JP2013256424A - サファイア単結晶育成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】チョクラルスキー法によるサファイア単結晶の結晶育成において、融液の表面温度および融液の上下方向の温度勾配を正確に制御して、結晶欠陥の少ないサファイア単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】断熱空間内で、かつ、坩堝1の上方に配置された熱反射板21、および/または、坩堝1の開口端縁部に取り付けられたリッドと、断熱空間内で、かつ、坩堝1および熱反射板21および/またはリッドの上方に、熱反射板21またはリッドを向くように取り付けられ、熱反射板21またはリッドの温度を測定する放射温度計14を備える。融液上部の温度として、熱反射板21またはリッドの温度を測定し、融液10下部の温度として、坩堝1の底部の温度を測定し、これらの測定値に基づいて算出した融液10の上下方向の温度勾配が所定の範囲を維持するように、単結晶の育成条件を制御する。
【選択図】図1
【解決手段】断熱空間内で、かつ、坩堝1の上方に配置された熱反射板21、および/または、坩堝1の開口端縁部に取り付けられたリッドと、断熱空間内で、かつ、坩堝1および熱反射板21および/またはリッドの上方に、熱反射板21またはリッドを向くように取り付けられ、熱反射板21またはリッドの温度を測定する放射温度計14を備える。融液上部の温度として、熱反射板21またはリッドの温度を測定し、融液10下部の温度として、坩堝1の底部の温度を測定し、これらの測定値に基づいて算出した融液10の上下方向の温度勾配が所定の範囲を維持するように、単結晶の育成条件を制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、チョクラルスキー法により、サファイア単結晶を育成するための結晶育成装置に関する。
光学材料を得るために用いられる基板としてサファイア基板があり、この基板は発光ダイオードの発光層を成長させるための下地として用いられることが多い。また、サファイア基板を得るためのサファイア単結晶を製造する主要な方法としては、サファイア原料を坩堝内で融解し、その原料融液表面に種結晶を接触させて徐々に引き上げることにより単結晶を育成するチョクラルスキー法(Cz法)やカイロポーラス法(Kyropulous法)などが知られている。なお、育成されたサファイア単結晶は、基板状に加工され、表面を研磨することによりサファイア基板が製造される。
サファイア原料融液からチョクラルスキー法によりサファイア単結晶を製造するには、図3に示すようなサファイア単結晶育成装置が用いられる。このサファイア単結晶育成装置は、サファイア原料が充填される坩堝1と、坩堝1の外周面を加熱する円筒状ヒータ3並びに坩堝1の底面を加熱する円盤状ヒータ4を備える。これらの坩堝1と円筒状ヒータ3および円盤状ヒータ4は、炉体7の内面に沿って設けられたカーボン製の断熱部材の底面部60および上面部61により構成される断熱空間6に収容される。断熱空間6の底面部60に設けられた開口に嵌入された酸化アルミニウム製の絶縁筒8を介して、円筒状ヒータ3と円盤状のヒータ4にそれぞれ接続して電力を供給するカーボン製の円柱状ヒータ電源5が、底面部60を貫通するように配置されている。
坩堝1は、底面部60の開口と円盤状ヒータ4の開口を貫通するように設けられた支持軸2によって支持される。さらに、断熱空間6の上面部61にも開口が設けられ、この開口を貫通するように引き上げ軸9が備えられ、この引き上げ軸9の先端に種結晶11が取り付けられ、坩堝1内の原料融液10からチョクラルスキー法によりサファイア単結晶12が育成されるようになっている。
ところで、サファイア単結晶の融点は2000℃以上もあり、同様にチョクラルスキー法により結晶育成が行われるシリコン(融点:1410℃)やリン化ガリウム(1465℃)などに比べて500℃以上も高い。また、サファイア単結晶は、シリコンやリン化ガリウムなどの単結晶とは異なって、成長界面の凸度が大きいことに起因して、結晶成長が、融液表面付近ではなく、液相内(融液内)で進行するという特徴がある。このため、サファイアの単結晶では、成長界面形状を適切に保つために、断熱空間内の温度勾配を高い精度で制御しなければならない。
このような温度勾配の制御は、特に、サファイア単結晶育成の初期段階において重要である。温度勾配の制御が適正に行われず、所望の温度勾配よりも小さな温度勾配となる条件で結晶育成を実施した場合には、特に、種結晶を融液に接触させる工程(シーディング)において、融液表面温度の適正範囲がきわめて狭いものとなってしまう。融液表面温度が適正範囲よりも低い状態のまま、種結晶が融液表面に接触すると、育成開始から短時間で育成結晶の肩部が形成されてしまう。このような育成結晶の急成長は、結晶欠陥(ボイド、多結晶化)が生じる原因となる。一方、融液表面温度が適正範囲よりも高い状態で、種結晶がこの融液表面に接触した場合には、サファイア単結晶が全く成長しないばかりか、種結晶が融け落ちてしまい、育成を中止しなければならなくなる場合もある。
温度勾配の制御を適正に行うためには、融液の温度を正確に測定する必要があるが、高融点の融液の温度を、長時間にわたり正確に測定することはきわめて困難である。このため、坩堝底部近傍の温度を熱電対により測定することが代替的に行われている。しかしながら、坩堝底部近傍の一点のみの測定では、固液界面の温度や融液の垂直方向の温度勾配を高い精度で制御することは難しい。
これに対して、特許第3085568号公報には、融液上部の温度測定手段として融液表面の温度を測定する非接触式の放射温度計と、融液下部に温度測定手段として坩堝底面の温度を測定する熱電対とを設け、これらの測定値に基づいて融液の上下温度差を算出し、これにより融液内部の温度勾配を測定する技術が記載されている。この技術では、融液上部の温度として、融液表面の温度を測定しているが、高温の融液では、熱対流が一様な流れとならず、スポークパターン(放射状の対流)が形成されることに起因して、融液表面の温度の測定値が±10℃も変動することから、正確に融液表面の温度を測定し、厳密に温度勾配を制御することはきわめて困難である。
特許第3109950号公報には、融液の表面温度を2箇所について、同様に放射温度計で測定し、これらの測定値から融液表面の温度勾配を算出する技術が記載されている。この方法では、融液表面の温度勾配を制御することが可能であるとしているが、融液自体の表面温度を測定している点で、同様に正確な融液上部の温度の測定は困難である。
本発明は、上述の問題に鑑み、チョクラルスキー法によるサファイア単結晶の結晶育成において、融液上部および融液下部の温度をいずれも高い精度で測定し、これにより、サファイア単結晶の育成に際し、融液表面の温度および融液の上下方向の温度勾配を適正な範囲に制御することが可能な単結晶育成装置を提供することを目的としている。
本発明のサファイア単結晶育成装置は、チョクラルスキー法によりサファイア単結晶を育成する単結晶育成装置に関する。該装置は、断熱空間内で、かつ、坩堝の上方に配置された熱反射板、および/または、坩堝の開口端縁部に取り付けられたリッドと、前記断熱空間内で、かつ、前記坩堝および前記熱反射板および/またはリッドの上方に、該熱反射板または該リッドを向くように取り付けられ、該熱反射板または該リッドの温度を測定する温度測定手段とを備えることを特徴とする。
前記温度測定手段が、非接触式温度測定手段、より具体的には放射温度計であることが好ましい。
前記断熱空間内で、かつ、前記坩堝の底面に接触するように配置され、坩堝底部の温度を測定する熱電対をさらに備えることが好ましい。
さらに、前記熱反射板が多層型熱反射板であり、この多層型熱反射板のうち、最上部に位置する熱反射板から最下部に位置する熱反射板の上方に隣接する熱反射板までに貫通孔が設けられ、この貫通孔を介して、前記最上部に位置する熱反射板の上方から、前記最下部の熱反射板の表面温度を測定するように、もしくは、最上部に位置する熱反射板から最下部の熱反射板までに貫通孔が設けられ、この貫通孔を介して、前記リッドの表面温度を測定するように、前記温度測定手段が配置されていることが好ましい。
本発明のサファイア単結晶の製造方法は、チョクラルスキー法によるサファイア単結晶の育成において、断熱空間内で、かつ、坩堝の上方に配置された熱反射板、および/または、坩堝の開口端縁部に取り付けられたリッドの上方に、該熱反射板または該リッドを向くように取り付けられた温度測定手段を用いて、融液上部の温度として、熱反射板または該リッドの温度を測定し、前記断熱空間内で、かつ、前記坩堝の底面に接触するように配置された熱電対を用いて、融液下部の温度として、坩堝底部の温度を測定し、得られた前記融液上部の温度と前記融液下部の温度に基づいて算出した融液上下方向の温度勾配が所定の範囲を維持するように、前記単結晶の育成条件を制御することを特徴とする。
本発明によれば、チョクラルスキー法によるサファイア単結晶の育成において、坩堝底部の温度だけではなく、融液上部の温度を正確に測定することができるため、この測定値に基づいて、適切に融液の表面温度を管理するとともに、融液が適正な温度勾配を形成するように制御することができる。すなわち、本発明では、融液上部の温度として、温度の変動が大きい融液表面の温度の代わりに、熱反射板の温度を採用しているため、融液の熱対流の影響を受けることなく、温度勾配の制御が可能となる。このため、結晶欠陥(ボイド、多結晶化)の少ない、サファイア単結晶を収率よく製造することが可能となる。
以下、図1および図2を参照しながら、本発明のチョクラルスキー法によるサファイア単結晶の製造方法、および、この製造方法を適用した製造装置について詳細に説明をする。なお、本発明は、サファイア単結晶の結晶育成を前提とするものであるが、その他の単結晶育成、たとえば、シリコン単結晶、リン化ガリウム単結晶などの育成にも適用することができる。また、本発明は、温度測定手段を融液上部および坩堝底部に設けたこと、および、これらの温度測定手段に基づいて温度勾配を制御すること以外は、従来のサファイア単結晶の製造方法と同様であるため、以下、本発明の特徴的部分を中心に説明する。
前述したようにチョクラルスキー法によりサファイア単結晶を育成する場合、断熱空間6内、特に融液10との気液界面から融液10の下部までの温度勾配を適正な範囲に制御する必要がある。融液10の下部の温度は、坩堝1の底部の温度を熱電対13などで測定することにより把握することが可能である。一方、サファイア単結晶は、その融点が2000℃以上であるため、工業的生産過程において、融液温度を直接測定することはきわめて困難である。そこで、非接触式温度測定手段、たとえば、非接触式センサを用いた放射温度計を用いて、融液10の上部の温度測定が行われている。しかしながら、高温の融液10には、融液内の温度差に起因する熱対流が発生している。高温の融液10における熱対流は一様な流れとならず、スポークパターンと呼ばれる放射状の対流を伴った複雑な流れとなる。このため、同じ箇所について表面の温度を測定しても、周期的に変化するなど変動が生じるため、融液10の表面温度を放射温度計で測定した場合、その測定値が±10℃程度も変動することとなる。このため、これらの測定値に基づいて、融液の上下方向の温度勾配を所定の範囲に制御することはきわめて困難である。この点については、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、融液上方に設置された熱反射板の温度は、融液10における複雑な熱対流の影響を受けることなく、±0.1℃程度しか変動しないとの知見を得た。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、チョクラルスキー法によるサファイア単結晶の育成において、断熱空間6の上方から、坩堝1の上部に配置された熱反射板21あるいはリッド23の温度を測定する温度測定手段(放射温度計)14と、坩堝1の底部の温度を測定する温度測定手段(熱電対)13とを備え、これらの温度測定手段から得られた測定値に基づいて算出した融液上下方向の温度勾配が所定の範囲を維持するように、単結晶の育成条件を制御することを特徴とするものである。なお、熱反射板21あるいはリッド23の温度を測定する温度測定手段としては、非接触式である放射温度計とすることが好ましい。熱電対などを用いて直接測定することも可能であるが、サファイア単結晶育成中の断熱空間の熱の伝達は輻射が主であるために、挿入された熱電対によって坩堝1上方の断熱空間における温度分布の軸対称性が乱され、結晶育成に影響を与える可能性がある。
なお、本発明は、図2に示すように、熱反射板が多層型の熱反射板22である場合にも適用可能である。この場合には、最上部に位置する熱反射板から、最下部の熱反射板までに貫通孔24を設けることにより、この貫通孔24を介して、坩堝1の開口端縁部に取り付けられたリッド23の表面温度を測定するようにする。このような多層型の熱反射板22を設けることにより、坩堝1の上方の断熱空間における温度勾配を適切に制御でき、もって、融液の上下方向の温度勾配や融液の表面近傍における水平方向の温度勾配などについても適切な制御が可能となる。リッド23を設けずに、最上部に位置する熱反射板から最下部に位置する熱反射板の上方に隣接する熱反射板までに貫通孔24を設けることにより、この貫通孔24を介して、最下部の熱反射板の表面温度を測定するようにしてもよい。貫通孔24の直径は、非接触式温度計14の測定径よりも2〜5mm程度大きくすることが好ましい。
また、測定対象となる熱反射板21またはリッド23の融液表面からの距離は、坩堝内径の1/4以下とすることが好ましく、1/6以下とすることがより好ましい。熱反射板21またはリッド23の融液表面からの距離が坩堝内径の1/4を超えると、融液表面の温度勾配を所定の範囲に制御することが難しくなる。
なお、熱反射板21またはリッド23の周方向の複数位置についての表面温度を測定することができるように、複数の温度測定手段14を設けてもよい。これにより、融液10の上下方向の温度勾配の制御を、より高い精度で行うことが可能となる。また、温度分布の軸対称性が崩れないように留意した上で、熱反射板21またはリッド23の一部をその中心方向に伸長し、熱反射板21またはリッド23について、少なくともその外周部と内周部の2箇所位置において、その表面温度を測定することができるように、複数の温度測定手段14を設置してもよい。これにより、融液10の上下方向ばかりでなく、融液10の表面近傍における水平方向の温度勾配も、高い精度で測定および制御することが可能となる。
一方、坩堝1の底部の温度を測定する手段としては、1900〜2200℃の範囲の温度を測定することができるものであれば特に限定されることはないが、コストや取扱いの容易性などの観点から熱電対13を使用するのが一般的である。この場合、支持軸2の中心部に熱電対13を挿通し、その先端部を坩堝1の底部またはその近傍に設置する。ただし、熱電対に代替して、放射温度計を用いて非接触式に坩堝1の底部の温度を測定するようにしてもよい。
本発明では、このようにして得られた融液10の上部および下部の温度測定値に基づき、融液10の表面近傍の温度が所定の温度を維持するように、および/または、融液10の上下方向の温度勾配が所定の範囲となるように育成条件を調整することが必要である。具体的には、育成の初期段階から、育成結晶の先端部が下凸形状となるような温度勾配を形成し、これを維持するように育成条件を調整することが必要となる。このような育成条件は、各ヒータ3、4の出力の調整や、支持軸2の上下動などによって行われる。適正な条件は、育成結晶の目標とする直径や、坩堝1の直径、各ヒータ3、4の出力などにより異なるため、あらかじめ試験を行い、このような条件を確認しておくことが必要である。
育成初期段階から、育成結晶の先端部を下凸形状とするのは、このような形状であれば結晶中に気泡が取り込まれ、結晶欠陥(ボイド、多結晶化)が発生することを防止することができるからである。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例において、偏光検査は、得られたサファイア基板をヨウ化メチレンに浸して白色光源を照射することで行った。また、X線トポグラフは、大試料ラングカメラ(株式会社リガク製、LGL−8)を用いて評価した。
(実施例1)
図3に示すような結晶育成装置を使用して、サファイア単結晶の育成を行った。この際、図1に示すように熱反射板を設置し、この熱反射板の表面温度を、非接触式温度計を使用して測定しながら、サファイア単結晶の育成を行った。育成方位はa軸方向とした。
図3に示すような結晶育成装置を使用して、サファイア単結晶の育成を行った。この際、図1に示すように熱反射板を設置し、この熱反射板の表面温度を、非接触式温度計を使用して測定しながら、サファイア単結晶の育成を行った。育成方位はa軸方向とした。
初めに、原料として酸化アルミニウム(Al2O3)粉末を坩堝(直径300mm、高さ300mm)に挿入し、この坩堝を結晶育成装置の支持軸上に設置した。その後、炉体の内壁から伸長するグラファイト(C)製の支持部材剤に、図1に示すような熱反射板を設置した。
断熱部材を密閉し、断熱空間を形成した後、Arガス雰囲気とし、カーボンヒータにより酸化アルミニウム(Al2O3)粉末を2050℃以上に加熱し、該粉末を融解した。酸化アルミニウム(Al2O3)粉末が完全に融解したことを確認した後、先端に種結晶が取り付けられた引き上げ軸を5rpmで回転させた状態で下降させ、酸化アルミニウム(Al2O3)融液に接触させた。このとき、熱反射板と坩堝底部間の平均温度勾配が3℃/cmとなるように、円筒状ヒータ3と円盤状ヒータ4の出力を調整した。調整後の熱反射板の温度は1995℃、坩堝底部の温度は2100℃であった。なお、ヒータ出力調整時における熱反射板の温度変動は、最大で0.1℃であることが確認された。このような温度環境を維持したまま、引き上げ速度を1mm/hで、5日間引き上げを行った結果、35kg(直径:200mm、長さ:280mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア結晶の結晶性を偏光観察した結果、粒界のない単結晶であること、および、ボイド欠陥は育成開始直後に若干あるだけで、直胴部には全くない高品質な単結晶であることが確認された。さらに、この単結晶から4inφインゴットを打抜き、ワイヤソーを用いて基板状に切り出した後に、研磨加工をして得られた4inφ、1mm厚の基板を得た。この基板について、X線回折装置を用いて半値幅(FWHM)の測定を行ったところ、5″と非常に優れた結晶性であることが確認された。また、得られた4inφ基板は全部で150枚であったが、結晶欠陥に起因して、不良となった基板は4枚のみであり、収率は97%と非常に高い値であった。
(比較例1)
温度測定を坩堝底部のみで行ったこと以外は、実施例1と同様にして、サファイア結晶の育成を行った。このときのサファイア単結晶の成長は、シーディング直後から成長速度が速く、実施例1の育成と比較すると、約1/2の時間で肩部が形成された。その後、結晶育成を継続し、35kg(直径:200mm、長さ:280mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶を偏光観察すると、結晶肩部から直胴部にかけてボイドや粒界などの結晶欠陥が確認された。ボイドは、育成開始直後の種結晶直下から結晶肩部までの部分、および、結晶中心部において、特に高密度に分布していた。一方、粒界は、結晶肩部形成時の結晶中心部から発生していた。粒界発生部を含むようにして、育成方向と平行に切り出してX線トポグラフ観察用試料を作製して、X線トポグラフ観察を行ったところ、結晶肩部形成時の成長界面が凹であること、および、結晶肩部形成時に発生したリネージが結晶成長に伴って凹界面に垂直に伝搬し、集積した部分から粒界が発生していることが判った。
温度測定を坩堝底部のみで行ったこと以外は、実施例1と同様にして、サファイア結晶の育成を行った。このときのサファイア単結晶の成長は、シーディング直後から成長速度が速く、実施例1の育成と比較すると、約1/2の時間で肩部が形成された。その後、結晶育成を継続し、35kg(直径:200mm、長さ:280mm)のサファイア単結晶を得た。このサファイア単結晶を偏光観察すると、結晶肩部から直胴部にかけてボイドや粒界などの結晶欠陥が確認された。ボイドは、育成開始直後の種結晶直下から結晶肩部までの部分、および、結晶中心部において、特に高密度に分布していた。一方、粒界は、結晶肩部形成時の結晶中心部から発生していた。粒界発生部を含むようにして、育成方向と平行に切り出してX線トポグラフ観察用試料を作製して、X線トポグラフ観察を行ったところ、結晶肩部形成時の成長界面が凹であること、および、結晶肩部形成時に発生したリネージが結晶成長に伴って凹界面に垂直に伝搬し、集積した部分から粒界が発生していることが判った。
また、実施例1と同様にして、150枚のサファイア基板を得たが、結晶中心部から加工した基板は、ボイド、粒界等の結晶欠陥のために不良となり、良品は結晶外周部から加工した基板からしか得ることができなかった。このときの収率は40%であった。
(比較例2)
温度測定を坩堝底部と融液表面で行ったこと以外は、実施例1と同様にして、サファイア結晶の育成を行った。このときのサファイア単結晶の成長は、シーディング直後から成長速度が速く、実施例1の育成と比較すると、約1/2の時間で肩部が形成された。その後、結晶育成を継続し、35kg(直径:200mm、長さ:280mm)のサファイア単結晶を得た。このときの融液表面の温度は2040〜2060℃の範囲で変動したのに対し、坩堝底部では2100℃でほぼ一定であった。このため、特に、結晶育成開始から結晶肩部形成時までの温度勾配は1.3〜2℃/cmの範囲で変動し、所望の範囲内に制御することは困難であった。結果として、所望の温度勾配よりも低い温度勾配下での結晶育成となったため、サファイア単結晶の結晶成長速度の制御が困難であった。
温度測定を坩堝底部と融液表面で行ったこと以外は、実施例1と同様にして、サファイア結晶の育成を行った。このときのサファイア単結晶の成長は、シーディング直後から成長速度が速く、実施例1の育成と比較すると、約1/2の時間で肩部が形成された。その後、結晶育成を継続し、35kg(直径:200mm、長さ:280mm)のサファイア単結晶を得た。このときの融液表面の温度は2040〜2060℃の範囲で変動したのに対し、坩堝底部では2100℃でほぼ一定であった。このため、特に、結晶育成開始から結晶肩部形成時までの温度勾配は1.3〜2℃/cmの範囲で変動し、所望の範囲内に制御することは困難であった。結果として、所望の温度勾配よりも低い温度勾配下での結晶育成となったため、サファイア単結晶の結晶成長速度の制御が困難であった。
得られたサファイア単結晶を偏光観察すると、ボイドや粒界などの結晶欠陥が確認された。ボイドは、育成開始直後の種結晶直下から結晶肩部までの部分、および、結晶中心部において、特に高密度に分布していた。一方、粒界は、結晶肩部形成時の結晶中心部から発生していた。粒界発生部を含むようにして、育成方向と平行に切り出してX線トポグラフ観察用試料を作製して、X線トポグラフ観察を行ったところ、結晶肩部形成時の成長界面が凹であること、および、結晶肩部形成時に発生したリネージが結晶成長に伴って凹界面に垂直に伝搬し、集積した部分から粒界が発生していることが判った。
また、実施例1と同様にして、150枚のサファイア基板を得たが、結晶中心部から加工した基板は、ボイド、粒界等の結晶欠陥のために不良となり、良品は、結晶外周部から加工した基板飲みから得られ、それ以外の部分からは得ることができなった。このときの収率は50%であった。
1 坩堝
2 支持軸
3 円筒状ヒータ
4 円盤状ヒータ
5 ヒータ電極
6 断熱空間
7 炉体
8 絶縁筒
9 引き上げ軸
10 原料融液
11 種結晶
12 サファイア単結晶
13 温度計(熱電対)
14 放射温度計
21 熱反射板
22 多層型熱反射板
23 リッド
24 貫通孔
60 底面部
61 上面部
2 支持軸
3 円筒状ヒータ
4 円盤状ヒータ
5 ヒータ電極
6 断熱空間
7 炉体
8 絶縁筒
9 引き上げ軸
10 原料融液
11 種結晶
12 サファイア単結晶
13 温度計(熱電対)
14 放射温度計
21 熱反射板
22 多層型熱反射板
23 リッド
24 貫通孔
60 底面部
61 上面部
Claims (5)
- チョクラルスキー法によるサファイア単結晶を育成する単結晶育成装置であって、
断熱空間内で、かつ、坩堝の上方に配置された熱反射板、および/または、坩堝の開口端縁部に取り付けられたリッドと、
断熱空間内で、かつ、前記坩堝および前記熱反射板および/またはリッドの上方に、該熱反射板または該リッドを向くように取り付けられ、該熱反射板または該リッドの温度を測定する温度測定手段と、
を備える、サファイア単結晶育成装置。 - 前記温度測定手段が、非接触式温度測定手段である、請求項1に記載のサファイア単結晶育成装置。
- 前記断熱空間内で、かつ、前記坩堝の底面に接触するように配置され、坩堝底部の温度を測定する熱電対をさらに備える、請求項1または2に記載のサファイア単結晶育成装置。
- 前記熱反射板が多層型熱反射板であり、この多層型熱反射板のうち、最上部に位置する熱反射板から最下部に位置する熱反射板の上方に隣接する熱反射板もしくは最下部に位置する熱反射板までに貫通孔が設けられ、この貫通孔を介して、前記最上部に位置する熱反射板の上方から、前記最下部の熱反射板または前記リッドの表面温度を測定するように、前記温度測定手段が配置される、請求項2または3に記載のサファイア単結晶育成装置。
- チョクラルスキー法によるサファイア単結晶の育成において、
断熱空間内で、かつ、坩堝の上方に配置された熱反射板、および/または、坩堝の開口端縁部に取り付けられたリッドの上方に、該熱反射板または該リッドを向くように取り付けられた温度測定手段を用いて、融液上部の温度として、熱反射板または該リッドの温度を測定し、前記断熱空間内で、かつ、前記坩堝の底面に接触するように配置された熱電対を用いて、融液下部の温度として、坩堝底部の温度を測定し、得られた前記融液上部の温度と前記融液下部の温度に基づいて算出した融液上下方向の温度勾配が所定の範囲を維持するように、前記単結晶の育成条件を制御する、サファイア単結晶の製造方法。
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