JP2003002789A - フッ化物単結晶の製造方法 - Google Patents
フッ化物単結晶の製造方法Info
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Abstract
高純度なフッ化物単結晶を得る。 【解決手段】 フッ化物単結晶原料をフッ素含有ガスに
晒しながら加熱して前記原料に含まれる不純物を前記フ
ッ素含有ガスと反応させて前記原料を精製した後に単結
晶を成長させるフッ化物単結晶製造方法において、前記
精製における初期の第1温度域ではその温度域で分解す
る第1ガスを用いて前記反応を行い、その後前記第1温
度域より高温の第2温度域では、前記第1温度域とは異
なるガスであって前記第1ガスより高い温度で分解する
第2ガスを用いて前記反応を行う。
Description
テッパ用光学材料として用いられる高品質フッ化物単結
晶の製造方法に関する。
線幅は縮小の一途をたどっている。それとともに、配線
回路描画用露光装置であるステッパーの光源の短波長化
が行われてきた(例えば、i線:365nm→KrFエ
キシマレーザ:248nm)。今後、0.13μm以下
の配線ルールにおいては、ArF:193nmエキシマ
レーザが使用されるといわれている。さらに、0.1μ
m以下の配線ルールにおいては、F2:157nmエキ
シマレーザが使用されるといわれている。これらArF
エキシマレーザ、F2エキシマレーザの光学系において
は、その優れた紫外線透過特性から、フッ化カルシウム
(CaF2)、フッ化バリウム(BaF2)などのフッ化
物単結晶が、レンズ、ウインドウ、プリズム等として使
用される。 例えばCaF2単結晶は、従来赤外〜可
視〜紫外にわたる波長透過性により、広く使用されてき
た。これらはおもに天然の蛍石(CaF2)又はこれを
原料とする合成原料に、PbF2に代表されるスカベン
ジャーとよばれるフッ素化剤を混合し、加熱することに
より酸素等の不純物を除去、精製したものを原料とし
て、ブリッジマン法によって単結晶化したものである。
2単結晶を、ArFエキシマレーザ光学系に用いた場
合、紫外線波長領域における透過性が劣るばかりでな
く、レーザ照射により結晶がダメージをうけ、その光透
過性能の永久劣化が起こるいわゆる光損傷とよばれる現
象が生じることが問題となっている。光損傷は、CaF
2結晶中の不純物や、結晶欠陥によって引き起こされる
と考えられており、耐光損傷性(レーザ耐性)の高いC
aF2結晶の作製のため、結晶の高純度化、低欠陥密度
化が必要である。
外領域における光透過性能に対して有害であることが知
られている。また、イットリウム(Y)等の希土類金属
がレーザ耐性に有害であることも知られている。更にま
た、レンズ材として用いられるCaF2単結晶には、高
度の光学的均質性が必要とされる。すなわち屈折率の均
質性に優れること、及び複屈折の原因となるような残留
歪みを内在しないことが重要である。特開平9−315
893、特開平11−157982等に、現在の代表的
な製造プロセスが開示されている。
ャーではなく、精製ガスを用いて結晶原料を精製する方
法が行われつつあり、例えば特開平11−228292
号公報、USP4190487号公報等に開示されてい
る。しかしながら、このようなプロセスをもってしても
上記のような単結晶における光透過性能、レーザ耐性、
屈折率均質性、低複屈折性等、ArFやF2エキシマレ
ーザ光学系に必要十分な光学的特性を有するCaF2単
結晶を製造することは容易でなく、さらなる改良が望ま
れている。特に、193nmでの光透過性能が確保され
たとしても、F2レーザ光学系に要求される157nm
での十分な光透過性能を実現することは、よりいっそう
困難な状況にある。
Fエキシマレーザ光学系用途を対象とした光学特性の改
善されたCaF2単結晶の製造方法を発明した。ここ
で、この先発明の趣旨を述べる。CaF2単結晶におけ
る光学的均質性、耐光損傷性を損なう一因となっている
のが、現状のPbF2等の個体スカベンジャーを用いる
原料の精製方法にあると考えた。すなわち、非処理原料
であるCaF2粉末と、PbF2粉末の混合の機械的混合
のみによっては、細部まで均質な混合は困難であり、原
料処理の不均質性が起こりうる。このため、原料CaF
2からの脱酸素が必ずしも完全に行われず、成長結晶中
に取り込まれてしまい、光学特性を劣化させることがし
ばしば起こる。
性を低下させるとともに、レーザ耐性を損ねることも考
えられる。更に鉛は有毒な物質であり、昨今の地球環境
保全、公害防止の意味からもその使用量を削減しようと
いう動きが産業界での趨勢となりつつある。これに対し
て発明者等は、PbF2等の個体スカベンジャーを用い
ず、鉛を含まない反応性フッ素化合物ガスを使用するこ
とにより、スカベンジャーの偏析による組成的不均質が
なく、またPbF2よりもフッ素化効果に優れるため、
酸素不純物のより完全な除去が可能な方法を、本発明に
先立って発明した(出願番号2000−53930
号)。
号)は、ArFエキシマレーザ波長である193nmに
おいては、99.9%程度の優れた内部透過率を示し、
またレーザ耐性においても、従来材(固体スカベンジャ
ーや、先述した精製ガスにより精製された原料によるも
の)よりも優れた特性を有する。一方、CaF2の本質
的特性である基礎吸収端は122nmであるとされてお
り、不純物や結晶欠陥などを含まない理想的なCaF2
では、この波長近傍まで顕著な光吸収はないはずであ
る。
空紫外領域での光透過性においては概ね顕著な光吸収ピ
ークはみられないものの、160nm以下の短波長側で
は、しばしば弱いブロードな光吸収が見られる場合があ
る。このようなCaF2材料はArFエキシマレーザを
光源とする光学系においては、致命的なものではない
が、しばしば光透過率の経時劣化との因果関係が見られ
る。また157nmの波長を持つF2エキシマレーザ光
学系においては、当該性能を大きく低下させるため使用
に耐えない。
いてもできる限りCaF2の光透過率を高くすることが
要請されている。本発明は、上述のような問題点に鑑み
てなされたものであり、その目的は、高純度で、十分な
レーザ耐性を有し、かつ優れた透過性能、特にCaF2
に関してはその基礎吸収端である122nm近傍まで顕
著な光吸収ピークの存在しないような透過性能を有する
フッ化物単結晶を製造することにある。
に、本発明においては以下の手段を採用した。すなわ
ち、本発明にかかるフッ化物単結晶の製造方法は、フッ
化物単結晶原料をフッ素含有ガスに晒しながら加熱して
前記原料に含まれる不純物を前記フッ素含有ガスと反応
させて前記原料を精製した後に単結晶を成長させるもの
であって、前記精製における初期の第1温度域ではその
温度域で分解する第1ガスを用いて前記反応を行い、そ
の後前記第1温度域より高温の第2温度域では、前記第
1温度域とは異なるガスであって前記第1ガスより高い
温度で分解する第2ガスを用いて前記反応を行うことを
特徴とする。
ぞれの反応温度域において、CaF2等のフッ化物単結
晶原料及びるつぼ材等に含まれる酸素不純物と反応して
系内からこれを除去する効果がある。つまり、系内の水
分除去、酸化物、水酸化物及び固溶酸素の除去、結晶成
長中の酸化防止等が、フッ素含有ガスの使用目的であ
る。ここで、フッ素含有ガスは、原料のフッ化効果を有
しながらるつぼ等を構成するグラファイト部材には無害
であることが求められる。グラファイト部材を保護し、
かつフッ化効果を最大限に発揮させるためには、各温度
域でフッ化物原料と接触して分解、反応するガスの選択
がポイントになる。
フッ素原子種(フッ素含有原子種も含む、以下単に活性
Fガスという)を生成し炉内のフッ素原子種の濃度を高
くするフッ素含有ガスは、その後のより高温の第2温度
域においても当然、上述の脱酸素等の効果は得られる。
しかし、かかるフッ素含有ガスは反応性(分解してフッ
素原子種を生成し、不純物と反応する性質)が高すぎ
て、炉内のるつぼをはじめとするグラファイト部材と反
応してこれらを著しく消耗させてしまう問題が生じる。
1温度域ではその温度域で分解する第1ガスを用いて前
記反応を行い、その後前記第1温度域より高温の第2温
度域では、前記第1温度域とは異なるガスであって前記
第1ガスより高い温度で分解する第2ガスを用いて前記
反応を行うので、各温度域において異なるフッ素含有ガ
スを使用して不純物除去効果を最大にし、かつ副次的に
起こるフッ素ガスと炉内部材との反応を防止することが
できる。なお、本発明におけるフッ素含有ガスの「分
解」とは、熱分解により活性フッ素原子、及びラジカル
などフッ素含有原子種及び分子種を生成することを意味
する。
範囲内にあり、前記第2温度域は前記第1温度域よりも
高温でかつ500〜1200℃の範囲内にあれば、フッ
素含有ガスと結晶原料中の不純物との精製反応が効率よ
く行われる温度域であるため好ましい。特に、第1温度
域は300〜600℃、第2温度域は600〜1200
℃であることが好ましい。ここで、各温度域は必ずしも
厳密なものでなく、±100℃程度の範囲内で相互にオ
ーバーラップしてもかまわない。例えば、第1温度域は
300〜500℃で、第2温度域は500〜1200℃
となってもよい。使用するフッ素含有ガスの分解温度に
応じて、適宜に設定することができる。
F2の中から選ばれた1又は2種以上のガスが用いら
れ、前記第2ガスとしてCHF3、CH2F2、C2F6、
C3F8の中から選ばれた1または2種以上のガスが用い
られることが好ましい。ClF3、NF3、F2 等のガス
は、比較的低温の300〜700℃の範囲内で容易に分
解して、酸素不純物の除去等を効果的に行うことができ
る。しかも、かかる温度域においては反応性はさほど高
まらず、グラファイト部材を損傷することもない。
範囲内にある第2温度域では、上述の第一ガスであるC
lF3、NF3、F2等のガスは反応性が高すぎてグラフ
ァイト部材を損傷させてしまうため使用できない。この
第一ガスの代わりに用いられる第二ガスであるCH
F3、CH2F2、C2F6、C3F8等のガスは、第1温度
域ではさほど分解はせず、反応性が低いガス種といえ
る。しかしより高温の、好ましくは600℃〜1200
℃の範囲内では効率よく分解し、酸素不純物の除去等を
行う。しかも、かかる温度域では反応性はさほど高まら
ず、また第1温度域において使用したガス種も使用して
いないので、グラファイト部材を損傷することもない。
域を設定し、各温度域での分解温度や反応性の異なる別
種のフッ素含有ガスを用いるので、各温度域において酸
素不純物の除去を効率よく行うとともに、炉内のグラフ
ァイト部材を損傷することを防止できる。また前記単結
晶成長を前記第2温度域よりも高温の第3温度域で行
い、前記第3温度域は1200℃以上であることを特徴
とする。例えば、CaF2等の結晶原料の融点は120
0℃以上であるので、上記のように第3温度域まで更に
設定すれば、結晶成長を行うことができる。
F4、C2F6、C3F8の中から選ばれた1又は2種以上
のガスが用いられることが好ましい。結晶成長が行われ
る第3工程の温度域は、1200℃以上である。結晶成
長もフッ素含有ガス雰囲気下で行えば、結晶成長中の酸
化防止を行うことができる。上記の各種ガスは、120
0℃以上の温度域においてよく分解し、優れた不純物除
去効果を期待できる。なお、C2F6、C3F8の各ガス
は、その性質上第2温度域及び第3温度域の双方で使用
することができる。
いて分解温度の異なるフッ素含有ガスを温度域に応じて
使用するので、炉内のグラファイト部材を損傷すること
なく結晶原料の不純物除去を効果的に行え、結果として
高純度で十分なレーザ耐性を有し、かつ優れた透過性能
を有するフッ化物単結晶を得ることができる。また前記
単結晶の成長が、ブリッジマンストックバーガー法又は
垂直温度勾配法により行われることが好ましい。更に、
前記フッ化物単結晶がCaF2、BaF2のいずれかであ
ることが好ましい。
例に本発明を詳細に説明する。まずCaF2原料を精製
して不純物を除去し、その後に結晶成長を行う。精製
は、CaF2原料をフッ素含有ガスに晒しながら加熱し
て昇温させ、原料に含まれる不純物をフッ素含有ガスと
反応させることにより行い、その後に単結晶を成長させ
る。CaF2原料の精製は、初期の第1温度域と、第1
温度域より高温の第2温度域を経て行われる。第1温度
域は300〜600℃、第2温度域は600〜1200
℃であり、これらの温度域の範囲で昇温される。各温度
域ではそれぞれ異なるフッ素含有ガスが使用される。つ
まり精製は、別種のガスが使用される別工程を経て行わ
れるのである。
はその温度域で分解する第1ガスを用いて、不純物とフ
ッ素含有ガスとを反応させ、不純物除去を行う。その後
の第2工程となる第2温度域では、第1温度域とは異な
るガスであって第1ガスより高い温度で分解する第2ガ
スを用いて、不純物とフッ素含有ガスとを反応させ、不
純物除去を行う。CaF2原料の場合は、第一温度域で
ある300から600℃に昇温される第1工程、第二温
度域である600から1200℃に昇温される第2工程
の他、更に第三温度域である1200℃以上に昇温され
る第3工程を経て、結晶が製造される。各工程は、それ
ぞれ別種のフッ素含有ガス流中で行う。なお、第1工程
及び第2工程はフッ素含有ガスと原料中の不純物とを反
応させて原料を精製する精製工程、第3工程は精製され
た原料を更にフッ素含有ガスに晒しながら結晶成長させ
る成長工程である。
の中から選ばれた1種又は2種以上のフッ素含有ガスを
含む雰囲気ガスを用い、かつ第2工程ではCHF3、C
H2F 2、C2F6、C3F8の中から選ばれた1種又は2種
以上のフッ素含有ガスを含む雰囲気ガスを用い、第3工
程では、CF4、C2F6、C3F8の中から選ばれた1種
または2種以上のフッ素含有ガスを含む雰囲気ガスを用
いる。これらのF含有ガスは100%濃度で用いるかま
たは不活性ガスで10%程度までに希釈して用いること
ができる。また、これらのガスは、炉内全体に流しても
良いが、より好ましいのは、炉内で原料を充填したるつ
ぼを収納するように隔離した空間を形成するためのケー
シングを設け、原料を充填したるつぼ内およびこのケー
シング内にのみ流す方法である。この場合炉内のケーシ
ング以外の空間には窒素またはArガスのような不活性
ガスを流す。
(酸素不純物除去効果)が大きいClF3、NF3、F2
の中から選ばれた1種または2種以上のガスを含む雰囲
気ガスを選択してある。第1工程である300℃〜60
0℃の温度域においては、第2工程または結晶成長工程
(第3工程)で使用するCHF3、CH2F2、C2F6、
C3F8、CF4などのガスによる脱酸素効果はほとんど
期待できない。これはこれらのガスがかかる低温域では
反応性に乏しいからである。あるいは、これらのガスの
分解が起こり難く、生成すべき活性なフッ素(含有)原
子種の濃度が低いためとも言える。一方、ClF3、N
F3、F2はこれら低温域においても十分な活性を有し、
脱酸素反応や脱水反応に有効である。
2F2、C2F6、C3F8等のガスが活性となり、脱酸素反
応に寄与する。CF4のみはCaF2の融点近傍の140
0℃程度の高温域において初めて活性となりうるため、
この温度域における低温部での効果が不十分となるため
適切でない。CF4は例えばCaF2の単結晶成長工程で
ある1400℃以上の温度域においてのみ有効である。
一方、第1工程ガスであるClF3、NF3、F2を第2
工程に用いた場合、フッ素化による脱酸素効果は当然得
られると考えられるが、実際には同時に別の問題点が生
じて適当でない。つまり、反応性が高すぎて、炉内のる
つぼをはじめとするグラファイト部材と反応してこれら
を著しく消耗させるからである。化学的には活性フッ素
ガスがグラファイトを強く酸化してこれを燃やしてしま
うと表現することも可能である。従って、第2工程およ
び第3工程においてはグラファイトとの反応性が弱くフ
ッ化物原料に対しては十分な脱水、脱酸素効果が得られ
るCF系ガスが好適である。
のでなく、±100℃程度の範囲で相互にオーバラップ
する場合でもその効果に大きな差はない。例えば、第1
工程が300〜500℃に昇温されるもので、第2工程
が500〜1200℃に昇温されるものでもよいし、第
1工程が300〜550℃に昇温されるもので、第2工
程が550〜1200℃に昇温されるものでもよい。な
お、第2及び第3工程において使用されるガス種のうち
には、いずれの工程においても使用可能なガスがある。
例えばC2F6、C3F8等である。
素の除去、結晶成長中の酸化防止が3工程でのフッ素含
有ガスフローの目的であり、グラファイト部材を保護
し、且つフッ素化効果を最大限に発揮させるためには、
各温度域でフッ化物原料と接触して分解、反応するガス
の選択がポイントとなる。このような構成により、フッ
素含有ガスとるつぼ内の原料とをより効率的に反応さ
せ、なおかつ炉内の高温のグラファイトヒータや他の断
熱部材などとフッ素含有ガスが反応し、それらを消耗さ
せることを防ぐ、ためである。
の反応による脱水、脱酸素などが目的であるので、通
常、第1工程から原料融点までの工程は同一容器内で連
続的に行い、精製されたバルク状の原料多結晶体を得る
ことが好ましい。例えば第1工程のみでは原料は依然粉
末状であり、もし処理後に大気中に取り出せば、ただち
に水分の吸着や粉体表面からの酸化が進み、処理効果を
失ってしまう。これに対して、第1工程から第3工程の
原料融解までを連続的に行うことによって、処理後冷却
して取り出された原料はバルク状になっているため、そ
の比表面積は著しく減少することとなり、たとえ大気中
に取り出したとしても、その表面酸化は極めて限定的な
ものである。この程度の酸化ならば、結晶成長工程にお
いて再度第1〜第3工程を繰り返すまでもなく、第3工
程のCF4ガスフローのみによっても、容易に酸素除去
が可能であり、その光学特性を損なうことはない。
製から単結晶成長の全ての工程を連続的に行えば、酸化
の余地はなく理想的である。ただし、原料融点までの第
1〜第3工程は結晶成長炉を用いずとも可能なため、結
晶成長炉の有効利用のためには、これらを別に行うこと
が良い場合もある。なお、この方法は通常垂直ブリッジ
マン法、および垂直温度勾配法のようなるつぼ成長に用
いられるが、その他、チョコラルスキー法による単結晶
引き上げにも適用可能である。
成長に関するものであるが、これ以外にもLiF、Sr
F2、LaF3、MgF2などに代表されるアルカリ金属
フッ化物、アルカリ土類フッ化物、希土類フッ化物など
の結晶成長における脱酸素法としても広く適用できる。
すなわち、本発明においては、各温度に応じてガス種を
使い分けることがその本質であり、例えばLiFは87
0℃に融点を持つが、このような材料では本発明におけ
る第2工程にその融点を持つことになり、当然結晶成長
温度も第2工程温度内で行われるから、第3工程が省略
されると考えれば良い。
る。図1に示す結晶製造装置により、表1に示すような
実施例1〜7を作製した。結晶原料の精製工程、結晶成
長工程の詳細は表1に示す通りである。
説明する。直径150mmのグラファイト製のるつぼ6
に、2kgの高純度CaF2原料粉末7を充填し、るつ
ぼ台5にのせた。るつぼ6の下端部6Aには、フッ素含
有雰囲気ガス導入管9が接続されている。次に隔壁ケー
シング4を取り付けた後、炉壁本体1を炉下蓋フランジ
10にかぶせて炉を閉めた。バルブ17g、17jを開
け、それ以外は全て閉として、ロータリーポンプおよび
油拡散ポンプよりなる真空排気ユニット11により、5
×10-6Torrより高い真空度になるまで炉内を排気
した。
で300℃まで昇温し、この温度においてさらに1時間
排気を続け、炉内真空度が2×10-6Torrになるこ
とを確認して、バルブ17jを閉じた。窒素導入バルブ
17fを開けるとともにマスフローメータ16fを調整
して、10l(リットル)/min程度の流量で炉内に
窒素を導入した。炉内圧力が大気圧より5%程度高くな
った時点でバルブ17hを開き、同時にマスフローメー
タ16fを調整して窒素導入量を2l/minに減少さ
せた。
7a、17e、17iをそれぞれ開き、バルブ17gを
閉としてマスフローメータ16aを調整して20ml/
minの流量で、第1工程ガス12としてのNF3をフ
ッ素含有ガス導入管9よりCaF2原料を充填したるつ
ぼ下端部6Aからるつぼ6内に導入した。導入されたフ
ッ素含有ガスは、るつぼ6内のCaF2表面に残留する
水分や酸化物と反応し、これらを除去しながら、隔壁ケ
ーシング4内に出て、フッ素含有ガス排出管19により
炉外に導かれる。炉内から排出されたガスは最終的にフ
ッ素ガス除害装置21により無害化された後、大気放出
される。るつぼ6へのNF3および炉内への窒素導入を
行いながら、炉内温度を300℃〜600℃まで400
K/hで昇温し、第1工程を終了した。
17aを閉とし、バルブ17dを開としてフッ素含有ガ
ス導入管9内、および隔壁ケーシング4内に残留するN
F3ガスをパージした。その後、バルブ17dを閉じ、
バルブ17bを開けて第2工程ガスであるC2F6に切り
替えた。この時、マスフローメータ16bを調整して2
0ml/minの流量でC2F6ガスをるつぼ下端部6A
より導入した。その後、炉内温度を600℃からさらに
400K/hで1430℃まで昇温し、るつぼ6内のC
aF2原料粉末を融解させた。この時の炉内温度は種結
晶上端温度に等しく、種結晶は上端から約10mm融解
し、いわゆる種付け工程が完了する。炉内上下方向に
は、約10K/cmの温度勾配が付けてある。
に導入されるが、一部はるつぼ6外の隔壁ケーシング4
内にも供給されるようになっている。フッ素含有ガスと
CaF2原料との反応は、CaF2が固体の状態の時に大
部分が完了するが、融解後の融液中にフッ素含有ガスを
導入し、反応を完結させることも有効である。なお、隔
壁ケーシング内に供給されたフッ素含有ガスは雰囲気ガ
スとしてるつぼ6周りにフローさせてCaF2の再酸化
防止の役割を果たす。結晶成長工程(第3工程)ガスと
してCF4ガスを流すため、バルブ17bを閉じ、バル
ブ17cを開けて、マスフローメータ16cを調整して
20ml/minの流量でCF4を導入した。最終的に
るつぼ温度を1450℃まで昇温し、CF4ガスを、C
aF2融液中に1時間吹き込んだ。さらにるつぼ温度を
1430℃で1時間保持した後、そのままるつぼ移動軸
8を1mm/hの速度で下降させ、単結晶成長を完了し
た。
角×20mm厚みの試験片を切り出して両面を鏡面研磨
した後、真空紫外域での光透過性を評価した。分光透過
率測定結果を図2に示す。図2より、193nmおよび
157nmでの内部透過率(試料表面での反射を除した
正味の光透過率)はそれぞれ99.9%、99.6%で
あり、優れた光学特性を有することが判明した。また、
この結晶に対して1パルス当たり70mJ/cm2のエ
ネルギーの ArFおよびF2エキシマレーザ光を105
パルス照射した後の内部透過率は、193nmおよび1
57nm1でそれぞれ99.8%、99.5%であり、
照射による劣化が極めて少なく、優れたレーザ耐性を有
することが判明した。
F2単結晶の製造、及び評価を行った。実施例3〜7に
ついては結晶成長工程(第3工程)での、CaF2融液
中への精製ガスの吹き込みは行わなかったが、他は実施
例1と同様にCaF2単結晶の製造、及び評価を行っ
た。結果は表1に示す通りである。いずれも優れた光学
特性及びレーザ耐性を有することがわかる。
2に示すような比較例1〜4を作製した。
F3ガスに変えてC2F6ガスを用いる他は、実施例3〜
7と同様の手順に従い、CaF2単結晶を成長させた。
図2に示すように、得られた単結晶の光透過スペクトル
は、150nm近傍から大きな光吸収を示した。その結
果193nmでの内部透過率は99.8%と良好であっ
たが、157nmでの内部透過率は85%と低く、F2
エキシマレーザ用光学材料として使用に耐えないもので
あった。比較例2〜4は、各工程で使用されるフッ素含
有ガスを表2で示すように変更し、実施例3〜7と同様
の手順に従ってCaF2単結晶を作製した。結果は表2
に示す通り、比較例2は内部透過率が著しく低く、F2
エキシマレーザ用光学材料として使用に耐えないもので
あった。また比較例3、4については、使用ガスによる
るつぼ消耗が著しく、結晶成長が不可能であった。
料としては、CaF2のほか、BaF2、MgF2等が挙
げられる。
れた透過性能を有する高純度なフッ化物単結晶を得るこ
とができる。
した概略図である。
である。
Claims (7)
- 【請求項1】 フッ化物単結晶原料をフッ素含有ガスに
晒しながら加熱して前記原料に含まれる不純物を前記フ
ッ素含有ガスと反応させて前記原料を精製した後に単結
晶を成長させるフッ化物単結晶の製造方法において、前
記精製における初期の第1温度域ではその温度域で分解
する第1ガスを用いて前記反応を行い、その後前記第1
温度域より高温の第2温度域では、前記第1温度域とは
異なるガスであって前記第1ガスより高い温度で分解す
る第2ガスを用いて前記反応を行うことを特徴とするフ
ッ化物単結晶の製造方法。 - 【請求項2】 前記第1温度域は300〜700℃の範
囲内にあり、前記第2温度域は前記第1温度域よりも高
温であってかつ500〜1200℃の範囲内にあること
を特徴とする請求項1に記載のフッ化物単結晶の製造方
法。 - 【請求項3】 前記第1ガスとしてClF3、NF3、F
2の中から選ばれた1又は2種以上のガスが用いられ、
前記第2ガスとしてCHF3、CH2F2、C2F6、C3F
8の中から選ばれた1または2種以上のガスが用いられ
ることを特徴とする請求項1又は2に記載のフッ化物単
結晶の製造方法。 - 【請求項4】 前記単結晶成長を前記第2温度域よりも
高温の第3温度域で行い、前記第3温度域は1200℃
以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
記載のフッ化物単結晶の製造方法。 - 【請求項5】 前記単結晶の成長においては、CF4、
C2F6、C3F8の中から選ばれた1又は2種以上のガス
が用いられることを特徴とする請求項3又は4に記載の
フッ化物単結晶の製造方法。 - 【請求項6】 前記単結晶の成長が、ブリッジマンスト
ックバーガー法又は垂直温度勾配法により行われること
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフッ化物
単結晶の製造方法。 - 【請求項7】 前記フッ化物単結晶がCaF2、BaF2
のいずれかであることを特徴とする請求項1〜6のいず
れかに記載のフッ化物単結晶の製造方法。
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