JPH10279396A - フッ化物結晶の製造装置 - Google Patents

フッ化物結晶の製造装置

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JPH10279396A
JPH10279396A JP8162597A JP8162597A JPH10279396A JP H10279396 A JPH10279396 A JP H10279396A JP 8162597 A JP8162597 A JP 8162597A JP 8162597 A JP8162597 A JP 8162597A JP H10279396 A JPH10279396 A JP H10279396A
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crucible
crystal
fluoride
furnace
raw material
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JP8162597A
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Toshio Ichizaki
敏夫 市崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、結晶中に残留する不純物やスカベ
ンジャー等を効率良く除去し、透過率の高いフッ化物結
晶を製造し得るフッ化物結晶の製造装置を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 原料にスカベンジャーを添加して結晶成
長を行う工程において、結晶成長に用いるルツボを複数
に分割し多段にしたことを特徴とする。また、前記分割
したルツボの重ね合わせ部に段差を設けたことを特徴と
する。さらに、前記ルツボの底面の中心部に下段のルツ
ボに融液が落下させるための接続穴を形成し、前記ルツ
ボの底面の周辺部にガス抜き穴を設けたことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、真空紫外域から遠
赤外域までの広い波長範囲において用いられる各種光学
素子、レンズ、窓材、プリズム等に好適なフッ化物結晶
の製造装置に関するものである。特に、エキシマレーザ
ー用の大口径レンズ(口径250mm以上)等の光学物
品に用いられるフッ化物結晶の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エキシマレーザーは、紫外域で発振する
唯一の高出力レーザーとして注目されており、電子産業
や化学産業やエネルギー産業において応用が期待されて
いる。
【0003】具体的には金属、樹脂、ガラス、セラミッ
クス、半導体等の加工や化学反応等に利用されている。
【0004】エキシマレーザー光を発生する装置はエキ
シマレーザー発振装置として知られている。チャンバー
内に充填されたAr,Kr,Xe,F2,Cl2等のレー
ザーガスを電子ビーム照射や放電等により励起状態にす
る。励起された原子は基底状態の原子と結合して励起状
態でのみ存在する分子を生成する。この分子がエキシマ
と呼ばれるものである。エキシマは不安定な為、直ちに
紫外光を放出して基底状態に落ちる。これをボンドフリ
ー遷移というが、この遷移よってえられた紫外光を一対
のミラーで構成される光共振器内で増倍してレーザー光
として取り出すものがエキシマレーザー発振装置であ
る。
【0005】エキシマレーザー光の中でもKrFレーザ
ーやArFレーザーはそれぞれ波長が248nmの光、
又は、193nmといった真空紫外域とよばれる波長域
の光であり、光学系にはこうした波長域の光の透過率が
高いものを用いなければならない。このような光学系に
適した硝材として、フッ化カルシウム、フッ化マグネシ
ウム、フッ化バリウム、フッ化ネオジウム、フッ化リチ
ウム、フッ化ランタン等のフッ化物が知られている。
【0006】以下、蛍石とよばれるフッ化カルシウム
(化学量論比で示すとCaF2)を例に挙げて、従来の
フッ化物結晶の製造方法について述べる。
【0007】従来のフッ化物結晶の製造方法として、例
えば、特開平4−349199号公報、特開平4−34
9198号公報に記載された方法がある。それを簡単に
述べると、化学合成でつくられた高純度粉体原料をその
まま溶融させた場合、嵩比重の関係で目減りが激しくな
るので、結晶成長炉に高純度原料を入れる際にはカレッ
ト状になったものを使用するというものである。以下
に、本発明者が本発明に至るまでに得た知見を述べる。
【0008】図8は、本発明者がまず先に行ったフッ化
物結晶の製造方法を示す概念図である。
【0009】まず工程S1では粉末原料を用意して、工
程S2でこれを容器にいれて溶融した後冷却する。工程
S3では固化した塊をステンレス製の粉砕機で粉砕す
る。その後工程S4では、粉砕された塊を結晶成長用の
ルツボに入れて溶融した後徐冷して結晶を成長させてフ
ッ化物結晶ブロックを作製する。
【0010】ここで、工程S2は、工程S4において溶
融する前と溶融する後との嵩密度の変化を少なくする為
になされる工程であり、また、原料中の不純物を除去す
る工程でもある。
【0011】また、工程2及び4においては、原料(C
aF2)が水分等と反応して生成したCaOやもともと
原料中に存在する不純物を除去するために、金属のフッ
化物であるスカベンジャーを加える。例えば、ZnF2
のスカベンジャーはCaOと反応してCaF2とし、自
らはZnOとなって結晶溶融時に蒸発するものである。
この結果、不純物としてのCaOは除去され、透過率特
性の優れたフッ化物結晶が得られる。
【0012】こうして得られたフッ化物結晶ブロック
は、所望の厚さに切断され、所望のレンズ形状等に加工
整形され光学物品として使用される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者が、より一層透過特性の優れたフッ化物結晶を得るた
めの製造条件等を検討する中で、ルツボ構造が成長した
単結晶の光学特性に大きく影響することを見い出した。
【0014】即ち、結晶成長工程で用いる従来のルツボ
構造と最終的に得られる結晶の透過率との関係を鋭意検
討した結果、ルツボ形状によっては原料中の不純物やス
カベンジャーの反応生成物が微量ではあるもののルツボ
内部に残留し外部に放出されないことが分かり、これら
の不純物が最終的な結晶の光学特性を低下させ、また光
学部品間のバラツキをも生じさせることが分かった。
【0015】また、結晶成長工程においては、精製した
ブロックを粉砕等して成長炉のルツボに入れる必要があ
り、粉砕により嵩密度が低下し、所望の結晶を得るため
にはより大きなルツボが必要となるとともに、粉砕工程
が必要なことから生産性が悪いものであった。また、粉
砕時には微量の不純物が混入してしまい、これで透過率
が低下するといった問題もあった。
【0016】本発明は、これらの知見に基づき、その問
題を解決すべく鋭意検討して完成に至ったものであり、
結晶中に残留する不純物やスカベンジャー等を効率良く
除去し、透過率の高いフッ化物結晶を製造し得るフッ化
物結晶の製造装置を提供することを目的とする。
【0017】また、本発明は、生産性の高いフッ化物結
晶の製造装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のフッ化物結晶製
造装置は、原料にスカベンジャーを添加して結晶成長を
行う工程において、結晶成長に用いるルツボを複数に分
割し多段にしたことを特徴とする。
【0019】前記分割したルツボの重ね合わせ部に段差
を設けるのが好ましい。
【0020】また、本発明のフッ化物結晶の製造装置
は、前記ルツボの各段の底面の中心部に融液を下段に落
下させるための接続穴を形成したことを特徴とする。さ
らには、前記ルツボの底面の周辺部にガス抜き穴を設け
たことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のフッ化物結晶の製造装置
における成長炉ルツボを図1に、成長炉を図2に示す。
なお、本発明は口径250mm以上のフッ化物結晶に限
られるものではなく、500mmの口径を有するフッ化
物結晶を得ることができる。
【0022】図2において、201は成長炉のチャンバ
ーであり、真空排気系に接続されている。202は断熱
材、203はヒーター、204はルツボ、205はルツ
ボ引き下げ機構である。
【0023】本発明の成長炉用のルツボは、図1に示す
ように、複数に分割され、多段に積層されたものであ
る。100はルツボ本体、101は原料の蒸発を防止す
るために設けられた蓋であり、102は各段のルツボの
接続穴、103はガス抜き穴、104が各段ルツボのの
重ね合わせ部である。なお、ルツボの段数は、図1の例
では3段であるが、必要に応じて1段、2段あるいは4
段でもかまわない。
【0024】本発明に用いられる各段の成長炉用のルツ
ボの大きさは、必要とされるフッ化物結晶の大きさに依
存して定められる。例えば、露光装置用のレンズの場合
は、口径が250mm〜500mm、厚さが10mm〜
100mm程度の結晶を必要とするため、ルツボの内径
を250mm〜550mm、内部高さを30mm〜30
0mm程度とするとよい。また、薄い結晶が必要な場合
には、内部高さを10mm〜50mmとしてもよく、よ
り小さな口径の結晶が必要な場合は250mmより小さ
く、例えば80mm〜100mmとすることもできる。
【0025】本発明において、図1(b),(c)のよ
うに各段のルツボ間に接続穴102を設けた構造では、
結晶ブロックの高さがルツボの内部高さになるので、ル
ツボの内部高さで10mm以上50mm以下とするのが
好ましい。50mm以下とすることで、結晶の内部に残
留しやすいスカベンジャーの金属元素や酸素等の不純物
が効率よく外部に排出され、結晶中のこれら不純物濃度
を一層低下させることができる。一方、10mm以上と
することで、欠陥密度の一層少ない結晶とすることがで
きる。つまり、劈開面のエッチピット密度による欠陥評
価によれば、結晶底面付近に著しく、その影響を減少さ
せるためには、10mm以上にするのが望ましい。
【0026】また、ルツボの内部高さを、作製しようと
する光学部品の厚さに合わせておけば、後の切断工程は
省略でき、生産性が向上する。なお、各段のルツボ内部
高さは同一とする必要はなく、異なる内部高さのルツボ
を積層してもよい。
【0027】図1(b)のルツボは、各段のルツボ底面
の中央部に接続穴102を設けたものである。この穴を
通して、材料を溶融する際に溶融液が下段のルツボに落
下し、各段が連続することになる。この接続穴102の
大きさは、融液が表面張力に打ち勝って下段に落下でき
ように、1〜5mm径とするのが好ましい。
【0028】結晶化は最下段から進み、その際、この接
続穴102の結晶が種となって、上の段の結晶成長が順
に起こり、結晶性の優れた結晶が得られる。
【0029】なお、ルツボ内部のガスは、各段の重ねあ
わせ部104から外部に抜け出る。ルツボの材質を例え
ば、黒鉛のように溶融液に濡れない材料を選択すること
により、この重ね合わせ部から溶融液が漏れることはな
い。ただし、段数を増やしていくと下の段では圧力が大
きくなり漏れる場合もあるため、図に示すように、重ね
合わせ部に段差を設けるのが好ましい。
【0030】図1(c)の構造は、さらに、底面の周辺
部にガス抜き穴103を設けたものである。このガス抜
き穴を設けることにより、不純物ガスの排出が容易とな
り、一層高純度の結晶を得ることができる。なお、ガス
抜き穴103の大きさは、上記接続穴102よりも小さ
な径とするのが好ましく、対称の位置に設けるのが好ま
しい。
【0031】以下、本発明の製造装置について、フッ化
物としてのフッ化カルシウム結晶の製造方法について説
明する。図6は、製造工程のフローチャートである。
【0032】(原料の用意)フッ化物原料としては、蛍
石原石又は合成フッ化物原料があるが、本発明において
は後者を用いることが望ましい。
【0033】(混合工程)フッ化カルシウム原料とスカ
ベンジャーとを混合する。このとき、フッ化カルシウム
とスカベンジャーとを容器にいれてこの容器を回転させ
て混合するとよい。スカベンジャーとしては、フッ化カ
ドミウム、フッ化鉛、フッ化亜鉛、フッ化ビスマス、フ
ッ化ナトリウム、フッ化リチウムなどが用いられるが、
成長させるフッ化物より酸素と結合し易く、合成フッ化
物原料中に混じっている酸化物と反応して、除去できる
物質であること、高純度が得られること、極微量残留し
ても光学特性に影響を与えないものが選択される。とり
わけフッ化亜鉛やフッ化ビスマスが望ましいものであ
る。
【0034】スカベンジャーの添加率は0.05mol
%以上5mol%以下が好ましく、より好ましくは0.
1〜1mol%である。発生したZnOは各工程におけ
る高温条件下で除去されること、極微量の残留において
も光学特性に影響しにくいことの利点がある。
【0035】(精製工程)混合されたフッ化物原料を精
製炉ルツボ入れて溶融した後、結晶化する。
【0036】図3は原料の精製を行うとともに、粉末原
料の嵩密度を高めるために用いる精製炉である。図3に
おいて、301は精製炉のチャンバーであり、真空排気
系に接続されている。302は断熱材、303はヒータ
ー、304はルツボである。
【0037】なお、精製炉のルツボも、図4に示すよう
に、成長炉ルツボと同様に多段とするのが好ましく、精
製工程においても、原料中の不純物、スカベンジャー反
応物等の不純物ガスが効率よく放出され、精製された結
晶中の不純物を抑えることができる。
【0038】ここで、精製炉ルツボ400の各段の内部
高さは、溶融液の高さが、50mm以下となるようにす
るのが好ましい。
【0039】なお、図4(a)のような構造では、ガス
は重ね合わせ部から排出されるが、図4(b)に示すよ
うに、各段の側壁にガス抜き穴402を設けることによ
り、不純物の残留を一層抑えることができる。その結
果、最終的に得られる結晶の不純物は極めて微量に抑え
ることができ、透過率の高い結晶を得ることができる。
【0040】また、精製炉ルツボの径は成長炉ルツボの
径よりも小さめのルツボを用いるのが好ましい。こうす
ることにより、精製後の結晶ブロックをそのまま結晶成
長炉ルツボに充填することができ、生産性を高めること
ができる。
【0041】溶融温度はフッ化物の融点以上であればよ
いが、好ましくは1390〜1450℃である。
【0042】温度測定には白金からなる熱電対(不図
示)を用いた。熱電対はルツボの外壁近傍よりルツボ温
度を測定するが本発明者が詳細に検討した結果、測定温
度が1380〜1450℃の範囲にあることが好適であ
ることが分かった。
【0043】即ち、1380℃以下では、ルツボ内のフ
ッ化物原料の実際の温度は低く、それが融点近い温度の
場合、原料が完全に融解するまでに長い時間を必要と
し、生産性の向上を図ることができない。また、145
0℃以上では、フッ化物原料の気化が激しく、原料損失
による生産性の低下を避けることができない。
【0044】結晶化は溶融したフッ化物を徐冷却して行
う。ここで得られるフッ化物は単結晶である必要はなく
多結晶で十分である。こうして得られたフッ化物結晶は
その表層を1〜2mm程度除去する。なお、結晶化させ
る際、ルツボを引き下げながら冷却して結晶化させても
よく、不純物除去の点でより好ましい。
【0045】(結晶成長工程)結晶成長工程では、精製
したフッ化物結晶を粉砕して成長用ルツボの各段にに充
填する。あるいは、精製炉ルツボに多段ルツボを用いた
場合には、フッ化物結晶を成長炉用ルツボに1又は2以
上重ねて入れる。精製炉用ルツボで得られたフッ化物の
大きさ(直径)が成長炉用ルツボの大きさ(直径)の
0.9〜0.95倍となるように、これのルツボの大き
さの比は1:1.05〜1:1.1とするのが好まし
い。
【0046】そして、1390〜1450℃程度までル
ツボを加熱してフッ化物を溶融した後、0.1〜5.0
mm/h位の速度でルツボを降下させる。特に、積極的
に冷却するわけではないが、ルツボの降下とともにフッ
化物は部分的に温度が低下していくことで結晶化する。
【0047】この結晶成長工程においては、酸化カルシ
ウム等を除去するため、成長炉ルツボ内にフッ化物原料
とともにスカベンジャーも入れる。
【0048】(アニール工程)続いて、結晶成長したフ
ッ化物結晶を熱処理する。このアニール工程では、ルツ
ボを900〜1000℃に加熱する。加熱時間は20時
間以上とするのが望ましい。
【0049】図5は、アニール工程に用いられるアニー
ル炉を示す模式図である。図5において、501はアニ
ール炉のチャンバー、502は断熱材、503はヒータ
ー、504はルツボである。
【0050】(加工)その後は、必要とされる光学物品
の形状(凸レンズ、凹レンズ、円盤状、板状等)に整形
する。又、必要に応じて、反射防止膜をフッ化物結晶の
光学物品表面に設けるとよい。反射防止膜としては、フ
ッ化マグネシウムや酸化アルミニウム、酸化タンタルが
好適に用いられ、これらは抵抗加熱による蒸着や電子ビ
ーム蒸着やスパッタリングなどで形成できる。本発明に
より得られた光学物品は水をほとんど含まない為に反射
防止膜の密着性も優れたものとなる。
【0051】こうして得られたレンズを各種組み合わせ
れば、エキシマレーザー、特にArFエキシマレーザー
に適した光学系を構成できる。そして、エキシマレーザ
ー光源と、フッ化カルシウムからなるレンズを有する光
学系と、基板を移動させ得るステージとを組み合わせ
て、露光装置を構成できる。
【0052】この露光装置を用いて、エキシマレーザー
光をレチクルのパターンを介して基板上の光増感型レジ
ストに照射すれば、形成すべきパターンに対応した潜像
が形成できる。
【0053】
【実施例】本発明のフッ化物結晶の製造装置について、
実施例をあげて具体的に説明する。
【0054】[実施例1]本実施例においては、図6に
示す手順に従い、フッ化カルシウムの結晶を作製した。
以下に工程ごとに説明する。
【0055】(調合、混合工程)容器に粉末のフッ化カ
ルシウム原料を入れ、スカベンジャー(ZnF2)を原
料の0.08mol%計量し原料の入った容器に入れ
た。なお、容器の大きさは原料の約2倍の容積のものを
用いた。容器を、約1時間回転して、原料とスカベンジ
ャーを混合した。
【0056】(精製工程)図3に示す精製炉を用いて、
原料の精製を行った。精製炉ルツボには、図4(a)と
同じ構造の3段ルツボを用いた。
【0057】各段のルツボに調合済みの原料を充填し、
ルツボを精製炉にセットし、チャンバー301内を真空
排気して原料中の水分を除去した。
【0058】原料が融解する温度まで真空度を5×10
-4Torr以下に保つようにして、ヒーター303によ
りルツボ304を加熱した。原料は1390〜1450
℃で融解した。ルツボ内に充填した材料は全て完全に融
解させた。
【0059】融解する温度に達したら真空度が2×10
-6Torr以下になるまで保持した。
【0060】その後、ヒーターの電源を切り冷却し、室
温程度まで冷却した後、各段からフッ化物結晶を炉から
取り出して、表層を1mm程度除去した。
【0061】(結晶成長工程)次に、図2に示す成長炉
を用いてフッ化カルシウムの結晶成長を行った。
【0062】なお、ルツボは図1(b)に示す構造のも
ので各段の内部高さが12mmの3段ルツボを用いた。
【0063】ZnF2スカベンジャーを各段のルツボに
投入し、さらに精製した結晶ブロックを投入し、このル
ツボを成長炉にセットした。なお、ZnF2スカベンジ
ャーの量は精製した結晶ブロックの0.02mol%と
した。
【0064】チャンバー201内を真空排気して結晶2
05中の水分を除去し、ヒーター203にてルツボを加
熱した。ここで、結晶が融解する温度まで真空度を5×
10 -4Torr以下に保つように加熱した。結晶は13
90〜1450℃で融解した。ルツボ内に充填した結晶
を全て完全に融解させた。
【0065】融解する温度に達したら真空度が2×10
-6Torr以下になるまで保持した。さらに、温度が安
定状態に達してから10時間程度保持した。
【0066】その後、引き下げ機構205にてルツボを
約2mm/hの速度で下部へ移動させた。ルツボが下が
りきった時点でヒーター203への印加電圧を、温度降
下速度が約100℃/h以内になるように、徐々に下げ
た。
【0067】その後、ヒーターの電源を切り、室温程度
まで冷却した後、炉からフッ化カルシウム結晶を取り出
した。最上段の結晶は半分程度の厚さの結晶となった。
【0068】(アニール工程)図5に示すアニール炉を
用いて、フッ化カルシウム結晶の熱処理を行った。取り
出した結晶をアニール用のルツボ504にセットし、結
晶とルツボとの隙間に結晶の0.04mol%の量のZ
nF2スカベンジャーをほぼ均一に撒き、ベルジャー5
01内を真空排気してゆっくりと加熱した。温度スケジ
ュールは以下の通りである。
【0069】 室温→900℃(上昇速度+100℃/h) 900℃で保持(20h) 900℃→室温(降下速度−6℃/h) 室温程度まで冷却した後、結晶を炉から取り出した。
【0070】以上のようにして作製した結晶を研磨して
10mm厚のフッ化物結晶を作製した。
【0071】[実施例2]本実施例では、実施例1の精
製炉のルツボの代わりに、従来の単一の精製炉ルツボを
用い、結晶化後粉砕して多段の成長炉用ルツボに充填し
た他は、実施例1と同様にして、フッ化物結晶を作製し
た。
【0072】[実施例3]本実施例では、実施例1の成
長炉ルツボの代わりに、図1(a)に示す構造の多段ル
ツボを用い、実施例2で精製した結晶ブロックを切断し
て成長炉ルツボの各段に入れて、実施例1と同様にし
て、フッ化物結晶を作製した。
【0073】[実施例4]本実施例では、精製炉用ルツ
ボとして、図4(b)に示す各段のルツボ側壁にガス抜
き穴を設けたものを用い、実施例1と同様にして、フッ
化物結晶を作製した。なお、ガス抜き穴は、直径3mm
のものを対称に8カ所設けたものである。
【0074】[実施例5]本実施例では、実施例4と同
様に精製炉用ルツボとして、各段のルツボ側壁にガス抜
き穴を設けたものを用い、さらに成長炉用ルツボとし
て、図1(c)に示すように、周辺部に16カ所対称の
位置にガス抜き穴を設けたものを用い、後は実施例1と
同様にして、フッ化物結晶を作製した。
【0075】[比較例]比較のため、精製炉用ルツボ及
び成長炉用ルツボとも従来構造のルツボを用い、精製後
の結晶を粉砕して成長炉ルツボに充填して作製した結晶
ブロックを切断、研磨して厚さ10mmのフッ化物結晶
を作製した。
【0076】実施例1〜4及び比較例で作製したフッ化
物結晶(厚さ10mm)について測定した真空紫外域の
分光透過率を図7に示す。
【0077】図7から明らかなように、実施例と比較例
との比較から明らかなように、成長炉ルツボを多段にす
ることにより、分光透過率は向上することが分かる。
【0078】しかも、成長炉ルツボの各段の底面部にガ
ス抜き穴を設けることにより、透過率はさらに改善され
た。
【0079】一方、精製炉についても、多段式ルツボを
用いることにより、さらには、各ルツボ側壁にガス抜き
穴を設けたものを用いた場合には、最終的に得られる結
晶の短波長域での透過率は一層優れたものになることが
分かった。
【0080】なお、各実施例において、各段で作製され
たフッ化物結晶は、同じ分光スペクトルを示すことが確
認された。
【0081】[実施例6]実施例1において、成長炉用
ルツボとして、各段の内部高さが50mmの多段ルツボ
を用いた以外は、実施例1と同様にして、結晶を作製
し、これを切断、研磨して10mm厚のフッ化物結晶と
した。
【0082】このフッ化物結晶を同様に真空紫外域の分
光透過スペクトルを測定したところ、図7に示すよう
に、最下層のフッ化物結晶であっても実施例1と同様に
高い分光透過率を示した。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、結晶中のスカベンジャ
ーその他の不純物を結晶中から効率よく排除できるた
め、透過率の高いフッ化物結晶を得ることができる。
【0084】従って、短波長で高出力の光を長期間繰り
返し照射した場合であっても、透過率特性が劣化し難
い、信頼性の高いフッ化物結晶を提供することが可能と
なる。
【0085】また、本発明によれば、ルツボ形状を特定
することにより、光学物品の大きさの結晶を作製できる
ため、切断等の工程が不要になり生産性を上げることが
でき、低コストで光学物品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフッ化物結晶製造装置の成長炉に用い
るルツボの一例を示す模式的断面図である。
【図2】本発明に好適な結晶成長炉の一例を示す模式的
断面図である。
【図3】本発明に好適な精製炉の一例を示す模式的断面
図である。
【図4】本発明に好適な精製炉ルツボの一例を示す模式
的断面図である。
【図5】本発明に好適なアニール炉の一例を示す模式的
断面図である。
【図6】本発明に好適な結晶製造工程のフローチャート
である。
【図7】フッ化物結晶の分光透過スペクトルである。
【図8】従来のフッ化物結晶製造工程を示す概念図であ
る。
【符号の説明】
100 成長炉ルツボ本体、 101 ルツボ蓋、 102 接続穴 103 ガス抜き穴、 201 成長炉のチャンバー、 202 断熱材、 203 ヒーター、 204 ルツボ、 205 ルツボ引き下げ機構、 301 精製炉のチャンバー、 302 断熱材、 303 ヒーター、 304 ルツボ、 400 精製炉ルツボ、 401 ルツボ蓋、 402 ガス抜き穴、 501 アニール炉のチャンバー、 502 断熱材、 503 ヒーター、 504 ルツボ、 505 結晶。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料にスカベンジャーを添加して結晶成
    長を行う工程において、結晶成長に用いるルツボを複数
    に分割し多段にしたことを特徴とするフッ化物結晶の製
    造装置。
  2. 【請求項2】 前記分割したルツボの重ね合わせ部に段
    差を設けたことを特徴とする請求項1に記載のフッ化物
    結晶の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記ルツボの各段の底面の中心部に融液
    が下段に落下させるための接続穴を形成したことを特徴
    とする請求項1又は2に記載のフッ化物結晶の製造装
    置。
  4. 【請求項4】 前記ルツボの底面の周辺部にガス抜き穴
    を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項
    に記載のフッ化物結晶の製造装置。
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