JP4301921B2 - フッ化金属用単結晶引き上げ装置 - Google Patents

フッ化金属用単結晶引き上げ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4301921B2
JP4301921B2 JP2003383439A JP2003383439A JP4301921B2 JP 4301921 B2 JP4301921 B2 JP 4301921B2 JP 2003383439 A JP2003383439 A JP 2003383439A JP 2003383439 A JP2003383439 A JP 2003383439A JP 4301921 B2 JP4301921 B2 JP 4301921B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
single crystal
crystal pulling
crucible
metal fluoride
heat insulating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003383439A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004182587A (ja
Inventor
輝彦 縄田
英孝 宮崎
裕之 柳
真一 新田
春正 伊藤
功雄 山鹿
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Dai Ichi Kiden Co Ltd
Original Assignee
Tokuyama Corp
Dai Ichi Kiden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp, Dai Ichi Kiden Co Ltd filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP2003383439A priority Critical patent/JP4301921B2/ja
Publication of JP2004182587A publication Critical patent/JP2004182587A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4301921B2 publication Critical patent/JP4301921B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

本発明は、引き上げ法(チョクラルスキー法(Czochralski法))によるフッ化カルシウム等のフッ化金属用の単結晶引き上げ装置に関する。
例えば、フッ化カルシウムや、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム等のフッ化金属の単結晶体は、広範囲の波長帯にわたって高い透過率を有し、低分散で化学的安定性にも優れている。
このため、これらのフッ化金属の単結晶体は、紫外波長または真空紫外波長のレーザを用いた各種機器、カメラ、CVD装置等のレンズ、窓材等の光学材料として需要が広がってきている。
これらのフッ化金属の単結晶体の中でも、特に、フッ化カルシウム単結晶体は、半導体デバイス生産において主流となっている光リソグラフィー技術において、次世代の短波長光源として、開発が進められている真空紫外線波長域のFエキシマレーザ(波長:157nm)に用いられる投影レンズとして、期待が寄せられている。
従来、このようなフッ化金属の単結晶体は、坩堝降下法(ブリッジマン法(Bridgman-Stockbarger)法)及び引き上げ法(チョクラルスキー法(Czochralski法))により製造することが知られている。
このうち、引き上げ法は、単結晶育成中に坩堝からの拘束を受けない方法であるため、結晶体に歪が生じ難く、また、育成中の偏析現象による不純物の低減が可能であるため、シリコンやゲルマニウム等の半導体単結晶体の製造などにおいて汎用されている。
ここで、引き上げ法とは、坩堝中の単結晶製造原料の融液に、目的とする単結晶体からなる種結晶を接触させ、次いで、その種結晶体を坩堝の加熱域から徐々に引き上げて冷却することにより、種結晶体の下方に単結晶を育成させる方法である。
このような引き上げ法を実施するため、従来より、図2に示したような単結晶引き上げ装置100が用いられている。
この単結晶引き上げ装置100は、結晶成長炉を構成するチャンバー102を備えており、このチャンバー102内にチャンバー102の底壁104を貫通するように、回転可能な支持軸106が設けられている。
なお、この支持軸106の下端は、チャンバー102の底壁104を貫通してチャンバー102外へ伸びており、図示していないが、冷却器と接した後、坩堝110を回転および上下動させるための駆動機構に接続されている。
また、この支持軸106には、受け台108が固定されており、受け台108の上面に坩堝110が載置されている。この坩堝110の内部に単結晶製造原料の融液112が収容されるものである。
そして、この坩堝110の周囲には、坩堝110を取り囲むように、チャンバー102の底壁104から立設した溶融ヒーター114が設けられている。さらに、この溶融ヒーター114および坩堝110を取り囲むように、チャンバー102の底壁104から立設した断熱壁116が設けられている。
ここで、通常、溶融ヒーター114の上端の高さは、坩堝110の上端の高さとほぼ同程度の高さになっている。
一方、チャンバー102の上壁118には、開口部120を介して、図示しない駆動機構によって、上下動および回転可能な単結晶引き上げ棒122が吊設されている。この単結晶引き上げ棒122の先端には、保持具123を介して、種結晶体124が取り付けられており、種結晶体124が、坩堝110の中心軸上に位置するように配置されている。
このように構成される単結晶引き上げ装置100では、溶融ヒーター114の加熱によって、坩堝110内で溶融状態になった単結晶製造原料の融液112に対して、単結晶引き上げ棒122を降下させる。そして、単結晶引き上げ棒122の先端の種結晶体124の下端面が、坩堝110内の原料融液112に接触した後に、単結晶引き上げ棒122を引き上げることによって、種結晶体124の下方に単結晶体126が育成するようになっている。
なお、図2中、符号128は、チャンバー上部に設けられる覗き窓である。
このような構造の従来の単結晶引き上げ装置100では、例えば、シリコン等の結晶の成長速度が比較的速い単結晶体の製造で汎用されているものでは、溶融ヒーター114および坩堝110を取り囲む断熱壁116の上端は、図2に示したように、坩堝110の上端を少し上回る程度の高さになるように配置されるのが一般的である。
すなわち、シリコン等の単結晶体では、結晶の成長速度が比較的速いので、坩堝110の保熱が十分に行え、結晶化熱の放散のためには、坩堝110の上端を少し上回る程度の高さに、断熱壁116の上端を位置するようにすればよいからである。
しかしながら、このような従来の単結晶引き上げ装置100を用いて、フッ化金属の単結晶体の製造を行った場合、引き上げられた単結晶体にクラックが発生する問題が多発していた。
これは、フッ化金属の単結晶体の場合には、シリコン等の単結晶体と比較して、その結晶成長の速度が極端に遅いものであるからである。すなわち、このような結晶成長の速度が極端に遅いフッ化金属の単結晶体に対して、上記したように、坩堝110の上端を少し上回る程度の高さに、断熱壁116の上端が位置する引き上げ装置100を用いた場合には、坩堝110上方の単結晶引き上げ域において断熱壁116が存在しないので、温度低下の勾配がどうしても大きくなり、安定的にゆっくりと結晶を育成させることが困難になるからである。
このため、比較的結晶の成長速度が緩やかなLiTaO等の酸化物単結晶体の引き上げ装置として、図3に示したような構成の単結晶引き上げ装置が提案されている(特許文献1参照)。
この図3に示される単結晶引き上げ装置200は、炉体底部202に受け台204が配置されており、この受け台204の上部にアルミナ台206が配置されている。そして、このアルミナ台206の上方に、坩堝受け台208を介して、イリジウム製の坩堝210と、坩堝210の上方にイリジウム製のアフターヒータ212が配置されている。
そして、この坩堝210の周囲と、坩堝210の上方の単結晶引き上げ域を取り囲むように、保温筒214が配置されている。また、保温筒214と坩堝210の間には、ジルコニアバブル216が配置されている。そして、保温筒214を取り囲むように加熱用高周波コイル218が配置されている。
さらに、保温筒214の上端に開口部220には、上蓋(天井板)222が配置され、開口部220を閉塞するようになっている。そして、この天井板222には、単結晶引き上げ棒224の挿入孔225が設けられ、この挿入孔24を介して、単結晶引き上げ棒224が挿入されている。また、単結晶引き上げ棒224の先端には、種結晶体(シード)226が設けられ、単結晶引き上げ棒224を引き上げることにより、種結晶体226の下方に単結晶体228が育成されるようになっている。
このような構成の図3の単結晶引き上げ装置200を用いた単結晶体の製造方法では、天井板222と単結晶引き上げ棒224との間の開口面積、すなわち、単結晶引き上げ棒224と挿入孔225間の開口面積を調整して、坩堝210内の原料融液直上5mmmの位置における温度勾配を制御することによって、単結晶中のクラックの発生を防止することが提案されている。
このような構造の単結晶引き上げ装置200によれば、単結晶引き上げ域は、保温筒214と天井板222とにより形成される室(単結晶引き上げ室)230内に収まるため、その保熱性が大きく向上し、この領域の上方に向かう方向における温度の低下勾配を、相当に緩やかにすることができる。
従って、このような従来の単結晶引き上げ装置200によれば、LiTaO等の酸化物の単結晶体であれば、クラックの発生をかなり抑えた状態で製造することが可能である。
しかしながら、このような単結晶引き上げ装置200を用いて、フッ化金属単結晶体の製造を実施した場合には、フッ化金属単結晶体の結晶成長の速度が極端に遅いものであるので、フッ化金属単結晶体に対しては、単結晶引き上げ域内の保熱性が過剰になって、単結晶引き上げ域の温度の低下勾配が逆に足りなくなり、単結晶の十分な生育が困難になることが多かった。
また、たとえ、単結晶の生育が生じる条件であっても、依然としてクラックの発生は、満足できるレベルで高度に抑制することができなかった。特に、フッ化金属がフッ化カルシウムである場合や、設けられる坩堝が最大内径が11cm以上の大型装置である場合には、このクラックの発生は、依然として相当程度に発生していた。
さらに、特許文献1では、上記単結晶引き上げ装置200における、天井板222の素材について何ら考慮されておらず、天井板222の厚みが側壁の断熱材よりも厚く、また、天井板222の厚みとハッチング模様が底蓋であるアルミナ台206と同じハッチングで表示されていることからすれば、天井板222は、アルミナ台206または保温筒214と同様の部材として断熱材料で形成されているものと推察される。
従って、本発明者らの検討によれば、フッ化カルシウム等のフッ化金属は、均一且つ徐々に冷却していくことが安定的な結晶の育成に特に要求されるのに対して、特許文献1における単結晶引き上げ装置200を用いた方法のような、単結晶引き上げ棒224の挿入孔225間の開口面積の調整によって、単結晶引き上げ域の温度低下を制御する方法、ならびに、天井板222および保温筒214の断熱性および放熱能力について何ら考慮されていない方法では、半径方向や高さ方向の温度分布に不均一さが生じることが避けられず、これが安定的な結晶成長の阻害原因になるものと推定される。
さらに、他の公知技術としては、フッ化カルシウム等のフッ化金属について、図4に示したような単結晶引き上げ装置300が開示されている(特許文献2参照)。
この図4の単結晶引き上げ装置300は、成長炉のチャンバー302内に、坩堝304が配置され、坩堝304の周囲に、ヒーター306が配設されている。
そして、この坩堝304、およびヒーター306の周囲を取り囲むように、断熱材308が配置されている。この断熱材308の上部には、ヒーター306の上部分を覆うように内方延設部310が設けられている。
さらに、坩堝304内には原料融液316が収容され、単結晶引き上げ棒312の先端の種結晶体314が、坩堝304内の原料融液316と接触するように構成されている。
しかしながら、この単結晶引き上げ装置300では、断熱材308の内方延設部310は、単に、ヒーター306の上部分を覆い、ヒーター306の加熱の効率化を図ったものであり、また、坩堝304と単結晶引き上げ棒312との間には相当程度の開口が存在するものである。
従って、この単結晶引き上げ装置300は、、基本的には、図1に示した従来の単結晶引き上げ装置100と同様に、坩堝304の上端を少し上回る程度の高さに、断熱材308の上端が位置するのであって、結晶成長の速度が極端に遅いフッ化金属の単結晶体に対して用いた場合には、坩堝304上方の単結晶引き上げ域において断熱材308が存在しないので、温度低下の勾配がどうしても大きくなり、安定的にゆっくりと結晶を育成させることが困難で、引き上げられた単結晶体にクラックが発生することになる。
特開昭63−270385号公報(同公報の第1−2頁、第2図参照) 特開平11−21197号公報(図3)
従って、従来のいずれの単結晶製造装置おいても、このような単結晶引き上げ域における温度分布の不均一さを改善し、フッ化金属の単結晶体をクラックの発生なく良好に製造できる単結晶引き上げ装置を開発することが大きな課題であった。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、単結晶引き上げ装置において、天井板を放熱能力の高い素材で形成することにより上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明なされたものであって、本発明のフッ化金属用単結晶引き上げ装置は、
結晶成長炉を構成するチャンバーと、
前記チャンバー内に配置され、単結晶製造原料の融液が収容される、最大内径が11cm以上である坩堝と、
前記坩堝の周囲を取り囲むように配設した溶融ヒーターと、
先端に種結晶を備え、坩堝内に収容された単結晶製造原料の融液と接触される上下動可能な単結晶引き上げ棒と、
前記坩堝の少なくとも上方の単結晶引き上げ域の側周部を取り囲むように、前記チャンバー内に配設した断熱壁と、
を備えたフッ化金属用単結晶引き上げ装置であって、
前記断熱壁の上部の上端開口部を閉塞する天井板と、
前記断熱壁と天井板とで囲繞された単結晶引き上げ室とを備え、
前記単結晶引き上げ室が、チャンバー内の坩堝の上方における、坩堝の上端の高さから、育成されるフッ化金属単結晶体の上端が、引き上げ終了時に到達している高さまでの単結晶引き上げ域を有し、
前記天井板には、前記単結晶引き上げ棒を挿入するための挿入孔が少なくとも穿孔されるとともに、
前記天井板の厚み方向の放熱能力が、1000〜50000W/m・Kであることを特徴とする。
このような構成のフッ化金属用単結晶引き上げ装置によれば、単結晶引き上げ域が、断熱壁と天井板とにより形成される単結晶引き上げ室内に収まるため、その保熱性が大きく向上する。
しかも、天井板として、厚み方向の放熱能力が、1000〜50000W/m・Kのものを用いているので、単結晶引き上げ室内では、天井板からの放熱も適度に大きくなるため、単結晶引き上げ室が半径方向にも高さ方向にもゆるやかに冷却される結果、温度分布の不均一さが著しく改善される。
従って、単結晶引き上げ域において、単結晶体は、緩やか且つ均一に冷却されていき、より安定的に結晶が育成されため、単結晶体がフッ化カルシウム等の結晶成長の速度が極端に遅いフッ化金属であってもクラックの発生を極めて高度に抑制することができる。特に、本発明のフッ化金属用単結晶引き上げ装置は、単結晶体へのクラックの発生が特に激しい、坩堝の最大内径が11cm以上である大型装置において上記構造を採用しているため、上記の効果が特に顕著に発揮され、大型のクラックのない単結晶体を製造することが可能である。
また、本発明のフッ化金属用単結晶引き上げ装置は、前記断熱壁の厚み方向の放熱能力が、100W/m・K以下であることを特徴とする。
このような範囲に、断熱壁の厚み方向の放熱能力があれば、単結晶引き上げ室が半径方向にもゆるやかに冷却される結果、温度分布の不均一さが著しく改善され、単結晶引き上げ域において、単結晶体は、緩やか且つ均一に冷却されていき、より安定的に結晶が育成されため、単結晶体がフッ化カルシウム等のフッ化金属であっても、クラックの発生を極めて高度に抑制することができる。
また、本発明のフッ化金属用単結晶引き上げ装置は、前記天井板がグラファイト板であることを特徴とする。
このように、天井板がグラファイト板であれば、上記のような所望の放熱能力が達成でき、引き上げ時の苛酷な環境への耐性や機械的強度にも優れている。
また、本発明のフッ化金属用単結晶引き上げ装置は、前記天井板が、坩堝の上端よりも坩堝の最大内径の50〜500%高い箇所に位置することを特徴とする。
このような範囲に天井板が位置することによって、単結晶引き上げ室の内空部に、実用的なサイズのフッ化金属単結晶体を引き上げるのに必要な単結晶引き上げ域を十分に確保することができ、その保熱性が大きく向上し、単結晶引き上げ域において、単結晶体は、緩やか且つ均一に冷却されていき、より安定的に結晶が育成されため、単結晶体がフッ化カルシウム等の結晶成長の速度が極端に遅いフッ化金属であっても、クラックの発生を極めて高度に抑制することができる。
また、本発明のフッ化金属用単結晶引き上げ装置は、前記天井板に形成された穿孔の総開口面積が、断熱壁の環囲体の上端開口面積の5〜60%であることを特徴とする。
このような範囲に、天井板に形成する穿孔の総開口面積を調整することによって、単結晶引き上げ室からの放熱性を制御することができ、単結晶引き上げ域の上方に向かっての温度の低下勾配を、フッ化金属の単結晶体の引き上げに適度なものに制御することができる。
また、本発明のフッ化金属用単結晶引き上げ装置は、フッ化金属が、フッ化カルシウムであることを特徴とする。
このように、単結晶引き上げ域において、単結晶体は、緩やか且つ均一に冷却されていき、より安定的に結晶が育成されため、単結晶体が結晶成長の速度が極端に遅いフッ化カルシウムであっても、クラックの発生を極めて高度に抑制することができる。
本発明の単結晶引き上げ装置によれば、単結晶引き上げ域が、断熱壁と天井板とにより形成される単結晶引き上げ室内に収まるため、単結晶引き上げ域の保熱性に優れ、領域の温度分布は上方に向かって均一且つ緩やかに温度低下するものになるため、フッ化金属の単結晶体を安定的に育成することができ、製造される単結晶体へのクラックの発生を高度に抑制することができる。さらに、本発明のフッ化金属用単結晶引き上げ装置は、坩堝の最大内径が11cm以上である大型装置でフッ化金属の単結晶体を製造するため、上記クラックは特に激しく発生するものであり、本発明の効果は特に顕著に発揮され、大型のクラックのない単結晶体を製造することが可能である。
また、本発明の単結晶引き上げ装置によれば、断熱壁の厚み方向の放熱能力が、100W/m・K以下であるので、単結晶引き上げ域の保熱性が特に優れ、上記効果が顕著に発揮される。
また、本発明の単結晶引き上げ装置によれば、天井板がグラファイト板であるので、所望される放熱能力を有し、引き上げ時の苛酷な環境への耐性や機械的強度にも優れた材料で、天井板を形成することができる。
また、本発明の単結晶引き上げ装置によれば、天井板が、坩堝の上端よりも坩堝の最大内径の50〜500%高い箇所に位置するので、単結晶引き上げ室の内空部に、実用的なサイズのフッ化金属単結晶体を引き上げるのに必要な単結晶引き上げ域を十分に確保することができる。
また、本発明の単結晶引き上げ装置によれば、天井板に形成された穿孔の総開口面積が、断熱壁の環囲体の上端開口面積の5〜60%であるので、天井板に形成する穿孔の総開口面積を調整することによって、単結晶引き上げ室からの放熱性を制御することができ、単結晶引き上げ域の上方に向かっての温度の低下勾配を、フッ化金属の単結晶体の引き上げに適度なものに制御することができ、その結果、単結晶引き上げ域の保温性と、領域の均一且つ緩やかな上方に向けての温度低下のバランスとを良好にとることができる。
また、本の発明の単結晶引き上げ装置によれば、フッ化カルシウムは単結晶体へのクラックの発生が特に激しい素材であるが、単結晶引き上げ域において、単結晶体は、緩やか且つ均一に冷却されていき、より安定的に結晶が育成されため、単結晶体が結晶成長の速度が極端に遅いフッ化カルシウムであっても、クラックの発生を極めて高度に抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本発明の単結晶引き上げ装置の実施例の概略図である。
この単結晶引き上げ装置10は、結晶成長炉を構成するチャンバー12を備えており、このチャンバー12内にチャンバー12の底壁14を貫通するように、回転可能な支持軸16が設けられている。
なお、この支持軸16の下端は、チャンバー12の底壁14を貫通してチャンバー12外へ伸びており、図示していないが、冷却器と接した後、坩堝20を回転および上下動させるための駆動機構に接続されている。
また、この支持軸16には、受け台18が固定されており、受け台18の上面に坩堝20が載置されている。この坩堝20の内部に単結晶製造原料の融液22が収容されるものである。
そして、この坩堝20の周囲には、坩堝20を取り囲むように、チャンバー12の底壁14から立設した溶融ヒーター24が設けられている。さらに、この溶融ヒーター24および坩堝20を取り囲むように、チャンバー12の底壁14から立設した断熱壁26が設けられている。
一方、チャンバー12の上壁28には、開口部30を介して、図示しない駆動機構によって、上下動および回転可能な単結晶引き上げ棒32が吊設されている。この単結晶引き上げ棒32の先端には、保持具33を介して、種結晶体34が取り付けられており、種結晶体34が、坩堝20の中心軸上に位置するように配置されている。
このように構成される単結晶引き上げ装置10では、溶融ヒーター24の加熱によって、坩堝20内で溶融状態になった単結晶製造原料の融液22に対して、単結晶引き上げ棒32を降下させる。そして、単結晶引き上げ棒32の先端の種結晶体34の下端面が、坩堝20内の原料融液22に接触した後に、単結晶引き上げ棒32を引き上げることによって、種結晶体34の下方に単結晶体36が育成するようになっている。
ところで、図1の単結晶引き上げ装置において、断熱壁26は、図2に示したシリコン等の単結晶体の製造用に使用されている単結晶引き上げ装置のものよりも、上方に長く延設されており、坩堝20の下端から上端までの全周だけでなく、その上方の単結晶引き上げ域38までも、その側周部を取り囲んで(環囲して)いる。
ここで、本発明において単結晶引き上げ域38とは、チャンバー12内の坩堝20の上方における、坩堝20の上端の高さから、育成されるフッ化金属単結晶体36の上端(すなわち、種結晶体の下端面)が、引き上げ終了時に到達している高さまでの領域である。
この場合、このような単結晶引き上げ域38の最上部は、引き上げる単結晶体36の長さによって異なるが、通常は、坩堝20の上端よりも坩堝の最大内径の50%〜500%高い箇所、特に好適には100〜300%高い箇所に位置するのが一般的である。
断熱壁26の上端の高さは、このようなサイズの単結晶引き上げ域38が、後述する単結晶引き上げ室内に十分に収まるように設定される。断熱壁26の上端を、単結晶引き上げ域38の最上部よりもあまり高くすると保温効果が効きすぎて単結晶を得ることができなくなるため、上記単結晶引き上げ域38の最上部と同じ範囲から選定するのが好ましい。
本発明において、上記断熱壁26は、公知の断熱性素材で形成されていれば制限無く採用できるが、単結晶体36へのクラック発生の抑制効果を高くする上では、厚み方向の放熱能力が100W/m・K以下、より好適には、1〜50W/m・Kであるのが好ましい。
ここで、本発明において、厚み方向の放熱能力とは、対象物の厚み方向の、1500℃における平均熱伝導度(W/m・K)を厚さ(m)で割った値をいう。
このような放熱能力を有する断熱壁26の素材としては、1500℃における熱伝導率が0.2〜1.0W/m・K、より好適には0.3〜0.8W/m・Kのものが好ましく、具体的には、ピッチ系グラファイト成型断熱材(例えば商品名「ドナカーボ」)、ファイバー系グラファイト成型断熱材、カーボンフェルト系断熱材、ポーラスカーボン系断熱材等が挙げられる。
このうち、所望される放熱能力が達成でき、引き上げ時の苛酷な環境への耐性や機械的強度にも優れた材料であること等からピッチ系グラファイト成型断熱材を用いるのが特に好ましい。
また、断熱壁26は、壁全体として断熱性に優れるものになるならば、上記の単一素材からなる壁材だけでなく、少なくとも一種の断熱板を含む複数の板状体を積層した構造や、さらには、これら複数の板状体を気相を介在させて積層したような構造であっても良い。なお、断熱壁26の厚みは、特に制限されるものではないが、3〜10cmであるのが一般的である。
チャンバー12内を上方視した際において、断熱壁26の設置位置は、坩堝20の外側であれば特に制限されない。通常は、坩堝20の周囲には溶融ヒーター24が設置されるため、さらにその外側に位置させるのが一般的である。坩堝20の外端からあまり距離を空けても、単結晶引き上げ域38の保熱効果が低下するため、坩堝20の最大内径の20〜100%、特に好ましくは30〜60%の距離を空けて設けるのが好適である。
本発明において、上記断熱壁26の環囲体の上端の上端開口部40は、単結晶引き上げ棒32の挿入孔42が少なくとも穿孔された天井板44により閉塞される。これにより、単結晶引き上げ域38は、上記断熱壁26と天井板44とにより形成される単結晶引き上げ室46内に収まるため、その保熱性が大きく向上する。
本発明の最大の特徴は、上記構造の単結晶引き上げ装置において、天井板44として、厚み方向の放熱能力が、1000〜50000W/m・Kのものを用いた点にある。これにより、単結晶引き上げ室46内では、天井板44からの放熱も適度に大きくなるため、単結晶引き上げ室が半径方向にも高さ方向にもゆるやかに冷却される結果、温度分布の不均一さが著しく改善される。
従って、このような本発明によれば、単結晶引き上げ域38において単結晶体36は、緩やか且つ均一に冷却されていき、より安定的に結晶が育成されため、単結晶体がフッ化カルシウム等のフッ化金属であっても、クラックの発生を極めて高度に抑制することができる。
このような効果の発現性を勘案すると、本発明において、天井板44の厚み方向の特に好ましい放熱能力は1000〜50000W/m・Kであり、最も好ましくは2000〜20000W/m・Kである。
天井板44の厚み方向の放熱能力が、1000W/m・Kより小さい場合、大抵は、天井板44からの放熱が不足し単結晶引き上げ域38の高さ方向の温度勾配が十分でなくなり、単結晶が生成しなくなる。また、単結晶の生育が生じる場合においても、上記単結晶引き上げ域38の温度分布が不均一になり、クラックの発生を高度に抑制することが困難になる。他方、天井板44の厚み方向の放熱能力が、50000W/m・Kより大きい場合、高さ方向の温度勾配が大きくなりすぎてクラックの大量発生に至る。
このような放熱能力を有する天井板44の素材としては、1500℃における熱伝導率が15〜200W/m・K、より好適には30〜150W/m・Kのものが好ましく、具体的にはグラファイト、タングステン等が挙げられる。このうち、所望される放熱能力を達成でき、引き上げ時の苛酷な環境への耐性や機械的強度にも優れた材料であることからグラファイトを用いるのが特に好ましい。
また、天井板44は、板全体として前記の放熱能力の値が満足されるならば、断熱壁26の場合と同様に単一素材からなる板材だけでなく、少なくとも一種の放熱板を含む複数の板状体を積層した構造や、さらには、これら複数の板状体を気相を介在させて積層したような構造であっても良い。
また、天井板44は、必ずしも平板状である必要はなく、断熱壁26の環囲体の上端開口部40を、後述する穿孔部分を除いて閉塞するものであれば如何なる形状であっても良い。例えば、円錐台状、逆円錐台状、笠状、逆笠状、ドーム状、逆ドーム状等であっても良い。
本発明において、天井板44の高さは、天井板44が平板状である場合は、前記した断熱壁26の上端の高さになる。また、本発明では、天井板44が、前記例示したような断熱壁26の上端よりも上方に凸する形状である際は、その最高部を天井板の高さとする。
さらに、本発明では、天井板44が、前記例示したような断熱壁26の上端よりも下方に凹む形状である際は、その最下部の高さを天井板の高さとする。これら平板状にない天井板の高さも、平板状の天井板の高さと同様に、前記断熱壁26の上端の高さで説明した高さ、即ち、坩堝20の上端よりも坩堝の最大内径の50〜500%高い箇所に位置させるのが効果的である。
なお、天井板44の厚みは、特に制限されるものではないが、0.3〜3cm、好ましくは0.5〜1.5cmであるのが一般的である。
本発明において天井板44には、前記単結晶引き上げ棒32の挿入孔42の他、チャンバー上部に設けらる覗き窓48からの視界を確保するための観察孔や原料融液22の表面に浮遊する固形不純物を掬い取るための機構を進入させるための作業用孔等を適宜に穿孔しても良い。
本発明では、これらの天井板44に形成する穿孔の総開口面積を調整することによっても、単結晶引き上げ室46からの放熱性を制御することができ、単結晶引き上げ域38の上方に向かっての温度の低下勾配を、フッ化金属の単結晶体の引き上げに適度なものに制御することができる。しかしながら、天井板44の放熱能力を前記値に制御することなく、このような穿孔の総開口面積の調整だけで温度勾配を制御するとクラックの発生を高度に防止することはできず好ましくない。
これら穿孔の総開口面積は、断熱壁26の環囲体の上端開口面積の5〜60%、特に好ましくは8〜40%であるのが好適である。
以上の本発明の特徴的構造は、単結晶体へのクラックの発生が特に激しい、坩堝の最大内径が11cm以上である大型のフッ化金属用単結晶引き上げ装置において採用した場合において、特に顕著に効果が発揮され好適である。
次に、本発明の単結晶引き上げ装置のその他の構造について説明する。溶融ヒーター24は、特に制限されるものではなく、抵抗加熱式や誘導加熱式などが用いられる。その上端は、坩堝20の上端と同程度か、これを少し上回る程度の高さであるのが好ましい。
この溶融ヒーター24と坩堝20の外端との間には、ヒーターよりの輻射熱を均一化する目的で、隔離壁50を周設しても良い。さらに、溶融ヒーター24の熱が上方に逃失するのが防止するために、隔離壁50の上端を、溶融ヒーター24の上端よりも少し高くし、上端と断熱壁26との間に、隔離壁50と断熱壁26との間隙を閉塞するリッド材52を横架し、この間隙を閉塞させるのが、本発明の効果をより顕著に発揮させる上から好ましい。
隔離壁50及びリッド材52の材質は、グラファイト等が好ましい。
なお、単結晶引き上げ装置において、単結晶引き上げ棒32、支持軸16及び覗き窓48等は、Oリングや磁性流体シールなどで気密化することが好ましい。原料フッ化金属の溶融工程や結晶の育成工程において、これらの部分からリークが発生すると、単結晶の着色や透明度の低下などの品質の著しい低下をもたらすおそれがある。
坩堝20に投入した原料フッ化金属は、溶融させるに先立って減圧下で加熱処理を施して吸着水分を除去するのが好ましく、そのための装置を真空引きするための真空ポンプは、公知のものを用いることができるが、ロータリーポンプと油拡散ポンプ、あるいはロータリーポンプと分子ポンプの組合せが好ましい。
さらに、図1に示したように、チャンバー12の底壁14には、断熱壁26の内周側に底部断熱材54が設けられている。また、支持軸16の周囲と底部断熱材54の間には、断熱性の支持軸気密シール材56が介装されている。さらに、断熱壁26の下端と、底部断熱材54の外周と、溶融ヒーター24との間には、断熱性の底部気密シール材58が介装されている。
これにより、チャンバー12の底部から熱が逃げるのが防止されるとともに、外部にチャンバー12の雰囲気が漏洩するのが防止されるようになっている。
このような底部断熱材54、支持軸気密シール材56、底部気密シール材58の材質としては、特に限定されるものではなく、断熱壁26と同様な厚み方向の放熱能力を有するものであれば、公知の断熱性素材で形成されていれば制限無く採用することできる。
本発明の引き上げ装置は、前記単結晶引き上げ時におけるクラックの発生の問題が特に激しく発生するフッ化金属類の単結晶体の製造に用いる。ここで、フッ化金属とは、具体的には、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、フッ化アルミニウム、LiCaALF等が挙げられる。このうち特に、フッ化カルシウム単結晶体の製造に適用した場合に最も顕著に効果が発揮される。
引き上げ法の具体的操作方法も、一般的な単結晶引き上げ装置を用いて実施されている公知の方法が制限なく実施できる。坩堝に投入する原料フッ化金属は、十分に精製処理、特に水分除去処理を施したものを使用するのが好ましい。このような原料フッ化物の溶融および単結晶の育成は、不活性ガスの雰囲気下又は真空下で行うことができる。
単結晶体の引き上げは、原料フッ化物の坩堝底部の測定温度において融点〜融点+100℃に加熱した条件、例えばフッ化金属がフッ化カルシウムであれば1380〜1480℃の温度で実施するのが好ましく、温度への昇温速度は50〜500℃/時間であるのが好ましい。
上記引き上げ法の実施は、残留する水分の影響をなくすため、スカベンジャーの存在下で実施するのが好ましい。スカベンジャーとしては、原料フッ化金属と共に仕込まれる、フッ化亜鉛、フッ化鉛、ポリ四フッ化エチレン等の固体スカベンジャーや、チャンバー内に雰囲気として導入される、四フッ化炭素等の気体スカベンジャーが使用される。
引き上げ法に用いる種結晶は、育成するフッ化金属と同組成の単結晶体を用いるのが好ましい。種結晶体の育成面は任意に選択することができるが、フッ化金属の種結晶を用いる場合は、(111)面を好適に用いることができる。結晶の育成中において、これら種結晶は、引き上げ軸を中心として回転させることが好ましく、他方、これに併せて坩堝も、上記種結晶の回転方向と反対方向に回転させるのが好ましい。
実施例
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
図1に示される単結晶引き上げ装置を用いて、フッ化カルシウム単結晶体の製造を行った。
チャンバー12内に設置された高純度グラファイト製の坩堝20は、内直径38cm(外直径40cm)であり、高さ30cmのものであった。断熱壁26は、ピッチ系グラファイト成型断熱材であり、厚み方向の放熱能力は9W/m・Kのものであった。他方、天井板44は、グラファイト製であり、厚み方向の放熱能力は5000W/m・Kのものであった。
また、この天井板44には、図示される単結晶引き上げ棒32の挿入孔(直径14cm)42の他、覗き窓48からの視界を確保するための観察孔が穿孔されており、これらの総開口面積は、断熱壁26の環囲体の上端開口面積の13%であった。
さらに、上記天井板44の高さは、坩堝20の上端よりも坩堝の最大内径の160%高い位置であった。なお、断熱壁26と坩堝20の外端との間隔は、9cm(坩堝20の最大内径の25%)であった。
チャンバー12内に設置した坩堝20内に、十分な精製処理及び水分除去処理を施した高純度の原料フッ化カルシウム塊50kgと、スカベンジャーとして0.1%の高純度フッ化亜鉛を投入し、チャンバー内を真空引きした。次いで、溶融ヒーター24に通電し原料の過熱を開始し、250℃まで昇温し、この温度に2時間保持した。上記保持後、再び昇温を開始し、600℃に達した時点で、真空排気ラインを遮断し、高純度アルゴンをチャンバー12内に供給し、内圧を106.4KPaに保った。
原料が完全に溶融した1480℃で40分間保持した後、ヒーター出力を低下させて1440℃で120分間保持した後、前記単結晶引き上げ棒32を垂下させて、種結晶体34の下端面を原料融液22の表面に接触させ、単結晶の育成を開始した。
種結晶体34は、15回/分で回転させ、他方、坩堝20も、これと逆方向に1回/分で回転させた状態で、5mm/時間にて40時間引き上げを行ったところ、目視による観察では、単結晶体36へのクラックの発生は全くなく順調に単結晶の育成が行えた。育成終了後、常温まで降温した。
以上により、最大直径28cm、重量27kgのフッ化カルシウム単結晶体が得られた。
実施例2
実施例1で用いた図1の単結晶引き上げ装置において、天井板44として、タングステン製であり、厚み方向の放熱能力が20000W/m・Kのものを用いた以外、実施例1と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体を製造した。得られたフッ化カルシウム単結晶体には、クラックの発生は全く観察されず、順調に単結晶の育成が行えていた。
比較例1
実施例1で用いた図1の単結晶引き上げ装置において、天井板44を除いた以外、実施例1と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体を製造した。その結果、クラックが5本観測された。
比較例2
実施例1で用いた図1の単結晶引き上げ装置において、天井板44として、
ピッチ系グラファイト成型断熱材であり、厚み方向の放熱能力が15W/m・Kのものを用いた以外、実施例1と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体を製造しようとした。その結果、結晶は得られなかった。
比較例3
実施例1で用いた図1の単結晶引き上げ装置において、天井板44として、
ピッチ系グラファイト成型断熱材であり、厚み方向の放熱能力が15W/m・Kのものを用い、天井板に直径30cmの単結晶引き上げ棒の挿入孔のみを穿孔した(開口面積は、断熱壁26の環囲体の上端開口面積の30%)以外は、実施例1と同様に実施してフッ化カルシウム単結晶体を製造した。その結果、クラックが2本観測された。
比較例4
単結晶引き上げ装置として、実施例1で用いた図1の装置において、坩堝内直径を9cmとし、天井板44を除き、その他のサイズを比例で小さくしたものを用いた。
このような単結晶引き上げ装置に原料フッ化カルシュウム塊を0.7Kgを投入した以外実施例1と同様に実施して最大直径6cmのフッ化カルシウム単結晶体0.35Kgを製造した。その結果、クラックが1本観測された。
本発明の単結晶引き上げ装置の実施例を示す概略図である。 は、従来の単結晶引き上げ装置を示す概略図である。 は、従来の単結晶引き上げ装置を示す概略図である。 は、従来の単結晶引き上げ装置を示す概略図である。
符号の説明
10,100;単結晶引き上げ装置
12,102;チャンバー
14,104;底壁
16,106;支持軸
18,108;受け台
20,110;坩堝
22,112;原料融液
24,114;溶融ヒーター
26,116;断熱壁
28,118;上壁
30,120;開口部
32,122;単結晶引き上げ棒
33,123;保持具
34,124;種結晶体
36,126;フッ化金属単結晶体
38,;単結晶引き上げ域
40;上端開口部
42;挿入孔
44;天井板
46;単結晶引き上げ室
48,128;覗き窓
50;隔離壁
52;リッド材
54;底部断熱材
56;支持軸気密シール材
58;底部気密シール材
200;単結晶引き上げ装置
202;炉体底部
204;受け台
206;アルミナ台
208;坩堝受け台
210;坩堝
212;アフターヒーター
214;保温筒
216;ジルコニアバブル
218;加熱用高周波コイル
220;上端開口部
222;天井板
224;単結晶引き上げ棒
225;挿入孔
226;種結晶体
228;単結晶体
300;単結晶引き上げ装置
302;チャンバー
304;坩堝
306;ヒーター
308;断熱材
310;内方延設部
312;単結晶引き上げ棒
314;種結晶体
316;原料融液

Claims (6)

  1. 結晶成長炉を構成するチャンバーと、前記チャンバー内に配置され、単結晶製造原料の融液が収容される、最大内径が11cm以上である坩堝と、前記坩堝の周囲を取り囲むように配設した溶融ヒーターと、先端に種結晶を備え、坩堝内に収容された単結晶製造原料の融液と接触される上下動可能な単結晶引き上げ棒と、前記坩堝の少なくとも上方の単結晶引き上げ域の側周部を取り囲むように、前記チャンバー内に配設した断熱壁と、を備えたフッ化金属用単結晶引き上げ装置であって、
    前記断熱壁の上部の上端開口部を閉塞する天井板と、前記断熱壁と天井板とで囲繞された単結晶引き上げ室とを備え、前記単結晶引き上げ室が、チャンバー内の坩堝の上方における、坩堝の上端の高さから、育成されるフッ化金属単結晶体の上端が、引き上げ終了時に到達している高さまでの単結晶引き上げ域を有し、前記天井板には、前記単結晶引き上げ棒を挿入するための挿入孔が少なくとも穿孔されるとともに、前記天井板の厚み方向の放熱能力が、1000〜50000W/m・Kであることを特徴とするフッ化金属用単結晶引き上げ装置。
  2. 前記断熱壁の厚み方向の放熱能力が、100W/m・K以下である請求項1に記載のフッ化金属用単結晶引き上げ装置。
  3. 前記天井板がグラファイト板であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフッ化金属用単結晶引き上げ装置。
  4. 前記天井板が、坩堝の上端よりも坩堝の最大内径の50〜500%高い箇所に位置する請求項1から3のいずれかに記載のフッ化金属用単結晶引き上げ装置。
  5. 前記天井板に形成された穿孔の総開口面積が、断熱壁の環囲体の上端開口面積の5〜60%である請求項1から4のいずれかに記載のフッ化金属用単結晶引き上げ装置。
  6. 前記フッ化金属が、フッ化カルシウムである請求項1から5のいずれかに記載のフッ化金属用単結晶引き上げ装置。
JP2003383439A 2002-11-19 2003-11-13 フッ化金属用単結晶引き上げ装置 Expired - Fee Related JP4301921B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003383439A JP4301921B2 (ja) 2002-11-19 2003-11-13 フッ化金属用単結晶引き上げ装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002334528 2002-11-19
JP2003383439A JP4301921B2 (ja) 2002-11-19 2003-11-13 フッ化金属用単結晶引き上げ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004182587A JP2004182587A (ja) 2004-07-02
JP4301921B2 true JP4301921B2 (ja) 2009-07-22

Family

ID=32774586

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003383439A Expired - Fee Related JP4301921B2 (ja) 2002-11-19 2003-11-13 フッ化金属用単結晶引き上げ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4301921B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4484208B2 (ja) * 2004-10-25 2010-06-16 株式会社トクヤマ フッ化金属単結晶体の製造方法
WO2006068062A1 (ja) * 2004-12-22 2006-06-29 Tokuyama Corporation フッ化金属単結晶体の引上げ装置および該装置を用いたフッ化金属単結晶体の製造方法
JP4863710B2 (ja) * 2004-12-22 2012-01-25 株式会社トクヤマ フッ化金属単結晶体製造用引上げ装置および該装置を用いたフッ化金属単結晶体の製造方法
JP4668068B2 (ja) * 2005-09-14 2011-04-13 株式会社トクヤマ フッ化金属単結晶体引上げ用装置及び該装置を用いたフッ化金属単結晶体の製造方法
JP2007297222A (ja) * 2006-04-27 2007-11-15 Tokuyama Corp フッ化金属単結晶体の引上げ装置およびフッ化金属単結晶体の製造方法
JP2009102194A (ja) * 2007-10-23 2009-05-14 Tokuyama Corp フッ化金属単結晶体引上げ装置及び該装置を用いたフッ化金属単結晶体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004182587A (ja) 2004-07-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008007353A (ja) サファイア単結晶育成装置およびそれを用いた育成方法
KR101105950B1 (ko) 단결정 잉곳 제조장치
JP2017149641A (ja) 液冷式熱交換機
JP4301921B2 (ja) フッ化金属用単結晶引き上げ装置
JP2006342029A (ja) フッ化金属単結晶を熱処理するために用いるアニール炉及びフッ化金属単結晶のアニール方法
EP1424408B1 (en) Single crystal pulling apparatus for metal fluoride
US9453291B2 (en) Single crystal pulling apparatus and low heat conductive member used for single crystal pulling apparatus
JP5715159B2 (ja) 単結晶成長装置
KR101675903B1 (ko) 반도체 단결정의 제조 장치 및 제조 방법
JP4425181B2 (ja) フッ化金属単結晶体の製造方法
JP4456849B2 (ja) フッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体
JP2008222481A (ja) 化合物半導体の製造方法及び装置
JP2011225423A (ja) フッ化金属単結晶育成炉に用いる二重坩堝構造及びフッ化金属単結晶育成炉
JP2004231502A (ja) フッ化バリウムのアズグロウン単結晶体
WO2019176447A1 (ja) 炭化珪素単結晶の製造方法及び製造装置
JP4500531B2 (ja) フッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体
JP4484208B2 (ja) フッ化金属単結晶体の製造方法
JP2004217469A (ja) 単結晶体引き上げ装置
JP2015140291A (ja) サファイア単結晶育成用坩堝およびこの坩堝を用いたサファイア単結晶の製造方法
JP4821623B2 (ja) 単結晶育成用ルツボ及びこのルツボにより育成されるフッ化物結晶
US20040099207A1 (en) As-grown single crystal of calcium fluoride
JP2009292682A (ja) シリコン単結晶の引上げ装置及び引上げ方法
JP4859785B2 (ja) フッ化金属単結晶体引上げ用装置を用いたフッ化金属単結晶体の製造方法
JP6249757B2 (ja) 単結晶シリコン引上装置
TWI567253B (zh) 長晶裝置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060428

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080916

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090105

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090420

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090421

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120501

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120501

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130501

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140501

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees