JP4428811B2 - センタピラーの結合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の車体構造に関し、特に、リンホースピラーセンタアウタとアウタパネルサイドとの結合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3に示されるように、センタピラー1は、車体の前席と後席とを隔てるように車体左右側面に立設されるサイドメンバであって、上端にサイドレール2の側端部、下端にサイドシル3の上端部がそれぞれ接合されることによって、車体の横剛性を確保しているものである。
サッシュレスドアの場合、センタピラー1の中〜上部にかけてのアウタ側(図3中、手前側)には、リテーナ(図示略)を介して、サイドウィンドウ4とともに車外とのシールをするゴム製のウェザストリップ5が、ガーニッシュ6によって取り付けられている。
【0003】
図4〜図5に示すように、従来、センタピラー1の最外殻をなすように車体の上下方向に沿って延設された薄板のアウタパネルサイド7のインナ側(図4中、奥側、図5中、上側)には、複数のリンホース部材が配置されるものであり、厚板のリンホースピラーセンタアウタ8およびピラーセンタインナ9が閉断面を形成するように対向配置され、各部材7〜9のそれぞれの側端部は、溶接により結合されている。
さらに、アウタパネルサイド7とリンホースピラーセンタアウタ8との側端部に挟まれた中央部の溶接点を確保するために、リンホースピラーセンタアウタ8の上下端部には、アウタ側に向かって適宜突出した所定大きさの突出面部8aが形成され、この突出面部8aとアウタパネルサイド7のインナ側とが直接接触した状態で溶接により結合されている。
【0004】
しかしながら、この従来のセンタピラーの結合構造においては、同図に示されるように、厚板のリンホースピラーセンタアウタ8に突出面部8aが突出形成されていることにより、リンホースピラーセンタアウタ8自体の剛性が小さくなってしまう虞があり、しかも、車体の側方からインナ側に向かって衝撃力が加わった際に、アウタパネルサイド7が受ける荷重は、リンホースピラーセンタアウタ8の突出面部8aに集中伝達されてしまうという問題が発生してしまう。
そして、側突時の衝撃力が、突出面部8aに集中してしまうことによって応力が発生し、突出面部8aの近傍位置からリンホースピラーセンタアウタ8が破損、折損してしまうという問題が発生してしまうことがある。
【0005】
このような問題を解決するため、リンホースピラーセンタアウタ8の板厚をより厚くしたり、センタピラー1自体を補強する等の方法によって、車体の横剛性を増加させることも考えられる。
しかしながら、このような方法を採用した場合には、車両重量の増加につながって走行性が不利である。また、車体側方への衝撃力に対する剛性も増加することになり、衝突等によって側方から衝撃力が加わった際に車体が変形し難くなる。このことは、衝撃力により車体を容易に変形させて乗員にダメージが及ぶのを回避するという安全対策が損なわれることになる。
【0006】
この発明は、上記のような従来のセンタピラーの結合構造が有している問題点を解決するためになされたものであって、センタピラーの構成に大きな変更を加えることなく、車体の横方向の剛性を増加させて安全性の向上を図るとともに、車体の側方からの衝撃に対して車体の変形を妨げることがないセンタピラーの結合構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために本発明は、自動車のセンタピラーを構成するアウタパネル部材の車室内方向にリンホース部材を内嵌挿入した状態で前記アウタパネル部材と前記リンホース部材とを結合するセンタピラーの結合構造において、
前記アウタパネル部材およびリンホース部材は、上下方向に沿って車室外方向に所定距離だけ突出している中央部と、この中央部を左右側から挟んだ左側部と右側部とが一体的に折り曲げ形成され、前記アウタパネル部材の中央部における上下方向に沿った所定位置には、中央部の一部が車室内方向に向かって所定距離だけへこまされた凹部が形成され、前記凹部の車室内方向に突出された突出面を前記リンホース部材の中央部に当接させた状態で前記凹部と前記リンホース部材の中央部とを溶接により互いに結合させたことを特徴とする。
【0008】
さらに、前記アウタパネル部材の中央部に設けられた凹部は、前記アウタパネル部材の車室外方向にシール用のウェザストリップを取り付ける際に使用するカバーセンタピラーのクリップ先端が収まるクリップ逃げであることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用したセンタピラーの結合構造の実施の形態について、図1〜図2を用いて説明する。図1は、本発明のセンタピラーの結合構造を説明するための分解斜視図、図2は、図1のセンタピラーの結合構造の中〜上部にかけての結合状態を説明するための横断面図である。なお、センタピラーは、車体の左右側に等しく設けられるものであるから、ここでは、車体左側のセンタピラーの結合構造について説明する。なお、従来と同一の部材については、同一の符号を付すものとする。
【0010】
図1〜図2に示すように、センタピラー10の構成部材である薄板のアウタパネルサイド11は、車体の上下方向に沿って延設されており、アウタ側(図1中、左手前側、図2中、下側)に所定距離だけ突出している中央部11Aと、この中央部を車体前後方向(図示左右側、以下左右側と記す)から挟んだ左側部11Bと右側部11Cとが一体的に折り曲げ形成されるとともに、アウタパネルサイド11の両側端部には、フランジ11D,11Eが形成されている。
アウタパネルサイド11の中央部11Aの中〜上部、つまり窓肩対向部における上下方向に沿った所定位置には、中央部11Aの一部がインナ側(図1中、右奥側、図2中、上側)に向かって所定距離だけへこまされている凹部11aが形成されている。また、左側部11Bと右側部11Cとの上下方向に沿った所定位置には、スクリュグロメット挿通用の角穴11bが穿設されている。
【0011】
凹部11aのへこみ距離は、アウタパネルサイド11のインナ側にリンホースピラーセンタアウタ12を内嵌挿入した際に、凹部11aのインナ側がリンホースピラーセンタアウタ12の中央部12Aと直接接触するように設定されるとともに、凹部11aのアウタ側は、アウタパネルサイド11のアウタ側の中〜上部にリテーナセンタ13を介してウェザストリップ5(図2に図示)を取り付ける際に、ウェザストリップ5を固定するカバーセンタピラー(ガーニッシュ)14のクリップ14aの先端14b(図2に図示)のクリップ逃げとされていて、先端14bが、ウェザストリップ5およびリテーナセンタ13の所定位置を挿通したのち、凹部11aのへこみ内に収まるように設定されている。
【0012】
アウタパネルサイド11のインナ側に配置される厚板のリンホースピラーセンタアウタ12には、アウタパネルサイド11のインナ側内に内嵌挿入されるように、アウタ側に所定距離だけ突出している中央部12Aと、この中央部12Aを左右側から挟んだ左側部12Bと右側部12Cとが一体的に折り曲げ形成されており、さらに、左側端と右側端には、フランジ12D,12Eが一体的に形成されている。また、左側部12Bと右側部12Cとの上下方向に沿った所定位置には、スクリュグロメット挿通用の角穴12bが穿設されている。
【0013】
アウタパネルサイド11の中〜上部のアウタ側に配置されるリテーナセンタ13には、アウタ側に所定距離だけ突出している中央部13Aと、この中央部13Aを左右側から挟んだ左側部13Bと右側部13Cとが一体的に折り曲げ形成されている。リテーナセンタ13の中央部13Aの上下方向に沿った所定位置には、縦長の矩形状の挿通口13aが穿設されていて、カバーセンタピラー14のクリップ14aの先端14bが挿通するようになっている。また、左側部13Bと右側部13Cとの上下方向に沿った所定位置には、スクリュグロメット挿通用の丸穴13bが穿孔されている。
【0014】
リテーナセンタ13のアウタ側に沿って配置されるカバーセンタピラー(ガーニッシュ)14は、サイドウィンドウ4とともに車外とのシールをするウェザストリップ5をインナ側のリテーナセンタ13に押圧させた状態で固定する略平板形状の部材であって、上下方向に沿った所定位置には、インナ側に向かって所定距離だけ突出したウェザストリップ固定用のクリップ14aが一体的に形成されている。そして、クリップ14aの先端14bは、ウェザストリップ5の所定位置に形成された挿通口5aを挿通したのち、リテーナセンタ13の挿通口13aをアウタ側から閉塞することによって、ウェザストリップ5を固定保持するようになっている。
【0015】
次に、センタピラー10の結合構造について説明する。
センタピラー10のリンホースピラーアウタ12のインナ側には、リンホースピラーセンタインナ15およびピラーセンタインナ16が閉断面を形成するように対向配置され、リンホースピラーセンタアウタ12のフランジ12D,12Eのインナ側とピラーセンタインナ16の両端のフランジ16D,16Eのアウタ側とが溶接により結合され、ピラーセンタインナ16のアウタ側面にリンホースピラーセンタインナ15が内嵌挿入された状態で溶接により結合されている。
【0016】
リンホースピラーセンタアウタ12のアウタ側には、アウタパネルサイド11、さらに、中〜上部のアウタ側には、リテーナセンタ13,ウェザストリップ5およびカバーセンタピラー14が配置される。
リンホースピラーセンタアウタ12とアウタパネルサイド11とは、リンホースピラーセンタアウタ12の中央部12Aのアウタ側とアウタパネルサイド11の中央部11Aに形成された凹部11aのインナ側とが直接接触した状態で、凹部11aのアウタ側と中央部12Aのインナ側とに溶接用のスポットチップ(図示略)を対向配置させ、スポット溶接により互いに結合させるとともに、リンホースピラーセンタアウタ12のフランジ12D,12Eのアウタ側とアウタパネルサイド11のフランジ11D,11Eのアウタ側とが溶接により結合されている。
【0017】
そのような状態のアウタパネルサイド11の中〜上部のアウタ側に、リテーナセンタ13のインナ側を内嵌挿入した状態で、アウタ側からスクリュグロメット17をリテーナセンタ13の丸穴13b,アウタパネルサイド11の角穴11bおよびリンホースピラーセンタアウタ12の角穴12bに挿入することによってリテーナセンタ13は固定される。
そして、ウェザストリップ5をリテーナセンタ13のアウタ側に挿着した状態でカバーセンタピラー14を配置させ、カバーセンタピラー14のクリップ14aの先端14bをウェザストリップ5の挿通口5aおよびリテーナセンタ13の挿通口13aに挿通させることによって、ウェザストリップ5およびリテーナセンタ13は固定される。この状態において、カバーセンタピラー14のクリップ14aの先端14bは、凹部11aのへこみ内に収められていて、凹部11aのアウタ側とは若干の離間距離があって接触はしていない。
【0018】
次に、本発明のセンタピラー10の結合構造を備えた車体の側方から衝撃が加わった場合について説明する。厚板のリンホースピラーセンタアウタ12の中央部12Aには、アウタ側に向かって適宜突出した所定大きさの突出面部は形成されておらず、平滑な面とされていることによって、リンホースピラーセンタアウタ12全体の抗力が保持されている。それに対し、薄板のアウタパネルサイド11の中央部11Aには、インナ側に向かってへこまされた凹部11aが形成されていることによって、断面の不連続性が生じることになる。すなわち、アウタパネルサイド11とリンホースピラーセンタアウタ12とは、元々板厚の差により強度差が生じているが、更に、アウタパネルサイド11に凹部11aを形成したことで、断面の不連続性が生じることになり、一定の断面形状を保持していないため強度差が生じることとなる。そのことによって、車体の側方から衝撃が加わってセンタピラー10がサイドドアやサイドシル3などの構造物とともに車体の中心方向に進入する際に、まずパネルサイド11が変形を開始するが、リンホースピラーセンタアウタ12の中〜上部の剛性が保持されていることにより、リンホースピラーセンタアウタ12の変形量は最小限に押しとどめられる。そして、中〜上部、つまり窓肩対向部の変形が阻止されたリンホースピラーセンタアウタ12そのものが、車体の中心方向に進入しようとすると、アウタパネルサイド11とサイドレール2との結合構造に変更はないので、リンホースピラーセンタアウタ12そのものの変形は抑えながらも安定的に車体の中心方向に進入するようになる。
【0019】
このように、本実施形態によれば、リンホースピラーセンタアウタ12の中〜上部には、アウタ側に向かって適宜突出した所定大きさの溶接用の突出面部が形成されていないので、リンホースピラーセンタアウタ12自体の曲げ応力に対する横剛性は保持されたままである。そのことによって、側面衝突時の衝撃力がアウタパネルサイド11の凹部11aからリンホースピラーセンタアウタ12に入力されても、リンホースピラーセンタアウタ12は変形しにくくなっているので、アウタパネルサイド11の変形量が増大するようになる。そして、アウタパネルサイド11が変形することによって、側突時の衝撃力を吸収させて車室内方向にリンホースピラーセンタアウタ12が変位することを防止することができる。また、リンホースピラーセンタアウタ12の横剛性は保持されたままであるから、アウタパネルサイド11の凹部11aとの溶接点に衝突時の荷重がかかっても、リンホースピラーセンタアウタ12が破損、折損することを防止することができるとともに、リンホースピラーセンタアウタ12の強度が保持されており、しかも、アウタパネルサイド11とサイドレール2との結合構造に大きな変更はないので、側突時の衝撃力によってセンタピラー10そのものが車体の中心方向へ進入する場合でも、センタピラー10そのものの変形を抑えながら安定的に車体の中心方向に進入させることができる。
【0020】
これらの結果、車体の側方からの衝撃力から車体を効果的に変形させることによって、乗員の安全性を向上させることができる。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明のセンタピラーの結合構造によれば、センタピラーの構成に大きな変更を加えることなく、車体の横方向の剛性を増加させて安全性の向上を図るとともに、車体の側方からの衝撃に対して車体の変形を妨げることがないセンタピラーの結合構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセンタピラーの結合構造を説明するための分解斜視図である。
【図2】図1のセンタピラーの結合構造の中〜上部にかけての結合状態を説明するための横断面図である。
【図3】サッシュレスドアを採用した自動車におけるセンタピラーの構成を説明するための側面図である。
【図4】従来のセンタピラーの結合構造を示した側面図である。
【図5】図4中のセンタピラーの結合構造の横断面図である。
【符号の説明】
5 ウェザストリップ
10 センタピラー
11 アウタパネルサイド
11A 中央部
11a 凹部
12 リンホースピラーセンタアウタ
12A 中央部
13 リテーナセンタ
14 カバーセンタピラー(ガーニッシュ)
14a クリップ
14b 先端
Claims (2)
- 自動車のセンタピラーを構成するアウタパネル部材(11)の車室内方向にリンホース部材(12)を内嵌挿入した状態で前記アウタパネル部材(11)と前記リンホース部材(12)とを結合するセンタピラーの結合構造において、
前記アウタパネル部材(11)およびリンホース部材(12)は、上下方向に沿って車室外方向に所定距離だけ突出している中央部(11A、12A)と、この中央部(11A、12A)を左右側から挟んだ左側部(11B、12C)と右側部(11C、12C)とが一体的に折り曲げ形成され、前記アウタパネル部材(11)の中央部(11A)と前記リンホース部材(12)の中央部(12A)との間には、略一定の空間が確保される共に、前記アウタパネル部材(11)の中央部(11A)に、前記アウタパネル部材(11)と前記リンホース部材(12)を当接させるように車室内方向に向かって凹ませた凹部(11a)が形成され、前記凹部(11a)の車室内方向に突出された突出面を前記リンホース部材(12)の中央部(12A)に当接させた状態で前記凹部(11a)と前記リンホース部材(12)の中央部(12A)とを溶接により互いに結合させたことを特徴とするセンタピラーの結合構造。 - 前記アウタパネル部材の中央部に設けられた凹部は、前記アウタパネル部材の車室外方向にシール用のウェザストリップを取り付ける際に使用するカバーセンタピラーのクリップ先端が収まるクリップ逃げであることを特徴とする請求項1に記載のセンタピラーの結合構造。
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