図1〜図16および図20は、本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置の要部の構成および種々の動作状態を示している。
図1は、レンズ群を沈胴させて収納した沈胴収納状態Dにおけるレンズ鏡胴10部分の構成を物体側から見た斜視図、図2は、図1の状態における要部の構成を結像面側から見た斜視図、図3は、レンズバリアを閉じた沈胴収納状態Dにおけるレンズ鏡胴10およびレンズバリアを含む光学系装置の構成を物体側から見た斜視図、図4は、図3の状態における要部の構成を結像面側から見た斜視図、図5は、レンズ群を突出させた撮影状態Pにおいて開いたレンズバリアを閉じようとしている状態におけるレンズ鏡胴10部分およびレンズバリア部分の要部の構成を結像面側から見た斜視図、図6は、レンズ群を突出させた撮影状態Pにおけるレンズ鏡胴10部分の要部の構成を結像面側から見た斜視図、図7は、第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠および衝突防止片の動作を説明するため、レンズ群の沈胴収納状態Dにおける第3レンズ保持枠、衝突防止片および第4レンズ保持枠部分の配置構成を物体側から見た斜視図、図8は、第3レンズ群を保持する第3レンズ保持枠および衝突防止片の動作を説明するため、レンズ群を突出した撮影状態Pにおける第3レンズ保持枠、衝突防止片および第4レンズ保持枠部分の配置構成を物体側から見た斜視図である。
図9は、レンズ群を突出した(a)望遠位置状態(撮影状態P。)と沈胴させて収納した沈胴収納状態D(単に沈胴状態ともいう。)およびレンズ群を突出した(b)広角位置状態(撮影状態P。)のレンズ鏡胴10における各レンズ群、レンズ保持枠ならびに各種レンズ鏡胴10の要部をそれぞれ示す縦断面図、図10は、第2の回転筒に形成されたカム溝の形状を展開して模式的に示す展開図、図11は、カム筒に形成されたカム溝の形状を展開して模式的に示す展開図、図12は、第1のライナーに形成されたカム溝およびキー溝の形状を展開し且つヘリコイドを省略して模式的に示す展開図、図13(a)は、固定枠の固定筒部に形成されたカム溝およびキー溝の形状を展開し且つヘリコイドを省略して模式的に示す展開図、図13(b)は、ヘリコイドを含む詳細図、図13(c)は、ヘリコイドに嵌合する第1の回転鏡胴の斜視図、図14(a)は、第3レンズ保持枠およびその駆動操作系の構成を示す側面図、図14(b)は、その斜視図、図15は、第3レンズ保持枠およびその駆動系の構成を示す斜視図、図16(a)は、第3レンズ保持枠の動作を説明するため、第3レンズ保持枠部分を物体側から見た正面図、図16(b)は、シャッタ部分の斜視図である。さらに、図20(a)は、第4レンズ保持枠およびその駆動操作系の要部の構成を具体的に示す斜視図、図20(b)は、その一部を省略し、角度を変えて見た斜視図である。
図1〜図16および図20において、レンズ鏡胴10を含む光学系装置は、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14、シャッタ/絞りユニット15、固体撮像素子16、第1レンズ保持枠17、カバーガラス18、ローパスフィルタ19、固定枠21、第1の回転筒22、第1のライナー23、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26、直進筒27、第3レンズ保持枠31、第3群主ガイド軸32、第3群副ガイド軸33、第3群リードスクリュー34、第3群雌ねじ部材35、衝撃防止片36、圧縮トーションスプリング37、第3群フォトインタラプタ38(図14(b)、図16(a)参照。)、第4レンズ保持枠41、第4群副ガイド軸42、第4群スプリング43(図7、図8参照。)、第4群主ガイド軸44、第4群リードスクリュー45、第4群雌ねじ部材46、第4群フォトインタラプタ47、ズームモータ51(図1参照。)、第3群モータ52、第4群モータ53、バリア制御片61、レンズバリア62、バリア駆動系63、ギア71,72,73,74、押さえ板81、および鏡胴ベース82を具備している。
なお、ズームモータ51はスプラインギヤ等と共にレンズ保持枠を駆動するレンズ保持枠駆動手段として機能する。
図9を参照して、撮影状態Pについて説明すると、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13および第4レンズ群14は、被写体である物体側から順次配列されるとともに、第2レンズ群12と第3レンズ群13の間に、シャッタ/絞りユニット15が、挿入配置され、第4レンズ群14の像面側には、撮像素子であるCCD(電荷結合素子。)等を用いて構成される固体撮像素子16が配置される。これら第1レンズ群11〜第4レンズ群14は、焦点距離可変のズームレンズを構成する。第1レンズ群11は、1枚以上のレンズからなり、該第1レンズ群11を一体的に保持する第1レンズ保持枠17を介して直進筒27に固定保持されている。この第1レンズ群11は、複数のレンズのうちの対物側に位置されるレンズ(対物レンズ。)を有することとなる。
第2レンズ群12は、1枚以上のレンズからなり、該第2レンズ群12を一体的に保持する第2レンズ保持枠(明確には図示されていない。)に形成されたカムフォロワが図11に示すカム筒26の第2レンズ群用のカム溝に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。シャッタ/絞りユニット15は、シャッタおよび開口絞りを含み、該シャッタ/絞りユニット15に一体的に形成されたカムフォロワが図11に示すカム筒26のシャッタ/絞り用のカム溝に挿通されて第2のライナー25の直進溝25aに係合し、これらカム筒26および第2のライナー25により支持されている。
固定枠21は、内方に円筒形状の固定筒部21aを有しており、固定筒部21aの内面には、図13(a)および図13(b)に示すように、軸方向に沿う直進溝およびカム溝が形成されており、ヘリコイド状のカム溝には、図13(c)に示すように第1の回転筒22の基端部外周面に形成されたヘリコイド状のカムフォロワが係合しており、固定枠21の固定筒部21aの直進溝には、第1のライナー23の基端部外周に突出形成されたキー部が係合している。第1の回転筒22の内面には光軸に直交する面に沿う案内溝が形成されており、第1のライナー23の基端部近傍の外周面に突設された直進案内部材であるフォロワ(またはキー。)が係合している。第1のライナー23の内面には、光軸方向に沿う直線溝とヘリコイドが形成され、さらに第1のライナー23には、第2の回転筒24の基端部近傍の外周面に突設されたカムフォロワを挿通するための逃げ溝が形成されている。
第2の回転筒24の基端部の外周面にはヘリコイドが形成され、第1のライナー23の内周に設けられたヘリコイドに螺合するとともに、該第2の回転筒24の基端部近傍の外周面に突設されたカムフォロワが、第1のライナー23のカムフォロアの逃げ溝を通して第1の回転筒22の内周に設けられた直線溝に係合している。第1のライナー23の内周に設けられた直線溝には第2のライナー25の基端部外周に突設されたキー部が係合している。第2の回転筒24の内面には光軸に直交する面に沿う案内溝が形成されており、第2のライナー25の外周面に突設された直進案内部材であるフォロワ(またはキー。)が係合している。このような構成により第2のライナー25は、光軸方向の移動については第2の回転筒24と一体的に移動するが、相対的には第2のライナー25に対して第2の回転筒24は回転移動できるようになっている。
第2のライナー25の内周に嵌合するカム筒26は、基端部外周に突設された係止突起が第2の回転筒24の基端部に嵌合係止して、第2の回転筒24と一体的に回転動作するようになっている。第2のライナー25の内面には光軸に直交する面に沿う案内溝が形成されており、カム筒26の外周面(前側。)に突設された直進案内部材であるフォロワ(またはキー。)が係合している。このような構成により、カム筒26は、光軸方向の移動については第2のライナー25と一体的に移動するが、相対的には第2のライナー25に対してカム筒26は回転移動できるようになっている。
直進筒27は、基端部側が第2の回転筒24と第2のライナー25の間に挿入されており、直進筒27の基端部近傍の外周面には、カムフォロワが突設され、前記カムフォロワが第2の回転筒24の内周面に形成されたカム溝に係合するとともに、直進筒27の内周面には軸方向に沿って直進溝が形成され、該直進溝に第2のライナー25の外周面のキー部が係合している。第1の回転筒22の基端部外周にはギア部が形成されており、ズームモータ51の駆動力が適宜ギアを介してギア伝達されて回動され、それによって第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15が、所定のごとくズーミング動作する。
なお、直進筒27のカムフォロワに係合する第2の回転筒24のカム溝が図10に示されている。第2レンズ群12のレンズ保持枠のカムフォロワに係合するカム筒26のカム溝およびシャッタ/絞りユニット15のカムフォロワに係合するカム筒26のカム溝が図11に示されている。第1のライナー23の第2の回転筒24のカムフォロアの逃げ道および第2のライナー25のキー部に係合する第1のライナー23の直線溝が図12に示されている。そして固定筒部21aの第1のライナー23のキー部に係合する固定枠21の直進溝、第1の回転筒22のカムフォロワに係合する固定枠21のカム溝が図13にそれぞれ示されている。
すなわち、一般に最外周の固定筒部21aに最も近い回転筒は、ヘリコイドによって固定筒部21aに螺合しており、ヘリコイドは、その形状から一定の速度で移動する。このため、収納位置(沈胴収納状態D。)から広角位置を経て望遠位置(共に撮影状態P。)へと漸次駆動される間の広角位置においては、回転筒は、半分ほど繰り出された状態となるのが、一般的である。これに対して、上述した構成においては、第1の回転筒22は、固定枠21の固定筒部21aと単にヘリコイド螺合するのではなくヘリコイド状のカム溝で係合しており、沈胴収納状態Dから広角位置への駆動により、第1の回転筒22は、最大繰り出し位置まで完全に繰り出し、その後は、図13に示すようにカム溝の物体側端部が固定筒部21aの端面に平行になっており、広角位置から望遠位置への駆動では第1の回転筒22は、回転筒を撮影光軸OA方向へ移動させることなく定位置で回転させる。
第1の回転筒22は、沈胴状態から広角位置へ移動する際、最初は回転しながら被写体側へ繰り出し、最大繰り出し位置に到達すると、前記固定枠21に設置された、例えばフォトリフレクタ、フォトインタラプタまたはリーフスイッチ等からなる、ズーム位置検出器によりズーム位置基準信号が発生する。したがって、このズーム位置基準信号が発生すると、第1の回転筒22が最大繰出し位置に達したと考えて良いので、退避レンズ保持枠、すなわち、この例では、第3レンズ保持枠31、が撮影光軸OA方向へ進入動作を開始できる。
したがって、繰り出し動作の早い段階で固定筒部21aに近接している鏡筒である第1の回転筒22と第1のライナー23を、完全に繰り出すことにより、後述する第3レンズ保持枠31を撮影光軸OA上に挿入するスペースをあらかじめ確保するようになっている。
後述するように、第1の回転筒22が最大繰出し位置に達するとすぐに前記ズーム位置基準信号が発生し、挿入のためのスペースが確保されてからすぐに第3レンズ保持枠31が挿入動作を開始するので、電源オン時等の沈胴状態から広角状態への移行の際の時間を最小に抑えることが可能となる。
第3レンズ群13は、第3レンズ保持枠31に保持されている。第3レンズ保持枠31は、一端(後述する第3レンズ保持部90。)に第3レンズ群13を保持しており、他端(後述する第3レンズ保持枠回動基部92。)が第3レンズ群13の光軸と実質的に平行な第3群主ガイド軸32によって回動可能に且つ第3群主ガイド軸32に沿ってスライド移動可能に支持されている。第3レンズ保持枠31は、図8に示すように撮影状態Pにおける撮影光軸OA上に第3レンズ群13を挿入した撮影位置(撮影状態P。)と、図7に示すように沈胴収納状態Dにおける第3レンズ群13を固定枠21の固定筒部21aから外部に退避した収納位置(沈胴収納状態D。)との間で第3群主ガイド軸32を中心として回動する。第3レンズ保持枠31が、収納位置すなわち撮影光軸OA上から退避された退避位置とされる際に、固定枠21内で固定筒部21aの外方の収容個所が収容空間21b(図16(a)参照。)であり、この収容空間21bと固定筒部21aの内方とが固定筒部21aに形成された切欠開口21c(図16(a)参照。)により連通されている。第3レンズ保持枠31の回動端側の第3レンズ群13の近傍には、この場合回動軸側と第3レンズ群13の支持部側とで主ガイド軸に平行な方向における位置を異ならせるクランク状の屈曲部(後述する第3レンズ保持枠アーム部91。)が形成され、該屈曲部からほぼ回動端方向にストッパ31a(図15参照。)および遮光片31bが突設されている。
光学性能上、望遠側の焦点距離を長くするためには、望遠時の第3レンズ群13の位置は、より被写体側へ繰り出した位置となる。但し、沈胴状態におけるレンズ鏡胴10の撮影光軸OA方向長さの制限により第3レンズ保持枠31の移動可能量は定まってしまう。第3レンズ保持枠31のレンズを保持する位置は、最も被写体側に設置することにより、望遠側焦点距離を可能な限り大きくすることが可能となる。しかしながら、ストッパ31aの撮影光軸OA方向の位置を、第3レンズ群13とほぼ同じ位置に設置してしまうと、第3群副ガイド軸33が長くなってしまいすなわち撮影光軸OA方向で見た第3レンズ保持枠31の厚さ寸法が大きくなってしまい、沈胴状態のレンズ鏡胴10が大きくなってしまう。このことにより、ストッパ31aは、可能な限り合焦位置側(固定撮像素子16側。)に設置することが必要となるために、第3レンズ保持枠31は、クランク状屈曲部(第3レンズ保持枠アーム部91。)を有する形状に形成される。なお、第3レンズ保持枠31は、2個の部品から構成されていても良く、その場合、一方は、前記クランク状屈曲部を備えた部材であり、他方は、第3レンズ群13を保持するための部材である。これら2個の部品は、相互に固定されてあたかも一体となって動作する。
図14(a)、(b)に示すように、第3レンズ保持枠31が退避位置の状態(沈胴収納状態D。)では第3群リードスクリュー34に螺合している雌ねじ部材35は最も像面側(固定撮像素子16側。)に位置している。また、この状態では、圧縮トーションスプリング37が最もチャージされた状態で、鏡胴正面から見て時計方向(撮影光軸OAへの進入方向。)のモーメントを常に第3レンズ保持枠(後述する第3レンズ保持枠回動基部92。)に与えている。第3レンズ保持枠31の第3群主ガイド軸32に支持されている部分(後述する第3レンズ保持枠回動基部92。)の円筒状の外周面には、図14(a)に示すような段差部31cの基端側内面にカム斜面形状のカム部31eが形成されている。この状態から第3群モータ52を図14(b)における時計方向(鏡胴正面から見て時計方向。)に回転させると、ギア71〜74からなるギア機構を介してリードスクリュー34が時計方向に回転し、雌ねじ部材35が撮影光軸OA方向に沿って被写体側へ移動する。この際には、圧縮トーションスプリング37からのモーメント力により、第3レンズ保持枠31が時計方向に回転し、そのカム部31eが雌ねじ部材35の当接部35aに当接係合している。その後、雌ねじ部材35がもっとも被写体側へ移動すると、第3レンズ保持枠31の遮光片31bが第3群の位置検出装置としてのフォトインタラプタ38から外れるまで移動するのでフォトインタラプタ38からL(低レベル。)からH(高レベル。)への基準信号が発生する。第3群レンズ群13は、フォトインタラプタ38からの基準信号を基準としてパルスカウントにより位置制御される。
雌ねじ部材35をこの状態より、図14(a)のB位置まで移動すると第3レンズ保持枠31が、さらに時計方向に回転し、ストッパ31aが、図8および図16(a)に示すように、第3群副ガイド軸33に当接することにより、第3レンズ保持枠31の撮影光軸OA上位置が規定される。これにて撮影光軸OA方向への進入動作が完了する。尚、遮光片31bは、図16(a)に示すフォトインタラプタ38を遮光することにより、収納位置にあることが検知確認できるようになっている。また雌ねじ部材35が図14(a)のB位置まで移動すると、雌ねじ部材35の当接部35aが第3レンズ保持枠31の段差部31cの前側係合部31dに当接係合する。すなわち、第3レンズ保持枠31の段差部31cは、基端側にカム斜面形状をなすカム部31eを有し、前端側に第3群主ガイド軸32とほぼ垂直に交わる平面を形成している前側係合部31dを有して円筒周面に対して凹状をなしている。第3レンズ保持枠31は、第3群主ガイド軸32の周囲に配設された圧縮トーションスプリング37によって、収納位置から撮影光軸OA上位置(撮影位置。)へ向かう回動方向に常時付勢されると共に第3群主ガイド軸32上において物体側から像面側の押さえ板81へ向かう方向(後方向。)に常時付勢されている。
なお、図14(b)に示すように、固定枠21の圧縮トーションスプリング37が押圧する部分は、図示のように圧縮トーションスプリング37が当接する部位近傍を凹所として段差37aが形成されて、この部分における圧縮トーションスプリング37の位置を規制している。すなわち、圧縮トーションスプリング37の中心位置は、第3群主ガイド軸32の中心から大きくずれないようになっている。
次に、雌ねじ部材35が広角位置(図14(a)のW位置。)まで移動する際は、雌ねじ部材35の当接部35aが前側係合部31dを押圧するので、第3レンズ保持枠31は、広角位置まで撮影光軸OA方向に沿って被写体側(物体側。)へ移動することが可能となる。
また、雌ねじ部材35が図14(a)のB位置から望遠位置(図14(a)のT位置。)までの間に位置している間は、圧縮トーションスプリング37によって、撮影光軸OA方向に沿って像面側に向かって常に押圧されているため、第3群リードスクリュー34や雌ねじ部材35と押さえ板81等の間に発生する隙間は、総て像面側へ寄せられるので、第3群レンズ保持枠31は撮影光軸OA方向についての位置精度を確保できるようになっている。
雌ねじ部材35は、撮影光軸OAに実質的に平行に配設された第3群リードスクリュー34に螺合し、前述した第3レンズ保持枠31の段差部31c内において、前側係合部31dまたはカム部31eに当接する当接部35aに加えて、第3群リードスクリュー34の回転に伴って雌ねじ部材35が回ってしまわないようにするための回転止めとして、固定枠21の固定筒部21aに形成された撮影光軸OA方向に平行なガイド溝に嵌合摺動する回転止め突起部35bが形成されている(図15参照。)。すなわち、雌ねじ部材35は、回転止め突起部35bが固定枠21のガイド溝に嵌合して回転が阻止されているので、第3群リードスクリュー34の回転によって、撮影光軸OAに沿って進退移動するのである。
図14(a)に詳細に示すように、雌ねじ部材35は、図14(a)のB位置よりも、さらに像面側(図示左側。)へ移動すると、第3レンズ保持枠31の段差部31cのカム部31eに当接係合し、第3レンズ保持枠31が圧縮トーションスプリング37の撮影光軸OA方向の付勢により押さえ板81に接触しており、圧縮トーションスプリング37による時計回動方向の付勢力に抗して第3レンズ保持枠31を反時計方向に回転させるので、退避動作を行う事が可能となる。
一方、第3群リードスクリュー34の逆回転(反時計方向回転。)により、雌ねじ部材35が望遠位置Tから広角位置Wを経て退避開始位置Bまで移動する間は、雌ねじ部材35の当接部35aが係合当接面にて第3レンズ保持枠31の段差部31cの前側係合部31dに当接しているので、圧縮トーションスプリング37の撮影光軸OA上位置への付勢力と像面側への付勢力によって第3レンズ保持枠31は、第3群副ガイド軸33に規制された撮影光軸OA上位置を維持しつつ物体側から像面側へと漸次移動する。なお雌ねじ部材35が退避開始位置Bに達すると、第3レンズ保持枠31の基端面31fが押さえ板81に当接し、雌ねじ部材35が前側係合部31dから離間して、段差部31cのカム部31eに当接する。
雌ねじ部材35が退避開始位置Bから収納位置Sまで移動する間は、雌ねじ部材35の当接部35aが第3レンズ保持枠31の段差部31cのカム部31eに摺接して、第3レンズ保持枠31を圧縮トーションスプリング37による回動付勢力に抗して回動させることにより、第3レンズ保持枠31は、撮影光軸OA上位置から収納位置へ回動する。第3レンズ保持枠31の収納位置Sは、HからLとなるフォトインタラプタ38による収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動した位置である。第3レンズ保持枠31が収納位置Sへ移動した後、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の収納位置への移動が許可される。この収納位置が、第3レンズ保持枠31の回動により第2レンズ群13を撮影光軸OA上から退避された状態の退避位置となる。
この例では、収納動作においては、第3レンズ保持枠31が収納位置へ移行する前に第4レンズ保持枠41がまず収納位置へ移行する。第4レンズ保持枠41の第1の収納位置は、第4群基準検出器(図示されていない。)によって発生するHからLとなる第4レンズ保持枠41の収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ像面側へ移動した位置である。第4群レンズ保持枠41の収納動作完了後、第3レンズ保持枠31の収納動作が許可される。
すなわち、フォトインタラプタ38(図16(a)。)によるHからLとなる収納基準信号の発生から所定のパルスカウント数だけ雌ねじ部材35が像面側へ移動して第3レンズ保持枠31の収納動作が完了する。この収納完了後に、第1の回転筒22を繰り込むようにしたり、第1の回転筒22および第1のライナー23よりも内方、すなわちそれらの基端面よりも前方に位置する構成部品が、第3レンズ保持枠31に接触する直前の位置よりも繰り込まれたりするのは、前述した第3レンズ保持枠31の収納動作完了以後とすることによって、第3レンズ保持枠31との干渉なしに安全に第1の回転筒22等を繰り込むことが可能となる。これら第1の回転筒22等の位置は、一般的なDC(直流。)モータを用いて構成したズームモータ51では、ズームモータ51の出力軸に直接固定されたエンコーダ形状を備えたピニオンギアとこの近傍に設置された例えばフォトインタラプタ51aからなるズームカウント検出器によって発生される駆動パルスのカウントで設定することが可能である。なお、ここでは、第1の回転筒22を移動させるための駆動源は、DCモータとし、エンコーダとフォトインタラプタによる検出器により駆動位置の検出を達成するようにしているが、これら全体をパルスモータに置き換えても同様の機能を達成することができることは明白である。
ところで、衝突防止片36は、特に図2、図7に示すように、第3群主ガイド軸32の近傍において固定枠21に回動可能に支持されており、回動端近傍の係止突起36aを撮影光軸OA位置側へ突出させる回動方向にスプリング等により常時付勢されている。第3レンズ保持枠31が、収納位置に位置しているときは、衝突防止片36は、自身付勢力以上の回動力を有する第3レンズ保持枠31によって押し出され、第3レンズ保持枠31よりも外方に偏倚されている(特に、図2および図7参照)。第3レンズ保持枠31が、回動して撮影光軸OA上位置に移動すると、衝突防止片36は、第3レンズ保持枠31との係合が解除され、付勢力によって、係止突起36aを撮影光軸OA側に突出させる方向に回動し、係止突起36aを固定枠21の固定筒部21a内面から突出させる。このとき、第1の回転筒22および第1のライナー23をはじめとして、第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26および直進筒27が、全て係止突起36aの突出位置よりも物体側に位置しているので、係止突起36aは、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端外周縁よりも内方に突出する(特に図5、図6および図8参照)。
このようにすることにより、仮に第1の回転筒22を手動にて無理やり回転させて収納位置側へ移動させようとしても衝突防止片が最初に第1の回転筒22に接触するため、第1の回転筒22の基端部は、撮影光軸OA方向については、衝突防止片36の位置よりも像面側へ移動させることができないので、第3レンズ保持枠31に接触することを回避することができる。したがって、強い外力による第3レンズ保持枠31の破壊または破損等の防止を達成することができる。なお、第1の回転筒22は、第3レンズ保持枠31が収納位置へ正常に移動完了した後に、はじめて収納位置へ移動できるようになる。
したがって、レンズ鏡胴10の一部分(可動鏡筒の一部分。)が突出している撮影状態Pにおいて、落下等により鏡胴の先端側に大きな圧力が加わった際に、第1の回転筒22および第1のライナー23に衝突防止片36の係止突起36aが係合し、第1の回転筒22および第1のライナー23(ならびに第2の回転筒24、第2のライナー25、カム筒26および直進筒27。)のそれ以上の第3レンズ群13側への後退を阻止し、第3レンズ保持枠31および第3レンズ群13の破損等を防止する。
第3群リードスクリュー34は、第3群モータ52によって順逆両方向に回転駆動される。第3群モータ52の回転は、ギア71、ギア72、ギア73およびギア74を順次介して第3群リードスクリュー34に伝達される。
次に、第4レンズ群14の駆動構成について説明する。図7および図8に加えて、主として第4群駆動系を示す斜視図である図20(a)、(b)を参照して説明する。
この場合、ピント合わせ、つまり合焦を行うフォーカスレンズとして用いられる第4レンズ群14は、図20(a)、(b)等に示すように第4レンズ保持枠41によって保持されている。第4レンズ保持枠41は、鏡胴ベース82に固定され且つ撮影光軸OAに平行に配置された第4群主ガイド軸44に嵌合するスリーブ部41aと、撮影光軸OAに平行で且つ鏡胴ベース82に固定された副ガイド軸42と嵌合して、第4レンズ保持枠41の回転を規制する回転止め部41bとを有している。このような構成により、第4レンズ保持枠41は、第4群主ガイド軸44に沿って、すなわち撮影光軸OA方向に沿って自由に移動することが可能となっている。第4レンズ保持枠41を駆動する駆動源としては、この場合ステッピングモータからなる第4群モータ53が設けられており、この第4群モータ53の出力軸には、第4群リードスクリュー45が形成されている。この第4群リードスクリュー45には、雌ねじが形成された第4群雌ねじ部材46が螺合している。
第4レンズ保持枠41は、第4群雌ねじ部材46を挿入する空間を有している。この空間は、像側に撮影光軸OAに垂直な面で第4群雌ねじ部材46に係合する係合部41cを有して形成され、この第4レンズ保持枠41を第4群スプリング43によって被写体側に付勢することにより、第4レンズ保持枠41は、常に第4群雌ねじ部材46に当接係合している。第4群雌ねじ部材46は、半径方向に突出する突出部46aを持ち、この突出部46aが、第4レンズ保持枠41の第4群雌ねじ部材46を挿入する空間の一側方に設けられた穴部41dに係合することによって、第4群雌ねじ部材46の回転止めの機能を呈している。
このようにして、ステッピングモータである第4群モータ53が回転駆動されると、第4群リードスクリュー45が回転し、第4群雌ねじ部材46が、第4群リードスクリュー45の方向、つまり撮影光軸OA方向に沿って、進退移動する。第4レンズ保持枠41は、この第4群雌ねじ部材46に係合しているので、この第4群雌ねじ部材46の移動に追従して第4レンズ保持枠41が撮影光軸OAに沿って移動する。このとき、第4群リードスクリュー45は、第4群モータ53の出力軸に形成されているが、第4群モータ53と第4群リードスクリュー45を別々に構成し、それらをギア等で連結することにより、回転を伝達するようにして第4群リードスクリュー45を回転させるようにしても良い。
第4レンズ保持枠41には、鏡胴ベース82に設けられた第4群フォトインタラプタ47の光路を遮光する遮光片41eが形成されており、第4群レンズ保持枠41の所定位置への移動によって、第4群フォトインタラプタ47の光路を遮光/透光させることができる。この場合、第4レンズ保持枠41の移動により遮光状態から透光状態になった瞬間を基準位置として認識し、その位置から任意のパルス数の分だけパルス波形の通電を行うことによって、第4群モータ53を回転させて第4レンズ保持枠41を所望の位置に移動させることができる。
なお、第4レンズ保持枠41の外周縁には、第3レンズ保持枠31のフォトインタラプタ用の遮光片31bを撮影光軸OA方向に逃げて干渉を避けるための凹部41fを形成してあり、それによって第4レンズ保持枠41の移動量を増やすことができ、合焦できる撮影距離範囲を広くとることができる。また、上述したように第4レンズ保持枠41と、第4群雌ねじ部材46との係合構造には、撮影光軸OA方向について遊びがあるが、第4レンズ保持枠41を第4群スプリング43によって被写体側に常に付勢することにより、第4レンズ保持枠41は、撮影光軸OA方向の位置を精度良く制御することを可能としている。
第1の回転筒22、第1のライナー23、第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の収納位置は、前記固定枠21に設置された、フォトリフレクタ等からなるズーム位置検出器により発生するズーム位置基準信号に基づいて制御される。すなわち、ズーム位置収納基準信号のHからLへの変化発生後、エンコーダとして機能するピニオンギアとこの近傍に設置されたズームカウント検出器によって発生される駆動パルスの所定のカウント数だけ像面側へ移動させることによって収納動作を完了させることが可能である。収納時、第4レンズ保持枠41は、先に述べたように第1の収納位置に位置しているが、第1の回転筒22が収納位置へ移動する際に、第1の回転筒22または第1のライナー23の最基端面が第4レンズ保持枠41に当接しそれを押圧して最終的に第4レンズ保持枠41の第2の収納位置へ移動させる。このような動作により、第4群フォトインタラプタ47の撮影光軸OA方向の取り付け位置のバラツキが発生しても複雑な調整等を必要とせずに第4レンズ保持枠41を、精度良く収納位置へ移動させることが可能となる。このような作用は、第4レンズ保持枠41に設けられた係合空間の撮影光軸OA方向長さが、第4群雌ねじ部材46の厚みよりも大きいために達成することが可能となっている。
第1レンズ群11、第2レンズ群12およびシャッタ/絞りユニット15の移動のためのズームモータ51は、この場合DCモータを用いて構成され、そして第3レンズ群13の駆動のための第3群モータ52および第4レンズ群14の駆動のための第4群モータ53は、一般的にパルスモータを用いて構成され、例えばソフトウェア的に相互に連携して駆動され、主として第1〜第3のレンズ群11〜13による適切なズーミング動作および、例えば主として第4のレンズ群14による適切なフォーカシング動作を達成する。
ここで、このレンズ鏡胴10を構成する各レンズ群の駆動制御について図21〜図28を参照して詳細に説明する。
図21は、駆動制御系の構成を模式的に示すブロック図、図22は、起動シーケンスにおけるバリア開時のシーケンスを示すタイミングチャート、図23は、起動シーケンスにおけるバリア開からバリア閉時のシーケンスを示すタイミングチャート、図24は、リセットシーケンスを説明する(a)図表および(b)タイミングチャート、図25は、バリア閉時の収納シーケンスを示すタイミングチャート、図26は、ズームシーケンスを示すフローチャート、図27は、広角位置から望遠位置へのズーミング時のズームシーケンスを示すタイミングチャート、そして図28は、望遠位置から広角位置へのズーミング時のズームシーケンスを示すタイミングチャートである。
図21の駆動制御系は、中央演算処理装置501、モータドライバ502、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507、第4群パルスモータ508、第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511、第4群フォトインタラプタ512、第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516を有している。
中央演算処理装置501は、モータドライバ502に対して、モータドライバ502の初期設定、駆動モータの選択、駆動電圧の設定および駆動方向等の命令を与える。モータドライバ502は、中央演算処理装置501からの命令に従って、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507および第4群パルスモータ508等のモータ系を制御する。第1〜第2群DCモータ503は、第1群レンズ系11および第2群レンズ系12を駆動する。第1群レンズ系11および第2群レンズ系12は、通常の場合、第1〜第2群DCモータ503の駆動力に応動するカム機構を介してそれぞれ独立に駆動する。第1の絞りモータ504および第2の絞りモータ505は、シャッタ/絞りユニット15の絞りを駆動する。シャッタモータ506は、シャッタ/絞りユニット15のシャッタを駆動する。第3群パルスモータ507は、第3群レンズ系13を駆動する。第4群パルスモータ508は、第4群レンズ系14を駆動する。
また、中央演算処理装置501は、第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516を介して位置検出装置としての第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512に対する駆動電源供給を行い且つこれら第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512で検出された位置情報信号を取得する。第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516は、さらに第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512の各投光電流および各出力信号レベルを適正に制御する機能を有している。モータドライバ502は、中央処理演算処理装置501からの命令を受けて、該命令を実行し、第1〜第2群DCモータ503、第1の絞りモータ504、第2の絞りモータ505、シャッタモータ506、第3群パルスモータ507および第4群パルスモータ508のうちの選択されたモータに対して、指定電圧の設定をし、駆動命令タイミングに応じて駆動制御を行う。
〔起動シーケンス〕
このような、駆動制御系による起動シーケンスにおけるバリア開時の駆動シーケンスを、図22を参照して説明する。
レンズバリア62を開くことにより、バリアスイッチ信号(バリアSW。)がHからLに変化し、鏡胴系の初期設定を開始する。なお、レンズバリア62は、レンズバリア62を操作レバー等によって機械的に開操作することによってバリアスイッチが動作する場合もあるが、バリアスイッチを操作することによってバリアが開く場合もある。初期設定は、モータ系を駆動するモータドライバ502の初期化、第1〜第2群フォトインタラプタ駆動回路513、第1〜第2群フォトリフレクタ駆動回路514、第3群フォトインタラプタ駆動回路515および第4群フォトインタラプタ駆動回路516を介して位置を検出する位置検出装置である第1〜第2群フォトインタラプタ509、第1〜第2群フォトリフレクタ510、第3群フォトインタラプタ511および第4群フォトインタラプタ512等の初期化を行う。
第1〜第2群の位置検出のための第1〜第2群フォトインタラプタ509による検出結果が収納位置であり、第3群の位置検出のための第3群フォトインタラプタ511による検出結果が収納位置(退避位置。)であり、そして第4群の位置検出のための第4群フォトインタラプタ512による検出結果が収納位置である場合に、第1〜第2群DCモータ503を広角位置方向へ駆動させる。第1〜第2群DCモータ503による駆動量は、第1〜第2群の移動量を検出するための第1〜第2群フォトインタラプタ509によって検出する。第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号。)のエッジ部をカウントすることによって移動量が検出される。
第1〜第2群DCモータ503の起動開始直後の起動期間は、DCモータによる突入電流防止のために駆動電圧を定常電圧よりも低めに設定する。起動期間完了後は、駆動電圧を定常電圧にアップさせる。
第1〜第2群DCモータ503の起動開始直後にバリアスイッチ(バリアSW。)監視期間を設定し、中央演算処理装置501により、バリアスイッチ信号の状態を監視する。この期間中、バリアスイッチ信号が開状態であれば、シャッタ駆動用のシャッタモータ506によって全開制御を行い、シャッタを全開状態に設定する。次に、第1および第2の絞り駆動用モータ504および505によって、中間絞り制御を行い、中間絞り状態に設定する。
この例では、中間絞り状態に設定しているが、開放絞り(最大径の絞り。)状態に設定してもよい。
次に、第4群パルスモータ508によって第4レンズ群14の先行駆動を行う。この第4レンズ群14の先行駆動を行うことによって、第1〜第2レンズ群の駆動開始から、最終の第4レンズ群14の駆動完了までの総時間の短縮化を図っている。また、先行駆動時の第4群パルスモータ508駆動時のパルスレートを通常駆動時よりも遅めに設定することによって、駆動時のトルクが大きくなり、機構部の引っ掛かり等からの脱出が可能となる。
なお、先行駆動時の第4群パルスモータ508による駆動量は、第4レンズ群14と第3レンズ群13との干渉が発生しない量に設定している。
第4レンズ群14の先行駆動が完了すると、第1〜第2群フォトリフレクタ510による基準位置検出待ちとなる。第1〜第2群フォトリフレクタ510による基準位置信号(HP信号。)がHからLに変化した個所が第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置。)となる。第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置。)を検出すると、第1〜第2レンズ群11〜12の位置情報をリセットする。この位置を基準として広角位置(Wide)までの移動量を第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号。)をカウントすることによって第1〜第2レンズ群の移動量制御を行う。広角位置は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
広角位置到達前規定パルス期間は、停止制御期間となっており、広角位置までの残パルス数に応じて駆動電圧を下げて、広角位置到達時のオーバーランを低減するようにしている。第1〜第2群フォトインタラプタ509によるPI信号をカウントし、広角位置に到達した場合は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止するためにブレーキ制御を行う。このブレーキ期間中のオーバーラン量もカウントし、最終的な第1〜第2レンズ群11〜12の位置を決定する。
また、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置。)を検出すると、第3群パルスモータ507の広角方向への駆動を開始して、第3レンズ群13と第1〜第2レンズ群11〜12との並列制御となる。第3群パルスモータ駆動時のパルスレートを通常駆動時よりも高め(速め。)に設定することによって、第3レンズ群13の駆動時間を短縮化している。
第3レンズ群13側としては、第3群フォトインタラプタ511による基準位置検出待ちとなる。第3群フォトインタラプタ511による基準位置信号(HP信号。)がLからHに変化した個所が第3レンズ群13の基準位置(HP位置。)となる。第3レンズ群13の基準位置(HP位置。)を検出すると、第3レンズ群13の位置情報をリセットする。この位置を基準として、広角位置までの移動量を第3群パルスモータ507によりパルス駆動する。広角位置は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
また、最終的な第3レンズ群13の停止位置は、第1〜第2レンズ群11〜12のオーバーランを考慮した位置となる。すなわち、第1〜第2レンズ群11〜12の停止位置は、広角位置+オーバーラン量であるため、第3レンズ群13の停止位置も第1〜第2レンズ群11〜12のオーバーランを考慮した広角位置+αとなる。このαの値は、例えば、第1〜第2レンズ群11〜12のズームポジション間のパルス数と、オーバーラン量と、第3レンズ群13のズームポジション間のパルス数とから線形演算により求められる。ズームポジション間は、広角〜望遠間(W−T間。)を16等分した区間のうちの1区間である。
第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が完了し、且つ第3レンズ群13の駆動において第3レンズ群13の基準位置(HP位置。)検出し、規定パルス数以上駆動した場合に、第4群パルスモータ508の広角無限位置方向への駆動を開始する。第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が完了していない場合、または第3レンズ群13が基準位置から規定パルス以上駆動されていない場合には、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が完了し、且つ第3レンズ群13が基準位置から規定パルス以上駆動されるまで待ち状態となる。第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が完了していない状態で第4群パルスモータ508を駆動すると3個のモータの同時駆動となって、消費電流が増大することになる。そこで、この例においては、同時駆動は、第3レンズ群13と第4レンズ群14のみとしている。また、第3レンズ群13の位置が基準位置から規定パルス数以上の位置に達する前に第4レンズ群14を駆動すると第3レンズ群13と第4レンズ群14の干渉が発生する。よって、規定パルス数以降において、第4レンズ群14の駆動を開始する。
第4レンズ群14側としては、第4群フォトインタラプタ512による基準位置の検出待ちとなる。また、第4群パルスモータ508の駆動時の駆動電圧を通常駆動時よりも低めに設定することによって、消費電流を低減するようにしている。第4群フォトインタラプタ512による基準位置信号(HP信号。)がLからHに変化した個所が第4レンズ群14の基準位置(HP位置。)となる。第4レンズ群14の基準位置(HP位置。)を検出すると、第4レンズ群14の位置情報をリセットする。この位置を基準とする広角無限位置までの移動量を第4群パルスモータ508によりパルス駆動する。広角無限位置は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
上述し且つ図22のタイミングチャートに示したように、この例においては、同時駆動モータを2モータまでに制限することによって、消費電流を抑えつつ、最適駆動することによって起動時間の短縮化を図っている。
次に、第1〜第2群DCモータ503の起動開始直後のバリアスイッチ監視期間中において、バリアスイッチ信号が閉状態に変化した場合について図23を参照して説明する。この期間中に、バリアスイッチ信号が開状態から閉状態に変化した場合には、第1〜第2群DCモータ503の駆動を停止させる。その後、収納方向への、移動量分、または規定パルス数分、の第1〜第2群DCモータ503の駆動を開始させる。この場合、駆動電圧は低電圧とし、作動部が収納端に衝突しても破壊・破損が発生しないようにする。このような制御により、バリアとの干渉防止が可能となる。
〔リセットシーケンス〕
また、第1〜第2群フォトリフレクタ510による検出結果が収納位置でない(基準位置(HP)信号=L。)、または、第3群フォトインタラプタ511による検出結果が収納位置でない(基準位置(HP)信号=H。)、または、第4群フォトインタラプタ512による検出結果が収納位置でない(基準位置(HP)信号=H。)場合には、リセットシーケンス駆動を行う。このようなリセットシーケンスについて図24を参照して説明する。図24において、(a)は、各状況におけるリセットシーケンスの流れを示す模式的な図表、(b)は、リセットシーケンスのタイミングチャートである。
〈1−2群HP信号=H,3群HP信号=L,4群HP信号=Lの場合〉
まず第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置。)を検出し、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。次に、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置。)を検出し、収納位置に移動させる(4群:収納。)。次に、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置。)を検出し、広角位置に移動させる(3群:Reset)。最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP信号。)を検出し、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
〈1−2群HP信号=H,3群HP信号=L,4群HP信号=Hの場合〉
まず第1〜第2レンズ群11〜12の退避動作として、第1〜第2レンズ群11〜12を望遠(Tele)方向に駆動し、基準信号の立下り検出後に規定パルス駆動する(1−2群:退避。)。次に、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置。)を検出し、収納位置に移動させる(4群:収納。)。次に、第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置。)を検出し、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。次に、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置。)を検出し、広角位置に移動させる(3群:Reset)。最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP信号。)を検出し、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
〈1−2群HP信号=H,3群HP信号=H,4群HP信号=Lの場合、1−2群HP信号=H,3群HP信号=H,4群HP信号=Hの場合〉
まず第1〜第2レンズ群11〜12の退避動作として、第1〜第2レンズ群11〜12を望遠方向に駆動し、基準信号の立下り検出後に規定パルス駆動する(1−2群:退避。)。次に、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置。)を検出し、収納位置に移動させる(4群:収納。)。第4レンズ群14の基準位置(HP位置。)が検出できた場合は、第3レンズ群13の収納動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置。)を検出し、収納位置に移動させる(3群:収納。)。第4レンズ群14の基準位置(HP位置。)が検出できない場合は、第3レンズ群13との干渉と想定されるため、先に第3レンズ群13の収納動作を実施する(3群:収納。)。第3レンズ群13の収納動作が完了した場合は、引き続き第4レンズ群14の収納動作を行う(4群:収納。)。第3レンズ群13の収納動作時にHP位置が検出できない場合は、第4レンズ群14との干渉と想定されるため、第3レンズ群13の退避動作として、第3レンズ群13を望遠方向に規定パルス数駆動させる(3群:退避。)。その後、第4レンズ群14の収納動作(4群:収納。)、第3レンズ群13の収納動作を行う(3群:収納。)。次に、第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置。)を検出して、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。次に、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置。)を検出し、広角位置に移動させる(3群:Reset)。最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、4群の基準位置(HP信号。)を検出して、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
〈1−2群HP信号=L,3群HP信号=L,4群HP信号=Lの場合、1−2群HP信号=L,3群HP信号=L,4群HP信号=Hの場合〉
まず、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置。)を検出して、収納位置に移動させる(4群:収納。)。次に、第3レンズ群13の収納動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置。)を検出して、収納位置に移動させる(3群:収納。)。次に、第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置。)を検出し、広角位置に移動させる(1−2群:Reset)。次に、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置。)を検出して、広角位置に移動させる(3群:Reset)。最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP信号。)を検出して、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
〈1−2群HP信号=L,3群HP信号=H,4群HP信号=Lの場合、1−2群HP信号=L,3群HP信号=H,4群HP信号=Hの場合〉
まず、第4レンズ群14の収納動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP位置。)を検出して、収納位置に移動させる(4群:収納。)。第4レンズ群14の基準位置(HP位置。)が検出できた場合には、第3レンズ群13の収納動作として、3群の基準位置(HP位置。)を検出して、収納位置に移動させる(3群:収納。)。
第4レンズ群14の基準位置(HP位置。)が検出できない場合には、第3レンズ群13との干渉と想定されるため、先に3群の収納動作を実施する(3群:収納。)。第3レンズ群13の収納動作が完了した場合は、引き続き第4レンズ群14の収納動作を行う(4群:収納。)。
第3レンズ群13の収納動作時にHP位置が検出できない場合は、第4レンズ群14との干渉と想定されるため、第3レンズ群13の退避動作として、第3レンズ群13を望遠方向に規定パルス数駆動させる(3群:退避。)。その後、第4レンズ群14の収納動作(4群:収納。)、第3レンズ群13の収納動作を行う(3群:収納。)。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12のリセット動作として、第1〜第2レンズ群11〜12の基準位置(HP位置。)を検出して、広角位置に移動させる。(1−2群:Reset)次に、第3レンズ群13のリセット動作として、第3レンズ群13の基準位置(HP位置。)を検出して、広角位置に移動させる(3群:Reset)。最後に、第4レンズ群14のリセット動作として、第4レンズ群14の基準位置(HP信号。)を検出して、広角無限位置に移動させる(4群:Reset)。
〔収納シーケンス〕
レンズバリア62を閉じることにより、バリアスイッチ信号がLからHとなり、収納動作を開始する。なお、先に述べた通りレンズバリア62は、レンズバリアを操作レバー等によって機械的に閉操作することによってバリアスイッチが動作する場合もあるが、バリアスイッチを操作することによってレンズバリア62を閉じる場合もある。
シャッタモータ506によりシャッタの全閉制御を行い、シャッタ/絞りユニット15のシャッタを全閉状態に設定する。次に、第1および第2の絞り駆動用モータ504および505により、中間絞り制御を行い、シャッタ/絞りユニット15の絞りを中間絞り状態に設定する。次に、第4群パルスモータ508により第4レンズ群14の収納駆動を行う。第4群パルスモータ508を収納位置方向へ駆動開始して、第4群フォトインタラプタ512による基準位置検出待ちとなる。
第4群フォトインタラプタ512による基準位置信号(HP信号。)がH→Lに変化した個所から収納位置までの収納位置移動量分だけパルス駆動する。収納位置移動量は、予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
次に、第3群パルスモータ507によって、第3レンズ群13の収納駆動を行う。第3群パルスモータ507を収納位置方向へ駆動開始して、第3群フォトインタラプタ511による基準位置検出待ちとなる。
第3群フォトインタラプタ511による基準位置信号(HP信号。)がHからLに変化した個所から収納位置までの収納位置移動量分だけパルス駆動する。収納位置移動量は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
また、基準位置から収納位置までの第3群パルスモータ507の駆動パルスレートを基準位置までの駆動パルスレートよりも低速にしている。このようにトルクが必要な領域に応じてパルスレートを変更することによって、スムーズなパルス駆動を実現する。
次に、第1〜第2群DCモータ503により第1〜第2レンズ群11〜12の収納駆動を行う。第1〜第2群DCモータ503を収納位置方向へ駆動開始し、第1〜第2群フォトリフレクタ510による基準位置検出待ちとなる。第1〜第2群フォトリフレクタ510による基準位置信号(HP信号。)がLからHに変化した個所から収納位置までの収納位置移動量を第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号。)をカウントすることによって第1〜第2レンズ群11〜12の移動量制御を行う。収納位置移動量は予め設定されているが、EEPROM等の不揮発性メモリに格納しそれを書き換えることによって変更することができるようになっている。
第1〜第2レンズ群11〜12の収納駆動時においては、停止前に電圧を落とさずに、第1〜第2群フォトインタラプタ509によるPI信号をカウントして、収納位置に到達した場合は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止するためにブレーキ制御を行う。これは、電圧を落とすことによる途中止まりを軽減させるためである。
〔変倍シーケンス〕
次に、変倍動作のシーケンスについて、図26に示すフローチャートを参照して説明する。
ズームレバーまたはズームボタンが操作されるなどして変倍処理が開始されると、まず、第4レンズ群14を退避させる必要があるか否かを判定する(ステップS11。)。このステップS11における判定は、望遠から広角への変倍で且つ第4レンズ群14が所定位置よりも至近側に位置する場合に退避処理が必要であるとする。次に、変倍駆動方向を判定する(ステップS12。)。広角から望遠への変倍である場合には、第1〜第2群DCモータ503を作動させて第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を開始する(ステップS13。)。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12を停止させるか否かを判定する(ステップS14。)。このステップS14における判定は、ズームレバーまたはズームボタン等を介しての変倍操作により作動するズーム駆動スイッチがオフとなったか、広角から望遠への駆動時において望遠位置から所定量手前の位置に到達したか、望遠から広角への駆動時において広角位置から所定量手前の位置に到達したか、のいずれかの条件に該当する場合に第1〜第2レンズ群11〜12を停止させるものとする。
第1〜第2レンズ群11〜12を停止させる場合には、第3レンズ群13が駆動中であるか否かの状態を判定して(ステップS15。)、停止中である場合には、第1〜第2レンズ群11〜12の停止動作を行い(ステップS16。)、第1〜第2レンズ群11〜12のブレーキ動作を行う(ステップS17。)。次に、変倍駆動方向を判定して(ステップS18。)、広角から望遠への変倍である場合には、第3レンズ群13の位置補正駆動を行って(ステップS19。)、絞り駆動を行い(ステップS20。)、処理を終了する(操作待機状態に戻る)。
ステップS11において、第4レンズ群14の退避処理が必要であると判定された場合には、第4レンズ群14の退避処理を行って(ステップS21。)、ステップS12に進む。ステップS12において、変倍駆動方向が望遠から広角への変倍であると判定された場合には、第3レンズ群13の退避処理を行って(ステップS22。)、ステップS14に進む。
ステップS14において、第1〜第2レンズ群11〜12を停止させずに駆動を継続すると判定された場合には、第3レンズ群13が駆動中であるか否かの状態を判定して(ステップS23。)、第3レンズ群13が停止中である場合には、第3レンズ群13の駆動を開始するか否かの判定を行う(ステップS24。)。このステップS24における判定は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動開始後第1〜第2レンズ群11〜12が規定駆動量以上駆動されているか、広角から望遠への駆動時における第3レンズ群13が駆動再開による駆動状態であって第1〜第2レンズ群11〜12が予め定めた所定のズームポイントの通過時に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置から所定量以上離れたか、望遠から広角への駆動時における第3レンズ群13が駆動再開による駆動状態であって第1〜第2レンズ群11〜12が予め定めた所定のズームポイントの通過時に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置に所定量よりも近付いたか、のいずれかの条件に該当する場合に第3レンズ群13の駆動が許可されるものとする。ステップS24において第3レンズ群13の駆動が許可されると、第3レンズ群13の駆動が開始されて(ステップS25。)、ステップS14に戻る。ステップS24において、第3レンズ群13の駆動が許可されない場合には、そのままステップS14に戻る。
ステップS23において、第3レンズ群13が駆動中であると判定された場合には、第3レンズ群13の駆動を停止するか否かの判定を行う(ステップS26。)。このステップS26における判定は、広角から望遠への駆動時において第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置に所定量よりも近付いたか、望遠から広角への駆動時において第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置から所定量以上離れたか、のいずれかの条件に該当する場合に第3レンズ群13の駆動停止が許可されるものとする。ステップS26において、第3レンズ群13の駆動停止が許可されると、第3レンズ群13の停止動作が開始されて(ステップS27。)、ステップS14に戻る。ステップS26において、第3レンズ群13の駆動停止が許可されない場合には、そのままステップS14に戻る。
ステップS15において、第3レンズ群13が駆動中であると判定された場合には、第3レンズ群13の停止動作が開始されて(ステップS28。)、ステップS16に進む。ステップS18において、変倍駆動方向が望遠から広角への変倍であると判定された場合には、バックラッシュ動作を行って(ステップS29。)、ステップS19に進む。
次に、このフローチャートに従った変倍動作について、変倍動作方向毎に具体的に説明する。
〔広角から望遠方向〕
まず、広角から望遠への変倍動作について図27に示すタイミングチャートを参照して説明する。
ズーミングボタンのうちの望遠ボタンを押下することにより、望遠スイッチ信号がHからLとなり、望遠方向への変倍シーケンスが開始される。最初に、第4レンズ群14の退避判定が実施される(ステップS11。)。
先に述べた通り、第4レンズ群14の退避判定に際しては、次の条件を同時に満たした場合(アンド条件。)にのみ、第4レンズ群14の退避駆動を行う。
・望遠から広角への変倍駆動である。
・第4レンズ群14が所定位置(退避しきい値。)よりも至近側(繰り出し側。)に位置している。
しかし、広角から望遠への駆動時においては、上述の条件を満たさないので、第4レンズ群14の退避駆動は行わない。
次に、駆動方向の判定に基づいて、第3レンズ群13を退避駆動するか否かを判断する(ステップS12。)。広角から望遠への変倍駆動の場合には、第3レンズ群13の退避駆動は不要である。そして、第1〜第2群DCモータ503による第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を開始する(ステップS13。)。第1〜第2群DCモータ503起動開始直後の起動期間は、DCモータによる突入電流を防止するために駆動電圧を定常電圧よりも低めに設定する。この起動期間の完了後は、駆動電圧を定常電圧に上昇させる。また、広角〜望遠間での駆動電圧は、収納〜広角位置間での駆動電圧よりも低めに設定している。これは、収納〜広角位置間は、高速性を必要とするため、高電圧設定としているためで、広角−望遠間は、ズームボタンの操作により、所望の個所で停止させたいために適度な電圧設定としている。第1〜第2レンズ群11〜12の駆動による移動量制御は、第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号。)をカウントすることにより行う。また、広角〜望遠間を、例えば16等分することによって制御の基準とするズームポイントを17ポイントに設定している。
次に、第1〜第2レンズ群11〜12を停止するか否かを判定する(ステップS14。)。第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止判定に際しては、次の条件のいずれか1つを満足する場合(オア条件。)に停止処理を行う。
・ズームレバーまたはズームボタン等を介しての変倍操作により作動する望遠ズーム駆動スイッチがオフ、つまりLからHに変化した。
・広角から望遠への駆動時において望遠位置から所定量手前の位置に到達した。
第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が継続中の場合において、第3レンズ群13の状態(駆動中か停止中か。)に応じて駆動開始/駆動停止の判定を行う(ステップS23。)。第3レンズ群13の状態が停止中であるならば、第3レンズ群13の駆動開始の判定を行って(ステップS24。)、許可されれば第3レンズ群13の駆動を開始する。
ステップS24の第3レンズ群13の駆動開始判定に際しては、次の条件のいずれか1つを満足した場合に第3レンズ群13の駆動を開始する。
・第1〜第2レンズ群11〜12の駆動開始後第1〜第2レンズ群11〜12が規定駆動量以上駆動されている。
・広角から望遠への駆動時における第3レンズ群13が駆動再開による駆動状態であって第1〜第2レンズ群11〜12が予め定めた所定のズームポイントの通過時に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置から所定量以上離れた。
また、3群状態が駆動中であるならば、第3レンズ群13の駆動を停止させるか否かの判定を行って(ステップS26。)、許可されれば第3レンズ群13の駆動を停止させる。
第3レンズ群13の駆動を停止させるか否かの判定にあたっては、次の条件を満たした場合に第3レンズ群13の駆動を停止させる。
・広角から望遠への駆動時において第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置に所定量よりも近付いた。
すなわち、第1〜第2レンズ群11〜12が起動し、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動量が規定パルス以上になったら、第3レンズ群13の駆動を開始する。同時駆動中に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12に近付き、所定量よりも近付いた場合には、第3レンズ群13の駆動を停止させる。その後、第1〜第2レンズ群11〜12が第3レンズ群13に対して遠ざかり、所定量よりも離された場合に第3レンズ群13の駆動を再開させる。第1〜第2レンズ群11〜12と第3レンズ群13の位置関係に応じて、第3レンズ群13の駆動/停止を繰り返す。これによって、群間の距離を保った状態での変倍駆動が可能となる。また、起動時に規定量以上の駆動を経過してから第3レンズ群13の駆動を開始させることによって、第1〜第2群DCモータ503の突入電流の影響を避けることでき、消費電流の軽減に寄与する。
第3レンズ群13の初期駆動開始前に望遠スイッチ信号がLからHに変化した場合は、第3レンズ群13の同時駆動なしに第1〜第2レンズ群11〜12の停止制御となる。第1〜第2レンズ群11〜12の停止の判定によって、停止となった場合には、第3レンズ群13が駆動中であるならば、第3レンズ群13の停止動作を開始させる。そして、第1〜第2レンズ群11〜12の停止動作を開始する。停止動作中は、低速制御期間となっており、目標位置までの残パルス数に応じて駆動電圧を下げている。これによって目標位置到達時のオーバーラン量を軽減させている。第1〜第2群フォトインタラプタ509によるPI信号をカウントし、目標位置に到達した場合は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止させるためにブレーキ制御を行う。このブレーキ期間中のオーバーラン量もカウントし、最終的な第1〜第2レンズ群11〜12の位置を決定する。
第1〜第2レンズ群11〜12が停止した後は、第3レンズ群13の位置の補正駆動を行う。これは、第1〜第2レンズ群11〜12の最終的な停止位置に対応する第3レンズ群13の停止位置を算出し、その位置に駆動するものである。第1〜第2レンズ群11〜12のズームポイント毎の位置情報と、第3レンズ群13のズームポイント毎の位置情報から、第1〜第2レンズ群11〜12の停止位置に相当する第3レンズ群13の目標停止位置を補間演算する。その後に、停止したズーム位置に対応した絞り位置に設定するために絞り駆動を実施する(ステップS20。)。
〔望遠から広角方向〕
次に、望遠から広角への変倍動作について図28に示すタイミングチャートを参照して説明する。
ズーミングボタンのうちの広角ボタンを押下することにより、広角スイッチ信号がHからLとなり、広角方向への変倍シーケンスが開始される。最初に、第4レンズ群14の退避判定が実施される。
先に述べた通り、第4レンズ群14の退避判定に際しては、次の条件を同時に満たした場合(アンド条件。)にのみ、第4レンズ群14の退避駆動を行う。
・望遠から広角への変倍駆動である。
・第4レンズ群14が所定位置(退避しきい値。)よりも至近側(繰り出し側。)に位置している。
望遠から広角への駆動時においては、第4レンズ群14の位置が所定位置よりも至近側にある場合には、第4レンズ群14の退避駆動を行う。退避量は、第3レンズ群13の変倍駆動時に第4レンズ群14との干渉が発生しない領域まで退避させる。
次に、第3レンズ群13の退避駆動を行う。第1〜第2レンズ群11〜12駆動開始による第1〜第2レンズ群11〜12との干渉を防ぐために、第3レンズ群13を先行して規定量分駆動させる。そして、第1〜第2群DCモータ503にて、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を開始する。
第1〜第2群DCモータ503起動開始直後の起動期間は、DCモータによる突入電流防止のために駆動電圧を定常電圧よりも低めに設定する。起動期間完了後は、駆動電圧を定常電圧に上昇させる。第1〜第2レンズ群11〜12の駆動による移動量の制御は、第1〜第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号。)をカウントすることによって行う。先に述べたように、広角〜望遠間を、例えば16等分することによって制御の基準とするズームポイントを17ポイント設定している。
第1〜第2レンズ群11〜12駆動停止の判定に際しては、先に述べた通り次の条件のいずれかを満足した場合に停止処理を行う。
・ズームレバーまたはズームボタン等を介しての変倍操作により作動する広角ズーム駆動スイッチがオフ、つまりLからHに変化した。
・望遠から広角への駆動時において広角位置から所定量手前の位置に到達した。
第1〜第2レンズ群11〜12の駆動が継続中の場合において、第3レンズ群13の状態(駆動中か停止中か。)に応じて駆動開始または駆動停止の判定を行う。第3レンズ群13の状態が停止中であるならば、第3レンズ群13の駆動開始判定を行い、駆動開始が許可されれば第3レンズ群13の駆動を開始する。
第3レンズ群13の駆動開始の判定に際しては、次の条件のいずれか1つを満足した場合に第3レンズ群13の駆動を開始する。
・第1〜第2レンズ群11〜12の駆動開始後第1〜第2レンズ群11〜12が規定駆動量以上駆動されている。
・望遠から広角への駆動時における第3レンズ群13が駆動再開による駆動状態であって第1〜第2レンズ群11〜12が予め定めた所定のズームポイントの通過時に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置に所定量よりも近付いた。
また、第3レンズ群13の状態が駆動中であるならば、第3レンズ群13の駆動停止の判定を行って、許可されれば第3レンズ群13の駆動を停止させる。
第3レンズ群13の駆動停止の判定に際しては、次の条件を満たした場合に第3レンズ群13の駆動を停止させる。
・望遠から広角への駆動時において第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12の位置から所定量以上離れた。
すなわち、第1〜第2レンズ群11〜12が起動し、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動量が規定量以上になったら、第3レンズ群13の駆動を開始する。同時駆動中に第3レンズ群13の位置が第1〜第2レンズ群11〜12から離れ、規定量以上離れた場合には、第3レンズ群13の駆動を停止させる。その後、第1〜第2レンズ群11〜12が3群に対して近付き、規定パルス以上近づくと第3レンズ群13の駆動を再開させる。第1〜第2レンズ群11〜12と第3レンズ群13の位置関係により、第3レンズ群13の駆動/停止を繰り返す。これにより、群間を保った状態で変倍駆動が可能となる。また、起動時に規定パルス以上経過してから第3レンズ群13を駆動させることで、第1〜第2群DCモータ503の突入電流の影響を避けることでき、消費電流の軽減となる。
また、第1〜第2レンズ群11〜12駆動時での第3レンズ群13の駆動において、本来広角方向駆動時は、停止時にガタ取りのためのガタ取り制御が必要だが、変倍中は、ガタ取り制御を禁止して、第3レンズ群13の間欠制御をスムーズにしている。
第3レンズ群13の初期駆動開始前に広角SW信号がLからHに変化した場合には、第3レンズ群13の同時駆動なしに第1〜第2レンズ群11〜12の停止制御を行うこととなる。第1〜第2レンズ群11〜12の停止判定によって、停止となった場合は、第3レンズ群13が駆動中であるならば、停止動作を開始させる。そして、第1〜第2レンズ群11〜12の停止動作を開始する。
停止動作中は、低速制御期間となっており、目標位置までの残パルス数に応じて駆動電圧を下げている。これにより目標位置到達時のオーバーラン量を軽減させている。第1〜第2群フォトインタラプタ509によるPI信号をカウントし、目標位置に到達した場合は、第1〜第2レンズ群11〜12の駆動を停止するためにブレーキ制御を行う。このブレーキ期間中のオーバーラン量もカウントし、最終的な第1〜第2レンズ群11〜12位置を決定する。
また、望遠から広角方向への動作時は、ガタ取りのためのガタ取り動作(バックラッシュ動作。)を行なう。
第1〜第2レンズ群11〜12が停止したあとは、第3レンズ群13の位置の補正駆動を行う。これは、第1〜第2レンズ群11〜12の最終的な停止位置に対応した第3レンズ群13の停止位置を算出し、その位置に駆動するものである。第1〜第2レンズ群11〜12のズームポイント毎の位置情報と、第3レンズ群13のズームポイント毎の位置情報から、第1〜第2レンズ群11〜12の停止位置に相当する第3レンズ群13の目標停止位置を補間演算する。広角方向駆動時は、停止時にガタ取りのためのガタ取り制御を実施する。その後、停止したズーム位置に対応した絞り位置に設定するために絞り駆動を実施する。
この例においては、広角〜望遠間の変倍動作において、望遠方向動作時の第1〜第2群DCモータ503の駆動電圧よりも、広角方向動作時の第1〜第2群DCモータ503の駆動電圧を高めに設定している。また、第3群パルスモータ507においても、望遠方向動作時よりも、広角方向動作時のほうがパルスレートを速めに設定している。また、第1〜第2レンズ群11〜12と3群の群間を保つために、第1〜第2レンズ群11〜12と第3レンズ群13の位置関係から第3レンズ群13の間欠制御にて実現している。よって、望遠方向駆動時において、第3レンズ群13の駆動速度は第1〜第2レンズ群11〜12の駆動速度と同等、もしくは速めになるような設定としている。同様に、広角方向駆動においても、第3レンズ群13の駆動速度は第1〜第2レンズ群11〜12の駆動速度と同等、あるいは速めになるような設定としている。こうすることで、望遠方向動作時には、第3レンズ群13が第1〜第2レンズ群11〜12に対して離されることなく、また、広角方向動作時には、第3レンズ群13が第1〜第2レンズ群11〜12に対して追いつかれることなく駆動されるようになる。
また、この例では、第3レンズ群13の駆動再開のタイミングを所定のズームポイントの通過時としているが、第1レンズ群11、第2レンズ群12の駆動時に発生する第1群、第2群フォトインタラプタ509によるパルス状の信号(PI信号。)検出時毎、または、PI信号の所定カウント数毎としてもよい。これにより、更に細やかな間欠制御が可能となり、群間精度が向上する。
図9に示すように、第4レンズ群14の背後、すなわち物体から遠い側には、CCD(電荷結合素子。)固体撮像素子等の固体撮像素子16が配設されており、この固体撮像素子16の入力面上に被写体像を結像すべく構成されている。固体撮像素子16の入力面側には、必要に応じてローパスフィルタ等の各種光学フィルタ、カバーガラスおよびその他の光学素子等が適宜設けられる。
図3〜図5に示すレンズバリア62は、沈胴収納状態Dにおいて、第1レンズ群11の物体側を覆い、レンズ群を汚損乃至は損傷から保護する。レンズバリア62は、バリア駆動系63により撮影光軸OAに直交する方向に進退駆動される。図3および図4は、レンズバリア62を閉じた状態を示し、図5は、レンズバリア62をほぼ開いた状態を示している。バリア駆動系63は、バリア操作部(図17(a)におけるバリア操作部301参照。)の操作によって、レンズバリア62を閉成位置(図3、図4参照。)と開放位置(図5の位置よりもさらに撮影光軸OAから遠ざかった位置。)との間で、駆動する。このバリア駆動系63は、閉成位置においては閉成方向に、開放位置においては開放方向にレンズバリア62を偏倚付勢する機能を有している。
したがって、レンズバリア62が閉成されている状態で開放方向に操作すると、レンズバリア62が所定位置を過ぎたところからは、半自動的に開放状態へ移行する。また、開放状態からレンズバリア62を閉じようとすると、レンズバリア62が所定位置(開放時の所定位置と必ずしも同一である必要はなくむしろある程度のヒステリシス特性を持っていると円滑な操作が期待できる。)を過ぎたところから半自動的に閉状態に移行する。
バリア制御片61は、レンズバリア62を開放方向の固定枠21の側部に撮影光軸OAに沿う方向にスライド移動可能に設けられており、適宜スプリング等により物体側へ付勢されている。沈胴収納状態Dにおいては、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端面にバリア制御片61の屈曲形成された係合部が係合して、付勢力に抗して像面側に偏倚されており、レンズバリア62にも接触してない。撮影状態Pにおいては、レンズバリア62は、各レンズ群およびそれらの保持枠等から完全に離れている。この状態では、バリア制御片61は、係合部の係合が解除され、付勢力によって物体側に偏倚し、先端のバリア阻止部がレンズバリア62の進退路に突出する。
この状態で沈胴収納状態Dへ移行しようとしたときに、レンズバリア62を急速に操作するとレンズバリア62がレンズ鏡胴10にぶつかってしまうおそれがあるが、バリア制御片61の先端のバリア阻止部がレンズバリア62の進退路を横切っており、レンズ鏡胴10部分へのレンズバリア62の侵入が阻止される。各レンズ群が収納され、沈胴収納状態Dとなれば、第1の回転筒22および第1のライナー23の基端面がバリア制御片61の屈曲形成された係合部に係合して、付勢力に抗して像面側に偏倚させるので、レンズ鏡胴10の前面部分へレンズバリア62が移動することができ、レンズバリア62が正しく閉成位置に設定される。このようにして、レンズバリア62とレンズ群の鏡筒部分との干渉を効果的に防止することができる。
なお、上述においては、第3レンズ群13を、撮影光軸OA外に退避させる構成とした場合について説明した。本発明の構成の場合、外径が最も小さいレンズ群を撮影光軸OA外に退避させる退避レンズ群とすることによって、退避したときの鏡胴投影サイズを効果的に小さくすることができる。また、退避レンズ群は繰出し時に像面からなるべく離れないレンズ群とすることによって、退避レンズ群の駆動機構(主軸の長さおよびリードスクリューの長さの少なくとも一方。)を短くすることができ、鏡胴の厚さを薄く、すなわち撮影光軸OA方向でみた厚さ寸法を小さくすることができる。絞り機能を併せ持つシャッタの後方に位置し且つそれに最も近いレンズ群を退避レンズ群とすることで、外径が最も小さく、像面から離れないレンズ群を退避レンズ群とすることができ、鏡筒の撮影光軸OAに垂直な平面を塞いでいるシャッタとの干渉を考慮したり、シャッタの位置を回避したりする必要がなく退避し易い。
この場合、レンズ構成は、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3群レンズ群および正のパワーを持つ第4レンズ群の4群で構成され、少なくとも第1レンズ群と第2レンズ群の間隔、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔を変化させることで変倍を行い、第4レンズ群を移動させることで像面の位置を撮像面に補正することで合焦を行っている。絞り機能を併せ持つシャッタは、第3レンズ群の前に位置する。レンズ構成を4群構成とし第3レンズ群を退避レンズ群とすることで、像面からなるべく離れず外径が最も小さいレンズ群を退避レンズ群とすることができ、鏡胴投影サイズが小さく厚みの薄い鏡胴とすることができる。また、変倍比4倍以上で4群レンズ構成の第3レンズ群を退避レンズ群とすることで、高変倍比を実現しつつ鏡胴サイズ(投影サイズ、厚さ。)を小さくしたレンズ鏡胴10を提供することができる。レンズ構成は、正のパワーを持つ第1レンズ群、負のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の3群レンズ構成とし、第3レンズ群を退避レンズ群としてもよい。各レンズ群は、それぞれ1枚以上のレンズによって構成すれば良く、ここでいう、レンズ群とは、一体的に動く1枚以上のレンズを指している。したがって、全てのレンズ群をそれぞれ1枚のレンズにより構成してもよい。
また、負のパワーを持つ第1レンズ群、正のパワーを持つ第2レンズ群、正のパワーを持つ第3レンズ群の3群レンズ構成とし、第3レンズ群あるいは第2レンズ群を退避レンズ群としてもよい。
次に、上述の実施例に示したレンズ鏡胴10を含む光学系装置を、撮影光学系として採用してカメラを構成した例について図17〜図19を参照して説明する。図17は、物体、すなわち被写体側である前面側から見たカメラの外観を示す斜視図、図18は、撮影者側である背面側から見たカメラの外観を示す斜視図であり、図19は、カメラの機能構成を示すブロック図である。なお、ここでは、カメラについて説明しているが、いわゆるPDA(personal data assistant)や携帯電話機等の携帯型情報端末装置にカメラ機能を組み込んだものが近年登場している。
このような携帯型情報端末装置も外観は若干異にするもののカメラと実質的に全く同様の機能・構成を含んでいるものが多く、このような携帯型情報端末装置に本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を採用してもよい。
図17および図18に示すように、カメラは、撮影レンズ101、シャッタボタン102、ズームレバー103、ファインダ104、ストロボ105、液晶モニタ106、操作ボタン107、電源スイッチ108、メモリカードスロット109、通信カードスロット110およびバリア操作部301等を備えている。さらに、図19に示すように、カメラは、受光素子201、信号処理装置202、画像処理装置203、中央演算装置(CPU)204、半導体メモリ205および通信カード等206も備えている。また、明確には図示されていないが、これら各部は、駆動電源としてのバッテリにより給電されて動作する。
カメラは、撮影レンズ101とCCD(電荷結合素子。)撮像素子等のエリアセンサとしての受光素子201を有しており、撮影光学系である撮影レンズ101によって形成される撮影対象となる物体、つまり被写体、の像を受光素子201によって読み取るように構成されている。この撮影レンズ101としては、本実施例において説明したような本発明に係るレンズ鏡胴10を含む光学系装置を用いる。具体的には、レンズ鏡胴10を構成する光学要素であるレンズ等を用いて光学系装置を構成する。レンズ鏡胴10は、各レンズ等を、少なくともレンズ群毎に移動操作し得るように保持する機構を有する。カメラに組み込まれる撮影レンズ101は、通常の場合、この光学系装置の形で組み込まれる。
受光素子201の出力は、中央演算装置204によって制御される信号処理装置202によって処理され、ディジタル画像情報に変換される。信号処理装置202によってディジタル化された画像情報は、やはり中央演算装置204によって制御される画像処理装置203において所定の画像処理が施された後、不揮発性メモリ等の半導体メモリ205に記録される。この場合、半導体メモリ205は、メモリカードスロット109に装填されたメモリカードでもよく、カメラ本体に内蔵された半導体メモリでもよい。液晶モニタ106には、撮影中の画像を表示することもできるし、半導体メモリ205に記録されている画像を表示することもできる。また、半導体メモリ205に記録した画像は、通信カードスロット110に装填した通信カード等206を介して外部へ送信することも可能である。なお、先に述べた各レンズの駆動制御のための図21に示す中央演算処理装置501は、中央演算装置204に含まれていても良く、これと連係する他のマイクロプロセッサを用いて構成しても良い。
撮影レンズ101は、カメラの携帯時には図17の(a)に示すように沈胴状態にあってカメラのボディー内に埋没しており、レンズバリア62が閉成している。ユーザーがバリア操作部301を操作してレンズバリア62を開くと、電源が投入され、図17の(b)に示すように鏡胴が繰り出され、カメラのボディーから突出して撮影状態Pとなる構成とする。このとき、撮影レンズ101のレンズ鏡胴10の内部では、ズームレンズを構成する各群の光学系が、例えば広角位置に配置されており、ズームレバー103を操作することによって、各群光学系の配置が変更されて、望遠端への変倍動作を行うことができる。
なお、ファインダ104の光学系も撮影レンズ101の画角の変化に連動して変倍するようにすることが望ましい。
多くの場合、シャッタボタン102の半押し操作により、フォーカシングがなされる。本発明に係るズームレンズにおけるフォーカシングは、主として第4レンズ群14の移動によって行うことができる。シャッタボタン102をさらに押し込み全押し状態とすると撮影が行なわれ、その後に上述した通りの処理がなされる。
半導体メモリ205に記録した画像を液晶モニタ106に表示させたり、通信カード等206を介して外部へ送信させる際には、操作ボタン107を所定のごとく操作する。半導体メモリ205および通信カード等206は、メモリカードスロット109および通信カードスロット110等のような、それぞれ専用または汎用のスロットに装填して使用される。
なお、撮影レンズ101が沈胴状態にあるときには、第3レンズ群13が光軸OA上から退避して、第1レンズ群11および第2レンズ群12と並列的に収納されているので、カメラのさらなる薄型化を実現することができる。
通常ファインダ機構は、鏡胴部上部側に配置されることでカメラ操作をし易くしており、また、レンズ鏡胴10がズーム変倍機構を含む場合、ファインダ機構もズーム変倍機構が必要となるため、ズーム変倍動作を達成するための駆動源(DCモータやパルスモータ等)とこれの駆動力を伝達するための伝達機構(ギア連結機構等)は、ファインダ機構のすぐ近くに配置されることが望ましい。例えばファインダ機構がレンズ鏡胴10の上方左側部に設置される場合、変倍駆動源と伝達機構はレンズ鏡胴10の上方右側部に設置することで限られたスペースを有効に利用することになる。次に、第3レンズ保持枠(退避レンズ保持枠。)31を退避する場合は、残されたスペースより、自ずからレンズ鏡胴10の下方に設置することになる(レンズ鏡胴10の下方右側かあるいは下方左側)。この実施例では、レンズ鏡胴10の下方右側に第3レンズ保持枠(退避レンズ保持枠。)31のスペースを設置し、レンズ鏡胴10の下方左側には、合焦レンズ群を駆動するための駆動源と駆動機構を配置することで、通常の円形状レンズ鏡胴10の上方左側、上方右側、下方右側、下方左側の四隅を有効に利用することでレンズ鏡胴10の小型化を達成することができた。
次に、実施例1の特徴部分について、図29〜図42を用いて説明する。図29は、第1レンズ群11〜第4レンズ群14および固定撮像素子16の位置関係を模式的に示す説明図である。図30は、図14(a)とは逆側(第3群主ガイド軸32の軸線を中心とする点対称な側。)から見た側面図であり、第3レンズ保持枠(退避レンズ保持枠。)31の沈胴収納状態Dを示す側面図である。図31は、従来方式(レンズ鏡胴10´。)による第3レンズ保持枠の沈胴収納状態Dを示す図30と同様の側面図である。
また、図32は、実施例1における第3レンズ保持枠の沈胴収納状態Dを示す斜視図であり、図33は、図32で固定枠21が外された状態を示す斜視図である。図34は、実施例1における第3レンズ保持枠が撮影光軸OAに進入した状態を示す斜視図であり、図35は、図34で固定枠21が外された状態を示す斜視図である。図36は、実施例1における第3レンズ保持枠が撮影光軸OA上で最も被写体側に移動した状態を示す斜視図であり、図37は、図36から固定枠21を外した斜視図である。図38は、図31と同様の従来方式(レンズ鏡胴10´。)による第3レンズ保持枠が撮影光軸OA上で最も被写体側に移動した状態を示す斜視図であり、図39は、図38から固定枠21´を外した斜視図である。
さらに、図40は、後述する押圧壁部95を説明するためにその周辺を模式的に示す斜視図である。図41は、第3レンズ保持枠31が折り畳まれていく様子を説明するために図16(a)の一部を拡大して示す模式的な正面図である。図42は、第3レンズ保持枠31が折り畳まれていく様子を説明するための模式的な側面図である。ここで、レンズ鏡胴10において、撮影光軸OAに沿う方向を、被写体側を前方側とし像面側を後方側として前後方向とし、当該前後方向で見た各部材の大きさ寸法を当該各部材の厚さ寸法とする。
図29に示すように、例えば、実施例1のように4つのレンズ群で構成されているものでは、(a)の広角状態と(b)の望遠状態との間での各レンズ群の移動によりズームを行う際に高い望遠性能を得る(大きな倍率を実現する。)ためには、第3レンズ群13と第4レンズ群14との間隔d(図29(b)参照。)を大きくすることが効果的である。ところが、このように間隔dを大きくするためには、実施例1のレンズ鏡胴10では、第3レンズ群13が退避可能とすべく第3レンズ保持枠31に保持されていることから、この第3レンズ保持枠31の厚さ寸法の増大が不可避である。この第3レンズ保持枠31の厚さ寸法の増大は、退避位置とされた際の空間の確保のためにレンズ鏡胴10の厚さ寸法の増大を招くこととなってしまう。そこで、レンズ鏡胴10の厚さ寸法の増大を招くことなく間隔dを大きくするために、実施例1では、第3レンズ保持枠31が、撮影位置にある際の厚さ寸法を増大させつつ退避位置にある際の厚さ寸法の増大を防止する構成とされている。この第3レンズ保持枠31は、第3レンズ保持部90と、第3レンズ保持枠アーム部91と、第3レンズ保持枠回動基部92とを有する(図30参照。)。
第3レンズ保持枠回動基部92は、図30に示すように、全体に円筒形状を呈し、第3群主ガイド軸32に回転可能に支承されている。第3レンズ保持枠回動基部92は、前述したように、圧縮トーションスプリング37により、収納位置(沈胴収納状態D。)から撮影光軸OA上位置の撮影位置(撮影状態P。)へ向かう回動方向に常時付勢される(図16(a)参照。)と共に第3群主ガイド軸32上において物体側から像面側の押さえ板81へ向かう方向(後方向(図30では正面視下方。)。)に常時付勢されている。このため、第3レンズ保持枠回動基部92は、雌ねじ部材35から前方へ押圧力をうけていない場合、すなわち雌ねじ部材35が退避開始位置Bから収納位置Sの間に位置されている(図14(a)参照。)場合、第3群主ガイド軸32上における移動範囲内における最も後方側(図14(a)では下方側。)に位置されることとなる。この第3レンズ保持枠回動基部92に連続されているのが第3レンズ保持枠アーム部91である。このことから、圧縮トーションスプリング37は、退避レンズ保持枠である第3レンズ保持枠31の回動基部を構成する回動筒体としての第3レンズ保持枠回動基部92への付勢力を付与する筒体付勢手段として機能する。
第3レンズ保持枠アーム部91は、第3レンズ保持枠回動基部92と第3レンズ保持部90とを繋いでおり、第3レンズ保持枠31におけるアーム部を構成している。第3レンズ保持枠アーム部91は、他端側交差延在部分91aと、光軸方向延在部分91bと、一端側交差延在部分91cとを有する。他端側交差延在部分91aは、第3レンズ保持枠回動基部92に連続しつつ第3群主ガイド軸32と直交方向に延在している。光軸方向延在部分91bは、他端(基端)側交差延在部分91aに連続しつつ第3群主ガイド軸32と平行方向に延在している。一端側交差延在部分91cは、光軸方向延在部分91bに連続しつつ第3群主ガイド軸32と直交方向に延在して第3レンズ保持部90に連続している。このように、第3レンズ保持枠アーム部91は、他端側交差延在部分91aと、光軸方向延在部分91bと、一端側交差延在部分91cとで全体にクランク状の屈曲部を構成している。
この第3レンズ保持枠アーム部91の一端側交差延在部分91cには、ヒンジ部分93と、回動トーションスプリング94(図33および図34等参照。)とが設けられている。ヒンジ部分93は、軸部93aを有し、当該軸部93a回りに一端側交差延在部分91cをその延在方向に沿う状態から後方(物体側から像面側の押さえ板81へ向かう方向(図30では正面視上方。)。)へ向けて折り曲げ可能とされている(図30および図33等参照。)。この一端側交差延在部分91cにおいてヒンジ部分93での折り曲げ方向に抗する力を付与するように、すなわち一端側交差延在部分91cを真っ直ぐな状態とする方向の力を付与するように回動トーションスプリング94が設けられている。このため、回動トーションスプリング94が真直付勢手段として機能する。一端側交差延在部分91cでは、図41に実線で示す一端側交差延在部分91cのようにヒンジ部分93が真っ直ぐとなった状態(一端側交差延在部分91cが第3群主ガイド軸32と直交方向に延在する状態。)を超えて逆側(前方側。)にヒンジ部分93が回動することを防止するための制限部(図示せず。)が設けられており、回動トーションスプリング94によるヒンジ部分93の付勢により当該制限部により回動が抑制された位置(ヒンジ部分93が真っ直ぐとなった状態。)まで回動された状態が維持されている。このため、一端側交差延在部分91cは、通常の状態(第3レンズ保持枠31が撮影位置(撮影状態P。)にある場合等。)において、一端側交差延在部分91cが第3群主ガイド軸32と直交方向に延在することとなる。この一端側交差延在部分91cに第3レンズ保持部90が連続されている。
第3レンズ保持部90は、第3レンズ保持枠31における一端側に位置されており、第3レンズ群13を保持している。第3レンズ保持部90は、全体に円筒形状を呈する枠部材であり、その内径部分90aに第3レンズ群13を構成する各レンズを収容するように円周方向で保持する枠部分90bを有し、枠部分90bの下端近傍に一端側交差延在部分91cが連続されている。このため、第3レンズ保持部90は、全体に第3群主ガイド軸32と直交方向に延在している一端側交差延在部分91cよりも前方に位置されている。第3レンズ保持部90は、ヒンジ部分93が真っ直ぐとなった状態では、第3レンズ群13の光軸方向が撮影光軸OAと平行になるように第3レンズ群13を保持している(図42参照。)。
このように、第3レンズ保持部90は、全体に第3群主ガイド軸32と直交方向に延在している一端側交差延在部分91cよりも前方(図42では正面視上方。)に位置されている。ここで、実施例1の第3レンズ保持枠31では、一端側交差延在部分91cがヒンジ部分93で後方へ折り曲げ可能な構成とされていることから、第3レンズ保持部90を前後方向で見て一端側交差延在部分91cの上端部よりも後方に位置させることが可能である。実施例1では、一端側交差延在部分91cには、ヒンジ部分93での折り曲げ時に第3レンズ保持部90における最も高い個所が一端側交差延在部分91cの上端部よりも後方となる位置(図42参照。)で、ヒンジ部分93の軸部93a回りの回動を制限する制限部(図示せず。)が設けられている。これにより、図31に示すように、従来のレンズ鏡胴10´であっても、第3レンズ保持部90´が一端側交差延在部分91c´よりも全体に前方に位置されていることから、実施例1の第3レンズ保持枠31では、固定枠21を従来の固定枠21´(図38参照。)に等しい厚さ寸法とすると、従来のレンズ鏡胴10´の光軸方向延在部分91b´(図31参照。)に比較して、光軸方向延在部分91bの厚さ寸法を大きくする(図30参照。)ことができる。これは、実施例1の第3レンズ保持枠31では、従来の第3レンズ保持枠31´よりも厚さ寸法を大きくしても、収納位置(退避位置。)において一端側交差延在部分91cを折り曲げることにより、従来の第3レンズ保持枠31´の厚さ寸法と同等以下の厚さ寸法とすることができることによる。実施例1では、光軸方向延在部分91bの厚さ寸法は、一端側交差延在部分91cの上端部が従来の第3レンズ保持枠31´における第3レンズ保持部90´の上端部の位置(撮影光軸OA方向で見た押さえ板81との間隔。)に略等しくなるように設定されている(図30および図31参照。)。このため、実施例1のレンズ鏡胴10では、図36および図37に示すように、従来のレンズ鏡胴10´(図38および図39参照。)に比較して、望遠時において第3レンズ群13を被写体側(対物側。)に繰り出すことが可能とされており、第3レンズ群13と第4レンズ群14との間隔d(図29参照。)を大きくすることができ、望遠性能が高められている。
次に、実施例1のレンズ鏡胴10における第3レンズ保持枠31の収納位置(退避位置。)での一端側交差延在部分91cの折り曲げについて説明する。上記したように、第3レンズ保持枠31では、一端側交差延在部分91cをヒンジ部分93で後方へ折り曲げることにより、第3レンズ保持部90を一端側交差延在部分91cの上端部よりも後方に位置させる、すなわち一端側交差延在部分91cが真っ直ぐな状態に比較して厚さ寸法が低減するように折り畳むことができる。この第3レンズ保持枠31の折り畳みのために、固定枠21には、押圧壁部95(図40、図41および図42参照。)が設けられている。
押圧壁部95は、図40ないし図42に示すように、固定枠21の内方へ向けて固定枠21の側壁部から押さえ板81と平行に突出しつつ当該突出幅および押さえ板81との間隔が連続的に変化するように形成され、その延在端縁95aが、第3群主ガイド軸32の軸線に直交する方向で見た当該軸線からの間隔および押さえ板81との間隔が連続的に漸次変化する曲線を描いている。
この延在端縁95aは、図41および図42に示すように、撮影光軸OAに近い側の一端95bが、第3レンズ保持枠回動基部92が第3群主ガイド軸32上における移動範囲内における最も後方側に位置された状態で一端側交差延在部分91cが折り畳まれていない第3レンズ保持枠31の厚さ寸法を受け入れ可能な、すなわち最も後方側に位置された状態で一端側交差延在部分91cが折り畳まれていない第3レンズ保持枠31の第3レンズ保持部90の枠部分90bを像面側の押さえ板81との間に受け入れ可能な厚さ寸法とされている。この一端95bは、折り畳まれていない第3レンズ保持枠31の第3レンズ保持部90の枠部分90bにおける当接位置90cに当接するように設定されている。また、延在端縁95aの他端95cは、収納位置(沈胴収納状態D。)において第3レンズ保持枠回動基部92が最も後方側に位置された状態で一端側交差延在部分91cが折り畳まれた第3レンズ保持枠31の第3レンズ保持部90の枠部分90bの当接位置90cに当接するように設定されている。さらに、延在端縁95a(一端95bからと他端95cに至る間。)は、第3レンズ群13の退避ために第3群主ガイド軸32回りに回動されつつヒンジ部分93の軸部93a回りに一端側交差延在部分91cが折り曲げられて折り畳まれる際、第3レンズ保持枠31の第3レンズ保持部90の枠部分90bの当接位置90cが描く軌道に沿う曲線に設定されている。
このため、第3レンズ保持枠31は、雌ネジ部材35の移動により、図41の正面視で反時計方向に第3群主ガイド軸32回りに回動されると、図42に(u)、(m)、(l)の順に示すように、第3レンズ保持部90の枠部分90bの当接位置90cが、先ず押圧壁部95の延在端縁95aの一端95bに当接し、延在端縁95aに沿って摺動され、延在端縁95aの他端95cに至ることとなることから、押圧壁部95から後方(図42では正面視下方。)へ向けた押圧力を付与されて一端側交差延在部分91cが漸次的に折り曲げられ、収納位置では折り畳まれた沈胴収納状態Dとされることとなり、固定枠21内で撮影光軸OAから退避された状態で収納されることとなる。
また、第3レンズ保持枠31は、雌ネジ部材35の移動により、図41の正面視で時計方向に第3群主ガイド軸32回りに回動されると、図42に(l)、(m)、(u)の順に示すように、枠部分90bの当接位置90cを後方(図42では正面視下方。)へ押圧している押圧壁部95の延在端縁95aが他端95cから一端95bへ向けて連続的に前方に変位している(図40参照。)ので、第3レンズ保持部90では、回動トーションスプリング94の付勢力により一端側交差延在部分91cが漸次的に真っ直ぐな状態に近づくように延在端縁95aに沿って当接位置90cが上昇し、当接位置90cが一端95bに当接する位置では通常の撮影状態Pとされることとなる。
このように、実施例1のレンズ鏡胴10では、従来のレンズ鏡胴10´に比較して、望遠時において第3レンズ群13を被写体側(対物側。)に繰り出すことが可能である、すなわち通常の状態において第3レンズ保持枠31の厚さ寸法が大きくされているが、収納位置にあるときには、一端側交差延在部分91cがヒンジ部分93で折り曲げられて第3レンズ保持枠31が折り畳まれることにより、収納位置では第3レンズ保持枠31の厚さ寸法を従来のレンズ鏡胴10´の第3レンズ保持枠31´の厚さ寸法に等しいものとすることができる。よって、実施例1に係るレンズ鏡胴10では、厚さ寸法の増加を招くことなく望遠性能を高めることができる。このことから、実施例1に係るレンズ鏡胴10では、同じ望遠性能であれば、厚さ寸法を減少させることができる。
また、レンズ鏡胴10では、回動される第3レンズ保持枠31の移動力を利用して一端側交差延在部分91cをヒンジ部分93で折り曲げて第3レンズ保持枠31を折り畳む構成であることから、従来のレンズ鏡胴10´の構成を基準として、第3レンズ保持枠31を折り畳むための駆動装置を新たに設けることなく形成することができる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、第3レンズ保持枠31を第3群主ガイド軸32回りに回動させるための構成が従来のレンズ鏡胴10´とは異なっている。これについて、以下に図43〜図45を用いて説明する。
図43は、図14(a)において実施例1の要部が分かるように拡大して示した図である。前述したように、第3レンズ保持枠回動基部92は、その外周面に設けられた段差部31cのカム部31eと、そこに受け入れられた雌ネジ部材35の当接部35aとの摺動により、前後方向に直線運動される雌ネジ部材35の押圧力を受けて回動されることから、段差部31cがカム溝として機能し雌ネジ部材35の当接部35aがカムピンとして機能することとなる。図44は、カム溝である段差部31cを第3レンズ保持枠回動基部92の回動方向で見た模式的な平面図であり、(a)が退避開始位置B(図14(a)参照。)での状態を示し、(b)が退避開始位置Bと収納位置S(図14(a)参照。)との間での移行状態を示し、(c)が収納位置Sでの状態を示している。この図44では、第3レンズ保持枠回動基部92が回動された様子を段差部31cが左右に移動することで示しており、矢印A1は、第3レンズ保持枠回動基部92が圧縮トーションスプリング37により回動付勢されている方向を示しており、カムピンである当接部35aの第3群リードスクリュー34上での前後方向の直線運動は正面視で上下方向の移動により示している。
このカム溝である段差部31cは、前側係合部31dにより形成され撮影光軸OA方向に直交する直交平坦壁面120と、カム部31eにより形成され撮影光軸OA方向に対して傾斜する傾斜壁面121と、この後方に連続され撮影光軸OA方向に平行でありかつ第3レンズ保持枠回動基部92の回動方向に直交する平行平坦壁面122とを有している。
第3レンズ保持枠回動基部92は、前述したように、カム溝である段差部31c内で前後方向に移動されるカムピンである雌ネジ部材35の当接部35aにより、第3群主ガイド軸32に沿って上下に移動されたり、第3群主ガイド軸32回りに回動されたりすることとなる。この際のカム溝である段差部31c内での当接部35aの位置に対する第3レンズ保持枠回動基部92の動作を説明する。
当接部35aが、傾斜壁面121(カム部31e。)が存在しない位置まで前方に移動される(退避開始位置B。)と、直交平坦壁面120(前側係合部31d。)に当接することとなるが、図44(a)に示すように、第3レンズ保持枠回動基部92が矢印A1方向に付勢されていることから、図示右側の端部で直交平坦壁面120に当接している。この状態では、第3レンズ保持枠回動基部92が回動されておらず、第3レンズ群13が撮影光軸OA上に位置されている(図34等参照。)。この状態において、さらに当接部35aが前方に移動される(広角位置Wまたは望遠位置T等。)と、当接部35aが直交平坦壁面120を前方へ押し上げることとなるので、前述したように、第3レンズ群13が適宜物体側へと移動されることとなる。
この当接部35aが、退避開始位置Bから後方へ移動されると傾斜壁面121を後方へ押圧することとなるので、図44(b)に示すように、当接部35aの位置(図44(b)では正面視の高さ位置。)に応じて第3レンズ保持枠回動基部92が付勢力A1に抗して回動される(図44(b)では正面視右側に移動。)こととなる。この状態において、第3レンズ保持枠回動基部92は、退避位置へ向けて回動されている移行状態であり、第3レンズ群13が撮影光軸OA上から退避位置へと退避される移行状態である。
この当接部35aが、図44(c)に示すように、平行平坦壁面122の位置(収納位置S。)まで後方に移動されると、第3レンズ保持枠回動基部92が矢印A1方向に付勢されていることから、平行平坦壁面122に当接して互いに押圧することとなる。
実施例1のレンズ鏡胴10では、このカム溝である段差部31cは、直交平坦壁面120を形成する前側係合部31dが、付勢力A1による第3レンズ保持枠回動基部92の回動方向で見て平行平坦壁面122を超えて延在(特に、図44(a)の破線bl参照。)されて直交平坦延長壁面123が形成され、かつ基端面31fの後方に追加延在壁124が設けられ平行平坦壁面122の後方に連続し撮影光軸OA方向に直交する追加延在壁面125が形成されている。換言すると、直交平坦延長壁面123により直交平坦壁面120が延長されている。
実施例1のレンズ鏡胴10では、当接部35aが収納位置Sにある状態で、不測の事態が生じることにより、当接部35aと第3レンズ保持枠回動基部92との位置関係に撮影光軸OA方向の相対的なずれ(位置ずれ。)が生じようとした場合であっても、当接部35aが追加延在壁面125に当接するので、当接部35aが平行平坦壁面122よりも後方に位置されることを防止することができる。これは、追加延在壁124が設けられておらず追加延在壁面125が存在しない場合、不測の事態が生じることにより、平行平坦壁面122に当接する収納位置Sにある当接部35aと第3レンズ保持枠回動基部92とに位置ずれが生じて、当接部35aが平行平坦壁面122よりも後方に位置されると、付勢力A1により第3レンズ保持枠回動基部92が回動して(図44では左側に移動。)、当接部35aがカム溝内に復帰できなくなる(図44(a)に一点鎖線で示す当接部35a参照。)ことによる。このことから、追加延在壁面125は、当接部35aと第3レンズ保持枠回動基部92との相対的な位置ずれに起因して当接部35aが平行平坦壁面122よりも後方に位置されることを防止する位置ずれ防止手段として機能する。
また、実施例1のレンズ鏡胴10では、当接部35aが収納位置Sにある状態から退避開始位置Bを経てさらに前方へと移動された際、付勢力A1を受けている第3レンズ保持枠回動基部92が、不測の事態が生じることにより回動しなかった場合であっても、当接部35aが直交平坦延長壁面123に当接する(図44(c)に一点鎖線で示す当接部35a参照。)ので、当接部35aがカム溝の外方で直交平坦壁面120よりも前方に位置されることを防止することができ、適切に撮影できなくなることを防止することができる。これは、直交平坦延長壁面123が設けられていない場合、当接部35aが収納位置Sとされている状態から退避開始位置Bを経てさらに前方へと移動された際、付勢力A1を受けている第3レンズ保持枠回動基部92が不測の事態が生じることにより回動しないと、当接部35aが、カム溝の外方で直交平坦壁面120よりも前方に位置されてしまい、当接部35aが前方へ移動しても第3レンズ保持枠回動基部92が前方へ移動されることがないことから、第3レンズ保持枠31に保持された第3レンズ群13が前方、すなわち物体側へと移動することができなくなることによる。
なお、実施例1では、レンズ鏡胴10には、第3レンズ保持枠31の折り畳みによる厚さ寸法の増大を防止する構成に加えて、第3レンズ保持枠回動基部92のガイド溝にガイドピンである当接部35aが適切に当接しなくなることを防止する構成が設けられていたが、第3レンズ保持枠31の折り畳みによる厚さ寸法の増大を防止する構成のみであってもよく、この場合であっても厚さ寸法の増加を招くことなく望遠性能を高めることができる。
また、実施例1では、追加延在壁124は、第3レンズ保持枠回動基部92が後方に延在されて形成されていたが、平行平坦壁面122に当接している当接部35aが相対的に後方へ移動することを防止するものであれば、図45に示すように、別体の追加延在壁124´を設けて追加延在壁面125´を形成する構成であってもよく、実施例1に限定されるものではない。
さらに、実施例1では、ガイド溝が追加延在壁面125および直交平坦延長壁面123の双方を有する構成とされていたが、それぞれのガイドピンである当接部35aがガイド溝に適切に当接しなくなることを防止する場面が異なることから、いずれか一方のみが設けられている構成であってもよく、実施例1に限定されるものではない。
実施例1では、第3レンズ保持枠31の折り畳みによる厚さ寸法の増大を防止する構成を前提とするレンズ鏡胴10について述べたが、第3レンズ保持枠回動基部92のガイド溝にガイドピンである当接部35aが適切に当接しなくなることを防止する構成のみであってもよい。これは、第3レンズ保持枠31の折り畳みによる厚さ寸法の増大を防止する構成がなくても第3レンズ保持枠回動基部92のガイド溝にガイドピンである当接部35aが適切に当接しなくなることを防止する構成により、第3レンズ保持枠回動基部92と当接部35aとの前後方向の相対的な位置ずれに起因して当接部35aがガイド溝の外方に位置されることを防止することができることによる。この場合であっても、ガイド溝が、追加延在壁面125および直交平坦延長壁面123のいずれか一方のみを有する構成であってもよい。
実施例1では、図46に示すように、鏡胴ベース82に角部延在壁82aが設けられていたが、固定枠21に角部延在壁82aを設ける構成とすることができる。この場合、図47に示すように、第3レンズ保持枠回動基部92を第3群主ガイド軸32に挿着しかつ第3群リードスクリュー34に雌ネジ部材35を挿着した後であっても、第3レンズ保持枠31を、収納位置を越えてさらに外方へ(図47では反時計回り。)第3群主ガイド軸32回りに回動させれば、雌ネジ部材35の当接部35aを第3レンズ保持枠回動基部92のガイド溝内に位置させることができるので、レンズ鏡胴の組み付け作業を容易なものとすることができる。これは、図46に示すように、鏡胴ベース82に角部延在壁82aが設けられていると、第3レンズ保持枠31を、収納位置を越えてさらに外方へ(図47では反時計回り。)第3群主ガイド軸32回りに回動させることができなくなるが、収納位置では、挿着された雌ネジ部材35の当接部35aを装着された第3レンズ保持枠回動基部92のガイド溝内に位置させることが直交平坦延長壁面123および追加延在壁面125(追加延在壁124。)により阻害されることによる。