JP6106453B2 - ガラス母材の製造装置 - Google Patents
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Description
既存の光ファイバの製造方法においては気相での加水分解反応、もしくは酸素による熱酸化反応を用いるため、例えば四塩化ケイ素(SiCl4)、四塩化ゲルマニウム(GeCl4)など、ガス状の原料を使用する必要がある。
このようにして供給されたアルカリ金属化合物を、従来と同様に酸素雰囲気で加熱し酸化してガラス表面に堆積させることで、アルカリ金属酸化物がドープされた光ファイバ用ガラス母材を作製することができる。
この方法に用いられる加熱炉は、例えば略円筒型の炉心管を有し、炉心管内部の炉室は、炉心管の外周側に設置された加熱手段により加熱される。
炉室内に前駆体ガラスを保持して加熱し、炉室にアルカリ金属蒸気を導入することで前駆体ガラスはアルカリ金属蒸気に曝される。炉室は炉心管により加熱手段から隔てられているため、炉室内の前駆体ガラスは、外部(例えば加熱手段)からの不純物による汚染を受けにくい。そのため遮蔽構造体である炉心管の材料には、高い化学安定性が求められる。
高温加熱状態で炉心管を構成する物質が揮発して放出されると、それが不純物として前駆体ガラスの外表面に付着し、さらに内部に向かって浸透し、光ファイバの伝送損失を悪化させる原因となる可能性があるからである。
特許文献1の請求項2には、前駆体ガラスを軟化点以下に加熱すると記載されていながら、請求項3、4ではシリカガラスの軟化点よりもはるかに高い1900℃ないし2100℃まで温度範囲を広げた記載がされていることから、特許文献1記載の加熱炉の炉心管にはシリカガラスよりも高融点の材料が用いられていると考えることができる。
例えば、炉心管に前駆体ガラスと同じガラスを用いた場合には、炉心管には前駆体ガラスと同程度にアルカリ金属酸化物がドープされることは不可避である。そのため、繰り返しアルカリ金属酸化物のドープを行うと、炉心管の内壁にドープされるアルカリ金属酸化物の濃度が徐々に高くなることで炉心管を構成するガラスの軟化点が低下するため、前駆体ガラスにアルカリ金属酸化物をドープするための温度にまで炉室内を加熱すると、炉心管の機械的強度が低下する可能性がある。このため、炉心管の機械的強度の維持は容易ではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被加熱物への不純物混入を原因とする不具合が起こらず、かつ炉心管の機械的強度を維持することができるガラス母材の製造装置を提供することを課題とする。
前記炉心管は、前記前駆体ガラスと同じ材質からなることが好ましい。
少なくとも前記炉心管は、取付けおよび取外し自在とされていることが好ましい。
前記ドープ材料加熱部は、前記加熱炉とは別体に設けられていてよい。
前記加熱炉は、前記前駆体ガラスが加熱されるガラス加熱部を有し、前記ドープ材料加熱部は、前記炉心管内に、前記ガラス加熱部よりも前記ドープ材料の含有ガスの流通方向の上流側に設けられ、前記ドープ材料加熱部と前記ガラス加熱部は、加熱時の温度を互いに独立に設定できる構成としてもよい。
従って、ドープ材料の影響による炉心管の軟化点の低下や化学的耐久性の低下を抑止し、炉心管の機械的強度を維持することができる。
以下、本発明のガラス母材の製造装置の好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。
図1〜図3は、本形態例の製造装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
図1に示すように、この製造装置10Aは、前駆体ガラス12を加熱する加熱炉11(ガラス加熱部)と、前駆体ガラス12を支持する軸13と、ドープ材料14(アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物)を加熱するドープ材料加熱部(気化部)15とを有する。
炉心管21は、上部開口21cを通して前駆体ガラス12を出し入れできる。
炉心管21は、シリカガラスからなる。炉心管21と前駆体ガラス12とは同じ材質(シリカガラス)からなることが好ましい。
図2および図3に示すように、炉心管21は、少なくとも内面21eに結晶化層21dが形成されている。
結晶化層21dは、炉心管21を構成するガラス材料(シリカガラス)の少なくとも一部が結晶化して形成された層である。結晶化層21dは、内面21eから一定深さの範囲に形成することができる。結晶化層21dの有無は、X線回折法により確認できる。
結晶化層21dの厚さは、炉心管21の全厚さの一部に相当する厚さとしてよい。
結晶化層21dは、内面21eの一部領域にのみ形成してもドープ材料の浸透を抑制する効果は得られるが、ドープ材料の浸透を抑制する効果を高めるため、内面21eの全領域に形成するのが好ましい。
結晶化層21dに含まれる結晶は、単結晶であってもよいし、多結晶であってもよい。
この方法は、結晶化促進剤を含む層を塗布などにより炉心管21の内面に形成する方法である。具体的には、炉心管21内面にカルシウムなどのアルカリ土類金属元素を適量含む溶液を塗布した後、熱処理を加えることで結晶化層21dを形成する方法である。
炉心管21内面にはアルカリ土類金属元素が残留することになるが、塩素を含む雰囲気中で熱処理を行うことで、当該アルカリ土類金属元素を塩化物の蒸気として炉心管21から除去することができる。
なお、当該アルカリ土類金属元素が、前駆体ガラス12に含有されるものである場合や、アルカリ土類金属元素の含有が問題にならない場合には、アルカリ土類金属元素の除去操作は必要ない。
結晶化促進剤としては、アルミニウム(Al)などの3b族元素を含むものも使用できる。この場合でも、塩素を含む雰囲気中で熱処理を行うことで、当該3b族元素を塩化物の蒸気として除去することができる。
シリカガラスからなる炉心管21の内面に、結晶化促進剤としてアルミニウム(Al)を含むガラス層を形成し、これに、アルゴン(Ar)雰囲気中で1290℃、24時間の熱処理を施すことによって、炉心管21の内面に結晶化層21dを形成することができる。結晶化促進剤は、塩素を含み、かつ酸素を含まない雰囲気で1400℃、24時間の熱処理を行うことで除去できる。
また、シリカガラスからなる炉心管21の内面に、結晶化促進剤としてカルシウム(Ca)を含む溶液を塗布した後、この炉心管21内面に、アルゴン(Ar)雰囲気中で1290℃、24時間の熱処理を施すことによって、結晶化層21dを形成することもできる。
連結筒体24は、炉心管21の筒部21bとほぼ同径の筒体であり、下端を筒部21bの上端に気密に当接させることができる。図示例の連結筒体24には、ガス排出口20を有する排出筒部29が形成されている。蓋体23と連結筒体24は一体に形成してもよい。
「前駆体ガラス」とは、ガラス母材の原材料となるガラス、すなわちドープ前の被ドープガラスと、この被ドープガラスから誘導されるドープ途中及びドープ後のガラスを総称する意味であり、製造装置内のガラスで構成され得る他の部材を含まない。
なお、前駆体ガラス12の長手方向に複数のヒータを設置することも可能である。この場合は、すべてのヒータを発熱させて前駆体ガラス12の全体を加熱することにより均熱炉として使用したり、一部のヒータを発熱させて前駆体ガラス12の一部を加熱する傾斜炉として使用したりすることができる。あるいは、ガラス加熱用ヒータH1は、前駆体ガラス12の全体よりも短い円筒状のヒーターであって、ガラス加熱用ヒーターH1を発熱させて前駆体ガラス12の一部を加熱しつつ、ガラス加熱用ヒーターH1と前駆体ガラス12が相対的に上下に移動するようにして、前駆体ガラス12の全体を加熱する傾斜炉として使用することができる。
ドープ材料加熱部15は、ドープ材料加熱部15は、ドープ材料14(アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物)を収容可能な容器状の本体部17と、1つ又は2つ以上のドープ材料加熱用ヒータH2を備えている。
本体部17は、ドープ材料14(アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物)とは容易には反応しない材質、例えばガラス、ハステロイ合金等が使用できる。
本体部17には、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N2)等の不活性ガスからなるキャリアガスを本体部17に導入する導入管路25(導入経路)と、本体部17内のガスを炉心管21内に導入する連絡管路26とが接続されている。
符号26aは連絡管路26を開閉する弁である。
前駆体ガラス12は、高温になりすぎると、ガラス状態や形状、組成分布を維持することが困難になる場合があるが、ガラス加熱用ヒータH1により、炉心管21内の温度を適切な温度に保つことができる。
また、ドープ材料加熱用ヒータH2により、ドープ材料14(アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物)の融点以上の適切な温度に加熱することによって、ドープ材料14を十分な濃度で含む含有ガス18を得て、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物を効率よく前駆体ガラス12にドープすることができる。
本実施形態の製造方法は、多孔質の前駆体ガラス12の表面に、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を気化させて接触させることにより、前駆体ガラス12にアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物をドープするドープ工程と、前駆体ガラス12を焼結して透明なガラス体とする焼結工程を有する。
アルカリ土類金属化合物としては、アルカリ土類金属、すなわち、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの化合物(塩)がある。
アルカリ金属化合物(塩)やアルカリ土類金属化合物(塩)は、一般に次のような性質を示す。
例えば塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物などのハロゲン化物、酸化物、水酸化物などの多くは化学的に安定で、分解することなく融点を示す。ただし、イオン半径の大きなアルカリ金属の酸化物、例えば酸化カリウム(K2O)は、過酸化物(K2O2)とカリウム(K)に分解する。炭酸水素塩はかなり低温で分解して炭酸塩となるが、炭酸塩は融点を示し、さらに加熱すると酸化物に分解する。硫化物は大気中の酸素や二酸化炭素と反応して、それぞれ酸化物や炭酸塩に変化するが、不活性ガス中では融点を示す。硝酸塩は比較的低い融点を示すが、融点以上で亜硝酸塩に分解する。いくつかの例を表1に示す。
また、同一のアルカリ土類金属元素の化合物を2種類以上併用することもでき、異なるアルカリ土類金属元素の化合物を2種類以上併用することもできる。
さらには、アルカリ金属化合物とアルカリ土類金属化合物を合わせて2種類以上併用することもできる。ガラスにアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物を、2種類以上ドープすることも可能である。
シリカガラスは、純粋なシリカ(SiO2)ガラスでもよく、フッ素(F)や酸化ゲルマニウム(GeO2)等の通常の光ファイバで用いられる添加物がドープされたシリカガラスでもよく、目的のドープ量より少ないアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物がドープされたシリカガラスでもよい。2種類以上の添加物が含まれるシリカガラスを使用することもできる。
ドープ工程に先立って、ドープ材料14を乾燥させる乾燥工程を行ってもよい。
乾燥工程では、ドープ材料14や前駆体ガラス12から排出される水分の排出を促進するため、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N2)等の不活性ガスからなるキャリアガスを、ガス導入口19から炉心管21に導入することができる。水分の排出を促進するため、塩素(Cl2)、塩化チオニル(SOCl2)などの脱水剤を不活性ガスからなるキャリアガスに添加しても良い。これによって、損失増加の原因となる水分を除去することができる。
光ファイバの製造においては損失増加の原因となる水分の混入を避けるため、加熱炉11内に導入するガスは、水分量を十分に低減した乾燥ガスであることが望ましい。
キャリアガスは、炉心管21内で上方に向けて流れ、ガス排出口20から排出される。
なお、ドープ材料14が十分に乾燥している場合には、乾燥工程を省いてもよい。
ドープ工程では、加熱炉11の炉心管21内に導入した多孔質の前駆体ガラス12を、ガラス加熱用ヒータH1により加熱し、一方、ドープ材料加熱部15のドープ材料加熱用ヒータH2により本体部17内のドープ材料14をその融点以上に加熱し、ドープ材料14から気化した蒸気等を含む含有ガス18を、連絡管路26を通して加熱炉11内に導入し、前駆体ガラス12の表面(外表面や多孔質の内部表面)に接触させる。
ドープ材料の含有ガス18は、ドープ材料の液滴又は微粒子を含んでいてもよい。
キャリアガスは、炉心管21内で上方に向けて流れ、ガス排出口20から排出される。
図1に示すように、多孔質の前駆体ガラス12をVAD法で作製した場合、ガラススートを堆積させる出発母材の一部又は全部を、前駆体ガラス12を支持する軸13として用いることができる。例えばVAD法により製造される多孔質のガラスは、比表面積が5〜20m2/gであり、好適に使用することができる。
ドープ処理温度は700〜950℃が好ましい。
焼結工程は、前駆体ガラス12を加熱炉11内に留めたまま、ドープ工程に引き続いて、実施することができる。
焼結工程を実施する前に、炉心管21の雰囲気中及び前駆体ガラス12の表面に存在する未反応のドープ材料を排出する工程を設けることができる。これにより、焼結工程中にアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物のドープ量が変化(増加)することを抑制することができる。この場合でも、ドープ材料加熱部15が十分に冷却されれば、ドープ材料保持部17内のドープ材料14を加熱炉11内に留めたまま、焼結工程を実施して構わない。
炉心管21内の温度は、例えば900〜1300℃とすることができる。前駆体ガラス12を、透明なガラス体が得られるまで焼結温度の範囲内に保ち、その後、放冷する。
このため、ドープ材料14の影響による炉心管21の軟化点の低下や化学的耐久性の低下を抑止し、炉心管21の機械的強度を維持することができる。
また、炉心管21がシリカガラスからなるため、加熱により炉心管21に由来する揮発物等(例えば二酸化ケイ素)が生じたとしても、揮発物等は前駆体ガラス12に含まれる成分と同じとなる。このため、前駆体ガラス12に付着しても伝送損失の悪化等の不具合の原因とならない。
図4は、本形態例の製造装置の第2の実施形態である製造装置10Bを示す。
以下の説明において、第1の実施形態の製造装置10Aとの共通部分については同じ符号を付して説明を省略する。
製造装置10Bは、前駆体ガラス12を加熱する加熱炉31と、前駆体ガラス12を支持する軸13と、ドープ材料加熱部45(気化部)とを備えている。
加熱炉31は、内部に前駆体ガラス12を収容可能な炉心管21と、炉心管21を収容する外装体42と、炉心管21の上部開口を開閉可能に閉止する蓋体23とを備えている。
外装体42の底板42aには、ガス導入口19が形成され、ガス導入口19は、キャリアガス等を供給するガス供給装置(図示せず)に接続される。
ガラス加熱部44を構成する炉心管21の外周には、1つ又は2つ以上のガラス加熱用ヒータH1が設けられている。図4に示す例では、ガラス加熱用ヒータH1は、前駆体ガラス12の全体よりも長い円筒状のヒータである。ガラス加熱用ヒータH1によって、加熱炉31は、前駆体ガラス12の全体を均等に加熱することが可能な均熱炉となっている。
ドープ材料加熱部45を構成する炉心管21の外周には、1つ又は2つ以上のドープ材料加熱用ヒータH2が設けられている。ドープ材料加熱用ヒータH2によりドープ材料14をその融点以上に加熱すると、ドープ材料14を含む含有ガス18を加熱炉31内に発生させ、前駆体ガラス12の表面(外表面や多孔質の内部表面)に接触させることが可能である。
このため、ガラス加熱部44により、炉心管21内の前駆体ガラス12の温度を適切な温度に保つとともに、ドープ材料加熱部45により、ドープ材料14を適切な温度に加熱してアルカリ金属酸化物等を効率よく前駆体ガラス12にドープすることができる。
含有ガス18は、キャリアガスに同伴して、炉心管21内を上方に向けて流れ、前駆体ガラス12に接触した後、ガス排出口20から排出される。
また、炉心管21がシリカガラスからなるため、加熱により炉心管21に由来する揮発物等(例えば二酸化ケイ素)が生じ、前駆体ガラス12に付着しても伝送損失の悪化等の不具合の原因とならない。
製造装置10Bでは、ドープ材料加熱部45が炉心管21内に設けられているため、全体構造が簡略となり、装置の小型化を図ることができる。
図5は、本形態例の製造装置の第3の実施形態である製造装置10Cを示す。
製造装置10Cは、前駆体ガラス12を加熱する加熱炉51と、前駆体ガラス12を支持する軸13と、ドープ材料加熱部45とを備えている。
加熱炉51は、内部に前駆体ガラス12を収容可能な炉心管41と、炉心管41を収容する外装体42と、炉心管41の上部開口を開閉可能に閉止する蓋体43とを備えている。
底板41aは、複数の導入孔41cが形成された構造、例えば網目構造を有することが好ましい。
蓋体43には、ガス排出口20を有する排出筒部29が形成されている。
含有ガス18は、キャリアガスに同伴して、炉心管41内を上方に向けて流れ、前駆体ガラス12に接触した後、ガス排出口20から排出される。
また、炉心管41がシリカガラスからなるため、加熱により炉心管41に由来する揮発物等(例えば二酸化ケイ素)が生じ、前駆体ガラス12に付着しても伝送損失の悪化等の不具合の原因とならない。
このため、ドープ材料14の影響による炉心管41の軟化点の低下や化学的耐久性の低下を抑止し、炉心管41の機械的強度を維持することができる。
製造装置10Cでは、ドープ材料加熱部45が炉心管41内に設けられているため、全体構造が簡略となり、装置の小型化を図ることができる。
図6は、本形態例の製造装置の第4の実施形態である製造装置10Dを示す。
この製造装置10Dは、加熱炉71と、軸13と、ドープ材料14を加熱するドープ材料加熱部45とを有する。
加熱炉71は、内部に前駆体ガラス12を収容可能な第1炉心管61と、第1炉心管61を収容する第2炉心管62と、第1炉心管61の上部開口を開閉可能に閉止する蓋体43とを備えている。
加熱炉71は、第1炉心管61と第2炉心管62とを有する二重管構造である。
フランジ部61cは、第2炉心管62の上部開口62aを開閉自在に閉止可能である。
第1炉心管61は、第2炉心管62等に対して、取付けおよび取外し自在とすることができる。
第1炉心管61の内面には、結晶化層61dが形成されている。
ドープ材料加熱部45のドープ材料加熱用ヒータH2は、第2炉心管62の外周に設けられている。
なお、加熱炉71は、三重管以上の多重管構造であってもよい。
また、第1炉心管61がシリカガラスからなるため、加熱により第1炉心管61に由来する揮発物等(例えば二酸化ケイ素)が生じ、前駆体ガラス12に付着しても伝送損失の悪化等の不具合の原因とならない。
製造装置10Dでは、ドープ材料加熱部45が第1炉心管61内に設けられているため、全体構造が簡略となり、装置の小型化を図ることができる。
また、第1炉心管61は取付けおよび取り外し可能であるため、第1炉心管61が劣化した場合には、これを容易に交換できる。
図1等に示す製造装置では、結晶化層は炉心管の内面にのみ形成されているが、結晶化層は、炉心管の内面だけでなく外面にも形成されていてもよい。
図1に示すように、シリカガラスからなる炉心管21(外径109mm、長さ1080mm、厚さ4.5mm)を有する加熱炉11と、ドープ材料14を加熱するドープ材料加熱部15とを有する製造装置10Aを作製した。
炉心管21の内面に、結晶化促進剤としてアルミニウム(Al)を含むガラス層を形成し、これに、アルゴン(Ar)雰囲気中で約1290℃、24時間の熱処理を施すことによって、炉心管21の内面に結晶化層21dを形成した。
結晶化促進剤は、塩素を含み、かつ酸素を含まない雰囲気で約1400℃、24時間の熱処理を行うことで除去した。
(乾燥工程)
アルゴンガスを、キャリアガスとしてガス導入口19から炉心管21に導入し、ガス排出口20から排出させる操作を24時間行った。
シリカガラスからなる多孔質の前駆体ガラス12(外径250mm、長さ1500mm)を、炉心管21内で、ガラス加熱用ヒータH1により加熱した。炉心管21内の温度は約900℃とした。
また、ドープ材料加熱部15のドープ材料14(NaCl)を加熱して気化させ、ドープ材料14の蒸気を含む含有ガス18を加熱炉11内に導入し、前駆体ガラス12に接触させた。この際、キャリアガスとしてアルゴンを使用した。
炉心管21内で前駆体ガラス12を加熱して透明化し、ガラス母材を得た。炉心管21内の温度は約1200℃とした。
炉心管21の内面に結晶化層21dを形成しないこと以外は実施例1と同様にしてガラス母材を製造した。
ガラス母材の製造を繰り返し、炉心管21の長さ寸法が試験前に比べて10mm伸長するまでの製造回数を測定したところ、15回であった。
Claims (5)
- 前駆体ガラスを加熱する加熱炉と、ドープ材料であるアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を加熱して前記ドープ材料の含有ガスを得るドープ材料加熱部とを備え、前記ドープ材料の含有ガスを前記加熱炉内の前駆体ガラスに接触させることができ、
前記加熱炉は、内部に前記前駆体ガラスを収容可能な炉心管を有し、
前記炉心管は、シリカガラスからなり、少なくとも内面の全領域には、前記炉心管を構成する材料の少なくとも一部が結晶化した結晶化層が形成されていることを特徴とするガラス母材の製造装置。 - 前記炉心管は、前記前駆体ガラスと同じ材質からなることを特徴とする請求項1に記載のガラス母材の製造装置。
- 少なくとも前記炉心管は、取付けおよび取外し自在とされていることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス母材の製造装置。
- 前記ドープ材料加熱部は、前記加熱炉とは別体に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のガラス母材の製造装置。
- 前記加熱炉は、前記前駆体ガラスが加熱されるガラス加熱部を有し、
前記ドープ材料加熱部は、前記炉心管内に、前記ガラス加熱部よりも前記ドープ材料の含有ガスの流通方向の上流側に設けられ、
前記ドープ材料加熱部と前記ガラス加熱部は、加熱時の温度を互いに独立に設定できる請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のガラス母材の製造装置。
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