JP2005330144A - フッ化物原料の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 エキシマレーザに対する透過率が高く且つ高出力レーザに対する対する耐久性の優れたフッ化物結晶を作るための、生産性が高く製造コストを押さえたフッ化物原料(粉末状)の精製方法を提供する。
【解決手段】 フッ化物原料の精製工程で原料が融解する前の加熱昇温中に、固体スカベンジャーからフッ素系ガスが発生する温度域において炉内真空度を0.01〜1Paの範囲に保持することにより、多量の粉末状のフッ化物原料に対しても、比較的短時間で原料全体にフッ素系ガスを行き渡らせて原料全体をフッ化できるようになる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、真空紫外域から遠赤外域までの広い波長範囲から選ばれた所定の波長の光のために用いられる各種光学素子、レンズ、窓材、プリズム等に好適であるフッ化物結晶を製造するための製造方法に係る。特に、エキシマレーザー用の光学部品(又は光学素子)として好適なフッ化物結晶を製造するための、フッ化物原料の精製方法に関する。
エキシマレーザーは、紫外域で発振する唯一の高出力レーザーとして注目されており、電子産業や化学産業やエネルギー産業において応用が期待されている。具体的には金属、樹脂、ガラス、セラミックス、半導体等の加工や化学反応等に利用されている。エキシマレーザー光の中でもArFレーザーやFレーザーはそれぞれ波長が193nmの光、又は、157nmといった真空紫外域と呼ばれる波長域の光であり、光学系にはこうした波長域の光の透過率が高いものを用いなければならない。例えば、フッ化カルシウム(蛍石)、フッ化バリウム、フッ化マグネシウムなどの結晶が挙げられる。
ここで、従来のフッ化物結晶の製造方法をフッ化カルシウムを例にとって説明する。
赤外から可視域で使用される結晶の場合は、原料として天然に産する安価な蛍石原石を使用する。紫外あるいは真空紫外域で使用する結晶の場合は、天然の蛍石原料を用いると、不純物が多いために紫外あるいは真空紫外域で吸収が生じてしまう。このため、化学合成で作られた高純度の粉体原料を使用する。
この原料の嵩密度を上げ、原料中の不純物を除去するために、原料を溶融して精製する工程が必要となる。この精製工程においては、原料が水分等と反応して生成した酸化物や原料中の不純物を除去するために、金属のフッ化物であるスカベンジャーを原料に加えなければならない。例えば、フッ化物結晶がフッ化カルシウム、スカベンジャーが固体のZnFの場合、原料が水分と反応して生成したCaOはZnFと反応してCaFとなり、スカベンジャーはZnOとなって原料溶融時に蒸発する。
精製工程によって作られたフッ化物多結晶のブロック(精製品)を2次原料として最終的な結晶を製造した場合、透過特性等の光学性能の非常に優れたフッ化物の単結晶が得られることが期待される。それには精製品を溶融した後、0.1〜5mm/H程度の速度で成長用ルツボを引き下げることにより、ルツボの下部から徐々に結晶成長させてフッ化カルシウム単結晶を得る(単結晶成長工程)。
この単結晶成長工程の場合でも、精製品の表面には水分が付着しており、結晶と反応してCaOを生成してしまう。このため、精製工程と同様にスカベンジャー(ZnFなど)を添加することが行なわれている。スカベンジャーの作用は精製工程と同様で、原料が水分と反応して生成したCaOはZnFと反応してCaFとなり、スカベンジャーはZnOとなって原料溶融時に蒸発する。
以上のスカベンジャーの作用を化学式を用いて説明すると、フッ化カルシウムは水分の存在により酸化されて酸化カルシウムが生成する(化学式1)。次に、酸化カルシウムはフッ化亜鉛スカベンジャーによって、再びフッ化カルシウムにフッ化される(化学式2)。生成した酸化亜鉛は、フッ化カルシウムの融解中に、ルツボのカーボンに接触することによって還元されて、COガス(もしくはCO)を発生する(化学式3)。こうして、フッ化カルシウムの酸化が防止される。以上が、スカベンジ反応(スカベンジャーによる不純物除去反応)として知られているものである。
(化1) CaF+HO→CaO+2HF
(化2) CaO+ZnF→CaF+ZnO
(化3) ZnO+C→Zn+CO(もしくはCO
以上、説明したようなフッ化物結晶の製造方法は、例えば、特許文献1や特許文献2などに同様の記載を見ることができる。特許文献1によれば、フッ化カルシウムとスカベンジャー混合物を、10−5〜10−6Torr(1.33×10−3〜1.33×10−4Pa)の真空中で溶融して精製品や単結晶を得る方法が開示されている。また、後者(特開2000−191322)によれば、固体スカベンジャーが添加されたフッ化物原料の加熱工程中に、ガスがルツボ外に放出され難い第1の環境から、放出され易い第2の環境に変える方法が開示されている。ここで、第1から第2の圧力変化は、1.3Pa以上好ましくは1気圧以上から、1気圧以下好ましくは10−3Pa以下にするという内容である。
特開平9−315893号公報 特開2000−191322号公報
ZnFなどの固体スカベンジャーを用いる場合、フッ化物原料に対する添加量は高々0.02〜2mol%程度である。このように少ない添加量でフッ化物原料全体をフッ化しようとすると、通常は固体スカベンジャーからフッ素系のガスが発生して、このガスによるCaOのフッ化反応を考える必要がある。
しかし、特許文献1に記載されるような10−5〜10−6Torr(1.33×10−3〜1.33×10−4Pa)の高真空中で加熱すると、スカベンジャーから発生したフッ素系ガスの圧力が大きくならずせいぜい炉内真空度までしか上がらない。このため、フッ素系ガスは粉末原料のすき間になかなか拡散していかないので、原料全体によく行き渡らないという問題があった。
また、これとは逆に、特許文献2に記載されるように炉内雰囲気の圧力を1.3Pa以上に大きくすると(真空度は低下)、スカベンジャーからのガス発生速度が極端に遅くなってしまう。このため、ルツボ内におけるフッ素系ガスの圧力の上昇が遅くなり、ガスが粉末原料全体に行き渡るのに時間がかかるため、原料全体をフッ化するのに非常に長い時間がかかることになる。こうして、CaOを十分にフッ化できないと、酸化に基づく吸収が紫外あるいは真空紫外域に生じてしまうことになる。
本発明は、かかる上記従来の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、特に短波長で高出力の光を長期間繰り返し照射した場合であっても、透過率特性が劣化し難いフッ化物結晶を製造するための、フッ化物原料(粉末状)の精製方法を提供することにある。
また、別の目的は、大口径のフッ化物結晶を製造するために多量の粉末原料をフッ化しなくてはならない場合でも、比較的短時間で製造することを可能にして高い生産性を有するフッ化物原料の精製方法を提供することにある。
本発明のフッ化物原料の精製方法では、フッ化物原料の融点以下の温度において、特に、固体スカベンジャーからフッ素系ガスが発生する温度域において、炉内真空度を0.01〜1Paの範囲に保持するようにしたところ、多量の粉末状のフッ化物原料に対しても、比較的短時間で原料全体にフッ素系ガスを行き渡らせて、原料全体をフッ化できるようになった。こうして、短波長の光に対して透過率が高く、更に、高出力の光を長期間繰り返し照射しても透過率特性が劣化し難いフッ化物結晶を、効率良く製造できるようになった。
以上、説明したように本実施形態によれば、フッ化物原料(粉末状)の精製において、フッ化物原料の融点以下の温度、特に、固体スカベンジャーからフッ素系ガスが発生する温度域において、炉内真空度を0.01〜1Paの範囲に保持するようにすることで、多量の粉末状のフッ化物原料に対しても、比較的短時間で原料全体にフッ素系ガスを行き渡らせて原料全体をフッ化できるようになる。こうして、短波長の透過率特性に優れた大口径のフッ化物結晶を製造する場合でも、精製工程に要する時間を短くすることができ、生産性を高くすることができる。
図1に本発明の実施形態の一つについて、フッ化物結晶の製造工程(精製、単結晶成長、アニール)とフッ化物原料の精製工程のフローチャートを示す。以下、フッ化物結晶(原料)としてフッ化カルシウム(蛍石)、固体スカベンジャーとしてZnFを用いた場合を例にとって、実施の形態を詳しく説明する。
なお、フッ化物の原料はフッ化カルシウム(蛍石)に限るわけではなく、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム等が使用できる。また、スカベンジャーとして用いられるフッ化物もZnF(フッ化亜鉛)に限るわけではなく、フッ化マンガン、フッ化鉛、フッ化ビスマス、フッ化ナトリウム、フッ化リチウムなどを適宜選択して使うことができる。
≪フッ化物原料(粉末状)≫
化学合成で作られた高純度のフッ化カルシウム粉末原料を用意する。
≪精製工程−スカベンジャー添加≫
フッ化カルシウム粉末原料にZnFスカベンジャーを添加して十分に混合する。スカベンジャーの添加量は、粉末原料の精製の場合は、原料の0.02mol%以上、2mol%以下である。
≪精製工程−加熱≫
スカベンジャーを添加・混合したフッ化物原料を、図2に示す結晶炉のルツボの中に入れる。結晶炉は、精製、単結晶成長、アニールのいずれにも使用することができる。図2において、1は結晶炉のチャンバーであり、真空排気系に接続されている。真空排気系は2系統が用意されている。ひとつは、油拡散ポンプ(以下、拡散ポンプと称する)2と油回転ポンプ(以下、ロータリーポンプと称する)3Aとの一般的な組み合わせで構成されている。もうひとつの系統はロータリーポンプ3Bだけによる真空排気を行なうように構成されている。4は断熱材、5はヒーター、6は原料を収容する室としてのルツボ、7はフッ化物原料である。図2では、ルツボは3段重ねの構成になっているが、重ねる段数に制限はない。各段のルツボには、ガスが出入りするためのガス穴(開口部)8が設けられている。熱処理の温度は、ルツボの最下部に測温点を設けた熱電対9により測温制御される。
まず真空排気を開始して、所定の真空度に達した後でヒーターに通電してルツボを加熱する。真空度は真空計14によりモニターされる。このときの真空排気は、通常の真空装置と同様に、初めにバルブ15を開いてロータリーポンプ3Bにより粗引きした後、真空度が1〜10Paになった時点で拡散ポンプ2による本引きに切り替える。それには、バルブ15を閉じた後、メインバルブ17を開く。なお、拡散ポンプ運転中はロータリーポンプ3Aも絶えず運転を継続しており、フォアバルブ16も開いたままになっている。本引きに切り替えてしばらくすると炉内の真空度は1×10−3〜1×10−5Paになる。
次に、フッ化物原料やルツボに吸着する水分はおよそ100〜300℃の間に脱水されるため、300℃かそれ以下の温度までは加熱の速度をゆるやかにするか、100〜300℃の間の適当な温度で長時間保持するようにする。
≪精製工程−炉内真空度を0.01〜1Paにする(800〜1300℃)≫
次に、フッ化物原料が融解するまでの加熱昇温の間に、800〜1300℃の範囲で炉内真空度を0.01〜1Paの範囲に保持するようにする。この温度は、ZnFスカベンジャーからフッ素系のガス(この場合はZnFガス)が発生する温度に相当する。
炉内真空度を0.01〜1Paの範囲に保持する方法であるが、初めにバルブ17を閉じてしばらく待つ。炉内真空度がおよそ1〜10Paになったらバルブ15を開けて、ロータリーポンプ3Bだけによる真空排気を開始する。この時、800〜1300℃の範囲で適当な大きさの一定速度で昇温することで、一般的なロータリーポンプであれば炉内真空度をほぼ0.01〜1Paの範囲に収めることが比較的容易にできることがわかった。本発明では、800〜1300℃の範囲で一定速度で昇温する方法を用いたが、この範囲の適当な温度で一定温度保持を行なっても差支えない。また、真空計14を監視しながらバルブ15の開閉度を適当に調整することで、炉内真空度を0.01〜1Paに収めることも差支えない。
≪精製工程−融解≫
1300℃になった時点で再び拡散ポンプを使って真空排気する。それには、バルブ15を閉じてからバルブ17を開けばよく、これによりしばらくすると炉内真空度は1×10−3〜1×10−5Paになる。この後、加熱昇温して、原料が完全に融解するまで加熱する。フッ化カルシウムを長時間溶融状態に保持することで、化学式3に示すZnOの還元反応が促進される。すなわち、ZnOはルツボのカーボンと反応して、ガス状のZnとCO(もしくはCO)に還元される。これらは、いずれも原料溶融時に蒸発するため、融液外に除去しやすい物質である。
≪精製工程−固化≫
次に、融解したフッ化物を冷却して固化させることで、精製品(フッ化カルシウム多結晶のブロック)が得られる。
≪単結晶成長工程≫
精製品を2次原料として単結晶を作製する。それには、精製品をそのままかあるいは適当に破砕して、0.002mol%以上、2mol%以下のZnFスカベンジャーを添加する。次に、図3に示すように、ZnFを添加した精製品を成長用ルツボ31の中に入れる。ルツボを結晶炉(図2の構成)に設置して、真空排気した後で加熱融解する。この後、ルツボを徐々に引き下げて結晶成長させる。ルツボの引き下げ速度(降下速度)は例えば0.1〜5mm/hの範囲で設定する。
≪アニール工程≫
結晶成長したフッ化物単結晶を熱処理して複屈折を低減する。図4に示すように、単結晶43をルツボ41(この場合は3段構成)の中に設置して、ZnFスカベンジャー44を単結晶の周辺に入れる。スカベンジャー添加量は単結晶成長工程と同様に0.002mol%以上、2mol%以下とする。ルツボを結晶炉(図2)に設置して、真空排気した後で加熱昇温してアニールする。アニールに要する時間は1〜2ヶ月に及び、大部分の時間は高温の温度保持と徐冷に費やすことになる。図4ではルツボを3段構成としているが、重ね合わせの段数はこれに限定されるわけではない。
アニールを終えた結晶は、必要とされる光学部品(又は光学素子)の形状に切断、研磨等の方法で成形加工する。光学素子は、レンズ、回折格子、光学膜体及びそれらの複合体、例えば、レンズ、マルチレンズ、レンズアレイ、レンチキュラーレンズ、ハエの目レンズ、非球面レンズ、回折格子、バイナリーオプティックス素子及びそれらの複合体を含む。また、光学素子は、単体のレンズ等に加えて(例えば、フォーカス制御用の)光センサーなどを含む。必要に応じて、反射防止膜をフッ化物結晶の光学物品表面に設けるとよい。反射防止膜としては、フッ化マグネシウムや酸化アルミニウム、酸化タンタルが好適に用いられ、これらは抵抗加熱による蒸着や電子ビーム蒸着やスパッタリングなどで形成できる。必要とされる光学物品の形状(凸レンズ、凹レンズ、円盤状、板状等)に成形加工するための研磨加工においては、CaF結晶内の転位密度が小さいことにより部分的な面精度の低下は非常に小さく許容値以下で高精度の加工が可能である。
以上、説明したように本実施形態によれば、フッ化物原料(粉末状)の精製において、フッ化物原料の融点以下の温度、特に、固体スカベンジャーからフッ素系ガスが発生する温度域において、炉内真空度を0.01〜1Paの範囲に保持するようにすることで、多量の粉末状のフッ化物原料に対しても、比較的短時間で原料全体にフッ素系ガスを行き渡らせて原料全体をフッ化できるようになる。こうして、短波長の透過率特性に優れた大口径のフッ化物結晶を製造する場合でも、精製工程に要する時間を短くすることができ、生産性を高くすることができる。
以下に実施例をあげて本発明をより詳細に説明する。
≪精製工程−スカベンジャー添加≫
高純度合成CaF粉体原料20kgにスカベンジャーとしてフッ化亜鉛を0.08mol%(21g)添加して十分に混合した。これを3セット用意した。
≪精製工程−加熱工程≫
スカベンジャーを添加・混合したフッ化物原料を図2に示す結晶炉の3段重ねのルツボ(カーボン製、内径φ340mm×深さ240mm)の中に入れた。各々のルツボの側面上部には、それぞれ内径φ3mmのガス穴が4個開けてあり(図中8)、側面の円周上に均等に配置されている。実施例1で使用したルツボは互いにねじ止めする構成になっているが、単純に重ね合わせただけの構成でも支障なく使うことができる。
次に、真空排気を開始して、真空度が1×10−3Pa以下に達した後でヒーターに通電してルツボの加熱を開始した。初めに、1時間あたり100℃(100℃/h)の昇温速度で室温から300℃まで加熱した後、300℃で24時間保持して原料に付着している水分を脱水した。その後は50℃/hの昇温速度で800℃まで加熱昇温した。この時点で真空度はおよそ1×10−3Pa〜1×10−5Paの範囲にある。800℃以上1300℃までの間は1時間あたり10℃(10℃/h)の速度で昇温した。800℃になった時点で、ロータリーポンプ3Bだけによる真空排気に切り替えた。すなわち、バルブ17を閉じてから真空度が徐々に低下するのを待って、真空度が1Paより悪くなった時点でバルブ15を開いてロータリーポンプ3Bだけによる真空排気を開始した。この後、1300℃まで昇温する間の真空度(真空計14)を監視すると、真空度は変動するものの0.01〜1Paの範囲に収まっていた。
≪精製工程−融解≫
次に、1300℃になった時点で、昇温速度を50℃/hに切り替えるのと同時に、再び拡散ポンプを使って真空排気するようにした。バルブ15を閉じてからバルブ17を開くと、しばらくして炉内真空度は1×10−3よりも高真空になった。このまま1450℃になるまで加熱昇温を続けて原料を完全に融解し、その後1450℃を保持したまま80時間溶融した。この間の炉内真空度は1×10−3〜1×10−5Paの範囲であった。
≪精製工程−固化≫
次に、融解したフッ化物を1000℃まで15℃/hの速度で冷却固化し、その後は室温まで放冷することで精製品(フッ化カルシウム多結晶のブロック)を得た。
以上の工程で得られた精製品は、不純物を除去して嵩密度を大きくすることが目的であるから、粒界が存在する結晶であってもよい。こうして得られた精製品を切断、研磨して10mm厚の円盤とし、真空紫外域(157nm)の透過率を測定すると良好な透過率であることがわかった。表1にこの結果をまとめた。
≪単結晶成長とアニール工程≫
成長、アニールいずれの工程も。ZnFスカベンジャー添加量を0.006mol%とした。単結晶成長工程におけるルツボの引き下げ速度(降下速度)は1mm/hとした。
以上の工程で得られたフッ化カルシウム単結晶を切断、研磨して10mm厚と30mm厚の円盤をそれぞれ作製し、10mm厚に試料について真空紫外域(157nm)の透過率を測定し、30mm厚の試料についてFエキシマレーザー光を長期間繰り返し照射したときの透過率劣化量を測定したが、いずれの測定値も良好な特性を示していた(表1)。
実施例2では、精製工程でフッ化物原料が融解するまでの加熱昇温の間に、800〜1300℃における昇温速度を変えてみた。これ以外の条件は、実施例1とまったく同様の実験を行なった。この結果、昇温速度が3℃/hと25℃/hの場合は、800〜1300℃において炉内真空度は0.01〜1Paの範囲に保持されていて、得られた精製品や、この精製品を2次原料として製造した蛍石単結晶の透過率特性は、いずれも実施例1と同様に良好だった(表1)。
これに対して比較のため、同じ温度域で昇温速度を50℃/hに速くすると、炉内真空度は0.01〜1Paに収まらず最大で10Paを超えてしまい、得られた精製品の真空紫外透過率は若干低下してしまうことがわかった(表1)。
(比較例1)
比較例1では、精製工程でフッ化物原料が融解するまでの加熱昇温の間に、800〜1300℃においても拡散ポンプ2とロータリーポンプ3Aとによる真空排気を継続した。すなわち、800〜1300℃においてロータリーポンプ3Bだけによる真空排気に切り替えることはしなかった。また、このときの昇温速度として2℃/h、3℃/h、10℃/hの3水準を実験した。この結果、800〜1300℃において、3水準いずれも炉内真空度は1×10−3〜1×10−5Paの範囲を示していた。これ以外の条件は、実施例1とまったく同様の実験を行なった。
比較例1で得られた精製品の真空紫外透過率を調べると、2℃/hと3℃/hについては良好な結果であり、その後の工程で単結晶を作るのにも好適な精製品であったが、10℃/hの昇温速度では精製品の真空紫外透過率が低くなってしまうことがわかった(表1)。したがって、精製工程で原料が融解する前の加熱昇温中に800〜1300℃において炉内を高真空にしてしまうと、実施例1や2のごとく炉内真空度を0.01〜1Paに保持する場合に比べて、良い精製品を得るのに非常に長い昇温時間を必要とすることになる。
(比較例2)
比較例2では、精製工程だけ図5に示す結晶炉を使用して、フッ化物原料が融解するまでの加熱昇温の間に800〜1300℃において、真空排気を行なわずに炉内にAr(アルゴン)ガスを導入して炉内の雰囲気圧を1気圧に維持した。単結晶成長とアニール工程については、実施例1と同様に図2に示される結晶炉を使用した。
まず、室温から800℃までの加熱昇温や真空排気の方法については実施例1と同様である。この結果、800℃に到達した時点では、拡散ポンプ102とロータリーポンプ103Aとにより真空排気が行なわれている。次に、この時点でバルブ117を閉じた後(バルブ115は閉じている)、バルブ119を開けてArガスを炉内に導入して、炉内真空度を1気圧に調整した。その後800〜1300℃の範囲にわたって炉内真空度を1気圧に保つようにした。800〜1300℃の間の昇温速度は比較例1と同様に2℃/h、3℃/h、10℃/hの3水準を実験した。1300℃に達した時点で再び炉内を真空排気した。このときの操作手順は、初めにArガス供給バルブ119を閉じてからバルブ115を開けてロータリーポンプ103Bで排気する。炉内真空度が1〜10Paに達したらバルブ115を閉めた後、バルブ117を開けて拡散ポンプ102とロータリーポンプ103Aとによる真空排気に切り替える。これ以降の精製工程は実施例1と同じにした。
比較例2で得られた精製品の真空紫外透過率を調べると、昇温速度2℃/hについては良好な結果だったが、3℃/hと10℃/hでは精製品の真空紫外透過率が低くなってしまうことがわかった(表1)。したがって、精製工程で原料が融解する前の加熱昇温中に、800〜1300℃において炉内にAr(アルゴン)ガスを導入して炉内雰囲気の圧力を高くしてしまうと(1気圧)、実施例1や2のごとく炉内真空度を0.01〜1Paに保持する場合に比べて、良い精製品を得るのに非常に長い昇温時間、ひいては精製時間を必要とすることになる。
以上の実施例と比較例の結果をまとめて表1に示す。
表1によれば、フッ化カルシウム(蛍石)の粉末原料の精製において、蛍石の融点以下の温度、特に、ZnF固体スカベンジャーからフッ素系ガスが発生する800〜1300℃の温度域において、炉内真空度を0.01〜1Paの範囲に保持することで透過率特性の良い精製品が得られることがわかる。
このとき800〜1300℃の昇温速度が3〜25℃/hの範囲であれば、透過率特性の良好な精製品が得られている。しかし、この温度域の炉内真空度が0.01〜1Paより高真空であったり(比較例1)、圧力が大きかったりすると(比較例2)、品質の良い精製品を得るためには、昇温速度を3℃/hかそれよりも遅くしなければならず、精製工程に要する時間が大変長くなってしまうことがわかる。
以上のことから、本発明の実施形態に従って精製工程を行うことで、多量の粉末状のフッ化カルシウム原料に対しても、比較的短時間で原料全体にフッ素系ガスを行き渡らせて原料全体をフッ化できるようになる。こうして、短波長の透過率特性に優れた大口径のフッ化物結晶を製造する場合でも、精製工程に要する時間を短くすることができ、生産性を高くすることができる。
Figure 2005330144
(※1)表面2面の反射を含む測定値が88.5%以上の場合を○(良品)、未満を×(不良)とした(試料の厚さは10mm)。
(※2)表面2面の反射を含む測定値が89.9%以上の場合を○(良品)、未満を×(不良)とした(試料の厚さは10mm)。
(※3)エネルギー密度15mJ/cmのFエキシマレーザーを105パルス照射した後の、157nmにおける透過率の劣化量が0.4%/cm以下の場合を○(良品)、超える場合を×(不良)とした(試料の厚さは30mm)。
本発明の実施例に基づいた、フッ化物結晶の製造工程とフッ化物原料の精製工程を示す概念図である。 本発明の実施例で用いられる結晶製造炉の縦断面を示す模式図である。 本発明の実施例において、単結晶成長で用いられるルツボの縦断面を示す模式図である。 本発明の実施例において、アニールで用いられるルツボの縦断面を示す模式図である。 本発明の比較例のひとつで用いられる精製炉の縦断面を示す模式図である。
符号の説明
1 チャンバー
2 油拡散ポンプ(拡散ポンプ)
3A 油回転ポンプ(ロータリーポンプ)
3B 油回転ポンプ(ロータリーポンプ)
4 断熱材
5 ヒーター
6 ルツボ
7 フッ化物原料
8 ガス穴(開口部)
9 熱電対
14 真空計
15〜18 バルブ
20 流量計
31 ルツボ
32 ルツボの蓋
33 ガス穴(開口部)
34 フッ化物原料(精製品を破砕した結晶)
41 ルツボ
42 ガス穴(開口部)
43 フッ化物単結晶
44 フッ化亜鉛スカベンジャー
101 チャンバー
102 油拡散ポンプ(拡散ポンプ)
103A 油回転ポンプ(ロータリーポンプ)
103B 油回転ポンプ(ロータリーポンプ)
104 断熱材、
105 ヒーター
106 ルツボ
107 フッ化物原料
108 ガス穴(開口部)
109 熱電対
110 Ar(アルゴン)ガス導入管
111 Ar(アルゴン)ガス供給用ボンベ
114 真空計
115〜119 バルブ
120 流量計

Claims (3)

  1. 固体スカベンジャーが添加されたフッ化物原料をルツボ内で加熱もしくは加熱溶融してフッ化物結晶を製造する際に、加熱工程において前記フッ化物原料の融点以下の温度で炉内真空度を0.01〜1Paに保持することを特徴とするフッ化物原料の精製方法。
  2. 固体スカベンジャーはZnFであって、炉内温度が800〜1300℃において炉内真空度を0.01〜1Paに保持することを特徴とする請求項1記載のフッ化物原料の精製方法。
  3. 炉内真空度を0.01〜1Paに保持する方法は、ロータリーポンプによる排気で行なうことを特徴とする請求項1または2記載のフッ化物原料の精製方法。
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