JP2017065952A - 酸化物単結晶育成用坩堝および酸化物単結晶育成方法 - Google Patents

酸化物単結晶育成用坩堝および酸化物単結晶育成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】サファイアなど酸化物単結晶の原料結晶を坩堝中で融解後、シーディングの条件出し作業を容易としうる酸化物単結晶育成用坩堝及び酸化物単結晶育成方法の提供。
【解決手段】坩堝1底部に種結晶を収容し、その上に原料結晶を充填して、一方向凝固法により酸化物単結晶を育成するための酸化物単結晶育成用坩堝1であり、種結晶の収容エリアは、種結晶の上端が坩堝1底から坩堝深さの10〜20%の位置にあり、該収容エリアの坩堝1外周部に溝10とフィン11による放熱促進部が設けられ、かつ該放熱促進部の表面積が、溝10とフィン11がない場合の1.2倍以上である酸化物単結晶育成用坩堝1、及び、これを用いた一方向凝固法による酸化物単結晶の育成方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、酸化物単結晶育成用坩堝および酸化物単結晶育成方法に関し、より詳しくは、サファイアなど酸化物単結晶の原料結晶を坩堝中で融解後、シーディングの条件出し作業を容易としうる酸化物単結晶育成用坩堝および酸化物単結晶育成方法に関する。
近年、省エネや省スペースなどの要求から、照明装置として白色LEDが広く用いられている。この白色LEDは、サファイア単結晶基板上にGaN系半導体を形成した青色LEDと、蛍光体とを組み合わせて構成される。このため、白色LEDの需要の増加に伴い、サファイア単結晶基板の需要も急激に増加している。また、白色LEDを一般照明用に用いるには、その低コスト化が必要とされるため、サファイア単結晶基板に対しても、低価格化が要望されている。
一般に、サファイア単結晶基板は、サファイア原料融液(アルミナ融液)より育成したサファイア単結晶インゴットから、円盤状のウエーハを切り出すことによって製造される。サファイア単結晶の育成方法には、チョクラルスキー法(Czochralski Method、回転引き上げ法)やEFG法(Edge−defined Film−fed Growth Method、リボン状結晶成長法)に代表される、融液から単結晶を引き上げて固化させる引き上げ法と、垂直ブリッジマン法(Vertical Bridgman Method)やVGF法(Vertical Gradient Freeze Method、垂直温度傾斜凝固法)に代表されるサファイア原料融液を坩堝中で固化させる一方向凝固法などがある。
このうち、一方向凝固法は、育成されたサファイア単結晶を引き上げる必要がないため、結晶育成装置の小型化や簡略化ができ、育成する単結晶の育成方位の自由度が高く、c軸方向の基板を容易に得ることができ、さらには、直径6インチ(152.4mm)を超えるような大口径のサファイア単結晶の製造にも対応可能であるため、引き上げ法よりも優れているとされている。
現在、一方向凝固法によるサファイア単結晶の製造技術の実用化が進められているが、一方向凝固法では、育成後に、坩堝からサファイア単結晶を取り出しており、坩堝材料とサファイアの線膨張率の関係によっては、冷却時の熱収縮によりサファイア単結晶が締め付けられるので、単結晶の取り出しに際し坩堝が破壊する、サファイア単結晶に欠陥が発生するといった問題が生じる。
また、サファイアの融点が約2040℃と高温であるために、従来、坩堝として高温耐久性に優れる高価な貴金属を使用せざるをえず、ランニングコストの低減を図ることが困難であった。
これらの問題に対して、坩堝の材料をタングステン(W)、モリブデン(Mo)またはW−Mo合金とすることが提案されている(特許文献1参照)。これらの材料は、高温耐久性があり、かつ、サファイアよりも線膨張率が小さいため、坩堝を破壊せずに育成後のサファイア単結晶を取り出すことができる。また、これらの材料は、貴金属に比べて安価であるため、ランニングコストの低減を図ることができる。
一方、本出願人は、得られるサファイア単結晶の高さ(成長軸方向の長さ)に関わらず、開口端部が変形することがない、サファイア単結晶育成用坩堝を提案した(特許文献2参照)。この出願では、タングステンまたはタングステン−モリブデン合金からなり、開口端部の側壁の肉厚を一方向凝固法により得られるサファイア単結晶の軸方向の長さに対して、特定の式で表される範囲とし、かつ、開口端部の側壁の肉厚が最も薄くなるようにしている。
しかし、タングステンなどの坩堝を使用してサファイア単結晶を育成するには、最適な凸状の成長界面形状を維持して、シーディングを行うために炉内の温度勾配や、ヒータ出力や坩堝位置を微調整するが、装置構造上それら知見を得るための目視による調整が不可能なことからシーディングの条件出しが非常に難しかった。
このような状況下、安価でランニングコストの低減が図れるだけでなく、シーディングの条件出し作業も容易としうる酸化物単結晶育成用坩堝が必要とされていた。
特開2011−42560号公報 特開2015−140291号公報
本発明の目的は、上述した問題に鑑みて、サファイアなど酸化物単結晶の原料結晶を坩堝中で融解後、シーディングの条件出し作業を容易としうる酸化物単結晶育成用坩堝および酸化物単結晶育成方法を提供することにある。
本発明者は、上述した問題を解決するために鋭意研究を重ね、一方向凝固法によるサファイアなどの単結晶を製造する坩堝において、種結晶を収容するエリアの坩堝外周部に一定ピッチの溝加工を施し放熱部を形成したところ、ヒータ出力調整などにより種結晶の過剰融解することなく、高品質の単結晶を低コストで育成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、坩堝底部に種結晶を収容し、その上に原料結晶を充填して、一方向凝固法により酸化物単結晶を育成するための酸化物単結晶育成用坩堝であり、前記種結晶の収容エリアは、前記種結晶の上端が坩堝底から坩堝深さの10%〜20%の位置にあり、該収容エリアの坩堝外周部に溝とフィンによる放熱促進部が設けられ、かつ該放熱促進部の表面積が、溝とフィンがない場合の1.2倍以上であることを特徴とする酸化物単結晶育成用坩堝が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、本発明の第1の発明において、前記フィンが、坩堝底に平行であるか、平行に対して10度以内の角度で傾斜していることを特徴とする酸化物単結晶育成用坩堝が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、本発明の第1又は2の発明において、前記溝の幅が2mm以上、かつフィンの幅が3mm以上であることを特徴とする酸化物単結晶育成用坩堝が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、本発明の第1〜3のいずれかの発明において、前記溝の深さが1〜5mmであることを特徴とする酸化物単結晶育成用坩堝が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、本発明の第1〜4のいずれかの発明において、前記フィンの数が1〜15本であることを特徴とする酸化物単結晶育成用坩堝が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、本発明の第1〜5の発明において、前記坩堝の材質が、W、MoまたはW−Mo合金のいずれかであることを特徴する酸化物単結晶育成用坩堝が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、一方向凝固法による酸化物単結晶の育成方法であって、本発明の第1〜6の発明のいずれかの酸化物単結晶育成用坩堝を使用し、坩堝内に種結晶と原料結晶を充填し、育成炉内のヒータ内に配置した後、加熱して原料結晶全体と少なくとも種結晶の一部とを融解し、その後、徐々に温度を下げることによって、種結晶の上に融液を順次結晶化させることを特徴とする酸化物単結晶の育成方法が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、本発明の第7の発明において、前記酸化物単結晶がサファイアであることを特徴とする酸化物単結晶の育成方法が提供される。
本発明によれば、種結晶を収容するエリアの坩堝外周部に放熱を促す溝を設けているので、一方向凝固法によるサファイアなどの単結晶の育成に際して、従来、困難であったシーディング条件出しの作業を容易に行うことができる。この坩堝は、比較的安価で製造でき繰り返し使用できるため、単結晶の育成コストも低減しうるから、その工業的意義はきわめて大きい。
本発明の酸化物単結晶の育成方法に用いる装置の一例を説明するための概略断面図である。 本発明の酸化物単結晶育成用坩堝の概略断面図である。
以下、本発明に係る酸化物単結晶育成用坩堝および酸化物単結晶育成方法の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、その目的を逸脱しない限りにおいて以下の実施の形態に限定されるものではない。
1.坩堝
本発明は、坩堝底部に種結晶を収容し、その上に原料結晶を充填して、一方向凝固法により酸化物単結晶を育成するための酸化物単結晶育成用坩堝であり、前記種結晶の収容エリアは、前記種結晶の上端が坩堝底から坩堝深さの10%〜20%の位置にあり、該収容エリアの坩堝外周部に溝とフィンによる放熱促進部が設けられ、かつ該放熱促進部の表面積が、溝とフィンがない場合の1.2倍以上であることを特徴とする。
本発明の坩堝は、図2に示されるように、カップ状の坩堝1であり、大きさは特に規定しないが、一般的な坩堝や育成炉の大きさ、坩堝の変形防止の観点から、高さが概ね200〜300mm程度、直径が100〜150mm程度となる。
また、本発明では、種結晶の収容エリアの坩堝外周部に溝10とフィン11による放熱促進部が設けられ、特定の深さ、幅の溝と、特定の幅のフィンが所定のピッチで配置されている。該放熱促進部の表面積は、溝とフィンがない場合の1.2倍以上である必要がある。
該放熱促進部の表面積が、溝とフィンがない場合の1.2倍未満だと放熱性が不十分であり、一方、2.5倍を超えると、溝を深くしなければならないので強度の低下を招くことがある。好ましいのは、放熱促進部の表面積を溝とフィンがない場合の1.5〜2倍とすることである。
これに対して、坩堝外周に溝を掘るのではなく、フィンだけを取り付けても放熱性を助長する効果が得られるが、フィンが坩堝から突出し坩堝の外周径より大きくなるので坩堝に段差が生じ、扱い辛くなる。
また、前記フィンは、坩堝底に平行であるか、平行に対して10度以内の角度で傾斜していることが好ましい。その理由は溝の形成が容易であり、外力に対して強度が安定しているためである。
前記溝やフィンのサイズは、種結晶の収容エリアの大きさにもよるが、溝の幅が2mm以上、かつフィンの幅が3mm以上であること、溝の深さが1〜5mmであることが好ましい。溝の幅が2mm以上、かつフィンの幅が3mm以上、溝の深さが1〜5mmであれば、十分な放熱性が期待できるし、加工が容易で強度も高い。この範囲よりも小さいと、加工が困難になり強度面でも問題が生じやすい。好ましい溝の幅は、2〜4mm、かつフィンの幅は3〜5mmである。また、より好ましい溝の深さは2〜5mmである。表面積を増やすために溝の深さを5mmより深くしたり、フィンの幅を3mmよりも小さくしたりすると坩堝自体の強度が低下する場合があり好ましくない。
前記フィンの数は、幅や溝のサイズにも関係するが、1〜15本であることが好ましい。フィンの数が1〜15本であれば、十分な放熱性と機械的強度を有する。溝の本数は、このフィンの数よりも1本多いものとなる。フィンのより好ましい数は、2〜12本である。
坩堝の厚さは、開口端部では、複数回の結晶育成における坩堝の変形を防止することができれば、底部よりも薄くても差し支えない。むしろ坩堝の変形防止を優先しすぎると、原材料使用量の増加に伴い、坩堝の製造コストが増加し、坩堝が重くなって取扱いが困難となる。
また、本発明の坩堝においては、育成後の単結晶を取出しやすくするために、坩堝の底面側から開口端部側に向かって、側壁の内周面を例えば0.8°〜3.0°程度のテーパ角で拡径させてもよい。テーパ角が0.8°未満では、効果が不十分で育成後の単結晶を取り出す際に、単結晶に割れなどの欠陥が生じる場合がある。一方、テーパ角が3.0°を超えると、育成後の単結晶の取り出しは容易となるものの、品質が低下して製品歩留まりが悪化することがある。
本発明の坩堝は、材質によって制限されないが、W、MoまたはW−Mo合金のいずれかであることが好ましい。また、サファイアを育成する場合、育成方向であるc軸に垂直な方向の熱膨張係数が、2050℃において8×10−6/℃程度であるため、2040℃の熱膨張係数が、サファイア単結晶の熱膨張係数よりも十分に低いことが必要となる。
このため、コストや加工性などを考慮すると、タングステン(融点:3422℃、2050℃における熱膨張係数:7.0×10−6/℃)が好ましく、モリブデン(融点:2620℃)も融点がサファイアの融点(約2040℃)よりも高く、高温耐久性を有しているので好ましい。
したがって、タングステン−モリブデン合金も融点が十分に高く、かつ、サファイアよりも十分に低い熱膨張係数を有するため、本発明のサファイア単結晶育成用坩堝の材料とすることができる。タングステン−モリブデン合金の場合、タングステンの含有率を好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上とするのがより好ましい。
タングステンの含有率が30質量%未満では、タングステン−モリブデン合金と、サファイアとの熱膨張係数との差を十分に大きくできないため、坩堝の内周面のテーパ角が小さい場合に、坩堝の収縮に起因してサファイア単結晶の締め付けが生じ、固化後のサファイア単結晶を坩堝から、容易に取り出せなくなる場合がある。
2.酸化物単結晶の育成方法
本発明は、一方向凝固法による酸化物単結晶の育成方法であって、前記本発明の酸化物単結晶育成用坩堝を使用し、坩堝内に種結晶と原料結晶を充填し、育成炉内のヒータ内に配置した後、加熱して原料結晶全体と少なくとも種結晶の一部とを融解し、その後、徐々に温度を下げることによって、種結晶の上に融液を順次結晶化させることを特徴とする。
前記酸化物単結晶としては、その種類によって制限されないが、サファイアであることが好ましい。
図1にサファイア単結晶の育成装置の概略図を示した。本実施形態に係るサファイア単結晶の育成装置は、公知の縦型温度勾配凝固法によってサファイア単結晶を製造する育成炉6を備えている。育成炉6は、筒状のチャンバー2の内側に、坩堝1とヒータ5が設置されて、その周囲を断熱材3が取り巻くように構成される。
なお、育成炉6の寸法は、製造する単結晶の大きさにも依るが、例えば直径0.5〜2m、高さ1〜3m程度である。育成炉6内には、図示しないが開口部が2箇所設けられており、不活性ガスが給排され、結晶育成時には、チャンバー2内は不活性ガスで満たされる。不活性ガスは特に制限されないが、好適にはアルゴンガスが使用される。なお、図示しないが、育成炉6内には、坩堝底部下側に温度を計測する温度計が設置されている。
坩堝1はカップ状に形成されており、坩堝支持軸上に保持されている。坩堝内には底部に種結晶、その上に原料結晶が積み重ねられて収納される。断熱材3の内側に設置されたヒータ5によってホットゾーン4が形成され、その中の坩堝1が加熱される。ヒータ5への投入電力量を制御することによって、ホットゾーン4内に上が高く下が低い温度勾配が生じる。坩堝1は坩堝支持軸9によって軸線周りに回転させることにより、ホットゾーン4内で回転させても良い。
上記のように構成された育成装置を用いて、坩堝1内に種結晶8と原料結晶7を収納し、育成炉6内に坩堝1を配置してヒータ5により加熱して種結晶の原料に近接する一部と原料を融解し、その後、徐々に温度を下げることによって、種結晶の上に融液を順次結晶化させ、ヒータ5への投入電力を調整して所望の単結晶を育成する。
従来、たとえば、ヒータ出力を高めに調整しすぎると種結晶が過剰融解もしくは全融解され、その状態で育成された結晶は種結晶からの方位を損失しているため多結晶となり、クラックが発生しやすくなることが多かった。一度、クラックが発生してしまった結晶は坩堝から取り出すことが非常に困難であり、その坩堝は使用不可となる。坩堝は高価であり、また作製日数も2か月程度必要となり、シーディングの条件出しには種結晶を融解しすぎないよう段階的に試験を重ねるなど、時間を要する作業となっていた。
ところが、本発明では、一方向凝固法による単結晶の育成に際して、前記のように、種結晶を収容するエリアの坩堝外周部に放熱を促す溝とフィンを設けた特定の坩堝を用いる。すなわち、酸化物単結晶の育成用坩堝として、前記種結晶の収容エリアの坩堝外周部に溝とフィンによる放熱促進部が設けられ、かつ該放熱促進部の表面積が、溝とフィンがない場合の1.2倍以上となるようにしている。
そのためヒータ出力を高めに調整しすぎても、種結晶が過剰融解もしくは全融解されるのを回避できることになり、従来困難であったシーディング条件出しの作業が容易に行えるだけでなく、その状態で育成された結晶は種結晶からの方位を維持しているため単結晶となり、クラックも発生しにくくなる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、種結晶の融解具合は、透明の容器にジヨードメタンを入れ、その中に得られた結晶を浸漬させ、観察に不必要な屈折などを取り除いた状態で種結晶の未融解高さを測定し評価した。なお適正な未融解高さは35〜45mmで「○」、未融解高さが35mm未満の過融解が「△」、種結晶が全融解されたものについては「×」、逆に未融解高さが46mm以上の溶融不足のものは「−」と判定した。
(実施例1)
坩堝に種結晶(φ150×50mmH)を配置し、その上には原料結晶となるアルミナ(サファイア多結晶)を3.5kg充填し、育成炉の支持軸上に設置した。
坩堝として図2に示すタングステン製の坩堝(外径180mm、深さ385mm、底部内径152mm、開口部内径160mm、開口部厚み10mmで底部から開口部に向かって1°の傾斜で拡径)に種結晶を収容するエリアの坩堝外径部50mm幅に溝を13段(フィン幅:3mm、溝幅:2mm、溝の深さ:1mm)としたものを用いた。
その後、チャンバーを密封し、0.1Pa程度まで真空引きし、5L/分の流量でアルゴンガスを導入した。この状態で、原料の表面温度が2040℃となるまで加熱した後、ヒータ出力を0.1kW上昇させ、シーディング(約6時間程度放置する)を行った。その後、ヒータ出力を徐々に下げながら0.2mm/hrの速さで育成し、約12hrの冷却を行った後、坩堝から結晶を取り出し、種結晶の融解具合を観察した。種結晶の融解具合に関する結果を表1に示した。
同様な実験を、原料の表面温度が2040℃となるまで加熱した後、ヒータ出力を0.1kWずつ上昇させ、シーディング(約6時間程度放置する)を行う要領で、ヒータ出力を1.0kW上昇させるまで繰り返し行った。
(実施例2〜4)
上記実施例1と同様にして、溝の深さのみを3,5,7mmと変えた坩堝を用いて、一連の実験を繰り返した。種結晶の融解具合に関する結果を表1に示した。
(比較例1)
上記実施例1に対して、溝加工なしの従来技術の坩堝を用いて、同様に実験した。種結晶の融解具合に関する結果を表1に示した。
(実施例5,6)
坩堝の材質をモリブデンにした場合、Mo/W合金(50/50wt%)にした場合について、溝加工の水準を溝の深さ5mmの条件で、実施例1と同様に実験した。種結晶の融解具合に関する結果を表2に示した。
Figure 2017065952
Figure 2017065952
「評価」
表1に示したとおり、従来使用していた溝のない坩堝を用いると、比較例1のように、原料融解からのヒータ出力を0.7kW上昇させたときに種結晶も全て融解してしまい、○レベルのものが3個と少なかった。
これに対し、実施例1では、深さ1mmの溝を設けた坩堝を用いたので、原料融解からのヒータ出力を0.7kW上昇させたときに種結晶の融解が抑制され、△が増え改善効果があった。さらに、実施例2〜4のように、溝が深くなるにつれ、○レベルが増す傾向を示し、深さ5mmの溝では約1.98倍と○レベルの範囲が広くなった。また深さ7mmの溝では、深さ5mmの溝の場合と同様の効果が得られたが、坩堝強度の低下が懸念される。
また、坩堝の材質は、表2に示したとおり、Wだけでなく、実施例5,6のMo/W合金(50/50wt%)、Moの場合でも同様で材質による差は見られず、いずれも坩堝として使用可能であることが分かる。
本発明の坩堝は、照明装置の部品として広く用いられている青色LEDの材料、特にサファイア単結晶の製造に用いることができ、サファイア単結晶以外にも一方向凝固法により育成される酸化物単結晶であれば、その製造にも使用できる。
1 坩堝
2 チャンバー
3 断熱材
4 ホットゾーン
5 ヒータ
6 育成炉
7 原料結晶
8 種結晶
9 坩堝支持軸
10 溝
11 フィン

Claims (8)

  1. 坩堝底部に種結晶を収容し、その上に原料結晶を充填して、一方向凝固法により酸化物単結晶を育成するための酸化物単結晶育成用坩堝であり、
    前記種結晶の収容エリアは、前記種結晶の上端が坩堝底から坩堝深さの10%〜20%の位置にあり、該収容エリアの坩堝外周部に溝とフィンによる放熱促進部が設けられ、かつ該放熱促進部の表面積が、溝とフィンがない場合の1.2倍以上であることを特徴とする酸化物単結晶育成用坩堝。
  2. 前記フィンが、坩堝底に平行か、平行に対して10度以内の角度で傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の酸化物単結晶育成用坩堝。
  3. 前記溝の幅が2mm以上、かつフィンの幅が3mm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物単結晶育成用坩堝。
  4. 前記溝の深さが1〜5mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物単結晶育成用坩堝。
  5. 前記フィンの数が1〜15本であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化物単結晶育成用坩堝。
  6. 前記坩堝の材質が、W、MoまたはW−Mo合金のいずれかであることを特徴する請求項1〜5のいずれかに記載の酸化物単結晶育成用坩堝。
  7. 一方向凝固法による酸化物単結晶の育成方法であって、請求項1〜6のいずれかの酸化物単結晶育成用坩堝を使用し、坩堝内に種結晶と原料結晶を充填し、育成炉内のヒータ内に配置した後、加熱して原料結晶全体と少なくとも種結晶の一部とを融解し、その後、徐々に温度を下げることによって、種結晶の上に融液を順次結晶化させることを特徴とする酸化物単結晶の育成方法。
  8. 前記酸化物単結晶がサファイアであることを特徴とする請求項7に記載の酸化物単結晶の育成方法。
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