JP2016169112A - サファイア単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】坩堝内の底部側に種結晶を設置し、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、種結晶の側から原料融液を固化させることでサファイア単結晶の育成を行う際にクラックの発生を抑制できるサファイア単結晶の製造方法の提供。
【解決手段】坩堝14内の底部と、種結晶15との間にはスペーサ41を配置しており、スペーサの以下の式(1)、(2)で算出される熱伝導因子が8.5W/K以下であるサファイア単結晶の製造方法。これにより、育成結晶21内の垂直方向の温度差に起因する育成結晶21のクラック発生や熱歪による結晶性の悪化を効果的に防止できる、クラックの無い高品質サファイア単結晶。(熱伝導因子)=(スペーサの材料の熱伝導率)×[(平均伝熱面積)/(スペーサの高さ)](1)、(平均伝熱面積)=[(スペーサの坩堝と接する面積)+(スペーサの種結晶と接する面積)]/2(2)
【選択図】図4

Description

本発明は、サファイア単結晶の製造方法に関する。
サファイア単結晶は、酸化アルミニウムのコランダム構造を有する結晶体であり、優れた機械的および熱的特性、化学的安定性、光透過性を有することから、多くの分野で利用されている。サファイア単結晶は特に、半導体分野において、窒化ガリウム(GaN)系発光ダイオードの発光層を成長させるための基板として、あるいは、シリコン・オン・サファイア(SOS)デバイス用の基板などに用いられており、これらの用途の重要性が高まるに応じて、その需要が飛躍的に伸びてきている。
サファイア単結晶を製造する主な方法として、チョクラルスキー法(Cz法)やカイロポーラス法(KY法)、EFG法(edge−defined film−fed growth法)などが知られている。これらの方法では、サファイア原料を坩堝内で融解して形成した原料融液の表面に種結晶を接触させた後、種結晶を徐々に引き上げることにより種結晶と同じ方位の単結晶を育成する。
また、予め坩堝内に原料と伴に種結晶を設置し、種結晶部が最も温度が低くなるように形成した温度勾配下で、種結晶を起点として原料融液を一方向凝固させることで単結晶を得るブリッジマン法やグラディエントフリーズ法(GF法)が知られている。ブリッジマン法やグラディエントフリーズ法の中で、種結晶を坩堝底部に設置し、坩堝底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配下で、坩堝底部の種結晶から上方に向かって結晶育成を行う場合は、特に、垂直ブリッジマン法(VB法)、垂直GF法(VGF法)と呼ばれている。例えば特許文献1にはブリッジマン法によりサファイア単結晶を育成した例が開示されている。
ここまで説明した各種方法で育成されたサファイア単結晶は、所定の結晶方位となるようにスライスして基板形状に加工され、表面を鏡面研磨することによりサファイア単結晶基板として出荷されている。
近年、需要が伸びている発光ダイオード作製用途のサファイア基板は、上述した方法のうち、Cz法、KY法、EFG法で育成されたサファイア単結晶を用いて製造することが一般的である。これらの方法では、種結晶を原料融液に浸す温度(シーディング温度)の制御と、育成中及び冷却中の温度勾配の適正化とが、結晶育成の収率、再現性を決定する要因である。しかし、サファイア単結晶育成の場合、サファイアの融点が2000℃を越えるので熱の伝達は輻射が主体となっている。従って、低コスト化のために育成結晶を大型化するのに伴って、所望の形状の結晶を得るためのシーディング温度の制御や温度勾配の適正化の難易度が高くなる。結晶育成の制御性、再現性を高めるためには、温度勾配を大きくすることが有利であるが、高温度勾配下で育成された結晶は、結晶内の温度差に起因する熱応力で歪を生じ、結晶性が悪化したり、クラックが発生するという欠点がある。
それに対して、VB法やVGF法のような容器内(坩堝内)の一部に種結晶を設置し、その種結晶から容器の形状に従って原料融液を固化させることで単結晶育成を行う方法は、結晶形状が容器形状で規定され、結晶形状の制御が不要となる。このため、低温度勾配下での育成ができ、高品質結晶を得ることが可能であり、サファイア単結晶の育成方法として着目されている。
ところで、前記のようなVB法、あるいはVGF法によって容器内で容器の内壁形状に沿った形状で育成されたサファイア単結晶においては、クラック発生率が高いことが問題となっている。これは、主にサファイア単結晶と坩堝材との熱膨張係数の違いに起因していると考えられる。つまり、サファイア単結晶の熱膨張係数よりも坩堝に用いている金属部材の熱膨張係数の方が大きい場合は、育成終了後に室温まで冷却する過程において、サファイア単結晶の収縮率よりも、その周囲にある坩堝の収縮率の方が大きくなるために、温度降下に伴って、育成結晶に圧縮応力が加わる。この圧縮応力が育成結晶にクラックを発生させる原因となっている。
そこで、例えば特許文献2には、ルツボに、サファイア融点と常温との2点間における線膨張係数が、製造されるサファイア単結晶の成長軸に垂直な方向のサファイア融点と常温との2点間における線膨張係数よりも小さい材料からなるルツボを用いるサファイア単結晶の製造方法が開示されている。具体的なルツボ材料としては、タングステン、モリブデン、タングステンとモリブデンの合金が開示されている。
また、特許文献2の実施例においては、内側底面の寸法がφ76mmのタングステンルツボ、またはモリブデンルツボを用いてサファイア単結晶を育成した例が開示されている。
特開2007−119297号公報 特開2011−042560号公報
しかしながら、特許文献2に開示された方法を用いてもクラックを完全に抑制することは困難であった。特に育成するサファイア単結晶のサイズが大型化するに従ってクラック発生率が高くなっており、例えば6インチφのサファイア単結晶を育成する場合、特許文献2に開示された方法では、ほぼ100%の確率でクラックが発生していた。
そこで、本発明の一側面では、上記従来技術が有する問題に鑑み、坩堝内の底部側に種結晶を設置し、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、種結晶の側から原料融液を固化させることでサファイア単結晶の育成を行う際にクラックの発生を抑制できるサファイア単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、坩堝内の底部側に種結晶を設置し、前記坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、前記種結晶の側から原料融液を固化させて単結晶育成を行うサファイア単結晶の製造方法であって、
前記坩堝内の底部と、前記種結晶との間にはスペーサを配置しており、
前記スペーサの以下の式(1)、(2)で算出される熱伝導因子が8.5W/K以下であるサファイア単結晶の製造方法。
(熱伝導因子)=(前記スペーサの材料の熱伝導率)×[(平均伝熱面積)/(前記スペーサの高さ)]・・・(1)
(平均伝熱面積)=[(前記スペーサの前記坩堝と接する面積)+(前記スペーサの前記種結晶と接する面積)]/2・・・(2)
本発明の一態様によれば、坩堝内の底部側に種結晶を設置し、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、種結晶の側から原料融液を固化させることでサファイア単結晶の育成を行う際にクラックの発生を抑制できるサファイア単結晶の製造方法を提供することができる。
VGF法によるサファイア単結晶製造装置の構成例。 VGF法によるサファイア単結晶育成のプロセスを示す模式図。 VGF法による従来のサファイア単結晶の育成時、冷却時の熱の流れの説明図。 本発明の実施形態におけるサファイア単結晶の製造方法の説明図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
本実施形態のサファイア単結晶の製造方法の一構成例について説明する。
本実施形態のサファイア単結晶の製造方法は、坩堝内の底部側に種結晶を設置し、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、種結晶の側から原料融液を固化させて単結晶育成を行うサファイア単結晶の製造方法に関する。
そして、坩堝内の底部と、種結晶との間にはスペーサを配置しており、該スペーサについて、以下の式(1)、(2)で算出される熱伝導因子を8.5W/K以下とすることができる。
(熱伝導因子)=(スペーサの材料の熱伝導率)×[(平均伝熱面積)/(スペーサの高さ)]・・・(1)
(平均伝熱面積)=[(スペーサの坩堝と接する面積)+(スペーサの種結晶と接する面積)]/2・・・(2)
上述のように本実施形態のサファイア単結晶の製造方法は、坩堝内の底部側に種結晶を設置し、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、種結晶側から原料融液を固化させることで単結晶育成を行うサファイア単結晶の製造方法に関する。具体的には例えばVB法やVGF法によりサファイア単結晶を製造する際に好適に用いることができるサファイア単結晶の製造方法に関する。
ここでまず、VGF法によりサファイア単結晶を製造する際に用いることができる、従来のサファイア単結晶製造装置の構成例、及びサファイア単結晶の製造手順について図1、図2を用いて説明する。
VGF法によりサファイア単結晶を製造する場合、図1に示すような構成を有するサファイア単結晶製造装置10が用いられている。図1はサファイア単結晶製造装置の坩堝の中心軸を通る面における断面構成図を示している。
サファイア単結晶製造装置10はチャンバー11の内壁に沿って断熱材12が設けられている。そして、断熱材12に囲まれた内部空間にはヒータ13、及びヒータ13に囲まれるようにして坩堝14が設けられている。坩堝14は坩堝軸17により底部側から支持することができる。坩堝14内にはサファイア単結晶の製造開始時、坩堝14の底部側に種結晶15を配置し、種結晶15の上部に原料を充填しておくことができる。
坩堝14の材質は、サファイアの融点2050℃を越える温度でも安定で、且つ、原料融液と反応しない材料であることが好ましい。このため、坩堝14の材質として例えばイリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデン−タングステン合金(Mo−W合金)等を用いることができる。特に、Mo、W、Mo−W合金のように、線膨張係数がサファイア単結晶と近いか、もしくはサファイア単結晶よりも小さなものを好ましく用いることができる。
ヒータ13及び断熱材12の材質については特に限定されないが、例えばタングステン製ヒータと、タングステン製および/またはモリブデン製のリフレクタとの構成とすることができる。また、カーボン製ヒータと、カーボン製積層断熱材との構成とすることもできる。
ヒータ13は坩堝14を配置したヒータ13で囲まれた領域内に所望の温度勾配を形成できるように、例えば高さ方向に複数のヒータを組み合わせた構成とし、各ヒータ毎に温度制御するように構成することもできる。
そして、サファイア単結晶を育成する際に種結晶15の温度を測定するため、底部側温度測定手段18を設けることができる。底部側温度測定手段18としては例えば放射温度計や熱電対を用いることができ、坩堝軸17を貫通するように形成した貫通孔や、観察窓171を介して温度を測定することができる。また、坩堝14内に充填した原料、または原料が融解した原料融液16の温度を測定するため、上部側温度測定手段19を設けることができる。上部側温度測定手段19としては例えば放射温度計を用いることができ、チャンバー11や断熱材12を貫通する貫通孔、及び観察窓20を介して温度を測定することができる。
なお、チャンバー11内を所定の雰囲気とするために図示しないガス供給手段や、ガス排気手段等を設けることができる。必要に応じて任意にさらに各種手段を設けることもできる。
そして、図1に示したサファイア単結晶製造装置を用いてVGF法によりサファイア単結晶を製造する単結晶育成工程を実施する際の手順、及び温度分布の変化について図2(a)〜図2(c)を用いて説明する。図2(a)〜図2(c)の各図では右側に坩堝14内の種結晶15、原料融液16、サファイア単結晶である育成結晶21の分布を模式的に示しており、左側に坩堝14内の高さ方向の温度分布を示している。なお、図2(a)〜図2(c)においては坩堝14、及びヒータ13以外の構成については記載を省略している。図2(a)〜図2(c)の左側に示した温度分布のグラフは縦軸が坩堝14の高さ方向の位置を、横軸が温度を示している。横軸におけるTmはサファイア(酸化アルミニウム)の融点を示している。
図2(a)は右側の図に示すように坩堝14に充填した原料を融解させ、サファイア単結晶の育成を開始した原料融解ステップを実施している状態を示している。
単結晶育成工程を開始する前に予め、坩堝14内の底部に種結晶15を設置し、その上部に原料を配置しておくことができる。そして、図2(a)に示した原料融解ステップにおいては坩堝14の底部が坩堝14の上部よりも低温となる温度勾配下で昇温し、原料を全量融解して原料融液16とすることができる。特に左側の図に示すように、種結晶15の部分についてはサファイアの融点以下、原料融液16の部分についてはサファイアの融点以上となるように温度分布を制御することができる。
図2(a)の原料融解ステップでは、種結晶15の形状加工時に発生し、表面に残った加工歪層を取り除くために、種結晶15の上端部から数mmから1cm程度の範囲で融解させることができる。種結晶の上端部を融解させることにより、歪が取り除かれた種結晶15表面が原料融液16と良く馴染むようにすることができる。
そして、図2(a)に示した温度分布の状態まで昇温した後、十分な時間を置き、温度を安定させることが好ましい。この時、種結晶15の融解表面と原料融液16との境界(固液界面)をサファイアの融点である2050℃とすることができる。
なお、図2(a)に示した原料融解ステップにおいて、原料、及び種結晶15の融解不足、あるいは、種結晶15の過融解が起こらないように温度を制御することが好ましい。制御は例えば、図1に示したサファイア単結晶製造装置10で説明したように、底部側温度測定手段18、及び上部側温度測定手段19により、坩堝14の底部側の温度、及び原料融液16表面の温度をモニターし、モニターした温度に基づいて実施できる。この際、モニターした温度から坩堝内温度分布が、予備試験で求めた適切な温度プロファイルと一致していることを確認しながら制御を実施することが好ましい。
図2(a)を用いて説明したように原料が完全に融解し、且つ、種結晶15の上表面が融解し原料融液16と馴染んだと判断した後、降温ステップを実施することができる。
図2(b)に示すように降温ステップでは、上下方向の温度勾配を保持したまま、所定の速度で全体の温度を降下させることができる。
具体的には、図2(b)の左側のグラフに示したように、原料融解ステップでは温度分布が点線Aで示されていたところ、実線Bの温度分布となるように温度勾配を保持したまま、全体の温度を降下させることができる。図2(b)の左側のグラフから明らかなように、温度勾配を保持したまま全体の温度を降下させることによって、温度勾配に従って、坩堝内におけるサファイアの融点と同じ温度になっている位置が上部へ移動する。その移動に伴って、固液界面も上部へ移動して行く。つまり、種結晶を元に、種結晶と同じ結晶方位を持つサファイア単結晶が坩堝底部から上部に向かって育成され、図2(b)の右側の図に示したように、坩堝内には底部側から種結晶15、育成結晶21、原料融液16が配置された状態となる。
降温ステップでは、原料融解ステップにおける温度分布を示す点線Aから上述のように実線Bの温度分布となるように全体の温度を降下させた後、さらに、図2(c)の左側のグラフに示すように、実線Cで示した温度分布まで全体の温度を降下させることができる。実線Cで示した温度分布では、坩堝内の原料融液16全体がサファイアの融点未満となっており、図2(a)において原料融液16であった部分全体が育成結晶21となり結晶化したところで結晶育成は終了となる。
その後、所定の冷却速度で室温まで温度を降下させる冷却工程を実施し、坩堝から育成結晶を取出しサファイア単結晶とすることができる。得られたサファイア単結晶は例えば製品基板とするため各種加工をすることができる。
しかし、既述のように坩堝内の底部に種結晶を設置し、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、種結晶側から原料融液を固化させることによりサファイア単結晶を製造した場合、得られるサファイア単結晶がクラック等を含む場合があった。そこで、本発明の発明者らは、従来のサファイア単結晶の製造方法においてサファイア単結晶にクラック等が生じる具体的なメカニズムについて検討を行い、以下の知見を得た。この点について以下に説明する。
ここで、図3を用いてVGF法による従来のサファイア単結晶の育成時、冷却時の熱の流れについて説明する。なお、以後の説明で、坩堝14の底面と垂直方向(図3中のY軸方向)については単に垂直方向と、坩堝14の底面と平行な方向(図3中のX軸方向)については水平方向とも記載する。
例えばVGF法によるサファイア単結晶の育成においては、図3(a)に複数のブロック矢印31で示したように、育成中は坩堝14の外周部に設置されたヒータ13によって熱が供給され、坩堝14を通して坩堝14の内部の原料、及び育成結晶21を加熱している。このため、坩堝14と育成結晶21の温度を水平方向で比較すると、坩堝14の方が高くなっている。
そして、サファイア単結晶育成時の原料融液16の固化に伴う潜熱は図3(a)中に複数の実線の矢印32で示したように、固液界面から育成結晶21、種結晶15、坩堝14の底部を通じて坩堝軸17へ逃げる。このため、育成結晶21内の垂直方向の温度は、種結晶15側が低くなっている。
また、サファイア単結晶の育成終了後の冷却工程では、図3(b)に複数の実線の矢印33で示したように、熱は坩堝14の外周部の空間に向かって流れるが、坩堝14の底部を通じて坩堝軸17へ逃げる熱量が圧倒的に多い。坩堝14の材料として、例えばMo、W、Mo−W合金などが用いられ、坩堝軸17の材質もMo、W、Mo−W合金などの金属が用いられる。これら金属の熱伝導率は、雰囲気ガス、例えばアルゴンガスの熱伝導率と比較して三桁以上大きい。このため垂直方向(Y軸方向)に温度差がついた状態で育成結晶21は冷却される。
育成中や冷却中の育成結晶内には、上述のように温度差が形成され易く、育成結晶内の温度差に起因する熱歪によってクラックや転位、リネージ等の結晶欠陥が発生する。このため、育成結晶におけるクラック等の発生を抑制するためには、育成結晶内の温度差が小さくなるように温度勾配を設定することが好ましい。
本発明の発明者らの検討によれば、サファイア単結晶を育成する際の坩堝の底面と垂直方向に温度差が生じやすく、該垂直方向の温度差により生じた引っ張り応力により育成結晶にクラックが発生し易い。このため、育成結晶についてクラックの発生を抑制する観点からは、垂直方向の温度差を特に小さくすることが好ましく、例えば10℃/cm程度以下とすることが望ましい。しかしながら、上述のように種結晶15が坩堝14内の底部に直接触れているために熱の流出を抑えることが困難であり、断熱材の構成等による炉内温度勾配の調整を行っても、種結晶15の近傍で10℃/cm以下の温度勾配に設定することは困難であった。
そして、育成結晶21の直径が大きくなるに従い、坩堝14内の底部と種結晶15の底面との接触面積も広くなり、坩堝14の底部を通じて育成結晶21の内部から流出する熱量が大きくなる。このため、育成結晶21の直径に比例して、坩堝14の底部、及び坩堝軸17への熱の流出が大きくなり、育成結晶21内の垂直方向の温度差がますます大きくなり、クラック発生率が高くなっていた。
本発明の発明者らは、以上の従来のサファイア単結晶の製造方法においてサファイア単結晶にクラック等が生じるメカニズムについての知見に基づき、本発明を完成させた。
ここで、本実施形態のサファイア単結晶の製造方法について図4を用いて説明する。図4は本実施形態のサファイア単結晶の製造方法によりサファイア単結晶を育成した後の状態を示しており、坩堝の中心軸を通る面における断面構成図となる。なお、図4においては坩堝及びその内部、坩堝軸以外については記載を省略しているが、図4に示した構成以外については例えば図1と同様の構成を有するサファイア単結晶製造装置を用いることができる。
本実施形態のサファイア単結晶の製造方法においては、図4に示したように、坩堝14内の底部(以下「内底部」とも記載する)と種結晶15の底面(下面)との間にスペーサ41を設置できる。このように、坩堝14の内底部と、種結晶15の底面との間にスペーサ41を配置することで、坩堝14の内底部と、種結晶15の底面との接触面積を低減できる。そして、坩堝14の内底部と、種結晶15との接触面積を小さくすることで、坩堝14の底部、及び坩堝軸17への熱の流出を抑制し、単結晶の育成中や、冷却中の垂直方向(図4中のY軸方向)の温度勾配を抑制できる。
このため、育成結晶21内の垂直方向の温度差に起因する育成結晶21のクラック発生や熱歪による結晶性の悪化を効果的に防止でき、クラックの無い高品質サファイア単結晶を効率よく高収率で得ることが可能となる。
スペーサ41に用いる材料は特に限定されるものではないが、スペーサ41は坩堝14や種結晶15と共にサファイア単結晶育成時に高温に晒されることになるので、耐熱性に優れた材料であることが好ましい。スペーサの材料としては、例えばMo、W、Mo−W合金や、サファイアから選択される材料を好ましく用いることができる。特に育成結晶21への不純物の混入を抑制でき、熱伝導率が種結晶15と同じになることから、スペーサの材料と種結晶の材料とが同じであることがより好ましい。すなわちスペーサ41としてサファイアをより好ましく用いることができる。
スペーサ41の形状は特に限定されるものではなく、例えば、円板形状、四角柱形状等の多角柱形状、円柱形状、球形状等の各種任意の形状とすることができる。
また、種結晶15を支持できればよく、配置するスペーサ41の個数も特に限定されるものではない。例えば坩堝14と、種結晶15との間にスペーサ41を1個のみ配置することもでき、2個以上配置することもできる。スペーサ41を複数個配置する場合、該複数個のスペーサの形状やサイズ、材料は同一であっても良く、形状、サイズ、材料のいずれか1つ以上が異なるスペーサを同時に配置しても良い。
ただし、スペーサの以下の式(1)、(2)で算出される熱伝導因子が8.5W/K以下であることが好ましい。
(熱伝導因子)=(スペーサの材料の熱伝導率)×[(平均伝熱面積)/(スペーサの高さ)]・・・(1)
(平均伝熱面積)=[(スペーサの坩堝と接する面積)+(スペーサの種結晶と接する面積)]/2・・・(2)
熱伝導因子は、上述のようにスペーサの材料の熱伝導率、平均伝熱面積、スペーサの高さから算出される数値である。そして、本発明の発明者らの検討によれば、スペーサの熱伝導因子が8.5W/K以下の場合、スペーサ41を介した種結晶15の底面から坩堝14の底部への熱伝導を十分に抑制することができ、育成結晶21内の温度勾配を小さくすることができる。
上記熱伝導因子の式中のスペーサの材料の熱伝導率としては、室温(300K)における熱伝導率を用いることができる。
なお、複数のスペーサを同時に配置することもできるが、坩堝の内底部に配置した複数のスペーサ全体の熱伝導因子が、8.5W/K以下であることが好ましい。複数のスペーサ全体の熱伝導因子は、構成する各スペーサについて熱伝導因子を算出し、足し合わせることで算出することができる。この際、複数のスペーサは同じ材料から構成することもできるが、異なる材料で形成したスペーサを同時に用いることもできる。
特に上記熱伝導因子は8.0W/K以下であることがより好ましい。なお、熱伝導因子の下限値は特に限定されるものではない。上記(1)式から明らかなように0よりも大きくなる。
また、スペーサの高さは90mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましく、40mm以下が特に好ましい。これは、スペーサの高さが90mmよりも高いと、育成結晶について必要な結晶長を得るために、育成結晶長に対するヒータ高さ、坩堝高さ、断熱材高さ、更には育成装置全体の高さを大きくする必要性が生じ、コストや効率性の観点から好ましくないためである。
スペーサの高さの下限値は特に限定されるものではなく、上述の熱伝導因子が8.5W/K以下となるように選択することが好ましい。
なお、ここでいうスペーサの高さとは、坩堝14と種結晶15との間にスペーサを配置した場合に、坩堝14と種結晶15との間に形成する空間の高さと同じである。すなわち、スペーサのうち、坩堝14の内底部と接する部分と、種結晶15の底面と接する部分との間の坩堝14内での高さ方向の距離を意味している。
なお、複数のスペーサを同時に配置する場合には、複数のスペーサの高さは同一であることが好ましい。
本実施形態のサファイア単結晶の製造方法において用いることができる坩堝14については特に限定されるものではない。例えば、従来のサファイア単結晶の製造方法において用いられていた坩堝と同様の坩堝を用いることができる。このため、坩堝14の材質としては例えばイリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデン−タングステン合金(Mo−W合金)等を用いることができる。
坩堝14の形状として特に限定されるものではなく、形成するサファイア単結晶の形状にあわせて選択することができる。例えば、上端部に開口を有する円筒形状の坩堝を用いることができる。
また、坩堝14の形状は、図4に示したように、底面が円形形状であり、上端部に開口部を有し、内径が底部側から上側に向かって大きくなるテーパーを内壁に設けた坩堝を用いることもできる。内壁が底部側から上側に向かって大きくなるテーパー形状の内壁を設けた坩堝の場合、底部の面積を小さくすることができるため、坩堝14の底部、及び坩堝軸17への熱の流出を特に抑制できるため好ましい。
本実施形態のサファイア単結晶の製造方法において用いることができるサファイア単結晶製造装置の、坩堝14、及び坩堝14の内部のスペーサ41等の配置以外の構成は特に限定されるものではない。例えば図1を用いて説明したサファイア単結晶製造装置10と同様に構成できる。このため、本実施形態のサファイア単結晶の製造方法において用いることができるサファイア単結晶製造装置のその他の構成については説明を省略する。
以下に本実施形態のサファイア単結晶の製造方法によりサファイア単結晶を製造する場合の手順について説明する。
まず、坩堝に原料を配置する原料充填工程を実施することができる。原料充填工程では、坩堝の内底部側から、スペーサ、種結晶、原料(サファイア原料)の順に配置することができる。スペーサについては既に説明したため、ここでは説明を省略する。種結晶、原料としては、例えばVB法やVGF法等で通常用いられているものを用いることができる。
そして、原料充填工程で坩堝内に原料を配置した後、単結晶育成工程を開始することができる。
単結晶育成工程の開始後にまずサファイア原料を融解する原料融解ステップを実施できる。原料融解ステップでは図2(a)を用いて説明した場合と同様にして実施できるため、ここでは説明を省略する。
なお、本実施形態のサファイア単結晶の製造方法においては図2(a)に示した場合と異なり、坩堝と種結晶との間にスペーサが配置されているが、スペーサ部分も含めて坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配を形成できる。
原料融解ステップで原料が完全に融解し、種結晶の上表面が融解し、原料融液と馴染んだと判断した後、降温ステップを実施できる。降温ステップでは図2(b)、(c)を用いて説明したように、垂直方向の温度勾配を維持したまま、所定の速度で全体の温度を降下させることができる。降温ステップを実施することで育成結晶と、原料融液との固液界面が坩堝の上部側に移動し、最終的には形成した原料融液全体が融点未満となり、原料融液であった部分全体が育成結晶となる。
降温ステップ終了後は所定の冷却速度で室温まで温度を降下させる冷却工程を実施し、坩堝から育成したサファイア単結晶のインゴットを取出すことができる。
なお、図1を用いて説明したように、坩堝14はチャンバー11内に設置されているが、チャンバー11内の雰囲気は、チャンバー内に設置した部材の材質等に応じて任意に選定することができ、特に限定されるものではない。例えば、単結晶育成工程、及び冷却工程の間において坩堝を配置したチャンバー内は不活性ガス雰囲気、もしくは真空雰囲気とすることができる。また、単結晶育成工程や、冷却工程においては、温度に応じてチャンバー内の雰囲気を変更することもできる。
得られたサファイア単結晶については用途に応じて任意の形状、表面特性となるように加工することができる。
例えば得られたサファイア単結晶のインゴットを、ワイヤーソー等によりスライスして基板形状、すなわちウエハー形状のサファイア単結晶基板とすることができる。
得られたサファイア単結晶基板については、例えば主平面、及び裏面を研磨する両面研磨工程や、主平面、及び裏面を所望の表面特性とするための片面研磨工程を実施できる。また、端面部分に面取り部を形成する面取り工程や、端面および/または面取り部を研磨する端面研磨工程等を実施することもできる。
以上に説明した本実施形態のサファイア単結晶の製造方法によれば、坩堝の内底部と、種結晶の底面との間にスペーサを配置することで、坩堝の内底部と、種結晶の底面との接触面積を低減できる。また、係るスペーサとして所定の熱伝導因子を有するスペーサを用いている。このため、サファイア単結晶を育成する際に坩堝の底部、及び坩堝軸17への熱の流出を抑制し、垂直方向の温度勾配が過度に大きくなることを抑制できる。
従って、本実施形態のサファイア単結晶の製造方法によれば、坩堝内の底部側に種結晶を設置し、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、種結晶から原料融液を固化させてサファイア単結晶を育成する際にクラックの発生を抑制できる。
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ここでまず、以下の実施例および比較例において育成したサファイア単結晶の評価方法について説明する。
(クラックの有無)
得られたサファイア単結晶について目視で確認し、クラックの有無を評価した。クラックを含まないサファイア単結晶については〇、クラックを含んでいる場合には×と評価した。
(偏光検査)
偏光検査は、まず育成によって得られたサファイア単結晶をヨウ化メチレンに浸した。そして、サファイア単結晶をヨウ化メチレンに浸した状態で、白色光源を照射することでサファイア単結晶の粒界の含有の有無について評価した。
偏光検査の結果、得られたサファイア単結晶が粒界を含まない場合には〇、粒界を含む場合には×と評価した。
(X線トポグラフ)
得られたサファイア単結晶をワイヤーソーによりスライスしてc面基板を切り出した。そして主平面について鏡面研磨した後にX線トポグラフによる評価を行った。なお、各実施例においては、得られたサファイア単結晶のうち、種結晶直上部、結晶長の1/2部、育成最終部近傍の3ヵ所から切り出された基板のそれぞれについて評価を行った。
X線トポグラフ画像は、大試料ラングカメラ(株式会社リガク製、LGL−8)を用いて撮影した。
X線トポグラフ画像から、得られたサファイア単結晶がリネージ等の転位がみられず、均質な結晶であることを確認できた場合には〇、リネージ等の転移を含むことが確認できた場合には×と評価した。
(X線回折の半値全幅)
X線回折の半値全幅評価に当たっては、X線トポグラフの場合と同様にサファイア単結晶をスライスし、主平面を鏡面研磨したc面基板について評価を行った。各実施例においては、得られたサファイア単結晶のうち、種結晶直上部、結晶長の1/2部、育成最終部近傍の3ヵ所から切り出された基板についてそれぞれ評価を行った。
X線回折の半値全幅の測定に当たっては、評価を行う基板の中央部、及び最外周部から10mm内側の円周上の90゜おきの4点の計5点を3枚全ての基板で測定した。
X線回折の半値全幅(FWHM)は、精密X線回折装置(PANalytical社製、X‘Pert PRO)を用いて評価した。
種結晶直上部、結晶長の1/2部、育成最終部近傍の3ヵ所から切り出した基板それぞれについて測定した5点の平均値がいずれも15arcsec以下の場合には〇とした。また、上述の3枚の基板のうち、1枚でも測定した5点の平均値が15arcsecを超えるものがあった場合には×と評価した。
[実施例1]
以下の手順によりサファイア単結晶を製造し、得られたサファイア単結晶について上述の評価を行った。サファイア単結晶の製造時の条件、手順について説明する。
(原料充填工程)
図4に示したように底面が円形形状であり、上端部に開口部を有し、内径が底部側から上側に向かって大きくなるテーパーを内壁に設けたMo製坩堝を用意した。なお、坩堝の底面の内径は150mmφ、内高は500mmとなっている。
そして、スペーサとして、底面が20mm×80mmで、高さが20mmの四角柱形状のサファイア単結晶2本を上記坩堝の底部に図4に示すように配置した。スペーサ上には、直径が150mmφ×高さ40mmの円板形状のサファイア種結晶、及び原料粉末(サファイア原料粉末)25kgを配置した。サファイア種結晶円板の面方位(育成方位)はc面である。
なお、スペーサは、底面、及び上面がそれぞれ坩堝の内底部、及び種結晶の底面と接するように配置した。このため、スペーサと坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち18%を占めることとなる。また、熱伝導因子は6.7W/Kとなる。
以下の実施例、比較例においては特に断らない限り、本実施例の場合と同様にスペーサの底面、及び上面がそれぞれ坩堝の内底部、及び種結晶の底面と接するように配置している。
(単結晶育成工程)
まず、原料を融解し原料融液とする原料融解ステップを実施した。
上述の原料充填工程で準備した、スペーサ、種結晶、及び原料粉末を充填した坩堝14を用いた点以外は、図1と同じ構成を有するサファイア単結晶製造装置10を用いて実施した。
なお、ヒータ13としては図1に示したように、高さ方向に3つに分割されたヒータを用いている。また、ヒータ13及び断熱材12の材質はカーボンとした。
サファイア単結晶製造装置10内の温度測定は、装置中心軸上の上下方向に設けた上部側温度測定手段19、及び底部側温度測定手段18を用いて行っており、上部側温度測定手段19、及び底部側温度測定手段18としては共に二色放射温度計を用いている。
原料等を充填した坩堝14をセットした後、チャンバー11を密閉し、チャンバー11内をArガスで置換した。スペーサを配置した坩堝14の底部と、サファイア種結晶との間の空間についても、Arガスで満たされた状態としてから昇温を開始して原料粉末を融解させた。
昇温時には、上部側温度測定手段19、及び底部側温度測定手段18により、サファイア単結晶製造装置10の上下からモニターしている温度の測定値を基に、3ゾーン・ヒータの出力比を調節した。そして、坩堝14の下端から上端に向かって、平均5℃/cmの勾配で温度が高くなる温度分布を形成した。その後、底部側温度測定手段18による温度測定値が所望の値となるようにヒータの出力合計値を調整し、種結晶の上端部を5mm程融解させた。なお、種結晶15の融解量と、温度勾配、及び底部側温度測定手段18による温度測定値との関係は、予め融解試験を行い求めておいた。
次に冷却ステップを実施した。
種結晶の上端部を5mm程融解させる温度分布の状態で30分間放置した後に、上記温度勾配を維持したままヒータ出力を徐々に降下させて結晶育成を行う冷却ステップを開始した。
この時のヒータ出力の降下速度は、炉内温度の降下速度が2.5℃/Hとなるように調整した。この時の成長界面の前進速度(成長速度)は5mm/Hとなっていると推定される。この降下速度で一定として、原料融液全体が結晶化するまで温度降下を行った。
(冷却工程)
冷却ステップによりサファイア単結晶を育成した後、冷却工程を実施した。
冷却工程では、底部側温度測定手段18と、上部側温度測定手段19との測定温度の差が3℃以下となるようにヒータの出力及び出力比を調整した後に、平均温度降下速度が、50℃/Hとなるようにヒータ出力を降下させて室温まで冷却を行った。
育成終了後から、約2日後にサファイア単結晶製造装置10内から坩堝14と育成結晶21とを取出した。その後、坩堝14から育成結晶21を取出したところ、種結晶15部を除いた育成結晶21部の長さが約310mmで、クラックが全くない直径が6インチφの結晶であることが確認できた。得られた結晶の最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。
得られたサファイア単結晶について上述の評価を行った。
偏光検査による結晶性の評価を行ったところ、粒界が全くない単結晶であることが確認できた。
そして、得られたサファイア単結晶をワイヤーソーによりスライスしてc面基板を切り出し、主平面について鏡面加工した後に、X線トポグラフ撮影、X線回折の半値全幅の評価を行った。
X線トポグラフによる評価では、サファイア単結晶の種結晶直上部、結晶長の1/2部、育成最終部近傍の3ヵ所から切り出された3枚の基板はともに、リネージ等の転位の集積が見られず、結晶全体に渡って均質な結晶性であることが確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、種結晶直上部の基板の5点平均値で10arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値9arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で9arcsecと、これらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[実施例2]
原料充填工程で、スペーサとして底面が30mm×60mm、高さが20mmの四角柱形状のサファイア単結晶を2本使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち20%を占めることとなる。また、熱伝導因子は7.6W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmの、クラックが全くない結晶であることが確認できた。
得られた結晶の評価を実施例1と同様に行ったところ、偏光検査、及びX線トポグラフによる評価では粒界やリネージが無いことを確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は種結晶直上部の基板の5点平均値で12arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値で11arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で11arcsecとこれらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[実施例3]
原料充填工程で、スペーサとして底面の直径が80mm、高さが40mmの円板形状のサファイア単結晶を1個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち28%を占めることとなる。また、熱伝導因子は5.3W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmの、クラックが全くない結晶であることが確認できた。
得られた結晶の評価を実施例1と同様に行ったところ、偏光検査、及びX線トポグラフによる評価では粒界やリネージが無いことを確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、種結晶直上部の基板の5点平均値で8arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値で7arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で7arcsecと、これらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[実施例4]
原料充填工程で、スペーサとして底面の直径が40mm、高さが20mmの円板形状のサファイア単結晶を3個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち21%を占めることとなる。また、熱伝導因子は7.9W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmの、クラックが全くない結晶であることが確認できた。
得られた結晶の評価を実施例1と同様に行ったところ、偏光検査、及びX線トポグラフによる評価では粒界やリネージが無いことを確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は種結晶直上部の基板の5点平均値で8arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値で7arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で7arcsecと、これらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[実施例5]
原料充填工程で、スペーサとして底面の直径が40mm、高さが50mmの円板形状のサファイア単結晶を5個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち36%を占めることとなる。また、熱伝導因子は5.3W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmの、クラックが全くない結晶であることが確認できた。
得られた結晶の評価を実施例1と同様に行ったところ、偏光検査、及びX線トポグラフによる評価では粒界やリネージが無いことを確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、種結晶直上部の基板の5点平均値で8arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値で7arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で7arcsecと、これらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[実施例6]
原料充填工程で、スペーサとして底面の直径が40mm、高さが50mmの円板形状のサファイア単結晶を7個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち50%を占めることとなる。また、熱伝導因子は7.4W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmの、クラックが全くない結晶であることが確認できた。
得られた結晶の評価を実施例1と同様に行ったところ、偏光検査、及びX線トポグラフによる評価では粒界やリネージが無いことを確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、種結晶直上部の基板の5点平均値で8arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値で7arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で7arcsecと、これらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[実施例7]
原料充填工程で、底面の直径が20mm、高さが25mmの円板形状のタングステン製のスペーサを3個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち5%を占めることとなる。また、熱伝導因子は6.6W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmの、クラックが全くない結晶であることが確認できた。
得られた結晶の評価を実施例1と同様に行ったところ、偏光検査、及びX線トポグラフによる評価では粒界やリネージが無いことを確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、種結晶直上部の基板の5点平均値で8arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値で7arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で7arcsecと、これらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[実施例8]
原料充填工程で、底面の直径が20mm、高さが25mmの円板形状のモリブデン製のスペーサを4個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち7%を占めることとなる。また、熱伝導因子は6.9W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmの、クラックが全くない結晶であることが確認できた。
得られた結晶の評価を実施例1と同様に行ったところ、偏光検査、及びX線トポグラフによる評価では粒界やリネージが無いことを確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、種結晶直上部の基板の5点平均値で8arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値で7arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で7arcsecと、これらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[実施例9]
原料充填工程で、スペーサとして底面の直径が70mm、高さが70mmの円板形状のサファイア単結晶を3個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち65%を占めることとなる。また、熱伝導因子は6.9W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmの、クラックが全くない結晶であることが確認できた。
得られた結晶の評価を実施例1と同様に行ったところ、偏光検査、及びX線トポグラフによる評価では粒界やリネージが無いことを確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、種結晶直上部の基板の5点平均値で8arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値で7arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で7arcsecと、これらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[実施例10]
原料充填工程で、底面の直径が40mm、高さが85mmの円板形状のタングステン製のスペーサを3個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち21%を占めることとなる。また、熱伝導因子は7.7W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmの、クラックが全くない結晶であることが確認できた。
得られた結晶の評価を実施例1と同様に行ったところ、偏光検査、及びX線トポグラフによる評価では粒界やリネージが無いことを確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、種結晶直上部の基板の5点平均値で8arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値で7arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で7arcsecと、これらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[実施例11]
原料充填工程で、スペーサとして底面が30mm×60mm、高さが55mmの四角柱形状のサファイア単結晶を6個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち61%を占めることとなる。また、熱伝導因子は8.2W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmの、クラックが全くない結晶であることが確認できた。
得られた結晶の評価を実施例1と同様に行ったところ、偏光検査、及びX線トポグラフによる評価では粒界やリネージが無いことを確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は種結晶直上部の基板の5点平均値で12arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値で11arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で11arcsecとこれらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[実施例12]
原料充填工程で、スペーサとして底面の直径が80mm、高さが25mmの円板形状のサファイア単結晶を1個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち28%を占めることとなる。また、熱伝導因子は8.4W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmの、クラックが全くない結晶であることが確認できた。
得られた結晶の評価を実施例1と同様に行ったところ、偏光検査、及びX線トポグラフによる評価では粒界やリネージが無いことを確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、種結晶直上部の基板の5点平均値で8arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値で7arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で7arcsecと、これらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[実施例13]
原料充填工程で、スペーサとして底面の直径が100mm、高さが40mmの円板形状のサファイア単結晶を1個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち44%を占めることとなる。また、熱伝導因子は8.2W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmの、クラックが全くない結晶であることが確認できた。
得られた結晶の評価を実施例1と同様に行ったところ、偏光検査、及びX線トポグラフによる評価では粒界やリネージが無いことを確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、種結晶直上部の基板の5点平均値で8arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値で7arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で7arcsecと、これらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[実施例14]
原料充填工程で、スペーサとして底面の直径が5mmの円柱形状のサファイア単結晶を複数本使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
スペーサとして用いた円柱形状のサファイア単結晶は長さの異なるものを含んでおり、具体的には、長さ80mmを2本、110mmを2本、130mmを2本、140mmを4本、合計10本の円柱形状のサファイア単結晶を用いた。これらの円柱形状のサファイア単結晶を坩堝14の底部に横向きに設置した。すなわち、円柱形状のサファイア単結晶の側面が、坩堝14の底面、及び種結晶15と接するようにして設置しており、スペーサとしての高さは、底面の直径である5mmとなる。
各スペーサと坩堝14の底面との接触幅、及び各スペーサと種結晶15との接触幅は0.5mmであった。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち3%を占めることとなる。また、熱伝導因子は5.0W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmの、クラックが全くない結晶であることが確認できた。
得られた結晶の評価を実施例1と同様に行ったところ、偏光検査、及びX線トポグラフによる評価では粒界やリネージが無いことを確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は種結晶直上部の基板の5点平均値で10arcsec、結晶長1/2部の基板の5点平均値で9arcsec、育成最終部の基板の5点平均値で9arcsecと、これらも結晶内で分布が無く、高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[比較例1]
原料充填工程で、スペーサを配置せず、坩堝の底面に直接種結晶を配置した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmであることが確認できた。しかしながら、サファイア単結晶の長さ方向のうち種結晶側から約2/3の領域にクラックが発生していることが確認された。
クラックを含まない部分の偏光検査を実施したところ、得られたサファイア単結晶内に粒界が含まれることを確認できた。
クラックを含まない部分から実施例1と同様にワイヤーソーでスライスして6インチφのサファイア単結晶基板を作製し、主平面を鏡面研磨した後にX線トポグラフ、及びX線回折の半値全幅の評価に供した。
X線トポグラフによる評価では種結晶側の基板に、転位の集積であるリネージが多数存在していることが確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、育成最終部の基板の5点平均値で10arcsecと実施例1と同程度であった。しかしながら、結晶成長前半位置、すなわち種結晶側の基板の値は、25〜30arcsecの範囲にあり、実施例1で得られた結晶よりも結晶性に劣る結果であった。
評価結果を表1に示す。
[比較例2]
原料充填工程で、底面の直径が60mm、高さが50mmの円板形状のタングステン製のスペーサを1個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち16%を占めることとなる。また、熱伝導因子は9.8W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmであった。しかしながら、サファイア単結晶の長さ方向のうち種結晶側から約1/3の領域にクラックが発生していることが確認された。
クラックを含まない部分の偏光検査を実施したところ、得られたサファイア単結晶内に粒界が含まれることを確認できた。
クラックを含まない部分から実施例1と同様にワイヤーソーでスライスして6インチφのサファイア単結晶基板を作製し、主平面を鏡面研磨した後にX線トポグラフ、及びX線回折の半値全幅の評価に供した。
X線トポグラフによる評価では種結晶側の基板に、転位の集積であるリネージが多数存在していることが確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、育成最終部の基板の5点平均値で10arcsecと実施例1と同程度であった。しかしながら、結晶成長前半位置、すなわち種結晶側の結晶成長前半位置の基板の値は、20〜30arcsecの範囲にあり、実施例1で得られた結晶よりも結晶性に劣る結果であった。
評価結果を表1に示す。
[比較例3]
原料充填工程で、スペーサとして底面が30mm×60mm、高さが60mmの四角柱形状のサファイア単結晶を7個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち71%を占めることとなる。また、熱伝導因子は8.8W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmであった。しかしながら、サファイア単結晶の長さ方向のうち種結晶側から約1/3の領域にクラックが発生していることが確認された。
クラックを含まない部分の偏光検査を実施したところ、得られたサファイア単結晶内に粒界が含まれることを確認できた。
クラックを含まない部分から実施例1と同様にワイヤーソーでスライスして6インチφのサファイア単結晶基板を作製し、主平面を鏡面研磨した後にX線トポグラフ、及びX線回折の半値全幅の評価に供した。
X線トポグラフによる評価では種結晶側の基板に、転位の集積であるリネージが多数存在していることが確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、育成最終部の基板の5点平均値で10arcsecと実施例1と同程度であった。しかしながら、結晶成長前半位置、すなわち種結晶側の結晶成長前半位置の基板の値は、20〜30arcsecの範囲にあり、実施例1で得られた結晶よりも結晶性に劣る結果であった。
評価結果を表1に示す。
[比較例4]
原料充填工程で、スペーサとして、底面の直径が150mm、高さが50mmの円板形状のサファイア単結晶を1個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち100%を占めることとなる。また、熱伝導因子は14.8W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmであった。しかしながら、サファイア単結晶の長さ方向のうち種結晶側から約1/5の領域にクラックが発生していることが確認された。
クラックを含まない部分の偏光検査を実施したところ、得られたサファイア単結晶内に粒界が含まれることを確認できた。
クラックを含まない部分から実施例1と同様にワイヤーソーでスライスして6インチφのサファイア単結晶基板を作製し、主平面を鏡面研磨した後にX線トポグラフ、及びX線回折の半値全幅の評価に供した。なお、作製したサファイア単結晶基板のうち、クラックを含まない部分について、種結晶側、1/2部、育成最終部近傍の3箇所について評価に供した。
X線トポグラフによる評価では評価に供した基板については、リネージ等の転位の集積が見られず、評価に供した基板を切り出した部分については均質な結晶性であることが確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、種結晶側の基板の5点平均値で10arcsec、1/2部の基板の5点平均値9arcsec、育成最終部近傍の基板の5点平均値で9arcsecと、実施例1と同程度であることが確認できた。
従って、種結晶側のクラックを除けば高品質結晶であることが確認できた。
評価結果を表1に示す。
[比較例5]
原料充填工程で、スペーサとして底面の直径が80mm、高さが3mmの円板形状のサファイア単結晶を1個使用した点以外は、実施例1と同様にしてサファイア単結晶を育成し、得られたサファイア単結晶について評価を行った。
なお、スペーサと、坩堝の内底部との接触面積は、坩堝の内底面積のうち28%を占めることとなる。また、熱伝導因子は70.3W/Kとなる。
得られたサファイア単結晶は実施例1と同様に、直径が6インチφ、最大径(結晶上端部直径)は、約168mmであった。そして、種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmであった。しかしながら、サファイア単結晶の長さ方向のうち種結晶側から約1/3の領域にクラックが発生していることが確認された。
クラックを含まない部分の偏光検査を実施したところ、得られたサファイア単結晶内に粒界が含まれることを確認できた。
クラックを含まない部分から実施例1と同様にワイヤーソーでスライスして6インチφのサファイア単結晶基板を作製し、主平面を鏡面研磨した後にX線トポグラフ、及びX線回折の半値全幅の評価に供した。
X線トポグラフによる評価では種結晶側の基板に、転位の集積であるリネージが多数存在していることが確認できた。
X線回折の半値全幅の測定結果は、育成最終部近傍の基板の5点平均値で10arcsecと実施例1と同程度であった。しかしながら、結晶成長前半位置、すなわち種結晶側の結晶成長前半位置の基板の値は、20〜30arcsecの範囲にあり、実施例1で得られた結晶よりも結晶性に劣る結果であった。
評価結果を表1に示す。
Figure 2016169112
14 坩堝
15 種結晶
16 原料融液
41 スペーサ

Claims (4)

  1. 坩堝内の底部側に種結晶を設置し、前記坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、前記種結晶の側から原料融液を固化させて単結晶育成を行うサファイア単結晶の製造方法であって、
    前記坩堝内の底部と、前記種結晶との間にはスペーサを配置しており、
    前記スペーサの以下の式(1)、(2)で算出される熱伝導因子が8.5W/K以下であるサファイア単結晶の製造方法。
    (熱伝導因子)=(前記スペーサの材料の熱伝導率)×[(平均伝熱面積)/(前記スペーサの高さ)]・・・(1)
    (平均伝熱面積)=[(前記スペーサの前記坩堝と接する面積)+(前記スペーサの前記種結晶と接する面積)]/2・・・(2)
  2. 前記スペーサの前記熱伝導因子が8.0W/K以下である請求項1に記載のサファイア単結晶の製造方法。
  3. 前記スペーサの高さが90mm以下である請求項1または2に記載のサファイア単結晶の製造方法。
  4. 前記スペーサの材料と、前記種結晶の材料とが、同じである請求項1〜3のいずれか一項に記載のサファイア単結晶の製造方法。
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