JP6138695B2 - タイヤ - Google Patents
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Description
本発明は、タイヤ骨格部材とビードコアの接合力を向上させることを目的としている。
第1の態様のタイヤでは、ビードコア、及び、ビードコアから延出する延出部がそれぞれタイヤ骨格部材に接合されることから、例えば、延出部を有さないものと比べて、ビードコアとタイヤ骨格部材との接合面積が広がり、タイヤ骨格部材とビードコアの接合力が向上する。
以上のことから、第1の態様のタイヤによれば、タイヤ骨格部材とビードコアの接合力を向上させることができる。
また、第1の態様のタイヤでは、ビードコアとタイヤ骨格部材を構成するビード部を溶着により接合することから、ビードコアとタイヤ骨格部材との接合を簡単かつ強固にすることができる。
またさらに、第1の態様のタイヤでは、延出部を被覆用樹脂材料と同じ材料で形成していることから、生産コストを抑えることができる。また、延出部とタイヤ骨格部材を溶着により接合することから、延出部とタイヤ骨格部材との接合を簡単かつ強固にすることができる。
第2の態様のタイヤでは、延出部をビード部及びサイド部と受ける力が異なるクラウン部に入り込ませていることから、延出部とタイヤ骨格部材との間の剥離の進展を効果的に抑制することができる。
第3の態様のタイヤでは、延出部をタイヤ周方向に間隔をあけて複数形成していることから、ビードコアとタイヤ骨格部材との接合面積をさらに広げることができる。
第4の態様のタイヤでは、ビードコアを構成する被覆用樹脂材料の一部をタイヤ径方向外側に延ばして延出部を形成していることから、例えば、ビードコアに別体の延出部を接合するものと比べて、ビードコアに別体の延出部を接合する工程を必要とせず、また、ビードコアと延出部との間の強度も十分に確保することができる。
第5の態様のタイヤでは、被覆用樹脂材料を、骨格用樹脂材料よりもビードコードに対して高い接着性を有する材料にしていることから、被覆用樹脂材料とビードコードとの接合に接着剤などを使用しなくても、両者を強固に接合(接着)することができる。これにより、ビードコードに接着剤を付与する工程を減らして生産性を高めることができる。
第6の態様のタイヤでは、被覆用樹脂材料と骨格用樹脂材料を同じ材料にしていることから、複数の樹脂材料を用いるものと比べて、生産コストを低下させることができる。
第7の態様のタイヤでは、被覆用樹脂材料が被覆接合されたビードコードをタイヤ周方向に沿って複数回巻回すると共に隣り合うビードコードの被覆層同士を接合してビードコアが形成されていることから、例えば、ビードコードをタイヤ周方向に沿って複数回巻回してからその外周に被覆用樹脂材料を被覆接合したものと比べて、被覆用樹脂材料とビードコードを強固に接合することができる。
以下、本発明に係る第1実施形態のタイヤについて図1〜4を用いて説明する。
図1に示すように、第1実施形態のタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。なお、図1〜4では、タイヤ幅方向を矢印Wで示し、タイヤ径方向を矢印Kで示している。
図1に示すように、サイド部14は、タイヤ10の側部を構成し、ビード部12からクラウン部16に向ってタイヤ幅方向外側に凸となるように緩やかに湾曲している。なお、ここで言う「タイヤ幅方向外側」とは、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道面CLから離れる側を指し、「タイヤ幅方向内側」とは、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道面CLに近づく側を指している。
クラウン部16は、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結する部位であり、タイヤ径方向外側に配設されるトレッド30を支持する。なお、本実施形態のクラウン部16はタイヤ幅方向の中間部分が平坦状とされているが、本発明はこの構成に限定されず、クラウン部16はタイヤ幅方向の中間部分がタイヤ径方向外側に凸となるように湾曲する形状とされてもよい。
また、本実施形態では、クラウン部16のタイヤ径方向外側端16Aがタイヤ赤道面CL上にある。
また、タイヤケース17に、補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布等)を埋設配置し、補強材でタイヤケース17を補強してもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K6418に規定されるアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、熱可塑性ゴム架橋体(TPV)、若しくはその他の熱可塑性エラストマー(TPZ)等が挙げられる。なお、走行時に必要とされる弾性と製造時の成形性等を考慮すると熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。
また、樹脂材料の同種とは、エステル系同士、スチレン系同士などの形態を指す。
また、本実施形態では、タイヤ半体17Hを左右対称形状、即ち、一方のタイヤ半体17Hと他方のタイヤ半体17Hとを同一形状としているので、タイヤ半体17Hを成形する金型が1種類で済むメリットがある。
また、被覆ビードコア18とビード部12が接合されている。言い換えると、被覆ビードコア18の被覆層18Aとビード部12とが接合されている。
本実施形態の被覆ビードコア18は、被覆用樹脂材料で形成された被覆層18Aによって被覆されると共に該被覆層18Aが接合された1本のビードコード18Bを、タイヤ周方向に複数回巻回すると共に隣り合うビードコード18Bの被覆層18A同士を接合して形成されている。より具体的には、被覆ビードコア18は、被覆層18Aによって被覆されると共に該被覆層18Aが接合されたビードコード18Bをタイヤ幅方向に沿って平行に並ぶようにタイヤ周方向に複数回巻回すると共に隣り合うビードコード18Bの被覆層18A同士を接合してビードコード列18Cを形成し、このビードコード列18Cをタイヤ径方向外側または内側に複数段形成することで、形成されている。なお、タイヤ径方向に隣り合うビードコード18Bの被覆層18A同士も接合されている。このようにして形成された被覆ビードコア18は、外層部分が被覆用樹脂材料の樹脂層18Dとされる。
また、隣り合うビードコード18Bの被覆層18A同士の接合は、接着剤を用いた接合でも、溶着による接合でも、その他の方法の接合でもよい。
なお、本実施形態では、隣り合うビードコード18Bの被覆層18A同士を溶着により接合している。
本実施形態では、ビードコード18Bとしてスチールモノフィラメントを用いている。
図1及び図3に示すように、被覆ビードコア18には、タイヤ側面視で(換言すると、タイヤ幅方向から見て)被覆ビードコア18からタイヤ周方向に対して交差する方向に延出する延出部100が形成されている。
具体的には、延出部100は、被覆ビードコア18の樹脂層18Dからタイヤ径方向外側に延出している。また、本実施形態の延出部100は、被覆層18Aを形成する被覆用樹脂材料と同じ材料で形成されると共に該被覆層18Aと一体とされている。すなわち、延出部100は、被覆ビードコア18の樹脂層18Dを構成する被覆用樹脂材料の一部をタイヤ径方向外側に延ばして形成されたものである。
シール層24を形成する上記軟質材料としては、弾性体の一例としてのゴムが好ましい。また、上記軟質材料としては、タイヤケース17を形成する骨格用樹脂材料よりも軟質な他の種類の樹脂材料を用いてもよい。
また、タイヤケース17の外周面上には、路面と接触するトレッド30が設けられている。このトレッド30は、タイヤケース17に接合されている。また、トレッド30には、複数の溝30Aを含むトレッドパターンが(図示省略)形成されている。
次に、本実施形態のタイヤ10の製造装置について図5〜12を用いて説明する。
まず、タイヤ半体17Hを成形するための金型80について説明する。
図5に示すように、金型80は、タイヤ半体17Hを成形することができるように、タイヤ外面側を成形する外金型82と、タイヤ内面側を成形する内金型84とを有する。内金型84には被覆ビード固定用の主ジグ86が設けられている。外金型82と内金型84との間には、タイヤ半体17H形状のキャビティS(空間)が形成されている。
また、樹脂吐出用ノズル46のタイヤケース回転方向側とは反対方向側(矢印A方向とは反対方向側)には、熱鏝47が配置されている(図11参照)。この熱鏝47は、溶接用樹脂材料43の融点以上の温度に加熱することができる。
ガイドレール54には、図12に示すような、リール58、コード加熱装置59等を備えたコード供給装置56が移動可能に搭載されている。
また、コード加熱装置59は、熱風を生成する図示しないヒーター、及びファンと、内部に熱風が供給され、内部空間を補強コード26が通過する加熱ボックス68と、加熱された補強コード26を排出する排出部70を備えている。
次に、本実施形態のタイヤ10の製造方法の一例を手順(1)〜(7)に基づいて説明する。
(1)被覆ビードコア18の形成工程について説明する。
まず、ビードコード18Bを脱脂処理する。次に、ビードコード18Bの外周に接着剤(例えば、シランカップリングなど)を塗布する。なお、接着剤の塗布は、ビードコード18Bの外周に接着剤を吹き付けて塗布してもよく、ビードコード18Bを接着槽に浸して外周に接着剤を塗布してもよい。
一方、既に巻き付け用ジグ94に巻き付けられたビードコード18Bの被覆層18Aの表面を溶融させて、隣り合うビードコード18Bの被覆層18A同士を溶着してもよい。
なお、巻き付ける前のビードコード18Bの被覆層18Aの表面を溶融させつつ、巻き付けられたビードコード18Bの被覆層18Aの表面を溶融させて、隣り合うビードコード18Bの被覆層18A同士を溶着してもよい。
(2)タイヤ半体成形工程について説明する。
まず、金型80を開き、上記のようにして形成した被覆ビードコア18のタイヤ内側部を主ジグ86の凹部87に入れて被覆ビードコア18を主ジグ86で保持し、金型80を閉じて、補助ジグ92で被覆ビードコア18のタイヤ外側を支える。
ここで、溶融状態の骨格用樹脂材料17Aがゲート88から被覆ビードコア18と外金型82との間を経由して注入される際に、溶融状態の骨格用樹脂材料17Aの熱で樹脂層18Dの表面が溶けて、溶け出した被覆用樹脂材料が溶融状態の骨格用樹脂材料17Aと共にキャビティSの奥へと流れる。そして、溶融状態の骨格用樹脂材料17A及び溶け出した被覆用樹脂材料が固化することで、タイヤ半体17Hが形成されると共に樹脂層18DからキャビティSの奥へと流れた被覆用樹脂材料によって延出部100が形成される。このとき、タイヤ半体17Hと樹脂層18D(被覆ビードコア18)、及びタイヤ半体17Hと延出部100がそれぞれ溶着により接合される。
なお、延出部100は、溶融状態の骨格用樹脂材料17Aの流れに沿って形成される、すなわち、ゲート88から溶融状態の骨格用樹脂材料の射出(注入)方向に沿って形成される。このようにして形成される延出部100は、タイヤ周方向に間隔をあけて配置される。
また、本発明のその他の実施形態では、補助ジグ92がキャビティS内へ進退動可能な金型構造にして、補助ジグ92を後退させつつ、溶融状態の骨格用樹脂材料17Aを注入し続けてもよい。これにより、既に注入した溶融状態の骨格用樹脂材料17Aが固化し過ぎる前に新たな溶融状態の骨格用樹脂材料17Aを注入することができる。よって、補助ジグ92が当接していた部位に溶融状態の骨格用樹脂材料が流入してビード部12を形成することができる。
(3)タイヤケース成形工程について説明する。
図7に示すように、先ず、径を縮小したタイヤ支持部40の外周側に、互いに向かい合わせに2つのタイヤ半体17Hを配置すると共に、2つのタイヤ半体17Hの内部に、薄い金属板(例えば、厚さ0.5mmの鋼板)からなる筒状のタイヤ内面支持リング72を配置する(なお、図7では、内部を見せるために一方のタイヤ半体17Hを外して記載している。)。本実施形態では、互いに向かい合わせに2つのタイヤ半体17Hを配置する際に、一方のタイヤ半体17Hの端部と他方のタイヤ半体17Hの端部とを突き合わせて接触させているが、若干の隙間を空けてもよい。
そして、熱鏝47、及び均しローラ48を下降させる。このとき熱鏝47を2つのタイヤ半体17Hの突き当て部分外周に押付ける。これにより、タイヤ支持部40で支持されたタイヤケース17を矢印A方向に回転させながら熱鏝47で押付けた部分、即ち、一方のタイヤケース17の端部と他方のタイヤケース17の端部とは順次溶融され、端部同士は、境界を生ずることなく順次完全に溶着される。
(4)補強層成形工程について説明する。
図12に示すように、タイヤケース17を矢印A方向に回転させ、コード供給装置56の排出部70から排出された加熱された補強コード26をタイヤケース17の外周面に螺旋状に巻き付けてクラウン部16の補強層28を形成する。補強コード26をタイヤケース17の外周面に螺旋状に巻き付けるには、タイヤケース17を回転しながら、コード供給装置56をタイヤケース17の軸方向に移動させればよい。また、補強コード26を、タイヤケース17を形成する骨格用樹脂材料の融点よりも高温に加熱(例えば、補強コード26の温度を100〜200°C程度に加熱)することで、補強コード26が接触した部分の骨格用樹脂材料が溶融し、タイヤケース17の外周面に補強コード26の一部または全体を埋設することができる。
(5)トレッド積層工程について説明する。
タイヤケース17の外周面に、加硫済みの帯状のトレッド30を1周分巻き付けてタイヤケース17の外周面にトレッド30を接着剤や未加硫ゴム(未加硫ゴムを用いる場合、接着するための加硫は後工程で行う。)等を用いて接着する。なお、トレッド30は、例えば、従来知られている更生タイヤに用いられるプレキュアトレッドを用いることができる。また、接着剤としては、トリアジンチオール系接着剤、塩化ゴム系接着剤、フェノール系樹脂接着剤、イソシアネート系接着剤、ハロゲン化ゴム系接着剤などを用いることができる。また、トレッド30を接着する部位は、予めバフして表面を粗らし、アルコール等の溶剤で洗浄しておくことが好ましい。また、接着前のタイヤ半体17Hにおいて、溶接用樹脂材料43が付着し易い様に、接合部位にコロナ処理や紫外線処理等を行ってもよい。
なお、加硫済みとは、最終製品として必要とされる加硫度に至っている状態をいい、半加硫状態とは、未加硫の状態よりは加硫度が高いが、最終製品として必要とされる加硫度には至っていない状態をいう。
半加硫又は加硫状態のトレッド30には、予め踏面側(外周側)に溝30A等のトレッドパターンが形成されている。トレッドパターンを形成するため、未加硫のトレッド30を金型内で加硫して、半加硫又は加硫状態のトレッド30を成型する。
(7)最後に、タイヤ支持部40の径を縮小し、完成したタイヤ10をタイヤ支持部40から取り外し、内部のタイヤ内面支持リング72を曲げ変形させてタイヤ外へ取り外す。
なお、本実施形態に係るタイヤの製造方法における工程の順序は、適宜変更することが可能である。
タイヤ10では、被覆ビードコア18の樹脂層18D、及び、被覆ビードコア18から延出する延出部100がそれぞれタイヤケース17に接合されることから、被覆ビードコア18とタイヤケース17との接合面積が広がり、タイヤケース17と被覆ビードコア18の接合力が向上する。
また、延出部100を被覆ビードコア18からタイヤ径方向外側に延出させていることから、延出部100の長さを長くすることができる。
さらにタイヤ10では、タイヤケース17を形成する骨格用樹脂材料が熱可塑性を有していることから、タイヤケース17が受けた傷などを、傷の周囲の骨格用樹脂材料を溶融して補修したり、同じ骨格用樹脂材料を溶融した状態で傷に補填して補修したりすることができる。すなわち、骨格用樹脂材料が熱可塑性を有することで、タイヤケース17の補修を簡単かつ確実に実施できる。
そして、タイヤ10では、ビードコード18Bとしてスチールモノフィラメントを用いることから、ビードコード18Bの引張強度、及び耐熱性が向上する。
以上のことから、タイヤ10によれば、タイヤケース17と被覆ビードコア18の接合力を向上させることができる。
また、被覆ビードコア18の変形例である図20に示す被覆ビードコア180のビード構造を用いてもよい。具体的に説明すると、被覆ビードコア180は、環状に形成され被覆用樹脂材料で形成された被覆層180Aにより被覆されると共に該被覆層180Aが接合されたビードコード180Bの周囲に、被覆用樹脂材料で形成された被覆層180Cにより被覆されると共に該被覆層180Cが接合された小径ビードコード180D(ビードコード180Bよりも小径)を螺旋状に巻き付けて、ビードコード180Bの被覆層180Aと小径ビードコード180Dの被覆層180Cとを接合すると共に、隣り合う小径ビードコード180Dの被覆層180C同士を接合して形成されている。なお、被覆ビードコア180は外層部分が被覆用樹脂材料で形成された樹脂層180Eとされる。
また、ビードコードの被覆層同士の接合は、接着剤を用いた接合でも、溶着による接合でも、それ以外の方法を用いた接合でも構わないのは、前述した通りである。なお、上記ビード構造は、後述する第2〜第5実施形態のタイヤに適用してもよい。
次に、本発明に係る第2実施形態のタイヤについて図16を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図16に示すように、本実施形態のタイヤ110は、延出部112の構成を除いて第1実施形態のタイヤ10と同一の構成である。このため、以下では、延出部112の構成について説明する。なお、図16では、シール層24及びトレッド30を省略している。
本実施形態のタイヤ110では、延出部112を、ビード部12やサイド部14と受ける力が異なるクラウン部16に入り込ませていることから、延出部112とタイヤケース17との間の剥離の進展を効果的に抑制することができる。
次に、本発明に係る第3実施形態のタイヤについて図17を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図17に示すように、本実施形態のタイヤ120は、延出部122の構成を除いて第1実施形態のタイヤ10と同一の構成である。このため、以下では、延出部122の構成について説明する。なお、図17では、シール層24及びトレッド30を省略している。
本実施形態のタイヤ120では、延出部122をタイヤ周方向に連続させていることから、第1実施形態の延出部100と比べて、延出部122とタイヤケース17との接合面積をさらに広げることができる。
本実施形態では、被覆ビードコア形成工程において形成した被覆ビードコア18の樹脂層18Dを溶融させた状態で、円環状に形成した延出部122の内側に嵌め込むことで被覆ビードコア18に延出部122が溶着により接合される。なお、延出部122の内周面を溶融状態にして延出部122と被覆ビードコア18を溶着により接合してもよく、延出部122の内周面及び被覆ビードコア18の樹脂層18Dを共に溶融状態にして溶着により接合してもよい。また、延出部122を複数に分割し、分割した延出部122を、被覆ビードコア18の樹脂層18Dに溶着により接合していき、最終的に円環状の延出部122としてもよい。なお、分割した延出部122は、タイヤ周方向に互いに隣り合う同士を溶着により接合することが好ましい。
次に、本発明に係る第4実施形態のタイヤについて図18を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図18に示すように、本実施形態のタイヤ130は、被覆ビードコア132の樹脂層132Dを形成する被覆用樹脂材料及び延出部134を形成する樹脂材料の構成を除いて第1実施形態のタイヤ10と同一の構成である。このため、以下では、樹脂層132Dを形成する被覆用樹脂材料及び延出部134を形成する樹脂材料の構成について説明する。なお、図18では、被覆ビードコア132周辺のみを示しており、タイヤ130のその他の部位については、省略している。
本実施形態のタイヤ130では、樹脂層132Dを形成する被覆用樹脂材料を、タイヤケース17を形成する骨格用樹脂材料よりもビードコード18Bに対して高い接着性を有する材料にしていることから、被覆用樹脂材料(被覆層132A)とビードコード18Bとの接合に接着剤などを使用しなくても、両者を強固に接合(接着)することができる。これにより、ビードコード18Bに接着剤を付与する工程(作業)を減らして生産性を高めることができる。
次に、本発明に係る第5実施形態のタイヤについて図19を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図19に示すように、本実施形態のタイヤ140は、被覆ビードコア142の樹脂層142Dを形成する被覆用樹脂材料及び延出部144を形成する樹脂材料の構成を除いて第1実施形態のタイヤ10と同一の構成である。このため、以下では、樹脂層142Dを形成する被覆用樹脂材料及び延出部144を形成する樹脂材料の構成について説明する。なお、図19では、被覆ビードコア142周辺のみを示しており、タイヤ140のその他の部位については、省略している。
本実施形態のタイヤ140では、樹脂層142Dを形成する被覆用樹脂材料及び延出部144を形成する樹脂材料を、それぞれタイヤケース17を形成する骨格用樹脂材料と同じ材料にしていることから、製造時に樹脂層142Dを形成する被覆用樹脂材料及び延出部144を形成する樹脂材料とタイヤケース17を形成する骨格用樹脂材料とがよく混ざり合うため、接合強度(溶着)を効果的に向上させることができる。
また、タイヤ140では、樹脂層142Dを形成する被覆用樹脂材料及び延出部144を形成する樹脂材料を、それぞれタイヤケース17を形成する骨格用樹脂材料と同じ材料にしていることから、複数の樹脂材料を使用するものと比べて、生産コストを低下させることができる。
第1実施形態のタイヤ10では、タイヤケース17の骨格用樹脂材料、樹脂層18Dの被覆用樹脂材料、及び延出部100の樹脂材料を、熱可塑性を有する熱可塑性材料としているが、本発明はこの構成に限定されず、タイヤケース17の骨格用樹脂材料を熱硬化性材料(例えば、熱硬化性樹脂など)としてもよく、樹脂層18Dの被覆用樹脂材料を熱効硬化性材料としてもよく、延出部100の樹脂材料を熱効硬化性材料としてもよく、これらのうちのいずれか二つまたはすべてを熱硬化性材料としてもよい。なお、固化した熱硬化性材料と溶融状態の熱硬化性材料の接合は接着剤を用いて行なわれることが好ましいが、固化した熱硬化性材料の表面を粗化処理して該表面に微細な凹凸を形成し、この微細な凹凸に溶融状態の熱硬化性材料を流れ込ませ、固化させてアンカー効果で両者を接合する構成としてもよい。
また、固化した熱可塑性材料と溶融状態の熱硬化性材料との接合は、接着剤を用いてもよく、溶融状態の熱硬化性材料の温度を熱可塑性材料の融点よりも高くして、両者を混ぜ合わせて、接合する構成としてもよい。なお、上記樹脂材料の構成及び接合構造は、第2〜第5実施形態のタイヤに適用してもよい。
Claims (7)
- タイヤ幅方向に間隔をあけて配置された一対のビード部と、前記一対のビード部からタイヤ径方向外側へそれぞれ延出する一対のサイド部と、前記一対のサイド部を連結するクラウン部とを備え、骨格用樹脂材料で環状に形成されたタイヤ骨格部材と、
前記ビード部に埋設されると共に該ビード部に溶着により接合され、タイヤ周方向に延びる1本または複数本のビードコードに熱可塑性を有する被覆用樹脂材料を被覆接合して形成された環状のビードコアと、
前記被覆用樹脂材料と同じ材料で形成され、タイヤ側面視で前記ビードコアからタイヤ周方向に対して交差する方向に延出すると共に前記タイヤ骨格部材と溶着により接合された延出部と、
を有し、
前記延出部は、前記ビードコアからタイヤ径方向外側に延出して前記サイド部に入り込んでいるタイヤ。 - 前記延出部は、前記クラウン部に入り込んでいる、請求項1に記載のタイヤ。
- 前記延出部は、タイヤ周方向に間隔をあけて複数形成されている、請求項1又は請求項2に記載のタイヤ。
- 前記延出部は、前記ビードコアを構成する被覆用樹脂材料の一部をタイヤ径方向外側に延ばして形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記被覆用樹脂材料は、前記骨格用樹脂材料よりも前記ビードコードに対して高い接着性を有し、前記ビードコードに接着されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記被覆用樹脂材料と前記骨格用樹脂材料とが同じ材料である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記ビードコアは、前記被覆用樹脂材料が被覆接合されたビードコードをタイヤ周方向に沿って複数回巻回すると共に隣り合う前記ビードコードの被覆層同士を接合して形成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤ。
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