以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
[第1の実施形態]
図1〜図10は、本発明の第1の実施形態のズームレンズ鏡筒を示す図である。このうち、図1は本実施形態のズームレンズ鏡筒を沈胴状態とした時の外観斜視図である。図2は図1の状態のズームレンズ鏡筒の外観側面図である。図3は本実施形態のズームレンズ鏡筒を使用状態とした時の外観斜視図である。図4は図3の状態のズームレンズ鏡筒の外観側面図である。図5〜図7は、本実施形態のズームレンズ鏡筒の分解斜視図である。このうち図5は、本実施形態のズームレンズ鏡筒の前半部の構成を示している。図6は本実施形態のズームレンズ鏡筒の後半部の構成を示している。図7は本実施形態のズームレンズ鏡筒のフォーカス駆動ユニットの要部分解斜視図である。図8,図9は、本実施形態のズームレンズ鏡筒の光軸に沿う面で切断した側断面図である。このうち図8は、本実施形態のズームレンズ鏡筒の沈胴状態における側断面図である。図9は、本実施形態のズームレンズ鏡筒の使用状態における側断面図である。そして、図10は、本実施形態のズームレンズ鏡筒の電気回路部の概略構成を示すブロック構成図である。
本実施形態のズームレンズ鏡筒は、カメラボディに対して着脱自在に構成されたいわゆるレンズ交換式の撮影装置であるカメラに適用される交換レンズとしてのズームレンズ鏡筒である。
なお、本実施形態においては、ズームレンズ鏡筒の撮影光学系の光軸を符号Oで表す。この光軸Oに沿う方向において、ズームレンズ鏡筒の前面に対向する被写体のある側を前方というものとし、同ズームレンズ鏡筒の背面側に配置されるカメラボディとの接続部(レンズマウント部)のある側を後方というものとする。
また、以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
本実施形態のズームレンズ鏡筒1は、図1,図2,図8に示す沈胴状態と、図3,図4,図9に示す使用状態との間において光軸Oに沿う方向に伸縮し得るように構成されている。つまり、本ズームレンズ鏡筒1は、非撮影時の沈胴状態である短縮状態と、撮影可能な使用状態であり上記沈胴状態(短縮状態)より伸長した伸長状態との間で変位可能に構成されている。さらに、本ズームレンズ鏡筒1は、撮影光学系の変倍動作のために、上記使用状態において所定の範囲で伸縮し得るように、複数の筒状部材等を組み合わせて構成されているものである。
例えば、本実施形態のズームレンズ鏡筒1を装着した撮影装置(不図示;以降、カメラという)を使用しないとき、例えば携帯して持ち歩くようなときには、最も縮めた状態である沈胴状態とする。本実施形態のズームレンズ鏡筒1を沈胴状態とした時には、図1,図2,図8に示すように最外周側に環状の固定枠12の外周面上に回動自在に保持される焦点距離変更操作部材(焦点距離変更環、第2の環状部材)であるズームリング(ズーム環)14が配置され、上記固定枠12の内周側には移動枠15の外周面上に回動自在に保持される合焦位置調整部材であるフォーカスリング(距離環、第1の環状部材)16が内挿配置され、さらに上記移動枠15の内周側にはカム環17,直進枠18を介して内側に1群枠25を保持するズーム枠24等が内挿配置された形態となっている。このとき、光軸Oに沿う方向の寸法は、本ズームレンズ鏡筒1の最短寸法となる。
即ち、この沈胴状態においては、図1,図2に示すように、最外周側のズームリング14と、このズームリング14の後方に配置され、固定枠12の後端寄りの部位を覆うアトカバー13と、当該ズームレンズ鏡筒1の最後端面に配置され、カメラボディ(不図示)との接続部となるレンズマウント部11とが、外部側面に露呈する形態となっている。したがって、本ズームレンズ鏡筒1の沈胴状態における光軸O方向の縮長は、主にズームリング14,アトカバー13,レンズマウント部11のそれぞれの光軸O方向の幅寸法に依るような形態となる。
なお、図1,図2に示すように、ズームリング14の一部領域には、ストッパ解除ボタン14bが配設されている。本ズームレンズ鏡筒1においては、使用状態にあるときに変倍操作のためにズームリング14を操作することになるが、そのときに、使用状態から沈胴状態へと不用意に回転変位してしまわないようにするためのストッパ機構が設けられている。上記ストッパ解除ボタン14bは、本ズームレンズ鏡筒1を使用状態から沈胴状態へと操作者の意志をもって変位させる時に操作することで、上記ストッパ機構を解除するための操作部材である。なお、上記ストッパ機構については、本発明に直接関連しない部分であるので、従来一般に実用化されている構成のものが適用されているものとして、その詳細説明及び図示を省略する。
また、本実施形態のズームレンズ鏡筒1が、上述の沈胴状態から使用状態へと変位した時には、図3,図4,図9に示すように最外周側の固定枠12及びズームリング14等は不動状態であり、その内周側の移動枠15及びフォーカスリング16,カム環17,直進枠18等が前方に向けて固定枠12に対し相対的に移動した状態となり、さらにその内周側のズーム枠24等は、上記フォーカスリング16等よりもさらに前方に向けて伸長した状態となる。
なお、図3,図4,図9に示す状態は、ズームレンズ鏡筒1の使用状態のうち、当該ズームレンズ鏡筒1によって設定し得る焦点距離のうちの最も広角寄り(短焦点距離)に設定した状態(以降、この状態を広角状態という)である。本ズームレンズ鏡筒1においては、図1,図2,図8の沈胴状態から上記広角状態への変位と、撮影可能な使用状態としたときの変倍操作はズームリング14の回動操作によって行なわれる。つまり、ズームリング14(焦点距離変更環)は、固定枠12の外周側に回転可能に設けられて変倍操作を受け得ると共に、撮影可能な使用状態(伸長状態)と非撮影時(不使用時)の沈胴状態である短縮状態との間の変位操作を受け得るように構成されている。
また、本ズームレンズ鏡筒1が上記広角状態にあるときに、ズームリング14をさらに回動させると、このズームリング14の回動操作に連動して各筒状部材等の一部が駆動し、これに伴って他の一部の筒状部材等が光軸O方向に移動するように構成されている。このような一連の動作によって、本ズームレンズ鏡筒1における撮影光学系の焦点距離を連続的に変更させることができるように構成されている。ここで、当該ズームレンズ鏡筒1によって設定し得る焦点距離のうちの最も望遠寄り(長焦点距離)に設定した状態を望遠状態というものとする。
つまり、本ズームレンズ鏡筒1が使用状態にあるときには、ズームリング14の回動操作を行うことによって、撮影光学系を構成する各レンズ群の相対的な位置関係を変更し、これによって、上記広角状態と上記望遠状態との間において焦点距離の連続的変位を行ない得るように構成されている。
このように、本ズームレンズ鏡筒1においては、図1,図2,図8の沈胴状態から図3,図4,図9の広角状態までの変位と、使用状態にあるときの変位、即ち広角状態と望遠状態との間の変倍操作とを、ズームリング14の回動操作によって行われる。
次に、本実施形態のズームレンズ鏡筒1の各構成部材について、主に図5〜図7を用いて以下に詳述する。
本実施形態のズームレンズ鏡筒1の撮影光学系は、1群レンズ41,2群レンズ42,3群レンズ43,4群レンズ44の4つのレンズ群によって構成されている。このうち、1群レンズ41,2群レンズ42,3群レンズ43は光軸Oに沿う方向に移動可能な可動レンズ群である。また、4群レンズ44は本ズームレンズ鏡筒1の固定部位に対して固定される固定レンズ群である。
1群レンズ41は、図8,図9に示すように本ズームレンズ鏡筒1の最先端部位に配置される可動レンズ群である。1群レンズ41は1群枠25によって保持されている。1群枠25はズーム枠24の内部において先端寄りの部位に固設されている。ズーム枠24は、図5に示すように、全体が筒形状に形成され、その筒形状の外周後端部には径方向の外方に向けて突設される複数(本例では3つ)のZ枠直進キー24aを有し、さらに各Z枠直進キー24aのそれぞれには径方向の外方に向けてZ枠カムピン24bが突設されている。
ズーム枠24の外周側には直進枠18が配設されている。直進枠18は、前端部に鍔状のフランジ部を備えた略円筒形状に形成されており、その筒形状部には光軸Oに沿う方向であって後端側が開放された複数(本例では3つ)の1群直進溝18aと、複数(本例では3つ)の2群直進溝18bとが形成されている。そして、各1群直進溝18aにはズーム枠24の各Z枠直進キー24aが光軸O方向に摺動自在に係合している。この構成によりズーム枠24は、直進枠18によって光軸O方向への進退移動のみが許容され、光軸O周りの回動が規制(禁止)されている。同様に、上記各2群直進溝18bには、後述する2群枠21の2群直進キー21aが光軸O方向に摺動自在に係合している。この構成により2群枠21は、直進枠18によって光軸O方向への進退移動のみが許容され、光軸O周りの回動が規制(禁止)されている。なお、直進枠18の上記フランジ部は、当該ズームレンズ鏡筒1が組み立てられた状態において、後述するフォーカスリング16の光軸O方向の前方への移動を規制(禁止)して抜け落ちることを抑止するストッパの役目をしている。また、直進枠18は、後述する移動枠15に対して、例えばビス等を用いて一体に固定されている。
2群レンズ42は、図8,図9に示すように上記1群レンズ41の後方に配置される可動レンズ群である。2群レンズ42は2群枠21によって保持されている。2群枠21は、図5に示すように、略中央部に2群レンズ42を保持する筒形状のレンズ保持部21cと、このレンズ保持部21cの後端側に形成されレンズ保持部21cの外周径よりやや大径のフランジ部21dと、このフランジ部21dの外周側から光軸Oと平行に前方に向けて延出される複数(本例では3つ)の2群直進キー21aと、各2群直進キー21aの先端寄りの外面上に径方向外方に向けてそれぞれ突設される2群カムピン21bとを有して形成されている。ここで、2群枠21のレンズ保持部21cはズーム枠24の内周側に配設され、各2群直進キー21aはズーム枠24の外周側に配設される。そして、2群直進キー21aは、上述したように、直進枠18の各2群直進溝18bに対し光軸O方向に摺動自在に係合している。なお、2群枠21の前面側には、絞りモータ23(図5,図9参照;図8では不図示)を含む絞りユニット22(図5,図9参照)が一体となるように固設されている。絞りユニット22の詳細構成は省略するが、その略中央部には絞り開口23aが形成されており、この絞り開口23aを開閉する絞り羽根を有して構成される。そして、絞り開口23aは、撮影光学系を透過する光束が通過し得る位置に形成されていて、その中心は、光軸Oと略一致するように設定されている。
直進枠18の外周側には、図8,図9に示すように、カム環17が配設される。カム環17は、図6に示すように、全体が略円筒形状若しくは略円環形状の円筒部17fと、その後端縁部に形成されたフランジ部17gとによって形成されている。フランジ部17gの外周の一部には、径方向外方に向けて突出する形状の回転キー17aが形成されている。この回転キー17aは、後述する固定枠12のカム環回転溝12aと、ズームリング14のカム環連結溝14aに係合されている。
また、図6に示すように、カム環17の外周面上の後端寄りにおけるフランジ部17gの近傍には、外周面上に径方向外方に向けて突出し円周方向に長さを有する複数(3〜4個)のバヨネット爪17bが円周方向において略等間隔に形成されている。このバヨネット爪17bは、後述する移動枠15の内周に形成されているバヨネット溝15bに係合することで、カム環17と移動枠15とを一体とすると共に両者が相対的に回動させ得るように構成している。
そして、図6に示すように、カム環17の内周面には一対のカム溝(17c,17d)が所定のカム形状で複数(本例では3つ)形成されている。ここで、符号17cは1群カム溝であり、符号17dは2群カム溝である。つまり、1群カム溝17cには上述のズーム枠24のZ枠カムピン24bが嵌合し、2群カム溝17dには上述の2群枠21の2群カムピン21bが嵌合している。なお、各カム溝(17c,17d)の形状は、撮影光学系を構成する複数のレンズ群のうちズーミングに関るレンズ群(本例では1群レンズ41と2群レンズ42)のそれぞれを変倍動作のために光軸Oに沿う方向に移動させるのに必要な形状となるように設定されている。したがって、各カム溝形状については、本発明に直接関連しない部分であるので詳細説明は省略する。
なお、カム環17の先端縁部の一部には、後述するフォーカスリング16の位置検出用フレキシブルプリント基板20を通すためのフレキ用切欠17eが形成されている(図6,図8,図9参照)。
カム環17は、図8,図9に示すように、移動枠15の内側に内挿されている。移動枠15は、図6に示すように、全体として略円筒形状からなり後端部にフランジ部を有して形成されている。また、移動枠15の前端縁部には一部に切欠凹部15cが形成されている。この切欠凹部15cは、図8,図9等に示すように、後述するフォトインタラプタ(PI)19(距離環回転位置検出センサ;図7参照)が配設される部位である。そして、フランジ部の一部には径方向外方に向けて突出する形状の直進キー15aが形成されている。この直進キー15aは、後述する固定枠12の移動枠直進溝12bに係合している。この構成により、移動枠15は固定枠12に対して光軸O方向への進退移動のみが許容され、光軸O周りの回動が規制(禁止)されている。ここで、移動枠15の後端からカム環17が内挿され、上述したように、カム環17のバヨネット爪17bが移動枠15の内周の円周溝であるバヨネット溝15bに係合される。この構成により、カム環17と移動枠15とがバヨネット結合されて、両者は相対的に回動し得ると同時に、光軸O方向には一体に進退移動するように構成される。
なお、上記移動枠15の前方端にはネジ下穴15dが設けられていて、直進枠18のフランジに設けられている貫通孔18eとで例えば不図示のビス等を用いて移動枠15と直進枠18とが一体に固定されている。したがって、直進枠18は、移動枠15と同様に、固定枠12に対して光軸O方向周りに回転することなく、光軸O方向へ進退移動する。
移動枠15の外周側にはフォーカスリング16が光軸O周りに回動自在に配設されている。フォーカスリング16は、全体として略円筒形状若しくは略環形状に形成され、前端縁部内周側にPI用櫛歯16aが周方向に全周に亘って配設されている。このPI用櫛歯16aは、後述するフォトインタラプタ19(図7参照)と連動して当該フォーカスリング16の回転量や回転速度,回転方向を検出するための検出手段として機能するものである。なお、フォーカスリング16の外周面上の一部の領域には、使用者が手動回動操作を行うのに適する表面加工処理、例えばローレット加工等が全周に渡って施されている。つまり、このローレット加工等を施した部位を操作領域としている。
上述のようにして一体化されたカム環17,移動枠15,フォーカスリング16からなる構成の構成ユニットは、固定枠12に対してその後方から前方に向けて内挿配置される。なお、上記構成ユニットの内側には前方から直進枠18(その内側には上記1群枠25,ズーム枠24,絞りユニット22を含む2群枠21等を組み込んだ構成ユニットが内挿されている)が内挿配置されている。
こうして、固定枠12内の所定の部位に配置された当該構成ユニットは、固定枠12に対して光軸Oに沿う方向に進退移動可能に支持されている。ここで、距離環であるフォーカスリング16は、撮影可能な使用状態(伸長状態)から非撮影時の沈胴状態(短縮状態)の使用不可能状態へと変位するのに伴ってフォーカスリング16の外周面の全てが固定枠12の内部に収納される状態になる。このとき、フォーカスリング(距離環)16の光軸O方向における前端面(本実施形態において実際には直進枠18の前端面18d(図1,図3,図5参照)と、固定枠12の光軸O方向における前端面12d(図1,図3,図6参照)とが、同一平面となるように構成されている。その一方で、撮影可能な使用状態(伸長状態)とされた時には、フォーカスリング16は外部に露呈した状態となる。これによって、フォーカスリング16は焦点調節操作を受けることができる状態になる。
なお、本実施形態においては、沈胴状態とした時、フォーカスリング16の外周面の全てが固定枠12の内部に収納される形態としているが、この形態に限ることはなく、例えば沈胴状態とした時にフォーカスリング16の外周面の光軸O方向における少なくとも一部が固定枠12の内部に収納されるような構成となっておればよい。
固定枠12は、図8,図9に示すように、全体として略円筒形状からなり、その前端縁部にフランジ部12cが形成され、不図示のカメラボディに対して(レンズマウント部11等を介して)固定される構成部材である。固定枠12のフランジ部12cは、当該ズームレンズ鏡筒1が組み立てられた状態において、後述するズームリング14が光軸O方向の前方への移動を規制(禁止)して抜け落ちることを抑止するストッパの役目をしている。固定枠12の筒状部の周面上には径方向に内外を貫通するカム環回転溝12aが所定のカム形状に形成されている。また、固定枠12の筒状部の内周面には、移動枠直進溝12bが光軸O方向に形成されている。ここで、上述したように、固定枠12のカム環回転溝12aには、カム環17の回転キー17aが係合している。また、上述したように、固定枠12の移動枠直進溝12bには移動枠15の直進キー15aが係合している。
また、固定枠12の外周側には、図8,図9に示すように、ズームリング14が固定枠12に対して回動自在に配設されている。ズームリング14は、光軸O方向に所定の長さ寸法を有する略円筒形状からなり、その内周面上には光軸Oに沿う方向にカム環連結溝14aが形成されている。このカム環連結溝14aには、上述したように、カム環17の外周面上からカム環回転溝12aを貫通して外方に向けて突設されている回転キー17aが係合している。
さらに、ズームリング14の後端寄りの部位には、外周径が若干小径となるように段差部14cが形成されている。この段差部14cの外周面は、円環形状のアトカバー13が隙間をもって覆い、ズームリング14はアトカバー13と相対回転可能となっている。したがって、ズームリング14は固定枠12の外周面上において回動自在となっており、前側は固定枠12のフランジ部12cによって、後側はアトカバー13によって、光軸O方向への進退移動がそれぞれ規制(禁止)されている。この構成により、ズームリング14は、固定枠12に対して光軸方向への進退移動が規制(禁止)され、回動のみが可能となっている。なお、ズームリング14の外周面上の一部には、使用者が手動回動操作を行うのに適する表面加工処理、例えばローレット加工等が全周に渡って施されている。つまり、このローレット加工等を施した部位を操作領域としている。
また、固定枠12の後面には、レンズマウント部11がビス留め等の固定手段によって固設されている。アトカバー13はズームリング14とレンズマウント部(レンズマウント部材)11との間に配置され、さらにアトカバー13は固定枠12とレンズマウント部11とで挟まれて固定されている(図8参照)。レンズマウント部11は、例えばステンレス鋼等の金属部材若しくはエンジニアリングプラスチック等の樹脂材料によって、円環形状に形成され、カメラボディ(不図示)のボディ側マウント部に対してバヨネット結合等の手段により接続される接続部である。レンズマウント部11自体の構成は、従来周知のモノであるので、従来一般的な構造のものが適用されている物として、その詳細説明は省略する。
そして、この構成によってズームリング14が、例えば使用者の手動操作によって回動されると、ズームリング14のカム環連結溝14aに係合する回転キー17aがカム環回転溝12aに沿って移動する。するとカム環17は回動しながら前方へと繰り出される。このとき、カム環17の回転に係わらずフォーカスリング16及び移動枠15,直進枠18は回転することなく、カム環17と一体に光軸O方向へと繰り出される。また、カム環17の回転に伴って、1群カム溝17cにカム嵌合しているZ枠カムピン24bを介してズーム枠24と、2群カム溝17dにカム嵌合している2群カムピン21bを介して2群枠21とが、それぞれのカム溝(17c,17d)の形状に従った所定量だけ光軸Oに沿う方向に繰り出される。
つまり、本実施形態のズームレンズ鏡筒1においては、1群枠25に保持される1群レンズ41と、2群枠21に保持される2群レンズ42とは、ズーミングに関与するズームレンズ群である。
次に、本実施形態のズームレンズ鏡筒1におけるフォーカス駆動ユニットの主要構成について、主に図7を用いて以下に説明する。
本実施形態のズームレンズ鏡筒1におけるフォーカス駆動ユニットは、フォーカス操作部材であるフォーカスリング16(図7には不図示。図5,図8,図9等参照)と、3群レンズ43を保持する3群枠26と、4群レンズ44を保持する4群枠31と、メイン基板33等の電装部品を固定保持する電装枠32と、3群枠26を光軸O方向に移動自在に支持する3群支持軸28と、3群枠26が3群支持軸28を中心として回転するのを規制(防止,禁止)する3群枠回転止軸30と、フォーカスレンズ群(3群レンズ43)を保持する3群枠26を光軸O方向に進退駆動するための駆動源となるフォーカスモータ27と、3群枠26(3群レンズ43)を上記フォーカスモータ27の駆動力を用いて光軸O方向に進退移動させるための駆動機構(モータ基台36,リードスクリュー27a,フォーカスナット35等)等によって主に構成されている。
3群レンズ43は、図8,図9に示すように、上記2群レンズ42の後方に配置される可動レンズ群であり、後述するようにフォーカシングに関与するフォーカスレンズ群である。3群レンズ43は3群枠26によって保持されている。3群枠26は、図7に示すように、略中央部分に3群レンズ43を保持する保持枠部と、この保持枠部の所定の部位から径方向の外方に向けて突出する3つの腕部とを有して形成されている。
3群枠26の3つの腕部のうちの一つには、後述する3群支持軸28を挿通させ3群枠付勢バネ29を外挿させる貫通孔を有した支持スリーブ26aが光軸Oと平行方向に延設されている。また、3群枠26の3つの腕部のうちの他の一つには、3群枠回転止軸30をすきま嵌めで精密に挿通させるべくU字形状に形成される回転止溝26bが形成されている。そして、3群枠26の3つの腕部のうちの別の一つには、フォーカスモータ27(図8では不図示;図7,図9参照)のリードスクリュー27aとの干渉を避けつつ後述するフォーカスナット35(図7参照)に当接し得るようにU字形状に形成されたナット受部26cが形成されている。
3群枠26は、3群支持軸28を介して固定枠である4群枠31(後述;図7,図8,図9等参照)に対して光軸Oに沿う方向に進退可能に保持されている。ここで、3群支持軸28は、上述したように、支持スリーブ26aに挿通されて、4群枠31に片持ち支持固定されている。これにより、3群支持軸28は、3群枠26を光軸O方向に移動自在となるように支持している。
また、支持スリーブ26aの外周面上には弾性力を有する3群枠付勢バネ29が配設されている。ここで、3群枠付勢バネ29は、3群枠26と4群枠31との間に挟まれて、常にチャージされた状態で配置されている。つまり、3群枠付勢バネ29の弾性力は、4群枠31に対して3群枠26を光軸O方向に離間させる方向に働いている。このとき、3群枠26は、ナット受部26cがフォーカスナット35に当接することで、光軸O方向における位置が規制されている。フォーカスナット35は、後述するようにリードスクリュー27aに螺合することで、光軸O方向への移動が規制されている。したがって、この構成により、3群枠26と4群枠31との間は、3群枠付勢バネ29の弾性力によって所定の間隔が保たれるように構成されている。なお、3群枠26の回転止溝26bには、上述したように、4群枠41に植設された3群枠回転止軸30が係合配置されている。したがって、3群枠26は、3群枠回転止軸30によって3群支持軸28を回転中心とする回転が規制(防止,禁止)されている。
4群レンズ44は、図8,図9に示すように、上記3群レンズ43の後方に配置される固定レンズ群である。4群レンズ44は4群枠31によって保持されている。4群枠31は、略中央部分に4群レンズ44を保持する保持枠部31aを備え、この保持枠部31aの外周側に略板状の固定部31bが形成されている。4群枠31の固定部31bは、図8,図9に示すように、その外周縁部がレンズマウント部11の内周側に固定されている。また、同固定部31bの前面側には、上記3群支持軸28,上記3群枠回転止軸30が光軸Oに沿う方向に植設されている。さらに、4群枠31の固定部31bの前面側には電装枠32が配設されている。この電装枠32は、図7に示すように、4群レンズ44の光路を妨げないような形状、本実施形態における具体的な形状としては、円環形状の板部材を半分に切断したような形状に形成され、かつ外周縁部の一部には3群枠回転止軸30との干渉を回避するための凹状切欠32bが形成されている。さらに、電装枠32は、光軸Oに沿う方向に延出するように形成されるFPCガイド32aを有して形成されている。このFPCガイド32aは、後述するメイン基板33から延出される位置検出用フレキシブルプリント基板20の配置を確保するためのガイド部として機能する。なお、電装枠32の形状としては、このような形状に限られるものではないことは言うまでもない。
電装枠32の前面側にはメイン基板33が保持されている。メイン基板33は、例えば電装枠32の形状と略同形状に形成され、その実装面には、例えばコネクタ34等を含む各種の電気部品が実装されている。メイン基板33に実装されるコネクタ34は、例えば位置検出用フレキシブルプリント基板20を接続する電気部品である。つまり、位置検出用フレキシブルプリント基板20の一端がコネクタ34に接続され、他端にはフォトインタラプタ19が配設されている(図7,図8,図9参照)。
一方、図9に示すように、4群枠31の固定部31bの前面側であって、上記電装枠32の配設部位とは光軸Oを挟んで反対側の空間には、フォーカスモータ27(フォーカス駆動源)と、このフォーカスモータ27の駆動力を用いて3群枠26(3群レンズ43)を光軸O方向に進退移動させるための駆動機構(モータ基台36,リードスクリュー27a,フォーカスナット35等)が配設されている。
フォーカスモータ27は、図9に示すように、例えば、固定部となるレンズマウント部11の内周面上に固設されている。フォーカスモータ27はパルスモータ等からなり正逆回転可能に構成される電動モータである。なお、フォーカスモータ27からはフォーカスモータ用フレキシブルプリント基板27bが延出されている。このフレキシブルプリント基板27bは、フォーカスモータ27と、例えば上記メイン基板33との間を電気的に接続する接続部材である。
フォーカスモータ27の回転軸には、外周面上に螺旋状の雄ネジ部が形成されたリードスクリュー27aが設けられている。このリードスクリュー27aは、その回転軸が光軸Oと平行方向に配置されている。また、リードスクリュー27aの基端部と先端部とは、モータ基台36によって回動自在に軸支されている。モータ基台36は、例えば金属の薄板状部材を折り曲げ加工等によって形成される。
リードスクリュー27aにはフォーカスナット35が螺合している。フォーカスナット35は、上記リードスクリュー27aの雄ネジ部に螺合し得る螺旋状の雌ねじ部を有して形成されるナット部材である。このフォーカスナット35は、図示を省略しているが、不図示の固定部によってそれ自体の回転が規制(禁止)されている。この構成により、フォーカスモータ27が駆動されてリードスクリュー27aが正逆回転すると、フォーカスナット35は、それ自体が回転することなく、リードスクリュー27aの軸方向、即ち光軸Oと平行方向に進退移動するように構成されている。ここで、フォーカスナット35には、上述したように、3群枠26のナット受部26cが3群枠付勢バネ29の弾性力によって間接的に常に当接している(図8,図9参照)。つまり、3群枠付勢バネ29の弾性力は、3群枠26と4群枠31とを離間させる方向に働いている。したがって、上述したようにリードスクリュー27aが正逆回転してフォーカスナット35がリードスクリュー27aの軸方向(光軸O)と平行方向に進退移動すると、これに連動して3群枠26が同方向に進退移動するように構成されている。
さらに詳述すると、例えばリードスクリュー27aの回転によってフォーカスナット35がリードスクリュー27a上を光軸O方向において前方(被写体側)に向けて移動すると、3群枠付勢バネ29の弾性力が間接的にナット受部26cをフォーカスナット35に当て付ける方向に働いているので、3群枠26のナット受部26cが前方へ追随して3群枠26は前方へ移動する。したがって、ナット受部26cとフォーカスナット35とは、3群枠付勢バネ29の弾性力によって常に当接状態が保持される。また、例えばリードスクリュー27aの回転によってフォーカスナット35がリードスクリュー27a上を光軸O方向において後方に向けて移動すると、フォーカスナット35は3群枠26のナット受部26cを後方へと押して3群枠26を後方へ移動させる。このとき、3群枠26は3群枠付勢バネ29を緊縮させるように作用する。したがって、ナット受部26cとフォーカスナット35とは、3群枠付勢バネ29の弾性力によって常に当接状態が保持される。その他の構成については、従来のズームレンズ鏡筒の構成と略同様である。
このように構成された本実施形態のズームレンズ鏡筒1においては、沈胴状態にした時にはフォーカスリング16は固定枠12の内側に収納され、撮影可能な使用状態にした時にはフォーカスリング16は固定枠12の内側から光軸Oに沿って前方に向けて移動して外部から回動操作が可能な位置に配置される。つまり、ズームレンズ鏡筒1の不使用時(非撮影状態とした時)と使用時(撮影可能状態とした時)とで、フォーカスリング16の配置が異なるように構成されている。
次に、本実施形態のズームレンズ鏡筒1の電気的な構成について、主に図10を用いて以下に説明する。図10は、本実施形態のズームレンズ鏡筒の電気的な構成のうちの主要部の概略を示す電気回路ブロック図である。
ズームレンズ鏡筒1の電気的な構成部材としては、制御手段である制御部51と、ズーム位置検出センサであるズームエンコーダ52と、フォーカスレンズ駆動部53と、距離環回転位置検出センサでありフォーカスリングエンコーダである上記フォトインタラプタ19(図7等参照)と、フォーカスレンズ群の位置検出センサであるフォーカスレンズエンコーダ55等を具備する。
ズームレンズ鏡筒1の電気的な駆動制御は、例えば上記メイン基板33等に実装配置された電子部品(集積回路)であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)等からなる制御手段である制御部51が担っている。この制御部51は、図10以外には特に図示していないが、例えばメイン基板33等に実装配置されているものとする。また、この形態以外でも、例えば不図示のカメラボディ内に配設される電気基板に実装配置するようにしてもよい。この制御部51には、ズームエンコーダ52,フォーカスレンズ駆動部53,フォトインタラプタ19,フォーカスレンズエンコーダ55等が電気的に接続されている。
上記ズームエンコーダ52は、ズームリング14(ズーム環,焦点距離変更環)の回転位置を検出する位置検出センサである。ズームエンコーダ52は、ズームリング14の回転位置を検出することで、本ズームレンズ鏡筒1の状態、即ち沈胴状態にあるか、撮影可能な使用状態(ズーム動作可能状態)にあるか等を検出する検出センサである。ズームエンコーダ52は、図10以外には特に図示していないが、例えばズームリング14の近傍の所定の位置に適宜配置されている。
上記フォーカスレンズ駆動部53は、上記フォーカスモータ27の駆動制御を行なうドライバを含む電子部品である。このフォーカスレンズ駆動部53も、図10以外には特に図示していないが、例えば上記メイン基板33等に実装配置されていてもよいし、不図示のカメラボディ内に配設される電気基板に実装配置するようにしてもよい。
上記フォーカスレンズエンコーダ55は、フォーカスレンズ群である3群レンズ43を保持する3群枠26の光軸O方向での位置を検出する位置検出センサである。このフォーカスレンズエンコーダ55も図10以外では特に図示していないが、例えば3群枠26の近傍の所定の位置に適宜配置される。
そして、上記フォトインタラプタ19(図7等参照)は、フォーカスリング16(距離環)の回転を検出する距離環回転検出センサである。このフォトインタラプタ19は、図7,図8,図8等において詳述したように、フォーカスリング16の内周側近傍の所定の位置に配置されているものである。
このように構成された上記ズームレンズ鏡筒1において、使用者がズームリング14(ズーム環,焦点距離変更環)を光軸O周りの正逆方向に回動操作すると、そのズームリング14の回動はズームエンコーダ52によって検出される。ズームレンズ鏡筒1が撮影可能な使用状態にあるときには、ズームリング14の回動量に応じてズームレンズ群(1群レンズ41,2群レンズ42)をそれぞれ保持する1群枠25,2群枠21のそれぞれが光軸Oに沿う方向における所定の位置に移動して、ズームリング14の位置に応じた焦点距離が設定される。これと同時に、ズームエンコーダ52からの出力信号に応じて制御部51はフォーカスレンズ駆動部53を介してフォーカスモータ27が駆動制御され、これによりフォーカスレンズ群(3群レンズ43)を保持する3群枠26が光軸Oに沿う方向に移動され、設定されたズーム位置に応じて合焦状態が維持されるいわゆるトラッキング制御である。
また、ズームリング14が使用者によって回動操作されて撮影可能な使用状態から沈胴状態へと変位されたとする。なお、この操作が行われる際には、ストッパ解除ボタン14bが操作者により操作されてストッパ機構が解除される操作を必要とする。この場合にも、ズームエンコーダ52によってズームリング14の位置検出がなされる。このときのズームエンコーダ52の出力信号を受けて制御部51は、フォーカスレンズ駆動部53を介してフォーカスモータ27を駆動制御して3群枠26を光軸O方向において後方に向けて高速に移動させ、よって同3群枠26を所定の沈胴位置(図8参照)へと移動させる。
なお、このとき、ズームリング14の回動操作が急激に行なわれたとすると、例えばズームレンズ系(2群枠21)がフォーカスレンズ系(3群枠26)に干渉する可能性がある。しかしながら、そうなったとしても、3群枠26は3群枠付勢バネ29の弾性力によって前方に向けて付勢されているので、ズームレンズ系(2群枠21)が3群枠付勢バネ29の付勢力に抗してフォーカスレンズ系(3群枠26)を光軸O方向の後方に向けて押し込むことになる。したがって、各レンズ系や各レンズ枠が損傷等のダメージを受けてしまうようなことはない。
一方、フォーカスリングエンコーダであるフォトインタラプタ19は、使用者によるフォーカスリング16の手動回動操作を検出する。制御部51は、フォーカスリング16の回転操作に応じたフォトインタラプタ19からの出力信号を受けて回転量,回転速度,回転方向を演算し、フォーカスレンズ駆動部53を介してフォーカスモータ27を駆動制御する。これにより、フォーカスレンズ群(3群レンズ43)を保持する3群枠26が光軸Oに沿う方向に進退移動する。
また、制御部51は、カメラボディ(不図示)側の操作部材のうちシャッターレリーズの一段目の操作(いわゆる半押し操作)、若しくはカメラボディ側の表示装置等(不図示)に配置されるタッチセンサ等(不図示)からのタッチ操作等によって生じるオートフォーカス(AF)動作の指示信号を受けてフォーカスレンズ駆動部53を介してフォーカスモータ27を駆動制御する。
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、非撮影時の沈胴状態(短縮状態)と、撮影可能状態であり短縮状態より伸長した伸長状態(使用状態)との間を変位可能なズームレンズ鏡筒1において、沈胴状態(短縮状態)とした時にはフォーカスリング16を固定枠12の内部に収納するように構成している。この上記撮影不可能時には径方向に重なるように第1,第2の環状部材が配置されている。この構成によって、本ズームレンズ鏡筒1においては、沈胴状態(短縮状態)とした時の光軸O方向の全長の短縮化を容易に実現することができる。
また、本ズームレンズ鏡筒1において、使用状態(伸長状態)とした時にはフォーカスリング16が固定枠12の内側から前方へと繰り出されて伸長した位置に配置され、その外周面上に形成される操作領域が外部に露呈するように構成している。この構成において、フォーカスリング16自体については、光軸O方向の全長の短縮化等の設定はしていない。したがって、本実施形態のズームレンズ鏡筒1においては、使用状態(伸長状態)とした時のフォーカスリングの操作性が損なわれることなく良好な操作性が保持される。
なお、上記第1の実施形態においては、フォーカスリングを固定枠内に収納させる構成としているが、これとは別に、フォーカスリングの代わりにズームリングを収納させる構成としてもよい。この構成とする場合には、沈胴状態から使用状態への変位、及び使用状態から沈胴状態への変位をズームリングの回転操作によって行なうために、例えばズームモータ等の駆動力を利用する電動式の構成としたり、操作者による意図的な手動操作を確保するためにズームリングの光軸方向の長さの一部を固定枠内に収納し一部を外部から回転操作可能とする等の構成上の工夫を施すようにすればよい。
また、上記第1の実施形態においては、フォーカスリングの光軸方向の全長を固定枠内に全て収納させる構成としているが、この例に限られることはなく、少なくともフォーカスリングの光軸方向の長さの一部を固定枠内に収納させる構成としてもよい。
上記第1の実施形態の発明は、以下のように表現できる。例えば、非撮影時の短縮状態と、撮影可能状態であり上記短縮状態より伸長した伸長状態との間を変位可能な本発明のズームレンズ鏡筒は、固定枠と、光軸方向に所定の長さ寸法を有し、上記固定枠の外周側に設けられ、上記固定枠の周りに回転可能な焦点距離変更環(ズーム環)と、上記固定枠の内側に配置され、上記短縮状態では上記固定枠の内側に全長が収納され、上記焦点距離変更環の回転操作に伴って回転することなく光軸方向に進退する直進枠と、上記短縮状態では上記固定枠内に少なくとも外周面の一部が収納され、上記直進枠の外周側に回転可能に設けられた距離環と、上記ズームレンズ鏡筒の内部に配置され、上記距離環の回転に応じて駆動される合焦レンズと、上記短縮状態では上記固定枠内に少なくとも一部が収納され、カム溝を有し、上記直進枠と共に光軸方向に進退し、上記直進枠と相対的に回転するカム環と、上記短縮状態では上記固定枠内に少なくとも一部若しくは全長が収納され、ズームレンズ鏡枠の最先端面となる光学系を支持し、上記直進枠と上記カム溝により光軸方向に駆動されるレンズ枠と、を有すると言ってよい。また、上記第1の実施形態の発明は、以下のように表現できる。例えば、非撮影時の短縮状態と、撮影可能状態であり上記短縮状態より伸長した伸長状態との間を変位可能な本発明のズームレンズ鏡筒は、環状に形成され光軸方向に長さを有する固定枠と、上記環状の固定枠に対し光軸方向に相対移動し非撮影状態では上記固定枠内に収納され、撮影状態では上記固定枠外に繰出される直進枠と、上記直進枠に載置され、光軸方向に長さを有し手動操作により光軸周りに回動する環状の部材からなる第1の環状部材と、を具備し、上記第1の環状部材は、上記レンズ鏡筒が撮影可能状態にあるときは外観の少なくとも外周の一部が外部に露出され該環状の部材の光軸前方の前端面が上記固定枠の光軸前方の前端面より前方に位置し、上記レンズ鏡筒が上記撮影状態より光軸方向に短縮された撮影不可能状態にあるときは光軸後方の後端面が上記固定枠内にあり、該後端面が撮影可能状態にあるときより光軸後方にある、と言ってよい。
なお、上記第1の実施形態においては、レンズ交換式の撮影装置(カメラ)に適用されるズームレンズ鏡筒を例に挙げて説明しているが、本発明はこの形態に限られることはなく、レンズ一体型の撮影装置(カメラ)のズームレンズ鏡筒ユニットに対しても、全く同様の構成で適用することが可能であり、その場合にも、上述した第1の実施形態による効果と全く同様の効果を得ることができる。
また、上記第1の実施形態においては、図8,図9に示すように、1群枠25,ズーム枠24,2群枠21,直進枠18,フォーカスリング16,移動枠15,カム環17,固定枠12,ズームリング14,アトカバー13等の構成部材を樹脂材料とし、レンズマウント部11を金属材料として、ハッチングを用いて表記しているが、これに限られることはない。例えば、レンズマウント部11を樹脂材料で構成してもよいし、上に列挙した全ての構成部材(25,24,21,18,16,15,17,12,14,13等)を金属部材を用いて、例えば切削加工等によって形成するようにしてもよい。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、例えば光学レンズにより形成される光学像を固体撮像素子を用いて光電変換し、これによって得られる画像信号を静止画像又は動画像を表わすデジタル画像データに変換し、こうして生成されたデジタルデータを記録媒体に記録し、また記録媒体に記録されたデジタル画像データに基いて静止画像又は動画像を表示装置に再生表示し得るように構成されるデジタルカメラ等の撮影装置(以下、単にカメラという)に適用される交換式ズームレンズ鏡筒に適用した場合の例示である。
また、本実施形態の交換式ズームレンズ鏡筒は、光学装置としてのカメラに対して着脱自在に構成されるズームレンズ鏡筒である。さらに、本実施形態の交換式ズームレンズ鏡筒は、非撮影時には撮影時より短縮状態となり、撮影時には非撮影時より伸長した状態となる沈胴機構を備えた沈胴式のレンズ鏡筒である。
そして、本実施形態においては、ズームレンズ鏡筒における撮影光学系の光軸を符号Oで表す。そして、この光軸Oに沿う方向において、使用時において当該ズームレンズ鏡筒が装着されるカメラ(不図示)の前面に対向する被写体のある側を前方というものとし、同カメラの前面に設けられるレンズ装着部(マウント部)に連結されるレンズ側マウント部のある側を後方というものとする。
なお、以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
図11〜図15は、本発明の第2の実施形態のレンズ鏡筒である交換ズームレンズ鏡筒を示す図である。図11〜図13は、本実施形態の交換ズームレンズ鏡筒の光軸に沿う面(光軸を含む平面)で切断した縦断面図である。このうち、図11は本実施形態の交換ズームレンズ鏡筒が撮影時の状態であって、当該撮影光学系によって設定し得る焦点距離のうち最も短焦点寄りに設定されているいわゆるワイド状態を示している。図12は同交換ズームレンズ鏡筒が撮影時の状態であって、撮影光学系が設定し得る焦点距離のうち最も長焦点寄りに設定されているいわゆるテレ状態を示している。図13は同同交換ズームレンズ鏡筒が非撮影時の状態であるいわゆる沈胴状態を示している。図14,図15は、本実施形態の交換ズームレンズ鏡筒の分解斜視図である。このうち、図14は当該交換式ズームレンズ鏡筒の分解斜視図における部材の並びの中央部分であり主としてレンズ系の駆動系を示す構成部材を示している。図15は当該交換式ズームレンズ鏡筒の分解斜視図における部材の並びの図14の部材を挟む部材の構成を示している。
本実施形態の交換式ズームレンズ鏡筒110は、撮影光学系を構成する複数のレンズ群(第1レンズ群111,第2レンズ群112,第3レンズ群113,第4レンズ群114と、これらのレンズ群をそれぞれ保持する複数のレンズ保持枠(1群保持枠121,2群保持枠122,3群保持枠123,4群保持枠124)と、これら複数のレンズ保持枠のそれぞれを各別に適宜所定のタイミングで光軸Oに沿う方向に移動させるための駆動枠部材(カム枠126,直進枠127,移動枠128,操作環保持枠129、回転枠131)と、複数の環状操作部材(第3の枠;ズーム環133,距離環134)と、これら複数の環状操作部材(ズーム環133,距離環134)を光軸O周りに回転自在に保持する操作環保持枠129(第2の枠)と、固定枠130(第1の枠)と、カメラ本体(不図示)との連結部となるレンズ側マウント部であるマウント環132と、駆動系ユニット(フォーカス駆動ユニット135,ズーム駆動ユニット136)と、アパーチャユニット(絞り装置)137等を有して構成されている。
上述したように、本実施形態の交換式ズームレンズ鏡筒110における撮影光学系は、前方側から光軸Oに沿って配置される4つのレンズ群、即ち第1レンズ群111,第2レンズ群112,第3レンズ群113,第4レンズ群114によって構成されている(図14参照)。
このうち、第1レンズ群111は1群保持枠121によって固定保持されている。1群保持枠121は、前後に開口を有し全体が略円筒形状に形成されており、さらに略中央部近傍に内向きフランジ状の保持部121bを有して形成されている。この保持部121bの略中央部分に上記第1レンズ群111が固定保持されている。1群保持枠121の外周面上の後端縁部近傍には、径方向外方に突設されたカムピン121aが複数(本実施形態においては三つ)形成されている。この複数のカムピン121aは、1群保持枠121の外周面上において周方向に略等間隔に配置されている。この複数のカムピン121aは、直進枠127の第1直進溝127cを挿通してカム枠126の螺旋状の第1カム溝126cにカム結合している。
第2レンズ群112は2群保持枠122によって固定保持されている。2群保持枠122は、前後に開口を有し全体が略円筒形状に形成された保持部122cと、この保持部122cの外周面上の後端縁部近傍から径方向外方に向けて延設される複数(本実施形態においては三本)の第1腕部122dと、この複数の第1腕部122dのそれぞれの先端から光軸Oに沿って前方に向けて延設される複数(本実施形態においては三つ)の第2腕部122bと、この複数の第2腕部122bの各先端部近傍の外面側において径方向外方に向けて突設される複数(本実施形態においては三つ)のカムピン122aとによって構成されている。上記複数の第1腕部122dは、保持部122cの外周面上において周方向に略等間隔に配置されている。この複数のカムピン122aは、直進枠127の第2直進溝127dを挿通してカム枠126の螺旋状の第2カム溝126dにカム結合している。
また、2群保持枠122には、光軸前方にアパーチャユニット137が設けられている。アパーチャユニット137は、複数の絞り羽根部材と、これを駆動する駆動機構及びその駆動源となる絞り駆動モータ137a等によって構成されている。アパーチャユニット137の基本的な構成は、従来一般に実用化されているものと同様の機構が適用されている。したがって、その詳細構成の説明は省略する。
第3レンズ群113は主に焦点調節に寄与するフォーカスレンズ群(合焦レンズ群)である。この第3レンズ群113は3群保持枠123によって固定保持されている。3群保持枠123は、前後に開口を有し全体が略円環形状に形成されている。この3群保持枠123は、略円環形状の枠部123cと、この枠部123cの外周面の一部から径方向外方に向けて延設され先端にU字状溝123aが形成された腕部123dと、この腕部123dとは異なる部位において外周面上から径方向外方に向けて突設された複数(本実施形態においては二つ)の支持部123eを有している。複数の支持部123eには、光軸Oに沿う方向に貫通孔が穿設されている。この貫通孔には、それぞれに支持軸143(二本)が挿通されている。この二本の支持軸143は、光軸Oと平行に配置され、支持軸143それぞれの一端側は後述する移動枠128の2つの支持部128b(1つは不図示)それぞれに固定されている。したがってこれにより、3群保持枠123は、光軸Oに沿って移動自在に支持されている。この場合において、3群保持枠123は不図示の付勢部材によって光軸Oに沿う方向であって例えば前方に向けて付勢されている。また、3群保持枠123の腕部123dのU字状溝123aには、後述するフォーカス駆動ユニット135のリードスクリュー135bが遊嵌している。そして、3群保持枠123は、リードスクリュー135bに螺合して光軸Oに沿う方向に移動するナット135dによって押圧されて同方向(光軸Oに沿う方向)に移動し、また同ナット135dの押圧解除方向への移動によって上記付勢部材(不図示)の付勢力により同方向(ナット135dの押圧解除方向)に移動するように構成されている。以上が図14に示す構成となる。
また、図15において、第4レンズ群114は4群保持枠124によって固定保持されている。4群保持枠124は、略中央部分に円形状の開口を有し略円環状に形成される枠部材である。上記第4レンズ群114は、4群保持枠124の略中央部分に固定保持されている。4群保持枠124は、マウント環132に対してビス等によって固定されている。
マウント環132は、固定枠130の後端側の固定部130cにビス等によって固定されている。したがって、本交換式ズームレンズ鏡筒110が不図示のカメラ本体に対してマウント環132を介して装着されると、固定枠130(第1の枠)は、カメラ本体(不図示)に対して固定された状態になる。
なお、マウント環132には、複数のレンズ側通信接点132a(図11〜図15においては不図示;後述の図19参照)が設けられている。この複数のレンズ側通信接点132aは、当該交換式ズームレンズ鏡筒110の内部に設けられる電気回路部(図11〜図15においては不図示;後述の図19参照)におけるレンズ側制御部151との間で電気的に接続されている。また、上記複数のレンズ側通信接点132aは、当該交換式ズームレンズ鏡筒110がカメラ本体(不図示;後述する図19参照)の正規の位置に装着されると、カメラ本体(図19の符号200参照)側のマウント部(不図示)に設けられる複数のカメラ側通信接点203と接触する位置に配置されている。これによって、カメラ本体(200)当該交換式ズームレンズ鏡筒110との間の電気的な接続が確保されるようになっている。なお、カメラ本体(200)及び当該交換式ズームレンズ鏡筒110の電気的な構成については後述する。
固定枠130は、前後に開口を有し全体が略円筒形状に形成された筒状部材である。固定枠130の内周面上には、有底に形成され光軸Oに沿う方向に前端から後端近傍の所定の部位まで直線的に延びる直進溝130aと、有底に形成され所定のカム曲線を有する螺旋状のカム溝130bとがそれぞれ複数(本実施形態においては各三本)形成されている。上記直進溝130a及び上記カム溝130bは、固定枠130の内周面において、周方向に略等間隔を置いて形成配置されている。各直進溝130aには、後述する操作環保持枠129の各直進キー129hが光軸Oに沿う方向に摺動自在に係合している。これにより、固定枠130の直進溝130aは、操作環保持枠129を光軸Oに沿って直進する方向に支持しつつ、直進部材でもあり移動部材でもある操作環保持枠129の光軸O周りの回転を規制している。また、各カム溝130bには、後述する回転枠131のカムピン131aがカム結合している。
固定枠130の内側には、操作環保持枠129が内挿されている。操作環保持枠129は、上述したように、複数の環状操作部材(第3の枠;ズーム環133,距離環134)を光軸O周りに回転自在に保持する部材である。ここで、ズーム環133及び距離環134は、第2の枠である上記操作環保持枠129と共に光軸方向に移動可能で、当該交換式ズームレンズ鏡筒110が非撮影時にあるときには、第1の枠である上記固定枠130内に収納され、同交換式ズームレンズ鏡筒110が撮影時にあるときには、第1の枠である上記固定枠130内より露出して配設されている。そして、この状態において、第2の環状部材であるズーム環133及び第1の環状部材である距離環134は、光軸O周りに手動によって回転可能に設けられている。この手動による回転操作によって、同交換式ズームレンズ鏡筒110における鏡筒内の所定のレンズが光軸O方向に駆動されるように構成されている。ここで、第3の枠としては、ズーム環133若しくは距離環134のいずれかが相当する。
なお、本実施形態の交換式ズームレンズ鏡筒110においては、ズーム環133若しくは距離環134のいずれか一方を第3の枠として構成した例を示している。即ち、本実施形態において、第3の枠をズーム環133として構成してもよいし、同第3の枠を距離環134として構成してもよい。
また、例えばズーム環133を第3の枠とした場合においては、焦点調節を行うための距離環134を、上記第3の枠とは別の第4の枠として上記操作環保持枠129に配設するような構成をとっている。この場合において、第4の枠である上記距離環134も、第3の枠である上記ズーム環133と略同様の形態、即ち第2の枠である上記操作環保持枠129と共に光軸方向に移動可能で、当該交換式ズームレンズ鏡筒110が非撮影時にあるときには、第1の枠である上記固定枠130内に収納され、同交換式ズームレンズ鏡筒110が撮影時にあるときには、第1の枠である上記固定枠130内より露出して配設され、かつ光軸O周りに手動によって回転可能に配設される。
一方、上記第2の枠である操作環保持枠129は、後述するズーム駆動ユニット136の回転駆動力を回転枠131を介して受けることによって、上記固定枠130(第1の枠)に対して光軸Oに沿う方向に進退移動してズーミングに寄与する駆動枠部材としても機能する枠部材である。
即ち、操作環保持枠129は、前後に開口を有し全体が略円筒形状に形成されている。操作環保持枠129の外周面上には、前端寄りの部位に周方向に全周に亘って形成されたリブ129fと、後端縁部に同様に周方向に全周に亘って形成された外向フランジ部129gとを有して形成されている。そして、操作環保持枠129の外周面上において、リブ129fよりも前端寄りの部位に距離環134を光軸O周りに回転自在に保持する距離環保持部129eが形成されている。この距離環保持部129eの外周面上に距離環134が光軸周りに回動自在に配設されている。また、操作環保持枠129の外周面上において、リブ129fと外向フランジ部129gとによって形成される周溝部分129dには、上記距離環134よりもやや幅広のズーム環133が光軸O周りに所定範囲内において回転自在に配置されている。つまり、上述したように、上記距離環134と上記ズーム環133とは、上記第2の枠である操作環保持枠129と共に光軸Oに沿う方向に移動可能に配設されている。
そして、操作環保持枠129の外周面(周溝部分129d)とズーム環133の内周面との間には、フレキシブルプリント基板141(の主要部141a)及び接点部材142が配設されている。さらに、操作環保持枠129の外周面(距離環保持部129e)と距離環134の内周面との間には、フレキシブルプリント基板141(の一部である腕部141bの一部)が配設されている。
なお、操作環保持枠129は、実際には三つの構成部材が一体化されて構成されているものであるが、その詳細については後述する(図16〜図18参照)。また、フレキシブルプリント基板141及び接点部材142についての詳細構成についても後述する。
また、上記外向フランジ部129gの外周面上には、径方向外方に向けて複数(本実施形態においては三つ)の直進キー129hが突設されている。この複数の直進キー129hは、操作環保持枠129の外内周面において周方向に略等間隔を置いて形成配置されている。そして、上述したように、当該複数の直進キー129hは、それぞれが固定枠130の各直進溝130aに摺動自在に係合している。これにより、操作環保持枠129は固定枠130に対して光軸O周りに回転するのを規制されている。
一方、操作環保持枠129の内周面上には、複数の螺旋状のカム溝129aと、複数のバヨネット溝129bと、複数の直進溝129cとが形成されている。カム溝129aは所定のカム曲線を有し、操作環保持枠129の内周面において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)形成されている。このカム溝129aのそれぞれには、後述するカム枠126のカムピン126aが回転枠131の直進溝132cを介してカム結合している。なお、図15の展開中の矢印Zに図14の構成が配置されている。また、バヨネット溝129bは、操作環保持枠129の内周面の後端縁部近傍において周方向に形成された複数の有底溝部である。このバヨネット溝129bの各有底溝部の一端は、光軸Oに沿う方向に延出する溝部によって後端側に向けて開放されている。バヨネット溝129bも操作環保持枠129の内周面において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)形成されている。各バヨネット溝129bには、後述する回転枠131の各バヨネット爪131dがバヨネット係合している。これにより、操作環保持枠129と回転枠131とは相対的に所定の範囲内で回動自在とされ、かつ光軸O方向には一体に移動し得るように構成されている。そして、直進溝129cは、光軸Oに沿う方向に前端から後端まで直線的に延設された有底溝である。この直進溝129cも操作環保持枠129の内周面において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)形成されている。各直進溝129cには、後述する直進枠127の各直進キー127bが係合している。これにより、操作環保持枠129は、直進枠127の光軸Oに沿う方向の移動をガイドすると共に、同光軸O周りの回転規制をしている。
操作環保持枠129の内側の空間にはズーム駆動ユニット136が配設されている。このズーム駆動ユニット136は、固定枠130に対して固定されている。ズーム駆動ユニット136は、撮影光学系のうちズーム動作に寄与するレンズ群を保持するレンズ保持枠を光軸Oに沿う方向に移動させるための駆動機構を備えた構成ユニットである。ズーム駆動ユニット136は、ズームレンズモータ136aと、複数のギアー等からなる駆動力伝達機構136bと、ロングギア136cと、これらの構成部材を収納する筐体部136d及び蓋部136e等によって構成されている。ズーム駆動ユニット136の基本的な構成は、従来一般に実用化されているものと同様の機構が適用されている。したがって、その詳細構成の説明は省略する。このズーム駆動ユニット136の駆動力は、上記ロングギア136cを介して後述する回転枠131(のセクタギア131e)へと伝達され、当該回転枠131を回転駆動することによって、上記各レンズ保持枠を光軸Oに沿う方向に進退移動させ得る。
また、操作環保持枠129の内側には、回転枠131の一部(後述のフォーク状腕部131b)が内挿されている。回転枠131は、全体が略円環形状に形成され、外周縁部の一部から光軸Oに沿って前方に向けて延出し無蓋溝部131cを有するフォーク状腕部131bを有して形成されている。この場合において、フォーク状腕部131bは、回転枠131の最外周面よりも径方向に内側に若干寄った位置から前方に向けて延出するように形成されている。フォーク状腕部131bの無蓋溝部131cには、カム枠126の複数のカムピン126aのうちの一本が挿通している。なお、このカムピン126aは、上述したように、操作環保持枠129のカム溝129aにカム結合している。また、回転枠131の外周面上には、径方向外方に向けて複数(本実施形態においては三つ)のカムピン131aが突設されている。このカムピン131aは、回転枠131の外周面において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)形成されている。この複数のカムピン131aは、固定枠130の各カム溝130bにカム結合している。つまり、回転枠131は、操作環保持枠129の内側にフォーク状腕部131bが内挿された状態で、かつ最後端縁部の最外周面が固定枠130内側に内挿された状態で配置されている。さらに、回転枠131の外周縁部近傍の前面側には、複数のバヨネット爪131dが形成されている。この複数のバヨネット爪131dは、回転枠131の周面上において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)形成されている。バヨネット爪131dは回転枠131の環状部の光軸前方の端面から光軸方向に突出した突出先端からさらに径方向外方に向かって突出した庇状の凸形状を有している。すなわち、光軸を含む、つまり光軸と平行な平面で、このバヨネット爪131dを断面にすると径方向に開放された鉤状になっている。この形状により各バヨネット爪131dは、操作環保持枠129の各バヨネット溝129bにバヨネット係合している。そして、回転枠131の内周縁部の一部には、内歯ギアであるセクタギア131eが形成されている。このセクタギア131eには、上記ズーム駆動ユニット136のロングギア136cが噛合している。これにより、回転枠131は、ズーム駆動ユニット136からの駆動力を受けて光軸O周りに所定の範囲内で回転し得るように構成されている。
回転枠131の一部(フォーク状腕部131b)の内側には、カム枠126が内挿されている。カム枠126は、前後に開口を有し全体が略円筒形状からなり、前端縁部には内向フランジ126gを有して形成されている。カム枠126の外周面上には後端縁部近傍に、径方向外方に向けて複数(本実施形態においては三つ)のカムピン126aが突設されている。このカムピン126aは、カム枠126の外周面において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)形成されている。各カムピン126aは、回転枠131のフォーク状腕部131bの無蓋溝部131cを挿通した後、操作環保持枠129のカム溝129aにカム結合している。また、カム枠126の内周面には、複数のカム溝(26c,26d)と複数のバヨネット溝126fとが形成されている。このうち、第1カム溝126cは、カム枠126の内周面において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)形成されている。各第1カム溝126cには、上述したように、直進枠127の第1直進溝127cを挿通した後の1群保持枠121の各カムピン121aがカム結合している。第2カム溝126dも、カム枠126の内周面において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)形成されている。各第2カム溝126dには、上述したように、直進枠127の第2直進溝127dを挿通した後の2群保持枠122の各カムピン122aがカム結合している。また、バヨネット溝126fは、カム枠126の内周面の後端縁部近傍において周方向に形成された複数の有底溝部である。このバヨネット溝126fの各有底溝部の一端は、光軸Oに沿う方向に延出する溝部によって後端側に向けて開放されている。バヨネット溝126fもカム枠126の内周面において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)形成されている。各バヨネット溝126fには、後述する直進枠127の各バヨネット爪127aがバヨネット係合している。これにより、カム枠126と直進枠127とは相対的に所定の範囲内で回動自在とされ、かつ光軸O方向には一体に移動し得るように構成されている。
カム枠126の内側には、直進枠127が内挿されている。直進枠127は、前後に開口を有し全体が略円筒形状からなり、後端縁部には外向フランジ127fを有して形成されている。直進枠127の円筒部には、複数の直進溝(127c,127d)が形成されている。これら複数の直進溝(127c,127d)は、いずれも径方向に貫通した形態の貫通溝である。このうち、第1直進溝127cは、直進枠127の円筒部において周方向に略等間隔を置いて、円筒部前端面から円筒部後端面まで開放された溝状に複数(本実施形態においては三本)形成されている。各第1直進溝127cには、上述したように、1群保持枠121の各カムピン121aが挿通している。また、第2直進溝127dも直進枠127の外周面において周方向に略等間隔を置いて、円筒部前端面から円筒部後端面まで開放された溝状に複数(本実施形態においては三本)形成されている。各第2直進溝127dには、上述したように、2群保持枠122の各カムピン122aが挿通している。
また、直進枠127の後端縁部の外向フランジ127fには、その外周面上において径方向外方に向けて複数(本実施形態においては三つ)の直進キー127bが突設されている。この直進キー127bは、直進枠127の外周面において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)形成されている。各直進キー127bは、操作環保持枠129の各直進溝129cに係合している。さらに、直進枠127には、当該直進枠127の外周面において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)の径方向外方に延びたバヨネット爪127aが形成されている。各バヨネット爪127aは、カム枠126のバヨネット溝126fにバヨネット係合している。
さらに、直進枠127の円筒部内周面には、径方向に向かって延びた固定突部127gが、円周方向に当分に互いに離間して複数個設けられている。固定突部127gには光軸と平行なねじ下穴としての貫通孔がそれぞれに設けられている。
直進枠127の内側には、2群保持枠122の一部(第2腕部122b)と、移動枠128とが内挿されている。移動枠128は、前後に開口を有し全体が略円筒形状によって形成されている。移動枠128の内周面上の後端縁部近傍には、直進枠127と一体化させるための円柱状の止めボス128aが光軸方向と平行に、直進枠127の固定突部127gそれぞれと対向するように複数(本実施形態においては三つ)突設されている。この複数の止めボス128aは、移動枠128の内周面において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)形成されている。
また、移動枠128の内側の一部には、フォーカス駆動ユニット135が固設されている。フォーカス駆動ユニット135は、3群保持枠123に保持されるフォーカスレンズ群である第3レンズ群113を適宜光軸Oに沿う方向に移動させるための駆動機構を備えた構成ユニットである。フォーカス駆動ユニット135は、合焦レンズモータ135aと、リードスクリュー135bと、ブラケット135c(モータ支持板)と、ナット135d等の各種構成部材によって構成されている。フォーカス駆動ユニット135の基本的な構成は、従来一般に実用化されているものと同様の機構が適用されている。したがって、その詳細構成の説明は省略する。
さらに、移動枠128の内側には、第3レンズ群113を保持する3群保持枠123が、光軸Oに沿う方向に移動自在となるように配設されている。
また、上記2群保持枠122の一部(第2腕部122b)の内側には、1群保持枠121が内挿保持されることになる。
直進枠127と移動枠128とは、止めボス128aの貫通孔を貫通して固定突部127gに螺合した止めねじ128cにより一体化される。この一体化は、直進枠127がカム枠126に内挿され、バヨネット機構のバヨネット溝126fとバヨネット爪127aで直進枠127がカム枠126に結合した後、1群保持枠121,アパーチャユニット137を含む2群保持枠122,3群保持枠123とフォーカス駆動ユニット135とを含む移動枠128が順次、直進枠127の中に内挿された後に上記止めねじ128cにより一体化される。
ところで、上述したように、操作環保持枠129は、その外周面上に距離環134とズーム環133とが光軸O周りに回転自在に配置されている。そのために、操作環保持枠129は、次のような構造からなる。図16〜図18は、本実施形態の交換式ズームレンズ鏡筒における操作環保持枠129と、これに取り付けられる環状操作部材(ズーム環,距離環)とを示す要部拡大断面図である。このうち、図16は、操作環保持枠と環状操作部材(ズーム環,距離環)との配置関係を主に示している。図17は、操作環保持枠の第1部材と第2部材との連結部を特に示している。図18は、操作環保持枠におけるフレキシブルプリント基板の配置を示している。
操作環保持枠129は、図16に示すように、いずれも略円環形状に形成される第1部材129mと、第2部材129nと、第3部材129pとの三つの構成部材が一体化した形態で構成されている。
第1部材129mは、操作環保持枠129の前半部を構成し、外周面に距離環保持部129eの一部が形成されている。第2部材129nは、操作環保持枠129の主要部を構成し、外周面に距離環保持部129eの一部と、リブ129f(フランジ部)と、ズーム環133が配設される周溝部分129dとを形成している。第3部材129pは、操作環保持枠129の後半部を構成し、外向フランジ部129gを形成している。第2部材129nと第3部材129pとは、複数のビス129qによって固定されている。この複数のビス129qは、略円環形状の第3部材129pの後端面の周面上において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)配設されている。
したがって、ズーム環133は、第2部材129nの後側から嵌入され同第2部材129nの外周面上に装着された後、第2部材129nと第3部材129pとがビス129qによって締結固定される。これにより、ズーム環133は、周溝部分129dにおいて光軸O方向に移動規制され、同方向への脱落が抑止された状態で、光軸O周りに回動自在に配設されている。
一方、第1部材129mには、図17に示すように、略円環形状の後端面より光軸Oに沿う方向に後方に向けて延出し、先端に係止爪部129mbを有する係止腕部129maが形成されている。この係止腕部129maは、略円環形状の第1部材129mの後端面の周面上において周方向に略等間隔を置いて複数(本実施形態においては三本)配設されている。そして、第2部材129nの内周面上には、上記各係止爪部129mbに対応する部位に被係止突起129naが形成されている。したがって、第1部材129mと第2部材129nとを連結させるには、第2部材129nの前面側から第1部材129mを嵌入、装着し、上記各係止爪部129mbを上記各被係止突起129naに係合させる。そのために、上記各係止腕部129maは、弾性を有して形成されていて、前面側から装着される係止腕部129maは、弾性により撓むことで被係止突起129naを乗り越えた後、係止爪部129mbの凹部に被係止突起129naが嵌まり込むことによって、第1部材129mと第2部材129nとは一体化されるように構成されている。
他方、上述したように、操作環保持枠129の外周面(周溝部分129d)とズーム環133の内周面との間には、フレキシブルプリント基板141が周方向に延設されている。このフレキシブルプリント基板141の一端寄りの一部領域には、ズーム環133の回転位置を検出するズーム環エンコーダの一部を構成する接点パターン(不図示)が形成された主要部141aが設けられている。そして、この主要部141aの接点パターンに対向するズーム環133の内周面の所定部位には、上記ズーム環エンコーダの他の一部を構成する接点部材142が固設されている。したがって、当該交換式ズームレンズ鏡筒110が使用可能な撮影時の状態とされたときに、使用者(ユーザ)の手動操作によってズーム環133が回動操作されると、その回動操作に伴って接点部材142も同方向に回動して、当該接点部材142は上記接点パターン上を摺動する。これによって、上記ズーム環エンコーダ(141a,142)から発生する信号を受けて、後述するレンズ側制御部151(図19参照)は、当該ズーム環133の回転方向や回転量,操作時間等を検出する。
なお、ズーム環133は、所定の回転角度の範囲内を回動し得るように構成されている。具体的には、例えばズーム環133は、操作されていない通常状態においては、所定の回動範囲内のうちの所定の中立位置に常に配置されている。そして、使用者(ユーザ)が手動操作を行うことによってズーム環133が回動されたときには、その操作に従って所定の回動角度の範囲内でのみ回動する。そうして、使用者(ユーザ)によるズーム環133の手動操作が終わると、即ち使用者(ユーザ)がズーム環133から手を離すと、当該ズーム環133は、所定の中立位置に復帰するように構成されている。
また、操作環保持枠129の外周面(距離環保持部129e)と距離環134の内周面との間には、フレキシブルプリント基板141(の一部である腕部141bの一部)が配設されている。
詳述すると、上記フレキシブルプリント基板141の他端寄りの一部領域には、光軸Oに沿う方向に前方に向けて延出する複数の腕部141b(本実施形態では二つ)が形成されている。この複数の腕部141bの各先端部位には、距離環エンコーダの一部を構成する位置検出センサ144がそれぞれに実装されている。ここで、位置検出センサ144としては、例えばフォトインタラプタ(PI)等が適用される。そして、上記フレキシブルプリント基板141の複数の腕部141bの先端部位は、図18に示すように、第2部材129nの一部に形成された貫通孔129ncを挿通して、上記操作環保持枠129の外周面上における距離環保持部129e上に延出している。これにより、上記複数の腕部141bの先端部位の各位置検出センサ144(二つ)は、上記操作環保持枠129の距離環保持部129e上に配置されている。そして、これらの位置検出センサ144に対向する距離環134の内周面の幅方向略中央部には、周方向に一周に亘って内方に向けて突設された一条のクシ歯134aが形成されている。このクシ歯134aは、上記距離環エンコーダの他の一部を構成する部位であり、上記位置検出センサ144に作用する。したがって、当該交換式ズームレンズ鏡筒110が使用可能な撮影時の状態とされたときに、使用者(ユーザ)の手動操作によって距離環134が回動操作されると、その回動操作に伴ってクシ歯134aも同方向に回動して、当該クシ歯134aは上記位置検出センサ144に作用する。これによって、上記距離環エンコーダ(134a,144)から発生する信号を受けて、後述するレンズ側制御部151(図19参照)は、当該距離環134の回転方向や回転量,操作時間等を検出する。
ここで、本実施形態の交換式ズームレンズ鏡筒と、この交換式ズームレンズ鏡筒が装着されるカメラ本体のそれぞれの電気的な構成のうち本発明に関連する部分の電気的な構成を、図19のブロック構成図を用いて説明する。
図19に示すように、本実施形態の交換式ズームレンズ鏡筒110は、カメラ本体200に装着されて使用される。この場合において、交換式ズームレンズ鏡筒110とカメラ本体200との間の電気的な接続は、カメラ本体200に対して交換式ズームレンズ鏡筒110を装着したときに、レンズ側のマウント環132(図19では不図示)に設けられるレンズ側通信接点132aと、カメラ本体200側のマウント部(不図示)に設けられるカメラ側通信接点203とが接触することによって確保される。
カメラ本体200側には、カメラ全体を制御するための制御回路であるカメラ側制御部201が設けられている。このカメラ側制御部201としては、例えばエーシック(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)等と呼ばれる集積回路が適用される。このカメラ側制御部201には、カメラ本体200側の各種の構成部材が電気的に接続されていて、これら各種の構成部材からの各種の信号が入力され、またこれら各構成部材への制御信号が出力されるように構成されている。例えば、カメラ側制御部201には電源スイッチ202等の操作部材が接続されていて、これら電源スイッチ202等の操作部材からの指示信号がカメラ側制御部201へと入力されるように構成されている。また、このカメラ側制御部201からの制御信号は、カメラ側通信接点203,レンズ側通信接点132aを介して交換式ズームレンズ鏡筒110のレンズ側のレンズ側制御部151へと伝達され得るように構成されている。これにより、カメラ側制御部201は、レンズ側制御部151と連携して交換式ズームレンズ鏡筒110を制御する。
本実施形態の交換式ズームレンズ鏡筒110は、図19に示すように、レンズ側制御部151と、合焦レンズ駆動部(ドライバ)152と、合焦レンズモータ135aと、ズームレンズエンコーダ153と、合焦レンズエンコーダ154と、ズームレンズ駆動部(ドライバ)155と、ズームレンズモータ136aと、ズーム環エンコーダ(141a,142)と、距離環エンコーダ(134a,144)と、レンズ側通信接点132a等の電気的構成部材を有する。
レンズ側制御部151は、上記カメラ側制御部201と連携して当該交換式ズームレンズ鏡筒110を制御するための制御回路である。このレンズ側制御部151としては、例えばエーシック(ASIC;Application Specific Integrated Circuit)等と呼ばれる集積回路が適用される。
合焦レンズ駆動部(ドライバ)152は、上記レンズ側制御部151からの制御信号を受けて上記フォーカス駆動ユニット135に含まれる合焦レンズモータ135aを駆動するためのドライバ(駆動回路)である。
ズームレンズエンコーダ153は、当該交換式ズームレンズ鏡筒110における撮影光学系を構成する複数のレンズ群のうちズーム動作に寄与する可動レンズ群(第1レンズ群111,第2レンズ群112)の光軸O方向の位置検出を行う検出センサである。なお、ズームレンズエンコーダ153は図11〜図15においては特に図示していない。
合焦レンズエンコーダ154は、当該交換式ズームレンズ鏡筒110における撮影光学系を構成する複数のレンズ群のうち合焦動作(フォーカス動作,焦点調節動作)に寄与する可動レンズ群(第3レンズ群113)の光軸O方向の位置検出を行う検出センサである。なお、合焦レンズエンコーダ154は図11〜図15においては特に図示していない。
ズームレンズ駆動部(ドライバ)155は、上記レンズ側制御部151からの制御信号を受けて上記ズーム駆動ユニット136に含まれるズームレンズモータ136aを駆動するためのドライバ(駆動回路)である。
ズーム環エンコーダは、上述したように、フレキシブルプリント基板141の主要部141aの接点パターンと、上記接点部材142とによって構成され、ズーム環133の回転方向や回転量を検出する検出センサである。
距離環エンコーダは、上述したように、距離環134のクシ歯134aと、フレキシブルプリント基板141の腕部141bに実装された位置検出センサ144とによって構成され、距離環134の回転方向や回転量を検出する検出センサである。
レンズ側通信接点132aは、上述したように、マウント環132に複数設けられ、カメラ本体200に当該交換式ズームレンズ鏡筒110が装着された状態となったときに、両者間を電気的に接続するための電気接点部材である。
このように構成された本実施形態の交換式ズームレンズ鏡筒110は、対応するカメラ本体200に装着されて使用される。両者が接続されている状態においては、通常の場合、カメラ本体200の電源スイッチ202がオフ状態にあるとき、つまり撮影を行わない非撮影時には、当該交換式ズームレンズ鏡筒110は、図13に示す沈胴状態となっている。このように非撮影時の沈胴状態にあるとき、交換式ズームレンズ鏡筒110における操作環保持枠129は、固定枠130の内側に収納された状態となる。つまり、この非撮影時の状態においては、操作環保持枠129(第2の枠)と共に環状操作部材(第3の枠;ズーム環133,距離環134)は、固定枠130(第1の枠)内部に収納されている。このとき、固定枠130(第1の枠)は、カメラ本体の外観に露呈された形態となり、カメラ本体の一部を構成する外装部材となっている。なお、本実施形態の構成例は、非撮影時の状態において、環状操作部材(第3の枠;ズーム環133,距離環134)は、その光軸O方向の全長が全て固定枠130(第1の枠)の内部に収納されるように構成した例である。この例に限られることはなく、例えば、非撮影時に第3の枠であるズーム環133(若しくは距離環134)の一部が固定枠130(第1の枠)の内部に収納するような構成であってもよく、他の一部が固定枠130の外部に露呈するような形態としてもよい。
この沈胴状態において、カメラ本体200の電源スイッチ202が、例えば使用者(ユーザ)の操作等によってオン状態にされると、その指示信号を受けてカメラ本体200のカメラ側制御部201は、カメラのメインシーケンスを実行する。その初期段階において、図20に示すレンズ繰り出し処理が実行される。
上記レンズ繰り出し処理が実行されると、当該交換式ズームレンズ鏡筒110は、図13の沈胴状態から撮影が可能な状態、例えば図11に示すワイド状態若しくは図12のテレ状態のいずれかの位置へと変位するレンズ繰り出し動作が行なわれる。そして、当該交換式ズームレンズ鏡筒110が撮影可能な状態(撮影時の状態)になると、上記操作環保持枠129(第2の枠)は、環状操作部材(第3の枠;ズーム環133,距離環134)と共に、固定枠130の内側から前方に繰り出された状態となり、その外周面上に配設されている環状操作部材(第3の枠;ズーム環133,距離環134)は外部に露呈した状態になる。そして、この状態においては、環状操作部材(第3の枠;ズーム環133,距離環134)は、当該交換式ズームレンズ鏡筒110内のレンズ(撮影光学系)を光軸Oに沿う方向に駆動するために、例えば光軸O周りに手動によって回転し得る。
ここで、本実施形態の交換式ズームレンズ鏡筒110の作用の概略を説明する。まず、当該交換式ズームレンズ鏡筒110が沈胴状態にあるときに、カメラ本体200の電源スイッチ202が、例えば使用者(ユーザ)の操作等によってオン状態にされることによって、カメラが起動し、レンズ繰り出し処理が行われる。
上記電源オン操作によって、カメラが起動すると、カメラ側制御部201は、レンズ側制御部151と連携してズームレンズ駆動部155を介して上記ズーム駆動ユニット136のズームレンズモータ136aを駆動させる。これを受けて、ズームレンズモータ136aが回転駆動されると、その駆動力はズーム駆動ユニット136を介して回転枠131に伝達される。即ち、ズーム駆動ユニット136のロングギア136cが回転することによって、これに噛合するセクタギア131eを介して回転枠131が回転する。回転枠131のカムピン131aは、固定枠130のカム溝130bにカム結合しているので、回転枠131は、回転しつつ前方へと所定の位置まで繰り出される。
これと同時に、回転枠131のフォーク状腕部131bの無蓋溝部131cには、カムピン126aの一本が係合しているので、回転枠131が回転すると、その回転駆動力はカム枠126を同方向に回転させる。カム枠126のカムピン126aは、操作環保持枠129のカム溝129aにカム結合しているので、カム枠126が回転すると、その回転駆動力は操作環保持枠129へと伝達される。しかし、操作環保持枠129の直進キー129hが固定枠130の直進溝130aに係合しているので、操作環保持枠129は回転規制されている。したがって、操作環保持枠129は、上記カム枠126の回転駆動力を受けて回転規制されつつ前方へ所定の位置まで繰り出される。
また、カム枠126の第1カム溝126cと1群保持枠121のカムピン121aとがカム結合している。このとき、1群保持枠121は、カムピン121aが直進枠127の第1直進溝127cに係合しているので回転規制されている。したがって、カム枠126が回転すると、1群保持枠121は回転規制されつつ前方へ所定の位置まで繰り出される。
このようにして、沈胴状態(図13)にあった当該交換式ズームレンズ鏡筒110は、撮影時における(撮影可能な)所定の状態、例えばワイド状態(図11)若しくはテレ状態(図12)のいずれかの位置、即ち設定可能なズーム端位置のいずれかの状態となる。
この状態において、使用者(ユーザ)がズーム環133の回転操作を行うと、ズーム環エンコーダ(141a,142)からの信号がレンズ側制御部151を介してカメラ側制御部201へと伝達される。これを受けて、カメラ側制御部201は、レンズ側制御部151と連携してズームレンズ駆動部155を介して上記ズーム駆動ユニット136のズームレンズモータ136aを駆動させて、操作に応じたズーム駆動制御(ズーミング制御)を実行する。
この場合において、ズームレンズモータ136aの駆動力は、回転枠131を回転させ、その回転駆動力はカム枠126を回転させる。ここで、カム枠126の第2カム溝126dと2群保持枠122のカムピン122aとはカム結合している。また、2群保持枠122は、カムピン122aが直進枠127の第2直進溝127dに係合していることにより回転規制されている。したがって、カム枠126が回転すると2群保持枠122は回転規制されつつ光軸Oに沿う方向にズーム環133の操作に応じた所定量だけ進退移動する。同時に、カム枠126が回転すると、上述したように同様の構成によって、1群保持枠121も回転規制されつつ光軸Oに沿う方向にズーム環133の操作に応じた所定量だけ進退移動する。これにより、第1レンズ群111,第2レンズ群112が光軸O上における所定の位置に配置され、操作に応じたズーム駆動が実行される。
また、同時に合焦レンズ群である第3レンズ群113を保持する3群保持枠123もテレ状態若しくはワイド状態での位置からのズーム操作に応じて、以下に説明する機構の作用と同様に駆動される。
また、使用者(ユーザ)が距離環134の回転操作を行うと、距離環エンコーダ(134a,144)からの信号がレンズ側制御部151を介してカメラ側制御部201へと伝達される。これを受けて、カメラ側制御部201は、レンズ側制御部151と連携して合焦レンズ駆動部152を介してフォーカス駆動ユニット135の合焦レンズモータ135aを駆動させて、操作に応じた合焦駆動制御(フォーカシング制御)を実行する。
なお、この場合において、合焦駆動制御は概略次のような作用となる。即ち、合焦レンズモータ135aが駆動すると、リードスクリュー135bが回転する。すると、これに螺合しているナット135dがリードスクリュー135bの軸線上を進退移動する。これによって、同ナット135dに当接配置されている3群保持枠123が光軸Oに沿う方向に操作に応じた所定量だけ進退移動する。これによって結像状態が変化するので、使用者(ユーザ)は、カメラ本体200に設けられた表示装置,ファインダ装置等(不図示)を観察しながら焦点調節を行う。このようにして、使用者(ユーザ)が距離環134を手動操作して行う手動焦点調節操作が実行される。
ここで、図20を用いて本実施形態の交換ズームレンズ鏡筒が装着されたカメラの起動時におけるレンズ繰り出し処理シーケンスを説明する。なお、カメラのメインシーケンスの詳細については、従来一般のカメラと略同様であるものとして、その説明は省略する。
上述したように、当該交換式ズームレンズ鏡筒110が沈胴状態にあるとき、カメラ本体200の電源スイッチ202が、例えば使用者(ユーザ)の操作等によってオン状態にされると、カメラのメインシーケンスが実行され、図20のレンズ繰り出し処理が開始される。
まず、図20のステップS101において、カメラ側制御部201は、レンズ側制御部151と連携して、ズームレンズ駆動部155を介してズームレンズモータ136aを駆動制御し、ズームモータ繰り出し駆動処理を実行する。ズームモータ繰り出し駆動処理は、上記ズームレンズモータ136aの駆動力を用いて、沈胴状態にある当該交換式ズームレンズ鏡筒110の撮影光学系を撮影可能な撮影時の状態(例えばワイド状態若しくはテレ状態、即ちズーム可能な領域のいずれか一方の端点に設定した状態)へと変位させる処理である。
続いてステップS102において、カメラ側制御部201は、ズームレンズエンコーダ153等からの出力に基づいて検出されたレンズ位置を確認して、所定の繰り出し駆動処理が完了したか否かの確認を行う。ここで、繰り出し完了が確認された場合には、次のステップS103の処理に進む。
ステップS103において、カメラ側制御部201は、ズームレンズモータ136aを制御して、その駆動を停止させる。
続いて、ステップS104において、カメラ側制御部201は、レンズ側制御部151と連携して、合焦レンズ駆動部152を介して合焦レンズモータ135aを駆動制御し、合焦モータを所定の無限遠位置へと移動させる合焦モータ駆動処理を実行する。
ステップS105において、カメラ側制御部201は、合焦レンズエンコーダ154等からの出力に基づいて検出された合焦レンズ群(フォーカスレンズ群である第3レンズ群113)の光軸O上における位置を確認して、所定の無限遠位置(無限遠に焦点調節がなされる所定位置)に配置されたか否かの確認を行う。ここで、合焦レンズ群の無限遠位置が確認された場合には、次のステップS106の処理に進む。
ステップS106において、カメラ側制御部201は、合焦レンズモータ135aを制御して、その駆動を停止させる。その後、一連の処理を終了し、元の処理シーケンス(例えば不図示のメインシーケンス)に復帰する(リターン)。
なお、ステップS105においては合焦レンズ群(第3レンズ群113)を無限位置に置く設定としたが、これに限らず至近位置に設定してもよいし、特定の距離、例えば3mの距離の被写体に合焦させるように設定してもよい。
また、本サブルーチンでは、第1レンズ群111,第2レンズ群112を先に繰り出した後、合焦レンズ群である第3レンズ群113を繰り出す構成としたが、これに限らず、第1レンズ群111及び第2レンズ群112と第3レンズ群113とを交互に繰り出すようにしてもよい。これは、以下に説明する繰り込み時においても同様である。
一方、当該交換式ズームレンズ鏡筒110が撮影時の状態にあるとき、即ち図11に示すワイド状態と図12に示すテレ状態との間の任意の位置に撮影光学系が設定されている状態において、カメラ本体200の電源スイッチ202が、例えば使用者(ユーザ)の操作等によってオフ状態にされると、カメラ本体200のカメラ側制御部201は、図21のレンズ繰り込み処理を開始する。ここで、図21を用いて本実施形態の交換ズームレンズ鏡筒が装着されたカメラの電源オフ時におけるレンズ繰り込み処理シーケンスを説明する。
上述したように、カメラの使用時(撮影時)において、カメラ本体200の電源スイッチ202が、例えば使用者(ユーザ)の操作等によってオフ状態にされると、図21のレンズ繰り込み処理が開始される。
まず、図21のステップS111において、カメラ側制御部201は、レンズ側制御部151と連携して、合焦レンズ駆動部152を介して合焦レンズモータ135aを駆動制御し、合焦モータを所定の繰り込み位置へと移動させる合焦モータ駆動処理を実行する。
ステップS112において、カメラ側制御部201は、合焦レンズエンコーダ154等からの出力に基づいて検出された合焦レンズ群(フォーカスレンズ群である第3レンズ群113)の光軸O上における位置を確認して、所定の繰り込み駆動処理が完了したか否かの確認を行う。ここで、繰り込み完了が確認された場合には、次のステップS113の処理に進む。
ステップS113において、カメラ側制御部201は、合焦レンズモータ135aを制御して、その駆動を停止させる。
続いて、ステップS114において、カメラ側制御部201は、レンズ側制御部151と連携して、ズームレンズ駆動部155を介してズームレンズモータ136aを駆動制御し、ズームモータ繰り込み駆動処理を実行する。ズームモータ繰り込み駆動処理は、上記ズームレンズモータ136aの駆動力を用いて、各レンズ群の繰り込み動作を行って、最終的に沈胴状態へと変位させる処理である。
ステップS115において、カメラ側制御部201は、ズームレンズエンコーダ153等からの出力に基づいて検出されたレンズ位置を確認して、所定の繰り込み位置に配置されたか否かの確認を行う。ここで、所定の繰り込み位置への移動が確認された場合には、次のステップS116の処理に進む。
ステップS116において、カメラ側制御部201は、ズームレンズモータ136aを制御して、その駆動を停止させる。その後、一連の処理を終了し、元の処理シーケンス(例えば不図示のメインシーケンス)に復帰する(リターン)。
以上説明したように上記第2の実施形態は、非撮影時には撮影時より短縮状態となり撮影時には非撮影時より伸長した状態となる交換式ズームレンズ鏡筒110であって、固定枠130(第1の枠)と、この固定枠130に対し光軸O方向に進退可能な操作環保持枠129(第2の枠)と、操作環保持枠129と共に光軸O方向に移動可能で、非撮影時には固定枠130内に収納され、撮影時には固定枠130内より露出して、当該交換式ズームレンズ鏡筒110の内部に配置される可動レンズ群を光軸O方向に駆動するために光軸O周りに手動により回転可能なズーム環133若しくは距離環134(第3の枠)とを具備して構成している。
このような構成によって、上記第2の実施形態の交換式ズームレンズ鏡筒110においては、非撮影状態(沈胴状態)としたときには、回動可能なズーム環133若しくは距離環134のいずれか一方(第3の枠)、又はズーム環133(第3の枠)及び距離環134(第4の枠)の両方が共に、光軸O方向の全長が固定枠130内に収納されおり、外部には固定枠130が露呈している状態となっている。したがって、カメラ本体に対して交換式ズームレンズ鏡筒110を着脱する際には、使用者(ユーザ)は固定枠130の外周面上を把持して回転させる操作をすればよく、このとき常に固定枠130を把持して着脱操作が成されることになる。したがって、外観環状部品が不必要に回転してしまうことなく常に確実な着脱操作を迅速に行うことができる。
なお、本発明のズームレンズ鏡筒では、非撮影状態では固定枠130の前端面130dと、距離環134の前端面134c,操作環保持枠129の前端面129r,カム枠126の前端面126h,1群保持枠121の前端面121cとが光軸方向において略同じ位置にあるが、これらが必ずしも同じ位置にある必要はなく、沈胴時(非撮影状態)においていずれも固定枠130の前端面130dの位置に対しずれた位置にあってもよい。これら構成と共に、特に距離環134の少なくとも外周面の一部が固定枠130の内周面にあることにより、従来の沈胴式レンズ鏡筒よりも短縮化を図ることができる。また、本発明のレンズ鏡筒では、上記第1の環状部材と該第2の環状部材は光軸方向に並べられていて、上記撮影可能状態では、上記第1の環状部材は外周外観部の全てが光軸方向に露出され、上記第2の環状部材はカムストロークを適宜形成することにより少なくとも外観外周の一部が外部に露出され、上記撮影非可能状態では該第2の環状部材は、上記固定枠内に外周外観部の光軸方向の長さの全てが収納されることができる。
また、本発明のレンズ鏡筒では、非撮影状態においてカムストロークを適宜形成することにより上記第1の環状部材及び上記第2の環状部材の少なくとも一方の光軸方向前方の端面が上記固定枠の光軸前方の端面より光軸方向後方に位置させることができる。
また、本発明のレンズ鏡筒では、第2の環状部材をさらに有し、上記第1の環状部材と該第2の環状部材は光軸方向に並べられていて、上記撮影可能状態では、上記第1の環状部材の外観外周の全部と上記第2の環状部材の外観外周の全部が外部に露出され、上記撮影非可能状態では、上記第1の環状部材の外観外周の全部と上記第2の環状部材の外観外周の全部とが上記固定枠内に収納される、と言ってよい。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
本出願は、2013年1月25日に日本国に出願された特願2013−012435号と、2014年1月7日に日本国に出願された特願2014−001134号と、を優先権主張の基礎として出願するものである。上記各号の基礎出願により開示された内容は、本願の明細書と請求の範囲と図面に引用されているものである。