JP6128633B2 - 浴室構造およびこの浴室構造に用いる浴槽 - Google Patents
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Description
すなわち、上記浴槽構造は、被介護者を幅の広いバスボード上に、一旦腰掛けさせて安定した姿勢としたのち、框部を越えて浴槽本体内あるいは洗い場側に被介護者の足が臨むように姿勢を変えるようにして、介護者が被介護者を浴槽に安全に出入りさせることができるようにしている。
一方、洗い場側に居る介護者が、入浴中の被介護者を浴槽外に出す際には、洗い場側から介護者が、被介護者の背中側からわきの下に手を入れて一旦框部上に腰掛けるように引き上げるのが一般的である。
また、従来のユニットバスにおいては、介護者が浴槽外から被介護者の介護を行う場合、浴槽の洗い場側からのみしか介護スペースがない。
しかも、被介護者は、通常、浴槽の長手方向の一方の壁面に設けられた背受け部を背に入浴している。
なお、上記介護スペースの幅(浴槽端縁と浴室内壁面までの距離)は、介護人が入って介助作業が可能であれば特に限定されないが、50cm以上が好ましい。
すなわち、まず、介護者は、介護スペースに入り、被介護者を浴槽本体内に設けられた腰掛け部に腰掛けるように第1引き上げ動作を行うが、このとき、入浴状態の被介護者の体は、ほぼ胸から下側下半身が湯に浸かっているため、湯によって大きな浮力を受けている。したがって、介護者は、大きな力を使わずとも容易に被介護者を腰掛け部に掛けさせることができる。そして、第2引き上げ動作によって、腰掛け部に腰掛けて、腰の位置が高くなった被介護者を框部まで引き上げて腰掛けるようにするため、介護者も腰の位置を高くして引き上げることができるようになり、少ない負担で引き上げることができる。しかも、被介護者も腰の位置が足先より高くなっているので、浴槽底面に足の力を加えやすくなり、さらに被介護者の負担を軽減させることができる。
さらに、腰掛け部に座った被介護者の背面側の浴槽端縁と、浴室内壁面との間に、介護スペースが設けられ、介護者がこの介護スペースに体を入れて入浴中の被介護者の背中方向から介護作業を行うことができるので、介護作業性が向上する。
また、上記本発明の浴槽は、框部の幅広部を含む腰掛け部側部分の外縁が、浴槽の長軸に対して線対称の外側に凸となる湾曲形状をしている構成とすれば、幅方向にも大きく張り出すことを押さえるとともに、被介護者を引き上げる際の腰掛け部の後方からあるいは斜め後方からの距離もほぼ同じにすることができ、介護者の作業性がよくなる。
上記本発明の浴槽は、腰掛け部に着脱自在に嵌り込み、嵌り込み状態で上面が周囲の幅広部とほぼ面一となり、框面の一部を形成するとともに、側面が入浴者の背中を受ける背凭れ部となる蓋部材を備えている構成とすれば、框形成部材を腰掛け部に嵌め込んでおくと、入浴時、車椅子から框面に被介護者を腰掛けさせる際に乗り移らせやすく、安全である。
図1〜図6は、本発明の浴室構造に用いるのに好適な浴槽の1つの実施の形態をあらわしている。
浴槽本体2は、長手方向の一側に腰掛け部21が凹設されている。
また、腰掛け部21の上端には框部本体3の上面より段状に落ち込む蓋部材受部21aが形成されている。
蓋部材受部21aは、後で詳述する蓋部材4の周縁を受けて、框形成部41の上面を周囲の框部本体3の框面とほぼ面一となるように、すなわち、框形成部41の上面が框面に一部を形成するように框形成部41の厚み分框部本体3の上面から一段低くなっている。
また、浴槽本体2の長手方向に平行な両側面には、図2、図4〜図6に示すように、框部本体3の下端に沿って入浴者が体を支える把手用凹溝22が形成されている。
すなわち、幅広部31は、框部本体3の外縁が、浴槽の長軸に対して線対称の外側に凸となる湾曲形状に設けられ、浴槽1は浴槽本体2の長手方向一側が平面視できのこの傘状をしている。
なお、幅広部の大きさは、被介護者が安定して腰掛けることができれば、特に限定されないが、座骨結節の2点が載るサイズ(直径14〜20cmの円形に近いサイズ)が好ましい。
そして、蓋部材4は、上述のように、蓋部材受部21aにその周縁が受けられるとともに、背凭れ部42の周縁が浴槽本体2の内壁面と面一となるように腰掛け部21にはまり込むように形成されている。
また、背凭れ部42は、図1、図3、図4、図6に示すように、蓋部材4を取り外す場合の把手部となる長孔42aが穿設されている。
なお、図7中、63は、位置や方向を変更可能に内壁面60に取り付けられる手摺部材である。
なお、入浴状態においては、浴槽1が把手用凹溝22を備えているため、入浴した被介護者7は、この把手用凹溝22に手先を入れて掴むことによって安定した入浴状態を維持できる。
第1引き上げ動作では、被介護者7のほぼ胸から下側が湯に浸かっているので、被介護者7には、大きな浮力がかかっている。したがって、介護者は、中腰など不自然な姿勢でもあまり負荷を感じることなく、被介護者7を腰掛け部21まで引き上げることができる。
第2引き上げ動作では、被介護者7の腰の位置が浴槽底面より高い腰掛け部21上にあるため、被介護者7の上半身も入浴状態よりは高くなっている。したがって、介護者も腰の位置を高くして引き上げることができるようになり、少ない負担で引き上げることができる。しかも、被介護者も腰の位置が足先より高くなっているので、浴槽底面に足の力を加えやすくなり、さらに被介護者の負担を軽減させることができる。
しかも、浴槽に隣接してバスボードを設置した場合、皮膚の弱い老人などは、バスボードに車椅子から乗り移る際、また、バスボードから浴槽の框部を介して入浴する場合に、バスボードと車椅子との隙間あるいはバスボードと框部との隙間で皮膚を挟みこんだりすることがあるが、そのような問題を軽減できる。
また、浴槽を浴室内でスライド可能に設けるようにしても構わない。
上記の実施の形態では、腰掛け部の幅方向の両側に幅広部が設けられていたが、片側でも構わない。
2 浴槽本体
21 腰掛け部
21a 蓋部材受部
22 把手用凹溝
3 框部本体
31 幅広部
4 蓋部材
41 框形成部
42 背凭れ部
42a 長孔
6 浴室
61 洗い場
62 浴槽パン
63 内壁面
7 被介護者
Claims (3)
- 浴槽本体と、前記浴槽本体の上縁から外側に張り出すように設けられた框部と、前記浴槽本体の長手方向の一端に設けられ、底面から段状に高くなった腰掛け部とを備える浴槽と、
前記腰掛け部に腰掛けた被介護者の背面側の浴槽端縁と浴室内壁面との間、および前記浴槽本体の短手方向両隣に、前記浴槽が置かれない非設置領域である介護スペースを備え、
前記一端側の前記框部は、前記框部の他の部分より外側に張り出す幅広に形成されていることを特徴とする浴室構造。 - 上面視で矩形状の浴槽パンと、前記浴槽パンに並ぶ前記上面視で矩形状の洗い場とを備え、
前記浴槽は、前記浴槽本体の長手方向が前記浴槽パンから前記洗い場へ向くように前記浴槽パンの中央に配置され、
前記浴槽パンの前記浴槽が置かれない非設置領域と前記洗い場とが前記介護スペースとなることを特徴とする請求項1記載の浴室構造。 - 浴槽本体と、前記浴槽本体の上縁から外側に張り出すように設けられた框部と、浴槽本体が底面から段状に高くなった腰掛け部とを備える浴槽を、
介護者が、前記腰掛け部を背にして入浴した被介護者を前記底面から腰掛け部に腰掛けるように引き上げる第1引き上げ動作と、
前記腰掛け部に腰掛けた被介護者をさらに腰掛け部近傍の前記框部に腰掛けるように引き上げる第2引き上げ動作とを行うことが可能に、
少なくとも前記腰掛け部に座った被介護者の背面側の浴槽端縁と、浴室内壁面との間に、介護者が入り込む介護スペースを形成するように配置した浴室構造に使用する浴槽であって、
前記腰掛け部に着脱自在に嵌り込み、嵌り込み状態で上面が周囲の框部とほぼ面一となり、框面の一部を形成するとともに、側面が入浴者の背中を受ける背凭れ部となる蓋部材を備えていることを特徴とする浴槽。
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