JP5191153B2 - フッ化金属用加熱溶融炉に用いる断熱材の再生方法 - Google Patents

フッ化金属用加熱溶融炉に用いる断熱材の再生方法 Download PDF

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Description

本発明はフッ化金属を溶融、固化する加熱溶融炉で使用される断熱材の再生方法に係る。より詳しくは、加熱溶融炉の繰り返しの使用によりヒーターとチャンバーとの間に配設される断熱材に蓄積した不純物がフッ化金属へ混入することを防止することができる、該断熱材の再生方法に係る。
フッ化カルシウムや、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウムリチウム等のフッ化金属の単結晶は、広範囲の波長帯域にわたって高い透過率を有し、低分散で化学的安定性にも優れることから、紫外波長または真空紫外波長のレーザーを用いた各種機器、カメラ、CVD装置等のレンズ、窓材等の光学材料としての需要が広がってきている。とりわけ、フッ化カルシウム単結晶体は、光リソグラフィー技術において次世代の短波長光源として開発が進められているArFレーザ(193nm)やF2レーザ(157nm)での光源の窓材、光源用レンズ、照明系レンズ、投影系レンズとして期待が寄せられている。
こうしたフッ化金属の単結晶は、坩堝降下法(ブリッジマン法)や単結晶引き上げ法(チョクラルスキー法)により製造するのが一般的である。ここで、坩堝降下法とは、坩堝中の単結晶製造原料の溶融液を、坩堝ごと徐々に下降させながら冷却することにより、坩堝中に単結晶を成長させる方法である。一方、単結晶引き上げ法とは、坩堝中の単結晶製造原料の溶融液表面に、目的とする単結晶からなる種結晶を接触させ、次いで、その単結晶を坩堝の加熱域から徐々に引き上げて冷却することにより、該種結晶の下方に単結晶を育成させる方法である(例えば、特許文献1、2参照)
上記のような単結晶製造のためのフッ化金属原料としては、原材料に前処理を施した原材料前処理品が用いられる場合が多い。前記前処理とは、比表面積の大きい粉末、粒および多孔質バルク体で市販されているフッ化金属の原材料を坩堝へ収納して溶融、固化し、比表面積の小さいブロック状あるいは板状の原材料前処理品を得るための処理である。
また、上記のような原料の前処理および単結晶の育成に際しては、フッ化金属を溶融、固化する工程において、フッ化金属にとって不純物となる水分および酸素の混入を防止するために、酸素捕集剤(スカベンジャー)が用いられる(例えば、特許文献3参照)。これらのスカベンジャーは、フッ化金属原料と混合され炉内の任意の場所に配置される。
通常、フッ化金属の溶融には800℃もしくはそれ以上の高温を必要とするため、坩堝を加熱するためのヒーターと、炉体を形成するチャンバーとの間には、チャンバーをヒーターからの輻射熱等から保護するために、該ヒーターを環囲するように断熱材が設置されており、これにより該断熱材で囲まれた空間内に加熱領域が形成されることになる。その大きさにもよるが、通常、このような断熱材の製造には長期間を要し、また費用もかかる。
特開2006−199577号公報 特開2006−347834号公報 特開平09−315893号公報
上記スカベンジャーは加熱溶融の際に、フッ化金属原料よりも低温で溶融、気化して炉内の加熱領域から排出される。加熱領域から排出されたスカベンジャーや、該スカベンジャーが反応して生じた各種の不純物(以下、これらを合せて「スカベンジャー等」という)はチャンバーの内壁面や断熱材のチャンバー側に位置する面(以下、「外側面」ともいう)などの炉内低温部に析出する。
チャンバーの内壁面や断熱材の表面に析出したスカベンジャー等は、炉の開放時に乾いたウェス等で払拭することによって除去できる。しかしながら、断熱材の内部(厳密には、多孔体である断熱材の細孔内)に析出したスカベンジャー等を払拭によって取り除くことは困難である。このように、除去されずに断熱材内部に残留するスカベンジャーは、溶融(前処理又は育成)を繰り返すに従って増加し、遂には、炉内の加熱領域に再度混入することによって、前処理原料や単結晶の純度を低下させ、最終的に得られるフッ化金属単結晶の紫外線、真空紫外線、可視光などの透過率やレーザー耐性などが低下する。
加熱溶融炉中に残留する不純物を除去し、製造するフッ化金属の品質を一定に保つために、炉内にフッ化金属原料を投入せず、任意のガス雰囲気または真空排気下で、炉内をフッ化金属の溶融に際して到達させる温度以上となるように加熱する炉内純化処理(空焼き)がしばしば実施される。しかしながら、当該空焼きでも、断熱材の有する断熱効果自体のために、断熱材の外側面や内部が十分に加熱されないため、上記断熱材内部に蓄積されたスカベンジャーを、フッ化金属の前処理や育成に際して十分なほどに除去することは困難であることが本発明者らの検討で明らかとなった。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意研究を行った。その結果、加熱溶融炉の加熱領域を形成する断熱材を、その外側面が800℃以上になるよう加熱することにより、断熱材中に蓄積されたスカベンジャーを十分に除去できることを見出し、さらに検討を進めた結果、本発明を完成した。
即ち本発明は、その内部でフッ化金属を溶融、固化する坩堝(1)と、該坩堝を加熱するヒーター(2)と、チャンバー(3)と、前記ヒーターとチャンバーとの間に、該ヒーター(2)を環囲するように配置される断熱材(4)と、を備える加熱溶融炉で使用される断熱材(4)の再生方法であって、
該断熱材の全ての表面(5等)が、少なくとも800℃以上になるように該断熱材を加熱することを特徴とする前記再生方法である。
本発明の断熱材再生方法によれば、繰り返し使用した断熱材を新品に近い状態まで再生することができる。これにより、スカベンジャー等の混入に起因する紫外線、真空紫外線、可視光などの透過率の低下が極めて少なく、また、高強度レーザーの照射による透過率の低下が著しく少ない、光リソグラフィー技術における光学材料等として有用なフッ化金属単結晶を安定的、かつ経済的(短期間、低コスト)に製造することができる。
本発明の断熱材再生方法は、フッ化金属を溶融後、固化するために用いられる加熱溶融炉の内部に配置される断熱材の再生方法に係る。
該フッ化金属は、公知のいかなるフッ化金属でもよい。当該フッ化金属を具体的に例示すると、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化アルミニウム、フッ化バリウムリチウム、フッ化マグネシウムカリウム、フッ化アルミニウムリチウム、フッ化カルシウムストロンチウム、フッ化カリウムマグネシウム、フッ化ストロンチウムリチウム、フッ化セシウムカルシウム、フッ化リチウムカルシウムアルミニウム、フッ化リチウムストロンチウムアルミニウム、フッ化ランタノイド類等が挙げられる。
上記フッ化金属の中でも、本発明により得られる効果に対する要求の大きい短波長でのリソグラフィー用光学材料として用いられることが多いフッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム等のフッ化アルカリ土類金属類や、フッ化バリウムリチウム、フッ化リチウムカルシウムアルミニウム等の原料の高純度化や単結晶の製造に適用することが望ましく、フッ化アルカリ土類金属類に適用することがより好ましく、なかでもフッ化カルシウムを対象とすると本発明の効果が特に顕著である。
本発明の断熱材再生方法を適用する加熱溶融炉において、上記のようなフッ化金属を溶融・固化する目的は特に限定されない。高純度化への要求が高い点で、フッ化金属単結晶の製造工程で溶融・固化を行うための加熱溶融炉に適用することが好ましい。当該フッ化金属単結晶の製造工程での溶融・固化を具体的に例示すると、原材料の前処理品を製造する工程(前処理工程)や、このような原材料前処理品から単結晶を製造する工程(育成工程)が挙げられる。
上記のような工程で使用される本発明の断熱材再生方法の対象となる断熱材を備える加熱溶融炉は、その内部でフッ化金属を溶融、固化する坩堝(1)と、該坩堝を加熱するヒーター(2)と、チャンバー(3)と、前記ヒーターとチャンバーとの間にヒーターを環囲するように配置される断熱材(4)と、を備えるいかなる加熱溶融炉でもよい。当該加熱溶融炉を例示すると、上記の原料の前処理のための加熱溶融炉(図1)、前記の単結晶育成のためのチョクラルスキー炉(図2)やブリッジマン炉(図3)などが挙げられる。
上記のような加熱溶融炉を用いてフッ化金属単結晶を得る方法(育成工程)も特に限定されず、結晶引き上げ法(チョクラルスキー法)、坩堝降下法(ブリッジマン法)、帯溶融法(ゾーンメルティング法)、浮遊帯溶融法(フローティングゾーン法)等、公知のいかなる方法でもよい。例えば、結晶引き上げ法の装置(チョクラルスキー炉)としては、特開2005−29455号公報、特開2004−231502号公報、特開2004−182588号公報、特開2004−182587号公報、特開2003−183096号公報、特開2003−119095号公報、特開2002−60299号公報及び、特開2002−234795号公報等に記載の製造方法において用いられる装置が挙げられる。また坩堝降下法の装置(ブリッジマン炉)としては、特開平9−227293号公報、特開平9−315894号公報、特開2004−262742号公報等に記載の製造方法において用いられる装置が挙げられる。
上記のような単結晶育成における原料としては、従来より、原材料に前処理を施した原材料前処理品を用いてられている。前記前処理とは、比表面積の大きい粉末、粒および多孔質バルク体で市販されているフッ化金属の原材料を坩堝へ収納して溶融、固化し、比表面積の小さいブロック状あるいは板状の原材料前処理品を得るための処理である。比表面積の小さい原材料前処理品とすることで、原材料の表面に吸着する水分の量を減少させることができる。また、原材料の取り扱いが容易になり、坩堝への原材料の充填率を高めることができる。
本発明の断熱材再生方法は、このような原材料の前処理のための加熱溶融炉に使用される断熱材の再生に対しても適用できる。
なお上記の原材料の前処理は、前処理専用に設計された加熱溶融炉で実施することは勿論、単結晶の育成と同一の加熱溶融炉で実施することもできる。
上記の原材料の前処理工程や単結晶の育成工程などのフッ化金属を溶融、固化する工程は、残留する水分および酸素の影響をなくすため、通常、スカベンジャーの存在下で実施される。スカベンジャーとしては、原料フッ化金属よりも水や酸素との反応性が高く、また原料の溶融温度よりも低温で気化するフッ化物が用いられる。例えば、前処理の対象となるフッ化金属がフッ化カルシウムである場合、フッ化亜鉛、フッ化鉛などが用いられる。これらのスカベンジャーの使用量は、通常、原料フッ化金属100質量部に対して0.005〜5質量部である。また、これらのスカベンジャーを炉内に配置する方法としては、原料フッ化金属と混合する方法、炉内の加熱領域における任意の場所に配置する方法があり、必要に応じてこれらを組み合わせて使用される。
本発明の断熱材再生方法の対象となる上記のような前処理工程や育成工程で用いられる加熱溶融炉の使用方法は従来公知であるが、図1に示した原材料前処理用の加熱溶融炉を一例として原材料前処理工程を簡単に説明すると以下の通りである。即ち、チャンバー(3)内に配置された坩堝(1)内に、スカベンジャーと混合された、粉末状や顆粒状の原材料のフッ化金属を入れる。図1では、前処理効率を高くするため、坩堝(1)内に入れる原材料フッ化金属を薄くし、このような坩堝を多段に重ねてある。坩堝(1)を加熱するためのヒーター(2)からチャンバー(3)を熱的に保護するため、該ヒーター(2)を環囲するように断熱材(4)が設置される。該断熱材(4)に囲まれた空間が加熱領域である。
ヒーター(2)の出力を上昇させて坩堝内の原材料フッ化金属を加熱、溶融するが、この過程でまず吸着水が揮発し、次いでスカベンジャーが原材料フッ化金属の不純物である酸化物と反応する。
十分に加熱溶融して未反応のスカベンジャーや反応生成物を坩堝内から除去した後、ヒーター(2)の出力を低下させる。炉内温度が室温まで低下した後、坩堝(1)内で固化しているフッ化金属を取り出し、これを育成工程などにおける原料として用いる。
通常、この前処理工程は水分や反応生成物の除去を効率的に行うため、真空排気下などの、これらが揮発しやすい条件の下で行うが、断熱材(4)の外側の面(5)は相対的に低温であるため、反応生成物や未反応(余剰)のスカベンジャーの一部がこの部分で凝結してしまう。
本発明は、このような断熱材中に蓄積したスカベンジャー等が、精製効率を悪化させるという問題を解決するためのものである。
上記のようにして用いる加熱溶融炉において、本発明の再生方法の対象となる、ヒーターとチャンバーとの間にヒーターを環囲するように配置される断熱材(4)の材質としては、フッ化金属の溶融温度でもフッ化水素酸やスカベンジャーなどのフッ化物に侵されることがなく、また、溶融するフッ化金属を酸素やその他の不純物で汚染することのない材質のものである必要がある。一般的には、炭素繊維系断熱材等が用いられるが、上記の条件を満たすいかなる断熱材も使用することができる。
本発明の断熱材再生方法は、該加熱領域を形成する断熱材の表面が少なくとも800℃以上になるように加熱する。ここで本発明における最大の特徴点は、通常の使用時には高温に曝されることのないチャンバー側に位置した面(以下、「外側面」という)を800℃以上に加熱することによって、断熱材内部に蓄積したスカベンジャー等を除去するものである。一方、通常の使用時からヒーター側に位置する面(内側面)は、このようなスカベンジャー等の蓄積はほとんどないが、上記外側面の加熱時に同時に加熱しないと、外側面側のスカベンジャー等が内側面方向に移動、残留するため、当該内側面も800℃以上とする。上端面、下端面等の他の面も同様である。即ち、実質的に断熱材の全ての表面が800℃以上となるように加熱する。
本発明の断熱材再生方法における、該断熱材の表面を加熱する際の最高温度(全工程を通しての最高温度)は800℃以上であれば特には問わない。好適には900℃以上であり、さらに好適には該断熱材を設置した炉で溶融するフッ化金属の融点よりも高い温度である。例示すると、フッ化カルシウム単結晶(融点1418℃)の製造に用いられる加熱溶融炉の断熱材の再生処理は、最高温度を1418℃以上にすることが望ましい。他方、上限温度は特に制限されないが、再生に用いる加熱炉の耐熱性等を考慮すると、2000℃以下が好ましく、1800℃以下がより好ましい。
本発明の断熱材再生方法における、最高温度に到達するまでの昇温速度は特に限定されない。しかしながら、加熱によって再生対象となる断熱材から脱離した水分やスカベンジャー等が高濃度で雰囲気に滞留し、再び該断熱材中で析出しないように留意する必要がある。具体的には、加熱領域に真空排気を行いながら、再生対象の断熱材からの脱離ガスによって、加熱領域の圧力が任意の一定値を越えないように昇温の速度を調節する方法や、加熱領域にAr、N、He等のガスを流通させながら、排気ガス中の水分やスカベンジャー等に由来する成分をモニターして、これらの成分が任意の一定濃度以上にならないようにガスの流通量や昇温の速度を調節する方法によって、昇温プログラムを決定することが望ましい。
また、本発明の断熱材再生方法における、最高温度での保持時間は特に限定されない。ただし、最高温度の保持時間が短すぎる場合、断熱材中に蓄積されたスカベンジャー等が十分に除去される前に再生処理を終了してしまう恐れがあることから、ここでも昇温時と同様に、真空排気においては加熱領域の圧力が任意の一定値以下になるまで最高温度での加熱を保持すること、ガス雰囲気においては排気ガス中の水分やスカベンジャー等に由来する成分が任意の一定濃度以下になるまで最高温度での加熱を保持することによって、保持時間を決定するのが望ましい。本発明者らが上記の方法で最高温度の保持時間を検討した結果、好ましい保持時間は30分以上、より好適には1時間以上である。最高温度での保持時間は96時間あれば十分であり、多くの場合には48時間以下で十分である。なお上記最高温度の保持時間は、本発明の再生方法における全工程を通しての最高温度における保持時間である。
また、本発明の断熱材再生方法における、最高温度から常温への降温の速度は特には問わない。ヒーターの出力を緩やかに減じて徐々に降温しても、ヒータを停止して急激に降温してもよく、降温の速度によって再生処理の効果に大きな違いは現れない。
本発明の断熱材再生方法における、加熱の際の加熱領域の雰囲気は、再生の対象となる断熱材を汚染(酸化を含む)しないものが望ましい。好適な雰囲気としては、真空排気下(10−5Pa〜10−1Pa程度)、または再生の対象となる断熱材の材質との反応性が低いAr、He、Nなどの不活性ガス雰囲気下、または酸素や水との反応性が高いCFなどのガス雰囲気下、または酸化金属等をフッ化する性質のあるCF、HFなどのガス雰囲気下、さらにはこれらの混合雰囲気下が挙げられる(なお本発明においては、CF、HFなどの反応性ガスがAr、He、Nなどの不活性ガスに希釈された雰囲気も、CF雰囲気、HF雰囲気等と称する)。これらのガス雰囲気は、減圧、常圧、加圧のいかなる圧力でもよく、封入、流通のいずれでもよい。不純物の除去効率を高くするためには、その加熱に際して、少なくとも一部の期間の雰囲気を真空排気下とすることが好ましい。反応効率を考慮すると、CF雰囲気である期間の一部は、好ましくは500℃以上、より好ましくは800℃以上、特に900℃以上であることが好ましい。また、CFガスは、高温では再生炉自体を傷める場合があるため、CF雰囲気である期間中は1400℃以下とすることが好ましい。
さらにまた、各々の雰囲気にはそれぞれ特徴的な効果があることから、いくつかの雰囲気を段階的に組み合わせて再生処理を実施するとより効果的である。例示すると、最初に真空排気下で加熱することで再生対象となる断熱材中の比較的揮発しやすい不純物(水分や各種フッ化物)を気化させて除去し、次にCF(もしくはCFとNやAr等の不活性ガスとの混合)雰囲気下(以下、併せて「CF雰囲気下」と称する)で加熱することで再生対象となる断熱材に残存する(気化しなかった)金属酸化物等をフッ化し、最後に再び真空排気下で加熱することでフッ化した金属(酸化物がフッ化されたもの)等を気化させて除去することで、より効率的・効果的に対象を再生することができる。なお、これらの雰囲気の変更自体は、昇温中および最高温度を含む任意温度の保持中に実施することができ、必要に応じて、一旦温度を低下させ、雰囲気の変更を行った後、再度温度を上昇させることなどもできるが、前述のとおり、CFが酸化金属等をフッ化する効率を考慮すると、真空排気下からCF雰囲気へ変更した後、再度真空排気下とするまでの期間の少なくとも一部は、500℃以上とすることが好ましい。
特に好ましくは、CF雰囲気下、及び該CF雰囲気とする前後双方の真空排気下の状態において、各々の期間の少なくとも一部を、いずれも800℃以上とすることである。
また各々の雰囲気下におく時間は、いずれも30分以上あることがより好ましく、1時間以上あることがさらに好ましい。この場合、いずれの雰囲気の期間中においても、800℃以上である時間が上記時間以上であることがさらに好適であり、各々の雰囲気下での最高温度における保持時間を上記時間とすることが特に好ましい。
これまでに述べたような、本発明の断熱材再生を実施するための、再生対象となる断熱材を加熱する方法としては、公知のあらゆる加熱方法を用いることができる。とりわけ、図4に示すような、チャンバー(3)、ヒーター(2)と、加熱領域を環囲するように配置される断熱材(4)からなる加熱炉の内部に該断熱材を設置し、真空排気下、またはAr、He、Nなど、該断熱材の材質との反応性が低いガス雰囲気下等で加熱を行う方法が好適である。勿論、原料の前処理のための加熱溶融炉(図1)、単結晶育成のためのチョクラルスキー炉(図2)やブリッジマン炉(図3)等を本発明の断熱材再生のための加熱炉として使用することもできる。
本発明の断熱材再生方法に用いられる加熱炉を構成するチャンバー(3)としては、外気の流入がないような密閉構造を備え、またチャンバー自体が再生対象である断熱材を汚染(酸化を含む)しないものであればその形状や材質については問わない。加熱領域は断熱材(4)によって環囲されていることから、加熱領域を800℃以上に加熱しても、チャンバーの表面が該温度まで加熱されることはないため、一般的な水冷もしくは空冷式のステンレス製のチャンバーにおいても、高温やフッ化雰囲気によってチャンバーが腐食するようなことはなく、好適に使用できる。
本発明に用いられる加熱炉の加熱領域を構成する断熱材(4)の材質としては、再生処理温度に耐えうることは勿論、800℃以上の高温でもフッ化水素酸やスカベンジャーなどのフッ化物に侵されることがなく、また、酸素などの不純物で再生すべき断熱材を汚染することのない材質のものが望ましい。具体的には、炭素繊維系断熱材等が好適であり、一方、マグネシア、アルミナ、シリカ等の酸化物系断熱材は避けることが好ましい。
本発明に用いられる加熱炉の加熱方式は、抵抗加熱方式、誘導加熱方式など、公知のいかなる加熱方式を用いてもよい。ただし、炉内に配設されるヒーター(2)は、上記断熱材と同様に、800℃以上の高温でもフッ化水素酸やスカベンジャーなどのフッ化物に侵されることがなく、また、酸素などの不純物で再生すべき断熱材を汚染することのない材質であることが望ましい。具体的には、グラファイトヒーター等の炭素系の材質のヒーターが好適である。
本発明において、断熱材の炉内に設置された状態でチャンバー側に位置する面を加熱するために、該断熱材を加熱炉中に設置する方法は問わない。該断熱材全体を加熱領域に収めることができる大型の加熱炉を用いて実施することもできるし、該断熱材を小さく分割することによって、小型の加熱炉でも該断熱材の外側面を加熱領域に収めて実施することができる。
以下、本発明を、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
紛体のフッ化カルシウム原料を10kgに対し、スカベンジャーとしてフッ化鉛100gを混合したものを溶融坩堝に仕込み、これを9段積み重ねて原料溶融炉(内部容積が1000L)内に配置した。炉内を10−3〜10−4Paとなる程度に真空排気しながら、50℃/minで300℃まで昇温した後、300℃で10時間保持した。次に、50℃/minで800℃まで昇温した後、800℃で10時間保持した。次に、160℃/minで1450℃まで昇温した後、8時間保持し、その後、160℃/minで室温まで降温した。
このようにして得られた前処理原料の真空紫外線透過率を測定したところ、特異な透過率の低下が見られない、高純度な原料が得られていることが判った(図5のa)。
上記の原料前処理を実施した後、チャンバー内壁面をウェスで払拭し、再び前処理を実施する操作を30回繰り返したところ、30回目の前処理原料の真空紫外線透過率において152nmおよび203nmの近傍に特異な透過率の低下が見られた(図5のb)。また、原料溶融炉の加熱領域を構成する断熱材の特定部位の重量を測定したところ、1回目の前処理実施前の重量が8.3kgに対し、16.3kgに増加していた。
上記の加熱領域を構成する断熱材全体を加熱領域に納めることができる内部容積が2300Lの加熱炉に該断熱材を配置し、炉内が10−2Pa以下を維持するよう真空排気を実施しながら昇温速度を適宜調節し、1500℃まで昇温した。1500℃で6時間保持した後、1100℃まで1時間で降温した。ArガスとCFガスをモル比1:1で常圧まで導入した後、6時間保持し、炉内ガスをArガスに置換してから1500℃まで2時間で昇温し、6時間保持した。その後、真空排気を行いながら1500℃で6時間保持し、降温を行った。
上記の断熱材再生処理後、加熱炉のチャンバー壁面には再生対象の断熱材から生じた析出物が大量に付着していた。この析出物を化学分析したところ、スカベンジャー由来の成分(フッ化鉛を主とする鉛化合物)であった。また、再生処理後の断熱材の特定部位の重量を測定したところ、1回目の前処理実施前と等しい8.3kgに戻っていた。この断熱材を再び原料溶融炉に設置し、上記の原料前処理を実施し、得られた前処理原料の真空紫外線透過率を測定したところ、特異な透過率の低下が見られない、高純度な原料が得られていることが判った(図5のc)。
比較例1
実施例1と同様に、フッ化カルシウム原料の前処理を30回繰り返し、前処理原料の真空紫外線透過率において152nmおよび203nmの近傍に特異な透過率の低下が見られるようになった際の、原料溶融炉の加熱領域を構成する断熱材の特定部位の重量を測定したところ、1回目の原料前処理実施前の重量が8.8kgに対し、14.0kgに増加していた。
上記断熱材を原料溶融炉に設置したまま、炉内が10−2Pa以下を維持するよう、排気しながら昇温速度を適宜調節し、1500℃まで昇温した。1500℃で6時間保持した後、1100℃まで1時間で降温した。ArガスとCFガスを1:1で常圧まで復圧した後、6時間保持し、炉内ガスをArに置換してから1500℃まで2時間で昇温し、6時間保持した。その後、真空排気を行いながら1500℃で6時間保持し、降温を行った。
上記の純化処理(通常の空焼き)後、断熱材の特定部位の重量を測定したところ、14.0kgと変化がなかった。また、上記の純化処理実施後に、上記の原料前処理を実施し、得られた前処理原料の真空紫外線透過率を測定したところ、152nmおよび203nmの近傍に、特異な透過率の低下が見られた。
実施例2
前処理済みのフッ化カルシウム原料を坩堝に投入し、スカベンジャーとしてフッ化亜鉛を添加してチョクラルスキー法で単結晶育成を行ったところ、透明なフッ化カルシウム単結晶が得られた。しかしながら、該単結晶育成を20回繰り返したところ、突然に淡黄色に着色した結晶が得られた。この結晶の真空紫外線透過率を測定したところ、149nmおよび183nmの近傍に特異な透過率の低下が見られた。
上記チョクラルスキー炉の加熱領域を構成する断熱材全体を加熱領域に納めることができる加熱炉に、該断熱材を配置し、炉内が10−2Pa以下を維持するよう排気しながら昇温速度を適宜調節し、1600℃まで昇温した。1600℃で6時間保持した後、降温を行った。
上記の再生処理を行った断熱材を再びチョクラルスキー炉に設置し、上記のフッ化カルシウム単結晶育成を行ったところ、真空紫外線透過率に特異な透過率の低下が見られない、透明な単結晶が得られた。
図1は、原料の前処理のための加熱溶融炉の概略図である。 図2は、チョクラルスキー炉の概略図である。 図3は、ブリッジマン炉の概略図である。 図4は、本発明を実施する加熱炉例の概略図である。 図5は、本発明の効果を示す、フッ化カルシウム前処理原料の真空紫外線透過率である。
符号の説明
1.坩堝
2.ヒーター
3.チャンバー
4.断熱材
5.断熱材の、炉内に配設された状態ではチャンバー側に位置する面

Claims (4)

  1. その内部でフッ化金属を溶融、固化させる坩堝と、該坩堝を加熱するヒーターと、チャンバーと、前記ヒーターとチャンバーとの間に、該ヒーターを環囲するように設置される断熱材と、を備える加熱溶融炉で使用される断熱材の再生方法であって、
    該断熱材の全ての表面が、少なくとも800℃以上になるように該断熱材を加熱することを特徴とする前記再生方法。
  2. 断熱材の再生のための加熱の少なくとも一部の期間の雰囲気を真空排気下とする請求項1記載の再生方法。
  3. 断熱材の再生のための加熱に際して、その雰囲気を真空排気下、CF雰囲気下、真空排気下の順で変化させる請求項1又は2記載の再生方法。
  4. 加熱溶融炉が、フッ化金属を溶融させるための加熱を開始する時点では、該フッ化金属に加えてさらに固体スカベンジャーを坩堝内に入れた状態で用いる炉である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の再生方法。
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