JP4500531B2 - フッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体 - Google Patents

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Description

本発明は、単結晶引き上げ法によって製造されたフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体に関する。
フッ化カルシウム、フッ化バリウム等のフッ化金属の単結晶体は、広範囲の波長帯にわたって高い透過率を有し、低分散で化学的安定性にも優れることから、紫外波長または真空紫外波長のレーザを用いた各種機器、カメラ、CVD装置等のレンズ、窓材などの光学材料として需要が広がってきている。とりわけ、フッ化カルシウムおよびフッ化バリウムなどのフッ化アルカリ土類金属の単結晶体は、光リソグラフィー技術において次世代の短波長光源として開発が進められているFレーザ(157nm)での投影レンズとして期待が寄せられている。
また、このようにフッ化アルカリ土類金属の単結晶体を投影レンズとして用いる場合、レンズの光軸を単結晶の{111}面に垂直に取ったレンズと、レンズの光軸を単結晶の{100}面に垂直に取ったレンズとを組合わせることにより、投影像の不鮮明さの原因となるフッ化アルカリ土類金属の真性複屈折を大幅に低減できることが報告されている。該投影レンズの直径としては、リソグラフィーのスループットを向上させるため15cm以上のものが採用されており、レンズ材料として直径17cmを越える大型フッ化アルカリ土類金属の単結晶体が必要とされている。
従来、こうした大型フッ化アルカリ土類金属の単結晶体は、坩堝降下法(ブリッジマン法)により製造されることが一般的である。ここで、坩堝降下法とは、坩堝中の単結晶製造原料の融液を、坩堝ごと徐々に下降させながら冷却することにより、坩堝中に単結晶を育成させる方法である。
ところが、坩堝降下法により製造したフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体は、坩堝内壁と原料融液の液面が接した状態で単結晶が形成されていくため、得られる単結晶体の周壁表面が白濁する問題があった。その結果、得られたアズグロウン単結晶体は可視光の透過性が悪く、内部状態の検査、特に、気泡や微小欠陥の内包状態の検査が、目視による観察では困難であるため、結晶の切断や研磨といった煩雑な処理を行った後に検査を行う必要があった。また、特に17cmを越える大型の単結晶体を育成する場合、結晶が部分的に多結晶化するため、その歩留まりが著しく悪いという欠点も有していた。
坩堝降下法の上記欠点を解消するためには、単結晶引き上げ法(チョクラルスキー法)を採用して、フッ化アルカリ土類金属の単結晶体を製造することが考えられる。ここで、単結晶引き上げ法とは、坩堝中の単結晶製造原料の融液に、目的とする単結晶体からなる種結晶を接触させ、次いで、その種結晶体を坩堝の加熱域から徐々に引き上げて冷却することにより、該種結晶体の下方に単結晶を育成させる方法である。単結晶引き上げ法は、単結晶育成中に結晶表面が坩堝に触れることがない方法であるため結晶体表面が滑らかであり、また、育成中の偏析現象による不純物の低減が可能であるため、シリコンやゲルマニウム等の半導体単結晶体の製造などにおいて汎用されている。
しかしながら、単結晶引き上げ法は装置が複雑になる他、安定的に結晶を成長させることが難しいことなどから、上記フッ化アルカリ土類金属の単結晶体の製造に適用するにはかなりの困難さが予測される。そのため、単結晶引き上げ法によるフッ化アルカリ土類金属の単結晶体の製造は、直胴部の直径が10cm程度の小型のものを実験室レベルで製造した例が僅かに知られている程度である(非特許文献1及び非特許文献2参照)。
直径が17cm以上の大口径のフッ化アルカリ土類金属の単結晶体を製造した具体例はほとんど知られていないが、主成長面と側面の少なくとも1面が同じ面方位({111}または{100})に属する種結晶を用いて、坩堝降下法または単結晶引き上げ法により結晶成長させた直径25cmのフッ化アルカリ土類金属の単結晶を製造した例が報告されている(特許文献1参照)。
戸澤 慎一郎ら、「光学材料CaF2の改質」、東北大学金属材料研究所 技術部 技術研究報告、第19号(2001年) K.Nassau、Jounal of Applied Physics、32巻、1820−1821(1961年) 特開平11−21197号公報
しかしながら、本発明者らが、上記特許文献1に記載されているような一般的な構造の単結晶引き上げ装置を用いて、単結晶引き上げ法により直胴部の直径が17cm以上の大口径のフッ化アルカリ土類金属の単結晶体の製造を試みたところ、得られたアズグロウン状態の単結晶体は、周壁表面が依然としてかなり白濁したものであった。このような白濁は、前記のような実験室レベルでの単結晶引き上げ法によって、小型のフッ化アルカリ土類金属の単結晶体を製造した時には解消できていたものであり、単結晶体の大口径化に伴って、新たに発生した問題である。
このような白濁は、前記したように単結晶体の可視光の透過性を低下させ、大口径のフッ化アルカリ土類金属の単結晶体を工業的に生産するに際して大きな障害になるものであるから、その解決が大きな課題である。
したがって、本発明は、単結晶引き上げ法によって、直胴部の直径が17cm以上であり、かつ可視光の透過性に優れるフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体を製造することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意研究を続けてきた。その結果、単結晶引き上げ法によって製造された前記大型のフッ化アルカリ土類金属、具体的にはフッ化カルシウムおよびフッ化バリウムのアズグロウン単結晶体においても、可視光の透過性に優れるものを製造することに初めて成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、単結晶引き上げ法によって製造された、フッ化カルシウムおよびフッ化バリウムから選ばれるフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体であって、直胴部の直径が17cm以上であり、かつ632.8nmの波長で測定した光透過率が90〜98%であることを特徴とするフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体である。
本発明のフッ化アルカリ土類金属単結晶体は、大口径であり、且つアズグロウン状態でありながら、周壁表面が白濁しておらず可視光の透過率が高い。したがって、煩雑な結晶加工することなく結晶内の気泡やインクルージョンの評価が可能となり、高品質かつ均一性の高い点で有利な性状を有する大型の光学材料が切り出せる。
したがって、本発明のアルカリ土類金属単結晶体は、レンズ、プリズム、ハーフミラー、窓材などの光学部材として有用であり、特に、紫外および真空紫外で使用されるこれら光学部材、最も好適には、次世代リソグラフィー技術の光源として有望視されているF2レーザー光用の硝材として極めて有用である。
本発明のフッ化アルカリ土類金属、具体的にはフッ化カルシウムおよびフッ化バリウム等の単結晶体は、単結晶引き上げ法によって製造されたアズグロウン状態のものである。ここで、単結晶引き上げ法とは、前記した一般にチョクラルスキー法と呼ばれる単結晶製造方法を意味する。また、アズグロウン状態とは、単結晶製造装置の中で引き上げられ、室温まで冷却されただけの状態の単結晶体であり、アニール処理や直胴部表面の研磨などの後処理は施されていないものである。
アルカリ土類金属としては、カルシウムまたバリウムが採択される
アズグロウン単結晶体の結晶の主成長面は、特に制限されるものではなく、通常は、{111}面または{100}面になる。ここで、アズグロウン単結晶体の結晶の主成長面とは、単結晶製造原料の融液に種結晶の育成面を接触させて結晶を育成させた面であり、要するに、アズグロウン単結晶体の胴長方向に結晶成長した面である。なお、本発明において結晶の{111}面とは、(111)面と対称性が等しい面、即ち、(111)、(11−1)、(−111)、(1−11)、(−1−11)、(1−1−1)、(−11−1)、(−1−1−1)の各面を含んだ意味を示す。また、同様に、本発明において結晶の{100}面とは、(100)、(010)、(001)、(−100)、(0−10)、(00−1)の各面を含んだ意味を示す。
結晶の主成長面が{111}面であるアズグロウン単結晶体は、投影レンズ用途において主レンズとしての使用が期待される、光軸を単結晶の同面に取ったレンズの切り出しに使用できるため、有用性が極めて高い。また、結晶の主成長面が{100}面のアズグロウン単結晶体も、該投影レンズ用途において上記{111}面に光軸を取ったレンズと組合わせての使用が期待される、光軸を単結晶の同面に取ったレンズの切り出しに有用に使用できる。
なお、結晶成長をもっとも容易に行える成長面は{111}面であり、上記結晶の主成長面が{100}面のアズグロウン単結晶体を安定的に製造することは容易ではない。そのため、前記{100}面に光軸を取ったレンズは、通常、前記結晶の主成長面が{111}面であるアズグロウン単結晶体を斜め方向に切り出して製造しているが、加工時にクラックが発生することも多く、アズグロウン単結晶体からレンズに加工する歩留まりは十分ではない。したがって、上記結晶の主成長面が{100}面であるアズグロウン単結晶体を、透過率の良好な状態で得ることの工業的価値は極めて大きい。
本発明の単結晶体は、直胴部の直径が17cm以上、好適には20〜40cmの大口径のものである。一般に単結晶引き上げ法で育成されたインゴットは、種結晶から直径が徐々に大きくなった円錐状部分からなるショルダー部、インゴットの直径がほぼ一定である円柱状部分からなる直胴部、および、前記直胴部から徐々に直径が小さくなった円錐状部分からなるテール部から構成されている。ここで、上記直径は、直胴部の最も太い部分の直径をいう。
本発明の最大の特徴は、単結晶引き上げ法によって製造された大口径のフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体において、その可視光の透過性を極めて高くした点にある。本発明において、この単結晶体の可視光の透過性は、632.8nmの波長で測定した光透過率で評価する。本発明のフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体は、632.8nmの波長で測定した光透過率90〜98%の値にある。

上記測定波長の光は、前記した従来公知の単結晶引き上げ法等により得られた白濁した大口径のフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体では激しく吸収されてしまい、該測定波長において光透過率は高くてもせいぜい50%を超える程度が一般的であり十分なものではなかった。これに対して、本発明は、このような大型のアズグロウン単結晶体において、高い光透過率を実現したものであり、得られた単結晶体は、白濁しておらず透明性に優れるため、加工研磨等の煩雑な操作をすることなく、結晶内の気泡やインクルージョンの評価を目視により行うことが可能であり、リソグラフィー用の光学材料として用いる際に、その歩留まりが著しく上昇する。
本発明においてアズグロウン単結晶体の光透過率とは、単結晶体中の特定の部分の測定値ではなく、単結晶体の直胴部から20箇所の測定点を選定し、各選定箇所の光透過率の平均値を意味する。測定波長は、安定で安価な光源であることから、前記したとおりHe−Neレーザーの波長(632.8nm)を用いる。各測定点において、光透過率は、結晶の成長方向と垂直な方向から、上記波長の測定光を入射させ、その光路長が最長になるように直胴部の直径方向の反対側から透過光を出射させて、その際の透過光の光強度を測定することにより求める。
単結晶体において、上記各測定点の選定は、該単結晶体の直胴部を長さ方向(単結晶の成長方向)に等間隔に20等分した各円周上から、任意の一点をそれぞれ選定することにより行う。この時、各測定点は、測定対象の単結晶体がクラックが生じているものの場合、測定光の光路上に該クラックがかからないように選定する。同様に、単結晶体中に、目視で確認できる大きさの泡や微小欠陥が内包されている場合は、これらを避けて選定する。上記直胴部を20等分した円周上では、これらを避けて測定点を選定できない場合には、その上下方向(結晶の成長方向)に、必要最小範囲で移動して選定すればよい。
本発明の単結晶体は、直胴部の長さが5cm以上であることが好ましい。直胴部が5cm以上あるとリソグラフィー用レンズ等に加工した際に開口数を大きくすることが可能となり、投射されるパターンの微細化が達成されるため好適である。
上記の性状を有する本発明の単結晶体の製造方法は、特に制限されるものではないが、以下の方法により好適に製造することができる。すなわち、まず、単結晶引き上げ装置として以下の構造を有するものを用いる。
チャンバー内において、坩堝の周囲に溶融ヒーターが設けられ、さらに、該溶融ヒーターを環囲して断熱壁が設けられてなり、該断熱壁の上端が、坩堝上方の単結晶引き上げ域の最上部よりも高い位置に延設されている単結晶引き上げ装置において、該溶融ヒーターと坩堝の外端との間に隔離壁を周設し、該隔離壁の上端を溶融ヒーターの上端よりも高く設け、且つその上端と断熱壁とにかけて、隔離壁と断熱壁との間隙を閉塞するリッド材を横架させた単結晶引き上げ装置を用いる。
このような単結晶引き上げ装置を用いて、結晶引き上げ速度を4mm/時間以下、好ましくは0.5〜3.5mm/時間に設定し、単結晶を育成することにより、上記光透過率を有するフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体を効率的に製造することができる。また、上記方法によれば、製造を安定的に行うことが難しい結晶の主成長面が{100}面であるアズグロウン単結晶体を、良好に製造することができる効果も発揮される。
上記構造の単結晶引き上げ装置の概略図を図1に示す。
図1の単結晶引き上げ装置は、チャンバー(1)内において、回転可能な支持軸(2)に支えられた受け台(3)上に、内部に単結晶製造原料の融液(10)が収容される坩堝(4)が載置されており、該坩堝(4)の周囲には溶融ヒーター(5)が設けられ、さらに、溶融ヒーター(5)を取り囲むように断熱壁(6)が設けられている。ここで、溶融ヒーター(5)の上端の高さは、通常、坩堝(4)の上端の高さとほぼ同程度である。
一方、坩堝(4)の中心軸上には、先端に種結晶体(7)の保持具(8)が取り付けられた回転可能な単結晶引き上げ棒(9)が吊設されている。この種結晶体(7)は、坩堝(4)内の原料融液(10)に育成面である下端面が接触された後に引き上げられ、下方に単結晶体(11)が育成する。また、上記支持軸(2)の下端は、チャンバー(1)の底壁を貫通してチャンバー外へ伸びており、図示はしていないが冷却器と接した後、坩堝を回転および上下動させるための機構に接続されている。
以上の基本構造を備えた図1の単結晶引き上げ装置は、断熱壁(6)が、シリコン等の単結晶体の製造用に使用されている汎用的な単結晶引き上げ装置のものよりも、上方に長く延設されており、坩堝(4)の下端から上端までの全周だけでなく、その上方の単結晶引き上げ域(12)までも環囲するように設けられている。すなわち、断熱壁(6)の上端は、単結晶引き上げ域(12)の最上部よりも高く位置している。
ここで、本発明において単結晶引き上げ域(12)とは、チャンバー(1)内の坩堝(4)の上方における、該坩堝(4)の上端の高さから、育成されるフッ化カルシウム単結晶体(11)の上端(すなわち、種結晶体の下端面)が引き上げ終了時に到達している高さまでの領域である。そして、上記単結晶引き上げ域(12)の最上部は、引き上げる単結晶体(11)の長さによって異なるが、通常は、該坩堝(4)の上端よりも坩堝の最大内径の50%〜300%高い箇所、特に好適には100〜200%高い箇所に位置させることが一般的である。
断熱壁(6)の上端の高さは、こうしたサイズの単結晶引き上げ域(12)が、断熱壁(6)による環囲体の中に十分に収まるように設定される。断熱壁(6)の上端を、単結晶引き上げ域(12)の最上部よりもあまり高くすると保温効果が効きすぎて単結晶を得ることができなくなるため、上記単結晶引き上げ域(12)の最上部と同じ範囲から選定することが好ましい。
本発明において、上記断熱壁(6)は、公知の断熱性素材で形成されていれば制限無く採用できるが、単結晶体(11)の内部歪をより少なくする上では、厚み方向の放熱能力が50W/m・K以下、より好適には1〜20W/m・K、最も好適には3〜15W/m・Kであることが好ましい。ここで、本発明において、厚み方向の放熱能力とは、対象物の厚み方向の1500℃における平均熱伝導度(W/m・K)を厚さ(m)で割った値をいう。
こうした放熱能力を有する断熱壁(6)の素材としては、1500℃における熱伝導率が0.2〜1.0W/m・K、より好適には0.3〜0.8W/m・Kのものが好ましく、例えば、ピッチ系グラファイト成型断熱材(具体的には、商品名「ドナカーボ」)、ファイバー系グラファイト成型断熱材、カーボンフェルト系断熱材、ポーラスカーボン系断熱材などが挙げられる。このうち、所望される放熱能力が達成でき、引き上げ時の苛酷な環境への耐性や機械的強度にも優れた材料であることなどからピッチ系グラファイト成型断熱材を用いることが特に好ましい。
また、断熱壁(6)は、壁全体として断熱性に優れるものになるならば、上記の単一素材からなる壁材だけでなく、少なくとも一種の断熱板を含む複数の板状体を積層した構造や、さらには、これら複数の板状体を気相を介在させて積層したような構造であっても良い。なお、断熱壁(6)の厚みは、特に制限されるものではないが、3〜10cmであるのが一般的である。
チャンバー(1)内を上方視した際において、断熱壁(6)の設置位置は、溶融ヒーター(5)の外側であれば特に制限されない。坩堝(4)の外端からあまり距離をあけても、単結晶引き上げ域(12)の保熱効果が低下するため、坩堝(4)の最大内径の20〜100%、特に好ましくは30〜60%の距離を空けて設けることが好適である。
本発明の単結晶体を製造する上で最も重要な点は、上記構造の単結晶引き上げ装置において、溶融ヒーター(5)と坩堝(4)の外端との間に、隔離壁(13)を周設し、該隔離壁(13)の上端を、溶融ヒーター(5)の上端よりも高く設け、且つその上端と断熱壁(6)とにかけて、隔離壁(13)と断熱壁(6)との間隙を閉塞するリッド材(14)を横架させている点にある。このような構造において、隔離壁(13)は、溶融ヒーター(5)からの輻射熱を均一化して坩堝(4)を加熱するのに効果を発揮し、リッド材(14)は、溶融ヒーター(5)の熱が上方に逃失するのが防止する効果を発揮する。周壁表面の白濁化は、融液から形成された単結晶表面の急激な温度低下が関係しており、これの改善には、原料融液の液面付近の温度の均一性を一層に高め、且つこの原料融液の液面付近での単結晶の育成においてはより緩やかに冷却を行うことが有効であるため、上記構造は、該白濁化の抑制に極めて効果的である。
リッド材(14)の形成高さは、坩堝(4)の上端よりも、該坩堝(4)の上端から断熱壁(6)の上端までの距離の2〜50%高い箇所、特に3〜20%高い箇所であることが好適である。
リッド材(14)の幅(隔離壁(13)の上端と断熱壁(6)との間隔)は、坩堝内径の5%〜20%、より好ましくは7%〜15%であることが好適である。5%より小さい場合には、その断熱効果が不十分となる場合があり、また、20%より大きい場合には、単結晶の直径がリッドの大きさにより制限されることがある。
また、隔離壁(13)及びリッド材(14)の材質は、グラファイト等が好ましい。
溶融ヒーター(5)は、特に制限されるものではないが、抵抗加熱ヒーターであることが好ましい。誘導加熱ヒーターの場合、炉内の温度分布が急峻になり易く、高品質の結晶を得る上では、上記抵抗過熱ヒーターが有利である。
なお、単結晶引き上げ装置において、単結晶引き上げ棒(9)、支持軸(2)及び除き窓(15)等は、Oリングや磁性流体シールなどで気密化することが好ましい。原料フッ化アルカリ土類金属の溶融工程や結晶の育成工程において、これらの部分からリークが発生すると、単結晶の着色や透明度の低下などの品質の著しい低下をもたらすおそれがある。
坩堝(4)に投入した原料フッ化アルカリ土類金属は、溶融させるに先立って減圧下で加熱処理を施して吸着水分を除去することが好ましく、装置を真空引きするための真空ポンプとしては、公知のものを用いることができるが、ロータリーポンプと油拡散ポンプ、あるいはロータリーポンプと分子ポンプの組合せが好ましい。
さらに、図1に示したように、チャンバー(1)の底壁(16)には、断熱壁(6)の内周側に底部断熱材(17)が設けられている。また、支持軸(2)の周囲と底部断熱材(17)の間には、断熱性の支持軸気密シール材(18)が介装されている。さらに、断熱壁(6)の下端と、底部断熱材(17)の外周と、溶融ヒーター(5)との間には、断熱性の底部気密シール材(19)が介装されている。
これにより、チャンバー(1)の底部から熱が逃げるのが防止されるとともに、外部にチャンバー(1)の雰囲気が漏洩するのが防止されるようになっている。
このような底部断熱材(17)、支持軸気密シール材(18)、底部気密シール材(19)の材質としては、特に限定されるものではなく、断熱壁(6)と同様な厚み方向の放熱能力を有するものであれば、公知の断熱性素材で形成されていれば制限無く採用することできる。
本発明の単結晶体を製造する上で使用する最も好ましい単結晶引き上げ装置は、断熱壁(6)の厚み方向の放熱能力が3〜15W/m・Kであり、断熱壁(6)の高さが、坩堝(4)の上端よりも、坩堝の最大内径の100〜200%高い位置であり、リッド材(14)の高さが、坩堝(4)の上端よりも、該坩堝(4)の上端から断熱壁(6)の上端までの距離の3〜20%高い位置であり、且つ断熱壁(6)と坩堝(4)の外端との間隔が坩堝(4)の最大内径の30〜60%の距離であるものが最も好ましい。
上記構造の単結晶引き上げ装置を用いて、本発明の単結晶体を製造するためには、4mm/時間以下、好ましくは0.5〜3.5mm/時間の結晶引き上げ速度で、単結晶を育成することが重要である。この結晶引き上げ速度が4mm/時間を超えると、得られる単結晶体の光透過率を十分に小さくすることが困難になる。
その他の引き上げ法の具体的操作方法は、一般的な単結晶引き上げ装置を用いて実施されている公知の方法が制限なく採用できる。坩堝に投入する原料フッ化アルカリ土類金属は、十分に精製処理、特に水分除去処理を施したものを使用することが好ましい。このような原料フッ化物の溶融および単結晶の育成は、不活性ガスの雰囲気下または真空下で行うことができる。
単結晶体の引き上げは、原料フッ化アルカリ土類金属の坩堝底部の測定温度において、フッ化カルシウムの場合は、1380℃以上、好適には1380〜1480℃の温度で実施することが好ましく、フッ化バリウムの場合は、1300〜1400℃の温度で実施することが好ましい。また、該温度への昇温速度は50〜500℃/時間であることが好ましい。
上記引き上げ法の実施は、残留する水分の影響をなくすため、スカベンジャーの存在下で実施することが好ましい。スカベンジャーとしては、原料フッ化アルカリ土類金属と共に仕込まれるフッ化亜鉛、フッ化鉛、ポリ四フッ化エチレンなどの固体スカベンジャーや、チャンバー内に雰囲気として導入される四フッ化炭素、三フッ化炭素、六フッ化エタンなどの気体スカベンジャーが使用される。固体スカベンジャーを使用することが好ましく、その使用量は、原料フッ化アルカリ土類金属100重量部に対して0.005〜5重量部が好適である。
引き上げ法に用いる種結晶は、フッ化アルカリ土類金属の単結晶体であり、種結晶体の育成面は、製造するアズグロウン単結晶体の結晶の主成長面に応じて、{111}面、{100}面等から適宜に採択すればよい。単結晶の育成中において、これら種結晶は、引き上げ軸を中心として回転させることが好ましく、回転速度は2〜20回/分であることが好ましい。また、上記種結晶の回転に併せて坩堝も、上記種結晶の回転方向と反対方向に同様の回転速度で回転させてもよい。単結晶引き上げ後の常温までの降温速度は、0.1〜3℃/分が好ましい。
以上の方法により得られたフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体は、切断や研磨などにより光学部材等として所望の形状に加工すればよい。また、この単結晶体は複屈折が極めて小さいものであるが、この値をさらに低減させることが望まれる場合は、900〜1300℃下で1〜48時間程度のアニール処理してもよい。
実施例
以下に本発明のフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示される単結晶引き上げ装置を用いて、フッ化カルシウム単結晶体の製造を行った。
チャンバー (1)内に設置された高純度グラファイト製の坩堝(4)は、内直径38cm(外直径40cm)であり、高さ30cmのものであった。断熱壁(6)は、ピッチ系グラファイト成型断熱材であり、厚み方向の放熱能力は9W/m・Kのものであった。また、断熱壁(6)の上端は、坩堝(4)の上端よりも坩堝の最大内径の160%高い位置であった。さらに、リッド材(14)の高さは、坩堝(4)の上端よりも、該坩堝(4)の上端から断熱壁(6)の上端までの距離の10%高い(6cm)位置であった。リッド材(14)の幅は坩堝内径の10%(3.8cm)であった。隔離壁(13)と坩堝(4)の外端との間隔は、4cmであった。なお、断熱壁(6)と坩堝(4)の外端との間隔は、9cm(坩堝(4)の最大内径の25%)であった。
チャンバー (1)内に設置した坩堝(4)内に、十分な精製処理及び水分除去処理を施した高純度の原料フッ化カルシウム塊50kgと、スカベンジャーとして0.1%の高純度フッ化亜鉛を投入し、チャンバー内を真空引きした。一方、単結晶引き上げ棒(9)の先端の保持具(8)には、下端面(育成面)が(111)面であるフッ化カルシウムの単結晶体からなる種結晶体(7)を取り付けた。
次いで、溶融ヒーター(5)に通電し原料の加熱を開始し、約50℃/時間で250℃まで昇温し、この温度で2時間保持した。上記保持後、再び昇温を開始し、約100℃/時間で600℃に達した時点で、真空排気ラインを遮断し、高純度アルゴンガスをチャンバー(1)内に供給し、内圧を106.4KPaに保った。
原料が完全に溶融した1480℃で40分間保持した後、ヒータ出力を低下させて1440℃で120分間保持した後、前記引き上げ棒(9)を垂下させて、種結晶体(7)の育成面を原料融液(10)の表面に接触させ、単結晶の育成を開始した。種結晶体(7)は、5回/分で回転させ、他方、坩堝(4)も、これと逆方向に1回/分で回転させた状態で、2mm/時間にて100時間引き上げを行ったところ、順調に単結晶の育成が行えた。育成終了後、常温まで0.9℃/分で降温した。
以上により、最大直径28cm、重量27kgのフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン体の直胴部の長さは10cmであった。このアズグロウン単結晶体の結晶の主成長面を、X線回折写真により測定したところ(111)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を以下の手法により測定した。
まず、単結晶体のない状態で、He−Neレーザー(632.8nm)の光強度を光パワーメーターを用いて測定した。続いて、アズグロウン単結晶体の直胴部を長さ方向に等間隔に20等分した各円周上から、任意の一点を各選定した。そして、各測定点において、光路が結晶の成長方向に対して垂直かつ光路長が最大となるように直胴部をレーザーの光路に挿入して光強度を測定し、単結晶体のない状態で測定した光強度に対する光強度比から、上記波長での光透過率を求めた。得られた各測定点での光透過率を平均して、上記アズグロウン単結晶体の光透過率を求めたところ93.2%であった。
(実施例2)
実施例1で用いた図1の単結晶引き上げ装置において、リッド材(14)の高さを、坩堝(4)の上端よりも、該坩堝(4)の上端から断熱壁(6)の上端までの距離の15%高い(9cm)位置としたこと以外は、実施例1と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径28cm、重量16.2kgのフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は6cmであった。また、結晶の主成長面は(111)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ96.1%であった。
(実施例3)
実施例1において、単結晶の引き上げを3mm/時間の速度にて行ったこと以外は、実施例1と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径25cm、重量13.0kgのフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は6cmであった。また、結晶の主成長面は(111)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ91.8%であった。
(比較例1)
実施例1で用いた図1の単結晶引き上げ装置において、リッド材(14)を設けなかったことこと以外は、実施例1と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体の引き上げを行い、直胴部の最大直径22cm、重量10.0kgのフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は6cmであった。また、結晶の主成長面は(111)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ70.4%であった。
(比較例2)
実施例1において、単結晶の引き上げを10mm/時間の速度にて行ったこと以外は、実施例1と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径20cm、重量8.3kgのフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は6cmであった。また、結晶の主成長面は(111)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ66.0%であった。
(実施例4)
実施例1において、種結晶体(7)として、下端面(育成面)が(100)面であるフッ化カルシウムの単結晶体を用いたこと以外は、実施例1と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径22cm、重量16.1kgのフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は8cmであった。また、結晶の主成長面は(100)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ91.5%であった。
(実施例5)
実施例2において、種結晶体(7)として、下端面(育成面)が(100)面であるフッ化カルシウムの単結晶体を用いたこと以外は、実施例2と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径24cm、重量19.2kgのフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は8cmであった。また、結晶の主成長面は(100)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ96.6%であった。
(実施例6)
実施例3において、種結晶体(7)として、下端面(育成面)が(100)面であるフッ化カルシウムの単結晶体を用いたこと以外は、実施例3と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径22cm、重量12.1kgのフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は6cmであった。また、結晶の主成長面は(100)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ91.9%であった。
(比較例3)
比較例1において、種結晶体(7)として、下端面(育成面)が(100)面であるフッ化カルシウムの単結晶体を用いたこと以外は、比較例1と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径20cm、重量10.0kgのフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は6cmであった。また、結晶の主成長面は(100)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ78.6%であった。
(比較例4)
比較例2において、種結晶体(7)として、下端面(育成面)が(100)面であるフッ化カルシウムの単結晶体を用いたこと以外は、比較例2と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径22cm、重量10.1kgのフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は5cmであった。また、結晶の主成長面は(100)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ77.8%であった。
(実施例7)
実施例1で用いた図1の単結晶引き上げ装置を用いて、フッ化バリウム単結晶体の製造を行った。
チャンバー (1)内に設置した坩堝(4)内に、十分な精製処理及び水分除去処理を施した高純度の原料フッ化バリウム塊75kgと、スカベンジャーとして0.1質量%の高純度フッ化亜鉛を投入し、チャンバー内を真空引きした。一方、単結晶引き上げ棒(9)の先端の保持具(8)には、下端面(育成面)が(111)面であるフッ化バリウムの単結晶体からなる種結晶体(7)を取り付けた。
次いで、溶融ヒーター(5)に通電し原料の過熱を開始し、約50℃/時間で250℃まで昇温し、この温度に2時間保持した。上記保持後、再び昇温を開始し、約100℃/時間で600℃に達した時点で、真空排気ラインを遮断し、高純度アルゴンをチャンバー(1)内に供給し、内圧を106.4KPaに保った。
原料が完全に溶融した1400℃で40分間保持した後、ヒータ出力を低下させて1360℃で120分間保持した後、前記引き上げ棒(9)を垂下させて、種結晶体(7)の下端面を原料融液(10)の表面に接触させ、単結晶の育成を開始した。種結晶体(7)は、5回/分で回転させ、他方、坩堝(4)も、これと逆方向に1回/分で回転させた状態で、2mm/Hrにて100時間引き上げを行ったところ、順調に単結晶の育成が行えた。育成終了後、常温まで0.9℃/分で降温した。
以上により、最大直径28cm、重量41kgのフッ化バリウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン体の直胴部の長さは10cmであった。また、結晶の主成長面は(111)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ94.9%であった。
(実施例8)
実施例7で用いた図1の単結晶引き上げ装置において、リッド材(14)の高さを、坩堝(4)の上端よりも、該坩堝(4)の上端から断熱壁(6)の上端までの距離の15%高い(9cm)位置としたこと以外は、実施例7と同様に実施してフッ化バリウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径28cm、重量24.6kgのフッ化バリウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は6cmであった。また、結晶の主成長面は(111)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ97.1%であった。
(実施例9)
実施例7において、単結晶の引き上げを3mm/時間の速度にて行ったこと以外は、実施例7と同様に実施してフッ化バリウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径25cm、重量19.8kgのフッ化バリウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は6cmであった。また、結晶の主成長面は(111)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ92.6%であった。
(比較例5)
実施例7で用いた図1の単結晶引き上げ装置において、リッド材(14)を設けなかったこと以外は、実施例7と同様に実施してフッ化バリウム単結晶体の引き上げを行い、直胴部の最大直径22cm、重量15.2kgのフッ化バリウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は6cmであった。また、結晶の主成長面は(111)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ68.9%であった。
(比較例6)
実施例7において、単結晶の引き上げを10mm/時間の速度にて行ったこと以外は、実施例7と同様に実施してフッ化バリウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径20cm、重量12.6kgのフッ化バリウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は6cmであった。また、結晶の主成長面は(111)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ70.6%であった。
(実施例10)
実施例7において、種結晶体(7)として、下端面(育成面)が(100)面であるフッ化バリウムの単結晶体を用いた以外は、実施例7と同様に実施してフッ化バリウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径26cm、重量25.6kgのフッ化バリウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は6cmであった。また、結晶の主成長面は(100)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ94.3%であった。
(実施例11)
実施例8において、種結晶体(7)として、下端面(育成面)が(100)面であるフッ化バリウムの単結晶体を用いた以外は、実施例8と同様に実施してフッ化バリウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径25cm、重量27.7kgのフッ化バリウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は7cmであった。また、結晶の主成長面は(100)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ96.5%であった。
(比較例7)
比較例5において、種結晶体(7)として、下端面(育成面)が(100)面であるフッ化バリウムの単結晶体を用いた以外は、比較例5と同様に実施してフッ化バリウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径23cm、重量20.1kgのフッ化バリウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は6cmであった。また、結晶の主成長面は(100)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ67.7%であった。
(比較例8)
比較例6において、種結晶体(7)として、下端面(育成面)が(100)面であるフッ化バリウムの単結晶体を用いた以外は、比較例6と同様に実施してフッ化バリウム単結晶体の引き上げを行い、最大直径21cm、重量16.7kgのフッ化バリウムのアズグロウン単結晶体を製造した。このアズグロウン単結晶の直胴部は6cmであった。また、結晶の主成長面は(100)面であった。
このアズグロウン単結晶体の632.8nmの波長での光透過率を測定したところ69.8%であった。
本発明のフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体を製造するのに好適な単結晶引き上げ装置の概略図である。
符号の説明
1;チャンバー
2;支持軸
3;受け台
4;坩堝
5;溶融ヒーター
6;断熱壁
7;種結晶体
8;保持具
9;種結晶引き上げ棒
10;原料融液
11;フッ化アルカリ土類金属単結晶体
12;単結晶引き上げ域
13;隔離壁
14;リッド材
15;覗き窓
16;チャンバー底壁
17;底部断熱材
18;支持軸気密シール材
19;底部気密シール材

Claims (3)

  1. 単結晶引き上げ法によって製造された、フッ化カルシウムおよびフッ化バリウムから選ばれるフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体であって、直胴部の直径が17cm以上であり、かつ632.8nmの波長で測定した光透過率が90〜98%であることを特徴とするフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体。
  2. 結晶の主成長面が{111}面または{100}面である請求項1記載のフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体。
  3. 直胴部が5cm以上の長さを有する請求項1または請求項2に記載のフッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体。
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