JPH10265300A - 蛍石単結晶の熱処理装置および熱処理方法 - Google Patents

蛍石単結晶の熱処理装置および熱処理方法

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JPH10265300A
JPH10265300A JP9070983A JP7098397A JPH10265300A JP H10265300 A JPH10265300 A JP H10265300A JP 9070983 A JP9070983 A JP 9070983A JP 7098397 A JP7098397 A JP 7098397A JP H10265300 A JPH10265300 A JP H10265300A
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container
single crystal
fluorite single
heat treatment
temperature
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JP9070983A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Mizugaki
勉 水垣
Ikuo Kitamura
郁夫 北村
Shigeru Sakuma
繁 佐久間
Masaki Shiozawa
正樹 塩澤
Shuichi Takano
修一 高野
Hidemi Nishikawa
秀美 西川
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OYO KOKEN KOGYO KK
Nikon Corp
Original Assignee
OYO KOKEN KOGYO KK
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高精度な光学系に使用できる蛍石単結晶を得
るための、熱処理装置および熱処理方法を提供するこ
と。 【解決手段】 少なくとも、蛍石単結晶を収納した後に
密閉されて真空排気される気密化可能な容器2を有し、
この容器2の外側周辺の側部(または側方)、底部(ま
たは下方)、及び上部(天端部または上方)に、それぞ
れ独立に温度制御が可能なヒーター3、4、5、8、9
を備えた蛍石単結晶の熱処理装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍石単結晶の熱処
理装置および熱処理方法に関するものであり、特にエキ
シマレーザーステッパーの光学系を構成する、高精度な
結像性能が要求されるレンズやプリズム等に有用な蛍石
単結晶を得るのに好適な熱処理装置および熱処理方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ウエハ上に集積回路パターンを描
画するリソグラフィー技術が急速に発展している。集積
回路の高集積化の要求は高まるばかりであり、その実現
のためには、ステッパー投影レンズの解像力を上げてや
る必要がある。投影レンズの解像力は、使用する光の波
長と投影レンズのNA(開口数)により支配され、解像
力を上げるためには使用する光の波長をより短くし、投
影レンズのNAをより大きく(大口径化)してやれば良
い。
【0003】まず、光の短波長化について述べる。ステ
ッパーに使用する波長は、すでにg線(波長436n
m)、i線(波長365nm)と進んできているが、今後
さらに波長の短いKrFエキシマレーザー光(波長24
8nm)、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)等
になると、光学系に光学ガラスを使用することは、透過
率から考慮すると、もはや不可能である。
【0004】このため、エキシマレーザーステッパーの
光学系には、石英ガラスまたは蛍石を使用するのが一般
的となっている。次に大口径化について述べる。これは
単に大口径であれば良いというだけでなく、エキシマレ
ーザーステッパーの光学系に用いる光学材料としては、
蛍石においては単結晶であることが要求される。
【0005】また、ステッパーの高性能化にともない、
最近になって口径φ150 mm〜φ250mm程度の大口径の蛍
石単結晶が要求されるようになってきた。ここで、以下
に従来の蛍石単結晶の製造方法を示す。蛍石単結晶は、
ブリッジマン法(ストックバーガー法、ルツボ降下法)
により製造されてきた。紫外ないし真空紫外域で使用さ
れる蛍石単結晶の場合、原料に天然の蛍石を使用するこ
とはなく、化学合成で作られた高純度原料を使用するこ
とが一般的である。
【0006】原料は粉末のまま使用することが可能であ
るが、この場合、熔融したときの体積減少が激しいた
め、半熔融品やその粉砕品を用いるのが普通である。ま
ず、育成装置の中に前記原料を充填したルツボを置き、
育成装置内を10-3〜10-4Paの真空雰囲気に保つ。
【0007】次に、育成装置内の温度を蛍石の融点以上
(1370℃〜1450℃)まで上げて原料を熔融する。この
際、育成装置内温度の時間的変動を抑えるために、定電
力出力による制御または高精度なPID制御を行う。結
晶育成段階では、0.1 〜5mm/h 程度の速度でルツボを引
き下げることによりルツボの下部から徐々に結晶化させ
る。
【0008】融液最上部まで結晶化したところで結晶育
成は終了し、育成した結晶(インゴット)が割れないよ
うに、急冷を避けて簡単な徐冷を行う。育成装置内温度
が室温程度まで下がったところで、装置を大気開放して
インゴットを取り出す。取り出したインゴットは、残留
応力と歪が非常に大きいため、インゴットのままで簡単
な熱処理を行う。
【0009】このようにして得られた蛍石単結晶は、目
的の製品別に適当な大きさに切断加工される。そして、
切断された蛍石単結晶は、アニール(熱処理)装置内で
熱処理される。この熱処理装置は均熱性能を向上させる
ため、側面に複数の発熱体が設けられた構造を有してい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来技術にかかる、適当な大きさに切断した蛍石単結晶に
実施する熱処理では、エキシマレーザーステッパーのよ
うに高精度な光学系に使用できる歪の良好な(許容範囲
内にある低歪の)蛍石単結晶は得られないという問題点
があった。
【0011】特に、蛍石単結晶が大口径化し、体積が増
大すると、歪の除去(低歪化)はさらに困難となるとい
う問題点があった。また、従来の熱処理装置では、気密
化可能な容器の上部開口部分を蛍石単結晶を収納した後
に気密保持するために、ゴム製のOリングが使用されて
おり、このOリングを保護するためには、気密容器の上
部を熱処理炉の外に出し、かつ水冷する必要があった。
【0012】そのため、気密容器上部の温度が低下し
て、容器内温度分布の均一化が阻害されるという問題点
があった。本発明は前記問題点に鑑みてなされたもので
あり、高精度な光学系に使用できる蛍石単結晶を得るた
めの、熱処理装置および熱処理方法を提供することを目
的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明は第一
に「少なくとも、蛍石単結晶を収納した後に密閉されて
真空排気される気密化可能な容器を有し、この容器の外
側周辺の側部(または側方)、底部(または下方)、及
び上部(天端部または上方)に、それぞれ独立に温度制
御が可能なヒーターを備えた蛍石単結晶の熱処理装置
(請求項1)」を提供する。
【0014】また、本発明は第二に「少なくとも、蛍石
単結晶を収納した後に密閉されて真空排気される気密化
可能な容器を有する蛍石単結晶の熱処理装置において、
前記密閉を行うためのシール材に金属製のガスケットを
用いたことを特徴とする蛍石単結晶の熱処理装置(請求
項2)」を提供する。また、本発明は第三に「少なくと
も、蛍石単結晶を収納した後に密閉されて真空排気され
る気密化可能な容器を有し、前記密閉を行うためのシー
ル材に金属製のガスケットが用いられ、前記容器の外側
周辺の側部(または側方)、底部(または下方)、及び
上部(天端部または上方)に、それぞれ独立に温度制御
が可能なヒーターを備えた蛍石単結晶の熱処理装置(請
求項3)」を提供する。
【0015】また、本発明は第四に「前記気密化可能な
容器は、蛍石単結晶の出し入れに用いられる開口部であ
り、蛍石単結晶を収納した後に密閉される開口部を上部
または上端に有し、前記開口部を密閉するシール材に金
属製のガスケットを用いたことを特徴とする請求項2ま
たは3記載の熱処理装置(請求項4)」を提供する。ま
た、本発明は第五に「前記金属製ガスケットの素材とし
て、耐熱性や耐腐食性が高い、ステンレス、インコネ
ル、ワスパロイ、銅の素材またはそれらの素材の表面に
コーティングを施した素材を用いたことを特徴とする請
求項2〜4記載の熱処理装置(請求項5)」を提供す
る。
【0016】また、本発明は第六に「少なくとも、気密
化可能な容器に蛍石単結晶を収納した後、容器を金属製
ガスケットのシール材を用いて密閉する工程と、前記容
器内を真空排気する工程と、前記容器の外側周辺の側部
(または側方)、底部(または下方)、及び上部(天端
部または上方)に設けられた、それぞれ独立に温度制御
が可能なヒーターにより加熱して、容器内温度を蛍石単
結晶の融点よりも低い所定温度まで昇温させる工程と、
前記容器内温度を前記所定温度に所定の時間、保持する
工程と、前記容器内温度を降温する工程と、前記容器内
を大気開放する工程と、を備えた蛍石単結晶の熱処理方
法(請求項6)」を提供する。
【0017】また、本発明は第七に「少なくとも、気密
化可能な第1容器内に蛍石単結晶及びフッ素化剤を収納
した第2容器を設置した後、第1容器を金属製ガスケッ
トのシール材を用いて密閉する工程と、前記第1容器内
を真空排気する工程と、前記第1容器の外側周辺の側部
(または側方)、底部(または下方)、及び上部(天端
部または上方)に設けられた、それぞれ独立に温度制御
が可能なヒーターにより加熱して、第1容器内温度を蛍
石単結晶の融点よりも低い所定温度まで昇温させるとと
もに、前記第2容器内をフッ素雰囲気とする工程と、前
記第1容器内温度を前記所定温度に所定の時間、保持す
る工程と、前記第1容器内温度を降温する工程と、前記
第1容器内を大気開放する工程と、を備えた蛍石単結晶
の熱処理方法(請求項7)」を提供する。
【0018】また、本発明は第八に「前記金属製ガスケ
ットの素材として、耐熱性や耐腐食性が高い、ステンレ
ス、インコネル、ワスパロイ、銅の素材またはそれらの
素材の表面にコーティングを施した素材を用いたことを
特徴とする請求項6または7記載の熱処理方法(請求項
8)」を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明(請求項1)にかかる、気
密化可能な容器を有する蛍石単結晶の熱処理装置は、前
記容器の外側周辺の側部(または側方)、底部(または
下方)、及び上部(天端部または上方)に、それぞれ独
立に温度制御が可能なヒーターを備えているので、容器
内に収納された蛍石単結晶をより均一に熱処理すること
ができる。
【0020】即ち、蛍石単結晶が収納された容器の四方
を取り囲んで設けられた、それぞれ独立に温度制御が可
能な各ヒーターにより容器を加熱することにより、容器
内の温度むらを低減して、その結果、容器内に収納され
た蛍石単結晶をより均一に熱処理することができる。従
って、本発明(請求項1)の熱処理装置を用いて蛍石単
結晶の熱処理を行うことにより、その歪を除去または低
減して、高精度な光学系に使用できる蛍石単結晶を得る
ことができる。
【0021】本発明(請求項2)にかかる、気密化可能
な容器を有する蛍石単結晶の熱処理装置は、前記密閉を
行うためのシール材に金属製のガスケットを用いている
ので、容器内に収納された蛍石単結晶をより均一に熱処
理することができる。即ち、金属製ガスケットのシール
材は、ゴム製のシール材よりもはるかに耐熱性及び耐腐
食性に優れるので、シール材を使用している容器部分を
ヒーターから隔離することも冷却することも不要であ
り、容器内温度分布の均一化を阻害する要因(隔離、冷
却)を解消することができる。
【0022】そして、その結果、容器内に収納された蛍
石単結晶をより均一に熱処理することができる。従っ
て、本発明(請求項2)の熱処理装置を用いて蛍石単結
晶の熱処理を行うことにより、その歪を除去または低減
して、高精度な光学系に使用できる蛍石単結晶を得るこ
とができる。
【0023】本発明(請求項3)にかかる熱処理装置
は、請求項1及び請求項2の構成を合わせて具備するの
で、容器内に収納された蛍石単結晶をさらに一層均一に
熱処理することができる。従って、本発明(請求項3)
の熱処理装置を用いて蛍石単結晶の熱処理を行うことに
より、その歪を除去または低減して、より高精度な光学
系に使用できる蛍石単結晶を得ることができる。
【0024】本発明にかかる気密化可能な容器として
は、例えば、蛍石単結晶の出し入れに用いられる開口部
であり、蛍石単結晶を収納した後に密閉される開口部を
上部または上端に有し、前記開口部を密閉するシール材
に金属製のガスケットを用いたものが代表的である(請
求項4)。また、本発明にかかる金属製ガスケットの素
材としては、耐熱性や耐腐食性が高い、ステンレス、イ
ンコネル、ワスパロイ、銅の素材またはそれらの素材の
表面にコーティングを施した素材が好ましい(請求項
5、8)。
【0025】本発明(請求項6、7)にかかる蛍石単結
晶の熱処理方法によれば、容器の四方を取り囲んで設け
られた、それぞれ独立に温度制御が可能な各ヒーターに
より容器を加熱することにより、容器内の温度むらを低
減して、その結果、容器内に収納された蛍石単結晶をよ
り均一に熱処理することができる。さらに、本発明(請
求項6、7)にかかる蛍石単結晶の熱処理方法によれ
ば、耐熱性及び耐腐食性に優れた金属製ガスケットのシ
ール材を用いており、容器内温度分布の均一化を阻害す
る要因(隔離、冷却)を解消することができるので、容
器内に収納された蛍石単結晶をより均一に熱処理するこ
とができる。。
【0026】従って、本発明(請求項6、7)の熱処理
方法を用いて蛍石単結晶の熱処理を行うことにより、そ
の歪を除去または著しく低減して、より高精度な光学系
に使用できる蛍石単結晶を得ることができる。本発明
(請求項7)にかかる蛍石単結晶の熱処理方法によれ
ば、気密化可能な第1容器内に蛍石単結晶及びフッ素化
剤を収納した第2容器を設置し、熱処理中は前記第2容
器内をフッ素雰囲気とするので、光学特性がより良好な
蛍石単結晶を得ることができる。
【0027】本発明では、例えば、蛍石単結晶を収納す
るための気密容器の上部開口部分のシール材に耐熱性、
耐食性の高いステンレスを使用した。この結果、Oリン
グ保護のための水冷機構が不要となった。また、本発明
では、例えば、気密容器の側面に加えて、底部及び上部
(天端部)にも独立に制御可能な複数個の発熱体を設け
た。この結果、蛍石を入れた気密容器はその全面が均熱
な発熱体に囲まれた構造を有したことになり、温度分布
がより平坦化した。
【0028】本発明では前記熱処理装置を用いて、例え
ば、蛍石単結晶を800 ℃から1300℃程度で維持し、徐々
に温度を室温まで降温することにより蛍石単結晶の熱処
理を行った。蛍石単結晶を製造した後で観測される歪
は、結晶育成過程で生じる。大きな温度勾配を有する育
成装置内の温度分布が原因となって歪を引き起こす。一
般に、融液を結晶化させる単結晶の育成方法において
は、育成装置内が温度勾配を有することが本質的に必要
である。
【0029】従って、融液を結晶化させる単結晶の育成
方法を実施することにより育成された蛍石単結晶には、
必然的に歪が発生することになる。本発明にかかる熱処
理を行うことにより、育成時に生じた蛍石単結晶の歪を
消滅させることができる。本発明の熱処理においては、
蛍石の融点以下のできるだけ高温で蛍石単結晶を維持す
ることが好ましい。より高温の過程で原子の再配列を実
施し、歪を消滅させるためである。
【0030】さらに、本発明の熱処理においては、熱処
理装置内部の温度を位置によらず等しくすること、すな
わち温度分布の平坦化が高温維持時および降温時におけ
る歪除去のために重要である。この目的のため、本発明
にかかる熱処理装置においては、例えば、気密容器の側
面に加えて、底部及び上部(天端部)にも独立に制御可
能な複数個の発熱体を用いた熱処理装置を使い、さら
に、蛍石単結晶を収納するための気密容器の上部開口部
分のシール材に耐熱性、耐食性の高いステンレスを使用
した。
【0031】この結果、気密容器が発熱体の内部に収ま
ると共に、保護のための水冷機構を排除することが可能
となり、温度分布をより一層平坦化することができた。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本
発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0032】
【実施例】図1は本実施例の熱処理装置の概略断面図で
ある。熱処理時には、気密容器1により熱処理装置内部
の雰囲気を大気と遮断する。気密容器(第1容器)内に
は、さらにカーボン容器(第2容器)2が載置されてい
る。
【0033】熱処理される蛍石単結晶7は、このカーボ
ン容器内に収納される。カーボン容器内には、フッ素化
剤6としてテフロンおよび酸性フッ化アンモニウムも収
納される。気密容器の上部には、耐熱性・耐食性に優れ
た金属ガスケット10(SUS310S製、図2参照)
をセットし、周囲を複数のボルト11で十分に締め付け
て外気と遮断した。
【0034】この気密容器を熱処理装置におさめた後、
熱処理装置上部からの放熱による温度分布のむらを防止
するために、上部(天端部)にも発熱体8を設置した。
この後、気密容器内を真空排気して10-1Pa程度以下の圧
力になったことを確認して真空排気を終了した。熱処理
装置の下部に設置面を有する構造の場合も、やはり熱処
理装置下部の温度が低くなる傾向がある。断熱材の増強
により下部の温度低下は、ある程度防止することができ
るが、より良好な温度分布を形成するために、底部にも
独立した発熱体9を設けた。また、側面には上ヒーター
3、中ヒーター4および下ヒーター5を装備した。
【0035】昇温の過程では、5回路ヒーターの温度を
各々独立に制御する。この過程でフッ素化剤が気化し、
カーボン容器内はフッ素雰囲気となる。カーボン容器の
全体が1200℃の定常状態に達したら、24時間維持する。
この高温維持時の温度は、蛍石の融点に近い高温である
1300℃程度が望ましいが、本熱処理装置の耐久性を考慮
すると、高温維持時の温度は1200℃程度以下に抑えてお
いた方が良い。
【0036】この気密容器内に熱電対を挿入して温度分
布を測定したところ、天・底の発熱体がない場合と比較
して、上下の均熱長は約3倍、図中のA点とB点との温
度差は12℃から1℃以内に改善された。前記定常状態
を24時間維持した後は、徐々に室温まで気密容器内の温
度を降温し、さらに大気圧に開放して蛍石単結晶を取り
出す。
【0037】本実施例の熱処理装置を用いて行った蛍石
単結晶の熱処理によれば、容器の四方を取り囲んで設け
られた、それぞれ独立に温度制御が可能な各ヒーターに
より容器を加熱することにより、容器内の温度むらを低
減して、その結果、容器内に収納された蛍石単結晶をよ
り均一に熱処理することができた。さらに、本実施例で
は、耐熱性及び耐腐食性に優れたSUS310S製ガス
ケットのシール材を用いており、容器内温度分布の均一
化を阻害する要因(隔離、冷却)を解消することができ
るので、容器内に収納された蛍石単結晶をより均一に熱
処理することができた。
【0038】従って、本実施例の熱処理装置を用いて行
った蛍石単結晶の熱処理によれば、蛍石単結晶の歪を除
去または著しく低減して、より高精度な光学系に使用で
きる蛍石単結晶を得ることができた。また、本実施例で
は、気密化可能な第1容器内に蛍石単結晶及びフッ素化
剤を収納した第2容器を設置し、熱処理中は前記第2容
器内をフッ素雰囲気としたので、光学特性がより良好な
蛍石単結晶を得ることができた。
【0039】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の熱処理
装置または熱処理方法を用いて蛍石単結晶の熱処理を行
うと、蛍石単結晶の歪を除去または低減して、高精度な
光学系に使用できる蛍石単結晶を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例の熱処理装置を示す概略断面図であ
る。
【図2】は、実施例の熱処理装置に使用されている金属
ガスケットの上面図(a)と断面図(b)である。
【符号の説明】
1・・・気密化可能な容器(第1容器) 2・・・カーボン容器(第2容器) 3・・・上ヒーター 4・・・中ヒーター 5・・・下ヒーター 6・・・フッ素化剤 7・・・蛍石単結晶 8・・・天ヒーター 9・・・底ヒーター 10・・・金属ガスケット 11・・・締め付けボルト A、B・・温度測定点
以 上
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐久間 繁 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 (72)発明者 塩澤 正樹 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 (72)発明者 高野 修一 東京都福生市大字熊川1642番地26 応用光 研工業株式会社内 (72)発明者 西川 秀美 東京都福生市大字熊川1642番地26 応用光 研工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、蛍石単結晶を収納した後に
    密閉されて真空排気される気密化可能な容器を有し、こ
    の容器の外側周辺の側部(または側方)、底部(または
    下方)、及び上部(天端部または上方)に、それぞれ独
    立に温度制御が可能なヒーターを備えた蛍石単結晶の熱
    処理装置。
  2. 【請求項2】 少なくとも、蛍石単結晶を収納した後に
    密閉されて真空排気される気密化可能な容器を有する蛍
    石単結晶の熱処理装置において、 前記密閉を行うためのシール材に金属製のガスケットを
    用いたことを特徴とする蛍石単結晶の熱処理装置。
  3. 【請求項3】 少なくとも、蛍石単結晶を収納した後に
    密閉されて真空排気される気密化可能な容器を有し、前
    記密閉を行うためのシール材に金属製のガスケットが用
    いられ、前記容器の外側周辺の側部(または側方)、底
    部(または下方)、及び上部(天端部または上方)に、
    それぞれ独立に温度制御が可能なヒーターを備えた蛍石
    単結晶の熱処理装置。
  4. 【請求項4】 前記気密化可能な容器は、蛍石単結晶の
    出し入れに用いられる開口部であり、蛍石単結晶を収納
    した後に密閉される開口部を上部または上端に有し、前
    記開口部を密閉するシール材に金属製のガスケットを用
    いたことを特徴とする請求項2または3記載の熱処理装
    置。
  5. 【請求項5】 前記金属製ガスケットの素材として、耐
    熱性や耐腐食性が高い、ステンレス、インコネル、ワス
    パロイ、銅の素材またはそれらの素材の表面にコーティ
    ングを施した素材を用いたことを特徴とする請求項2〜
    4記載の熱処理装置。
  6. 【請求項6】 少なくとも、 気密化可能な容器に蛍石単結晶を収納した後、容器を金
    属製ガスケットのシール材を用いて密閉する工程と、 前記容器内を真空排気する工程と、 前記容器の外側周辺の側部(または側方)、底部(また
    は下方)、及び上部(天端部または上方)に設けられ
    た、それぞれ独立に温度制御が可能なヒーターにより加
    熱して、容器内温度を蛍石単結晶の融点よりも低い所定
    温度まで昇温させる工程と、 前記容器内温度を前記所定温度に所定の時間、保持する
    工程と、 前記容器内温度を降温する工程と、 前記容器内を大気開放する工程と、を備えた蛍石単結晶
    の熱処理方法。
  7. 【請求項7】 少なくとも、気密化可能な第1容器内に
    蛍石単結晶及びフッ素化剤を収納した第2容器を設置し
    た後、第1容器を金属製ガスケットのシール材を用いて
    密閉する工程と、 前記第1容器内を真空排気する工程と、 前記第1容器の外側周辺の側部(または側方)、底部
    (または下方)、及び上部(天端部または上方)に設け
    られた、それぞれ独立に温度制御が可能なヒーターによ
    り加熱して、第1容器内温度を蛍石単結晶の融点よりも
    低い所定温度まで昇温させるとともに、前記第2容器内
    をフッ素雰囲気とする工程と、 前記第1容器内温度を前記所定温度に所定の時間、保持
    する工程と、 前記第1容器内温度を降温する工程と、 前記第1容器内を大気開放する工程と、を備えた蛍石単
    結晶の熱処理方法。
  8. 【請求項8】 前記金属製ガスケットの素材として、耐
    熱性や耐腐食性が高い、ステンレス、インコネル、ワス
    パロイ、銅の素材またはそれらの素材の表面にコーティ
    ングを施した素材を用いたことを特徴とする請求項6ま
    たは7記載の熱処理方法。
JP9070983A 1997-03-25 1997-03-25 蛍石単結晶の熱処理装置および熱処理方法 Pending JPH10265300A (ja)

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