JP5441792B2 - タイヤの製造方法、及びタイヤ - Google Patents
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Description
しかしながら、使用後のゴムはリサイクルの用途に制限があり、焼却してサーマルリサイクルする、破砕して道路の舗装材料として用いる等して処分することが行われていた。
例えば、特許文献1には、熱可塑性の高分子材料を用いて成形された空気入りタイヤが開示されている。
ところで、タイヤを金型で成形するにあたり、中子でタイヤ内腔部を形成すると、成形後のタイヤから中子を取り出せなくなる問題がある。そのため、特許文献1では、タイヤを軸方向に分割した半環状のタイヤ片を成形し、2つのタイヤ片を互いに接合することで空気入りタイヤを得ている。
しかしながら、一度成形したタイヤ片を再び加熱して溶融させると、接合部分が長時間熱にさらされて、溶融して固化した部分の材料強度が熱劣化により他の部分に比較して低下する場合があり、接合部分の強度に懸念が残る。
また、接合部分周辺が溶融するため、接合金型によって接合部分を成形しなければならず、金型が増える問題がある。
また、ジョイント部の凹凸を抑制するために半環状のタイヤ片接合部を非対称形状としているため、金型の種類が増える問題がある(金型が2種類必要)。
一方のタイヤ構成部材の端部の溶融部分と、他方のタイヤ構成部材の溶融部分とは境界無く完全に一体化する。
また、タイヤ構成部材を溶融した部分に別体の熱可塑性材料を補充するので、補充しない場合に比較して接合部分の強度を向上することができる。
また、溶着部分において凹部を消滅させるので、溶着部分に薄くなる部分が形成されることが無くなる。
熱可塑性材料からなるタイヤ構成部材の接合部分の強度を十分確保できる。
リムとの嵌合部位であるビード部に、環状のビードコアが埋設されているの、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リムに対してタイヤを強固に保持することが出来る。
ビード部から外周部までを熱可塑性材料で形成する、即ち、一方のビード部から他方のビード部までを熱可塑性材料で形成することで、タイヤ全体に占める熱可塑性材料の割合が大きくなり、リサイクル性が向上する。
一方のタイヤ構成部材と他方のタイヤ構成部材とをタイヤ幅方向中央部で接合する構成とすると、同一形状とされた2つのタイヤ構成部材を互いに向かい合わせて接合することとなり、タイヤ構成部材を成形するモールドも1種類で済み、一方のタイヤ構成部材と他方のタイヤ構成部材とを別形状とした場合に比較して、効率的な製造が実現できる。
熱可塑性材料よりも剛性の高いコードを螺旋状に巻回することで形成された補強層をタイヤ外周部に設けることで、タイヤの路面と接地する側が補強される。なお、この補強層は、ゴム製の空気入りタイヤのベルトに相当する役目をする。
したがって、タイヤの外周部に補強層を設けることで、補強層を設け無い場合に比較して耐パンク性、耐破壊性、周方向剛性、クリープ防止効果等が向上する。
リムと接触する部分に、熱可塑性材料よりも軟質な材料からなるシール部を設けることで、タイヤとリムとの間のシール性(気密性)が向上する。このため、リムと熱可塑性材料とでシールする場合に比較して、タイヤ内の空気の漏れをより一層抑えることができる。また、シール部を設けることで、リムフィット性も向上する。
路面と接触する部分に、熱可塑性材料よりも耐摩耗性に優れたゴムからなるトレッドゴム層を設けたことで、路面と接触する部分にゴムを設けない場合に比較して、耐摩耗性、耐破壊性等が向上する。
タイヤ10は、リム20のビードシート部21、及びリムフランジ22に接触する1対のビード部12、ビード部12からタイヤ径方向外側に延びるサイド部14、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結するクラウン部16からなるタイヤケース(タイヤ骨格部材)17を備えている。
本実施形態のタイヤケース17は、一つのビード部12、一つのサイド部14、及び半幅のクラウン部16が一体としてモールド等で成形された同一形状とされた円環状の、タイヤ構成部材としてのタイヤ半体17Aを互いに向かい合わせてタイヤ赤道面部分で接合することで形成されており、リムとの間で空気室を形成する。なお、タイヤケース17は、2つの部材を接合して形成するものに限らず、例えば、一方のビード部12とサイド部14と一体とした第1の部材、トレッド部(タイヤ外周部)に対応する第2の部材、及び他方のビード部12とサイド部14とを一体とした第3の部材等、3以上の部材を接合して形成しても良く、1対のビード部12、1対のサイド部14、及びクラウン部16を一体で成形したものであっても良い。
また、熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が上げられる。
なお、補強コード26を樹脂材料で被覆し、樹脂材料で被覆された補強コード26をクラウン部16に巻き付ける事でクラウン部補強層28を形成することもできる。この場合
、補強コード26を被覆する樹脂材料は、クラウン部16との接触部位において、クラウン部16と溶着または接着にて接合されている。
次に、本実施形態のタイヤ10の製造装置を説明する。
図2には、タイヤ10を形成する際に用いる成形機32の要部が斜視図にて示されている。成形機32は、床面に接地された台座34の上部に、水平に配置された軸36を回転させるギヤ付きモータ37が取り付けられている。
シリンダロッド41の先端には、外面がタイヤ内面の曲率半径と略同等に設定された円弧曲面42Aを有するタイヤ支持片42が設けられている。
各シリンダロッド41は連動して同一方向に同一量移動可能となっている。
図5に示すように、熱鏝47は、金属材料から形成されており、内部には図示しない電気ヒータが内蔵されている。本実施形態の熱鏝47は、全体が板形状を呈しており、下面には前述したドラム22の外周面の接線方向と平行とされるリブ47Aが形成されている。なお、熱鏝47は、熱可塑性材料の融点以上の温度に加熱することが出来る。
ガイドレール54には、図6に示すような、リール58、コード加熱装置59等を備えたコード供給装置56が移動可能に搭載されている。
(1) 図2に示すように、先ず、径を縮小したタイヤ支持部40の外周側に、互いに向かい合わせに2つのタイヤ半体17Aを配置すると共に、2つのタイヤ半体17Aの内部に、薄い金属板(例えば、厚さ0.5mmの鋼板)からなる筒状のタイヤ内面支持リング72を配置する(なお、図2では、内部を見せるために一方のタイヤ半体17Aを外して記載されている。)。
なお、タイヤ内面支持リング72は薄い金属板で形成されているため、曲げ変形させてタイヤ半体17Aの内部に容易に挿入可能である。
このようにして2つのタイヤ半体17Aを互いに向かい合わせて支持するので、タイヤ半体17Aのタイヤ赤道面側の端部同士を1周分精度良く合わせることができる。
なお、本実施形態では、下面にリブ47Aの形成された熱鏝47を溶着部分に押圧しているので、溶融した部分が環状溝72Aに密着し、また、溶着部分表面には周方向に沿って凹部が形成される。
このように、本実施形態のタイヤの製造方法では、一方のタイヤ半体17Aと他方のタイヤ半体17Aとを完全に溶着させた後に、さらに、溶着部分に溶融状態の溶着用熱可塑性材料43を供給し、溶着部分の厚みを増しているので、高い接合強度が得られており、特に曲げ変形、及び引っ張りに強くなっている。
図6に示すように、タイヤケース17を矢印A方向に回転させ、コード供給装置56の排出部70から排出された加熱された補強コード26をタイヤケース17の外周面に螺旋状に巻き付けてクラウン部補強層28を形成する。補強コード26をタイヤケース17の外周面に螺旋状に巻き付けるには、タイヤケース17を回転しながら、コード供給装置56をタイヤケース17の軸方向に移動させれば良い。
補強コード26の埋設量は、補強コード26の温度、補強コード26に作用させるテンション等によって調整することができる。なお、補強コード26に作用させるテンションは、例えば、リール58にブレーキを掛ける、補強コード26の搬送経路途中にテンション調整用ローラを設ける等して調整可能である。
(10) 最後に、タイヤ支持部40の径を縮小し、完成したタイヤ10をタイヤ支持部40から取り外し、内部のタイヤ内面支持リング72を曲げ変形させてタイヤ外へ取り外す。
次に、本実施形態のタイヤ10の作用を説明する。
本実施形態のタイヤ10では、タイヤ半体17Aの接合部分において、一方のタイヤ半体17Aと他方のタイヤ半体17Aとを予め溶着させ、該溶着部分に更に溶着用熱可塑性材料43を溶着させているので高い接合強度が得られている。
本実施形態では、同一形状のタイヤ半体17Aを互いに向かい合わせてタイヤケース17を形成しているため、タイヤ半体17Aの成形用の金型は1種類で済む。即ち、一方のタイヤ半体17Aと他方のタイヤ半体17Aで金型の形状を変えなくても左右対称のタイヤ10を製造することができる。
本実施形態のタイヤ10では、ビード部12にビードコア18を埋設しているので、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リム20に対する嵌合強度を確保できる。
リム20と接触する部分、特にはリムフランジ22と接触する部分に、第1の熱可塑性材料よりもシール性(気密性)に優れたゴムからなるシール層24を設けているので、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様のシール性が得られる。
なお、本実施形態のタイヤケース17は、2つのタイヤ半体17Aを接合して形成したが、3つの部材から構成する場合、タイヤケース17は、一方のサイド部14、他方のサイド部14、及び略円筒状のクラウン部16の3部材に分けることが出来る。これらを接合する際も、本実施形態と同様にして溶着することができる。なお、サイド部14とクラウン部16との接合部分は、路面と接地しない部位に配置することが好ましい。
上記実施形態では、タイヤ半体17Aのタイヤ赤道面側の端部が鋭角形状であったが、該端部は溶着時に熱鏝47によって溶融させてしまうので、他の形状であっても良い。
上記実施形態では、一方のタイヤ半体17Aの端部形状と他方のタイヤ半体17Aの端部形状とがタイヤ赤道面CLを挟んで左右対称形状であったが、場合によっては非対称形状としても良い。
上記実施形態では、加硫済みの帯状のトレッドゴム層30をタイヤケース17の外周面に1周分巻き付けてトレッド部を形成したが、図11に示すように、予め円環状に形成した加硫済みのトレッドゴム層30を、タイヤケース17の軸方向から挿入してタイヤケース17と円環状に形成した加硫済みのトレッドゴム層30とを接着剤等を用いて接着することも出来る。
なお、クラウン部補強層28は、補強コード26を螺旋状に巻回して形成することが製造上容易だが、タイヤ幅方向でコードを不連続としても良い。
12 ビード部
14 サイド部(タイヤサイド部)
16 クラウン部(外周部)
17 タイヤケース
17A タイヤ半体(熱可塑性材料)
17Aa 外側傾斜面(端部)
18 ビードコア
24 シール層(シール部)
26 補強コード(コード)
28 クラウン部補強層(補強層)
30 トレッドゴム層
43 溶着用熱可塑性材料(別体の熱可塑性材料)
46 ノズル
46 樹脂吐出用ノズル
47 熱鏝(押圧加熱部材)
48 ローラ
72 タイヤ内面支持リング(内側支持部材)
72A 環状溝
86 タイヤ
88 チューブ
88A チューブ半体
Claims (14)
- 熱可塑性材料で形成される複数のタイヤ構成部材を互いに接合することで構成されるタイヤを製造するタイヤの製造方法であって、
加熱した押圧加熱部材を互いに接続を行う一方のタイヤ構成部材の端部と他方のタイヤ構成部材の端部に押付け、前記一方のタイヤ構成部材の端部と前記他方のタイヤ構成部材の端部を溶融させる溶融工程と、
溶融された別体の熱可塑性材料を前記タイヤ構成部材の溶融された部分に補充し、溶融された前記別体の熱可塑性材料と溶融された前記熱可塑性材料とを溶着させた後、前記熱可塑性材料及び前記別体の熱可塑性材料を冷却固化させることで前記一方のタイヤ構成部材と前記他方のタイヤ構成部材とを接合する接合工程と、を有するタイヤの製造方法。 - 前記溶融工程では、前記押圧加熱部材で前記端部を順次溶融し、
前記接合工程では、前記溶融工程で溶着された部分に溶融された前記別体の熱可塑性材料を順次供給して前記別体の熱可塑性材料を順次ローラで押圧する、請求項1に記載のタイヤの製造方法。 - 前記溶融工程では、溶融された前記一方のタイヤ構成部材の端部と前記他方のタイヤ構成部材の端部を溶着させる、請求項1または請求項2に記載のタイヤの製造方法。
- 前記溶融工程では、前記端部に沿った環状溝が外周面に形成された内側支持部材で前記一方のタイヤ構成部材及び前記他方のタイヤ構成部材の内周面を内側から支持した状態で、前記押圧加熱部材の押圧力で前記溶融した部分を前記環状溝へ押し込み、
前記接合工程では、溶融された前記別体の熱可塑性材料を前記押圧加熱部材の押圧により形成された凹部に補充する、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のタイヤの製造方法。 - 前記接合工程では、溶着された部分の厚さが溶着前の前記端部の厚さよりも厚く形成されるように溶融された前記別体の熱可塑性材料が供給される、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のタイヤの製造方法。
- 前記熱可塑性材料と前記別体の熱可塑性材料とは、同種の熱可塑性材料である、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のタイヤの製造方法。
- 前記接合工程の後に、溶着部分を強制冷却する強制冷却工程を有する、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のタイヤの製造方法。
- 請求項1〜請求項7の何れか1項に記載のタイヤの製造方法によって製造されたタイヤ。
- タイヤ径方向内側にリムのビードシート、及びリムフランジに接触するビード部を備え、前記ビード部に環状のビードコアが埋設されている、請求項8に記載のタイヤ。
- 少なくとも前記ビード部からから外周部までが前記熱可塑性材料で形成されている、請求項8または請求項9に記載のタイヤ。
- 互いに接合される一方のタイヤ構成部材と他方のタイヤ構成部材とがタイヤ幅方向中央部で接合されている、請求項8〜請求項10の何れか1項に記載のタイヤ。
- 前記第1の熱可塑性材料よりも剛性の高いコードを螺旋状に巻回することで形成された補強層が外周部に設けられている、請求項8〜請求項11の何れか1項に記載のタイヤ。
- タイヤ内の空気が外部へ漏れないように、リムと接触する部分に、前記熱可塑性材料よりもシール性に優れたゴムからなるシール部が設けられている、請求項8〜請求項12の何れか1項に記載のタイヤ。
- 路面と接触する部分に、前記熱可塑性材料よりも耐摩耗性に優れたゴムからなるトレッドゴム層が設けられている、請求項8〜請求項13の何れか1項に記載のタイヤ。
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