JPH09122033A - 座面部付き浴槽 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高齢者や身障者でも安全で便利に入浴でき、
介助や洗い場での動作が窮屈感無く容易に行なえ、親子
入浴にも窮屈感が無い座面部付きの浴槽を提供する。 【解決手段】 浴槽１における洗い場１０側に面する隅
部を洗い場側へ膨出し、該部の浴槽１内の略中間の高さ
に水平な座面部４を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高齢者等に対して
入浴介助が行いやすい形状とした座面部付き浴槽に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】浴槽内に幅広の水平面を形成して浴槽へ
の出入り時のステップとして使用したり、座面として使
用する従来例としては、図２あるいは図３の形状のもの
があった。図２は、洗い場に面する浴槽中央部を洗い場
側へ大きく膨出し、該部の浴槽内にほぼ全長にわたって
水平な座面部４を形成している（従来例１）。図３は、
浴槽の外形は平面形状四角で隅部の浴槽内に座面部４を
形成し、座面部側の短辺背もたれ面Ａ５の底面部におけ
る幅を対面の背もたれ面Ｂ６よりも狭くしている（従来
例２）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
１では以下のような問題点を有していた。 （１）浴槽の中央部を洗い場側へ大きく膨出するため、
洗い場が狭くなって体を洗う等の洗い場での動作が窮屈
になっていた。また、洗い場で介助する際にも手狭にな
っていた。 （２）座面部４をステップにして浴槽の中央部から浴槽
に出入りするが、壁面や壁面に設けた手すりなどにつか
まることができないため、不安定な状態であり高齢者等
には転倒の恐れがあった。 （３）入浴して座面部４に腰掛けても体の向きが浴槽の
短手方向になるため、脚が充分に伸ばせず窮屈であっ
た。 （４）親子で入浴して子供を座面部４に座らせても、子
供の脚が邪魔になって大人が窮屈な姿勢で座ることにな
ってしまった。

【０００４】また、従来例２では以下のような問題を有
していた。 （１）高齢者や身障者にとっては一度浴槽の上縁面に腰
掛けてから浴槽に出入りするのが安全であるが、外形を
四角にして隅部に座面部４を形成したために浴槽の上縁
面が狭くなり、上縁面に腰掛けて浴槽に出入りすること
ができず不便であった。 （２）浴槽の底面に座る際には幅の広い方を背もたれ面
とするほうが窮屈感がないが、座面部４側から入った場
合は、背もたれ面Ｂ６まで移動して身体の向きを反転し
て座らなければならず不便であった。また、背もたれ面
Ｂ６側から入って座面部４に座る場合は、座面部４まで
移動して身体の向きを変える必要があり不便であった。

【０００５】本発明は上述した従来技術の問題点を解決
するもので、高齢者や身障者でも安全で便利に入浴で
き、介助や洗い場での動作が窮屈感無く容易に行なえ、
親子入浴にも窮屈感が無い座面部付き浴槽を提供するこ
とを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項に記載の座面部付
き浴槽は、洗い場に面する隅部を洗い場側へ膨出し、該
部の浴槽１内の約中間の高さに水平な座面部４を設けた
構成を有している。請求項２に記載の座面部付き浴槽
は、請求項１において、膨出部の浴槽上縁面を幅広にし
て腰掛け部３とする構成を有している。請求項３に記載
の座面部付き浴槽は、請求項１又は２において、短辺両
側の背もたれ面Ａ５と背もたれ面Ｂ６の幅が、底面部で
約同一である構成を有している。請求項４に記載の座面
部付き浴槽は、請求項１乃至３のいずれか１において、
座面部４に凹凸パターン７を形成する構成を有してい
る。請求項５に記載の座面部付き浴槽は、請求項１の至
４いずれか１において、浴槽１が洗い場１０と一体成形
された洗い場付き浴槽９である構成を有している。

【０００７】

【発明の実施の形態】座面部は浴槽内深さの略中間の高
さに形成され、この部分に水が溜らないように適宜排水
勾配程度の傾斜が設けられる。次ぎに、使用形態につい
て説明すると、高齢者あるいは身障者が洗い場から浴槽
に入る手順は、一度腰掛け部３に腰を掛けてから、壁面
あるいは壁面に設けた手すりにつかまりながら身体を回
転させて脚を浴槽内に入れ、そのまま座面部４に腰を移
動する。この時、更に深く入浴するためには、腰を底面
まで落とし込んで、背もたれ面Ａ５に背もたれて入浴す
る。浴槽から出る時には、逆の手順で洗い場に降りるこ
とができる。この一連の動作に対して介護者は洗い場か
ら介護する。親子で入浴する際には、子供は水深の浅い
座面部４に腰掛け、大人は背もたれ面Ｂに背もたれて、
足を伸ばして入浴することができる。

【０００８】

【実施例】次に本発明の実施例を図１に基づき説明す
る。図１（ａ）は本発明による座面部付き浴槽の平面
図、図１（ｂ）は図１（ａ）の断面図である。９は浴槽
１と洗い場１０を一体成形した洗い場付き浴槽であり、
２は浴槽エプロンである。浴槽エプロン２は平面形状で
流線形を有し、浴槽１は排水トラップ１１側で狭く、逆
側にいくに連れて浴槽エプロン２が洗い場１０側に膨出
して浴槽１が広くなっている。浴槽エプロン２に沿う浴
槽の上面も一定の幅ではなく、膨出部では大人が充分に
腰掛けられる広さとして腰掛け部３を形成している。ま
た、滑りにくいように、腰掛け部には凹凸パターン７が
一体成形されている。膨出部の腰掛け部３の浴槽内に
は、水平な座面部４が形成されている。座面部４の高さ
は図２に示すように浴槽の深さの約中間であり、平面形
状は腰が納まりやすい半円形としている。座面部３に
は、滑りにくいように凹凸パターン７が一体成形されて
いる。座面部３は膨出部に形成したので、背もたれ面Ａ
５と背もたれ面Ｂ６は底面部における幅をほぼ同一幅に
形成し、背もたれ面の角度も同一にしている。また、浴
槽の排水口８は洗い場１０側の中央に設け、浴槽底面の
排水勾配は洗い場付き浴槽９の妻側から排水口８に向か
う方向としている。浴槽底面にも滑り止め用の凹凸パタ
ーン７を一体成形してあるが、排水口８に近づくに連れ
てパターンが小さくなる構成としている。尚、本実施例
の洗い場付き浴槽はＦＲＰ（ガラス繊維強化プラスチッ
クス）で容易に成形できるが、これに限定することなく
浴槽単体でも良いし、材質も通常浴槽に使用するもので
あれば特に限定しない。

【０００９】

【発明の効果】本発明の座面部付き浴槽は下記の効果を
奏する。 （１）座面部を浴槽の隅部に形成したので、洗い場の大
半は狭くならないため、洗い場での動作や介助の際にも
窮屈感はなくなった。 （２）座面部を壁面に近い浴槽の隅部に形成したので、
壁面あるいは壁面に取付けた手すりにつかまって浴槽に
出入りできるため、高齢者等も安定した姿勢が保てる。 （３）座面部の上の浴槽上縁面を腰掛け部としたので、
高齢者や身障者も安全で楽に浴槽に出入りできるように
なった。 （４）両側の背もたれ面を同一幅としたので、座面部側
の背もたれ面に背もたれて入浴ができるため、浴槽内で
の移動や身体の向き変えが不要になって使い勝手が向上
した。 （５）座面部と反対側の背もたれ面に背もたれて入浴で
きるため、親子での入浴の際にも窮屈感を伴わずに入浴
できるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示し、（ａ）は座面部付き浴
槽の平面図、（ｂ）は（ａ）の断面図である。

【図２】従来例１を示す平面図である。

【図３】従来例２を示す斜視図である。

【符号の説明】

１…浴槽 ２…浴槽エプロン ３…腰掛け部 ４…座面部 ５…背もたれ面Ａ ６…背もたれ面Ｂ ７…凹凸パターン ８…排水口 ９…洗い場付き浴槽 １０…洗い場 １１…排水トラップ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 明彦 茨城県下館市大字下江連1250番地 日立化 成工業株式会社結城工場内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗い場に面する隅部を洗い場側へ膨出
   し、該部の浴槽内の略中間の高さに水平な座面部を設け
   たことを特徴とする座面部付き浴槽。
2. 【請求項２】 膨出部の浴槽上縁面が幅広に形成された
   腰掛け部であることを特徴とする請求項１に記載の座面
   部付き浴槽。
3. 【請求項３】 短辺両側の背もたれ面の幅が底面部で略
   同一幅であることを特徴とする請求項１又は２に記載の
   座面部付き浴槽。
4. 【請求項４】 座面に凹凸パターンを形成したことを特
   徴とする請求項１、２又は３に記載の座面付き浴槽。
5. 【請求項５】 浴槽が洗い場と一体に成形された洗い場
   付き浴槽であることを特徴とする請求項１、２、３又は
   ４に記載の座面部付き浴槽。