JP2001240497A - フッ化物単結晶製造方法及び製造装置 - Google Patents

フッ化物単結晶製造方法及び製造装置

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JP2001240497A
JP2001240497A JP2000053930A JP2000053930A JP2001240497A JP 2001240497 A JP2001240497 A JP 2001240497A JP 2000053930 A JP2000053930 A JP 2000053930A JP 2000053930 A JP2000053930 A JP 2000053930A JP 2001240497 A JP2001240497 A JP 2001240497A
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fluoride
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Hiroshi Okada
広 岡田
Kazuhiro Uehara
一浩 上原
Seiichiro Omoto
誠一郎 大元
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ArFエキシマレーザのような高エネルギー
光に適した光学系材料として用いられる、高純度で光学
的均質性に優れるフッ化物単結晶を歩留まりよく得る。 【解決手段】 フッ化物単結晶原料をフッ素含有ガスに
晒して前記原料に含まれる不純物を前記フッ素含有ガス
と反応させることにより前記原料を精製する精製工程の
後に、この工程により精製されたフッ化物単結晶原料か
ら単結晶を成長させる成長工程とを経るフッ化物単結晶
製造方法において、前記精製工程と前記成長工程とを同
一容器内で行う。また、前記精製工程を経た前期原料を
更に昇温させて、前記精製工程と前記成長工程とを連続
して行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフッ化物単結晶、特
にフッ化カルシウム単結晶の製造方法及び製造装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】ArFエキシマレーザの光学系において
は、紫外域における優れた波長透過性により、フッ化カ
ルシウム(以下、CaF2という)結晶がレンズ、ウィ
ンドウ、プリズム等に用いられている。CaF2単結晶
は、主に天然の蛍石又はこれを原料とする合成原料に、
PbF2に代表されるスカベンジャーと呼ばれるフッ素
化剤を混合し、その後加熱されることにより精製された
ものを原料として、ブリッジマン法によって単結晶化さ
れたものである。
【0003】上記の従来の製造方法で得られたCaF2
単結晶を上記エキシマレーザ光学系に用いた場合、紫外
線波長領域における透過性が劣るばかりでなく、レーザ
照射により結晶がダメージを受け、その光透過性能の永
久劣化が起こる、いわゆる光損傷と呼ばれる現象が生じ
ることが問題になっている。この光損傷は、CaF2
晶中の不純物や結晶欠陥によって引き起こされると考え
られており、耐光損傷性の高いCaF2結晶を作製する
には、結晶の高純度化、低欠陥密度化が重要となる。特
に、CaF2中の酸素不純物が有害であることが知られ
ており、特開平9−315893号公報、特開平11−
157982号公報等には、現在の代表的な結晶製造プ
ロセスが開示されている。
【0004】しかし、かかる製造プロセスをもってして
も、単結晶における屈折率分布等の、ArFレーザ光学
系に必要十分な光学的均質性を有するCaF2単結晶を
歩留まりよく得ることは困難であった。というのも、上
記の方法はフッ化剤としてPbF2等の固体スカベンジ
ャーを用いているので、被処理原料であるCaF2粉末
とPbF2粉末は、機械的に混合されるのみであっては
細部にわたって均質に混合されるのは困難であり、原料
処理の不均質性が起こりうる。かかる不均質性により、
CaF2単結晶における光学的均質性、耐光損傷性が損
なわれていると考えられる。
【0005】このため、CaF2の化学的合成における
水溶液段階の工程において、鉛塩を水溶液として混合
し、CaF2とPbF2を共沈法によって生成させる方法
も考えられるが、操作が煩雑であり、単結晶製造の工程
においては実状にそわない。またPbF2の使用は、以
下の理由によりその使用自体が好ましくないものであ
る。すなわち、 (1)PbF2の添加量が多い場合は、PbF2が結晶中
に残存し易く、少ない場合は、結晶中の酸素不純物の除
去効果が不十分である。 (2)PbF2は微量ながら結晶中に残存し、ArFエ
キシマレーザのような高エネルギー光照射を受ける場合
においては、結晶の光損傷の原因となりうると考えられ
る。現に、特開平11−248625号公報では、Ca
2単結晶の屈折率測定方法として、残存鉛濃度の測定
が有効であることが開示されており、これから逆に残存
鉛濃度の不均質分布が屈折率の不均質を引き起こし、耐
光損傷性を損ねていることが伺い知れる。 (3)添加されたPbF2は、原料中の酸化物をフッ素
化し自らはPbOに変化する。反応生成物であるPbO
や未反応のPbF2を除去するため、原料処理工程の後
半において、原料の融点以上に昇温しこれらを揮発除去
するという方法が採用されているが、鉛化合物が炉内に
再凝着して電極の絶縁不良を引き起こす場合が往々にし
て起こりうる。また、鉛自体が有毒な物質であり、昨今
の地球環境保全、公害防止の観点からも、その使用量を
削減しようとする動きが産業界での趨勢になりつつあ
る。
【0006】かかる観点より、最近では固体スカベンジ
ャーを用いず、鉛を含まない反応性フッ素化合物ガスを
用いる製造方法に改良されてきている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のフッ素化合物ガ
スを用いる製造方法は、結晶原料をフッ素化合物ガスに
晒し、結晶原料に含まれる不純物をフッ素化合物ガスに
晒し、反応させて除去するものである。固体スカベンジ
ャーを用いる場合の、先述の結晶原料の不均質性が起こ
らず、より優れた性質を持つ結晶が得られる。かかる事
実は、特開平11−228292号公報等に開示されて
いる。しかしかかる方法では、原料から不純物を除去し
た後、この原料から結晶を成長させる前に原料が部分的
に再度不純物に晒されるおそれがあり、また、原料をフ
ッ素化合物ガスに晒して行う、原料中不純物のフッ素化
反応が不十分な場合がある。そのため、ArFレーザ光
学系に十分に適した光学的均質性を有するCaF2単結
晶を、歩留まりよく得ることは困難である。
【0008】本発明はかかる観点よりなされたものであ
ってその目的とするところは、ArFエキシマレーザの
ような高エネルギー光に適した光学系材料として用いら
れる、高純度で光学的均質性に優れるフッ化物単結晶を
歩留まりよく得られる、フッ化物単結晶の製造方法及び
製造装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み、本発明
においては以下の手段を採用した。すなわち、本発明に
かかるフッ化物単結晶製造方法は、フッ化物単結晶原料
をフッ素含有ガスに晒して前記原料に含まれる不純物を
前記フッ素含有ガスと反応させることにより前記原料を
精製する精製工程の後に、この工程により精製されたフ
ッ化物単結晶原料から単結晶を成長させる成長工程を経
るフッ化物単結晶製造方法において、前記精製工程と前
記成長工程とが同一容器内で行われることを特徴とす
る。
【0010】上記手段を採用すれば、フッ化物単結晶原
料(以下、原料という)をフッ素含有ガスに晒し、原料
中の不純物と反応させてこの不純物を除去する精製工程
を行ったその容器の中で、この精製済みの原料から単結
晶を成長させる成長工程を実現することができる。従っ
て単結晶製造の途中で、原料は酸素等の不純物に晒され
ることがなく、精製された状態のまま直接に単結晶に成
長するので、より高純度の単結晶を得ることができる。
【0011】本発明におけるフッ素含有ガスとは、F2
ガスそのもの、フッ素と他の元素又は基との化合物であ
るフッ化物ガスそのものの他、これらが一成分として含
有されているガスも含むものとする。また前記精製工程
を経た前記原料が更に昇温されることにより、前記精製
工程と前記成長工程とが連続して行われることが好まし
い。成長工程においては、原料は再度昇温されて溶融さ
れ、結晶成長が行われていく。このとき精製工程を経た
原料を更に昇温させて連続して次の成長工程へ入れば、
原料は精製後冷却されることがなく、成長工程での原料
の昇温が容易に行われる。
【0012】従って、熱エネルギーの損失を抑制でき、
結晶製造における熱効率を高めることができる。なお、
後述する真空炉式ブリッジマン炉を利用すれば、上述の
方法を容易に実現できる。また本発明にかかるフッ化物
単結晶製造方法は、フッ化物単結晶原料をフッ素含有ガ
スに晒して前記原料に含まれる不純物を前記フッ素含有
ガスと反応させることにより前記原料を精製する精製工
程の後に、この工程により精製されたフッ化物単結晶原
料から単結晶を成長させる成長工程を経るフッ化物単結
晶製造方法において、前記精製工程における前記不純物
と前記フッ素含有ガスの反応系にプラズマ処理を施すこ
とを特徴とする。
【0013】この手段によれば、精製工程におけるフッ
化物単結晶原料とフッ素含有ガスの反応系において、フ
ッ素含有ガスの分解が促進され、その際のフッ素の発生
も促進される。従って、脱水効果、脱酸素効果、フッ素
化効果がより強力に発揮され、上記原料中の不純物の除
去が効果的に行われる。従って、高純度のフッ化物単結
晶を歩留まりよく得ることができる。なお、かかるプラ
ズマ処理は、精製工程と成長工程が同一容器内で行われ
るか否か、またこれら各工程が連続して行われるか否か
に関係なく、いずれの場合においても採用できる。
【0014】また本発明にかかるフッ化物単結晶製造方
法は、フッ化物単結晶原料をフッ素含有ガスに晒して前
記原料に含まれる不純物を前記フッ素含有ガスと反応さ
せることにより前記原料を精製する精製工程の後に、こ
の工程により精製されたフッ化物単結晶原料から単結晶
を成長させる成長工程を経るフッ化物単結晶製造方法に
おいて、前記フッ素含有ガスがClF3であることを特
徴とする。この手段によれば、フッ素ガスによる酸素除
去効果に加えて、塩素ガスによる残留金属不純物との反
応による塩化物生成が起こる。生成した金属不純物は蒸
気圧が高く高温下では系外に飛散するので、更なる原料
の高純度化が可能である。
【0015】ClF3は、詳細は後述するが、結晶を製
造する装置の腐食対策が簡便で済み、また操作性に優れ
ている。更にClF3を用れば、フッ化炭素系ガスを用
いた場合に起こりうる炭素汚染の恐れもなく好適であ
る。なお、かかるClF3による原料精製は、精製工程
と成長工程が同一容器内で行われるか否か、またこれら
各工程が連続して行われるか否かに関係なく、いずれの
場合においても採用できる。一方、本発明にかかるフッ
化物単結晶製造装置は、フッ化物単結晶原料が収納され
る原料収納容器と、この収納容器を支持しかつ垂直ブリ
ッジマン法により前記収納容器内で結晶成長させるべく
前記収納容器を移動させる昇降軸を有する支持台と、前
記収納容器を収納しかつこの収納容器を出し入れ可能な
開口部を有するケーシングと、前記開口部を閉塞しかつ
前記開口部に着脱自在なプラグと、前記ケーシングの周
囲に配設された加熱装置と、前記ケーシング内を真空状
態にする排気装置とを備え、前記ケーシング内には前記
原料にフッ素含有ガスを導入するための導入管が接続さ
れていることを特徴とする。
【0016】この手段によれば、プラグにより密閉可能
なケーシング内に、原料にフッ素含有ガスを供給するた
めの導入管が接続されているので、ケーシング内にフッ
素含有ガスを導入することができる。また、原料が収納
されている原料収納容器は、垂直ブリッジマン法による
結晶成長ができるように昇降可能になっている。従っ
て、ケーシング内にある収納容器に収納された原料にフ
ッ素含有ガスを施した後、そのケーシング内で結晶の成
長を行うことができる。この際、いわゆる真空炉式ブリ
ッジマン炉を採用するのが好適である。というのも、原
料収納容器としてのルツボはチャンバ内に収納されてお
り、このチャンバ下部開口部はプラグにより閉鎖され
る。つまり、チャンバはケーシングとして機能し、ルツ
ボ内の原料はチャンバの隔壁構造により、独立した反応
室内でフッ素含有ガスに晒される。チャンバ内で精製さ
れた原料は、そのままチャンバ内で更に昇温されて、い
わゆるブリッジマン法により結晶成長が行われる。ここ
では、チャンバという同一容器内で、精製工程と成長工
程が連続して行われるのである。
【0017】また前記導入管は前記原料収納容器に接続
されていることが好ましい。この手段によれば装置の設
計上好ましく、また原料収納容器内の原料に直接にフッ
素含有ガスを導入することができ、フッ素含有ガスと不
純物との反応を効率的に行うことができる。また前記導
入管にはプラズマ発生装置が設けられていることが好ま
しい。かかる手段を採用すれば、原料に供給されるフッ
素含有ガスは予めプラズマ処理されるので、このフッ素
含有ガスと原料中の不純物との反応は促進される。
【0018】また上述の装置に用いられるフッ素含有ガ
スは、ClF3又は/及びNF3であることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明においては、フッ化物単結
晶は結晶原料中の不純物を除去する精製工程後に、この
精製工程で得られた高純度の結晶原料から結晶を成長さ
せる成長工程を経て製造される。またこのとき、精製工
程と成長工程とは同一容器内で行われるので、精製され
た結晶原料の純度は保たれる。また同一容器内で行うの
で、精製工程を経た後の原料の保温が容易に行え、原料
は冷却されにくい。その結果、次の成長工程における原
料の昇温を容易に行えるので熱エネルギーの損失を少な
くでき、結晶製造の効率化が期待できる。
【0020】以下、本発明にかかるフッ化物単結晶製造
装置(以下、単結晶製造装置という)の実施形態につい
て説明し、得られた単結晶の実施例及び比較例について
説明する。図1は、本発明にかかる単結晶製造装置の実
施形態を示したものである。単結晶製造装置1は、原料
収納容器であるルツボ2、ルツボ2を支持する支持台6
を有している。これらはチャンバ18内に配置されてい
る。支持台6は、ルツボ2を垂直ブリッジマン法により
ルツボ2内の原料を結晶成長させるべく昇降させる昇降
軸7を有しており、ルツボ2はこの昇降軸7を介して、
昇降装置(図示略)により昇降自在となっている。
【0021】チャンバ18の下部開口部18Aはフラン
ジ状となっており、この開口部18Aに着脱自在なプラ
グ21とシール材22により、チャンバ18内は気密密
閉状態に保たれる。チャンバ18は炭素材料、セラミッ
クス、高融点金属及びその合金の群から選ばれる材料か
ら構成される。シール材22は、耐熱性高分子又は金属
製ガスケット等で構成されている。チャンバ18の外周
には加熱ヒータ24が配設されている。加熱ヒータ24
の外周は断熱材28で覆われており、チャンバ18、加
熱ヒータ24、断熱材28は、全体がベルジャー29に
収納されている。ベルジャー29は上部が閉塞された円
筒体であり、下部開口部29Aはこの開口部29Aに着
脱自在なプラグ30で閉塞されている。
【0022】チャンバ18内部と、ベルジャー29の内
側でチャンバ18の外側には、それぞれ配管11A、1
1Bが設けられており、これら配管は油回転ポンプ12
及び拡散ポンプ13等を経て排気装置14に連結されて
いる。チャンバ18の内側及びベルジャー29の内側で
チャンバ18の外側は、これらの配管11A、11Bを
介し、排気装置14により真空状態にされる。またルツ
ボ2にはフッ素含有ガスを原料に供給するための導入管
23が、支持台6を貫通して接続されている。導入管2
3は、ルツボ2の下降に応じて動く必要があるので、部
分的にフレキシブルホース23Aとしておく。
【0023】本実施形態においては、フッ素含有ガスと
してClF3、NF3等が使用できるが、これらは別々の
ボンベ8、9からガス流通バルブ15A、15B、流量
計16A、16Bを介して、導入管23を通じてルツボ
2内に供給される。本実施形態においては、Arをキャ
リアガスとして用い、上記フッ化物ガスを常時流しなが
ら精製を行う。キャリアガスとしてはその他N2等が使
用可能である。Arは、ボンベ10A、10Bから供給
される。導入管23の途中には、高周波電源27に接続
されたプラズマ発生装置20が設けられ、プラズマの発
生によりフッ素含有ガスの活性化が可能となっている。
これは、フッ化カルシウムの脱酸素処理に対してより有
効である。
【0024】次に、この単結晶製造装置1を用いて単結
晶を製造する工程を説明する。合成高純度CaF2粉末
3を、原料収納容器としての内径200mmの高純度グ
ラファイト製単結晶成長用ルツボ2に10kg入れ、ケ
ーシングとしてのチャンバ18内に配置した。ルツボ2
下部には、<111>結晶方位を持つ単結晶種結晶4を
入れ、その下部を導入管23と接続した。ベルジャー2
9内及びチャンバ18内を排気装置14により真空引き
した後、チャンバ18内外に配管31によりArガスを
導入して常圧とした。チャンバ18内には配管31Aに
より、チャンバ18外には配管31BによりArガスを
導入した。
【0025】導入管23からClF3を5%含むArガ
ス(以下、5%ClF3−Arガスという)を毎分0.
1リットルの割合で流しながら、炉体を400℃/hr
で600℃まで昇温し15分保持した後、5%ClF3
−Arガスの供給を絶った(精製工程)。原料を冷却さ
せないよう、その後連続して真空引きしながら400℃
/hrの速度でCaF2の融点まで昇温した。この際、
ブリッジマン炉は通常の方法に従い、上部を高温、下部
を低温とした温度勾配を与えて、最終的に種結晶上端か
ら10mm程度下に融点位置が来るまで昇温していわゆ
る種付け工程を行い、その後ルツボ下降速度0.5mm
/hrで単結晶成長を行った。ルツボ2内の融液がすべ
て結晶化した後、50℃/hrで室温まで降温した(成
長工程)。得られた結晶は、種結晶と同一の結晶方位を
有する完全な種結晶であった(実施例1)。
【0026】得られたCaF2結晶について、以下のよ
うなレーザ光耐性試験を行った。単結晶インゴットから
直径50mm、厚さ10mmの試料を切り出し、平行2
面を研磨加工し、ArFエキシマレーザ(波長193n
m)での透過率を測定した。その結果、内部透過率とし
て99.9%であり、良好な透過率を有することが確認
された。次に、エネルギー密度100mJ/(cm2
ルス)のArFレーザを試料に1×104パルス照射
し、その後の試料の透過率を測定したところ、内部透過
率で99.9%と、照射前と変化がなく、本件試料がA
rFエキシマレーザ光に対して優れた耐久性を有するこ
とが判明した。
【0027】上記の結果と原料処理効果との関係を調査
するため、別途の実験において上記の同様の精製工程に
おいて、800℃30分真空排気後のCaF2原料粉末
の一部を取り出し、窒素ガス置換したグローブボックス
内に入れ、CaF2原料粉末の一部を取り出し、酸素含
有量の分析を行った。分析法は、不活性ガス融解赤外吸
収法によって行った。同時に、反応性ガスにより処理を
していないCaF2原料粉末に関しても酸素分析を行っ
た。処理なしの原料での酸素含有量は240ppmであ
るのに対して、処理後の原料においては検出限度以下で
あり、数ppm以下の含有量と推定された。以上の結果
から、フッ素含有ガス処理により原料中の酸素不純物が
有効に除去され、優れた耐光損傷性を有するCaF2
結晶が得られたものと考えられる。
【0028】なお、上述の製造工程においては、精製工
程における原料中の不純物とフッ素含有ガスの反応系に
プラズマ処理は施されていないが、フッ素含有ガスと原
料中の不純物との反応を促進するために、適宜に施すこ
とができる。また、導入管23は本実施形態においては
ルツボ2に接続されているが、チャンバ18内に導入管
が接続されればよく、その接続箇所はチャンバ18内で
適宜に設定できる。というのも、原料3にフッ素含有ガ
スが供給されればよいので、チャンバ18内にフッ素含
有ガスが供給されればよいからである。但し、原料3と
フッ素含有ガスをより効果的に接触させるためには、本
実施形態のようにルツボ2内を通過するようにガスを流
す方が優れている。
【0029】本実施形態は、いわゆる真空炉式ブリッジ
マン炉の構成を利用し、更に導入管やプラズマ発生装置
を設けたものである。本発明におけるその他の反応処理
系としては、例えば内熱式真空炉中に更に独立の反応室
を持つような形態のもの、或いは外熱式の電気炉に挿入
された石英ガラス管を反応管とする形態等が可能であ
り、いずれもフッ素含有ガスを流しながら熱処理を行う
か、もしくはフッ素含ガスを導入後一旦系を閉じ、一定
の反応処理時間の後に系内を真空引きする操作等が考え
られる。
【0030】次に、上記の外熱式の電気炉に挿入された
石英ガラス管を反応管とする形態について説明する。図
2は、かかる形態により原料精製を行う原料精製装置を
示した概略図である。原料はCaF2粉末である。原料
精製装置31は、上記の石英ガラス管としての石英ガラ
ス容器(以下、ガラス容器という)32を包囲する電気
炉35、ガラス容器32の上部に備えられたバルブ4
1、原料より除去された不純物を収容するコールドトラ
ップ45、等を備えている。 ガラス容器32には原料
収納容器であるグラファイト製のルツボ33が収納さ
れ、その上部には枝管34が設けられている。
【0031】電気炉35には、ガラス容器32を加熱す
るための加熱ヒータ36が、電気炉35の垂直方向に複
数配列されて設置されている。またルツボ33の下端に
は、<111>結晶方位を有する棒状のCaF2単結晶
が配されている(図示略)。ガラス容器32に導入され
るフッ素含有ガスとしては、上述の実施形態と同様、C
lF3、NF3等が採用される。また、キャリアガスとし
てAr等が採用されることも同様である。これらのガス
は、それぞれ別体のボンベ37、38、39から、それ
ぞれのバルブ37A、38A、39Aを介し、バルブ4
1によりガラス容器32に導入される。
【0032】かかる原料精製装置31を用い以下のよう
にして精製工程を行い、その後連続して結晶成長を行っ
た。合成高純度CaF2粉末を、原料44として内径1
00mmの高純度グラファイト製のルツボ33に3kg
収納した。ルツボ33は単結晶成長用のものである。ル
ツボ33を更に枝管34付きのガラス容器32に封入
後、電気炉35に接続した。バルブ41から、ガラス容
器32内を真空引きしながら、CaF2原料を400℃
/時間(以下、℃/hrという)の加熱速度で800℃
まで昇温した。最終的な到達真空度は2.6×10-4
a であった。真空引きは、先述のフッ化物単結晶製
造装置1と同様に、油回転ポンプ、拡散ポンプを経て排
気装置により行われる(図示略)。
【0033】次に、ガラス容器32内に、バルブ41よ
り5%ClF3−Arガスを0.08MPaの圧力まで
導入し、5分間保持した。その後、ガラス容器32を再
度2.6×10-4Paまで真空排気した。更に同様に、
5%ClF3−Arガス導入、真空排気操作を合計3回
繰り返した後、ガラス容器32の枝管基部34Aを酸水
素バーナーで加熱し、ルツボ33をガラス容器32内に
真空封入した。上記のガスによる処理の後、コールドト
ラップ45中には、CaF2原料とフッ素含有ガスとの
反応生成物と思われる白色物質の捕獲が認められた(精
製工程)。
【0034】次に上記のガラス容器32を、ガラス容器
内が冷却する前にそのまま真空式ブリッジマン炉中にセ
ットした。通常の操作に従って、炉内上部が高温、下部
が低温の温度勾配下で種結晶の先端より10mm下に融
点が位置するように加熱昇温し、種付けした後、ルツボ
下降速度1.5mm/hrで単結晶成長を行った。ルツ
ボ内の融液がすべて結晶化した後、50℃/hrで室温
まで降温した(成長工程)。得られた結晶は、種結晶と
同一の結晶方位を有する完全な単結晶であった(実施例
2)。
【0035】得られたCaF2結晶について、実施例1
と同様にレーザ光耐性試験を行った。単結晶インゴット
から直径50mm、厚さ10mmの試料を切り出し、実
施例1と同様に平行2面を研磨加工し、実施例1と同様
に、レーザ照射前後における透過率を測定した。その結
果、レーザ照射前後において、実施例1と同様いずれも
99.9%の透過率を示し、実施例2の試料もArFエ
キシマレーザ光に対して優れた光耐久性を有することが
判明した。また、上記のレーザ光耐久性の結果と原料処
理効果との関係を調査するため、再度上記と同様の原料
処理を行った後、ガラス容器32の枝管基部34Aを融
着封入することなく、原料処理後のガラス容器32をバ
ルブ41を閉じた状態で原料精製装置31から分離し、
窒素ガス置換したグローブボックス内に入れ、CaF2
原料粉末の一部を取り出し、酸素含有量の分析を行っ
た。分析方法は実施例1と同様に行い、同時に精製しな
い原料についても測定した。
【0036】その結果、精製しない原料での酸素含有量
は240ppmであるのに対して、精製後の原料におい
ては検出限度以下であり、数ppm以下の含有量と推定
された。以上の結果から、フッ素含有ガス処理により原
料中の酸素不純物が有効に除去され、優れた耐光損傷性
を有するCaF2単結晶が得られたものと考えられる。
図3は、上述の石英ガラス管を用いる場合において、精
製工程における原料中の不純物とフッ素含有ガスの反応
系にプラズマ処理を施すために、高周波コイルが備えら
れた精製装置を示した概略図である。
【0037】ガラス容器32内で行われる上記反応系に
施すプラズマを発生させる高周波コイル40、40が、
ガラス容器32の上部付近に設けられている以外は、図
2の精製装置と同様である。コイル40、40は高周波
電源42に接続されている。合成高純度CaF2粉末3
を内径30mmの高純度グラファイト製単結晶成長用ル
ツボ33に250g収納し、更に枝管34付きの石英ガ
ラス容器32に封入後、図3に示す原料精製装置31に
接続した。ルツボ33下端には<111>結晶方位を有
する棒状のCaF2単結晶が配されている(図示略)。
【0038】ガラス容器32内を真空引きしながら、C
aF2原料3を400℃/hrの加熱速度で800℃に
まで昇温した。最終的な到達真空度は2.6×10-4
aであった。真空引きは、先述の精製装置と同様の排気
装置により行う(図示略)。本装置においては、フッ素
含有ガスとしてNF3を用いる。またキャリアガスとし
てArを用いる。ボンベ38、39によりガラス容器3
2内にNF3を5%含有するArガス(以下、5%NF3
−Arガスという)を0.08MPaの圧力まで導入す
るとともに、ガラス容器32を取り巻くコイル40、4
0に13.56MHzの高周波電流を印加して、ガラス
容器32内にプラズマを発生させながら5分間保持し
た。
【0039】その後、系内を再度2.6×10-4Paに
真空排気して、更に同様に5%NF 3−Arガスを導
入、排気操作を合計3回繰り返した後、枝管基部34A
を酸水素バーナーで加熱し、ルツボ33をガラス容器3
2に真空封入した。上記のフッ素含有ガスによる処理の
後、コールドトラップ45中にはCaF2原料とフッ素
含有ガスとの反応生成物と思われる白色物質の捕獲が認
められた(精製工程)。次に、実施例2の場合と同様
に、ガラス容器32を真空式ブリッジマン炉中にセット
し、通常の操作に従って上部が高温、下部が低温となる
温度勾配下で種結晶の先端より10mm下に融点が位置
するように加熱昇温して種付けした後、ルツボ下降速度
3mm/hrで単結晶成長を行った。
【0040】ルツボ33内融液がすべて結晶化した後、
50℃/hrで室温にまで降温した(成長工程)。得ら
れた結晶は種結晶と同一の結晶方位を有する完全な単結
晶であった(実施例3)。得られた単結晶インゴットか
ら直径30mm、厚さ10mmの試料を切り出し、実施
例1、2と同様にレーザ光耐性試験を行った結果、レー
ザ照射の前後での透過率は99.9%と良好なものであ
った。図2、3に示した精製装置においては、精製工程
と成長工程とはガラス容器という同一容器内で行われて
いる。また、精製装置により精製工程が終わった後、ガ
ラス容器が冷却する前に次の成長工程に連続して移行す
る。かかる観点において、上述のガラス容器を用いて精
製装置とブリッジマン炉の双方を利用する形態であって
も、先述の単結晶成長装置と同様の高品質な単結晶が得
られる。
【0041】プラズマ処理は、上述のような精製工程と
成長工程とが同一容器内で行われ、これらの各工程が連
続して行われる場合のみに採用されるものではない。原
料の精製をフッ素含有ガスを用いて行う場合であれば採
用できる。精製工程においてプラズマ処理を行い、その
後別容器に原料を移して成長工程を行う場合には、精製
工程で得られるバルク状多結晶の形状を、結晶成長用ル
ツボにすきまなく収まるように略同一形状とすることが
好ましい。ルツボへの原料充填率を高め、より効率的に
単結晶製造を行うためである。
【0042】次に、本発明の比較例について説明する。
高純度CaF2粉末3kgに、スカベンジャーとしてP
bF2粉末30gを添加し十分に混合させた後、内径1
00mmの高純度グラファイト製の単結晶成長用ルツボ
に収納した。ルツボ下部には、上述の実施例1〜3と同
様に、<111>結晶方位を有する種結晶を配置してあ
る。ルツボを図1に示すような真空式ブリッジマン単結
晶成長炉中に設置し、2.6×10-4Paまで真空排気
した後、200℃/hrの速度でCaF2の融点まで昇
温した。この際、ブリッジマン炉は通常の方法に従い、
上部を高温、底部を低温とした温度勾配を与えて、最終
的に種結晶上端から10mm程度下に融点位置が来るま
で昇温し、いわゆる種付け工程を行った。
【0043】その後、ルツボ下降速度0.5mm/hr
で単結晶成長を行った。ルツボ内の融液がすべて結晶化
した後、50℃/hrで室温まで降温した。得られた結
晶は、種結晶と同一の結晶方位を有する完全な単結晶で
あった(比較例1)。この単結晶インゴットから直径5
0mm、厚さ10mmの試料を切り出し、平行2面を研
磨加工し、実施例1〜3と同様に透過率を測定した。そ
の結果、レーザ照射前の透過率は99.5%で良好な透
過率を有するものであったが、レーザ照射後の透過率が
96.5%に減少し、ArFエキシマレーザ光に対する
耐久性が劣ることが判明した。
【0044】この結果と原料精製効果との関係を調査す
るため、CaF2単結晶の一部を切り出し酸素含有量の
分析を行った結果、酸素含有量は20ppmであり、P
bF 2スカベンジャーによる酸素除去効果が十分でない
と判断された。更に、ICP−MS法による単結晶中の
不純物元素分析では、450ppmのPbが残留してい
ることが明らかとなった。このようなPb残留量は、ス
テッパ用光学レンズ用途としては好ましくない濃度であ
るといわれている。上述の実施例1〜3は、すべてPb
2等の固体スカベンジャーを用いず、Pbを含まない
フッ素含有ガスであるClF3又はNF3ガスを使用して
いる。これらのガスは、常温(20℃)〜800℃程度
の加熱下でCaF2との反応が行われる。常温であって
も吸着水分除去は十分に行われ、またCaF2原料の酸
化物が効果的に除去されるからである。更には、200
℃〜800℃がより好ましい。酸化物除去については、
より高温であることがより効果的だからである。
【0045】なお、これらClF3ガスやNF3ガスは、
それぞれ単独あるいは双方を使用することができる。ま
たこれらのガスを用いた反応系中にプラズマ処理を施す
ことも、フッ素化反応の促進に有効である。これによ
り、スカベンジャーの偏析による組織的不均質が起こら
ない。またPbF2よりもフッ素化効果に優れるため、
酸素不純物のより完全な除去が可能である。より具体的
にいえば、上述の実施形態で使用したフッ素含有ガスで
あるClF 3ガスは常温で原料の吸着水分と反応し、こ
れを除去する効果を有する。更に、加熱条件下で反応処
理を行うと、CaF2原料の表面や内部において生成し
ている水酸化物、酸化物の除去に特に有効である。
【0046】本発明の中心となる目的は、特にArFエ
キシマレーザ用光学系材料として好適に用いられるCa
2単結晶を得ることをにあるため、既に述べてきた原
料粉末の精製工程における操作は、通常、金属不純物を
最小限にした高純度合成原料に残存する酸素を除去する
ことを前提としている。このような原料では、Na、B
a、Fe、Mn、Ce、Y等の金属不純物は通常0.1
〜0.001ppm程度にまで除去されており、結晶成
長原料としてはほぼ十分な純度であるといえる。
【0047】ClF3ガスを使用した反応処理において
は、フッ素ガスによる酸素除去効果に加えて、塩素ガス
と原料粉末中の残留金属不純物が反応して塩化物生成が
起こる。生成した金属塩化物は一般に蒸気圧が高く、高
温下では系外に飛散するため、原料の高純度化が可能で
ある。このため、ClF3ガスを使用する際には、上記
のような高純度原料より純度的に劣るCaF2原料を用
いても、高純度化と脱酸素の両方の効果が期待でき、よ
り低価格で低グレードのCaF2合成品から高品質なC
aF2原料が製造できるという利点がある。
【0048】ClF3ガスの熱分解による、フッ素ガス
発生期のフッ素ガスは特に反応性に富み、CaF2に含
まれる水酸化物、酸化物の除去に効果的である。加熱条
件は、ClF3が自発的に分解を開始する200℃以上
が好ましく、反応温度が高いほど水酸化物、酸化物の除
去に有効であるが、先述のように概ね800℃程度まで
で十分である。実施例2、3のように石英ガラス容器を
用いる場合は、800℃以上ではフッ素ガスによって石
英ガラス容器自体がわずかに浸食されるため、これ以上
の温度では好ましくない。グラファイト製の容器を用い
る場合は、フッ素ガスとの反応の恐れはなく、800℃
以上からCaF2の融点まで反応ガス雰囲気のまま昇温
して、CaF2を融解してもよい。
【0049】一方、実施例3のようにNF3ガスを用い
る場合は、NF3ガスは常温では水分除去効果が劣るた
め、200℃程度の加熱が必要である。しかし、ここで
反応系にプラズマを生成させることで、フッ素含有ガス
の分解、発生期のフッ素生成により協力な脱水、脱酸素
とフッ素化効果が生まれる。反応温度の上限に関しては
ClF3ガスの場合と同様である。フッ素含有ガスとし
ては、先述したように、フッ素ガスそのもの(F2)や
塩素ガスとの混合ガスを用いることもできるが、反応系
各部により厳密な腐食対策が必要であるため、上述のよ
うなフッ化物ガスを用いることが、腐食対策等の観点か
ら好ましい。また、単体のフッ素ガスや塩素ガスとの混
合ガスを用いる場合でも、プラズマの発生によるガス活
性化が、脱酸素処理により有効であることは勿論であ
る。
【0050】反応処理の形態に関しては、フッ素含有ガ
スを常時流しながら行う場合は、Ar、N2等をキャリ
アガスとして用いる。このとき、反応生成物であるH2
O、HClO、金属塩化物等はキャリアガスとともに系
外へ導かれる。また閉鎖系での反応処理では、反応処理
後の真空引きによって反応生成物が系外に除去される。
閉鎖系での反応処理では、かかるガス導入、反応処理、
真空引きの一連の操作を数回繰り返して、より完全な処
理効果を得る。このようにして、ArFエキシマレーザ
ステッパ等に最適な、高純度で光学的均質性に優れるC
aF2結晶を得ることができる。なお、フッ素含有ガス
を用いるので、固体スカベンジャーを用いる場合のPb
付着による炉体損傷や公害問題等も発生しない。
【0051】また上述の実施例においては、加熱ヒータ
と原料のCaF2とはケーシングにより隔絶されてい
る。実施例1ではチャンバが、実施例2、3ではガラス
容器がケーシングに該当する。フッ素含有ガスは、高温
では酸化性が強いため、直接に加熱ヒータに接触させる
と加熱ヒータを損耗させる。上述の構成によれば、フッ
素含有ガスは加熱ヒータに直接接触しないため、フッ素
含有ガスによる損耗がなく、安定した加熱運転ができ
る。また、真空式ブリッジマン炉によれば、ケーシング
(チャンバ)内外の双方を真空脱気できるので、CaF
2の真空脱気が十分に行える。
【0052】更に、上述の実施形態においては、精製工
程を経た後の原料粉末はそのままCaF2の融点である
1400℃以上に昇温されることにより融解され、バル
ク多結晶体になる。この結晶体は緻密で、引き続く成長
工程に用いられる結晶成長原料として好適である。この
結晶体がそのまま成長工程を経てCaF2単結晶が製造
される。実施例1〜3では、精製工程の際に結晶成長用
ルツボを収納容器として使用しているので、原料を移し
替えることなく、精製工程からそのまま成長工程に移行
することができる。従って、精製工程から成長工程に移
行する間に原料が不純物に晒されることなく、その純度
が維持される。
【0053】またこのように、精製と成長の二つの工程
を同一容器内で行えば、原料を保温状態に維持すること
が容易で、原料は冷却されにくい。この場合は、精製工
程で供給された熱エネルギーをそのまま有効に利用して
ブリッジマン法による結晶成長を行うことができ、熱エ
ネルギーの損失を少なく押さえることができる。つま
り、原料が冷却されていないので、成長工程において原
料を低温状態から昇温させる必要がないのである。ま
た、ルツボ下部には予め種結晶がセットされているが、
必ずしも設置する必要はない。しかし、成長結晶の結晶
方位を制御するためには不可欠であり、また種結晶を用
いない場合は、単結晶化歩留まりが低下するので、かか
る観点からも種結晶を用いる方が好ましい。セットする
際は、原料を融解させる時に種結晶部分を融解してしま
わないように温度操作に注意する。
【0054】系内にプラズマを立てる場合は、系を減圧
条件にする等、適宜に処理方法を選択すればよい。その
際は、反応系の外部にプラズマ発生装置を設置し、ここ
で発生させたプラズマを反応系に導入されるフッ素含有
ガスに施し、反応系にプラズマ処理を施してもよいし
(図1参照)、精製工程の反応系に直接プラズマを発生
させて反応系にプラズマ処理を施してもよく(図2、図
3参照)、適宜に設定してプラズマ処理を行うことがで
きる。なお、以上ではCaF2単結晶を得ることのみに
ついて説明されているが、その他のフッ化物単結晶、例
えばLiF、BaF2、MgF2等の光学材料の他、Li
YF4等の固体レーザ用結晶等をも高純度で得ることが
できる。
【0055】
【発明の効果】本発明にかかるフッ化物単結晶製造方法
及び製造装置によれば、従来法の欠点であったスカベン
ジャーからの不純物混入を回避できるのみならず、単結
晶を製造する工程における不純物の混入も防ぐことがで
きる。また、フッ素含有ガスと原料中の不純物との反応
系において、強力な脱水効果、脱酸素効果ならびにフッ
素化効果が得られ、不純物除去が効果的に行われる。従
って、特にArFエキシマレーザ光学系に適した、高純
度で完全性の高い単結晶を高い歩留まりで得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる単結晶製造装置を示した概略図
である。
【図2】本発明にかかる単結晶製造方法において、精製
工程を行う原料精製装置を示した概略図である。
【図3】図2に示す原料精製装置に高周波コイルを設置
した状態を示した概略図である。
【符号の説明】
1 フッ化物単結晶製造装置 2 ルツボ 3 CaF2原料粉末 6 支持台 7 昇降軸 14 排気装置 15 バルブ 18 チャンバ 20 プラズマ発生装置 21 プラグ 22 シール材 23 導入管 24 加熱ヒータ 29 ベルジャー 31 原料精製装置 32 ガラス容器 33 ルツボ 34 枝管 35 電気炉 36 加熱ヒータ 40 高周波コイル 41 バルブ 42 高周波電源 44 CaF2原料粉末
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大元 誠一郎 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 4G077 AA02 BE02 CD02 EB06 EC10 EG21 HA01 MB04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ化物単結晶原料をフッ素含有ガスに
    晒して前記原料に含まれる不純物を前記フッ素含有ガス
    と反応させることにより前記原料を精製する精製工程の
    後に、この工程により精製されたフッ化物単結晶原料か
    ら単結晶を成長させる成長工程を経るフッ化物単結晶製
    造方法において、前記精製工程と前記成長工程とが同一
    容器内で行われることを特徴とするフッ化物単結晶製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記精製工程を経た前記原料が更に昇温
    されることにより、前記精製工程と前記成長工程とが連
    続して行われることを特徴とする請求項1に記載のフッ
    化物単結晶製造方法。
  3. 【請求項3】 フッ化物単結晶原料をフッ素含有ガスに
    晒して前記原料に含まれる不純物を前記フッ素含有ガス
    と反応させることにより前記原料を精製する精製工程の
    後に、この工程により精製されたフッ化物単結晶原料か
    ら単結晶を成長させる成長工程を経るフッ化物単結晶製
    造方法において、前記精製工程における前記不純物と前
    記フッ素含有ガスの反応系にプラズマ処理を施すことを
    特徴とするフッ化物単結晶製造方法。
  4. 【請求項4】 フッ化物単結晶原料をフッ素含有ガスに
    晒して前記原料に含まれる不純物を前記フッ素含有ガス
    と反応させることにより前記原料を精製する精製工程の
    後に、この工程により精製されたフッ化物単結晶原料か
    ら単結晶を成長させる成長工程を経るフッ化物単結晶製
    造方法において、前記フッ素含有ガスがClF3である
    ことを特徴とするフッ化物単結晶製造方法。
  5. 【請求項5】 フッ化物単結晶原料が収納される原料収
    納容器と、この収納容器を支持しかつ垂直ブリッジマン
    法により前記収納容器内で結晶成長させるべく前記収納
    容器を移動させる昇降軸を有する支持台と、前記収納容
    器を収納しかつこの収納容器を出し入れ可能な開口部を
    有するケーシングと、前記開口部を閉塞しかつ前記開口
    部に着脱自在なプラグと、前記ケーシングの周囲に配設
    された加熱装置と、前記ケーシング内を真空状態にする
    排気装置とを備え、前記ケーシング内には前記原料にフ
    ッ素含有ガスを導入するための導入管が接続されている
    ことを特徴とするフッ化物単結晶製造装置。
  6. 【請求項6】 前記導入管は前記原料収納容器に接続さ
    れていることを特徴とする請求項5に記載のフッ化物単
    結晶製造装置。
  7. 【請求項7】 前記導入管にはプラズマ発生装置が設け
    られていることを特徴とする請求項5又は6に記載のフ
    ッ化物単結晶製造装置。
  8. 【請求項8】 前記フッ素含有ガスは、ClF3又は/
    及びNF3であることを特徴とする請求項5〜7のいず
    れかに記載のフッ化物単結晶製造装置。
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