JPH11116393A - 無機フッ化物単結晶の育成方法 - Google Patents
無機フッ化物単結晶の育成方法Info
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- JPH11116393A JPH11116393A JP28886497A JP28886497A JPH11116393A JP H11116393 A JPH11116393 A JP H11116393A JP 28886497 A JP28886497 A JP 28886497A JP 28886497 A JP28886497 A JP 28886497A JP H11116393 A JPH11116393 A JP H11116393A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】無機フッ化物単結晶の育成において、酸化物な
どの不純物や酸素などの吸着物に影響されない高品質単
結晶の育成方法を提供する。 【解決手段】透明石英管9などで構成する製造容器内
へ、不活性ガスと一部または全部がフッ素化されたパラ
フィンとの混合ガスをガス導入管13より流入させ、熱
分解により発生する炭素やフッ素の作用により、原料溶
融8から酸素や水素を除去し、さらにフッ素を付与して
原料融液8を固化する。
どの不純物や酸素などの吸着物に影響されない高品質単
結晶の育成方法を提供する。 【解決手段】透明石英管9などで構成する製造容器内
へ、不活性ガスと一部または全部がフッ素化されたパラ
フィンとの混合ガスをガス導入管13より流入させ、熱
分解により発生する炭素やフッ素の作用により、原料溶
融8から酸素や水素を除去し、さらにフッ素を付与して
原料融液8を固化する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機フッ化物単結
晶の育成方法に関する。
晶の育成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】良質な無機フッ化物単結晶(以下、「単
結晶」を単に「結晶」ともいう)を育成するためには、
無機フッ化物原料中に不純物として含まれる酸化物や水
酸化物など、または吸着物として原料に吸着した酸素や
水分などを除去し、さらに原料が完全なフッ化物となる
ようにあらかじめフッ素を原料に付与する、いわゆる、
フッ化処理を行ってから単結晶育成を行う必要がある。
結晶」を単に「結晶」ともいう)を育成するためには、
無機フッ化物原料中に不純物として含まれる酸化物や水
酸化物など、または吸着物として原料に吸着した酸素や
水分などを除去し、さらに原料が完全なフッ化物となる
ようにあらかじめフッ素を原料に付与する、いわゆる、
フッ化処理を行ってから単結晶育成を行う必要がある。
【0003】フッ化処理を行わない場合には、原料中に
残留していた不純物または原料への吸着物が、昇温・溶
融によって原料と反応して酸化物や水酸化物などを生成
し、この生成した酸化物や水酸化物などが結晶中に析出
する結果、転位、光学的散乱中心、クラックなどの結晶
欠陥を発生させて結晶品質が著しく低下する。
残留していた不純物または原料への吸着物が、昇温・溶
融によって原料と反応して酸化物や水酸化物などを生成
し、この生成した酸化物や水酸化物などが結晶中に析出
する結果、転位、光学的散乱中心、クラックなどの結晶
欠陥を発生させて結晶品質が著しく低下する。
【0004】従来、このフッ化処理の方法として以下の
方法が知られている。 1)無機フッ化物原料にフッ化鉛PbF2 を数%加え、
原料の昇温・溶融過程で残留酸素などを酸化鉛PbOと
し、溶融用容器が設置されている製造容器内を減圧する
ことにより酸化鉛を除去してから結晶成長する(D.
C.Stockbager,J.Opt.Soc.A
m.,39(1943),731〜740)。
方法が知られている。 1)無機フッ化物原料にフッ化鉛PbF2 を数%加え、
原料の昇温・溶融過程で残留酸素などを酸化鉛PbOと
し、溶融用容器が設置されている製造容器内を減圧する
ことにより酸化鉛を除去してから結晶成長する(D.
C.Stockbager,J.Opt.Soc.A
m.,39(1943),731〜740)。
【0005】2)育成用の無機フッ化物原料をフッ化水
素HFガスを流した製造容器内で帯溶融(ゾーンメル
ト)法により精製し、透明度の高い部分のみを選んで無
機フッ化物原料とし、さらにフッ化水素HFガス雰囲気
中においてチョクラルスキー法によって結晶の育成を行
う(R.Uhrin et al.,J.Crysta
l Growth,38(1977),38〜44)。
素HFガスを流した製造容器内で帯溶融(ゾーンメル
ト)法により精製し、透明度の高い部分のみを選んで無
機フッ化物原料とし、さらにフッ化水素HFガス雰囲気
中においてチョクラルスキー法によって結晶の育成を行
う(R.Uhrin et al.,J.Crysta
l Growth,38(1977),38〜44)。
【0006】3)無機フッ化物原料にフッ化水素アンモ
ニウムNH4 HF2 を加えて、フッ化水素アンモニウム
の分解反応によって生成したフッ化水素により残留酸素
などの除去を行う。
ニウムNH4 HF2 を加えて、フッ化水素アンモニウム
の分解反応によって生成したフッ化水素により残留酸素
などの除去を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のフッ化処理の方
法には、下記のいくつかの問題点がある。1)の方法で
は、フッ化物単結晶育成に用いる窒素やアルゴンガスな
どの不活性ガス雰囲気中では、フッ化鉛と酸素の反応に
よって生成した酸化鉛は容易に金属鉛を遊離するため、
無機フッ化物原料中に金属鉛として残留し、結晶成長中
に結晶内にフッ化鉛または金属鉛が取り込まれる。さら
に、フッ化鉛が過剰に加えられたときには結晶内にフッ
化鉛そのものが取り込まれることがある。いずれにして
も、これら鉛化合物は転位、光学的散乱中心、クラック
などの結晶欠陥を発生し結晶品質を低下させる。
法には、下記のいくつかの問題点がある。1)の方法で
は、フッ化物単結晶育成に用いる窒素やアルゴンガスな
どの不活性ガス雰囲気中では、フッ化鉛と酸素の反応に
よって生成した酸化鉛は容易に金属鉛を遊離するため、
無機フッ化物原料中に金属鉛として残留し、結晶成長中
に結晶内にフッ化鉛または金属鉛が取り込まれる。さら
に、フッ化鉛が過剰に加えられたときには結晶内にフッ
化鉛そのものが取り込まれることがある。いずれにして
も、これら鉛化合物は転位、光学的散乱中心、クラック
などの結晶欠陥を発生し結晶品質を低下させる。
【0008】2)の方法では、フッ化水素の融液への溶
解や結晶内への混入よる光学的吸収、光学的散乱中心の
生成、クラックの発生などの結晶品質の低下が見られ
る。また、反応性の高いフッ化水素ガスを用いるために
耐腐食性の高い材料、例えば、高価な白金を製造容器に
用いる必要があること、原料の合成の工程が必要になる
ことなどから育成コストが増加する。
解や結晶内への混入よる光学的吸収、光学的散乱中心の
生成、クラックの発生などの結晶品質の低下が見られ
る。また、反応性の高いフッ化水素ガスを用いるために
耐腐食性の高い材料、例えば、高価な白金を製造容器に
用いる必要があること、原料の合成の工程が必要になる
ことなどから育成コストが増加する。
【0009】3)の方法では、フッ化水素アンモニウム
が125℃で溶融、分解しHFを発生する。一般にフッ
化物の融点が500〜1000℃であるのに対し、12
5℃での溶融は低温の反応なので、吸着した酸素や水分
などの除去には効果が期待できるが、原料中の残留酸化
物や水酸化物などの除去には温度が低くて効果が少な
い。フッ化水素アンモニウムは水分を吸着しやすいの
で、かえって、原料混合時に原料への水の混入をもたら
し、酸化物や水酸化物などの生成を招いて好ましくな
い。また、2)の方法と同様に結晶内へのフッ化水素の
混入により結晶品質の低下が見られる。さらに、耐腐食
性の高い材料、例えば高価な白金を溶融容器に用いなけ
ればならない。
が125℃で溶融、分解しHFを発生する。一般にフッ
化物の融点が500〜1000℃であるのに対し、12
5℃での溶融は低温の反応なので、吸着した酸素や水分
などの除去には効果が期待できるが、原料中の残留酸化
物や水酸化物などの除去には温度が低くて効果が少な
い。フッ化水素アンモニウムは水分を吸着しやすいの
で、かえって、原料混合時に原料への水の混入をもたら
し、酸化物や水酸化物などの生成を招いて好ましくな
い。また、2)の方法と同様に結晶内へのフッ化水素の
混入により結晶品質の低下が見られる。さらに、耐腐食
性の高い材料、例えば高価な白金を溶融容器に用いなけ
ればならない。
【0010】上記の1)、2)および3)の方法で、結
晶育成前にフッ化処理を充分に行ったとしても、結晶育
成に使用する雰囲気ガス中のアルゴンや窒素などは微量
の酸素や水分などを含有しているので、この酸素や水分
などが結晶育成中に溶融した原料と反応して酸化物や水
酸化物などを生成し、これら酸化物や水酸化物などが結
晶内に析出して、転位、光学的散乱中心、クラックなど
の結晶欠陥の原因となり、結晶品質を低下させる。ま
た、これら雰囲気ガス中の残留酸素や水分などは固化し
た結晶部分の表面でも反応し、結晶表面に酸化物などの
欠陥を生成し、結晶自体の品質の低下を招く。
晶育成前にフッ化処理を充分に行ったとしても、結晶育
成に使用する雰囲気ガス中のアルゴンや窒素などは微量
の酸素や水分などを含有しているので、この酸素や水分
などが結晶育成中に溶融した原料と反応して酸化物や水
酸化物などを生成し、これら酸化物や水酸化物などが結
晶内に析出して、転位、光学的散乱中心、クラックなど
の結晶欠陥の原因となり、結晶品質を低下させる。ま
た、これら雰囲気ガス中の残留酸素や水分などは固化し
た結晶部分の表面でも反応し、結晶表面に酸化物などの
欠陥を生成し、結晶自体の品質の低下を招く。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決すべくなされたものであり、不活性ガスを主成分
とする雰囲気ガスが流入する製造容器内で行う無機フッ
化物単結晶の育成方法において、雰囲気ガスが、一部ま
たは全部がフッ素化されたパラフィンと不活性ガスとの
混合ガスであることを特徴とする無機フッ化物単結晶の
育成方法を提供する。さらに、製造容器内に設置されて
いる無機フッ化物原料の溶融用容器が、炭素を主成分と
する材料からなる上記の無機フッ化物単結晶の育成方法
を提供する。
を解決すべくなされたものであり、不活性ガスを主成分
とする雰囲気ガスが流入する製造容器内で行う無機フッ
化物単結晶の育成方法において、雰囲気ガスが、一部ま
たは全部がフッ素化されたパラフィンと不活性ガスとの
混合ガスであることを特徴とする無機フッ化物単結晶の
育成方法を提供する。さらに、製造容器内に設置されて
いる無機フッ化物原料の溶融用容器が、炭素を主成分と
する材料からなる上記の無機フッ化物単結晶の育成方法
を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明では、不活性ガスを主成分
とする雰囲気ガス中で無機フッ化物単結晶を育成するに
あたり、雰囲気ガスを、一部または全部がフッ素化され
たパラフィン(以下、フッ素化パラフィンともいう)と
不活性ガスとの混合ガスとする。不活性ガスとしては、
窒素ガスや希ガスであるアルゴンガスなどが使用でき
る。
とする雰囲気ガス中で無機フッ化物単結晶を育成するに
あたり、雰囲気ガスを、一部または全部がフッ素化され
たパラフィン(以下、フッ素化パラフィンともいう)と
不活性ガスとの混合ガスとする。不活性ガスとしては、
窒素ガスや希ガスであるアルゴンガスなどが使用でき
る。
【0013】本発明を実施する単結晶育成装置の断面図
を図1に示す。透明石英管9、ステンレスフランジ2、
12などから構成される製造容器内で、溶融用容器7が
アルミナセラミックス11上に設置されている。ガス導
入管13から、本発明の雰囲気ガス、すなわち不活性ガ
スにフッ素化パラフィンを混合したもの、が製造容器内
に流されている。
を図1に示す。透明石英管9、ステンレスフランジ2、
12などから構成される製造容器内で、溶融用容器7が
アルミナセラミックス11上に設置されている。ガス導
入管13から、本発明の雰囲気ガス、すなわち不活性ガ
スにフッ素化パラフィンを混合したもの、が製造容器内
に流されている。
【0014】溶融用容器7内で、高周波誘導コイル10
へ高周波電流を流すことにより溶けた原料融液8は、結
晶引き上げ軸1に固定されたシードホルダ3の先端に取
り付けられた種結晶5と接触後、結晶引き上げ軸1を回
転させながら徐々に引き上げられ固化して単結晶化が進
行する。
へ高周波電流を流すことにより溶けた原料融液8は、結
晶引き上げ軸1に固定されたシードホルダ3の先端に取
り付けられた種結晶5と接触後、結晶引き上げ軸1を回
転させながら徐々に引き上げられ固化して単結晶化が進
行する。
【0015】不活性ガス中に一般式Cn F2n+2で表され
る、全部がフッ素化されたパラフィン(パーフルオロパ
ラフィン)または一般式Cn H2n+2-xFx (x=1〜
(2n+1))で表される、一部がフッ素化されたパラ
フィンを混合して雰囲気ガスとする。混合するフッ素化
パラフィンは常温、1気圧において気体であることが取
り扱いの容易さの点から好ましく、この条件を満たす炭
素数nは1〜4である。しかし、nが5〜7でも、沸点
が30〜80℃であるので、ボンベおよびボンベにつな
がる配管などのガス導入系を加熱保温するなどの工夫を
することによって使用することもできる。
る、全部がフッ素化されたパラフィン(パーフルオロパ
ラフィン)または一般式Cn H2n+2-xFx (x=1〜
(2n+1))で表される、一部がフッ素化されたパラ
フィンを混合して雰囲気ガスとする。混合するフッ素化
パラフィンは常温、1気圧において気体であることが取
り扱いの容易さの点から好ましく、この条件を満たす炭
素数nは1〜4である。しかし、nが5〜7でも、沸点
が30〜80℃であるので、ボンベおよびボンベにつな
がる配管などのガス導入系を加熱保温するなどの工夫を
することによって使用することもできる。
【0016】また、混合するフッ素化パラフィンは含有
フッ素量が多いもの、すなわちフッ素数xが大きいもの
が、フッ化処理の効率が高いので好ましい。不活性ガス
中のフッ素化パラフィンの濃度は0.1〜10容量%混
合することが、フッ化物原料中の酸化物や水酸化物など
が効率的に除去できて好ましい。さらには、0.5〜
2.5容量%とすることが、結晶表面の透明度を高める
ために好ましい。
フッ素量が多いもの、すなわちフッ素数xが大きいもの
が、フッ化処理の効率が高いので好ましい。不活性ガス
中のフッ素化パラフィンの濃度は0.1〜10容量%混
合することが、フッ化物原料中の酸化物や水酸化物など
が効率的に除去できて好ましい。さらには、0.5〜
2.5容量%とすることが、結晶表面の透明度を高める
ために好ましい。
【0017】0.1容量%未満でも除去の効果は期待で
きるが、時間がかかり実用的でない。10容量%超で
も、除去はより効果的ではあるが、フッ素化パラフィン
の過剰な分解生成物、特に炭素がススとなって製造容器
内に堆積して観察窓を覆ったり、溶融した原料表面に付
着するなどの不都合が生じることがある。
きるが、時間がかかり実用的でない。10容量%超で
も、除去はより効果的ではあるが、フッ素化パラフィン
の過剰な分解生成物、特に炭素がススとなって製造容器
内に堆積して観察窓を覆ったり、溶融した原料表面に付
着するなどの不都合が生じることがある。
【0018】フッ化物単結晶の育成は雰囲気ガスを流し
ながら行う。フッ素化パラフィンの雰囲気ガス中での濃
度や結晶育成中の雰囲気ガス流量の適正値は原料中の酸
化物や水酸化物などの量に依存し、この適正値はあらか
じめ実験などによって決められる。
ながら行う。フッ素化パラフィンの雰囲気ガス中での濃
度や結晶育成中の雰囲気ガス流量の適正値は原料中の酸
化物や水酸化物などの量に依存し、この適正値はあらか
じめ実験などによって決められる。
【0019】無機フッ化物の原料は、一般に粉末であり
表面積が大きいため、原料中に不純物として酸化物や水
酸化物などを含むことに加え、原料の表面に酸素や水分
などが吸着していることがある。この状態のまま昇温・
溶融を行うと、原料中の酸化物や水酸化物などの含有量
を増やすことになり好ましくない。原料の昇温・溶融な
どを行う前に、原料を溶融用容器内に充填後減圧・脱気
し、窒素などの不活性ガスの導入により、吸着酸素や水
分などを減少させること、また、この段階から窒素など
の不活性ガスにフッ素化パラフィンを混合しておくのが
よい。
表面積が大きいため、原料中に不純物として酸化物や水
酸化物などを含むことに加え、原料の表面に酸素や水分
などが吸着していることがある。この状態のまま昇温・
溶融を行うと、原料中の酸化物や水酸化物などの含有量
を増やすことになり好ましくない。原料の昇温・溶融な
どを行う前に、原料を溶融用容器内に充填後減圧・脱気
し、窒素などの不活性ガスの導入により、吸着酸素や水
分などを減少させること、また、この段階から窒素など
の不活性ガスにフッ素化パラフィンを混合しておくのが
よい。
【0020】フッ素化パラフィンは、次の過程を経てフ
ッ化処理を行う。フッ素化パラフィンは、400℃以上
で分解し、ポリ(またはモノ)フルオロアルキルラジカ
ル(Cn H2n+1-xFx 、(x=1〜2n))、パーフル
オロアルキルラジカル(Cn F2n+1)、フッ素ラジカ
ル、炭素などを生成すると考えられる。不活性ガス中に
フッ素化パラフィンを混合して製造容器内に流すと、フ
ッ素化パラフィンと、溶融した無機フッ化物原料が接触
する。
ッ化処理を行う。フッ素化パラフィンは、400℃以上
で分解し、ポリ(またはモノ)フルオロアルキルラジカ
ル(Cn H2n+1-xFx 、(x=1〜2n))、パーフル
オロアルキルラジカル(Cn F2n+1)、フッ素ラジカ
ル、炭素などを生成すると考えられる。不活性ガス中に
フッ素化パラフィンを混合して製造容器内に流すと、フ
ッ素化パラフィンと、溶融した無機フッ化物原料が接触
する。
【0021】溶融した無機フッ化物原料は上記のように
500℃以上であるので、上記したようにフッ素化パラ
フィンの分解が起こり、分解生成物は融液中に不純物と
して存在する酸化物や水酸化物などと反応し酸化物や水
酸化物をフッ化物に変換し、二酸化炭素やフッ化水素な
どが生成されて融液のフッ化処理が進行する。
500℃以上であるので、上記したようにフッ素化パラ
フィンの分解が起こり、分解生成物は融液中に不純物と
して存在する酸化物や水酸化物などと反応し酸化物や水
酸化物をフッ化物に変換し、二酸化炭素やフッ化水素な
どが生成されて融液のフッ化処理が進行する。
【0022】また、育成された結晶もやはり高温である
ので、不活性ガス中に含まれていた水分や酸素などが結
晶表面を酸化、水酸化し、白濁してさらには結晶品質を
低下させる場合がある。雰囲気ガス中にフッ素化パラフ
ィンが混合されていれば、これらのガスおよび分解生成
物の分解反応が進行し、生成したフッ素により結晶表面
が酸化反応や水酸化反応などから保護され、表面欠陥の
少ない良質な結晶が育成される。
ので、不活性ガス中に含まれていた水分や酸素などが結
晶表面を酸化、水酸化し、白濁してさらには結晶品質を
低下させる場合がある。雰囲気ガス中にフッ素化パラフ
ィンが混合されていれば、これらのガスおよび分解生成
物の分解反応が進行し、生成したフッ素により結晶表面
が酸化反応や水酸化反応などから保護され、表面欠陥の
少ない良質な結晶が育成される。
【0023】本発明では、製造容器内に設置されている
無機フッ化物原料の溶融用容器が、炭素を主成分とする
材料からなっている。すなわち、フッ化物単結晶育成に
おいて、ボート、ルツボ、アンプルなどのフッ化物原料
の溶融用容器として、カーボン、ガラス状カーボン、熱
分解カーボンなどの炭素を主成分とする材料を使用す
る。フッ素化パラフィン、フルオロアルキルラジカルが
溶融用容器の表面で熱分解し、溶融用容器表面へ炭素の
堆積を行いながらフッ素ラジカルなどを効率よく生成す
る。
無機フッ化物原料の溶融用容器が、炭素を主成分とする
材料からなっている。すなわち、フッ化物単結晶育成に
おいて、ボート、ルツボ、アンプルなどのフッ化物原料
の溶融用容器として、カーボン、ガラス状カーボン、熱
分解カーボンなどの炭素を主成分とする材料を使用す
る。フッ素化パラフィン、フルオロアルキルラジカルが
溶融用容器の表面で熱分解し、溶融用容器表面へ炭素の
堆積を行いながらフッ素ラジカルなどを効率よく生成す
る。
【0024】さらに、炭素を主成分とする材料から作ら
れた溶融用容器を高周波誘導加熱する場合には、溶融用
容器とフッ化物原料融液のみを加熱できるので、上記の
フッ素化パラフィン、ポリ(またはモノ)フルオロアル
キルラジカル、パーフルオロアルキルラジカルなどの熱
分解が、溶融用容器表面やフッ化物原料の融液表面など
で効率よく進行し、分解生成物であるフッ素ラジカル、
ポリ(またはモノ)フルオロアルキルラジカル、パーフ
ルオロアルキルラジカルなどが融液表面付近に存在する
ことになり、フッ化処理自体が効率的に進行する。
れた溶融用容器を高周波誘導加熱する場合には、溶融用
容器とフッ化物原料融液のみを加熱できるので、上記の
フッ素化パラフィン、ポリ(またはモノ)フルオロアル
キルラジカル、パーフルオロアルキルラジカルなどの熱
分解が、溶融用容器表面やフッ化物原料の融液表面など
で効率よく進行し、分解生成物であるフッ素ラジカル、
ポリ(またはモノ)フルオロアルキルラジカル、パーフ
ルオロアルキルラジカルなどが融液表面付近に存在する
ことになり、フッ化処理自体が効率的に進行する。
【0025】しかし、高周波誘導加熱を受ける溶融用容
器以外の部分は比較的低温に保たれるので、生成したフ
ッ素ラジカルなどによる製造容器などの腐食反応が抑え
られるという効果をもたらす。
器以外の部分は比較的低温に保たれるので、生成したフ
ッ素ラジカルなどによる製造容器などの腐食反応が抑え
られるという効果をもたらす。
【0026】
【実施例】本発明の無機フッ化物単結晶の育成方法の実
施例としてNd:LiYF4 すなわちネオジム添加のイ
ットリウムリチウムフルオリド(以下Nd:YLFと略
す)単結晶の育成法について説明する。
施例としてNd:LiYF4 すなわちネオジム添加のイ
ットリウムリチウムフルオリド(以下Nd:YLFと略
す)単結晶の育成法について説明する。
【0027】図1は、本発明で使用される単結晶育成装
置の断面図である。Nd:YLF原料が投入されたカー
ボンルツボ7は緻密なアルミナセラミックス11上に配
置され、カーボンルツボ7の上端に接して、カーボンア
フタヒータ4が配置された。これらカーボンルツボ7、
アルミナセラミックス11およびカーボンアフタヒータ
4は、透明石英管9の中に収められ、製造容器内の雰囲
気が調節された。
置の断面図である。Nd:YLF原料が投入されたカー
ボンルツボ7は緻密なアルミナセラミックス11上に配
置され、カーボンルツボ7の上端に接して、カーボンア
フタヒータ4が配置された。これらカーボンルツボ7、
アルミナセラミックス11およびカーボンアフタヒータ
4は、透明石英管9の中に収められ、製造容器内の雰囲
気が調節された。
【0028】カーボンルツボ7、カーボンアフタヒータ
4は外周部に配置される高周波誘導コイル10に高周波
電流を流すことにより誘導加熱され、原料融液8の温度
が制御された。
4は外周部に配置される高周波誘導コイル10に高周波
電流を流すことにより誘導加熱され、原料融液8の温度
が制御された。
【0029】シードホルダ3に取り付けられた種結晶5
を原料融液8に接触後、回転しながら徐々に引き上げる
と、種結晶5に原料融液8が凝固して結晶の成長が進
む。製造容器内の雰囲気はガス導入管13から導入され
るガスによって制御された。
を原料融液8に接触後、回転しながら徐々に引き上げる
と、種結晶5に原料融液8が凝固して結晶の成長が進
む。製造容器内の雰囲気はガス導入管13から導入され
るガスによって制御された。
【0030】Nd:YLFの原料として、フッ化イット
リウムYF3 、フッ化リチウムLiF、フッ化ネオジム
NdF3 を用い、雰囲気ガスとしてはアルゴンを主成分
とし、混合するパーフルオロパラフィンとしてはパーフ
ルオロプロパンC3 F8 を用いた。
リウムYF3 、フッ化リチウムLiF、フッ化ネオジム
NdF3 を用い、雰囲気ガスとしてはアルゴンを主成分
とし、混合するパーフルオロパラフィンとしてはパーフ
ルオロプロパンC3 F8 を用いた。
【0031】原料として、YF3 を40.29g(組成
比46.56モル%)、LiFを8.00g(組成比5
2.00モル%)、NdF3 を1.71g(組成比1.
44モル%)、合計50.00gを混合したものを、カ
ーボンルツボに充填した。製造容器内をロータリ式真空
ポンプで脱気した後、パーフルオロプロパン0.5容量
%を混合したアルゴンガスを製造容器内に充填させて1
気圧とした。
比46.56モル%)、LiFを8.00g(組成比5
2.00モル%)、NdF3 を1.71g(組成比1.
44モル%)、合計50.00gを混合したものを、カ
ーボンルツボに充填した。製造容器内をロータリ式真空
ポンプで脱気した後、パーフルオロプロパン0.5容量
%を混合したアルゴンガスを製造容器内に充填させて1
気圧とした。
【0032】ガス導入管13を経由してアルゴンガスを
体積流量200ml/分、パーフルオロプロパンを体積
流量1ml/分で流しながら50℃/時間で昇温、約8
40℃で溶融後原料の溶融状態を24時間保持してか
ら、長手方向が(100)方位の種結晶を原料融液に接
触させて、回転速度10rpm、引上げ速度0.83m
m/時間で原料融液を引き上げた結果、約11g(原料
に対する固化率22%)の透明で良質な単結晶を得た。
体積流量200ml/分、パーフルオロプロパンを体積
流量1ml/分で流しながら50℃/時間で昇温、約8
40℃で溶融後原料の溶融状態を24時間保持してか
ら、長手方向が(100)方位の種結晶を原料融液に接
触させて、回転速度10rpm、引上げ速度0.83m
m/時間で原料融液を引き上げた結果、約11g(原料
に対する固化率22%)の透明で良質な単結晶を得た。
【0033】同一条件で、雰囲気ガスとしてアルゴンガ
スのみを体積流量200ml/時間で流した場合は、結
晶表面への酸化物の付着がみられ、結晶全体が白濁し、
クラックなどの欠陥が多く発生して良質な結晶は得られ
なかった。
スのみを体積流量200ml/時間で流した場合は、結
晶表面への酸化物の付着がみられ、結晶全体が白濁し、
クラックなどの欠陥が多く発生して良質な結晶は得られ
なかった。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、下記の効果を奏ずる。 (1)無機フッ化物原料に不純物として含まれる酸化物
や水酸化物など、または無機フッ化物原料に吸着した酸
素や水分などを除去し、さらに、フッ素を原料に付与し
て原料を完全なフッ化物とすることにより、結晶内への
酸化物や水酸化物などの析出を防ぎ、結晶中の転位、光
学的散乱中心、クラックなどの欠陥の発生を抑制でき
る。
や水酸化物など、または無機フッ化物原料に吸着した酸
素や水分などを除去し、さらに、フッ素を原料に付与し
て原料を完全なフッ化物とすることにより、結晶内への
酸化物や水酸化物などの析出を防ぎ、結晶中の転位、光
学的散乱中心、クラックなどの欠陥の発生を抑制でき
る。
【0035】(2)不活性ガス中に残留している酸素や
水分などが固化しつつある高温の結晶と反応し、結晶表
面に酸化物や水酸化物などが生成して、結晶品質が低下
するのを防止できる。 (3)ボート、ルツボ、アンプルなどの溶融用容器とし
て、カーボン、ガラス状カーボン、熱分解カーボンなど
の炭素を主成分とする材料を使用するので、フッ素ラジ
カルなどを効率よく生成し、結晶の品質を向上させう
る。 (4)白金などの高価な溶融用容器を使用する必要がな
く、結晶育成の低コスト化が図れる。
水分などが固化しつつある高温の結晶と反応し、結晶表
面に酸化物や水酸化物などが生成して、結晶品質が低下
するのを防止できる。 (3)ボート、ルツボ、アンプルなどの溶融用容器とし
て、カーボン、ガラス状カーボン、熱分解カーボンなど
の炭素を主成分とする材料を使用するので、フッ素ラジ
カルなどを効率よく生成し、結晶の品質を向上させう
る。 (4)白金などの高価な溶融用容器を使用する必要がな
く、結晶育成の低コスト化が図れる。
【図1】本発明を実施する単結晶育成装置の断面図。
1:結晶引き上げ軸 2:ステンレスフランジ 3:シードホルダ 4:カーボンアフタヒータ 5:種結晶 6:結晶 7:溶融用容器であるカーボンルツボ 8:原料融液 9:透明石英管 10:高周波誘導コイル 11:アルミナセラミックス 12:ステンレスフランジ 13:ガス導入管 14:ガス排出管
Claims (2)
- 【請求項1】不活性ガスを主成分とする雰囲気ガスが流
入する製造容器内で行う無機フッ化物単結晶の育成方法
において、雰囲気ガスが、一部または全部がフッ素化さ
れたパラフィンと不活性ガスとの混合ガスであることを
特徴とする無機フッ化物単結晶の育成方法。 - 【請求項2】製造容器内に設置されている無機フッ化物
原料の溶融用容器が、炭素を主成分とする材料からなる
請求項1に記載の無機フッ化物単結晶の育成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28886497A JPH11116393A (ja) | 1997-10-21 | 1997-10-21 | 無機フッ化物単結晶の育成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28886497A JPH11116393A (ja) | 1997-10-21 | 1997-10-21 | 無機フッ化物単結晶の育成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11116393A true JPH11116393A (ja) | 1999-04-27 |
Family
ID=17735748
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28886497A Pending JPH11116393A (ja) | 1997-10-21 | 1997-10-21 | 無機フッ化物単結晶の育成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11116393A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004094705A1 (ja) * | 2003-04-23 | 2004-11-04 | Stella Chemifa Corporation | フッ化物結晶の製造装置 |
JP2005029455A (ja) * | 2002-11-19 | 2005-02-03 | Tokuyama Corp | フッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体 |
JP2010162137A (ja) * | 2009-01-15 | 2010-07-29 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 電気かみそり |
US8868992B2 (en) | 2009-12-31 | 2014-10-21 | Intel Corporation | Robust memory link testing using memory controller |
-
1997
- 1997-10-21 JP JP28886497A patent/JPH11116393A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005029455A (ja) * | 2002-11-19 | 2005-02-03 | Tokuyama Corp | フッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体 |
JP4500531B2 (ja) * | 2002-11-19 | 2010-07-14 | 株式会社トクヤマ | フッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体 |
WO2004094705A1 (ja) * | 2003-04-23 | 2004-11-04 | Stella Chemifa Corporation | フッ化物結晶の製造装置 |
US8333838B2 (en) | 2003-04-23 | 2012-12-18 | Stella Chemifa Corporation | Method for producing fluoride crystal |
JP2010162137A (ja) * | 2009-01-15 | 2010-07-29 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 電気かみそり |
US8868992B2 (en) | 2009-12-31 | 2014-10-21 | Intel Corporation | Robust memory link testing using memory controller |
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