JP6106982B2 - 車両の車体側部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の車体側部構造に関し、特に、センタピラーがアウタパネルとインナパネルとを備えると共にアウタパネルとインナパネルとの間に配設された第1補強パネルを備えてなる車両の車体側部構造に関する。
自動車等の車両における車体側部には、前後のドア開口部の間に位置するセンタピラーが車体上下方向に延びるように配設されており、センタピラーは一般に、車体外側を構成するアウタパネルと車体内側を構成するインナパネルとによって閉断面状に形成されている。
センタピラーとして、アウタパネルとインナパネルとによって閉断面状に形成した閉断面部内に補強パネルを配設して強度及び剛性を高めるようにしたものも広く使用されている。このような補強パネルとして、アウタパネルとインナパネルとの間に配設される第1補強パネルに加えて、第2補強パネルを第1補強パネルに接合させるようにしたものも知られている。
例えば特許文献1には、断面略ハット状に形成した第1補強パネルの膨出部の両側の縦壁部に断面略コ字状に形成した第2補強パネルの両側の縦壁部を溶接接合すると共に、第1補強パネルの膨出部の底壁部に第2補強パネルの両側の縦壁部の間の底壁部を溶接接合したセンタピラーが開示されている。
特開2009−262614号公報
前記特許文献1に記載されるように、第1補強パネルの膨出部の両側の縦壁部に第2補強パネルの両側の縦壁部を接合すると共に第1補強パネルの膨出部の底壁部に第2補強パネルの両側の縦壁部の間の底壁部を接合したセンタピラーでは、第2補強パネルは、底壁部及び両側の縦壁部によって第1補強パネルに接合されることから、第2補強パネルの両側の縦壁部には高い寸法精度が要求されることとなる。
図8は、従来の車体のセンタピラーを示す図であり、図9は、図8におけるY9−Y9線に沿ったセンタピラーの断面図である。図8及び図9に示すセンタピラー100は、前後のドア開口部3、4の間に位置して車体上下方向に延び、上端がルーフレール5に結合され、下端がサイドシル6に結合されている。
センタピラー100は、図9に示すように、底壁部101aと両側の縦壁部101bと両側のフランジ部101cとを備えて断面略ハット状に形成されたアウタパネル101と、底壁部102aと両側の縦壁部102bと両側のフランジ部102cとを備えて断面略ハット状に形成されたインナパネル102と、底壁部103aと両側の縦壁部103bと両側のフランジ部103cとを備えて断面略ハット状に形成された第1補強パネル103とを備え、アウタパネル101とインナパネル102との間に第1補強パネル103が配設された状態でフランジ部101c、102c、103cが共に接合されることにより閉断面状に形成されている。
センタピラー100ではまた、第1補強パネル103内に、底壁部104aと両側の縦壁部104bとを備えて断面略コ字状に形成された第2補強パネル104が備えられている。第2補強パネル104は、底壁部104a及び両側の縦壁部104bがそれぞれ第1補強パネル103の底壁部103a及び両側の縦壁部103bに略沿って配設され、底壁部104a及び両側の縦壁部104bがそれぞれ、図9の×印にて示す位置でスポット溶接によって第1補強パネル103の底壁部103a及び両側の縦壁部103bに接合されている。
このように、第2補強パネル104を、底壁部104a及び両側の縦壁部104bにおいて第1補強パネル103に接合する場合、良好な接合品質を得るためには、スポット溶接時に第2補強パネル104の両側の縦壁部104bがそれぞれ対向する第1補強パネル103の両側の縦壁部103bと所定の間隙を有することが求められ、第2補強パネル104の両側の縦壁部104bには高い寸法精度が要求されることとなる。
第2補強パネル104の両側の縦壁部104bの離間距離が所定の離間距離より小さい場合、第1補強パネル103の両側の縦壁部103bとの間隙が大きくなって良好な接合品質を得ることができず、第2補強パネル104による補強効果を有効に得ることができないおそれがある。
第2補強パネル104の両側の縦壁部104bの離間距離が所定の離間距離より小さい場合に、第2補強パネル104の一方の縦壁部104bを第1補強パネル103の一方の縦壁部103と所定の間隙に配置することで、一方の縦壁部104bについて良好な接合品質を得ることが可能であるが、かかる場合は、第2補強パネル104の他方の縦壁部104bと第1補強パネル103の他方の縦壁部103bとの間隙が大きくなって良好な接合品質を得ることができなくなる。このため、第2補強パネル104に修正を施したり廃棄したりすることが必要であり、このことは、車体製造時の生産性の低下を引き起こし得る。
一方、第2補強パネル104の両側の縦壁部104bの離間距離が所定の離間距離より大きい場合には、第2補強パネル104を第1補強パネル103内に挿入して第1補強パネル103に接合することができなくなるおそれがある。この場合にも、第2補強パネル104に修正を施したり廃棄したりすることが必要であり、このことは、車体製造時の生産性の低下を引き起こし得る。
特に、第2補強パネル104として、高張力鋼板をプレス成形して用いる場合、プレス成形後に生じるスプリングバックが大きく高い寸法精度を確保することが難しいことから、安定した接合品質を得るために第2補強パネル104に修正を施したり廃棄したりすることがさらに多くなるので、車体製造時の生産性の問題がより顕著になり得る。
そこで、本発明は、センタピラーの補強パネルにおいて安定した接合品質を得ることができると共に車体製造時の生産性を向上させることができる車両の車体側部構造を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に係る発明は、車体側部に設けられた前後のドア開口部の間に位置して車体上下方向に延びるセンタピラーが、車体外側を構成するアウタパネルと車体内側を構成するインナパネルとを備えると共に前記アウタパネルと前記インナパネルとの間に配設された第1補強パネルを備えてなる車両の車体側部構造であって、前記第1補強パネルは、車体前後方向に延びる底壁部と該底壁部から車幅方向に延びる両側の縦壁部と該両側の縦壁部から車体前後方向に延びる両側のフランジ部とを備えて断面略ハット状に形成され、前記第1補強パネル内に、車体前後方向に延びる底壁部と該底壁部から車幅方向に延びる両側の縦壁部とを備えて断面略コ字状に形成された第2補強パネルが配設され、前記第2補強パネルは、該第2補強パネルの底壁部及び両側の縦壁部がそれぞれ前記第1補強パネルの底壁部及び両側の縦壁部に略沿って配設され、該第2補強パネルの車体上下方向の複数箇所において該第2補強パネルの底壁部及び一方の縦壁部においてのみそれぞれ対向する前記第1補強パネルの底壁部及び一方の縦壁部と接合され、前記第2補強パネルの底壁部には、車体上下方向に複数の接合座面が設けられ、前記第2補強パネルの一方の縦壁部には、車体上下方向に複数の接合座面が設けられ、前記第2補強パネルの底壁部は、該第2補強パネルの底壁部に設けられた複数の接合座面において前記第1補強パネルの底壁部と接合され、前記第2補強パネルの一方の縦壁部は、該第2補強パネルの一方の縦壁部に設けられた複数の接合座面において前記第1補強パネルの一方の縦壁部と接合され、前記第2補強パネルは、該第2補強パネルの底壁部が該第2補強パネルの両側の縦壁部に対して車外側に位置するように設けられ、前記第2補強パネルの他方の縦壁部は、前記第2補強パネルの一方の縦壁部よりも車幅方向内方に延びるように形成されている、ことを特徴とする。
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記第2補強パネルは、該第2補強パネルの底壁部と他方の縦壁部との間の稜線が前記センタピラーの長手方向に沿って連続して形成されている、ことを特徴とする。
また更に、本願の請求項に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記第2補強パネルの他方の縦壁部は、前記第1補強パネルの他方の縦壁部と所定の間隙を有して略平行に配設されている、ことを特徴とする。
また更に、本願の請求項に係る発明は、請求項1から請求項の何れか1項に係る発明において、前記第2補強パネルの一方の縦壁部は、前記センタピラーの車体上下方向における上方側、中央側及び下方側の3ヶ所において前記第1補強パネルの一方の縦壁部と接合されている、ことを特徴とする。
以上の構成により、本願各請求項の発明によれば、次の効果が得られる。
まず、本願の請求項1に係る発明によれば、センタピラーが、アウタパネルとインナパネルとの間に配設された第1補強パネルを備え、第1補強パネルは、底壁部と両側の縦壁部と両側のフランジ部とを備えて断面略ハット状に形成され、第1補強パネル内に、底壁部と両側の縦壁部とを備えて断面略コ字状に形成された第2補強パネルが配設され、第2補強パネルは、底壁部及び両側の縦壁部がそれぞれ第1補強パネルの底壁部及び両側の縦壁部に略沿って配設され、車体上下方向の複数箇所において底壁部及び一方の縦壁部においてのみ第1補強パネルの底壁部及び一方の縦壁部と接合される。
これにより、第2補強パネルは車体上下方向の複数箇所において隣接する底壁部及び一方の縦壁部においてのみ第1補強パネルに接合されるので、第2補強パネルの底壁部及び両側の縦壁部がそれぞれ第1補強パネルの底壁部及び両側の縦壁部と接合される場合に比して、第2補強パネルの縦壁部と第1補強パネルの縦壁部の接合部における間隙のばらつきを抑制することができ、センタピラーの補強パネルにおいて安定した接合品質を得ることができる。
第2補強パネルの底壁部及び両側の縦壁部がそれぞれ第1補強パネルの底壁部及び両側の縦壁部と接合される場合、第2補強パネルの両側の縦壁部には高い寸法精度が要求されることから、寸法精度を確保するために第2補強パネルのプレス成形後に修正を施したり廃棄したりして生産性が悪くなり得るが、第2補強パネルの底壁部及び一方の縦壁部においてのみ第1補強パネルに接合することで、センタピラーの補強パネルにおいて安定した接合品質を得ることができると共に車体製造時の生産性を向上させることができる。特に、第2補強パネルとしてプレス成形後のスプリングバックが大きい高張力鋼板を用いる場合に、前記効果を有効に得ることができる。
また、第2補強パネルは、底壁部が両側の縦壁部に対して車外側に位置するように設けられ、第2補強パネルの他方の縦壁部は、第2補強パネルの一方の縦壁部よりも車幅方向内方に延びるように形成されていることにより、第2補強パネルの他方の縦壁部が第2補強パネルの一方の縦壁部と車幅方向において略同位置になるように形成された場合に比して、センタピラーの断面係数を向上させることができ、センタピラーの剛性を高めることができる。
また、本願の請求項2に係る発明によれば、第2補強パネルは、底壁部と他方の縦壁部との間の稜線がセンタピラーの長手方向に沿って連続して形成されていることにより、底壁部と他方の縦壁部との間の稜線がセンタピラーの長手方向に凸凹してセンタピラーの長手方向に沿って連続して形成されていない場合に比して、荷重入力時の応力集中源や変形起点の形成を抑制することができ、第2補強パネルによる補強効果を高めることができる。第2補強パネルが底壁部及び一方の縦壁部においてのみ第1補強パネルに接合される場合においても、第2補強パネルによる補強効果を有効に得ることができる。
また更に、本願の請求項に係る発明によれば、第2補強パネルの他方の縦壁部は、第1補強パネルの他方の縦壁部と所定の間隙を有して略平行に配設されていることにより、第2補強パネルの他方の縦壁部と第1補強パネルの他方の縦壁部とが車両走行時に干渉して異音を発生することを防止することができる。第2補強パネルの両側の縦壁部の寸法精度にばらつきが生じる場合においても、前記効果を有効に得ることができる。
また更に、本願の請求項に係る発明によれば、第2補強パネルの一方の縦壁部は、センタピラーの車体上下方向における上方側、中央側及び下方側の3ヶ所において第1補強パネルの一方の縦壁部と接合されていることにより、第2補強パネルによる補強効果を有効に得つつ車体製造時の生産性を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る車両の車体側部構造を適用した車体の側面図である。 図1に示す車体のセンタピラーの要部拡大図である。 図2におけるY3−Y3線に沿ったセンタピラーの断面図である。 図2におけるY4a−Y4a線、Y4b−Y4b線、Y4c−Y4c線及びY4d−Y4d線に沿ったセンタピラーの断面図である。 センタピラー内に配設される第2補強パネルの正面図である。 図5に示す第2補強パネルを矢印A方向から見た斜視図である。 図5に示す第2補強パネルを矢印B方向から見た斜視図である。 従来の車体のセンタピラーを示す図である。 図8におけるY9−Y9線に沿ったセンタピラーの断面図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両の車体側部構造を適用した車体の側面図、図2は、図1に示す車体のセンタピラーの要部拡大図、図3は、図2におけるY3−Y3線に沿ったセンタピラーの断面図、図4は、図2におけるY4a−Y4a線、Y4b−Y4b線、Y4c−Y4c線及びY4d−Y4d線に沿ったセンタピラーの断面図であり、図4(a)、図4(b)、図4(c)及び図4(d)はそれぞれ、図2におけるY4a−Y4a線、Y4b−Y4b線、Y4c−Y4c線及びY4d−Y4d線に沿った断面図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る車両の車体側部構造を適用した車体1は、4ドアタイプの乗用車の車体であり、車体1の側面を構成する車体側部2は、車体上部において車体前後方向に延びるルーフレール5と、車体下部において車体前後方向に延びるサイドシル6と、前後のドア開口部3、4の間に位置して車体上下方向に延びるセンタピラー10とを備えている。センタピラー10は、上端がルーフレール5に結合され、下端がサイドシル6に結合されている。
図2及び図3に示すように、センタピラー10は、車体外側を構成するアウタパネル11と、車体内側を構成するインナパネル12とによって閉断面状に形成されている。アウタパネル11は、車体前後方向に延びる底壁部11aと、底壁部11aの車体前後方向における両端部から車幅方向内方に延びる両側の縦壁部11b、11c、具体的には前側縦壁部11b及び後側縦壁部11cと、両側の縦壁部11b、11cの車幅方向内方端部からそれぞれ車体前方向及び車体後方向に延びる両側のフランジ部11d、11e、具体的には前側フランジ部11d及び後側フランジ部11eとを備えて断面略ハット状に形成されている。
インナパネル12は、車体前後方向に延びる底壁部12aと、底壁部12aの車体前後方向における両端部から車幅方向外方に延びる両側の縦壁部12b、12c、具体的には前側縦壁部12b及び後側縦壁部12cと、両側の縦壁部12b、12cの車幅方向外方端部からそれぞれ車体前方向及び車体後方向に延びる両側のフランジ部12d、12e、具体的には前側フランジ部12d及び後側フランジ部12eとを備えて断面略ハット状に形成されている。
そして、アウタパネル11とインナパネル12とは、前側フランジ部11d、12dどうしが接合されると共に後側フランジ部11e、12eどうしが接合され、これにより、センタピラー10は、閉断面状に形成されている。
センタピラー10にはまた、アウタパネル11とインナパネル12との間にセンタピラー10を補強するための第1補強パネル13と第2補強パネル14とが配設されている。図2では、第1補強パネル13及び第2補強パネル14をそれぞれ破線及び二点鎖線で示しているが、図2に示すように、第1補強パネル13と第2補強パネル14とは、アウタパネル11及びインナパネル12と同様に車体上下方向に延びるように形成されているが、第2補強パネル14は、第1補強パネル13に比して車体上下方向の長さが短く形成されている。
第1補強パネル13は、アウタパネル11に略沿って配設され、図3に示すように、車体前後方向に延びる底壁部13aと、底壁部13aの車体前後方向における両端部から車幅方向内方に延びる両側の縦壁部13b、13c、具体的には前側縦壁部13b及び後側縦壁部13cと、両側の縦壁部13b、13cの車幅方向内方端部からそれぞれ車体前方向及び車体後方向に延びる両側のフランジ部13d、13e、具体的には前側フランジ部13d及び後側フランジ部13eとを備えて断面略ハット状に形成されている。
第1補強パネル13は、前側フランジ部13d及び後側フランジ部13eがそれぞれ、アウタパネル11及びインナパネル12の前側フランジ部11d、12d及び後側フランジ部11e、12eの間に挟まれた状態で共に接合され、アウタパネル11とインナパネル12との間に配設されている。
第2補強パネル14は、第1補強パネル13に略沿って配設され、車体前後方向に延びる底壁部14aと、底壁部14aの車体前後方向における両端部から車幅方向内方に延びる両側の縦壁部14b、14c、具体的には前側縦壁部14b及び後側縦壁部14cとを備えて断面略コ字状に形成されている。
第2補強パネル14は、図3に示すように、第1補強パネル13内に配設され、第2補強パネル14の底壁部14a及び両側の縦壁部14b、14cはそれぞれ、第1補強パネル13の底壁部13a及び両側の縦壁部13b、13cに略沿って配設されている。
本実施形態では、第2補強パネル14は、該第2補強パネル14の底壁部14a及び一方の縦壁部14bにおいてのみそれぞれ対向する第1補強パネル13の底壁部13a及び一方の縦壁部13bと接合されている。
図2から図4では、第1補強パネル13と第2補強パネル14とがスポット溶接によって接合される接合部を×印で示しているが、図3に示す断面では、第2補強パネル14の底壁部14a及び前側縦壁部14bがそれぞれ第1補強パネル13の底壁部13a及び前側縦壁部13bと接合されている。なお、後述するように、第2補強パネル14には、第1補強パネル13と接合される部分に略平坦状の接合座面が形成されている。
一方、第2補強パネル14の後側縦壁部14cは、第1補強パネル13の後側縦壁部13cと接合されず、該後側縦壁部13cと所定の間隙を有して略平行に配設されている。 これにより、第2補強パネル14の後側縦壁部14cと第1補強パネル13の後側縦壁部13cとが車両走行時に干渉して異音を発生することを防止することができる。第2補強パネル14の両側の縦壁部14b、14cの寸法精度にばらつきが生じる場合においても、第2補強パネル14の後側縦壁部14cと第1補強パネル13の後側縦壁部13cとが車両走行時に干渉して異音を発生することを防止することができる。
第2補強パネル14の後側縦壁部14cはまた、図3に示すように、第2補強パネル14の前側縦壁部14bよりも車幅方向内方に延びるように形成され、前側縦壁部14bの車幅方向の位置を示すラインL1よりも車内側に延びている。これにより、第2補強パネル14の後側縦壁部14cが第2補強パネル14の前側縦壁部14bと車幅方向において略同位置になるように形成された場合に比して、センタピラー10の断面係数を向上させることができ、センタピラー10の剛性を高めることができる。
図4(a)から図4(d)に示す断面においても、第2補強パネル14は、底壁部14a及び両側の縦壁部14b、14cがそれぞれ第1補強パネル13の底壁部13a及び両側の縦壁部13b、13cに略沿って配設されている。また、図4(a)及び図4(d)に示す断面では、底壁部14a又は前側縦壁部14bにおいてのみそれぞれ対向する第1補強パネル13の底壁部13a又は前側縦壁部13bと接合されている。
具体的には、第2補強パネル14は、図4(a)及び図4(d)に示す断面では、前側縦壁部14bが第1補強パネル13の前側縦壁部13bと接合され、図4(b)及び図4(c)に示す断面では、底壁部14aが第1補強パネル13の底壁部13aと接合されている。
図4(a)から図4(d)に示す断面においても、第2補強パネル14の後側縦壁部14cは、第1補強パネル13の後側縦壁部13cと接合されず、該後側縦壁部13cと所定の間隙を有して略平行に配設されると共に、第2補強パネル14の前側縦壁部14bよりも車幅方向内方に延びるように形成されている。
本実施形態では、第2補強パネル14は、底壁部14a及び前側縦壁部14bにおいてのみそれぞれ対向する第1補強パネル13の底壁部13a及び前側縦壁部13bと接合され、図2に示すように、第2補強パネル14の前側縦壁部14bは、センタピラー10の車体上下方向における上方側、中央側及び下方側の3ヶ所において第1補強パネル13の前側縦壁部13bと接合されている。
ここで、第2補強パネル14について図5から図7を参照しながらさらに説明する。
図5は、センタピラー内に配設される第2補強パネルの正面図、図6は、図5に示す第2補強パネルを矢印A方向から見た斜視図、図7は、図5に示す第2補強パネルを矢印B方向から見た斜視図である。なお、図5から図7では、第2補強パネルにおいて第1補強パネル13とスポット溶接によって接合される接合部を×印で示している。
第2補強パネル14は、前述したように、車体上下方向に延びるように形成され、底壁部14aと両側の縦壁部14b、14cとを備えて断面略コ字状に形成されている。第2補強パネル14はまた、図5及び図6に示すように、前側縦壁部14bにおいて車体上下方向における上方側、中央側及び下方側に略平坦状の接合座面14d、14eが形成され、この接合座面14d、14eにおいて第1補強パネル13の前側縦壁部13bとスポット溶接によって接合される。
第2補強パネル14の前側縦壁部14bに設けられた車体上下方向における上方側及び中央側の接合座面14dは、外方側に略台形状に突出するようにして形成されている。このため、第2補強パネル14では、底壁部14aと前側縦壁部14bとの間の稜線R1が、センタピラー10の長手方向に接合座面14dによって凸凹してセンタピラー10の長手方向に沿って連続して形成されていない。
一方、第2補強パネル14の前側縦壁部14bに設けられた車体上下方向における下方側の接合座面14eは、外方側に突出して形成されていないが、この接合座面14eにはまた、フロントドア(不図示)を車体1に対して係止させるストライカ(不図示)が取り付けられるために略平坦状に形成されている。
第2補強パネル14はまた、図5から図7に示すように、底壁部14aにおいて第1補強パネル13と接合される部分にそれぞれ略平坦状の接合座面14f、14gが形成されている。第2補強パネル14の底壁部14aには、車体上下方向に複数の接合座面14f、14gが設けられ、接合座面14f、14gにおいて第1補強パネル13の底壁部13aとスポット溶接によって接合される。
第2補強パネル14の底壁部14aに設けられた複数の接合座面14fは、外方側に突出するようにして形成されている。第2補強パネル14の底壁部14aにおいて車体上下方向における下方側に設けられた接合座面14gでは、外方側に突出して形成されていないが、底壁部14aが略平坦状に形成されている。
一方、第2補強パネル14は、後側縦壁部14cにおいて第1補強パネル13の後側縦壁部13cと接合されず、該後側縦壁部13cと接合するための接合座面が形成されていない。第2補強パネル14では、底壁部14aと後側縦壁部14cとの間の稜線R2が、センタピラー10の長手方向に接合座面によって凸凹して形成されることなくセンタピラー10の長手方向に沿って連続して形成されている。
本実施形態では、第2補強パネル14は、底壁部14aと前側縦壁部14bにおいてのみそれぞれ対向する第1補強パネル13の底壁部13a及び前側縦壁部13bと接合されているが、底壁部14aと後側縦壁部14cにおいてのみそれぞれ対向する第1補強パネル13の底壁部13a及び後側縦壁部13cと接合させるようにしてもよい。かかる場合には、第2補強パネル14の前側縦壁部14bは、第1補強パネル13の前側縦壁部13bと所定の間隙を有して略平行に配設されると共に、第2補強パネル14の後側縦壁部14cよりも車幅方向内方に延びるように形成され、且つ、底壁部14aと前側縦壁部14bとの間の稜線R1がセンタピラー10の長手方向に連続して形成される。
なお、本実施形態では、センタピラー10を構成するアウタパネル11、インナパネル12、第1補強パネル13及び第2補強パネル14はそれぞれ、鋼板などの金属製の板状素材をプレス加工したものが用いられ、好ましくは高張力鋼板をプレス加工したものが用いられる。
このように、本実施形態では、センタピラー10が、底壁部13aと両側の縦壁部13b、13cと両側のフランジ部13d、13eとを備えて断面略ハット状に形成された第1補強パネル13を備え、第1補強パネル13内に、底壁部14aと両側の縦壁部14b、14cとを備えて断面略コ字状に形成された第2補強パネル14が配設され、第2補強パネル14は、底壁部14a及び両側の縦壁部14b、14cがそれぞれ第1補強パネル13の底壁部13a及び両側の縦壁部13b、13cに略沿って配設され、底壁部14a及び一方の縦壁部14bにおいてのみ第1補強パネル13の底壁部13a及び一方の縦壁部13bと接合される。
これにより、第2補強パネル14は隣接する底壁部14a及び一方の縦壁部14bにおいてのみ第1補強パネル13に接合されるので、第2補強パネル14の底壁部14a及び両側の縦壁部14b、14cがそれぞれ第1補強パネル13の底壁部13a及び両側の縦壁部13b、13cと接合される場合に比して、第2補強パネル14の縦壁部14bと第1補強パネル13の縦壁部13bの接合部における間隙のばらつきを抑制することができ、センタピラー10の補強パネル13、14において安定した接合品質を得ることができる。
第2補強パネル14の底壁部14a及び両側の縦壁部14b、14cがそれぞれ第1補強パネル13の底壁部13a及び両側の縦壁部13b、13cと接合される場合、第2補強パネル14の両側の縦壁部14b、14cには高い寸法精度が要求されることから、寸法精度を確保するために第2補強パネル14のプレス成形後に修正を施したり廃棄したりして生産性が悪くなり得るが、第2補強パネル14の底壁部14a及び一方の縦壁部14bにおいてのみ第1補強パネル13に接合することで、センタピラー10の補強パネル13、14において安定した接合品質を得ることができると共に車体製造時の生産性を向上させることができる。特に、第2補強パネル14としてプレス成形後のスプリングバックが大きい高張力鋼板を用いる場合に、前記効果を有効に得ることができる。
また、第2補強パネル14は、底壁部14aと他方の縦壁部14cとの間の稜線R2がセンタピラー10の長手方向に沿って連続して形成されていることにより、底壁部14aと他方の縦壁部14cとの間の稜線R2がセンタピラー10の長手方向に凸凹してセンタピラー10の長手方向に沿って連続して形成されていない場合に比して、荷重入力時の応力集中源や変形起点の形成を抑制することができ、第2補強パネル14による補強効果を高めることができる。第2補強パネル14が底壁部14a及び一方の縦壁部14bにおいてのみ第1補強パネル13に接合される場合においても、第2補強パネル14による補強効果を有効に得ることができる。
更に、第2補強パネル14の一方の縦壁部14bは、センタピラー10の車体上下方向における上方側、中央側及び下方側の3ヶ所において第1補強パネル13の一方の縦壁部13bと接合されていることにより、第2補強パネル14による補強効果を得つつ車体製造時の生産性を向上させることができる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
以上のように、本発明によれば、センタピラーの補強パネルにおいて安定した接合品質を得ることができると共に車体製造時の生産性を向上させることができることから、例えば4ドアタイプの乗用車の車体の車体側部に利用することが可能である。
1 車体
2 車体側部
3、4 ドア開口部
10、100 センタピラー
11、101 アウタパネル
12、102 インナパネル
13、103 第1補強パネル
13a、103a 底壁部(第1補強パネル)
13b、13c、103b 縦壁部(第1補強パネル)
13d、13e、103c フランジ部(第1補強パネル)
14、104 第2補強パネル
14a、104a 底壁部(第2補強パネル)
14b、14c、104b 縦壁部(第2補強パネル)
14d、14e、14f、14g 接合座面
R1、R2 稜線

Claims (4)

  1. 車体側部に設けられた前後のドア開口部の間に位置して車体上下方向に延びるセンタピラーが、車体外側を構成するアウタパネルと車体内側を構成するインナパネルとを備えると共に前記アウタパネルと前記インナパネルとの間に配設された第1補強パネルを備えてなる車両の車体側部構造であって、
    前記第1補強パネルは、車体前後方向に延びる底壁部と該底壁部から車幅方向に延びる両側の縦壁部と該両側の縦壁部から車体前後方向に延びる両側のフランジ部とを備えて断面略ハット状に形成され、
    前記第1補強パネル内に、車体前後方向に延びる底壁部と該底壁部から車幅方向に延びる両側の縦壁部とを備えて断面略コ字状に形成された第2補強パネルが配設され、
    前記第2補強パネルは、該第2補強パネルの底壁部及び両側の縦壁部がそれぞれ前記第1補強パネルの底壁部及び両側の縦壁部に略沿って配設され、該第2補強パネルの車体上下方向の複数箇所において該第2補強パネルの底壁部及び一方の縦壁部においてのみそれぞれ対向する前記第1補強パネルの底壁部及び一方の縦壁部と接合され、
    前記第2補強パネルの底壁部には、車体上下方向に複数の接合座面が設けられ、
    前記第2補強パネルの一方の縦壁部には、車体上下方向に複数の接合座面が設けられ、
    前記第2補強パネルの底壁部は、該第2補強パネルの底壁部に設けられた複数の接合座面において前記第1補強パネルの底壁部と接合され、
    前記第2補強パネルの一方の縦壁部は、該第2補強パネルの一方の縦壁部に設けられた複数の接合座面において前記第1補強パネルの一方の縦壁部と接合され、
    前記第2補強パネルは、該第2補強パネルの底壁部が該第2補強パネルの両側の縦壁部に対して車外側に位置するように設けられ、
    前記第2補強パネルの他方の縦壁部は、前記第2補強パネルの一方の縦壁部よりも車幅方向内方に延びるように形成されている、
    ことを特徴とする車両の車体側部構造。
  2. 前記第2補強パネルは、該第2補強パネルの底壁部と他方の縦壁部との間の稜線が前記センタピラーの長手方向に沿って連続して形成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両の車体側部構造。
  3. 前記第2補強パネルの他方の縦壁部は、前記第1補強パネルの他方の縦壁部と所定の間隙を有して略平行に配設されている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の車体側部構造。
  4. 前記第2補強パネルの一方の縦壁部は、前記センタピラーの車体上下方向における上方側、中央側及び下方側の3ヶ所において前記第1補強パネルの一方の縦壁部と接合されている、
    ことを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載の車両の車体側部構造。
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