JPWO2013015301A1 - 化合物結晶製造用のルツボ、化合物結晶の製造装置及びルツボを用いた化合物結晶の製造方法 - Google Patents

化合物結晶製造用のルツボ、化合物結晶の製造装置及びルツボを用いた化合物結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の第1の態様によると、フッ化物結晶製造用のルツボは粉状または粒状のフッ化物原料を前処理炉において融解し冷却、固化してフッ化物の前処理品を作製し、作製された前処理品を結晶育成炉において融解して結晶に育成させるフッ化物結晶の製造に用いられるルツボであって、底部及び底部と繋がる筒部からなる有底筒状の第1部材と、筒部と着脱可能に構成された中空筒状の第2部材とからなり、第1部材と第2部材とを接続したときに両者が一体となって前処理品作製用の大容積ルツボを形成し、第1部材と第2部材とを分離したときに第1部材により結晶育成用の小容積ルツボを形成するように構成した。

Description

本発明は、化合物結晶製造用のルツボ、化合物結晶の製造装置、並びに化合物結晶の製造方法に関するものであり、なお詳細には、紫外領域で光学材料として使用するフッ化物結晶の製造に好適なルツボ、製造装置、並びに製造方法に関するものである。
近年、ウエハ上に集積回路パターンを描画するリソグラフィー技術が急速に発展している。集積回路の高集積化の要求は年々高まっており、その実現のためには投影露光装置の投影光学系の解像力を上げる必要がある。投影光学系の解像力は、使用する光の波長と投影光学系のNA(開口数)に依存する。すなわち、解像度を向上させるためには、使用する光の波長をより短くするか、投影光学系のNAをより大きく(レンズを大口径化)する必要があるが、NAを大きくすると焦点深度が浅くなってしまうので、波長を短くする方が有利である。
そのため、露光装置においては露光光波長の短波長化が進んでおり、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)から更に波長が短いエキシマレーザの波長域へと移行してきている。これらの露光装置の光学系において、i線の波長域までは光学ガラスを使用することができるが、KrFエキシマレーザ(波長248nm)やArFエキシマレーザ(波長193nm)等の波長域の光に対しては、光学ガラスの透過率は低いために使用することは困難である。このため、250nm以下の波長域を光源とする露光装置の光学系には、石英ガラスまたはフッ化物結晶、例えばフッ化カルシウム(CaF2)単結晶を加工した光学素子を使用することが一般的になっている。
フッ化カルシウム(蛍石)は、193nmの波長域に対して比較的高い透過率を有している。しかしながら、光子エネルギーの高いこのような波長の紫外光が長時間照射されると、結晶中に含まれる微細な不純物や格子欠陥で吸収・発熱が生じ損傷を受ける。そのため、ArFエキシマレーザ用の光学素子として使用されるフッ化カルシウムの単結晶製造には、化学的に合成された高純度のフッ化カルシウムが用いられる。
化学的に合成された高純度のフッ化カルシウムは、一般に粒径0.1μm程度の粉末状〜粒径5mm程度の粒状の大きさの原料として提供される。このような粉末状または粒状のフッ化カルシウムは、かさ密度が小さいために、融解すると体積が著しく減少する。そのため、比較的大きなフッ化カルシウム単結晶を製造する場合、粉末状または粒状のフッ化カルシウムの原料を一度融解した後に固化させる前処理工程により多結晶バルクからなる前処理品を作製し、これを結晶育成工程で再び融解して単結晶を製造するのが一般的である(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
化合物単結晶の工業的な育成方法としては、ブリッジマン法(一般に垂直型の炉を使用するため垂直ブリッジマン法と呼ばれ、ストックバーガー法またはルツボ降下法とも称される)が広く用いられている。粉末原料を融解して前処理品を作製する前処理工程、及びブリッジマン法により単結晶を育成する結晶育成工程を含む、フッ化カルシウム結晶の製造を例に挙げて、化合物結晶の従来の製造方法及びこの製法に用いる製造装置について、図3を参照して説明する。第1構成例のフッ化物結晶の製造方法は、前処理用ルツボ110、前処理炉120、結晶育成用ルツボ115、結晶育成炉130、及び図示省略する制御装置などが用いられる。
フッ化カルシウム粉末原料を融解して前処理品を作製する前処理行程は、図3(a)に示す前処理用ルツボ110と、図3(b)に示す前処理炉120とを用いて行われる。前処理用ルツボ110は、円錐状の底部110a及び底部110aと繋がって上方に延びる円筒状の筒部110bからなり、上方は開放された状態に構成される。前処理用ルツボ110は、粉末原料を大量に充填するため、筒部110bの上下方向寸法が比較的大きい大容積のルツボとなっている。
前処理炉120は、炉の基体をなすベースプレート121、ベースプレート121に対して昇降することで開閉可能に設けられ、閉鎖状態でベースプレートとともに真空容器を形成するベルジャー125、前処理用ルツボ110を支持するルツボ支持部材122、前処理用ルツボ110の周囲を囲むようにベルジャー125の内部に設けられたヒーター126、ベルジャー125の内側を覆う断熱材127、前処理炉120内を真空排気する真空装置(不図示)などから構成される。
前処理行程は、まず図3(a)に示すように、前処理用ルツボ110にフッ化カルシウムの原料粉末とスカベンジャーとを混合した化合物粉末原料Ppを充填する。次に、図3(b)に示すように、粉末原料Ppが充填された前処理用ルツボ110をルツボ支持部材122に支持させ、ベルジャー125を降下させてベースプレート121に密着させることで閉鎖する。ベースプレート121とベルジャー125とにより形成される真空容器内を真空装置により排気し、10-3〜10-4Pa程度の真空度に保持する。その状態でヒーター126により真空容器内を加熱し、真空容器内の温度をフッ化カルシウムの融点より高い1370〜1450℃の温度範囲まで昇温して粉末原料Ppを融解させた後、真空容器内の温度を室温まで下げて融解物を固化させる。これにより、フッ化カルシウムの多結晶バルクからなる前処理品Pbが作製される。
次に、上記前処理行程で作製された前処理品Pbを前処理用ルツボ110から取り出し、図3(c)に示すように、結晶育成用ルツボ115に入れ替える。結晶育成用ルツボ115も、円錐状の底部115a及び底部115aと繋がって上方に延びる円筒状の筒部115bからなる上方が開放された状態となっている。筒部115bの直径は前処理用ルツボの筒部110bよりもやや大きい。結晶育成工程は、前処理工程により融解、固化されてバルク状態になった多結晶フッ化カルシウムを再融解して単結晶化する工程である。この工程では、多結晶バルクから単結晶になる際の体積変化量は小さい。そのため、結晶育成用ルツボ115は、筒部115bの上下方向寸法は比較的小さく、前処理品Pbを収容可能な程度の小容積のルツボとなっている。
結晶育成工程は、上記の結晶育成用ルツボ115と、図3(d)に示す結晶育成炉130とを用いて行われる。結晶育成炉130は、炉の基体をなすベースプレート131、ベースプレート131に対して昇降することで開閉可能に設けられ、閉鎖状態でベースプレートとともに真空容器を形成するベルジャー135、結晶育成用ルツボ115を支持するルツボ支持部材132、ルツボ支持部材132を昇降することにより結晶育成用ルツボ115を上下移動させる昇降駆動機構133、結晶育成用ルツボ115の周囲を取り囲むようにベルジャー135の内部に設けられた上部ヒーター136a及び下部ヒーター136b、ベルジャー135の内側を覆う断熱材137、上部ヒーター136aと下部ヒーター136bとの間に設けられ真空容器内を高温側炉室130aと低温側炉室130bとに分ける仕切り断熱材138、真空容器内を真空排気する真空装置(不図示)などから構成される。
図3(c)を参照して説明した入れ替え作業によって、前処理用ルツボから入れ替えられた前処理品Pbが収容された結晶育成用ルツボ115を、ルツボ支持部材132に支持させる。ベルジャー135を降下させてベースプレート131に密着させることでベルジャー135内部を閉鎖して、ベースプレート131とベルジャー135とにより形成される真空容器内を、真空装置により排気し、10-3〜10-4Pa程度の真空度に保持する。このとき、結晶育成用ルツボ115が高温側炉室130aに位置するように昇降駆動機構133で結晶育成用ルツボ115の高さ方向の位置を設定しておく。真空容器内が上記の真空度に到達したら上部ヒーター136aにより真空容器内を加熱し、真空容器内の温度をフッ化カルシウムの融点より高い1370〜1450℃の温度範囲まで昇温して前処理品Pbを融解する。次に、低温側炉室130bに向けて、昇降駆動機構133により結晶育成用ルツボ115を0.1〜5mm/h程度の速度で引き下げ、結晶育成用ルツボ115の下部から徐々に結晶Pcを育成させる。この時、下部ヒーター136bは上部ヒーター136aよりも低温に設定しておく。融解状態だったフッ化カルシウムの最上部まで結晶化したところで結晶育成を終了する。
以上の説明では、フッ化カルシウム結晶の製造を例に挙げて、化合物結晶の従来の製造方法における第1構成例として、前処理用ルツボ110に充填した粉末原料Ppを前処理炉120により融解した後に固化して前処理品Pbを作製し、このように作製された前処理品Pbを結晶育成用ルツボ115に入れ替えて、結晶育成炉130により再び融解した後に固化することで結晶育成させる手法を例示した。次に、再びフッ化カルシウム結晶の製造を例に挙げて、化合物結晶の従来の製造方法における第2構成例として、前処理品Pbの入れ替え作業を行わない手法について、図4を参照して説明する。
なお、本構成例においては、結晶育成用ルツボ215は、上記の前処理用ルツボ110の大きさと同程度の比較的大型のものであり、また、結晶育成炉230は、結晶育成用ルツボ215の大きさに合わせて大型のものである。ただし、前処理炉と結晶育成炉については、基本的構成は上述の第1構成例と同様である。そこで、同様部分には同一番号を付して重複説明を省略し、相違する部分について簡潔に説明する。本構成例のフッ化カルシウム結晶の製造装置は、前処理炉120、結晶育成用ルツボ215、結晶育成炉230、及び図示省略する制御装置などから構成される。
本構成例の製造方法では、前処理を行う際に前処理専用のルツボは用いず、結晶育成用ルツボ215に粉末原料を充填して融解した後に固化して前処理品を作製する。結晶育成用ルツボ215は、前述した結晶育成用ルツボ115と同様に、円錐状の底部215a及び底部215aと繋がって上方に延びる円筒状の筒部215bからなる上方が開放された状態に構成される。上記の通り、原料粉末はかさ密度が小さく、結晶育成用ルツボ115と同程度の容積では十分な大きさの単結晶を育成することができない。そのため、結晶育成用ルツボ215は、筒部215bの上下方向寸法が結晶育成用ルツボ115の筒部115bより長く、前処理用ルツボ110と同等の容積を有する大容積ルツボとして構成される。
図4(b)に示す前処理工程は、図3(b)を参照して説明した前処理工程と同様に行われる。すなわち、粉末原料Ppが充填された結晶育成用ルツボ215をルツボ支持部材122に支持させてベルジャー125をベースプレート121に密着させることで閉鎖し、ベースプレート121とベルジャー125とにより形成される真空容器内を真空排気して所定の真空度まで減圧する。所定の真空度に到達したら、ヒーター126により真空容器内を加熱し、真空容器内の温度をフッ化カルシウムの融点より高い温度まで昇温する。粉末原料Ppを融解させた後、真空容器内の温度を室温まで下げて固化させ、フッ化カルシウムの多結晶バルクからなる前処理品Pbを作製する。
次に、前処理品Pbを内部に有する結晶育成用ルツボ215を前処理炉120から取り出し、図4(c)に示した結晶育成炉230内のルツボ支持部材132に支持させる。結晶育成炉230は結晶育成用ルツボ215の大きさに合わせた大型のものである。なお、前処理工程で得られる前処理品Pbの体積(前処理品Pbの上面高さ)は前述した第1構成例における前処理品の体積と同程度である。そのため、結晶育成炉230において、仕切り断熱材138よりも上方の高温側炉室230aの容積は仕切り断熱材138よりも下方の低温側130bの容積より大きく、ベルジャー235は第1構成例における結晶育成炉230のベルジャー125より更に大きく、上部ヒーター236a及び断熱材237も大型である。
図4(c)に示す結晶育成工程は、図3(d)を参照して説明した結晶育成工程と同様に行われる。すなわち、固化した前処理品Pbを内部に有する結晶育成用ルツボ215をルツボ支持部材132に支持させて、ベルジャー235をベースプレート131に密着させることで閉鎖する。ベースプレート131とベルジャー235とにより形成される真空容器内を真空排気して所定の真空度まで減圧する。このとき、結晶育成用ルツボ215全体が高温側炉室230aに位置するように昇降駆動機構133により結晶育成用ルツボ215の高さ方向の位置を設定しておく。真空容器内が所定の真空度に到達したら、上部ヒーター236aにより加熱し、真空容器内の温度をフッ化カルシウムの融点以上まで昇温して前処理品Pbを融解する。次に、低温側炉室130bに向けて、昇降駆動機構133により結晶育成用ルツボ215を引き下げ、結晶育成用ルツボ215の下部から徐々に結晶Pcを育成させる。このとき、下部ヒーター136bは上部ヒーター236aよりも低い温度に設定しておく。融解状態だったフッ化カルシウムの最上部まで結晶化したところで結晶育成を終了する。
日本国特許第4569872号 日本国特開2002−308694号公報
上記説明のような従来の化合物結晶の製造方法及び製造装置には、以下のような課題があった。まず、図3を参照して説明した第1構成例の製造方法では、前処理工程と結晶育成工程との間で、前処理品を前処理用ルツボから結晶育成用ルツボに入れ替える入れ替え作業が必要であった(図3(c)を参照)。このような入れ替え作業は、作業工数の発生により製造コストを上昇させることに加え、入れ替え作業時に金属不純物の混入や酸素の吸蔵が生じて光学特性の悪化を招くおそれがあった。
一方、図4を参照して説明した第2構成例の製造方法では、前処理品を前処理用ルツボから結晶育成用ルツボに入れ替える入れ替え作業は発生しない。しかしながら、かさ密度の小さい粉末原料を融解して前処理品を作製する前処理工程と結晶育成工程とを同じ結晶育成用ルツボ215を使用することから、大容積の結晶育成用ルツボを用いる必要がある。これに伴って、大型の結晶育成炉を用いる必要がある(図3(d)と図4(c)とを対比して参照)。結晶育成炉の大型化は設備投資を増大させ、製造コストを上昇させるという課題があった。
本発明の第1の態様によると、化合物結晶製造用のルツボであって、粉状または粒状の化合物原料を前処理炉において融解した後に冷却して固化させて化合物結晶の前処理品を作製し、前処理品を結晶育成炉において融解した後に化合物結晶に育成させる化合物結晶の製造に用いられるルツボであって、底部及び底部と繋がる筒部からなる第1部材と、筒部に接続した状態と分離した状態の両方の状態とすることが可能な中空筒状の第2部材とからなり、第1部材に第2部材が接続された状態となって前処理品作製用の大容積ルツボを形成し、第1部材から第2部材が分離された状態となって結晶育成用の小容積ルツボを形成するように構成されている。
本発明の第2の態様によると、第1の態様の化合物結晶製造用のルツボであって、化合物はフッ化物であることが好ましい。
本発明の第3の態様によると、化合物結晶の製造装置であって、真空容器と、真空容器の内部でルツボを支持するルツボ支持部材と、真空容器の内部に設けられたヒーターとからなり、ルツボは、底部と、底部と繋がる筒部からなる第1部材と、第1部材の筒部に接続した状態と分離した状態の両方の状態とすることが可能な中空筒状の第2部材とからなり、ルツボ支持部は、ルツボの第2部材が第1部材に接続された状態で前記ルツボを支持するように構成されている。
本発明の第4の態様によると、第3の態様の化合物結晶の製造装置であって、化合物はフッ化物であることが好ましい。
本発明の第5の態様によると、化合物結晶の製造装置であって、真空容器と、真空容器の内部でルツボを支持するルツボ支持部材と、ルツボ支持部材を昇降することによりルツボを上下方向に移動させる昇降駆動機構と、真空容器の内部に設けられた上部ヒーターおよび下部ヒーターとからなり、ルツボは、底部と、底部と繋がる筒部からなる第1部材と、第1部材の筒部に接続した状態と分離した状態の両方の状態とすることが可能な中空筒状の第2部材とからなり、ルツボ支持部は、ルツボの第2部材が第1部材から分離された状態でルツボの第1部材を支持するように構成されている。
本発明の第6の態様によると、第5の態様の化合物結晶の製造装置であって、化合物はフッ化物であることが好ましい。
本発明の第7の態様によると、ルツボを用いた化合物結晶の製造方法であって、ルツボは、底部及び底部と繋がる筒部からなる第1部材と、筒部に接続した状態と分離した状態の両方の状態とすることが可能な中空筒状の第2部材とからなり、第1部材に第2部材が固定された状態で、ルツボ内に粉状または粒状の化合物原料を充填し、融解した後に固化することにより化合物結晶の前処理品を第1部材内部に形成する前処理工程と、化合物結晶の前処理品が第1部材内部に形成された状態で、第2部材を第1部材から分離するルツボ分離工程と、第1部材内部に形成された化合物前処理品を融解した後に固化して化合物の結晶を育成させる結晶育成工程と、からなるように構成されている。
本発明の第8の態様によると、第7の態様のルツボを用いた化合物結晶の製造方法であって、化合物はフッ化物であることが好ましい。
本発明は、以上説明したように構成しているので、次のような効果を奏する。化合物の単結晶を育成する結晶育成工程との間で、前処理品の入れ替え作業を行う必要が無いので、その分、製造コストを低減できると同時に、入れ替え作業に伴う金属不純物の混入等を抑制して高品質の化合物単結晶を得ることができる。また、結晶育成工程では小容積状態のルツボを用いることができるため、小型の結晶育成炉を用いることができるため、この点でも設備投資を抑制して製造コストを低減することができる。
図1は、本発明の態様として例示する化合物結晶製造用のルツボ、化合物結晶の製造装置及び製造方法を説明するための模式的な説明図である。 図2は、上記ルツボにおける接続部の構成例を示す模式図である。 図3は、従来の第1構成例の化合物結晶の製造装置及び製造方法を説明するための模式的な説明図である。 図4は、従来の第2構成例の化合物結晶の製造装置及び製造方法を説明するための模式的な説明図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の態様をフッ化カルシウム単結晶の製造を例に挙げて、その製造装置及び製造方法を説明するための模式的な説明図である。
本態様におけるフッ化カルシウム単結晶の製造には、ルツボ10、前処理炉20、結晶育成炉30、及び図示省略する制御装置などを用いる。ルツボ10は、図1(a)に示すように、底部11a及び底部と繋がって上方に延びる円筒状の筒部11bからなる第1部材11と、第1部材の筒部11bに固定した状態と分離した状態の両方の状態とすることが可能な中空円筒状の第2部材12とから構成される。ルツボ10を構成する第1部材11及び第2部材12は、前処理炉20及び結晶育成炉30の内部における高温状態に耐えると同時に、融解したフッ化カルシウムに金属不純物等が溶出しないような材質、例えば等方性黒鉛等を用いて製作される。
第1部材11における筒部11bの上端部、及び第2部材12における筒部12bの下端部には、互いに着脱可能に接続し、接続時に一体の筒部を形成するように構成された接続構造15が設けられている。図2に接続構造15の構成例151,152,153を示す。
図2(a)に示す第1構成例の接続構造151は、雄ねじと雌ねじの一対1511,1512により着脱可能な接続構造を構成した例である。図2(a)の上側に示すように、第1部材11における筒部11bの上端部には外周面に雄ねじ1511が形成されており、第2部材12における筒部12bの下端部には、内周面に雄ねじ1511と螺合する雌ねじ1512が形成されている。このような構成により、図2(a)の下側に示すように、雄ねじ1511に雌ねじ1512を螺合して第1部材11と第2部材12とを接続したときに、両者が一体となって前処理品作製用の大容積ルツボが形成される。また、雄ねじ1511と雌ねじ1512との螺合を解除し、第1部材11と第2部材12とを分離したときに、第1部材11により結晶育成用の小容積ルツボが形成される。なお、第1部材11側に雄ねじ1511、第2部材12側に雌ねじ1512を形成した構成を例示したが、雄ねじと雌ねじの組み合わせは逆(第1部材11側が雌ねじ1512)であっても良い。
図2(b)に示す第2構成例の接続構造152は、一対のテーパーフランジ1521,1522とクランプ1525とにより着脱可能な接続構造を構成した例である。図2(b)の上側に示すように、第1部材11における筒部11bの上端部、及び第2部材12における筒部12bの下端部には、それぞれ外周側の面がテーパ状のテーパーフランジ1521,1522が形成されている。クランプ1525には内周部にテーパーフランジ1521,1522と面接触するテーパ面が形成されている。このような構成により、図2(b)の下側に示すように、第1部材のテーパーフランジ1521と第2部材のテーパーフランジ1522とを接触させた状態で、それらの外周からクランプ1525を巻き付けて締め込む(クランプの直径を縮小させる)ことにより第1部材11と第2部材12とが接続され、両者が一体となって前処理品作製用の大容積ルツボが形成される。また、クランプ1525を取り外し、テーパーフランジ1521及び1522の接続を解除して第1部材11と第2部材12とを分離すると、第1部材11により結晶育成用の小容積ルツボが形成される。
図2(c)に示す第3構成例の接続構造153は、一対のフランジ1531,1532とボルト及びナットからなる締結具1535とにより着脱可能な接続構造を構成した例である。図2(c)の上側に示すように、第1部材11における筒部11bの上端部、及び第2部材12における筒部12bの下端部には、それぞれ円盤状のフランジ1531,1532が形成されている。フランジ1531,1532には、各々所定ピッチでボルトを挿通するための穴が形成されている。そのため、図2(c)の下側に示すように、第1部材のフランジ1531と第2部材のフランジ1532とを接触させた状態で穴を位置合わせし、ボルトを挿通してナットを締め込むことにより、第1部材11と第2部材12とが接続され、両者が一体となって前処理品作製用の大容積ルツボが形成される。また、締結具1535を取り外し、フランジ1531及び1532の接続を解除して第1部材11と第2部材12とを分離すると、第1部材11により結晶育成用の小容積ルツボが形成される。
このように、ルツボ10は、接続機構15(151,152,153)を利用して、第1部材11と第2部材12とを接続したときに両者が一体となって前処理品作製用の大容積ルツボが形成され、第1部材11と第2部材12との接続を解除して分離したときに第1部材11により結晶育成用の小容積ルツボを形成するように構成される。第1部材11の直径及び高さは、製造すべきフッ化カルシウム単結晶の大きさに基づいて設定され、第2部材12の高さは、粉末原料を融解、固化したときの前処理品の体積が第1部材11の容積よりも大きくならないように設定される。以降では、第1部材11と第2部材12とが接続された大容積状態のルツボ10と、第1部材11から第2部材12が分離されて小容積状態のルツボ10とを識別するときに、大容積状態のルツボ10をルツボ10L、小容積状態のルツボ10をルツボ10Sと表記する。
前処理炉20は、図1(b)に示すように、前処理炉20の基体をなすベースプレート21、ベースプレート21に対して昇降することで開閉可能に設けられ、閉鎖状態でベースプレートとともに真空容器を構成するベルジャー25、ルツボ10Lを支持するルツボ支持部材22、前処理炉20内を排気し所定の真空度に維持する真空装置(不図示)などを備える。ベルジャー25の内部には、ルツボ10Lの周囲を囲む位置にヒーター26が設けられ、その外側にベルジャー内面を覆う断熱材27が設けられている。
ベースプレート21及びベルジャー25は、高温高真空状態でアウトガスが少なく、また、前処理炉20内で発生する可能性がある反応性ガスに対して耐食性を有することが求められる。そのため、ベースプレート21及びベルジャー25はこれらの特性を備えたステンレス鋼で製作される。ベルジャー25の大きさ(前処理炉20の容積)は、第1部材11と第2部材12とを接続した大容積状態のルツボ10Lを収容可能とされ、大容積状態のルツボ10Lに充填された粉末原料Ppを効率的に融解して前処理品が作製できるサイズとなるように、直径及び高さが設定されている。
ルツボ支持部材22は、ルツボ10Lとともにフッ化カルシウムの融点以上まで昇温される。そのため、ルツボ支持部材22は、前処理炉20内での高温状態に耐えると同時に、融解したフッ化カルシウムに金属不純物等が混入しないような材質、例えばルツボと同様の等方性黒鉛により構成される。ヒーター26は、フッ化カルシウムの融点以上まで昇温可能なものが用いられ、図示省略する制御装置によって温度制御される。ヒーターの制御系は温度センサ、温度調節器、電力制御器などから構成される。
結晶育成炉30は、図1(d)に示すように、結晶育成炉30の基体をなすベースプレート31、ベースプレート31に対して昇降することで開閉可能に設けられ閉鎖状態でベースプレートとともに真空容器を形成するベルジャー35、ルツボ10Sを支持するルツボ支持部材32、ルツボ支持部材32を昇降することによりルツボ10Sを上下移動させる昇降駆動機構33、結晶育成30内を排気し所定の真空度に維持する真空装置(不図示)などから構成される。ベルジャー35には、結晶育成炉30内を高温側炉室30aと低温側炉室30bとに分ける仕切り断熱材38が設けられ、上方の高温側炉室30aに上部ヒーター36a、下方の低温側炉室30bに下部ヒーター36bが、それぞれルツボ10Sの周囲を取り囲む位置に設けられている。また、上部ヒーター36a、下部ヒーター36bの外側には、ベルジャー32の内面を覆う断熱材37が設けられている。
前処理炉20と同様に、結晶育成炉30も内部が高温高真空の状態に曝される。そのため、ベースプレート31及びベルジャー35は、高温高真空状態でアウトガスが少なく、結晶育成炉30内で発生し得る反応性ガスに対して一定の耐食性を有する材質、例えばこれらの特性を備えたステンレス鋼により製作される。ベルジャー35の大きさ(結晶育成炉30の容積)は、第1部材11から第2部材12を分離した小容積状態のルツボ10Sを収容し、小容積状態のルツボ10S内で前処理品Pbを効率的に融解し、垂直ブリッジマン法により単結晶を育成できるようなサイズとなるように、直径及び高さが設定されている。
ルツボ支持部材32は、上部がルツボ10Sとともにフッ化カルシウムの融点以上まで昇温される。そのため、ルツボ支持部材32は、少なくとも支持部材32の上部が、結晶育成炉30内での高温状態に耐えると同時に、融解したフッ化カルシウムに金属不純物等が混入しないような材質、例えばルツボと同様の等方性黒鉛により構成される。ヒーター26は、フッ化カルシウムの融点以上まで昇温可能なものが用いられ、図示省略する制御装置によって温度制御される。ヒーターの制御系は温度センサ、温度調節器、電力制御器などから構成される。
次に、フッ化カルシウム単結晶の製造方法について説明する。この製造方法は、図1(a)に示す粉末原料の充填工程I、図1(b)に示す前処理工程II、図1(c)に示す第2部材の分離工程III、及び同図(d)に示す結晶育成工程IVを有して構成される。
粉末原料の充填工程Iでは、ルツボ10は、第1部材11と第2部材12とが接続された大容積状態のルツボ10Lとされた状態で、フッ化カルシウムの原料粉末とスカベンジャーとを混合した粉末原料Ppが充填される。フッ化カルシウムの原料粉末としては、化学的に合成された粒径0.1μm〜5mm程度の高純度のフッ化カルシウム粉末が用いられる。粉末原料の充填量は、融解した後に固化した前処理品の体積が、小容積状態のルツボ10Sの容積よりも大きくならないように、フッ化カルシウム単結晶の密度から算出した重量とする。スカベンジャーは、原料中に不純物として含まれる元素をフッ素に置換すると共に、置換された不純物元素を揮発性の化合物として除去する作用を持つ。スカベンジャーとしては、フッ化鉛(PbF2)や四フッ化炭素(CF4)などのフッ素化剤が用いられる。例えば、フッ化カルシウムの原料粉末にフッ化鉛を添加して前処理炉で加熱して融解すると、原料粉末に不純物として含まれる酸化カルシウム(CaO)の酸素を、揮発性の酸化鉛(PbO)として除去することができる。
前処理行程IIでは、前処理炉20により粉末原料Ppが融解された後に冷却により固化され、フッ化カルシウム多結晶のバルクからなる前処理品Pbが作製される。まず、粉末原料Ppが充填されたルツボ10Lをルツボ支持部材22により支持させ、ベルジャー25を閉鎖して真空装置により排気し、前処理炉20内を10-3Paより低い真空度(好ましくは10-4Pa以下の真空度)に保持する。次いで、ヒーター26により加熱して前処理炉20内の温度をフッ化カルシウムの融点より高い1370〜1450℃の温度範囲まで昇温する。粉末原料Ppが融解したらヒーター26をオフにして冷却し固化させる。これにより、粉末原料中に含まれていた不純物元素が揮発性の化合物として除去され、ルツボ内には高純度のフッ化カルシウムの多結晶バルクからなる前処理品Pbが作製される。
第2部材の分離工程IIIでは、前処理炉20から取り出したルツボ10L内で固化した前処理品Pbをそのまま保持した状態で、大容積状態のルツボ10Lから小容積状態のルツボ10Sに変化させる。すなわち、第1部材11と第2部材12との接続構造15を解除することで、第1部材11から第2部材12を分離し、小容積状態のルツボ10Sに変化させる。
結晶育成工程IVでは、ブリッジマン法により、結晶育成炉30により前処理品Pbが融解され、フッ化カルシウムの単結晶が製造される。まず、第2部材12が取り外されて高さが低くなったルツボ10Sを、結晶育成炉30の支持部材32に支持させ、ベルジャー35を閉鎖して結晶育成炉30内を真空装置により排気し、結晶育成炉30内を10-3Paよりも低い真空度(好ましくは10-4Pa以下の真空度)に保持する。このとき、ルツボ10Sが高温側炉室30aに位置するように昇降駆動機構33でルツボ10Sの高さ方向の位置を設定しておく。上部ヒーター36a及び下部ヒーター36bにより、高温側炉室30aの温度はフッ化カルシウムの融点より高い1370〜1450℃の温度範囲に、低温側炉室30bの温度はフッ化カルシウムの融点よりやや低い温度範囲に保持する。上部ヒーター36a及び下部ヒーター36bに供給する電力を制御しながら、高温側炉室30aで融解された前処理品は、昇降駆動機構33によりルツボ10Sを0.1〜5mm/h程度の速度で低温側炉室30bに引き下げることにより、ルツボ10Sの下部から徐々にフッ化カルシウム単結晶が育成され、最上部まで単結晶が育成される。このようにしてフッ化カルシウム単結晶Pcを得ることができる。
(実施例)
次に、実施例として、フッ化カルシウム単結晶の製造について説明する。純度99.0%以上の高純度フッ化カルシウム原料粉末に、スカベンジャーとしてフッ化鉛(PbF2)を混合して粉末原料Ppを調製した。そして、この粉末原料Ppを第1部材11と第2部材12が接続された大容積状態のルツボ10Lに充填した(図1(a)、粉末原料の充填工程I)。
次に、粉末原料Ppが充填されたルツボ10Lを前処理炉20内に設置した後、前処理炉20内を真空装置により排気し、10-4Pa以下の真空度とした。この状態でヒーター26により前処理炉20内の温度を850℃まで昇温して8時間保持し、フッ化カルシウム原料粉末内の不純物とスカベンジャーとの反応を進行させた。次いで、前処理炉20内の温度を1400℃まで昇温してその状態に保持し、粉末原料Ppを融解させた後、前処理炉20内の温度を室温まで徐々に降下させて融解物を固化させ、フッ化カルシウム多結晶体である前処理品Pbを得た(図1(b)、前処理工程II)。
次に、前処理炉20からルツボ10Lを取出した後、ルツボの第1部材11と第2部材12との接続状態を解除することで、第1部材11から第2部材12を分離して、ルツボ上部の第2部材12を取り外し、ルツボを前処理品Pbが入った小容積状態のルツボ10Sに変化させた(図1(c)、第2部材の分離工程III)。
次に、前処理品Pbが入ったルツボ10Sを結晶育成炉30内の高温側炉室30aに配置して真空装置により排気し、結晶育成炉30内を10-4Pa以下の真空度とした。この状態で、上部ヒーター36a及び下部ヒーター36bにより、高温側炉室30aの温度を1410℃まで徐々に昇温してルツボ内の前処理品Pbを完全に融解した。次いで、上部ヒーター36a及び下部ヒーター36bのヒーター電力を制御しながら、0.5mm/hr程度の速度でルツボ10Sを低温側炉室30bに引き下げて、ルツボ10Sの下部から徐々にフッ化カルシウム単結晶を育成させ、フッ化カルシウム単結晶インゴットPcを得た(図1(d)、結晶育成工程IV)。
ルツボ10Sから取り出したフッ化カルシウム単結晶インゴットには大きな残留応力が存在するため、インゴットが割れない程度のアニールを実施して残留応力を低減し、その後、結晶育成炉30からルツボ10Sを取り出してフッ化カルシウム単結晶インゴットPcを得た(熱処理工程は不図示、)。
こうして得られたフッ化カルシウム単結晶インゴットから切り出したテストピースに波長193nmの深紫外レーザ光を照射して、内部透過率の変化等を測定した。その結果、良好な深紫外レーザ耐久性能を持つことが確認された。
以上説明した通り、本発明の化合物結晶製造用のルツボ、化合物結晶の製造装置及び化合物結晶の製造方法によれば、化合物の原料粉末を融解した後に固化する前処理工程と、化合物の単結晶を育成する結晶育成工程との間で、前処理品の入れ替え作業を行う必要が無い。また、結晶育成工程では第2部材を取り外して小容積状態のルツボを結晶育成炉に設置できるため、比較的小型の結晶育成炉で化合物単結晶を製造することができる。従って、本発明によれば、単体では取り扱いが煩雑な前処理品の入れ替え作業を省略でき、製造コストを低減できることができると同時に、入れ替え作業に伴う金属不純物の混入等を抑制して高品質の化合物単結晶を得ることができる。また、結晶育成炉は比較的小型のものを使用できるため、設備投資を抑制して化合物単結晶製品の製造コストを低減することができる。
なお、以上説明した実施形態では、第1部材11及び第2部材12からなるルツボ10が円筒状である場合を例示したが、ルツボの断面形状は四角形あるいは多角形の角筒状や楕円形の楕円筒状であっても良い。また、本発明の実施の形態においては、紫外領域用の光学素子用として用いられるフッ化物単結晶の代表例としてフッ化カルシウム単結晶を例示したが、本発明はフッ化カルシウム単結晶に限定されるものではなく、例えば、結晶構造がフッ化カルシウムと同じ立方晶系に属し性質が類似するフッ化バリウム(BaF2)やフッ化ストロンチウム(SrF2)についても同様に適用可能で、同様の効果を得ることができる。
また、以上説明した実施形態では、真空容器としてベースプレート及びベルジャーから構成されるものを例示したが、本発明の実施において真空容器の形状や材質に特に制限は無く、所望の温度および真空度を実現可能な構成であれば問題なく使用することができる。
更に、本発明の化合物結晶製造用のルツボ、化合物結晶の製造装置及び化合物結晶の製造方法の対象は、フッ化物結晶に限られず、サファイア(α-Al)等の酸化物結晶も本発明の対象に含まれる。なお、サファイアを製造する場合は、ルツボの材料はタングステン、モリブデン、あるいはタングステン・モリブデン合金とすることが好ましく、前処理炉及び結晶育成炉の内部は真空排気ではなく、アルゴン等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
上記の通り、種々の実施の形態を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2011年第163031号(2011年7月26日出願)

Claims (8)

  1. 化合物結晶製造用のルツボであって、
    粉状または粒状の化合物原料を前処理炉において融解した後に冷却して固化させて化合物結晶の前処理品を作製し、前記前処理品を結晶育成炉において融解した後に化合物結晶に育成させる化合物結晶の製造に用いられるルツボであって、
    底部及び前記底部と繋がる筒部からなる第1部材と、前記筒部に接続した状態と分離した状態の両方の状態とすることが可能な中空筒状の第2部材とからなり、
    前記第1部材に前記第2部材が接続された状態となって前処理品作製用の大容積ルツボを形成し、前記第1部材から前記第2部材が分離された状態となって結晶育成用の小容積ルツボを形成するように構成した化合物結晶製造用のルツボ。
  2. 請求項1に記載の化合物結晶製造用のルツボであって、前記化合物はフッ化物である。
  3. 化合物結晶の製造装置であって、
    真空容器と、前記真空容器の内部でルツボを支持するルツボ支持部材と、前記真空容器の内部に設けられたヒーターとからなり、
    前記ルツボは、底部と前記底部と繋がる筒部からなる第1部材と、前記第1部材の前記筒部に接続した状態と分離した状態の両方の状態とすることが可能な中空筒状の第2部材とからなり、
    前記ルツボ支持部は、前記ルツボの前記第2部材が前記第1部材に接続された状態で前記ルツボを支持するように構成した化合物結晶の製造装置。
  4. 請求項3に記載の化合物結晶の製造装置であって、前記化合物結晶はフッ化物結晶である。
  5. 化合物結晶の製造装置であって、
    真空容器と、前記真空容器の内部でルツボを支持するルツボ支持部材と、前記ルツボ支持部材を昇降することにより前記ルツボを上下方向に移動させる昇降駆動機構と、前記真空容器の内部に設けられた上部ヒーターおよび下部ヒーターとからなり、
    前記ルツボは、底部と前記底部と繋がる筒部からなる第1部材と、前記第1部材の前記筒部に接続した状態と分離した状態の両方の状態とすることが可能な中空筒状の第2部材とからなり、
    前記ルツボ支持部は、前記ルツボの前記第2部材が前記第1部材から分離された状態で前記ルツボの前記第1部材を支持するように構成した化合物結晶の製造装置。
  6. 請求項5に記載の化合物結晶の製造装置であって、前記化合物はフッ化物である。
  7. ルツボを用いた化合物結晶の製造方法であって、
    前記ルツボは、底部及び前記底部と繋がる筒部からなる第1部材と、前記筒部に接続した状態と分離した状態の両方の状態とすることが可能な中空筒状の第2部材とからなり、
    前記第1部材に前記第2部材が固定された状態で、前記ルツボ内に前記粉状または粒状の化合物原料を充填し、融解した後に固化することにより前記化合物結晶の前処理品を前記第1部材内部に形成する前処理工程と、
    前記化合物結晶の前処理品が前記第1部材内部に形成された状態で、前記第2部材を前記第1部材から分離するルツボ分離工程と、
    前記第1部材内部に形成された前記化合物前処理品を融解した後に固化して前記化合物の結晶を育成させる結晶育成工程と、からなるルツボを用いた化合物結晶の製造方法。
  8. 請求項7に記載のルツボを用いた化合物結晶の製造方法であって、前記化合物はフッ化物である。
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