JP7304514B2 - 段階式偏芯コロ、レンズ鏡筒及びレンズ鏡筒のシフト調整方法 - Google Patents

段階式偏芯コロ、レンズ鏡筒及びレンズ鏡筒のシフト調整方法 Download PDF

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Description

本発明は段階式偏芯コロ、及び段階式偏芯コロによるシフト調整機構を備えたレンズ鏡筒に関する。
従来より、調整ワッシャを用いて固定筒に対してレンズ保持枠を光軸と平行な方向に調整(以下、シフト調整とする)可能なレンズ鏡筒が公知である。
特許文献1においては調整ワッシャの厚さにより保持部材の光軸方向の位置を調整することにより、レンズの光軸方向の位置を同一量だけ調整できるレンズ鏡筒が開示されている。
特開2006-106312号公報
しかし、調整ワッシャを用いたシフト調整を行うには、一度レンズ鏡筒を分解し、調整ワッシャを加え、再度組み立てを行う必要がある。従って、シフト調整の作業工程、調整に係るコストが大きいといった問題があった。
一方、レンズ保持枠の外周上に複数の偏芯コロを備え、それらの偏芯コロを同量だけ調整することでシフト調整を行うことが可能である。このような方法であれば、シフト調整の度にレンズ鏡筒の分解を行う必要がなく、作業工程は短縮される。
ここで、複数の偏芯コロによってレンズ保持枠をシフト調整するためには、それぞれの偏芯コロに対して偏芯調整を行う必要がある。しかし、複数の偏芯コロを正確に偏芯調整するのは目視では不可能であって、専用の治具でレンズ鏡筒を固定し、測定器で常にレンズ保持枠の平行状態を測定しながら、精細な調整を行う必要がある。従って組み立て工程が複雑になり、組み立てコストも増加してしまう等、作業性に課題があった。
上記課題から本発明は、レンズ保持枠のシフト調整における作業性、及び調整コストに優れた偏芯コロ、及びレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の偏芯コロは、貫通穴を有する偏芯コロであって、外周上に使用可能領域と使用不可領域とをそれぞれ複数有し、前記使用可能領域の範囲内で前記貫通穴の中心からの距離が常に一定となり、それぞれの前記使用可能領域の前記貫通穴の中心からの距離は互いに異なることを特徴とする。
上記発明によれば、レンズ保持枠のシフト調整における作業性、及び調整コストに優れた偏芯コロ、及びレンズ鏡筒を提供することができる。
本発明の一実施例におけるレンズ鏡筒の主要部材を示す平面図である。 本発明の一実施例におけるレンズ鏡筒の主要部材を示す断面図である。 本発明の一実施例における段階式偏芯コロを示す平面図である。 本発明の一実施例における段階式偏芯コロを示す側面図である。 本発明の一実施例における段階式偏芯コロを示す斜視図である。 本発明の一実施例における段階式偏芯コロの外周上の領域を示した平面図である。 本発明の一実施例におけるレンズ保持枠のシフト調整箇所を示した斜視図である。 本発明の一実施例における段階式偏芯コロの状態の遷移を示した平面図である。 本発明の一実施例における段階式偏芯コロの固定部材を示す平面図である。
以下、添付の図面に従って、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
図1は本発明の一実施例におけるレンズ鏡筒の主要部材を示す平面図である。図2は本発明の一実施例におけるレンズ鏡筒の主要部材を示す断面図である。以下、図1、図2を使用してレンズ鏡筒の部材について説明する。また、本実施例においては図1における右側を撮像装置側、その反対側を物体側と呼称する。
本実施例のレンズ鏡筒はマウント部を介して不図示の撮像装置に撮影レンズを交換可能に取り付けるための装置であり、撮影レンズの光学系は中心に光軸を持つ。また、レンズ鏡筒は、固定筒10、保持筒20、第1のレンズ保持枠30、第2のレンズ保持枠40を有する。
固定筒10は第1のレンズ保持枠30を内部に保持する円筒状の部材である。固定筒10は周方向に長辺を持つ長窓部11を、外周上に3箇所備えている。また、長窓部11は貫通穴である不図示の横穴部を備えている。
第1のレンズ保持枠30は固定筒10に対して光軸方向にシフト調整可能なレンズ保持枠である。第1のレンズ保持枠30は、段階式偏芯コロ50の挿入部56が挿入される不図示のコロ受け穴を外周上に3箇所備えている。
第1のレンズ保持枠30は、3つの段階式偏芯コロ50が固定筒10の長窓部11の横穴部を通して第1のレンズ保持枠30に係合され、締結されることで、固定筒10に保持される。段階式偏芯コロ50は、第1のレンズ保持枠30のコロ受け穴に挿入部56が挿入され、締結部材90によって締結され、固定部材80によって回転不能な状態で固定される。第1のレンズ保持枠30のシフト調整について、詳しくは後述する。
保持筒20は第2のレンズ保持枠40を内部に保持する円筒状の部材である。保持筒20は周方向に長辺を持つ長窓部を、外周上に等間隔で3箇所備えている。また、長窓部は貫通穴である不図示の横穴部を備えている。
第2のレンズ保持枠40は保持筒20に対して光軸に対する傾き(レンズチルト)調整可能なレンズ保持枠である。第2のレンズ保持枠40は第1のレンズ保持枠30と同一レンズ群に属し、フォーカシングやズーミングに際して第1のレンズ保持枠30と第2のレンズ保持枠40との間隔は変化しない。また、第2のレンズ保持枠40は、1つの段階式偏芯コロ50と2つの偏芯コロ60が、保持筒20の長窓部の横穴部を通して第2のレンズ保持枠40に締結されることで、保持筒20に保持される。段階式偏芯コロ50及び偏芯コロ60は、第2のレンズ保持枠40のコロ受け穴に挿入部56が挿入され、締結部材90によって締結される。第2のレンズ保持枠40の傾き調整について、詳しくは後述する。
図3は本発明の一実施例における段階式偏芯コロ50を示す平面図である。図4は本発明の一実施例における段階式偏芯コロ50を示す側面図である。図5は本発明の一実施例における段階式偏芯コロ50を示す斜視図である。以下、図3、図4、図5を使用して段階式偏芯コロ50について説明する。
段階式偏芯コロ50は貫通穴51及び軸部55が中心からずれた状態で備えられるコマ形状の部材である。貫通穴51は締結部材90が挿入される穴であり、締結部材90の頭部と当接する受け部を備える。係合溝53は段階式偏芯コロ50を回転操作するための冶具及び固定部材80と係合する溝である。なお、垂直方向の係合溝53は貫通せずに突き当て部54を有する。軸部55はレンズ保持枠のコロ受け部と係合する挿入部56と、固定筒10及び保持筒20の長窓部の横穴部と嵌合する嵌合部57とを備えている。また、図3に示されるように、段階式偏芯コロ50の外周部は従来の偏芯コロと異なり、真円形状を取らない。
図6は本発明の一実施例における段階式偏芯コロ50の外周上の領域を示した平面図である。本実施例の段階式偏芯コロ50は、外周上に使用可能領域と使用不可領域70とを4箇所ずつ備えることを特徴とする。使用可能領域及び使用不可領域70は図6において境界直線によって区分けされ、示されている。ここで、図6における貫通穴51の上方に位置する使用可能領域を第1使用可能領域71とし、そこから時計回りに第2使用可能領域72、第3使用可能領域73、第4使用可能領域74とする。また、使用可能領域以外の領域を使用不可領域70とする。なお、図6において点線で示されているのは貫通穴の中心52を通過する水平線及び垂直線である。また、各使用可能領域は外周上に太線で示されている。
使用可能領域は、その範囲内で貫通穴の中心52からの距離が同一となる段階式偏芯コロ50の外周上の領域である。例えば、第1使用可能領域71は第1境界直線75と第2境界直線76とが鋭角をなす扇形の外周部分であり、第1使用可能領域71内の全ての箇所で貫通穴の中心52からの距離が同一となる。
また、特定の使用可能領域は貫通穴51を挟んで対向する他方の使用可能領域と対を成し、共通の2本の境界直線によって等しい角度で区切られる。例えば、第1使用可能領域71と第3使用可能領域73は対を成し、貫通穴51を挟んで等しい角度で第1境界直線75と第2境界直線76によって区切られる。また、対を成す2つの使用可能領域は相似形の扇形となる。
第1使用可能領域71における貫通穴の中心52からの距離を第1距離、第2使用可能領域72における貫通穴の中心52からの距離を第2距離、第3使用可能領域73における貫通穴の中心52からの距離を第3距離、第4使用可能領域74における貫通穴の中心52からの距離を第4距離とすると、第1距離、第2距離、第3距離、第4距離はそれぞれ異なる距離となっている。これにより、本実施例の段階式偏芯コロ50は各使用可能領域に応じて異なる偏芯量を備えている。段階式偏芯コロ50の偏芯量について、詳しくは後述する。
また、外周上のいずれかの使用可能領域の1点と、貫通穴の中心52とを通る直線上の段階式偏芯コロ50の直径は、全ての使用可能領域において同一である。言い換えれば、対となる使用可能領域である第1距離と第3距離を足し合わせた直径と、第2距離と第4距離を足し合わせた直径とは同一となっている。この直径を段階式偏芯コロ50の最大直径と呼称する。
使用不可領域70は貫通穴の中心52からの距離が同一とならない外周上の領域である。使用不可領域70は、両側から挟まれる形で使用可能領域と隣接し、4箇所備えられている。また、外周上のいずれかの使用不可領域70の1点と、貫通穴の中心52とを通る直線上の段階式偏芯コロ50の直径は、全ての使用不可領域70において段階式偏芯コロ50の最大直径未満となる。
次に、段階式偏芯コロ50を備えたレンズ鏡筒のシフト調整について説明する。本実施例においては第1のレンズ保持枠30に係合する3箇所の段階式偏芯コロ50を回転操作することで、固定筒10に対する第1のレンズ保持枠30のシフト調整が行われる。
図7は本発明の一実施例におけるレンズ保持枠のシフト調整箇所を示した斜視図である。段階式偏芯コロ50は固定筒10の長窓部11の横穴部に挿入され、嵌合部57が横穴部に嵌合し、円柱形状の挿入部56が第1のレンズ保持枠30のコロ受け穴に係合する。また、段階式偏芯コロ50の最大直径は長窓部11の短辺と略同一であるため、段階式偏芯コロ50は最大直径において長窓部11の長辺に2点で当接し、そのシフト移動が規制される。ここで、本実施例においては撮像装置側の当接点を第1当接点77、物体側の当接点を第2当接点78と呼称する。第1レンズ保持枠の周方向への回転については、円柱形状の嵌合部57が横穴部に嵌合することで移動が規制されている。
貫通穴の中心52を軸として段階式偏芯コロ50を回転させると、第1のレンズ保持枠30は段階式偏芯コロ50の偏芯量に応じて倒れる。よって外周上に配置された3箇所の段階式偏芯コロ50をすべて同じ状態に回転操作することで、第1のレンズ保持枠30は所定の方向にシフト移動可能である。
図8は本発明の一実施例における段階式偏芯コロ50の状態の遷移を示した平面図である。段階式偏芯コロ50は偏芯量の異なる4つの状態を備えており、図8(a)を第1状態(基準状態)、図8(b)を第2状態、図8(c)を第3状態、図8(d)を第4状態とする。図8において段階式偏芯コロ50と当接する垂直の実線は長窓部11の長辺を示し、水平の実線は長窓部11の短辺を示す。また、垂直の点線は水平の実線の垂直二等分線であり、垂直の一点鎖線は貫通穴の中心52を通過する垂直線となっている。従って、垂直の点線と垂直の一点鎖線との水平方向におけるズレ幅が、当該状態における段階式偏芯コロ50の偏芯量となる。
段階式偏芯コロ50は各状態において、対となる使用可能領域が長窓部11の長辺と当接する。例えば第1状態においては、第2使用可能領域72が第1当接点77で、第4使用可能領域74が第2当接点78で長窓部11の長辺と当接する。ここで、各状態において、各使用可能領域の範囲内では貫通穴の中心52からの距離が等しいことから、どの箇所が長窓部11の長辺と当接しても、貫通穴の中心52の位置は同一である。従って、各状態においては対となる使用可能領域の長窓部11の長辺と当接する箇所によらず、段階式偏芯コロ50の偏芯量は一定となる。
次に段階式偏芯コロ50のシフト調整に際する状態の遷移について説明する。段階式偏芯コロ50は第1状態が基準状態であり、この際の偏芯量を「+1」と定義する。ここで、本実施例においては+方向が第1のレンズ保持枠30の撮像装置側への移動であり、-方向が第1のレンズ保持枠30の物体側への移動である。
第1状態の段階式偏芯コロ50を時計回り方向に回転操作すると、第2使用可能領域72及び第4使用可能領域74の範囲内で長窓部11の長辺と当接する箇所が移動する。更にそのまま回転操作を続けると第2使用可能領域72及び第4使用可能領域74と長窓部の長辺11との当接が解消される。
ここで前述した通り、使用不可領域70においては段階式偏芯コロ50の直径が最大直径未満である。従って、使用不可領域70は長窓部11の長辺と当接せず、段階式偏芯コロ50は隙間を持った状態で回転操作が行われる。
引き続き回転操作が行われると、第3使用可能領域73が第1当接点77で、第1使用可能領域71が第2当接点78で長窓部11の長辺と当接する。この状態が段階式偏芯コロ50の第2状態となる。第2状態は長窓部11の長辺と当接する範囲内において偏芯量は「+3」で一定となる。
以下同様にして回転操作が行われ、段階式偏芯コロ50は第2状態から第3状態、第4状態へと状態が遷移し、最終的には第1状態へと復帰する。ここで、第3状態は第2使用可能領域72が第2当接点78で、第4使用可能領域74が第1当接点77で長窓部11の長辺と当接し、偏芯量は「-1」で一定となる。第4状態は第3使用可能領域73が第2当接点78で、第1使用可能領域71が第1当接点77で長窓部11の長辺と当接し、偏芯量は「-3」で一定となる。
以上が段階式偏芯コロ50の回転調整となる。シフト調整は3箇所の段階式偏芯コロ50について、目的とする偏芯量を有するいずれかの状態へと等しく回転操作を行うことで行われる。回転操作は冶具を段階式偏芯コロ50の係合溝53へと係合させて行う等すればよい。また、シフト調整は段階式偏芯コロ50が締結部材90によって第1のレンズ保持枠30に締結された状態で行われる。締結部材90は段階式偏芯コロ50が治具によって回転可能、かつ、固定筒10と第1のレンズ保持枠30との位置関係にズレが生じない程度の力量で締め込まれている。
本実施例における段階式偏芯コロ50は従来の偏芯コロと異なり、各状態の使用可能領域において、常に一定の偏芯量を維持することができる。よって段階式偏芯コロ50の回転操作は、各段階式偏芯コロ50を狙いの状態とし、使用可能領域の範囲内で長窓部11と当接するようにすれば、確実に正確な調整を行うことが可能である。従って、レンズ保持枠の平行を専用の冶具及び測定器で確認する必要がなく、目視においても容易、かつ正確なシフト調整が可能となる。
本実施例においては偏芯量が「+1」である第1状態を基準状態とし、物体側方向へと2段階、撮像装置側へと1段階の調整が可能であるよう設定されている。しかし、本発明はこれに限られるものではない。例えば、撮像装置側への調整量がより多く必要な場合、物体側方向へと1段階、撮像装置側へと2段階の調整が可能であるよう基準状態を変更する等、設計の必要に応じて適宜設定すればよい。
次に固定部材80について説明する。図9は本発明の一実施例における段階式偏芯コロ50の固定部材80を示す平面図である。固定部材80はシフト調整が終了した後の段階式偏芯コロ50について、締結部材90による固定に加え、更に強固に固定するための部材である。固定部材80は貫通穴の中央にブリッジ部81を有する形状をしており、締結部材90にて固定筒10に締結されている。
図9(a)は固定部材80の表面を使用した場合の固定方法を示している。段階式偏芯コロ50が第1状態及び第3状態の場合、係合溝53は水平方向を向くことから、固定部材80は表面が使用され、ブリッジ部81が係合溝53と係合する。図9(b)は固定部材80の裏面を使用した場合の固定方法を示している。段階式偏芯コロ50が第2状態及び第4状態の場合、係合溝53は垂直方向を向くことから、固定部材80は裏面が使用され、ブリッジ部81が係合溝53と係合する。
以上から、本実施例の固定部材80は両面を使うことで、段階式偏芯コロ50の状態によらず使用することが可能である。従って段階式偏芯コロ50の状態によって別個に固定部材80を用意する必要がないことから、調整工程の簡易化、コスト低減化に寄与している。
次に、第2のレンズ保持枠40の傾き調整について説明する。第2のレンズ保持枠40の傾き調整は、第1のレンズ保持枠30のシフト調整の後に行われる。第2のレンズ保持枠40は外周部に1箇所の段階式偏芯コロ50と、2箇所の偏芯コロ60が係合されている。
第1のレンズ保持枠30のシフト調整が行われると、第1のレンズ保持枠30と第2のレンズ保持枠40との間隔は、シフト調整が行われていない状態である基準状態から変化する。ここで、第1のレンズ保持枠30と第2のレンズ保持枠40との間隔が変化すると、レンズ鏡筒全体の光学性能が変化してしまう。従って、第2のレンズ保持枠40の傾き調整に際しては、第1のレンズ保持枠30と第2のレンズ保持枠40との距離を初期状態と等しくするように、まず第2のレンズ保持枠40のシフト調整が行われる。
第2のレンズ保持枠40のシフト調整は、第2のレンズ保持枠40における1箇所の段階式偏芯コロ50を第1のレンズ保持枠30における段階式偏芯コロ50と等しい状態とすることで行われる。段階式偏芯コロ50の状態を等しくすることで、第2のレンズ保持枠40は第1のレンズ保持枠30のシフト調整における移動距離と同距離を光軸方向へシフト移動する。従って、第2のレンズ保持枠40と第1のレンズ保持枠30との距離は基準状態と等間隔となる。また、シフト調整は段階式偏芯コロ50が締結部材90によって第2のレンズ保持枠40に締結された状態で行われる。
続いて、第2のレンズ保持枠40を専用の冶具及び計測器でレンズ群を測定しながら2箇所の偏芯コロ60を調整することで、第2のレンズ保持枠40の保持筒20に対する傾きが調整される。傾き調整が行われた偏芯コロ60は締結部材90によって第2のレンズ保持枠40に締結される。以上のようにして、第2のレンズ保持枠40の傾き調整は行われる。なお、第1のレンズ保持枠30のシフト調整が行われない場合、第2のレンズ保持枠40は偏芯コロ60による傾き調整のみを行えばよい。
以上から本発明は、レンズ鏡筒における偏芯コロを段階式偏芯コロとすることで、目視においても正確、かつ容易なシフト調整が可能である。従って、調整工程が簡易化され、コストの低減したシフト調整を可能とした。
また、両面を使用可能な段階式偏芯コロの固定部材を使用することで、調整工程の簡易化、コスト低減化を可能とした。
また、各レンズ保持枠に段階式偏芯コロを使用することで、レンズ保持枠の間隔調整を容易、かつ正確に行うことを可能とした。
10 固定筒
11 長窓部
20 保持筒
30 第1のレンズ保持枠
40 第2のレンズ保持枠
50 段階式偏芯コロ
51 貫通穴
52 貫通穴の中心
53 係合溝
54 突き当て部
55 軸部
56 挿入部
57 嵌合部
60 偏芯コロ
70 使用不可能領域
71 第1使用可能領域
72 第2使用可能領域
73 第3使用可能領域
74 第4使用可能領域
75 第1境界直線
76 第2境界直線
77 第1当接点
78 第2当接点
80 固定部材
81 ブリッジ部
90 締結部材

Claims (4)

  1. 貫通穴を有する段階式偏芯コロであって、外周上に使用可能領域と使用不可領域とをそれぞれ複数有し、前記使用可能領域の範囲内で前記貫通穴の中心からの距離が常に一定となり、それぞれの前記使用可能領域の前記貫通穴の中心からの距離は互いに異なり、
    前記段階式偏芯コロの外周上において、特定の使用可能領域は前記貫通穴を挟んで対向する他方の使用可能領域と対を成し、対となる特定の使用可能領域と他方の使用可能領域との相互の前記貫通穴の中心からの距離を足し合わせた距離を最大直径とするとき、前記最大直径が使用可能領域内で常に一定であり、いずれかの使用不可領域の1点と、前記貫通穴の中心とを通る直線上の直径は、全ての使用不可領域において前記最大直径未満となることを特徴とした段階式偏芯コロ。
  2. 前記使用可能領域と前記使用不可領域とを外周上にそれぞれ4箇所有することを特徴とする請求項1に記載の段階式偏芯コロ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の段階式偏芯コロを備えるレンズ鏡筒であって、レンズ群を保持する第1のレンズ保持枠と、前記第1のレンズ保持枠を保持する固定筒と、第1のレンズ保持筒に締結される第1の段階式偏芯コロと、を有し、前記第1の段階式偏芯コロは前記固定筒の外周部に形成された長窓部を通して前記第1のレンズ保持枠の外周部に締結され、前記第1の段階式偏芯コロは、前記貫通穴の中心を軸として回転調整され、前記レンズ群を光軸と平行な方向へシフト調整して第1のレンズ保持枠に締結されていることを特徴とするレンズ鏡筒。
  4. 請求項3に記載のレンズ鏡筒のシフト調整方法であって、前記第1の段階式偏芯コロのすべてを同一の状態へと前記貫通穴の中心を軸として回転調整するステップと、前記第1の段階式偏芯コロに形成された係合溝に固定部材を係合することで、前記第1の段階式偏芯コロを固定するステップと、を有することを特徴とする請求項に記載のレンズ鏡筒のシフト調整方法。
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