JP2012101972A - 結晶半導体の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】カーボンヒータや炉内カーボン部品の寿命を延長して設備費用を削減でき、高品質な結晶半導体を製出可能である結晶半導体の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】チャンバ内に配置された坩堝に貯留した半導体融液を、前記坩堝の底部から冷却して凝固させるとともに結晶半導体を成長させる結晶半導体の製造方法であって、前記チャンバ内の圧力を10−4Pa以下に減圧し、該チャンバ内の水分を除去する水分除去工程S10と、前記チャンバ内に不活性ガスを導入するガス導入工程S20と、前記坩堝内に収容した半導体原料をヒータで加熱し溶解させて前記半導体融液とする溶解工程S30と、前記坩堝を底部から冷却して、前記半導体融液を凝固させるとともに結晶半導体を成長させる成長工程S40と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】チャンバ内に配置された坩堝に貯留した半導体融液を、前記坩堝の底部から冷却して凝固させるとともに結晶半導体を成長させる結晶半導体の製造方法であって、前記チャンバ内の圧力を10−4Pa以下に減圧し、該チャンバ内の水分を除去する水分除去工程S10と、前記チャンバ内に不活性ガスを導入するガス導入工程S20と、前記坩堝内に収容した半導体原料をヒータで加熱し溶解させて前記半導体融液とする溶解工程S30と、前記坩堝を底部から冷却して、前記半導体融液を凝固させるとともに結晶半導体を成長させる成長工程S40と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、チャンバ内の坩堝に貯留した半導体融液を冷却して、一方向に凝固させるとともに結晶半導体を成長させる結晶半導体の製造方法及び製造装置に関するものであり、特に、カーボン部材の長寿命化を鑑みた結晶半導体の製造方法及び製造装置に関する。
従来、例えば太陽電池の発電素子などに用いられる多結晶シリコン(結晶半導体)を製造する手法として、一方向凝固法が知られている(特許文献1、2参照)。このような多結晶シリコンの製造装置は、高耐圧気密チャンバ内に、内部に冷却材が流通する冷却板と、冷却板上に載置される石英製の坩堝と、坩堝を加熱するヒータとを備えている。そして、坩堝内にシリコン固形原料(半導体原料)を充填し、チャンバ内を不活性ガス雰囲気として、シリコン固形原料をヒータで加熱溶融しシリコン融液(半導体融液)とした後、冷却板により坩堝の底部から冷却する。これにより、シリコン融液は、坩堝の底部から上方へ向かうに従い漸次高温となる温度勾配に沿って一方向に結晶を成長させながら凝固していき、製品の多結晶シリコンインゴットが製造される。尚、シリコン融液は1420℃以上に加熱されるため、一般的に、前記ヒータとしては高温加熱用のカーボンヒータや、高融点金属ヒータが用いられている。
ところで、前述した結晶半導体の製造装置のチャンバ内には、炉を開放した時に吸着する水蒸気等の水分が存在している。また、原材料(半導体原料)や坩堝などの表面にも空気中の水分が吸着している。チャンバ内に水分が存在していることで、次のような問題が生じている。
すなわち、カーボンヒータや、断熱部材等のカーボン製炉内部品を構成する炭素(C)が水分(H2O)と反応し一酸化炭素(CO)となってチャンバ外部へ排出されてしまい、これにより、カーボン組織が粗雑になり、カーボンヒータや、高融点金属ヒータ、カーボン製炉内部品が早期に破損する原因となっていた。詳しくは、カーボンヒータの抵抗値が増大して早期に使用に適さなくなり、部材の交換を頻繁に行うことになって、設備費用が嵩んでいた。また、温度設定条件や炉内温度分布が、カーボンヒータやカーボン製炉内部品の劣化と共に変化して、品質バラつき(品質の安定性が確保できない状態)の要因となっていた。
すなわち、カーボンヒータや、断熱部材等のカーボン製炉内部品を構成する炭素(C)が水分(H2O)と反応し一酸化炭素(CO)となってチャンバ外部へ排出されてしまい、これにより、カーボン組織が粗雑になり、カーボンヒータや、高融点金属ヒータ、カーボン製炉内部品が早期に破損する原因となっていた。詳しくは、カーボンヒータの抵抗値が増大して早期に使用に適さなくなり、部材の交換を頻繁に行うことになって、設備費用が嵩んでいた。また、温度設定条件や炉内温度分布が、カーボンヒータやカーボン製炉内部品の劣化と共に変化して、品質バラつき(品質の安定性が確保できない状態)の要因となっていた。
また、炭素(C)と水分(H2O)の反応により生じたメタン(CH4)や二酸化炭素(CO2)等の物質が、結晶半導体の原料と反応して炭化物や酸化物となり、製造する結晶半導体内に混入して、結晶欠陥の原因になることがあった。また、このような結晶欠陥は欠陥核としてその後の工程や製品品質に影響し、製品歩留まりが低下してしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、カーボンヒータや、高融点金属ヒータ、カーボン製炉内部品の寿命を延長して設備費用を削減でき、高品質な結晶半導体を製出可能である結晶半導体の製造方法及び製造装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明は、チャンバ内に配置された坩堝に貯留した半導体融液を、前記坩堝の底部から冷却して凝固させるとともに結晶半導体を成長させる結晶半導体の製造方法であって、前記チャンバ内の圧力を10−4Pa以下に減圧し、該チャンバ内の水分を除去する水分除去工程と、前記チャンバ内に不活性ガスを導入するガス導入工程と、前記坩堝内に収容した半導体原料をヒータで加熱し溶解させて前記半導体融液とする溶解工程と、前記坩堝を底部から冷却して、前記半導体融液を凝固させるとともに結晶半導体を成長させる成長工程と、を備えることを特徴とする。
すなわち、本発明は、チャンバ内に配置された坩堝に貯留した半導体融液を、前記坩堝の底部から冷却して凝固させるとともに結晶半導体を成長させる結晶半導体の製造方法であって、前記チャンバ内の圧力を10−4Pa以下に減圧し、該チャンバ内の水分を除去する水分除去工程と、前記チャンバ内に不活性ガスを導入するガス導入工程と、前記坩堝内に収容した半導体原料をヒータで加熱し溶解させて前記半導体融液とする溶解工程と、前記坩堝を底部から冷却して、前記半導体融液を凝固させるとともに結晶半導体を成長させる成長工程と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る結晶半導体の製造方法によれば、チャンバ内の圧力を10−4Pa以下に減圧する水分除去工程を有しているので、チャンバ内に存在する水分が蒸発して水蒸気となり、チャンバの外部へ確実に排出される。これにより、従来のように、チャンバ内に存在する水分(H2O)が、カーボン製のヒータ(カーボンヒータ)や、断熱部材等のカーボン製炉内部品の炭素(C)と反応して一酸化炭素(CO)となり、チャンバ外部へ排出されてしまい、カーボンヒータやカーボン製炉内部品が早期に劣化して使用できなくなるようなことが確実に防止される。よって、カーボンヒータやカーボン製炉内部品の寿命が延長し、設備費用が削減される。
また、従来のように、チャンバ内に存在する水分(H2O)と、カーボンヒータやカーボン製炉内部品の炭素(C)とが反応し生じたメタン(CH4)や二酸化炭素(CO2)等の物質が、結晶半導体の原料と反応して炭化物や酸化物となり、製造する結晶半導体内に混入して、結晶欠陥の原因になるようなことが防止される。よって、結晶半導体の結晶品質が高められるとともに、製品歩留まりが向上し、デバイス性能を向上させることができる。
また、本発明に係る結晶半導体の製造方法において、前記ガス導入工程では、減圧された前記チャンバ内の圧力を10−2Pa以上に昇圧して、前記不活性ガスを導入することとしてもよい。
この場合、チャンバ内の圧力が10−2Pa以上とされているので、不活性ガスを導入した際に、結晶半導体の結晶成長に適した例えば30torr程度の圧力に設定しやすい。
また、本発明に係る結晶半導体の製造方法において、前記水分除去工程では、前記チャンバ内を50〜200℃の範囲内に加熱することとしてもよい。
この場合、チャンバ内のカーボンヒータや高融点金属ヒータ等の部材に付着した水分が加熱されて蒸発しやすくなるので、水分がより確実に除去されることになる。すなわち、チャンバ内の温度が50℃よりも低く設定された場合には、前述の蒸発が十分に促進されないことがあるので、50℃以上に設定されることが好ましい。また、チャンバ内の温度が200℃を超えて設定された場合には、200℃以下に設定された場合との差が出にくくなり、加熱のためのエネルギー消費量が増大することになるので、200℃以下に設定されることが好ましい。尚、チャンバ内を100〜200℃の範囲内に加熱した場合には、蒸発が十分に促進されることからより望ましい。
また、本発明に係る結晶半導体の製造方法において、前記半導体融液はシリコン融液であり、前記結晶半導体は多結晶シリコンであることとしてもよい。
この場合、結晶欠陥がなく高品質な多結晶シリコンを製出可能である。
この場合、結晶欠陥がなく高品質な多結晶シリコンを製出可能である。
また、本発明に係る結晶半導体の製造方法において、前記半導体融液はゲルマニウム融液であり、前記結晶半導体は単結晶ゲルマニウムであることとしてもよい。
この場合、結晶欠陥がなく高品質な単結晶ゲルマニウムを製出可能である。
この場合、結晶欠陥がなく高品質な単結晶ゲルマニウムを製出可能である。
また、本発明に係る結晶半導体の製造方法において、前記半導体融液はガリウムヒ素融液であり、前記結晶半導体は単結晶ガリウムヒ素であることとしてもよい。
この場合、結晶欠陥がなく高品質な単結晶ガリウムヒ素を製出可能である。
この場合、結晶欠陥がなく高品質な単結晶ガリウムヒ素を製出可能である。
また、本発明は、チャンバ内に、半導体融液を貯留する有底筒状の坩堝と、前記坩堝を加熱するヒータと、前記坩堝が載置される冷却板とを備え、前記坩堝を底部から冷却して、前記半導体融液を凝固させるとともに結晶半導体を成長させる結晶半導体の製造装置であって、前記チャンバには、該チャンバ内の圧力を10−4Pa以下に減圧可能な減圧手段と、該チャンバ内に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段とが備えられていることを特徴とする。
本発明に係る結晶半導体の製造装置によれば、チャンバが備える減圧手段が、該チャンバ内の圧力を10−4Pa以下に減圧可能であるので、チャンバ内の水分が蒸発して水蒸気となり、チャンバ外部へ確実に排出される。これにより、カーボンヒータやカーボン製炉内部品の寿命が延長し、設備費用が削減される。また、前述した結晶欠陥が防止されるとともに、製出する結晶半導体の結晶品質が高められ、製品歩留まりが向上する。
また、本発明に係る結晶半導体の製造装置において、前記減圧手段は、クライオポンプ、拡散ポンプ、分子ポンプ及びイオンポンプのいずれかであることとしてもよい。
この場合、減圧手段がクライオポンプ、拡散ポンプ、分子ポンプ及びイオンポンプのいずれかであるので、チャンバ内の圧力を10−4Pa以下に確実に減圧することができる。また、クライオポンプ、拡散ポンプ、分子ポンプ及びイオンポンプは、一般的な真空ポンプ等に比べて水蒸気の排気速度が大きいので、チャンバ内の水分をより確実に除去することができる。
また、本発明に係る結晶半導体の製造装置において、前記チャンバ内を加熱する加熱手段が設けられていることとしてもよい。
この場合、加熱手段が、チャンバ内のカーボンヒータやカーボン製炉内部品等の部材に付着した水分を加熱して蒸発させるので、水分がより確実に除去されることになる。
また、本発明に係る結晶半導体の製造装置において、前記冷却板が、黒鉛を含み形成されていることとしてもよい。
この場合、冷却板が、熱伝導性に優れた黒鉛(C)を含み形成されているので、坩堝内の半導体融液が比較的早く冷却されて凝固することになり、結晶半導体を効率よく製造できる。また、前述したようにチャンバ内の水分が確実に除去されるので、冷却板が早期に劣化するようなことがない。よって、冷却板の寿命が延長し、設備費用がより削減される。
本発明に係る結晶半導体の製造方法及び製造装置によれば、カーボンヒータや、高融点金属ヒータ、カーボン製炉内部品の寿命を延長して設備費用を削減でき、高品質な結晶半導体を製出可能である。
以下、図面を参照し、この発明の一実施形態について説明する。
図1はこの発明の一実施形態に係る多結晶シリコン(結晶半導体)の製造装置の概略を模式的に示す図であり、符号1は多結晶シリコンの製造装置を示している。本実施形態の多結晶シリコンの製造装置1は、例えば太陽電池の発電素子、半導体装置部品などに用いられる多結晶シリコンのシリコンインゴットを製造するものである。
図1はこの発明の一実施形態に係る多結晶シリコン(結晶半導体)の製造装置の概略を模式的に示す図であり、符号1は多結晶シリコンの製造装置を示している。本実施形態の多結晶シリコンの製造装置1は、例えば太陽電池の発電素子、半導体装置部品などに用いられる多結晶シリコンのシリコンインゴットを製造するものである。
多結晶シリコンの製造装置1は、耐圧気密に構成された水冷ジャケット構造のチャンバ10内に、所定の容積の空間を画成するように直方体箱状に形成されたチャンバ内断熱部材11を備えている。チャンバ内断熱部材11は、多孔質状の黒鉛(C)を含み、又は、カーボン繊維で形成されている。また、チャンバ10のチャンバ内断熱部材11の内部には、有底筒状をなし、内部にシリコン融液(半導体融液)Mを貯留する石英製の坩堝12と、坩堝12を加熱するカーボンヒータ(ヒータ)13と、坩堝12が載置される冷却板14とが配設されている。
チャンバ10は、その外壁が内部空間を有する中空状に形成されており、外壁の内部には冷却水が流通するようになっている。また、チャンバ10の外壁には、ガス導入孔10Aが貫通し形成されていて、このガス導入孔10Aには、アルゴンガス(不活性ガス)をチャンバ10内に導入する不活性ガス導入手段21が配管により接続されている。
図示の例では、ガス導入孔10Aはチャンバ10の外壁における天壁部に形成されており、不活性ガス導入手段21からチャンバ10内に導入されたアルゴンガスが坩堝12へ向けて送出されるようになっている。尚、ガス導入孔10Aに図示しないノズルを設けてチャンバ内断熱部材11を貫通させるとともに、該ノズルの先端が坩堝12に貯留したシリコン融液Mの液面に向くように配置してもよい。
また、チャンバ10内において、チャンバ内断熱部材11で囲まれた空間は、平板状の冷却板14を境に上室11Aと下室11Bとに区分されている。冷却板14は、黒鉛(C)を含み形成されており、内部空間を有する中空状に形成されている。また、冷却板14の内部空間は、不図示の冷却材供給手段に接続されており、該内部空間には、冷却材としてのアルゴンガス(不活性ガス)又は冷却水が流通するようになっている。
坩堝12は、チャンバ内断熱部材11内の上室11Aに配置されている。坩堝12は、その内部に多結晶シリコンTの原料であるチップ状のシリコン固形原料(半導体原料)mを収容可能とされているとともにシリコン固形原料mが加熱、溶融されて生成したシリコン融液Mを貯留可能とされている。坩堝12は、その底部が冷却板14の上面に載置され、上部は開口されていて、該坩堝12の外周面は、筒状の坩堝断熱部材15に囲まれている。坩堝断熱部材15は、多孔質状の黒鉛(C)を含み、又は、カーボン繊維で形成されている。
カーボンヒータ13は、略棒状をなし、チャンバ内断熱部材11内に複数配設されていて、図示しない電源に接続されている。カーボンヒータ13には、その発熱体の材料として炭素(C)繊維が用いられている。また、カーボンヒータ13は、チャンバ内断熱部材11の上室11Aに配置され坩堝12の上方に位置する上部カーボンヒータ13Aと、下室11Bに配置され冷却板14を間に挟んで坩堝12の下方に位置する下部カーボンヒータ13Bとを備えている。
尚、カーボンヒータ13の代わりに、又はカーボンヒータ13と共に、高融点金属ヒータ(ヒータ)を用いることとしてもよい。
尚、カーボンヒータ13の代わりに、又はカーボンヒータ13と共に、高融点金属ヒータ(ヒータ)を用いることとしてもよい。
また、図示しないが、チャンバ10内を50〜200℃の範囲内に加熱可能な加熱手段が設けられている。前記加熱手段は、例えば、チャンバ10の外部から配管等を通して不活性ガスからなる熱風を該チャンバ10内に供給する構成や、或いはチャンバ10内においてカーボンヒータ13近傍に配置されたヒータ等からなる構成を有している。
尚、加熱手段として高温に加熱した不活性ガスをチャンバ10内に供給する構成を用いる場合は、該不活性ガスの温度を50℃以上とし、複数回のガス置換をすることが好ましい。
尚、加熱手段として高温に加熱した不活性ガスをチャンバ10内に供給する構成を用いる場合は、該不活性ガスの温度を50℃以上とし、複数回のガス置換をすることが好ましい。
そして、チャンバ10の外壁には、排気孔10Bが貫通し形成されており、この排気孔10Bには、チャンバ10内の圧力を減圧する減圧手段としてのクライオポンプ22が配管により接続されて、チャンバ10内を高真空状態にすることが可能とされている。詳しくは、クライオポンプ22は、チャンバ内の圧力を10−4Pa以下に減圧可能であり、本実施形態においては、チャンバ10内の圧力を10−4〜10−5Paの範囲内に減圧することができるようになっている。図示の例では、排気孔10Bはチャンバ10の外壁における底壁部に形成されている。
また、排気孔10Bは、配管に設けられた切替弁(不図示)を操作することによって、クライオポンプ22以外のドライポンプ(不図示)にも接続可能とされている。このドライポンプとしては、例えば、チャンバ10内の圧力を10−2Pa程度に減圧可能なものが用いられる。
次に、この多結晶シリコンの製造装置1を用いた多結晶シリコンTの製造手順について、図2のフローチャートを用いて説明する。
(水分除去工程)
図2のS10において、真空の粗引き工程後、まず、前記切替弁を操作して、チャンバ10内とクライオポンプ22とを接続させる。そして、クライオポンプ22を作動させ、チャンバ10内の圧力を10−4Pa以下に減圧して高真空状態にするとともに、チャンバ10内の水分(H2O)を蒸発させ水蒸気として外部へ排気し除去する。尚、本実施形態では、チャンバ10内の圧力を10−4〜10−5Paの範囲内に減圧している。
図2のS10において、真空の粗引き工程後、まず、前記切替弁を操作して、チャンバ10内とクライオポンプ22とを接続させる。そして、クライオポンプ22を作動させ、チャンバ10内の圧力を10−4Pa以下に減圧して高真空状態にするとともに、チャンバ10内の水分(H2O)を蒸発させ水蒸気として外部へ排気し除去する。尚、本実施形態では、チャンバ10内の圧力を10−4〜10−5Paの範囲内に減圧している。
また、このようにチャンバ10内を減圧した状態で、前記加熱手段によりチャンバ10内を50〜200℃の範囲内に加熱する。好ましくは、カーボンヒータ13の温度が100℃程度になるように維持しつつ、1時間程度加熱する。
(ガス導入工程)
次いで、図2のS20において、前記切替弁を操作して、チャンバ10内と前記ドライポンプとを接続させる。そして、ドライポンプを作動させ、減圧されたチャンバ10内の圧力を10−2Pa以上に昇圧させる。好ましくは、ドライポンプを用いて、チャンバ10内の圧力を10−2Paに維持する。この状態で、不活性ガス導入手段21によりチャンバ10内にアルゴンガスを導入して、該チャンバ10内の圧力を30torr程度に設定する。
次いで、図2のS20において、前記切替弁を操作して、チャンバ10内と前記ドライポンプとを接続させる。そして、ドライポンプを作動させ、減圧されたチャンバ10内の圧力を10−2Pa以上に昇圧させる。好ましくは、ドライポンプを用いて、チャンバ10内の圧力を10−2Paに維持する。この状態で、不活性ガス導入手段21によりチャンバ10内にアルゴンガスを導入して、該チャンバ10内の圧力を30torr程度に設定する。
(溶解工程)
次いで、図2のS30において、カーボンヒータ13で坩堝12を加熱し、該坩堝12内に充填したチップ状又は塊状のシリコン固形原料mを溶解して、1420℃のシリコン融液Mとする。カーボンヒータ13による加熱は、シリコン固形原料mが完全に溶融しすべてシリコン融液Mとなるまで行う。
次いで、図2のS30において、カーボンヒータ13で坩堝12を加熱し、該坩堝12内に充填したチップ状又は塊状のシリコン固形原料mを溶解して、1420℃のシリコン融液Mとする。カーボンヒータ13による加熱は、シリコン固形原料mが完全に溶融しすべてシリコン融液Mとなるまで行う。
(成長工程)
次いで、図2のS40において、カーボンヒータ13による加熱を停止する。そして、チャンバ10の外壁内に冷却水を循環させてチャンバ10内の冷却を行うとともに、冷却板14内に冷却材を循環させて、シリコン融液Mの冷却を開始する。詳しくは、冷却板14により坩堝12の底部からシリコン融液Mを冷却していくことで、シリコン融液Mは、坩堝12の底部から上方へ向かうに従い漸次高温となる温度勾配に沿って一方向に結晶を成長させながら凝固していき、製品の多結晶シリコンインゴットTが製造される。
次いで、図2のS40において、カーボンヒータ13による加熱を停止する。そして、チャンバ10の外壁内に冷却水を循環させてチャンバ10内の冷却を行うとともに、冷却板14内に冷却材を循環させて、シリコン融液Mの冷却を開始する。詳しくは、冷却板14により坩堝12の底部からシリコン融液Mを冷却していくことで、シリコン融液Mは、坩堝12の底部から上方へ向かうに従い漸次高温となる温度勾配に沿って一方向に結晶を成長させながら凝固していき、製品の多結晶シリコンインゴットTが製造される。
以上のような構成とされた本実施形態の多結晶シリコンの製造装置1及びこれを用いた多結晶シリコンの製造方法によれば、チャンバ10に接続されたクライオポンプ22を用いて、該チャンバ10内の圧力を10−4Pa以下に減圧するので、チャンバ10内の水分(H2O)が蒸発して水蒸気となり、チャンバ10外部へ確実に排出される。これにより、下記(1)〜(5)式に示されるような各化学反応が防止される。
Si+H2O=SiO+H2 …(1)
2C+2H2O=CH4+CO …(2)
CH4+Si=SiC+2H2 …(3)
C+O2=CO2 …(4)
CO2+Si=SiO2+SiC …(5)
Si+H2O=SiO+H2 …(1)
2C+2H2O=CH4+CO …(2)
CH4+Si=SiC+2H2 …(3)
C+O2=CO2 …(4)
CO2+Si=SiO2+SiC …(5)
上記(1)式の一酸化珪素(SiO)の発生が防止されるので、該SiOからなる黄色い粉体がチャンバ10やチャンバ内断熱部材11の内面に付着するようなことが防止される。これにより、前記内面から剥がれ落ちたSiOがシリコン融液Mに混入して、多結晶シリコンTの結晶欠陥の原因になるようなことが防止される。
また、上記(2)式の化学反応が防止されるので、カーボンヒータ13を構成する炭素(C)が一酸化炭素(CO)となって、チャンバ10外部へ排出されることが防止される。よって、カーボンヒータ13が早期に劣化して使用できなくなるようなことが確実に防止されて寿命が延長し、設備費用が削減される。
また同様に、黒鉛(C)を含むチャンバ内断熱部材11、冷却板14、及び、坩堝断熱部材15が早期に劣化するようなことがなく、寿命が延長して、設備費用がより削減される。
また、冷却板14が、熱伝導性に優れた黒鉛(C)を含み形成されているので、坩堝12内のシリコン融液Mが比較的早く冷却されて凝固することになり、多結晶シリコンTを効率よく製造できる。
また、冷却板14が、熱伝導性に優れた黒鉛(C)を含み形成されているので、坩堝12内のシリコン融液Mが比較的早く冷却されて凝固することになり、多結晶シリコンTを効率よく製造できる。
また、上記(2)式のメタン(CH4)の発生が防止されることから、上記(3)式の化学反応が防止されている。これにより、シリコン(Si)の炭化物すなわち炭化珪素(SiC)の発生が防止されるので、該SiCが多結晶シリコンT内に混入して結晶欠陥の原因になるようなことが防止される。よって、製造する多結晶シリコンTの結晶品質が高められ、製品歩留まりが向上する。また、この多結晶シリコンTを用いた太陽電池の変換効率が高められる。
また、上記(4)式の二酸化炭素(CO2)の発生が防止されるので、上記(5)式の化学反応が防止され、シリコン(Si)の酸化物すなわち二酸化珪素(SiO2)の発生が防止されて、多結晶シリコンTの結晶欠陥が防止される。また、上記(5)式の化学反応が防止されるので、前述したSiCに起因する結晶欠陥がより確実に防止される。
また、この多結晶シリコンの製造装置1は、減圧手段としてクライオポンプ22を用いているので、チャンバ10内の圧力を10−4Pa以下に確実に減圧することができる。また、クライオポンプ22によれば、一般的な真空ポンプ等に比べて水蒸気の排気速度が大きいので、チャンバ10内の水分をより確実に除去することができる。
尚、減圧手段として、クライオポンプ22の代わりに拡散ポンプ、分子ポンプ及びイオンポンプのいずれかを用いて、チャンバ10内を高真空(10−4Pa以下)にすることとしてもよい。
尚、減圧手段として、クライオポンプ22の代わりに拡散ポンプ、分子ポンプ及びイオンポンプのいずれかを用いて、チャンバ10内を高真空(10−4Pa以下)にすることとしてもよい。
また、前記加熱手段が設けられているので、水分除去工程の際、この加熱手段がチャンバ10内のカーボンヒータ13や、カーボン繊維で形成されている坩堝断熱部材15を加熱することで、カーボンヒータ13や坩堝断熱部材15に付着した水分が蒸発して確実に除去されることになり、カーボンヒータ13や坩堝断熱部材15の寿命が延長する。また、チャンバ10内全体が加熱されることから、カーボンヒータ13以外の部材に付着した水分も蒸発しやすくなり、チャンバ10内の水分の除去がより確実に行われる。
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態では、多結晶シリコンの製造装置1を用いて、シリコン固形原料mを溶解したシリコン融液Mから多結晶シリコンTを製出する手順について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、本実施形態では、多結晶シリコンの製造装置1を用いて、シリコン固形原料mを溶解したシリコン融液Mから多結晶シリコンTを製出する手順について説明したが、これに限定されるものではない。
すなわち、例えば、半導体原料としてチップ状のゲルマニウム固形原料を用い、これを溶解してゲルマニウム融液(半導体融液)とし、炉低部(坩堝底部)には溶解しない単結晶から作られた種結晶を該ゲルマニウム融液に接触するように設け、チャンバ10内で該ゲルマニウム融液を種結晶部(底部)から冷却するとともに一方向に凝固させて単結晶ゲルマニウム(結晶半導体)インゴットを製出する単結晶ゲルマニウムの製造装置においても、本発明を適用可能である。
また、例えば、半導体原料としてチップ状のガリウムヒ素(ヒ化ガリウム)固形原料を用い、これを溶解してガリウムヒ素融液(半導体融液)とし、炉低部(坩堝底部)には溶解しない単結晶から作られた種結晶を該ガリウムヒ素融液に接触するように設け、チャンバ10内で該ガリウムヒ素融液を種結晶部(底部)から冷却するとともに一方向に凝固させて単結晶ガリウムヒ素(結晶半導体)インゴットを製出する単結晶ガリウムヒ素の製造装置においても、本発明を適用可能である。
1 多結晶シリコンの製造装置(結晶半導体の製造装置)
10 チャンバ
12 坩堝
13 カーボンヒータ(ヒータ)
14 冷却板
21 不活性ガス導入手段
22 クライオポンプ(減圧手段)
M シリコン融液(半導体融液)
m シリコン固形原料(半導体原料)
S10 水分除去工程
S20 ガス導入工程
S30 溶解工程
S40 成長工程
T 多結晶シリコン(結晶半導体)
10 チャンバ
12 坩堝
13 カーボンヒータ(ヒータ)
14 冷却板
21 不活性ガス導入手段
22 クライオポンプ(減圧手段)
M シリコン融液(半導体融液)
m シリコン固形原料(半導体原料)
S10 水分除去工程
S20 ガス導入工程
S30 溶解工程
S40 成長工程
T 多結晶シリコン(結晶半導体)
Claims (10)
- チャンバ内に配置された坩堝に貯留した半導体融液を、前記坩堝の底部から冷却して凝固させるとともに結晶半導体を成長させる結晶半導体の製造方法であって、
前記チャンバ内の圧力を10−4Pa以下に減圧し、該チャンバ内の水分を除去する水分除去工程と、
前記チャンバ内に不活性ガスを導入するガス導入工程と、
前記坩堝内に収容した半導体原料をヒータで加熱し溶解させて前記半導体融液とする溶解工程と、
前記坩堝を底部から冷却して、前記半導体融液を凝固させるとともに結晶半導体を成長させる成長工程と、を備えることを特徴とする結晶半導体の製造方法。 - 請求項1に記載の結晶半導体の製造方法であって、
前記ガス導入工程では、減圧された前記チャンバ内の圧力を10−2Pa以上に昇圧して、前記不活性ガスを導入することを特徴とする結晶半導体の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の結晶半導体の製造方法であって、
前記水分除去工程では、前記チャンバ内を50〜200℃の範囲内に加熱することを特徴とする結晶半導体の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶半導体の製造方法であって、
前記半導体融液はシリコン融液であり、前記結晶半導体は多結晶シリコンであることを特徴とする結晶半導体の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶半導体の製造方法であって、
前記半導体融液はゲルマニウム融液であり、前記結晶半導体は単結晶ゲルマニウムであることを特徴とする結晶半導体の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の結晶半導体の製造方法であって、
前記半導体融液はガリウムヒ素融液であり、前記結晶半導体は単結晶ガリウムヒ素であることを特徴とする結晶半導体の製造方法。 - チャンバ内に、半導体融液を貯留する有底筒状の坩堝と、前記坩堝を加熱するヒータと、前記坩堝が載置される冷却板とを備え、前記坩堝を底部から冷却して、前記半導体融液を凝固させるとともに結晶半導体を成長させる結晶半導体の製造装置であって、
前記チャンバには、該チャンバ内の圧力を10−4Pa以下に減圧可能な減圧手段と、該チャンバ内に不活性ガスを導入する不活性ガス導入手段とが備えられていることを特徴とする結晶半導体の製造装置。 - 請求項7に記載の結晶半導体の製造装置であって、
前記減圧手段は、クライオポンプ、拡散ポンプ、分子ポンプ及びイオンポンプのいずれかであることを特徴とする結晶半導体の製造装置。 - 請求項7又は8に記載の結晶半導体の製造装置であって、
前記チャンバ内を加熱する加熱手段が設けられていることを特徴とする結晶半導体の製造装置。 - 請求項7〜9のいずれか一項に記載の結晶半導体の製造装置であって、
前記冷却板が、黒鉛を含み形成されていることを特徴とする結晶半導体の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010251134A JP2012101972A (ja) | 2010-11-09 | 2010-11-09 | 結晶半導体の製造方法及び製造装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013100211A (ja) * | 2011-11-10 | 2013-05-23 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | 多結晶シリコンの製造方法 |
CN103484936A (zh) * | 2013-09-10 | 2014-01-01 | 无锡荣能半导体材料有限公司 | 铸锭炉恒温加热工艺 |
-
2010
- 2010-11-09 JP JP2010251134A patent/JP2012101972A/ja not_active Withdrawn
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