JP2016147767A - 単結晶育成用坩堝、単結晶製造装置、単結晶の製造方法 - Google Patents

単結晶育成用坩堝、単結晶製造装置、単結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】単結晶製造時に種結晶と坩堝との固着が発生することを抑制できる単結晶育成用坩堝を提供することを目的とする。
【解決手段】坩堝内の底部に種結晶を設置し、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、前記種結晶側から原料融液を固化させることで単結晶育成を行う際に用いる単結晶育成用坩堝であって、
前記坩堝の内部底面は、
前記坩堝の内部底面の中心を含む中心領域と、
前記坩堝の内周に沿って形成された溝からなる凹部領域と、を有する単結晶育成用坩堝を提供する。
【選択図】図5

Description

本発明は、単結晶育成用坩堝、単結晶製造装置、単結晶の製造方法に関する。
サファイア単結晶は、酸化アルミニウムのコランダム構造を有する結晶体であり、優れた機械的および熱的特性、化学的安定性、光透過性を有することから、多くの分野で利用されている。サファイア単結晶は、特に、半導体分野において、窒化ガリウム(GaN)系発光ダイオードの発光層を成長させるための基板として、あるいは、シリコン・オン・サファイア(SOS)デバイス用の基板などに用いられており、これらの用途の重要性が高まるに応じて、その需要が飛躍的に伸びてきている。
サファイア単結晶の製造方法として、チョクラルスキー法(Cz法)やカイロポーラス法(KY法)、EFG法(edge−defined film−fed growth 法)などが知られている。これらの方法は、サファイア原料を坩堝内で融解し、その原料融液表面に種結晶を接触させて徐々に引き上げることにより単結晶を育成する方法である。
また、その他のサファイア単結晶の製造方法として、ブリッジマン法やグラディエントフリーズ法(GF法)が知られている。これらの方法は、予め坩堝内に原料とともに種結晶を設置し、種結晶部が最も温度が低くなるように形成した温度勾配下で、種結晶を起点として原料融液を一方向凝固させることで単結晶を得る方法である。ブリッジマン法やGF法の中で、種結晶を坩堝底部に設置し、坩堝底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配下で、坩堝底部の種結晶から上方に向かって結晶育成を行う場合は、特に、垂直ブリッジマン法(VB法)、垂直GF法(VGF法)と呼ばれている。
なお、これらの方法で育成されたサファイア単結晶は、所定の結晶方位で基板状に加工され、表面を鏡面研磨することによりサファイア単結晶基板として出荷されている。
近年、需要が伸びている発光ダイオード作製用途のサファイア基板は、Cz法、KY法、EFG法で育成されることが一般的である。これらの方法では、種結晶を原料融液に浸す温度(シーディング温度)の制御と育成中及び冷却中の温度勾配の適正化が、結晶育成の収率、再現性を決定する要因である。
しかし、サファイア単結晶の原料となる酸化アルミニウムの融点が2000℃を越えるので、Cz法等によりサファイア単結晶を育成する際、坩堝を設置した炉内の熱の伝達は輻射が主体となっている。従って、低コスト化のために育成結晶を大型化するのに伴って、所望の形状の結晶を得るためのシーディング温度の制御や温度勾配の適正化の難易度が高くなる。結晶育成の制御性、再現性を高めるためには、温度勾配を大きくすることが有利であるが、高温度勾配下で育成された結晶は、結晶内の温度差に起因する熱応力で歪を生じ、結晶性が悪化したり、クラックが発生するという欠点がある。
それに対して、VGF法やVB法のような容器内(坩堝内)の一部に種結晶を設置し、その種結晶から容器の形状に従って原料融液を固化させることで単結晶育成を行う方法は、結晶形状が容器形状で規定され、結晶形状の制御が不要となる。このため、低温度勾配下での育成が可能で、高品質結晶を得ることが可能である。
例えば特許文献1には、融点1700℃以上の金属又は金属化合物からなる高融点単結晶材料の製造方法において、溶融原料が封入された坩堝を温度勾配を有する炉内を移動させて単結晶を育成するブリッジマン法を用いて単結晶を製造する方法が開示されている。
特開2007−119297号公報
ところで、VGF法や、VB法により坩堝内で結晶育成を行う場合、種結晶外周部と坩堝内壁との間には、育成後の結晶の取り出しを容易にするために、また加工精度を考慮してクリアランスが設けられている。クリアランスの幅は、種結晶、および坩堝の熱膨張係数を考慮して設定されている。
単結晶を育成する際に種結晶表面の加工歪層を取り除くために種結晶の上端部を融解させるが、種結晶の融解量はCz法やKY法のように直接的に観察することはできず、坩堝底部近傍の温度により判断される。このため例えば、種結晶の加工を行う際に種結晶外周部と坩堝内壁との間隔が大きくなってしまった場合や、種結晶が過融解した場合には、種結晶外周部と坩堝内壁との隙間を通って原料融液が種結晶底面へ回り込むことがしばしば発生していた。
種結晶上に育成したサファイア単結晶の熱膨張係数は、坩堝に用いられるWやW−Mo合金等よりも大きいので、育成した単結晶を室温まで冷却した場合、サファイア単結晶の外周部と、坩堝内壁との間には隙間が形成される。
それに対して、種結晶底面は昇温開始から冷却終了まで坩堝底面と接触している。従って、上述のように種結晶底面に原料融液が回り込んだ場合、育成したサファイア単結晶を取出すため冷却すると、坩堝底面と種結晶との固着が発生し、育成後のサファイア単結晶を取り出すことが困難となるという問題があった。
そこで、本発明の一側面では、上記従来技術が有する問題に鑑み、単結晶製造時に種結晶と坩堝との固着が発生することを抑制できる単結晶育成用坩堝を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、坩堝内の底部に種結晶を設置し、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、前記種結晶側から原料融液を固化させることで単結晶育成を行う際に用いる単結晶育成用坩堝であって、
前記坩堝の内部底面は、
前記坩堝の内部底面の中心を含む中心領域と、
前記坩堝の内周に沿って形成された溝からなる凹部領域と、から構成される単結晶育成用坩堝を提供することができる。
本発明の一態様によれば、単結晶製造時に種結晶と坩堝との固着が発生することを抑制できる単結晶育成用坩堝を提供することができる。
VGF法により単結晶を製造する場合の手順、及び温度分布変化の説明図。 従来のVGF法により単結晶を育成する場合の坩堝内の状態の説明図。 本発明の実施形態に係る単結晶育成用坩堝の説明図。 本発明の実施形態に係る単結晶育成用坩堝の他の構成例の説明図。 本発明の実施形態に係る単結晶育成用坩堝を用いて単結晶を育成した場合の坩堝内の状態の説明図。 本発明の実施形態に係る単結晶製造装置の構成例の説明図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
(単結晶育成用坩堝)
本実施形態の単結晶育成用坩堝の一構成例について説明する。
本実施形態の単結晶育成用坩堝は坩堝内の底部に種結晶を設置し、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、前記種結晶側から原料融液を固化させることで単結晶育成を行う際に用いることができる。
そして、坩堝の内部底面は、坩堝の内部底面の中心を含む中心領域と、坩堝の内周に沿って形成された溝からなる凹部領域と、を有することができる。
上述のように本実施形態の単結晶育成用坩堝は、坩堝内の底部側に種結晶を設置し、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、種結晶側から原料融液を固化させることで単結晶育成を行う際に用いることができる。具体的には例えばVGF法(Vertical Gradient Freeze法)やVB法(Vertical Bridgeman法)により単結晶を製造する際に好適に用いることができる単結晶育成用坩堝に関する。
ここでまず、VGF法により単結晶を製造する際に、種結晶上に配置した原料を融解して原料融液を形成した後、単結晶を育成する単結晶育成工程、及び育成した単結晶を冷却する冷却工程の手順、温度分布変化について図1(a)〜図1(d)を用いて説明する。なお、図1(a)〜(c)が単結晶育成工程を、図1(d)が冷却工程をそれぞれ実施している状態をそれぞれ示している。
図1(a)〜図1(d)の各図では右側に坩堝11内の種結晶111、原料融液112、育成した単結晶である育成結晶113の分布を模式的に示しており、左側に高さ方向の温度分布を示している。図1(a)〜図1(d)の左側に示した温度分布のグラフは縦軸が高さ方向の位置を、横軸が温度を示している。横軸におけるTmは育成する単結晶材料の融点を示している。
図1(a)は右側の図に示すように坩堝11に充填した原料を融解させて原料融液112を形成し、単結晶の育成を開始した原料融解ステップを実施している状態を示している。
単結晶育成工程を開始する前に予め、坩堝11の底部に種結晶111を設置し、その上部に単結晶の原料を配置しておくことができる。そして、図1(a)に示した原料融解ステップにおいてはヒーター12により、坩堝11の底部が坩堝11の上部よりも低温となる温度勾配下で昇温し、原料を全量融解して原料融液112とすることができる。特に左側の図に示すように、種結晶111の部分については育成結晶の融点以下、原料融液112の部分については育成する単結晶の融点以上となるように温度分布を制御することができる。
図1(a)の原料融解ステップでは、種結晶111の形状加工時に発生し表面に残った加工歪層を取り除くために、種結晶111の上端部を数mmから1cm程度の範囲で融解させることができる。種結晶の上端部を融解させることにより、歪が取り除かれた種結晶111表面が原料融液112と良く馴染むようにすることができる。
そして、図1(a)に示した温度分布の状態まで昇温した後、十分な時間を置き、温度を安定させることが好ましい。この時、種結晶111の融解表面と原料融液112との境界(固液界面)を育成する単結晶の融点とすることができ、例えばサファイア単結晶を育成する場合、サファイアの融点である2050℃とすることができる。
なお、図1(a)に示した原料融解ステップにおいて、原料、及び種結晶111の融解不足、あるいは、種結晶111の過融解が起こらないように温度を制御することが好ましい。制御は例えば、坩堝11の底部と上部から放射温度計もしくは熱電対を用いて、坩堝11の底部側の温度、及び原料融液112表面の温度をモニターし、モニターした温度に基づいて実施できる。特に、予め予備試験を実施しておき、モニターした温度から坩堝内温度分布が、予備試験で求めた適切な温度プロファイルと一致していることを確認しながら制御を実施することが好ましい。
なお、坩堝周辺の雰囲気は、坩堝やその周囲に配置した部材の材質等に応じて任意に選定することができ、特に限定されるものではない。例えば、不活性ガス雰囲気、もしくは真空雰囲気とすることが好ましい。
図1(a)を用いて説明したように原料が完全に融解し、且つ、種結晶111の上端部が融解し原料融液112と馴染んだと判断した後、降温ステップを実施することができる。
図1(b)に示すように降温ステップでは、高さ方向の温度勾配を保持したまま、所定の速度で全体の温度を降下させることができる。
具体的には、図1(b)の左側のグラフに示したように、原料融解ステップでは温度分布が点線Aで示されていたところ、実線Bの温度分布となるように温度勾配を保持したまま、全体の温度を降下させることができる。図1(b)の左側のグラフから明らかなように、温度勾配を保持したまま全体の温度を降下させることによって、温度勾配に従って、坩堝内における育成する単結晶の融点Tmと同じ温度になっている位置が底部から上部へ移動する。坩堝内における育成する単結晶の融点Tmと同じ温度になっている位置の移動に伴って、固液界面も上部へ移動して行く。つまり、種結晶を元に、種結晶と同じ結晶方位を持つ単結晶が坩堝底部から上部に向かって育成され、図1(b)の右側の図に示したように、坩堝11内には底部側から種結晶111、育成結晶113、原料融液112が配置された状態となる。
降温ステップでは、原料融解ステップにおける温度分布を示す点線Aから上述のように実線Bの温度分布となるように全体の温度を降下させた後、さらに、図1(c)の左側のグラフに示すように、実線Cで示した温度分布まで全体の温度を降下させることができる。実線Cで示した温度分布では、坩堝11内の原料融液112全体が育成する単結晶の融点未満となっており、図1(a)において原料融液112であった部分全体が育成結晶113となり結晶化したところで単結晶を育成する単結晶育成工程は終了となる。
その後、図1(d)に示すように例えばヒーター12の出力と、ヒーター12と坩堝11との相対位置調整を行うことで、坩堝11内の温度を均一化した後に、所定の冷却速度で実線Dで示した室温まで温度を降下させる冷却工程を実施することができる。
そして、冷却工程終了後、坩堝11から育成結晶113を取出すことができる。得られた単結晶は例えば製品基板とするため各種加工をすることができる。
VGF法等により単結晶を育成した場合、図1(a)を用いて説明したように、坩堝11外周部に設置したヒーター12によって坩堝11内の原料等を加熱して、原料及び種結晶の上端部を融解した後に育成を開始する。種結晶の上端部等を融解する際の原料融液や、坩堝底部の温度は坩堝11の上部や下部から、放射温度計、もしくは熱電対を用いてモニターすることができるが、種結晶の融解量を直接的に観察することはできない。このため、しばしば種結晶が過融解となり、種結晶の外周部と坩堝内壁との隙間を通して原料融液が、種結晶底面へ流れ込んでしまうことが起こっていた。
ここで、従来の単結晶育成用坩堝を用いて単結晶を育成する際に種結晶の過融解等が生じた場合の問題点について図2を用いて説明する。図2は従来の単結晶育成用坩堝により単結晶を育成した際の、該坩堝の中心軸を通る面での断面図を示しており、図2(a)は単結晶育成工程終了直後の様子を、図2(b)は冷却工程終了後の様子を模式的に示している。
VGF法等により単結晶を育成した場合、育成結晶のサイズは坩堝のサイズにより規定される。このため、図2(a)に示すように単結晶育成終了後、冷却工程を開始する前は、坩堝11と、育成結晶113との間にはほぼ隙間がない状態である。ところが、冷却工程を実施し、育成結晶113等を室温またはその近傍まで冷却すると、図2(b)に示すように坩堝11と、育成結晶113との熱膨張率の違いから、坩堝11の内壁と、育成結晶113の外周部との間に隙間21が形成される。また、坩堝11と、種結晶111との間にも同様に隙間21が形成される。
しかしながら、原料融解時に種結晶側面と坩堝内壁との間に空間が有る場合、あるいは種結晶が過融解した場合、種結晶111の底面と坩堝11の底面との間に原料融液が回り込む場合がある。そして、種結晶111の底面へ原料融液が流れ込んだ後、原料融液が冷却され固化すると種結晶111の底面は昇温開始から冷却終了まで坩堝11の底面と接触しているため、冷却されても種結晶111の底面と、坩堝11の底面との間には隙間が形成されない。
従って、種結晶の過融解等により上述のように種結晶111の底面と、坩堝11の底面との間に原料融液が回り込むと、冷却後には種結晶111と坩堝11との固着が発生し、育成した単結晶を取り出すことが困難となるという問題があった。
坩堝に固着した結晶を取り出すためには、坩堝を破壊するか、坩堝の開口部を下にして、坩堝底面や側面をハンマー等で叩き機械的ショックを与えて結晶を落下させるしかなかった。しかし、坩堝は通常高価な金属製であるために、坩堝破壊は、それに要する時間に加えて製造コストを大幅に悪化させる。機械的ショックを与えて結晶を落下させる方法は、必ずしも成功するとは限らない上に、育成結晶にクラックを生じさせてしまうこともあった。
そこで、本発明の発明者らは、種結晶の過融解等を生じた場合でも、種結晶と坩堝との固着が発生することを抑制できる単結晶育成用坩堝について検討を行い、本発明を完成させた。
次に、図3、図4を用いて本実施形態の単結晶育成用坩堝について以下に説明する。
図3(a)は、本実施形態の単結晶育成用坩堝の中心軸を通る面での断面図を模式的に示した図であり、図3(b)は図3(a)のA−A´線での断面図を示している。なお、図3(a)においては、坩堝30を下面側から支持する坩堝軸34もあわせて示している。また、図4に凹部領域の断面形状の異なる本実施形態の単結晶育成用坩堝の中心軸を通る面での断面図を模式的に示す。
図3(a)、(b)に示したように、本実施形態の単結晶育成用坩堝30(以下、単に「坩堝」とも記載する)は上部に開口部31を有した円筒形状を有することができる。
そして、図3(b)に示したように、坩堝30の内部底面32は円形形状とすることができ、坩堝の内部底面の中心Oを含む中心領域321と、坩堝30の内周に沿って形成された溝からなる凹部領域322と、を有することができる。
中心領域321の表面形状は特に限定されるものではないが、単結晶を育成する際に中心領域321は単結晶育成時に種結晶を支持することから、種結晶の底面側の形状に対応した形状であることが好ましい。具体的には例えば平坦な形状とすることができる。また、坩堝30の底面と種結晶とが固着することを特に抑制するために、種結晶と中心領域321の表面との接触面積を低減するために、中心領域321の表面に微細な凹凸を形成しておくこともできる。
凹部領域322は中心領域321よりも高さが低くなるように溝が形成された領域とすることができる。凹部領域322は坩堝30の内周、すなわち坩堝30の側壁33の内周面33Aに沿って形成することができ、図3(b)に示すように坩堝30の内周全体に渡って環状に形成することができる。
凹部領域322は上述のように溝が形成された領域とすることができるが、凹部領域322に形成される溝の断面形状は特に限定されず、任意の形状とすることができる。具体的には例えば図3(a)に記載したように断面形状について矩形とし、底面を平坦な形状とすることができる。
なお、後述のように凹部領域322の溝に流入した原料融液は固化して育成結晶となり、冷却することで種結晶と共に収縮し、溝の底面と隙間が形成されることになる。このため、冷却した際に、溝内の育成結晶と、溝の底面との間に十分な隙間が形成できるように溝の底面形状を選択することが好ましい。例えば、より大きな隙間を形成できるように図4に示すように凹部領域322´の底面を曲面とすることもできる。なお、図4に示した単結晶育成用坩堝40については凹部領域322´の底面形状以外については、図3に示した単結晶育成用坩堝と同様に構成することができる。
本実施形態の単結晶育成用坩堝の内部底面32は上述のように、中心領域321と、凹部領域322とを有することができる。内部底面32に占める中心領域321と、凹部領域322との比率は特に限定されるものではなく任意に選択することができる。
ただし、単結晶育成時に発生する潜熱は、種結晶、および坩堝30を下面側から支持する坩堝軸34を通して下部へ流れるところ、本実施形態の単結晶育成用坩堝30においては図3(a)に示すように例えば中心領域321下部に坩堝軸34を配置できる。そして、坩堝30はヒーターにより側面から加熱されている。このため、坩堝30内の水平方向で見た場合、坩堝30の側面側の温度が高くなり、中心領域321上部の温度が低くなり易い。なお、坩堝30内の水平方向とは、図3(a)中のX軸と平行な方向、すなわち坩堝30の側壁33と垂直な方向を指す。
そして、坩堝底面に設ける溝の幅が広いと、すなわち凹部領域322の占める割合が高くなると、中心領域321の幅が狭くなるため、坩堝30内の水平方向での温度勾配が大きくなる。このため、成長界面形状の凸度が大きくなり育成結晶の結晶性が低下する場合がある。
このような育成結晶の結晶性の低下を避けるため、坩堝内の水平方向において温度勾配を抑制できるように中心領域のサイズを選択することが好ましい。具体的には例えば、図3(b)に示したように坩堝30の内部底面32、および中心領域321が円形形状を有している場合、中心領域321の半径r1は、坩堝30の内部底面32の半径r2の60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
ただし、中心領域321の半径r1が大きすぎると、凹部領域322の幅、すなわち溝の幅が狭くなり原料融液を十分に収容できなくなる恐れがあるため、中心領域321の半径r1は坩堝30の内部底面32の半径r2の90%未満であることが好ましい。特に、80%未満であることがより好ましい。
なお、凹部領域322の溝の深さは特に限定されるものではなく、坩堝のサイズや、温度制御の精度等に応じて任意に選択することができ、特に限定されるものではない。
単結晶育成用坩堝の材質は特に限定されるものではなく、育成する単結晶に応じて任意に選択することができる。坩堝の材質は、例えば育成する単結晶の融点を越える温度でも安定で、且つ、原料融液と反応しない材料であることが好ましい。特に、線膨張係数が育成する単結晶と近いか、もしくは育成する単結晶よりも小さな材料を好ましく用いることができる。
例えばサファイアの単結晶を育成する場合、坩堝の材質として例えばイリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデンータングステン合金(Mo−W合金)等を用いることができる。特に、線膨張係数がサファイア単結晶と近いか、もしくはサファイア単結晶よりも小さいMo、W、Mo−W合金をより好ましく用いることができる。
次に、図3に示した単結晶育成用坩堝を用いて単結晶を育成した場合の坩堝内の単結晶の状態について図5を用いて説明する。
ここで、図5(a)に図3に示した本実施形態の単結晶育成用坩堝を用いてVGF法、VB法等により単結晶を育成した直後の該単結晶育成用坩堝の中心軸を通る面での断面図を模式的に示す。また、図5(b)に図5(a)に示した単結晶育成用坩堝内で育成した単結晶を室温まで冷却した後の該単結晶育成用坩堝の中心軸を通る面での断面図を模式的に示す。なお、通常、種結晶の直径は坩堝の内径とほぼ同一であるが、図5(a)、(b)においては、種結晶511と坩堝30の側壁との間に隙間があることが分かり易いように種結晶511の直径(幅)を坩堝30の内径と比して小さく記載している。
VGF法やVB法では、図5(a)、(b)に示すように、種結晶511を坩堝30の底部(最下部)に設置し、種結晶511上に単結晶原料を配置することができる。本実施形態の単結晶育成用坩堝30の場合、坩堝30の内部底面32のうち中心領域321上に種結晶511を配置できる。
そして、単結晶原料を融解して原料融液を形成した際に種結晶511側面と坩堝30の側壁33との間に空間が有る場合や、種結晶511が過融解した場合は、原料融液は種結晶511側面と坩堝の側壁33との隙間を通って底面側に移動する。しかし、本実施形態の単結晶育成用坩堝を用いた場合、種結晶511側面と坩堝の側壁33との間の空間を通って底面側に移動した原料融液は、種結晶511底面と中心領域321との間へ向かわずに凹部領域322の溝に流れ込むことができる。このため、種結晶511と、中心領域321との間に原料融液が流れ込むことを防ぐことができる。
そして、単結晶を育成する単結晶育成工程直後は、凹部領域322の溝に流れ込んだ原料融液も固化することとなる。例えば図5(a)のように凹部領域322の溝への原料融液の流れ込み量が多い場合、単結晶育成工程終了時に、凹部領域322の溝の壁面の一部または全部と育成結晶512とが接触した状態となる。
しかし、図5(a)のように凹部領域322の溝の壁面の一部または全部と育成結晶512とが接触した場合でも、冷却工程を実施して坩堝30、および育成結晶512を冷却すると、図5(b)に示すように育成結晶512は種結晶511等と共に収縮する。そして、育成結晶512の収縮に伴い、凹部領域322の溝の壁面と、育成結晶512との間に隙間52が形成される。また、上述のように種結晶511と、中心領域321との間に原料融液が流れ込むことは抑制されているため、種結晶511と直接接触している中心領域321表面と、種結晶511とが固着することを防ぐことができる。このため、坩堝30から容易に育成結晶512を取出すことが可能となる。
本実施形態の単結晶育成用坩堝は、坩堝内の底部側に種結晶を設置し、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、種結晶側から原料融液を固化させる、VGF法やVB法等により単結晶を製造する際に好適に使用できる。このため、育成する単結晶の種類は限定されるものではなく、各種単結晶を育成する際に用いることができる。ただし、近年は特により高品質なサファイア単結晶のニーズが高まっており、サファイア単結晶の育成の際に好適に用いることができる。
以上に説明した本実施形態の単結晶育成用坩堝によれば、種結晶側面と坩堝内壁との間に空間が有る場合、あるいは種結晶が過融解した場合であっても、単結晶製造時に種結晶と坩堝との固着が発生することを抑制できる。このため、結晶性に優れた高品質な単結晶を効率的に収率よく製造することが可能になる。
(単結晶製造装置)
次に、本実施形態の単結晶育成用坩堝を含む単結晶製造装置について説明する。
本実施形態の単結晶製造装置の構成例について図6を用いて説明する。
図6は本実施形態の単結晶製造装置の一構成例について、坩堝の中心軸を含む面での断面図を模式的に示したものである。
図6に示したように本実施形態の単結晶製造装置60は、チャンバー61の内壁に沿って断熱材62が配置され、断熱材62で囲まれた内部空間にはヒーター63、および該ヒーター63に囲まれるように既述の単結晶育成用坩堝30を配置できる。
なお、単結晶育成用坩堝30として、図3に示した単結晶育成用坩堝30と同じ断面形状の坩堝を配置した例を示しているが、係る形態に限定されるものではない。例えば図4に示した断面形状の坩堝等を用いることもできる。単結晶育成用坩堝の構成については既述のため、ここでは詳細な説明を省略する。
坩堝30は坩堝軸65により底部側から支持することができる。坩堝30内には単結晶の製造開始時、坩堝30の底部側に種結晶641を配置し、種結晶641の上部に原料を充填しておくことができる。
ヒーター63と断熱材62の材質については特に限定されなく、育成する単結晶の種類や、加熱する温度等に応じて任意に選択することができる。例えばサファイア単結晶を育成する場合には、タングステン製ヒーターと、タングステン製及びモリブデン製のリフレクタとの構成とすることができる。また、カーボン製ヒーターと、カーボン製積層断熱材との構成とすることもできる。
ヒーター63は、坩堝30を配置した該ヒーター63で囲まれた領域内に所望の温度勾配を形成することができるように、例えば高さ方向に複数のヒーターを組み合わせた構成とし、各ヒータ―毎に温度制御できるように構成することもできる。
そして、サファイア単結晶を育成する際に種結晶641の温度を測定するため、底部側温度測定手段66を設けることができる。底部側温度測定手段66としては例えば放射温度計や熱電対を用いることができ、坩堝軸65を貫通するように形成した貫通孔651や、観察窓652を介して温度を測定することができる。また、坩堝30内に充填した原料、または原料が融解した原料融液642の温度を測定するため、上部側温度測定手段67を設けることができる。上部側温度測定手段67についても例えば放射温度計や熱電対を用いることができ、チャンバー61や断熱材62を貫通する貫通孔や、観察窓68を介して温度を測定することができる。
なお、チャンバー61内を所定の雰囲気とするために図示しないガス供給手段や、ガス排気手段等を設けることができる。また、必要に応じて任意にさらに各種手段を設けることもできる。
本実施形態の単結晶製造装置において製造する単結晶の種類は限定されるものではなく、各種単結晶を育成する際に用いることができる。ただし、近年は特により高品質なサファイア単結晶のニーズが高まっており、サファイア単結晶の育成の際に好適に用いることができる。
以上に説明した本実施形態の単結晶製造装置によれば、既述の単結晶育成用坩堝を用いているため、種結晶側面と坩堝内壁との間に空間が有る場合、あるいは種結晶が過融解した場合であっても、単結晶製造時に種結晶と坩堝との固着が発生することを抑制できる。このため、結晶性に優れた高品質な単結晶を効率的に収率よく製造することが可能になる。
(単結晶の製造方法)
次に、本実施形態の単結晶育成用坩堝を用いて単結晶を育成する単結晶の製造方法について説明する。
本実施形態の単結晶の製造方法について以下に具体的に説明する。なお、本実施形態の単結晶の製造方法においては既述の単結晶育成用坩堝、および単結晶製造装置を好適に用いることができる。このため、単結晶育成用坩堝、または単結晶製造装置と説明が重複する部分については一部説明を省略する。
本実施形態の単結晶の製造方法は、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、種結晶から原料融液を固化させることで単結晶育成を行うことができる。特に、VGF法やVB法により単結晶を育成することができる。
本実施形態の単結晶の製造方法は、予め単結晶育成用坩堝内に底部側から種結晶と、単結晶原料とを配置しておき、該単結晶原料を融解して原料融液を形成した後、単結晶を育成する単結晶育成工程、及び育成した単結晶を冷却する冷却工程を有することができる。以下に各工程について説明する。
単結晶育成工程は例えば以下の原料融解ステップと、降温ステップとを有することができる。なお、原料融解ステップにおける温度条件は図1(a)〜(c)を用いて説明した場合と同様に設定することができるため、詳細な説明は一部省略する。
まず、坩堝内の底部側に種結晶を、その上部に単結晶原料である多結晶粒子を配置した後、単結晶原料を融解させる原料融解ステップを実施することができる。この際、坩堝としては本実施形態の単結晶育成用坩堝を用いることができる。
原料融解ステップでは図1(a)を用いて説明したように、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配を形成することができ、例えば、種結晶と単結晶原料(原料融液)との境界を育成する単結晶の融点になるようにすることができる。なお、この際の温度勾配の大きさは特に限定されるものではなく、坩堝のサイズ等に応じて任意に選択することができ、例えば予備試験等を行いその結果から選択することもできる。
原料融解ステップにおいては既述のように原料を全量融解して原料融液とすることができる。また、種結晶の上端部、すなわち原料(原料融液)と接する部分についても数mmから1cm程度融解させ種結晶の形状加工時に発生し表面に残った加工歪層を取り除き、種結晶と原料融液とをなじませることが好ましい。
原料融解ステップにおいては、原料を融解し原料融液とした後、所定の温度勾配の状態で一定時間保持し、温度を安定させることが好ましい。なお、原料融解ステップにおいて種結晶の過融解や、原料、及び種結晶の融解不足が生じないように、原料融液や坩堝底面の温度に基づいて制御を行うことが好ましい。例えば図5に示した単結晶製造装置を用いた場合、上部側温度測定手段67や、底部側温度測定手段66により温度をモニターし、予備試験での温度プロファイルを基に制御することが好ましい。
次に図1(b)、(c)を用いて説明したように、原料融解ステップで形成した温度勾配を維持しつつ、全体の温度を降下させることで結晶の成長界面(固液界面)を坩堝の上部の方へ移動させ、単結晶を育成する降温ステップを実施することができる。なお、温度勾配を維持しつつ全体の温度を下げることで結晶の成長界面を移動させることを目的としていることから、温度勾配は原料融解ステップで形成した温度勾配と完全に一致している必要はなく、底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配であればよい。ただし、成長界面を一定速度で移動させた方がより均一な単結晶を得ることができるため、原料融解ステップで形成した温度勾配と同一、またはほぼ一致した温度勾配を維持していることが好ましい。また、降温速度についても特に限定されるものではなく、例えば坩堝のサイズ等に応じて任意に選択することができる。
単結晶育成工程終了後は冷却工程を実施することができる。冷却工程においては、単結晶育成工程終了後、育成した単結晶を室温まで冷却することができる。
なお、単結晶育成工程においては既述のように坩堝の底部側から上部側に向かって温度が高くなる温度勾配を形成し、該温度勾配を維持したまま、全体の温度を下げることにより単結晶を育成することができる。従って、坩堝の種結晶を配置した底部側から上部側に向かって単結晶が育成されることになる。このため、坩堝内に充填した単結晶原料(原料融液)の上端部の温度が育成した単結晶の融点未満になった時を、単結晶育成工程の終了時とすることができる。
冷却工程における条件は特に限定されるものではないが、急激に冷却すると育成した単結晶にクラック等を生じる恐れがあるため、予め実施した予備試験での条件に従い、ヒーターの出力を制御して冷却速度を調整することが好ましい。冷却工程においては例えば図1(d)を用いて説明したように、ヒーターの出力、及びヒーターと坩堝の相対位置を調整して坩堝の温度を均一化した後に所定の冷却速度で室温まで冷却することができる。
なお、上述の単結晶育成工程や、冷却工程においては坩堝周辺を育成する単結晶の材質や、使用する単結晶製造装置を構成する部材の材質に応じて任意の雰囲気とすることができる。
例えば単結晶としてサファイア単結晶を製造する場合には、単結晶育成工程において、坩堝周辺、より好ましくは坩堝が配置されたチャンバー内は不活性雰囲気、または真空雰囲気とすることが好ましい。例えばアルゴン雰囲気とすることができる。また、単結晶育成工程終了後、冷却工程の間もチャンバー内の温度が十分に下がるまでは単結晶育成工程と同じ雰囲気を維持していることが好ましい。
冷却工程終了後は坩堝から単結晶を取り出し、用途に応じて所望の形状に加工することができ、必要に応じて任意の工程を実施することができる。
例えば単結晶基板(ウエハー)とする場合には、単結晶を板状にスライスする切断工程や、単結晶基板の主平面や、端面を研磨する研磨工程等を実施することができる。
本実施形態の単結晶の製造方法において製造する単結晶の種類は限定されるものではなく、各種単結晶を育成する際に用いることができる。ただし、近年は特により高品質なサファイア単結晶のニーズが高まっており、サファイア単結晶を好適に製造することができる。
以上に説明した本実施形態の単結晶の製造方法によれば、既述の単結晶育成用坩堝を用いているため、種結晶側面と坩堝内壁との間に空間が有る場合、あるいは種結晶が過融解した場合であっても、単結晶製造時に種結晶と坩堝との固着が発生することを抑制できる。このため、結晶性に優れた高品質な単結晶を効率的に収率よく製造することが可能になる。
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下の手順に従い、サファイア単結晶を製造した。
まず、サファイア単結晶を製造する際に用いた坩堝について以下に説明する。
サファイア単結晶を製造する際、内径150mmφ、内高500mmmの円筒形状を有するタングステン製単結晶育成用坩堝を用いた。なお、後述のように、用いた単結晶育成用坩堝は、内部底面が中心領域、および凹部領域を有しており、上記内高は中心領域表面からの高さを意味している。
本実施例では坩堝の中心軸を通る面における断面図が図3(a)に示した構造を有し、内部底面が図3(b)に示したように内部底面の中心を含む中心領域321、及び坩堝の内周に沿って形成された溝からなる凹部領域322を有する単結晶育成用坩堝を用いた。
中心領域321の直径は130mm、凹部領域322を構成する溝の深さは15mmとした。また、凹部領域322を構成する溝の断面形状は図3(a)に示すように矩形形状とした。
そして、係る単結晶育成用坩堝30を備えた、図6に示す単結晶製造装置60を用いてサファイア単結晶の製造を実施した。
図6に示した単結晶製造装置60は、チャンバー61の内壁に沿って断熱材62が配置され、断熱材62で囲まれた内部空間にはヒーター63、および該ヒーター63に囲まれるように上述の単結晶育成用坩堝30を配置した。
ヒーター63は、高さ方向に分割された3つの領域ごとに温度勾配、及び温度を制御できるように構成された3ゾーン・ヒーターを用いた。ヒーター63及び断熱材62の材質はカーボンとした。
そして、坩堝30の下部には、坩堝30を支持する坩堝軸65が配置されている。
サファイア単結晶製造装置内の温度測定は、図6に示すように装置中心軸上の上下方向から上部側温度測定手段67、及び底部側温度測定手段66を用いて行った。各温度測定手段としては二色放射温度計を用いた。なお、上部側温度測定手段67は、チャンバー61等に形成された貫通孔、及び観察窓68を介して観察できるように構成した。また、底部側温度測定手段66は、坩堝軸65に形成された貫通孔651、及び観察窓652を介して観察するように構成した。
また、チャンバー61内を所定の雰囲気とするため、図示しないガス供給手段、及びガス排気手段を有している。
次に、本実施例におけるサファイア単結晶の製造方法について説明する。
まず、坩堝30の底部に種結晶641を配置した。この際、種結晶は坩堝30の底面のうち中心領域と直接接するように配置した。種結晶641としては、直径150mmφ、厚さ40mmのサファイア種結晶円板を用いた。サファイア種結晶円板の面方位(育成方位)はc面であった。
次いで、坩堝30内の種結晶641上にサファイア単結晶の原料として、酸化アルミニウム多結晶体粒子を25kgチャージした。
次に、単結晶育成工程を開始した。
具体的にはまず、サファイア単結晶製造装置のチャンバー61を密閉し、チャンバー61内をArガスで置換した後に昇温を開始して、原料融解ステップを開始した。
昇温時に、上部側温度測定手段67、及び底部側温度測定手段66による測定値を基に、3ゾーン・ヒーターの出力比を調節し、坩堝底部から上部に向かって、平均5℃/cmの勾配で温度が高くなる温度分布を形成した。
さらにその後、底部側温度測定手段66の測定値に基づいてヒーター63の出力合計値を調整し、種結晶641の上端部を5mm程融解させてシーディングを行った。なお、ここでの種結晶641の上端部の融解量は、予め融解試験を行い作成しておいた、温度勾配、及び底部側温度測定手段66の測定値と、種結晶の融解量との関係式を用いて算出した推定値である。
種結晶641の上端部を5mm程融解させたシーディング温度で30分間放置した後に、ヒーター出力を全体的に徐々に降下させる降温ステップを開始し、結晶育成を行った。
降温ステップにおいては、坩堝底部から上部に向かって形成した温度勾配を維持しつつ、炉内温度の降温速度が2.5℃/Hとなるように、ヒーター出力の降温速度を調整した。上記降温速度とした場合の成長界面の前進速度(成長速度)は5mm/Hとなっている。
そして、係る温度降下条件で原料全体が結晶化するまで温度降下を行った。そして、上部側温度測定手段67により測定された温度がサファイアの融点未満になった時点で単結晶育成工程が終了したと判断した。
単結晶育成工程が終了したと判断した直後から、冷却工程を開始した。
具体的には、上部側温度測定手段と、底部側温度測定手段の温度差が3℃以下となるようにヒーターの出力を調整した後に、炉内温度が約100℃/hの速度で降温するようにヒーターの出力を下げ、炉内を室温まで冷却した後、育成結晶を取出した。
育成結晶は、坩堝開口部を斜め下に向けることで容易に結晶が滑り出てきた。取出した結晶を確認したところ、種結晶底面の外周部には、幅約10mm、高さ約15mmの突起が見られた。該突起部分は、凹部領域322内に流れ込んだ原料融液が固まったものと考えられる。
得られた結晶は種結晶部を除いた育成部の長さが約310mmで、クラック・フリーである6インチφの単結晶であることが確認できた。
[比較例1]
坩堝の内部底面に凹部領域がなく、全面フラットな坩堝を用いた点以外は、実施例1と全く同様の条件で結晶成長を行った。育成、冷却終了後に、炉内から坩堝を取り出し、坩堝開口部を下に向けたが、結晶がすべり出てくることは無かった。
坩堝開口部を下にして、坩堝外周部の側面や底面をハンマーで叩いたが結晶を取り出すことはできなかった。結晶が入っている坩堝を、成長方向と平行に、ダイヤモンドソーを用いて切断し、坩堝内部の様子を観察したところ、結晶側面と坩堝内壁との間には空隙が見られたが結晶底部は坩堝の内部底面と固着していた。種結晶は、育成開始時に見込んだ融解量よりも多く融けており、種結晶底面と坩堝の内部底面の境界面には厚さ1mm以下ではあるが、急成長したと推定される多結晶層が見られた。
30、40 単結晶育成用坩堝
32 内部底面
321 中心領域
322、322´ 凹部領域
511、641 種結晶
60 単結晶製造装置
O 中心

Claims (4)

  1. 坩堝内の底部に種結晶を設置し、坩堝の底部から上部に向かって温度が高くなる温度勾配の下で、前記種結晶側から原料融液を固化させることで単結晶育成を行う際に用いる単結晶育成用坩堝であって、
    前記坩堝の内部底面は、
    前記坩堝の内部底面の中心を含む中心領域と、
    前記坩堝の内周に沿って形成された溝からなる凹部領域と、を有する単結晶育成用坩堝。
  2. 前記坩堝の内部底面、および前記中心領域は円形形状を有しており、
    前記中心領域の半径は、前記坩堝の内部底面の半径の60%以上90%未満である請求項1に記載の単結晶育成用坩堝。
  3. 請求項1または2に記載の単結晶育成用坩堝を含む単結晶製造装置。
  4. 請求項1または2に記載の単結晶育成用坩堝を用いて単結晶を育成する単結晶の製造方法。
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