JP2016150877A - サファイア単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】単結晶育成装置を構成する加熱炉内に配置された、金属製構造物の金属材料の酸化物に起因する不純物の混入を抑制したサファイア単結晶製造方法の提供。
【解決手段】炉内構成物として、坩堝11、側面ヒータ14、底面ヒータ15、断熱材17、筐体16の内面、さらに坩堝軸12、及び引き上げ軸18を有する加熱炉13において、前記炉内構成物の表面温度が100℃以上になるまで、加熱炉13内を0.1kPa以下の減圧雰囲気として、ヒータ14,15により坩堝11内の原料を加熱する昇温工程を有し、前記昇温工程の終了後、更に1時間以上、加熱炉13内を0.1kPa以下の減圧雰囲気として、坩堝11内の原料を加熱する減圧保持工程を有し、更に、少なくとも坩堝11内の原料の温度が1950℃よりも高温の間、加熱炉13内を80kPa以上の不活性ガス雰囲気に保持するサファイア単結晶の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、サファイア単結晶の製造方法に関する。
サファイア単結晶は、酸化アルミニウムのコランダム構造を有する結晶体であり、優れた機械的および熱的特性、化学的安定性、光透過性を有することから、多くの分野で利用されている。サファイア単結晶は、特に、半導体分野において、窒化ガリウム(GaN)系発光ダイオードの発光層を成長させるための基板、あるいは、シリコン・オン・サファイア(SOS)デバイス用の基板などに用いられており、これらの用途の重要性の高まりに応じて、その需要が飛躍的に伸びてきている。
サファイア単結晶を製造する主な方法として、サファイア原料を坩堝内で融解し、その原料融液表面に種結晶を接触させて徐々に引き上げることにより単結晶を育成するチョクラルスキー法(Cz法)やカイロポーラス法(KY法)、EFG法(edge−defined film−fed growth法)などが知られている。また、あらかじめ坩堝内に原料と伴に種結晶を設置し、種結晶部が最も温度が低くなるように形成した温度勾配下で、種結晶を起点として原料融液を一方向凝固させることで単結晶を得るブリッジマン法やグラディエントフリーズ法(GF法)が知られている。
これらの方法によりサファイア単結晶を育成する際、単結晶育成装置を構成する加熱炉に設置した坩堝内で原料を溶融して原料融液を生成する。このため坩堝の材料には、サファイア単結晶の原料の融点2050℃を超える温度でも安定で、且つ原料融液と反応しないことが求められる。坩堝の材料としてはイリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデン−タングステン合金(Mo−W合金)等が候補となる。
また、ヒータと断熱材として、W製ヒータと、W製および/またはMo製リフレクタとの構成や、カーボン(C)製ヒータとC製断熱材との構成が一般的に用いられている。断熱材の構成を工夫することにより、単結晶育成装置内の保温性を高め、所望の温度勾配を持つ環境を作っている。
ところで、単結晶育成装置を構成する加熱炉内に設置した部材のうち、坩堝等についてはMo、W等の金属材料により形成された金属製構造物となっている(以下、単結晶育成装置の加熱炉内に配置され、金属材料により形成された部材を「金属製構造物」とも記載する)。そして、係る金属製構造物を含む単結晶育成装置によりサファイア単結晶を育成すると、金属製構造物の金属材料の酸化物に起因する不純物が育成結晶に内包される場合があった。また、育成したサファイア単結晶に気泡が取り込まれる場合もあった。
サファイア単結晶においては、不純物や気泡の混入を抑制することが求められており、不純物の混入等を抑制できるサファイア単結晶の製造方法等について検討がなされてきた。
例えば特許文献1には、保温部材の下側開口から、坩堝と保温部材との間隙に向けて希ガスを流すことで、坩堝の側面を流れた後に保温部材の上側開口を通過して間隙から流出する希ガスの流れを形成することから、保温部材から放出されたアウトガスや保温部材から脱粒した微粒子を、坩堝と保温部材との間隙から坩堝の上方へと排出することができ、育成したサファイア単結晶への不純物の混入や、サファイア単結晶内の気泡等の発生を抑制することができるサファイア単結晶育成装置が開示されている。
特開2011−195423号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたサファイア単結晶育成装置では、ジルコニア等のセラミックスからなる保温部材を用いたサファイア単結晶育成装置における不純物の混入等を抑制するものである。従って、単結晶育成装置を構成する加熱炉内に配置された金属製構造物の金属材料の酸化物に起因する不純物の混入を抑制するものではなかった。
また、特許文献1に開示されたサファイア単結晶育成装置では、保温部材の下側開口から継続して希ガスを供給し、坩堝の側面を流れた後に保温部材の上側開口を通過して間隙から流出する希ガスの流れを形成する必要がある。このため、特許文献1に開示されたサファイア単結晶育成装置においては、坩堝周辺の温度が低下し易く、結晶育成に最適な温度勾配を形成、維持することが困難となる。温度勾配を形成、維持するためには、坩堝周辺の温度低下を抑制する必要があり、保温部材を坩堝に近接して配置したり、坩堝周囲の保温性を高めるために保温部材を大きくしたりする必要がある。さらに、サファイアのように透明度の高い結晶では、サファイア単結晶を伝わって坩堝内の原料融液から逃げる熱量が非常に大きいため、サファイア単結晶の育成開始後は坩堝周辺の温度勾配を維持することがさらに困難になるという問題があった。
そこで、本発明の一側面では上記従来技術が有する問題に鑑み、単結晶育成装置を構成する加熱炉内に配置された、金属製構造物の金属材料の酸化物に起因する不純物の混入を抑制したサファイア単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、坩堝と、前記坩堝の周囲に配置した断熱材及びヒータを備えた加熱炉と、を有する単結晶育成装置を用い、前記ヒータにより前記坩堝内に配置した原料を加熱して原料融液を生成し、単結晶を育成するサファイア単結晶の製造方法であって、
前記加熱炉の炉内構成物の表面温度が100℃以上になるまで、前記加熱炉内を前記加熱炉内の圧力が0.1kPa以下の減圧雰囲気として、前記ヒータにより前記坩堝内の原料を加熱する昇温工程を有するサファイア単結晶の製造方法を提供することができる。
本発明の一態様によれば、単結晶育成装置を構成する加熱炉内に配置された金属製構造物の金属材料の酸化物に起因する不純物の混入を抑制したサファイア単結晶の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態においてサファイア単結晶を製造する際に用いることができるサファイア単結晶育成装置の断面図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
本実施形態のサファイア単結晶の製造方法の一構成例について説明する。
本実施形態のサファイア単結晶の製造方法は、坩堝と、坩堝の周囲に配置した断熱材及びヒータを備えた加熱炉と、を有する単結晶育成装置を用い、ヒータにより坩堝内に配置した原料を加熱して原料融液を生成し、単結晶を育成するサファイア単結晶の製造方法に関する。そして、加熱炉の炉内構成物の表面温度が100℃以上になるまで、加熱炉内を加熱炉内の圧力が0.1kPa以下の減圧雰囲気として、ヒータにより坩堝内の原料を加熱する昇温工程を有することができる。
本発明の発明者らは、サファイア単結晶を製造する際に、単結晶育成装置の加熱炉内に配置した金属製構造物の金属材料の酸化物に起因する不純物等が、サファイア単結晶に混入する原因について鋭意検討を行った。
その結果によると、まず炉内に放出された水蒸気等の酸化性ガスにより加熱炉内の金属製構造物を構成する金属材料が酸化され、酸化物が生成される。高温環境下では金属製構造物を構成する金属材料の酸化物は蒸気圧が高いため該酸化物の一部が揮発する。そして、加熱炉内に揮発した金属製構造物を構成する金属材料の酸化物は、酸化物として、また炉内の構成物によっては高温中で不安定になり還元されて金属として、原料融液や、結晶に混入し、汚染していることを見出した。また、加熱炉内に放出された水蒸気やガス成分が、育成している結晶内に取り込まれることにより、育成結晶内に気泡が生じることを見出した。
そして、水蒸気やガス成分に関して、断熱材等の炉内構成物や原料に吸着した水分が原料の加熱時に水蒸気として炉内に放出されていることや、原料製造工程等で原料内に取り込まれたガス成分が温度上昇により炉内に放出されることも見出し、本発明を完成させた。
以下にチョクラルスキー法(Cz法)によりサファイア単結晶を製造する場合を例に本実施形態のサファイア単結晶の製造方法について説明するが、係る形態に限定されるものではない。例えばカイロポーラス法(KY法)、EFG法(edge−defined film−fed growth法)、ブリッジマン法、グラディエントフリーズ法(GF法)等にも本実施形態のサファイア単結晶の製造方法を適用できる。
図1は、チョクラルスキー法によりサファイア単結晶を製造する際に好適に用いることができる単結晶育成装置の坩堝の中心軸を通る面における断面図を模式的に示したものである。
図1に示した単結晶育成装置10は、原料を入れるための坩堝11が備えられている。坩堝11は坩堝軸12の上に配置されている。
また、単結晶育成装置10は坩堝11内に配置した原料を加熱するための加熱炉13を有することができる。
加熱炉13内にはヒータを配置することができる。ヒータとしては例えば図1に示したように坩堝11の側面に対向するように配置した側面ヒータ14や、坩堝11の下方に坩堝軸12が貫通する形で配置された、円盤状の底面ヒータ15を有することができる。
加熱炉13は上述したヒータ等の炉内構成物を収容する筐体16を有しており、加熱炉13の筐体16の内面に沿って断熱材17を配置できる。図1に示したように断熱材17は、側面ヒータ14の周囲、及び底面ヒータ15の下方に配置されることになり、坩堝11を囲むように配置できる。
加熱炉13には、上述した部材以外にも、リフレクタ(反射板)等の各種付帯設備をさらに設けることもできる。
なお、単結晶育成装置10には上記部材に限定されず、結晶の育成方法に応じて、結晶育成のための付帯設備を設けることができる。
例えばチョクラルスキー法により単結晶を育成する場合には、図1に示したように、坩堝11上部に上下動可能な引き上げ軸18を設置できる。図1で引き上げ軸18は、断熱材17を貫通するように設けている。
チョクラルスキー法においてはまず、坩堝11内に配置した原料は側面ヒータ14、及び底面ヒータ15により加熱して、原料融液19とすることができる。次いで、所定のタイミングで引き上げ軸18の先端に配置された種結晶20を原料融液19に接触させ、種結晶20を回転させながら徐々に引き上げることでサファイア単結晶21を育成できる。このため、チョクラルスキー法によりサファイア単結晶を育成する場合には、上述のように単結晶引き上げ軸18を設けることができる。
また、単結晶育成装置10には、加熱炉13内の雰囲気を制御するための各種手段を設けることができる。例えば、加熱炉13内の真空排気を行うための真空ポンプ22や、必要に応じて加熱炉13内にガスを供給するための図示しないガス供給手段を設けることもできる。単結晶育成装置10には必要に応じて測温手段等の各種付帯設備をさらに設けることもできる。
ここまで単結晶育成装置10の構成例について説明したが、単結晶育成装置10を構成する加熱炉13内に配置された金属製構造物とは、加熱炉13の筐体16内に配置され、金属材料により形成された構造物のことを指す。例えば図1に示した単結晶育成装置10の場合、金属製構造物としては坩堝11が挙げられる。さらに、金属製のリフレクタを配置した場合、該リフレクタは金属製構造物に含まれる。
また、加熱炉13の炉内構成物とは、加熱炉13の筐体16により囲まれた空間内に配置された部材を指す。図1に示した単結晶育成装置10の場合、坩堝11、側面ヒータ14、底面ヒータ15、断熱材17、筐体16の内面、さらに坩堝軸12、及び引き上げ軸18の加熱炉13内に位置する部分が加熱炉13の炉内構成物に当たる。
単結晶育成装置10を構成する各部材の材料は特に限定されるものではなく、サファイア単結晶を育成する際に形成する原料融液の温度と、部材の位置、機能等に応じて選択することができる。
具体的には例えば坩堝11は、サファイア単結晶の原料の融点2050℃を超える温度でも安定で、且つ原料融液と反応しないことが求められる。このため、坩堝11の材料として例えばイリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデン−タングステン合金(Mo−W合金)等の金属材料を好適に用いることができる。
また、側面ヒータ14、及び底面ヒータ15のヒータとして、タングステン(W)製ヒータやカーボン(C)製ヒータを用いることができる。断熱材17および/またはリフレクタとしては、C製断熱材や、Wおよび/またはMo製のリフレクタ等を用いることができる。
特に加熱炉13内に配置された金属製構造物がその金属材料としてMo、またはWを含有する場合に原料融液、さらには育成したサファイア単結晶中に、加熱炉13内に配置された金属製構造物の金属材料の酸化物起因の不純物が混入しやすい。そして、本実施形態のサファイア単結晶の製造方法によれば、係る不純物の混入を抑制することができ、特に効果を発揮できる。
そして、単結晶育成装置10を構成する断熱材やヒータは、一般的に断熱効果を高めるために多孔質又は繊維質構造となっている。そのため、原料等をセットする際に空気中の水分を吸着しやすい。また、使用する原料、特に粉末状や圧縮成型させた焼結原料は、原料保管中に空気中の水分が吸着しやすい。
これらの炉内構成物及び原料に吸着した水分は、常温において加熱炉13内を真空引きしても、系外に排出することが難しい。しかしながら、吸着水分は、そのままの状態で温度を上昇させると、炉内温度上昇に伴い水蒸気として炉内に放出される。また、原料製造工程で原料中に取り込まれたガス成分も炉内温度を上昇させると炉内に放出される。
そして、炉内に水蒸気等が放出されると既述のように金属製構造物の金属材料と水蒸気等とが反応して酸化物を生じ、原料融液中に不純物が混入する原因となる。すなわち炉内に残留した水分やガス成分は育成する結晶の結晶品質に悪影響を及ぼす恐れがある。従って、結晶品質に悪影響を及ぼす炉内残留水分やガス成分を炉外へ排出することが好ましい。
そこで、本実施形態のサファイア単結晶の製造方法は、加熱炉13の炉内構成物の表面温度が100℃以上になるまで、加熱炉13の炉内を加熱炉内の圧力が0.1kPa以下の減圧雰囲気として、ヒータにより坩堝内の原料を加熱する昇温工程を有することができる。
サファイア単結晶を育成する場合、坩堝11内に配置された原料を溶融し、原料融液を生成するため、ヒータを作動させて坩堝11内の原料、さらには炉内を加熱する。この際、上述のように加熱炉内を加熱炉内の圧力が0.1kPa以下の減圧雰囲気とすることにより、炉内構成物に吸着した水分や、原料中に取り込まれたガス成分を低減、除去できる。特に炉内構成物の表面温度を100℃以上となるまで0.1kPa以下の減圧雰囲気を継続することで、炉内構成物の表面に付着した水分を気化させ、より確実に除去することができる。このように昇温工程で炉内の水分やガス成分を除去することで金属製構造物と水蒸気等の反応を抑制し、原料融液や、育成結晶中への金属製構造物の金属材料の酸化物に起因する不純物等の混入を抑制することができる。
昇温工程において加熱炉の炉内の減圧を開始するタイミングは特に限定されるものではないが、室温から真空ポンプを作動させ、炉内の減圧を開始することが好ましい。具体的には例えば、ヒータを作動させる前から加熱炉内を予め加熱炉内の圧力が0.1kPa以下の減圧雰囲気としておくことが好ましい。なお、ヒータを作動させると同時に真空ポンプを作動させ、室温近傍で加熱炉の炉内の圧力を0.1kPa以下に到達させることもできる。また、減圧を開始する前に加熱炉内を一旦不活性ガスにより置換しておくこともできる。
昇温工程においては上述のように加熱炉内を加熱炉内の圧力が0.1kPa以下の減圧雰囲気とすれば良いが、特に0.05kPa以下とすることがより好ましい。なお、本明細書において圧力は絶対圧で表記している。
加熱炉13の炉内構成物の表面温度は場所によって異なることから、加熱炉13の炉内構成物の表面温度が100℃以上になるとは、加熱炉13の炉内構成物の表面温度のうち、最低温度の部分が100℃以上になることを意味する。この場合、炉内構成物の全ての表面が100℃以上になる。なお、炉内構成物の表面温度は、加熱炉の炉内構成物の表面部分のうち、加熱炉雰囲気に対して暴露している部分、すなわち加熱炉雰囲気と直接接触している表面部分の温度を指す。
加熱炉13の炉内構成物の表面温度のうち最低温度となる部分は、例えば昇温工程と同様の条件で加熱する予備試験を行い、炉内構成物の表面温度を複数の箇所で熱電対等により測定することで、特定しておくことができる。そして、サファイア単結晶を製造する際の昇温工程では係る最低温度となる部分の温度を測定することで加熱炉13の炉内構成物の表面温度が100℃以上になったかを判断することができる。
例えば本発明の発明者らの検討によれば、図1に示した単結晶育成装置10の場合、断熱材17の外周部、すなわち断熱材17の筐体16と対向する面の表面の温度が最も低くなる。このため係る単結晶育成装置10を用いた昇温工程の場合、断熱材17の外周部の最も温度が低い部分が100℃以上になるまでヒータで加熱を継続し、吸着した水分を水蒸気に変化させて真空排気を行うことができる。
ただし、昇温工程においては、坩堝11内に配置した原料の温度が1950℃以下になるようにヒータの出力を調整することが好ましい。これは減圧雰囲気下で原料の温度が1950℃を超えると、金属製構造物の金属材料の種類によっては一部が昇華し、炉内に金属粒子が飛散し、原料融液や、育成した結晶内に混入する恐れがあるためである。特に昇温工程においては、坩堝内に配置した原料の温度が1900℃以下となるようにヒータの出力を調整することがより好ましい。なお、ここでの坩堝11内に配置した原料の温度とは、坩堝11内に配置した原料の最高温度を意味している。
本実施形態のサファイア単結晶の製造方法は、上述の昇温工程以外にも任意の工程を有することができる。
具体的には例えば、上述の昇温工程の終了後、さらに1時間以上、加熱炉内を加熱炉内の圧力が0.1kPa以下の減圧雰囲気として、ヒータにより坩堝内の原料を加熱する減圧保持工程をさらに有することができる。
昇温工程に加えて減圧保持工程を行うことで、さらに加熱炉の炉内構成物に吸着した水分や、原料に取り込まれたガス成分を低減、除去できる。このため、金属製構造物の金属材料の酸化物に起因する不純物や気泡が、サファイア単結晶に混入することをさらに抑制することが可能になる。
減圧保持工程における加熱炉内の温度条件は特に限定されるものではない。例えば、昇温工程の終了時と同じ温度となるように加熱を行い、坩堝11内の原料の温度を一定に保つように加熱することもできる。また、ヒータの出力を上げて、坩堝11内の原料の温度を昇温することもできる。減圧保持工程において昇温する場合、昇温速度や到達温度については特に限定されず任意に選択できるが、昇温工程と同様に加熱炉の炉内構成物の表面温度が100℃以上、坩堝11内の原料の温度が1950℃以下となるようにヒータの出力を調整することが好ましい。
また、本実施形態のサファイア単結晶の製造方法は、加熱炉内を加熱炉内の圧力が80kPa以上の不活性ガス雰囲気とする不活性ガス雰囲気保持工程をさらに有することができる。不活性ガス雰囲気保持工程は、少なくとも坩堝内の原料の温度が1950℃よりも高温の間実施することが好ましい。
坩堝内の原料温度が1950℃よりも高温の際に、加熱炉内の真空排気を行うと、高温かつ減圧雰囲気のため、坩堝等の金属製構造物を構成する金属材料の昇華が急激に促進され、金属粒子が形成され、炉内への金属粒子の飛散量が増加する場合がある。この場合、金属製構造物の金属材料の昇華により形成された金属粒子が原料融液や結晶に取り込まれ、結晶内に金属粒子の内包物が形成され収率が悪化する恐れがある。
そこで、坩堝内の原料温度が1950℃よりも高温の間は、加熱炉内の真空排気を止め、不活性ガス雰囲気とする不活性ガス雰囲気保持工程を実施することが好ましい。
不活性ガス雰囲気保持工程において用いる不活性ガスの種類は特に限定されるものではなく、加熱炉の炉内構成物の材料等に応じて任意に選択することができる。不活性ガス雰囲気保持工程における不活性ガスとしては、例えば、アルゴン、ヘリウム等の希ガス、及び窒素から選択される1種類以上のガスを用いることができる。
なお、既述のように加熱炉の炉内構成物の断熱材等の材料としてカーボンを用いることができるが、炉内構成物にカーボンを含む場合に不活性ガスとして窒素を用いると、カーボンと窒素とが反応する恐れがある。このため、炉内構成物がカーボンを含む場合には、窒素以外の不活性ガスから選択して用いることが好ましい。
不活性ガス雰囲気保持工程における、加熱炉内の圧力は特に限定されるものではないが、金属製構造物を構成する金属材料の昇華を抑制できるように80kPa以上であることが好ましく、95kPa以上であることがより好ましい。不活性ガス雰囲気保持工程における加熱炉内の圧力の上限は特に限定されるものではなく、加熱炉の耐圧性能等に応じて任意に選択することができるが、例えば105kPa以下であることが好ましく、103kPa以下であることがより好ましい。
不活性ガス雰囲気保持工程は、坩堝内の原料温度が1950℃よりも高温にある間は実施することが好ましい。特に坩堝内の原料温度が1900℃よりも高温に間にある間実施することがより好ましい。
なお、坩堝内の原料の温度の測定方法は特に限定されるものではなく、例えば放射温度計などの非接触温度計を使用して測定することができる。
また、サファイア単結晶の製造に当たっては坩堝内の原料には温度勾配が形成されている場合があるが、坩堝内の原料に温度勾配が形成されている場合、上記坩堝内の原料温度とは、坩堝内の原料温度のうち最も高い部分の温度を意味している。坩堝内の原料温度のうち最も高い部分は、サファイア単結晶の育成方法により異なるため、予め予備試験等により測定を行い、特定しておくことができる。
昇温工程、または減圧保持工程を実施した後は、サファイア単結晶の育成方法に応じて加熱炉内に所望のガスを導入し、適当な育成雰囲気下で坩堝内の原料を溶融するためにヒータにより昇温することができる。そして、坩堝の材料等によっては上述のように途中で不活性ガス雰囲気保持工程を実施することができる。
また、昇温工程、または減圧保持工程を実施した後、続けて不活性ガス雰囲気保持工程を実施することもできる。
坩堝内の原料が融点に到達し、原料融液となった後は、サファイア単結晶の育成方法に応じて、任意にサファイア単結晶を育成することができる。
例えばチョクラルスキー法の場合、図1に示した単結晶育成装置10において、引き上げ軸18の先端に取付けた種結晶20を、引き上げ軸18を所定の速度で回転させながら原料融液19に接触させるシーディング工程を実施できる。
シーディング工程後は、引き上げ軸18を所定の速度で回転させながら引き上げる引き上げ工程を実施できる。
サファイア単結晶の育成し終えた後は炉内を冷却する冷却工程を実施し、育成したサファイア単結晶を取り出すことができる。
以上に説明した本実施形態のサファイア単結晶の製造方法によれば、昇温工程において、炉内構成物及び原料に吸着した水分や、原料中に取り込まれたガス成分を低減、除去できる。このため、水蒸気等の酸化性ガスと金属製構造物との反応による酸化物の生成を抑制し、さらには原料融液や育成結晶内への金属製構造物の金属材料の酸化物に起因する不純物や、気泡の混入を抑制できる。従って、単結晶育成装置を構成する金属製構造物の金属材料の酸化物に起因する不純物の混入を抑制したサファイア単結晶を得ることができる。
以下に具体的な実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示した単結晶育成装置10を用いて、以下の手順によりサファイア単結晶を製造し、評価を行った。
なお、坩堝11としてはモリブデン製の坩堝を、側面ヒータ14、及び底面ヒータ15としてはカーボン製のヒータを、断熱材17としてはカーボン製の断熱材を用いた。
まず、モリブデン製の坩堝11にサファイア原料を充填し、単結晶育成装置10を密閉した。
次いで単結晶育成装置10内を一度排気しArガスで置換した。その後、加熱炉内の圧力が0.01kPa以上0.03kPa以下の範囲になるよう真空排気を行った。そして、加熱炉内の圧力が上記範囲に維持されるように真空排気を行いながら、坩堝11内の原料の最高温度が1900℃になるまで原料の加熱、昇温を行った(昇温工程)。なお、原料の最高温度は、坩堝11の上方に配置した図示しない放射温度計により測定した。
坩堝11内の原料の最高温度が1900℃になるまで昇温した際、炉内構成物の表面温度の最低温度部である断熱材17の外周部の温度は150℃であった。
坩堝11内の原料の最高温度が1900℃に到達後、1時間、加熱炉内の圧力と温度とを維持した(減圧保持工程)。
次いで、加熱炉内の圧力が100kPa以上105kPa以下の範囲になるよう加熱炉内にArガスを導入し、更に昇温して原料を融解させた(不活性ガス雰囲気保持工程)。
原料が融解し、原料融液になったことを確認した後、引き上げ軸18の先端に配置した種結晶20を原料融液19の表面に接触させた(シーディング工程)。そして、引き上げ軸18を回転させながら徐々に上昇させ、ヒータ出力を調整しながら結晶育成を行った(引き上げ工程)。
サファイア単結晶の育成終了後、室温まで冷却する冷却工程を実施し、加熱炉からサファイア単結晶を取出した。なお、不活性ガス雰囲気保持工程から、冷却工程を終えるまでの間、加熱炉内は不活性ガス雰囲気保持工程と同様の圧力範囲のArガス雰囲気とした。
得られたサファイア単結晶のインゴットをワイヤーソーによりスライスし、6インチφのc面基板を切り出した。そして、切り出した基板の主表面について鏡面加工した後に光学的表面解析機(ケーエルエー・テンコール株式会社製 型式:Candela8620)による評価を行った。939枚評価を行った結果、気泡の取り込みによる不良率0%、金属モリブデン粒子起因の不良率0.4%であることが確認できた。
金属製構造物の金属材料であるモリブデンの酸化物に起因する不純物としては主に、該モリブデンの酸化物が加熱炉内で揮発し、加熱炉内に配置されたカーボンにより還元された金属モリブデンが考えられる。しかしながら、本実施例においては、金属モリブデン粒子起因の不良率は0.4%と低くなっている。また、気泡の取り込みによる不良率も0%と低くなっている。
このため上記評価結果から、得られたサファイア単結晶は、金属製構造物の金属材料酸化物に起因する不純物の混入や、気泡の取り込みを抑制した高品質結晶であることが確認できた。
[実施例2]
昇温工程については、坩堝11内の原料の最高温度が1800℃になるまで原料の加熱、昇温を行った点以外は実施例1と同様にして実施した。なお、坩堝11内の原料の最高温度が1800℃に到達した際、炉内構成物の表面温度の最低温度部である断熱材外周部の温度は103℃であった。
坩堝11内の原料の最高温度が1800℃に到達後、1時間、加熱炉内の圧力と温度とを維持した(減圧保持工程)。
次いで、加熱炉内の圧力が85kPa以上90kPa以下の範囲になるよう加熱炉内にArガスを導入し、更に昇温して原料を融解させた(不活性ガス雰囲気保持工程)。
原料が融解し、原料融液になったことを確認した後、引き上げ軸18の先端に配置した種結晶20を原料融液19の表面に接触させた(シーディング工程)。そして、引き上げ軸18を回転させながら徐々に上昇させ、ヒータ出力を調整しながら結晶育成を行った(引き上げ工程)。
サファイア単結晶の育成終了後、室温まで冷却する冷却工程を実施し、加熱炉からサファイア単結晶を取出した。なお、不活性ガス雰囲気保持工程から、冷却工程を終えるまでの間、加熱炉内は不活性ガス雰囲気保持工程と同様の圧力範囲のArガス雰囲気とした。
得られたサファイア単結晶のインゴットをワイヤーソーによりスライスし、6インチφのc面基板を切り出した。そして、切り出した基板の主表面について鏡面加工した後に実施例1と同様に光学的表面解析機による評価を行った。950枚評価を行った結果、気泡の取り込みによる不良率0%、金属モリブデン粒子起因の不良率1.3%であることが確認できた。すなわち、得られたサファイア単結晶は、金属製構造物の金属材料であるモリブデンの酸化物に起因する不純物や、気泡の取り込みを抑制した高品質結晶であることが確認できた。
[実施例3]
昇温工程については、実施例1と同様にして実施した。なお、坩堝11内の原料の最高温度が1900℃に到達した際、炉内構成物の表面温度の最低温度部である断熱材外周部の温度は152℃であった。
坩堝11内の原料の最高温度が1900℃に到達後、3時間、加熱炉内の圧力と温度とを維持した(減圧保持工程)。
次いで、加熱炉内の圧力が85kPa以上90kPa以下の範囲になるよう加熱炉内にArガスを導入し、更に昇温して原料を融解させた(不活性ガス雰囲気保持工程)。
原料が融解し、原料融液になったことを確認した後、引き上げ軸18の先端に配置した種結晶20を原料融液19の表面に接触させた(シーディング工程)。そして、引き上げ軸18を回転させながら徐々に上昇させ、ヒータ出力を調整しながら結晶育成を行った(引き上げ工程)。
サファイア単結晶の育成終了後、室温まで冷却する冷却工程を実施し、加熱炉からサファイア単結晶を取出した。なお、不活性ガス雰囲気保持工程から、冷却工程を終えるまでの間、加熱炉内は不活性ガス雰囲気保持工程と同様の圧力範囲のArガス雰囲気とした。
得られたサファイア単結晶のインゴットをワイヤーソーによりスライスし、6インチφのc面基板を切り出した。そして、切り出した基板の主表面について鏡面加工した後に実施例1と同様に光学的表面解析機による評価を行った。933枚評価を行った結果、気泡の取り込みによる不良率0%、金属モリブデン粒子起因の不良率0.8%であることが確認できた。すなわち、得られたサファイア単結晶は、金属製構造物の金属材料であるモリブデンの酸化物に起因する不純物や、気泡の取り込みを抑制した高品質結晶であることが確認できた。
[実施例4]
昇温工程については、坩堝11内の原料の最高温度が1950℃になるまで原料の加熱昇温を行った点以外は実施例1と同様にして実施した。なお、坩堝11内の原料の最高温度が1950℃に到達した際、炉内構成物の表面温度の最低温度部である断熱材外周部の温度は159℃であった。
坩堝11内の原料の最高温度が1950℃に到達後、3時間、加熱炉内の圧力と温度とを維持した(減圧保持工程)。
次いで、加熱炉内の圧力が90kPa以上95kPa以下の範囲になるよう加熱炉内にArガスを導入し、更に昇温して原料を融解させた(不活性ガス雰囲気保持工程)。
原料が融解し、原料融液になったことを確認した後、引き上げ軸18の先端に配置した種結晶20を原料融液19の表面に接触させた(シーディング工程)。そして、引き上げ軸18を回転させながら徐々に上昇させ、ヒータ出力を調整しながら結晶育成を行った(引き上げ工程)。
サファイア単結晶の育成終了後、室温まで冷却する冷却工程を実施し、加熱炉からサファイア単結晶を取出した。なお、不活性ガス雰囲気保持工程から、冷却工程を終えるまでの間、加熱炉内は不活性ガス雰囲気保持工程と同様の圧力範囲のArガス雰囲気とした。
得られたサファイア単結晶のインゴットをワイヤーソーによりスライスし、6インチφのc面基板を切り出した。そして、切り出した基板の主表面について鏡面加工した後に実施例1と同様に光学的表面解析機による評価を行った。945枚評価を行った結果、気泡の取り込みによる不良率0%、金属モリブデン粒子起因の不良率1.1%であることが確認できた。すなわち、得られたサファイア単結晶は、金属製構造物の金属材料であるモリブデンの酸化物に起因する不純物や、気泡の取り込みを抑制した高品質結晶であることが確認できた。
[実施例5]
昇温工程については、坩堝11内の原料の最高温度が1950℃になるまで原料の加熱昇温を行った点以外は実施例1と同様にして実施した。なお、坩堝11内の原料の最高温度が1950℃に到達した際、炉内構成物の表面温度の最低温度部である断熱材外周部の温度は159℃であった。
坩堝11内の原料の最低温度が1950℃に到達後、5時間、加熱炉内の圧力と温度とを維持した(減圧保持工程)。
次いで、加熱炉内の圧力が85kPa以上90kPa以下の範囲になるよう加熱炉内にArガスを導入し、更に昇温して原料を融解させた(不活性ガス雰囲気保持工程)。
原料が融解し、原料融液になったことを確認した後、引き上げ軸18の先端に配置した種結晶20を原料融液19の表面に接触させた(シーディング工程)。そして、引き上げ軸18を回転させながら徐々に上昇させ、ヒータ出力を調整しながら結晶育成を行った(引き上げ工程)。
サファイア単結晶の育成終了後、室温まで冷却する冷却工程を実施し、加熱炉からサファイア単結晶を取出した。なお、不活性ガス雰囲気保持工程から、冷却工程を終えるまでの間、加熱炉内は不活性ガス雰囲気保持工程と同様の圧力範囲のArガス雰囲気とした。
得られたサファイア単結晶のインゴットをワイヤーソーによりスライスし、6インチφのc面基板を切り出した。そして、切り出した基板の主表面について鏡面加工した後に実施例1と同様に光学的表面解析機による評価を行った。950枚評価を行った結果、気泡の取り込みによる不良率0%、金属モリブデン粒子起因の不良率1.7%であることが確認できた。すなわち、得られたサファイア単結晶は、金属製構造物の金属材料であるモリブデンの酸化物に起因する不純物や、気泡の取り込みを抑制した高品質結晶であることが確認できた。
[実施例6]
昇温工程については、実施例1と同様にして実施した。なお、坩堝11内の原料の最高温度が1900℃に到達した際、炉内構成物の表面温度の最低温度部である断熱材外周部の温度は151℃であった。
坩堝11内の原料の最高温度が1900℃に到達後、0.5時間、加熱炉内の圧力と温度とを維持した(減圧保持工程)。
次いで、加熱炉内の圧力が100kPa以上105kPa以下の範囲になるよう加熱炉内にArガスを導入し、更に昇温して原料を融解させた(不活性ガス雰囲気保持工程)。
原料が融解し、原料融液になったことを確認した後、引き上げ軸18の先端に配置した種結晶を原料融液19の表面に接触させた(シーディング工程)。そして、引き上げ軸18を回転させながら徐々に上昇させ、ヒータ出力を調整しながら結晶育成を行った(引き上げ工程)。
サファイア単結晶の育成終了後、室温まで冷却する冷却工程を実施し、加熱炉からサファイア単結晶を取出した。なお、不活性ガス雰囲気保持工程から、冷却工程を終えるまでの間、加熱炉内は不活性ガス雰囲気保持工程と同様の圧力範囲のArガス雰囲気とした。
得られたサファイア単結晶のインゴットをワイヤーソーによりスライスし、6インチφのc面基板を切り出した。そして、切り出した基板の主表面について鏡面加工した後に実施例1と同様に光学的表面解析機による評価を行った。922枚評価を行った結果、気泡の取り込みによる不良率0.1%、金属モリブデン粒子起因の不良率1.9%であることが確認できた。すなわち、得られたサファイア単結晶は、金属製構造物の金属材料であるモリブデンの酸化物に起因する不純物や、気泡の取り込みを抑制した高品質結晶であることが確認できた。
[比較例1]
昇温工程については、坩堝11内の原料の最高温度が1500℃になるまで原料の加熱、昇温を行った点以外は実施例1と同様にして実施した。なお、坩堝11内の原料の最低温度が1500℃に到達した際、炉内構成物の表面温度の最低温度部である断熱材外周部の温度は70℃であった。
坩堝11内の原料の最高温度が1500℃に到達後、5時間、加熱炉内の圧力と温度とを維持した(減圧保持工程)。
次いで、加熱炉内の圧力が100kPa以上105kPa以下の範囲になるよう加熱炉内にArガスを導入し、更に昇温して原料を融解させた(不活性ガス雰囲気保持工程)。
原料が融解し、原料融液になったことを確認した後、引き上げ軸18の先端に配置した種結晶20を原料融液19の表面に接触させた(シーディング工程)。そして、引き上げ軸18を回転させながら徐々に上昇させ、ヒータ出力を調整しながら結晶育成を行った(引き上げ工程)。
サファイア単結晶の育成終了後、室温まで冷却する冷却工程を実施し、加熱炉からサファイア単結晶を取出した。なお、不活性ガス雰囲気保持工程から、冷却工程を終えるまでの間、加熱炉内は不活性ガス雰囲気保持工程と同様の圧力範囲のArガス雰囲気とした。
得られたサファイア単結晶のインゴットをワイヤーソーによりスライスし、6インチφのc面基板を切り出した。そして、切り出した基板の主表面について鏡面加工した後に実施例1と同様に光学的表面解析機による評価を行った。932枚評価を行った結果、気泡の取り込みによる不良率1.0%、金属モリブデン粒子起因の不良率5.2%であることが確認できた。すなわち、得られたサファイア単結晶は、実施例1〜実施例5と比較して、金属製構造物の材料であるモリブデンの酸化物に起因する不純物や、気泡の取り込みの多い結晶であることが確認できた。
[比較例2]
実施例1と同様の断熱材や原料を装置内に設置した後に密閉し、装置内を一度排気しArガスで置換した。その後、加熱炉内の圧力が100kPa以上105kPa以下の範囲になるようArガスを導入しながら、坩堝11内の原料の最高温度が1900℃になるまで原料の加熱、昇温を行った。なお、坩堝11内の原料の最高温度が1900℃に到達した際、炉内構成物の表面温度の最低温度部である断熱材外周部の温度は149℃であった。
坩堝11内の原料の最高温度が1900℃に到達後、1時間、加熱炉内の圧力と温度とを維持した。
次いで、更に昇温して原料を融解させた。
原料が融解し、原料融液になったことを確認した後、引き上げ軸18の先端に配置した種結晶20を原料融液19の表面に接触させた。そして、引き上げ軸18を回転させながら徐々に上昇させ、ヒータ出力を調整しながら結晶育成を行った。
サファイア単結晶の育成終了後、室温まで冷却する冷却工程を実施し、加熱炉からサファイア単結晶を取出した。なお、冷却工程の間も加熱炉内の圧力を維持した。
得られたサファイア単結晶のインゴットをワイヤーソーによりスライスし、6インチφのc面基板を切り出した。そして、切り出した基板の主表面について鏡面加工した後に実施例1と同様に光学的表面解析機による評価を行った。942枚評価を行った結果、気泡の取り込みによる不良率10.0%、金属モリブデン粒子起因の不良率48.8%であることが確認できた。すなわち、得られたサファイア単結晶は、実施例1〜実施例5と比較して、金属製構造物の材料であるモリブデンの酸化物に起因する不純物や、気泡の取り込みの多い結晶であることが確認できた。
[比較例3]
昇温工程については、加熱炉内の圧力が0.12kPa以上0.17kPa以下の範囲になるよう真空排気を行った。そして、加熱炉内の圧力が上記範囲に維持されるように真空排気を行いながら、坩堝11内の原料の加熱、昇温を行った点以外は実施例1と同様にして実施した。なお、坩堝11内の原料の最高温度が1900℃に到達した際、炉内構成物の表面温度の最低温度部である断熱材外周部の温度は150℃であった。
坩堝11内の原料の最高温度が1900℃に到達後、1時間、加熱炉内の圧力と温度とを維持した(減圧保持工程)。
次いで、加熱炉内の圧力が100kPa以上105kPa以下の範囲になるよう加熱炉内にArガスを導入し、更に昇温して原料を融解させた(不活性ガス雰囲気保持工程)。
原料が融解し、原料融液になったことを確認した後、引き上げ軸18の先端に配置した種結晶20を原料融液19の表面に接触させた(シーディング工程)。そして、引き上げ軸18を回転させながら徐々に上昇させ、ヒータ出力を調整しながら結晶育成を行った(引き上げ工程)。
サファイア単結晶の育成終了後、室温まで冷却する冷却工程を実施し、加熱炉からサファイア単結晶を取出した。なお、不活性ガス雰囲気保持工程から、冷却工程を終えるまでの間、加熱炉内は不活性ガス雰囲気保持工程と同様の圧力範囲のArガス雰囲気とした。
得られたサファイア単結晶のインゴットをワイヤーソーによりスライスし、6インチφのc面基板を切り出した。そして、切り出した基板の主表面について鏡面加工した後に実施例1と同様に光学的表面解析機による評価を行った。934枚評価を行った結果、気泡の取り込みによる不良率0.6%、金属モリブデン粒子起因の不良率4.8%であることが確認できた。すなわち、得られたサファイア単結晶は、実施例1〜実施例5と比較して、金属製構造物の材料であるモリブデンの酸化物に起因する不純物や、気泡の取り込みの多い結晶であることが確認できた。
10 単結晶育成装置
11 坩堝
13 加熱炉
14、15 ヒータ(側面ヒータ、底面ヒータ)
17 断熱材
19 原料融液

Claims (3)

  1. 坩堝と、前記坩堝の周囲に配置した断熱材及びヒータを備えた加熱炉と、を有する単結晶育成装置を用い、前記ヒータにより前記坩堝内に配置した原料を加熱して原料融液を生成し、単結晶を育成するサファイア単結晶の製造方法であって、
    前記加熱炉の炉内構成物の表面温度が100℃以上になるまで、前記加熱炉内を前記加熱炉内の圧力が0.1kPa以下の減圧雰囲気として、前記ヒータにより前記坩堝内の原料を加熱する昇温工程を有するサファイア単結晶の製造方法。
  2. 前記昇温工程の終了後、さらに1時間以上、前記加熱炉内を前記加熱炉内の圧力が0.1kPa以下の減圧雰囲気として、前記ヒータにより前記坩堝内の原料を加熱する減圧保持工程をさらに有する請求項1に記載のサファイア単結晶の製造方法。
  3. 前記加熱炉内を前記加熱炉内の圧力が80kPa以上の不活性ガス雰囲気とする不活性ガス雰囲気保持工程をさらに有し、
    前記不活性ガス雰囲気保持工程は、少なくとも前記坩堝内の原料の温度が1950℃よりも高温の間実施する請求項1または2に記載のサファイア単結晶の製造方法。
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