JP2015140291A - サファイア単結晶育成用坩堝およびこの坩堝を用いたサファイア単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一方向凝固法により、サファイア単結晶を育成した場合において、得られるサファイア単結晶の高さ(成長軸方向の長さ)に関わらず、開口端部が変形することがない、サファイア単結晶育成用坩堝を、低コストで提供する。
【解決手段】タングステンまたはタングステン−モリブデン合金からなり、開口端部3の側壁2の肉厚d(単位:mm)が、一方向凝固法により得られるサファイア単結晶4の軸方向の長さh(単位:mm、100≦h≦300)に対して、式(1):0.05h−2.5≦d≦0.05h−1.5で表される範囲にあり、かつ、開口端部3の側壁2の肉厚dが最も薄くなるように、サファイア単結晶育成用坩堝1を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】タングステンまたはタングステン−モリブデン合金からなり、開口端部3の側壁2の肉厚d(単位:mm)が、一方向凝固法により得られるサファイア単結晶4の軸方向の長さh(単位:mm、100≦h≦300)に対して、式(1):0.05h−2.5≦d≦0.05h−1.5で表される範囲にあり、かつ、開口端部3の側壁2の肉厚dが最も薄くなるように、サファイア単結晶育成用坩堝1を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、サファイア単結晶の育成のために用いられるサファイア単結晶育成用坩堝に関する。また、本発明は、このサファイア単結晶育成用坩堝を用いて、一方向凝固法により、サファイア単結晶を製造する方法に関する。
近年、省エネや省スペースなどの要求から、照明装置として白色LEDが広く用いられている。この白色LEDは、サファイア単結晶基板上にGaN系半導体を形成した青色LEDと、蛍光体とを組み合わせて構成される。このため、白色LEDの需要の増加に伴い、サファイア単結晶基板の需要も急激に増加している。また、白色LEDを一般照明用に用いるには、その低コスト化が必要とされるため、サファイア単結晶基板に対しても、低価格化が要望されている。
一般に、サファイア単結晶基板は、サファイア原料融液(アルミナ融液)より育成したサファイア単結晶インゴットから、円盤状のウエーハを切り出すことによって製造される。サファイア単結晶の育成方法には、チョクラルスキー法(回転引き上げ法)、カイロポーラス法(kyropoulos Method)やEFG法(Edge-defined Film-fed Growth Method、縁端限定成長法)に代表される、融液から単結晶を引き上げて固化させる引き上げ法と、垂直ブリッジマン法(Vertical Bridgman Method)、VGF法(Vertical Gradient Freeze Method、垂直式温度傾斜凝固法)に代表される、サファイア原料融液を坩堝中で固化させる、一方向凝固方法などがある。
このうち、引き上げ法は、育成されたサファイア単結晶を引き上げるためのスペースとその装置が必要であり、結晶育成装置が大型化せざるを得ず、初期投資費用が大きくなるという問題がある。また、引き上げ法では、サファイア単結晶基板として必要とされるc軸方向の結晶育成が非効率で現実的ではない。このため、育成効率の高いa軸方向で育成を行い、得られたサファイア単結晶を軸方向と直交する方向にくり抜くことで、円柱状のインゴットを得て、このインゴットからc軸方向の基板を切り出すことが行われている。しかしながら、このような加工を行うには高い技術が要求されるばかりでなく、基板状に加工することができない部分が多く、収率が悪いという問題がある。
これに対して、一方向凝固法は、育成されたサファイア単結晶を引き上げる必要がないため、結晶育成装置の小型化や簡略化が可能であり、初期投資費用を抑えることができる。また、一方向凝固法は、育成する結晶方位の自由度が高く、c軸方向の結晶を効率よく育成することができるため、ロスの少ないc軸方向の基板の切り出しが可能である。
一方、サファイア単結晶の原料となるアルミナは融点がきわめて高く、従来、坩堝の材料としては、高温環境下でも化学的に安定なイリジウムなどの高価な貴金属が用いられることが一般的であった。しかしながら、これらの貴金属は熱膨張係数が大きく、このことに起因して、一方向凝固法によりサファイア単結晶を育成した場合に、坩堝を破壊せずに固化後のサファイア単結晶を取り出すことは困難であった。このような事情から、一方向凝固法によるサファイア単結晶の育成の実用化に際して、比較的安価で、再利用が可能な坩堝の開発が望まれている。
たとえば、特開2011−42560号公報には、垂直ブリッジマン法によるサファイア単結晶の育成において、タングステン製またはタングステン−モリブデン合金製の坩堝を使用する技術が提案されている。この文献によれば、タングステンやタングステン−モリブデン合金は、イリジウムなどの貴金属と比べて安価であり、また、サファイア単結晶よりも熱膨張係数が十分に小さいため、サファイア単結晶の取り出しに際して坩堝を破壊する必要がなく、育成後において、この坩堝を再利用することが可能であるとされている。
しかしながら、このような坩堝を使用した場合であっても、比較的大型のサファイア単結晶の育成を繰り返し行うと、数回の結晶育成により坩堝が変形し、坩堝を破壊せずにサファイア単結晶を取り出すことができなくなる。このため、大型のサファイア単結晶を育成する場合であっても変形することなく、サファイア単結晶を容易に取り出すことができ、かつ、繰り返し利用することができるサファイア単結晶育成用坩堝の開発が望まれている。
本発明は、一方向凝固法により、サファイア単結晶を育成する場合において、得られるサファイア単結晶の高さ(成長軸方向の長さ)に関わらず、サファイア単結晶を容易に取り出すことができ、かつ、繰り返し利用することができるサファイア単結晶育成用坩堝を提供することを目的とする。また、本発明は、この坩堝を用いたサファイア単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のサファイア単結晶育成用坩堝は、タングステン製またはタングステン−モリブデン合金製の坩堝であって、該坩堝の側壁うち、開口端部の側壁の肉厚d(単位:mm)が、該坩堝を用いて、一方向凝固法により得られるサファイア単結晶の成長軸方向の長さh(単位:mm、ただし、100≦h≦300)に対して、下記式(1)で表される範囲にあり、かつ、該開口端部の側壁の肉厚dが、該坩堝の側壁の中で最も薄くなっていることを特徴とする。
0.05h−2.5≦d≦0.05h−1.5 ・・・(1)
前記側壁の内周面は、前記坩堝の底面側から前記開口端部側に向かって、0.8°〜3.0°のテーパ角で拡径していることが好ましい。
前記坩堝として、タングステン−モリブデン合金製のものを使用する場合、該合金におけるタングステンの含有率は30質量%以上であることが好ましい。
本発明のサファイア単結晶の製造方法は、前記サファイア単結晶育成用坩堝を使用して、一方向凝固法によりサファイア単結晶を育成することを特徴とする。
本発明によれば、一方向凝固法により、サファイア単結晶を育成する場合において、得られるサファイア単結晶の高さ(成長軸方向の長さ)に関わらず、変形することがないサファイア単結晶育成用坩堝を低コストで提供することができる。この結果、育成後において、坩堝からサファイア単結晶を取り出す作業が容易なものとなるばかりとなるばかりでなく、坩堝を繰り返し利用することが可能となり、サファイア単結晶の生産コストの低減を図ることができるため、その工業的意義はきわめて大きい。
本発明者らは、上記問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、複数回の結晶育成に伴う坩堝の変形は、成長軸方向の高さが100mm以上のサファイア単結晶の育成を行う場合において多発し、かつ、この変形は、坩堝の開口端部の側壁が起点となって生じていることを突き止めた。より具体的には、従来、サファイア単結晶の育成に用いられる坩堝では、育成後におけるサファイア単結晶の取り出しやすさを考慮して、側壁の内周面が、底面側から開口端部側に向かって徐々に拡径するように一定のテーパ角が設けられているが、坩堝の外形は直胴形状であるため、開口端部では、側壁の肉厚が最も薄く、たとえば、成長軸方向の長さが250mmのサファイア単結晶を育成する場合は、開口端部の側壁の肉厚を10mm程度とすることが一般的であり、この部分が、複数回の結晶育成に伴う熱膨張および熱収縮の繰り返しにより、変形することを突き止めたのである。
本発明者らは、この点についてさらに研究を重ねた結果、成長軸方向の長さが100mm以上のサファイア単結晶を一方向凝固法により育成する場合において、坩堝の側壁のうち、開口端部の側壁の肉厚d(単位:mm)と、得られるサファイア単結晶の成長軸方向の長さh(単位:mm、ただし、100≦h≦300)との間に、式(1):0.05h−2.5≦d≦0.05h−1.5によって表される関係が成り立つ場合には、坩堝の変形を効果的に抑制し、坩堝の再利用性(再利用することができる回数)を飛躍的に向上させることができるとの知見を得たのである。本発明は、この知見に基づいて完成されたものである。
以下、本発明について、「1.サファイア単結晶育成用坩堝」および「2.サファイア単結晶の製造方法」に分けて説明する。
1.サファイア単結晶育成用坩堝
(1)形状
本発明のサファイア単結晶育成用坩堝は、図1に示すように、坩堝1の側壁2うち、開口端部3の側壁2の肉厚d(単位:mm)が、坩堝1を用いて、一方向凝固法により得られるサファイア単結晶4の成長軸方向の長さh(単位:mm、ただし、100≦h≦300)に対して、式(1)で表される範囲にあり、かつ、開口端部3の側壁2の肉厚dが、坩堝1の側壁2の中で最も薄くなっていることを特徴とする。なお、本発明において、サファイア単結晶4の成長軸方向の長さhとは、種結晶5の高さ(厚さ)と育成結晶6の成長軸方向の長さの合計を意味する。
(1)形状
本発明のサファイア単結晶育成用坩堝は、図1に示すように、坩堝1の側壁2うち、開口端部3の側壁2の肉厚d(単位:mm)が、坩堝1を用いて、一方向凝固法により得られるサファイア単結晶4の成長軸方向の長さh(単位:mm、ただし、100≦h≦300)に対して、式(1)で表される範囲にあり、かつ、開口端部3の側壁2の肉厚dが、坩堝1の側壁2の中で最も薄くなっていることを特徴とする。なお、本発明において、サファイア単結晶4の成長軸方向の長さhとは、種結晶5の高さ(厚さ)と育成結晶6の成長軸方向の長さの合計を意味する。
このような本発明のサファイア単結晶育成用坩堝1によれば、坩堝1の側壁の厚さを過度に厚くすることなく、結晶育成の繰り返しによる坩堝1の変形を効果的に防止することができるため、坩堝1の再利用が可能となり、サファイア単結晶4の生産コストの大幅な削減が可能となる。なお、本発明のサファイア単結晶用育成坩堝1は、基本的には、この坩堝1を用いて、一方向凝固法により得られるサファイア単結晶の成長軸方向の長さhが、100mm以上の場合に適用される。これは、成長軸方向の長さhが100mm未満のサファイア単結晶の育成では、肉厚dを、式(1)で示される範囲に制御しても、坩堝の変形を防止することができない場合があるからである。一方、hの上限値は、ルツボの変形を防止する観点から制限されることはないが、一般的な坩堝や育成炉の大きさを考慮すると、概ね300mm程度となる。
坩堝1の側壁2のうち、開口端部の側壁2の肉厚dは、0.05h−2.5≦d≦0.05h−1.5の関係を満たすことが必要とされる。d<0.05h―2.5では、複数回の結晶育成における坩堝1の変形を防止することができない。一方、d>0.05h−2.5では、坩堝1の変形は防止することができるものの、坩堝1を製造するための原材料の使用量が増加し、それに伴い、坩堝1の製造コストの増加を招くばかりでなく、坩堝1の質量が増加することにより、その取扱いが困難となる。
これに対して、坩堝1の側壁2のうち、開口端部3以外の側壁2の肉厚は、開口端部3の側壁2の肉厚dよりも厚い限り、特に制限されることはない。しかしながら、開口端部3の側壁2の肉厚dと同様に、過度に厚くすると、原材料の使用量の増加や取扱いが困難になるといった問題が生じる。このため、開口端部3以外の側壁2の肉厚は、開口端部3の肉厚dの3倍以下とすることが好ましく、2倍以下とすることがより好ましい。
また、本発明の坩堝1においては、育成後のサファイア単結晶の取出しを考慮して、側壁2の内周面7を、坩堝1の底面8側から開口端部3側に向かって、好ましくは0.8°〜3.0°、より好ましくは1.0°〜2.0°のテーパ角αで拡径させてもよい。テーパ角αが0.8°未満では、テーパ角αを設けたことによる効果を十分に得ることができず、育成後のサファイア単結晶を取り出す際に、サファイア単結晶に割れなどの欠陥が生じてしまう場合がある。一方、テーパ角αが3.0°を超えると、育成後のサファイア単結晶4の取り出しは容易となるものの、製品として使用できる部分の比率が小さくなり、歩留まりが悪化する。
なお、本発明のサファイア単結晶育成用坩堝は、式(1)の関係を満たす限り、その外観形状によって制限されることはなく、たとえば、図2(a)および(b)に表されるような外観形状を有する坩堝に対しても適用可能である。
(2)材質
本発明のサファイア単結晶育成用坩堝1の材質には、タングステン、または、タングステン−モリブデン合金が用いられる。タングステン(融点:3380℃)およびモリブデン(融点:2620℃)はいずれも、その融点が、サファイアの融点(約2040℃)よりも高く、高温耐久性を有している。
本発明のサファイア単結晶育成用坩堝1の材質には、タングステン、または、タングステン−モリブデン合金が用いられる。タングステン(融点:3380℃)およびモリブデン(融点:2620℃)はいずれも、その融点が、サファイアの融点(約2040℃)よりも高く、高温耐久性を有している。
また、サファイアは、図5に示すように、育成方向であるc軸に垂直な方向の熱膨張係数が、2050℃において8×10-6/℃程度である。このため、本発明のサファイア単結晶育成用坩堝1の材質としては、2040℃の熱膨張係数が、サファイア単結晶のc軸に垂直な方向の熱膨張係数よりも十分に低い値であることが必要となる。
このような融点および熱膨張係数を有する材料としては、種々のものが考えられるが、コストや加工性などを考慮すると、タングステン(融点:3422℃、2050℃における熱膨張係数:7.0×10-6/℃)を使用することが好ましい。また、タングステン−モリブデン合金も融点が十分に高く、かつ、サファイアよりも十分に低い熱膨張係数を有するため、本発明のサファイア単結晶育成用坩堝1の材質として使用することができる。
坩堝1の材料として、タングステン−モリブデン合金を使用する場合には、タングステンの含有率を、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上とする。タングステンの含有率が30質量%未満では、タングステン−モリブデン合金と、サファイアとの熱膨張係数との差を十分に大きなものとすることができないため、後述する坩堝の内周面のテーパ角αが小さい場合に、坩堝1の収縮に起因するサファイア単結晶4の締め付けなどにより、固化後のサファイア単結晶4を坩堝1から、容易に取り出せなくなる場合がある。
2.サファイア単結晶の製造方法
本発明のサファイア単結晶4の製造方法は、サファイア単結晶育成用坩堝1を使用すること以外、基本的に、従来の一方向凝固法によるサファイア単結晶の製造方法と同様である。このため、本発明の製造方法は、図3に示すVGF法用のサファイア単結晶育成装置(育成炉)9や垂直ブリッジマン法用の育成炉(図示せず)など、一方向凝固法による結晶育成が可能な育成炉に対して適用することが可能である。ただし、本発明の課題である坩堝1の変形は、成長軸方向の長さhが100mm以上のサファイア単結晶4を育成する場合に生じるものである。このため、以下では、VGF法により、直径が150mm〜170mm、全長が100mm〜300mmのサファイア単結晶4を、c軸方向を成長軸として育成する場合を例に挙げて説明する。
本発明のサファイア単結晶4の製造方法は、サファイア単結晶育成用坩堝1を使用すること以外、基本的に、従来の一方向凝固法によるサファイア単結晶の製造方法と同様である。このため、本発明の製造方法は、図3に示すVGF法用のサファイア単結晶育成装置(育成炉)9や垂直ブリッジマン法用の育成炉(図示せず)など、一方向凝固法による結晶育成が可能な育成炉に対して適用することが可能である。ただし、本発明の課題である坩堝1の変形は、成長軸方向の長さhが100mm以上のサファイア単結晶4を育成する場合に生じるものである。このため、以下では、VGF法により、直径が150mm〜170mm、全長が100mm〜300mmのサファイア単結晶4を、c軸方向を成長軸として育成する場合を例に挙げて説明する。
育成炉9は、従来技術の育成炉と同様に、筒状のチャンバ10と、チャンバ10の内側に配置される断熱材11とから構成される。育成炉9の大きさは、得ようとするサファイア単結晶4の大きさに応じて適宜選択されるべきものであり、上記寸法のサファイア単結晶4を育成する場合には、概ね、直径を1000mm、高さを1500mm程度とする。また、育成炉9には、給排気孔(図示せず)が設けられており、この給排気孔を介して、チャンバ10内に、不活性ガス、好ましくはアルゴンガスが給排され、特に、結晶育成時には、チャンバ10内は不活性ガスで満たされることとなる。
断熱材11の内側には、筒状ヒータ12が配置されており、サファイア単結晶の育成時には、これによりホットゾーン13が形成されることとなる。また、筒状ヒータ12は、上段ヒータ12a、中段ヒータ12bおよび下段ヒータ12cから構成されており、これらのヒータへの投入電力を調整することにより、ホットゾーン13内の温度勾配を制御することが可能となっている。
坩堝1は、筒状ヒータ12と同軸に配置され、上下方向に移動可能な支持軸14上に載置される。なお、支持軸14を回転可能に構成し、これにより、サファイア単結晶4の育成時に、坩堝1をホットゾーン13内で回転させてもよい。
本発明の製造方法では、このような構成を有する育成炉9を用いて、はじめに、筒状ヒータ12に電力を投入するとともに、支持軸14を上下動させることにより、種結晶5および原料15が収納された坩堝1をホットゾーン13へ移動する。この状態で、種結晶5および原料15をアルミナの融点(約2040℃)以上に加熱し、原料15と、種結晶5のうち原料15と当接する一部を融解する。次に、筒状ヒータ12を構成する、上段ヒータ12a、中段ヒータ12bおよび下段ヒータ12cへの投入電力を調整し、原料融液15の温度勾配を所定の範囲に維持したまま、炉内温度を徐々に低下させ、サファイア単結晶4の育成を行う。なお、サファイア単結晶4の育成に必要な温度のモニタは、たとえば、支持軸14に設けた孔16を介して、放射温度計などにより坩堝底の温度を測定することで行う。
(実施例1)
サファイア単結晶育成用坩堝として、高さが400mm、深さが385mm、底面8側の内径が155mm、開口端部3側の内径が171mmであり、開口端部3の側壁2の肉厚dが、2.0mm〜14.0mmであるタングステン製の坩堝1を用意した。なお、坩堝1は、いずれも底面8側から開口端部3側に向かって、1.2°のテーパ角αで拡径しているものであった。
サファイア単結晶育成用坩堝として、高さが400mm、深さが385mm、底面8側の内径が155mm、開口端部3側の内径が171mmであり、開口端部3の側壁2の肉厚dが、2.0mm〜14.0mmであるタングステン製の坩堝1を用意した。なお、坩堝1は、いずれも底面8側から開口端部3側に向かって、1.2°のテーパ角αで拡径しているものであった。
坩堝1の底面8に、直径150mm、厚さが50mm、質量が3.5kgで、厚さ方向の結晶方位がc軸方向であるサファイア単結晶を種結晶5として配置し、その上に、c軸方向の長さが250mmのサファイア単結晶を製造するために必要な、塊状のサファイア多結晶16kgを原料15として配置した。
坩堝1を、育成炉9の支持軸14上に載置し、チャンバ10を密封した後、0.1Pa程度まで真空引きし、5L/分の流量でアルゴンガスを導入した。続いて、筒状のカーボンヒータ12に電力を投入し、24時間かけて昇温して、種結晶5の上部10mm程度の部分および原料15を融解させた。この状態で12時間静置し、支持軸14に設けた孔16を介して、放射温度計により坩堝1の底面8の温度を測定し、この温度が安定していることを確認した後、一定速度で、カーボンヒータ12への投入電力を下げた。なお、この操作は、予めカーボンヒータ12に接続した温度制御装置に組み込まれたプログラムにより行った。原料融液15の表面の温度が、サファイア単結晶の融点(約2040℃)未満となるまで、約150時間かけて降温し、原料融液15が完全に結晶化したことを確認した後、さらに60時間かけて室温まで冷却することで、サファイア単結晶4を得た。
その後、育成炉9から坩堝1を取り出し、育成されたサファイア単結晶4の上部を吸着器で固定し、この吸着器ごとサファイア単結晶4を引き上げることで、サファイア単結晶4の取り出しやすさの評価を行った。具体的には、上述したサファイア単結晶4の育成を10回繰り返し、サファイア単結晶を取り出すことができなくなったものを「不可(×)」、取り出し時に、坩堝1の開口端部3の側壁2とサファイア単結晶4の外周部が干渉したが、取り出すことができたものを「可(△)」、干渉せず、容易に取り出すことができたものを「良(○)」として評価した。
同様に、c軸方向の長さが100mm、150mm、200mm、300mmのサファイア単結晶4を育成し、その取り出しやすさの評価を行った。これらの結果を表1に示す。
(実施例2)
坩堝として、タングステンの含有量が30質量%である、タングステン−モリブデン合金製の坩堝1を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、サファイア単結晶4の育成し、その取り出しやすさの評価を行った。この結果を表2に示す。
坩堝として、タングステンの含有量が30質量%である、タングステン−モリブデン合金製の坩堝1を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、サファイア単結晶4の育成し、その取り出しやすさの評価を行った。この結果を表2に示す。
(実施例3)
坩堝として、タングステンの含有量が50質量%である、タングステン−モリブデン合金製の坩堝1を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、サファイア単結晶4の育成し、その取り出しやすさの評価を行った。この結果を表3に示す。
坩堝として、タングステンの含有量が50質量%である、タングステン−モリブデン合金製の坩堝1を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、サファイア単結晶4の育成し、その取り出しやすさの評価を行った。この結果を表3に示す。
(実施例4)
坩堝として、タングステンの含有量が70質量%である、タングステン−モリブデン合金製の坩堝1を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、サファイア単結晶4の育成し、その取り出しやすさの評価を行った。この結果を表4に示す。
坩堝として、タングステンの含有量が70質量%である、タングステン−モリブデン合金製の坩堝1を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、サファイア単結晶4の育成し、その取り出しやすさの評価を行った。この結果を表4に示す。
1、1a、1b サファイア単結晶育成用坩堝
2、2a、2b 側壁
3、3a、3b 開口端部
4 サファイア単結晶
5 種結晶
6 育成結晶
7、7a、7b 内周面
8、8a、8b 底面
9 サファイア単結晶製造装置(育成炉)
10 チャンバ
11 断熱材
12 筒状ヒータ
12a 上段ヒータ
12b 中段ヒータ
12c 下段ヒータ
13 ホットゾーン
14 支持軸
15 原料(原料融液)
16 孔
2、2a、2b 側壁
3、3a、3b 開口端部
4 サファイア単結晶
5 種結晶
6 育成結晶
7、7a、7b 内周面
8、8a、8b 底面
9 サファイア単結晶製造装置(育成炉)
10 チャンバ
11 断熱材
12 筒状ヒータ
12a 上段ヒータ
12b 中段ヒータ
12c 下段ヒータ
13 ホットゾーン
14 支持軸
15 原料(原料融液)
16 孔
Claims (4)
- タングステン製またはタングステン−モリブデン合金製の坩堝であって、該坩堝の側壁うち、開口端部の側壁の肉厚d(単位:mm)が、該坩堝を用いて、一方向凝固法により得られるサファイア単結晶の成長軸方向の長さh(単位:mm、ただし、100≦h≦300)に対して、下記式(1)で表される範囲にあり、かつ、該開口端部の側壁の肉厚dが、該坩堝の側壁の中で最も薄くなっている、サファイア単結晶育成用坩堝。
0.05h−2.5≦d≦0.05h−1.5 ・・・(1) - 前記側壁の内周面は、前記坩堝の底面側から前記開口端部側に向かって、0.8°〜3.0°のテーパ角で拡径している、請求項1に記載のサファイア単結晶育成用坩堝。
- 前記タングステン−モリブデン合金における、タングステンの含有率が30質量%以上である、請求項1または2に記載のサファイア単結晶育成用坩堝。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のサファイア単結晶育成用坩堝を使用して、一方向凝固法によりサファイア単結晶を育成する、サファイア単結晶の製造方法。
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JP2014014954A Pending JP2015140291A (ja) | 2014-01-29 | 2014-01-29 | サファイア単結晶育成用坩堝およびこの坩堝を用いたサファイア単結晶の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2015140291A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017065952A (ja) * | 2015-09-29 | 2017-04-06 | 住友金属鉱山株式会社 | 酸化物単結晶育成用坩堝および酸化物単結晶育成方法 |
KR101886187B1 (ko) * | 2017-02-27 | 2018-08-07 | 주식회사 사파이어테크놀로지 | 사파이어 단결정 성장용 도가니 및 이를 구비한 성장장치 |
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2014
- 2014-01-29 JP JP2014014954A patent/JP2015140291A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017065952A (ja) * | 2015-09-29 | 2017-04-06 | 住友金属鉱山株式会社 | 酸化物単結晶育成用坩堝および酸化物単結晶育成方法 |
KR101886187B1 (ko) * | 2017-02-27 | 2018-08-07 | 주식회사 사파이어테크놀로지 | 사파이어 단결정 성장용 도가니 및 이를 구비한 성장장치 |
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