JP2011225423A - フッ化金属単結晶育成炉に用いる二重坩堝構造及びフッ化金属単結晶育成炉 - Google Patents

フッ化金属単結晶育成炉に用いる二重坩堝構造及びフッ化金属単結晶育成炉 Download PDF

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Abstract

【課題】チョクラルスキー法によってフッ化金属の単結晶体を製造する方法に使用され、散乱体の発生がさらに抑制されたアズグロウン単結晶体を製造することが可能な二重坩堝構造を提供する。
【解決手段】チョクラルスキー法によるフッ化金属単結晶育成炉内に配置される外坩堝1と内坩堝3とからなる二重坩堝構造において、外坩堝1は、原料フッ化金属及びその融液を収容、保持するものであって、上下動可能に且つ内坩堝3と同軸上に設けられており、内坩堝3は、外坩堝1の上部に位置固定されていると共に、下方中心に向かって縮径した傾斜壁21を備え、傾斜壁21の中心には、外坩堝1に保持されている原料フッ化金属の融液が流通し得る貫通孔Aが形成されており、傾斜壁21には、その上端径をLで表して、径が(2/3)×Lとなるよりも上方の位置に複数の貫通孔Bが回転対称に形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、チョクラルスキー法によりフッ化金属単結晶体を製造するフッ化金属単結晶育成炉に用いられる二重坩堝構造、及び該二重坩堝構造を備えたフッ化金属単結晶育成炉に関する。
フッ化カルシウムや、フッ化バリウム等のフッ化金属の単結晶体は、広範囲の波長帯域にわたって高い透過率を有し、低分散で化学的安定性にも優れることから、紫外波長または真空紫外波長のレーザを用いた各種機器、カメラ、CVD装置等のレンズ、窓材等の光学材料として需要が広がってきている。とりわけ、フッ化カルシウム単結晶体は、光リソグラフィー技術において次世代の短波長光源として開発が進められているArFレーザ(193nm)やFレーザ(157nm)での光源の窓材、光源系レンズ、投影系レンズとして期待が寄せられている。
上記のようなフッ化金属の単結晶体の製造方法としては、坩堝降下法(ブリッジマン法)や単結晶引上げ法(チョクラルスキー法)が知られている。
ここで、坩堝降下法とは、坩堝中の単結晶製造原料の溶融液を、坩堝ごと徐々に下降させながら冷却することにより、坩堝中に単結晶を育成させる方法である。
また、単結晶引上げ法とは、坩堝中の単結晶製造原料の溶融液面に、目的とする単結晶からなる種結晶を接触させ、次いで、その種結晶を坩堝の加熱域から徐々に引上げて冷却することにより、該種結晶の下方に単結晶を育成させる方法である。
これら坩堝降下法や単結晶引上げ法等により製造されるフッ化金属のアズグロウン単結晶体(即ち、機械加工による成形前の単結晶体)には、集光照明下で観察を行うと、光を散乱して光っている粒として観測される内部欠陥、所謂、散乱体(scattering body)が多数存在しているという問題がある。
このような散乱体が単結晶体中に多く存在すると、この単結晶体を光学材料に加工した場合には、光の散乱により透過率が低下したり、コントラストが低下したり、フレアやゴーストが発生する虞がある。そこで、坩堝降下法により得られるフッ化金属単結晶体において、そのアズグロウン単結晶体全体から、上記散乱体の大きさと個数が所定の条件を満たす部分を選定して切り出し、光リソグラフィー用光学部材とすることが報告されている(特許文献1参照)。このような散乱体は、所謂負結晶と呼ばれるものであり、坩堝中に収容された原料溶融液において、下方の液よりも上方の液が結晶化する過程で形成され易く、このため、単結晶引上げ法により単結晶体を製造する場合には、坩堝降下法により製造する場合に比して、さらに激しく形成され易い傾向がある。さらには、坩堝降下法及び単結晶引き上げ法の何れにより製造する場合においても、これら散乱体は、小口径のものよりも大口径の単結晶体を製造する際に、より顕著に発生していた。
上記のとおり、単結晶体中の散乱体は極力減らす必要があるが、坩堝降下法や単結晶引上げ法において、該散乱体の形成を、光学材料の切り出しにおいて最も有用な箇所である直胴部や、或いはアズグロウン単結晶体全体にわたって有効に抑制する方法は知られておらず、現状では、その形成量が少ない僅かの部分を選択して切り出しているのが実情である。このため、大口径の光学材料を切り出すことは難しく、また、小口径のものも、係る切り出し部分以外のアズグロウン単結晶体の大部分は不良品にせざるを得ず、製品の歩留まりが著しく低く、その改善が求められている。
上記の問題を解決するために、本出願人は、二重坩堝構造を有するフッ化金属単結晶体製造用引き上げ装置を提案した(特許文献2参照)。
この装置は、単結晶引き上げ法、即ちチョクラルスキー法によりフッ化金属の単結晶体を製造するためのものであり、単結晶育成炉を形成するチャンバー内に、外坩堝と該外坩堝内に収納されてなる内坩堝とからなる二重構造坩堝が設けられてなり、外坩堝に対する内坩堝の収納深さを連続的に変化させることが可能であり、チャンバー内の上記内坩堝の内空部直上に、先端に種結晶を装着して使用され且つ上下動が可能な単結晶引上げ棒が配置されているという構造を有している。
即ち、単結晶体を析出せしめる坩堝内の原料溶融液の深さは、浅いほど、液面と底部との温度差が小さく、単結晶体中の散乱体の形成を抑制することができる。この場合において、一つの坩堝に原料溶融液を収容して単結晶体の引上げを行なう場合には、結晶育成の初期段階では多量の原料溶融液が存在しており、その深さが深くなっており、得られるアズグロウン単結晶体は、ショルダー部等の上方部において散乱体が多く生成してしまう。特に、大口径で直胴部の長い単結晶体を製造する場合には、原料溶融液が多量に使用されるため、この傾向が顕著である。しかるに、特許文献2の二重坩堝構造を採用したときには、種結晶と接触せしめる原料フッ化金属の溶融液は内坩堝内に導入されており、外坩堝を上下動により、内坩堝中の原料溶融液の量を調整することができるため、内坩堝内の溶融液の深さを常に一定の浅い深さに保持しながら単結晶体の引上げを行うことができ、前述した散乱体の発生が効果的に抑制されたアズグロウン単結晶体を得ることができるというものである。
尚、単結晶体の引上げ装置としては、不純物をドーパントしたシリコン等の半導体単結晶体の製造用として、不純物濃度の均一性を高めるために外坩堝と内坩堝戸からなる二重構造をした坩堝を用いることが知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、こうした二重構造坩堝を備えた引上げ装置は、半導体材料が主の用途であり、不純物のドーパントを均一に行うことを目的とするものであり、不純物のドーパントを行わないフッ化金属単結晶体の製造に使用される二重坩堝構造とは全く技術的意義を異にしているものである。
国際公開第02/077676号パンフレット 特開2006−199577号公報 特開昭62−87489号公報
前述したように、特許文献2の二重坩堝構造は、チョクラルスキー法により散乱体の発生が抑制されたフッ化金属のアズグロウン単結晶体を得る上で有効であるが、より散乱体の発生が抑制された単結晶体が求められているのが現状である。
従って、本発明の目的は、チョクラルスキー法によってフッ化金属の単結晶体を製造する方法に使用され、散乱体の発生がさらに抑制されたアズグロウン単結晶体を製造することが可能な二重坩堝構造を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記二重坩堝構造を備えたチョクラルスキー法によってフッ化金属の単結晶体育成炉を提供することにある。
即ち、本発明によれば、チョクラルスキー法によるフッ化金属単結晶育成炉内に配置される外坩堝と内坩堝とからなる二重坩堝構造において、
前記外坩堝は、原料フッ化金属及びその融液を収容、保持するものであって、上下動可能に且つ前記内坩堝と同軸上に設けられており、
前記内坩堝は、前記外坩堝の上部に位置固定されていると共に、下方中心に向かって縮径した傾斜壁を備え、
前記内坩堝の傾斜壁の中心には、前記外坩堝に保持されている原料フッ化金属の融液が流通し得る貫通孔Aが形成されており、且つその傾斜壁には、その上端径をLで表して、径が(2/3)×Lとなるよりも上方の位置に複数の貫通孔Bが回転対称に形成されていることを特徴とする二重坩堝構造が提供される。
さらに、本発明の二重坩堝構造においては、
(1)前記内坩堝の傾斜壁に100個以上の前記貫通孔Bが同心円状に配列されていること、
及び/又は、
(2)前記外坩堝は、円筒状胴部壁と、該円筒状胴部壁の下端に連なる底部壁とを備えており、該底部壁の内面は、該円筒状胴部壁の下端から下方中心に向かって傾斜したV字型傾斜面となっており、且つ該V字型傾斜面の傾斜角βは、前記内坩堝の傾斜壁の傾斜角αに対してα±10度の範囲にあること、
が好ましい。
本発明によれば、また、チャンバー内に、環状の加熱ヒータと前記二重坩堝構造を有する外坩堝と内坩堝とを備えたフッ化金属単結晶育成炉であって、
前記加熱ヒータにより囲まれる空間内には、前記チャンバーの底部壁を貫通して上端に支持テーブルを備えた支持軸が上下動可能且つ回転可能に延びており、
前記外坩堝は、前記支持テーブル上に、前記支持軸と一体に上下動且つ回転可能に支持されており、
前記内坩堝は、前記外坩堝の上方に且つ該外坩堝と同軸上に位置固定されており、
前記内坩堝の上方には、下端に種結晶を保持する回転可能な単結晶引上げロッドが、前記チャンバーの天井壁を貫通して、該内坩堝の軸線に沿って上下動可能に設けられていることを特徴とするフッ化金属単結晶育成炉が提供される。
本発明の二重坩堝構造においては、上下動可能に設けられている外坩堝の位置調整によって内坩堝内での原料融液の液面を常に一定に保持することができ、従って、引き上げられる単結晶体に接触する原料融液の深さを常に浅く保持することができるという従来公知の二重坩堝構造の機能に加えて、内坩堝の底部の傾斜壁には、中心位置の貫通孔Aと共に、上方位置に複数の貫通孔Bが回転対称に形成されているため、内坩堝内の原料融液の流動を安定した下降流にすることができ、この結果、単結晶育成時での原料融液の温度分布がより均一となるばかりか、原料融液中の異物が結晶中に取り込まれにくく、散乱体の生成を一層抑制することができる。例えば、後述する実施例に示されているように、このような二重坩堝構造を有する単結晶育成炉を用いて形成されるフッ化金属のアズグロウン単結晶体は、単位重量(kg)当りの散乱体の個数が0.5以下である。また、その底部も対称的な下凸形状となっており、このような形状は、単結晶育成時における原料融液の流動が層流に近い下降流であり、温度分布も均一になっていることを示している。
一方、従来公知の二重坩堝構造では、本発明のような複数の貫通孔Bが内坩堝に形成されていないため、内坩堝内の原料融液が渦流のように複雑に流動し、温度分布にムラを生じ易く、また原料融液中の異物が単結晶体中に取り込まれ易い。従って、後述する比較例に示されているように、得られるフッ化金属のアズグロウン単結晶体の単位重量(kg)当りの散乱体の個数が本発明に比して多くなっている。また、その底部の下凸形状も非対称となっている。
本発明の二重坩堝構造を示す側断面図。 図1の二重坩堝構造に使用されている内坩堝の半平面図。 本発明の原理を説明するための説明図であり、(a)は、本発明の二重坩堝構造で使用される内坩堝内での原料融液の流動状態を示す図であり、(b)は、内坩堝の傾斜壁の中心近傍に貫通孔Bが形成されている比較例の内坩堝内での原料融液の流動状態を示す図。 図3(a)の内坩堝を備えた本発明の二重坩堝構造を用いて形成される単結晶体の底部形状を示す図。 図3(b)の内坩堝を備えた比較例の二重坩堝構造を用いて形成される単結晶体の底部形状を示す図。 本発明の二重坩堝構造を備えたフッ化金属の単結晶育成炉の概略構造を示す図。
本発明の二重坩堝構造は、チョクラルスキー法によるフッ化金属単結晶育成炉に使用されるものであり、単結晶製造原料の溶融液面に、目的とする単結晶からなる種結晶を接触させ、次いで、その種結晶を加熱域から徐々に引上げて冷却することにより、該種結晶の下方に単結晶を育成させる単結晶育成炉において、この単結晶製造原料及びその融液を保持するために、本発明の二重坩堝構造が使用される。
上記の単結晶の育成に用いる原料のフッ化金属としては、特に制限されず、例えば、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、フッ化アルミニウム、フッ化セリウム、および、BaLiF、KMgF、LiCaALF等の2種類以上のカチオン元素を含むフッ化金属、上記フッ化金属に特定の金属元素(具体的には、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属元素やランタン、セリウム、ガドニウム、イッテリビウムなどの希土類元素など)をドープしたもの等が挙げられる。これらの中でも、光リソグラフィーの光学系として用いる場合には、特に、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウムおよびフッ化バリウム等のフッ化アルカリ土類金属が最も好適である。
<二重坩堝構造>
図1を参照して、本発明の二重坩堝構造は、所定の構造の単結晶育成炉内に上下動可能且つ回転可能に保持された外坩堝1と、この外坩堝1の上方に位置固定され且つ外坩堝1と同軸上に配置された内坩堝3とからなっている。
即ち、外坩堝1は、フッ化金属の単結晶製造原料を収容するためのものであり、外坩堝1内に収容された単結晶製造原料を加熱して融液5とし、この融液5を内坩堝3内に流入せしめ、単結晶引上げロッド(図1において省略)に保持された種結晶7を内坩堝3内の融液5に接触せしめ、徐々に冷却しながら引き上げることにより、種結晶7の周囲にフッ化金属の単結晶が成長し、その単結晶体9(アズグロウン単結晶体)を得ることができるわけである。
上記の外坩堝1は、直胴部10と、直胴部10の下端から下方中心部に向かって傾斜した傾斜壁11とからなっている。即ち、この傾斜壁11が外坩堝1の底壁となっている。また、この底壁の中央部分は、後述する支持テーブルに外坩堝1を安定に載置するために、厚肉の台座12となっている。
また、外坩堝1の直胴部10の上端面には、常温で固体のスカベンジャーを収容するための溝13が設けられている。この溝13に収容されるスカベンジャーは、単結晶製造原料中に存在する酸素不純物を除去するために使用されるものであり、原料として使用するフッ化金属に応じて適宜のものが使用される。例えば、フッ化カルシウムやフッ化マグネシウムを原料として用いる場合には、フッ化鉛(PbF)、フッ化亜鉛(ZnF)、フッ化銀(AgF)、フッ化銅(CuF)などの少なくとも1種が使用され、酸素除去能力や取り扱い性の観点からフッ化鉛やフッ化亜鉛が好ましく、フッ化亜鉛が最適である。
尚、このようなスカベンジャーは、外坩堝1内に収容しておくこともできるが、この場合には、スカベンジャーと酸素との反応生成物(或いはスカベンジャー自体)が得られる単結晶体中に不純物として取り込まれるおそれがあるため、上記のように、外坩堝1の上端に溝13を形成し、この溝13内に固体スカベンジャーを収容しておき、固体スカベンジャーと原料融液とが直接接触しないようにしておくことが好適である。
上述したように内坩堝3は、外坩堝1内の原料融液が流入するため、外坩堝1内に収容し得るような大きさを有するものであり、外坩堝1と同様、直胴部20(外坩堝1の直胴部10よりも小径である)と、この直胴部20の下端から下方中心に向かって傾斜した傾斜壁21とからなっており、傾斜壁21の中心には、貫通孔Aが形成されている。この貫通孔Aを通って、外坩堝1内の原料融液5が内坩堝3内に流入するようになっている。
また、内坩堝3は、後述するフッ化金属単結晶育成炉内に位置固定されるものであるため、直胴部20の上端には、外方に突出したフランジ23が形成されており、このフランジ23を利用して内坩堝3を容易に支持固定し得るようになっている。
ところで、二重坩堝構造においては、内坩堝3内の融液5の深さdは、単結晶の初期から終期までの間にわたって、できるだけ一定の範囲内に保持することが好ましい。この深さdが必要以上に深いと、融液5の液面の部分と深部との間での温度差が大きくなり、温度分布によって大きな対流が生じてしまい、このような融液5の流動によって得られる単結晶体9内に異物が取り込まれ易くなり、この結果、負結晶である散乱体が生成し易くなってしまうからである。同様に、その深さdの変化は、融液5の流動状態が変動することとなり、やはり品質の安定という観点から、深さdは一定の範囲に保持することが好ましいわけである。
上記のような二重坩堝構造では、外坩堝1内のフッ化金属原料を加熱して融液5とし、この融液5に種結晶7を接触せしめ、種結晶7をゆっくりと回転しながら引き上げてゆくと、種結晶7の周囲にフッ化金属の単結晶が等方的に成長していき、円筒形状の単結晶が得られることとなる。このような単結晶の育成過程において、外坩堝1を種結晶7とは逆方向に回転しながら上昇させることにより、内坩堝3内の原料融液5の深さdを常に一定に保持すると同時に、内坩堝3内の融液5の温度分布をほぼ一定に保持することができ、従って、単結晶の育成初期から終期までにわたって、常に一定条件下で単結晶が成長し、得られる単結晶体9は全体にわたって均質であり、局部的な散乱体の生成もなく、全体的に散乱体の生成が少ない単結晶体9を得ることができるようになっている。
しかるに、本発明の二重坩堝構造においては、図1と共に図2を参照して、内坩堝3の傾斜壁21には、前述した中心部に形成されている貫通孔Aに加えて、その上方部位に複数の貫通孔Bが回転対称に形成されている。具体的には、傾斜壁21の上端径(直胴部20の内径に相当)をLで表して、径が(2/3)×Lとなるよりも上方の領域に貫通孔Bが回転対称に形成されている点に顕著な特徴を有している。即ち、このような貫通孔Bを形成することにより、散乱体の発生を一層効果的に防止することが可能となるのである。
この原理を説明するための図3を参照して、本発明においては、上記のような回転対称に配列されている貫通孔Bの形成により、内坩堝3内には、中心部の貫通孔Aと上方領域の貫通孔Bとから外坩堝1内の原料融液5が流入するが、この融液5内では、液面部分と深部との間の温度差によって対流が発生するが、単結晶育成過程において、この対流は、傾斜壁21に沿って安定した下降流Xとなり、複雑な渦流となりにくい(図3(a)参照)。従って、融液5の複雑な流動により、融液5中の異物が単結晶体9中に取り込まれるという不都合を有効に防止でき、異物などによる負結晶からなる散乱体の生成を一層有効に防止することが可能となるのである。また、安定した下降流Xとなるため、融液5の温度分布も安定しており、その変動が少なく、全体にわたって安定した品質の単結晶体9を生成する上でも有利となる。
例えば、図3(b)の比較例に示されているように、貫通孔Bを中心の貫通孔Aの近傍に配列した場合には、中心の貫通孔Aを通る液流の影響が大きいため、特に融液5の深部(貫通孔Aに近い部分)での融液5の対流が渦流の如き複雑な液流Yとなってしまい、この結果、異物などを巻き込んで単結晶体が育成され易く、散乱体の発生を防止する上で不利となってしまうのである。また、温度分布も不安定となり易い。
尚、本発明において、傾斜壁21の上方領域に回転対称に複数の貫通孔Bを形成することにより安定した下降流Xが形成されることは、あくまで推測の域であり、実際に下降流Xを確認したわけではないが、このような下降流Xの生成は、得られる単結晶体9の底部の形状から推定することができる。
例えば、図3(a)に示すように貫通孔Bが上部領域に形成されている内坩堝3を備えた本発明の二重坩堝構造により得られる単結晶体9は、その底部が、図4に示されているように、下に凸の対称形状となる。一方、図3(b)に示すように貫通孔Bが中心の貫通孔Aの近傍に形成されている内坩堝3を備えた比較例の二重坩堝構造により得られる単結晶体9は、その底部が、図5に示されているように、下に凸の形状ではあるが、明らかな非対称形状となる。このような底部の形状から考えると、比較例では、融液5の対流による流動が渦流に近い複雑な流れYとなり、温度分布も一様ではないため、非対称の形状となるが、本発明では、安定した層流に近い下降流Xとなっているため、温度分布も一様であり、対称形状になるものと推定されるのである。
上述した本発明において、複数の貫通孔Bは、傾斜壁21の径が(2/3)×L(Lは、傾斜壁21の上端径或いは直胴部21の内径)よりも上方の領域に回転対称に形成されている限り、その数や配列形態等は特に制限されないが、一般に、上記のような上方領域に等間隔で形成される同心円上に均等に配列されていることが、全体として均一な下降流Xを形成する上で好ましい。また、適度な間隔で適度な数の貫通孔Bを形成することが好ましく、且つ全体で100個以上の貫通孔Bが同心円状に配列されていることが最適である。また、貫通孔Bの径は、通常、中心の貫通孔Aよりも小径とすることが好ましく、0.5乃至1mm程度の大きさとするのがよい。
また、中心の貫通孔Aは、ストレートな形態であってもよいし、分技した形態であってもよいが(図1ではストレートな形態で示されている)、下面の導入口を2以上として、上方の口を1個として分技状とすることが、外坩堝1から流入する高温の融液5の影響を可及的に抑制する上で好適である。
さらに、本発明においては、内坩堝3の傾斜壁21の水平面に対する傾斜角α(図1参照)は、特に制限されるものではないが、一般に20乃至40度、特に25乃至35度の範囲にあることが好ましい。この角度αが過度に小さいと、上述した貫通孔Bを形成するに十分な領域を形成することが困難となってしまい、また、角度αが過度に大きいと、内坩堝3内の融液5の深さdをかなり深くしないと貫通孔Bからの融液5の流入が困難となってしまい、この結果、深さdを大きくして単結晶の育成を行わなければならず、温度差による対流が著しくなってしまい、異物の巻き込みによる散乱体の生成を抑制することが困難となってしまうからである。
一方、外坩堝1は、前述した内坩堝1内を外坩堝1内に配置し、適度な量の融液5が貫通孔A及びBを通して内坩堝A内に流入し得るような大きさであればよく、一般に、その直胴部10の径L’は、内坩堝3の直胴部21の径Lの1.04乃至1.5倍程度の大きさであればよい。
また、外坩堝1の底部は、所謂平底とすることも可能であるが、一般的には、図1に示されているように、その底部を、内坩堝3と同様に、傾斜壁11とすることが好ましく、特に、この傾斜壁11の水平面に対する傾斜角βは、内坩堝3の傾斜壁21の傾斜角αに対してα±10度の範囲にあることが最適である。即ち、外坩堝1の底部を内坩堝3の底部に相似に近い形状とすることにより、この傾斜壁11からの放熱によって内坩堝3の傾斜壁21の壁面を一定の温度範囲に保持することができ、安定した温度条件で単結晶の育成を行うことができ、散乱体の少ない均質な単結晶体9を得る上で好適となるからである。
<単結晶育成炉>
上述した二重坩堝構造を備えたフッ化金属単結晶育成炉は、例えば図6に示す構造を有している。
即ち、この単結晶育成炉は、密封されたチャンバー30内に、断熱材からなる環状側壁31a、底壁31b及び天井壁31cにより区画された単結晶育成室Zが設けられており、この単結晶育成室Zの下方には、環状側壁31aに沿って加熱ヒータ33が環状に配置されている。また、図示されていないが、チャンバー30の天井壁には、通常、覗き窓が設けられており、単結晶育成室Zの内部を観察し得るようになっている。
また、必要により、上記の加熱ヒータ33を囲むようにして放熱性材料からなる隔離壁35を設けることができ、これにより、加熱ヒータ33で囲まれた空間を均一に加熱し得るようになっている。
尚、加熱ヒータ33としては、抵抗加熱型、或いは誘導加熱型のいずれも好適に使用される。
隔離壁35を間に挟んで加熱ヒータ33により囲まれた空間内には、チャンバー30及び断熱材の底部壁31bを貫通して上下動且つ回転可能な支持軸37が延びており(その駆動機構は省略)、この支持軸37の上端には、支持テーブル39が取り付けられており、この支持テーブル39は、支持軸37と一体に回転可能となっている。
上記の支持テーブル39上に、前述した二重坩堝構造を構成する外坩堝1が載置されており、この外坩堝1と同軸上に内坩堝3が配置されることとなる。即ち、外坩堝1は、加熱ヒータ33により加熱されるように配置されていると共に、支持テーブル39(支持軸37)と一体的に上下動且つ回転可能に保持されているが、内坩堝3は、既に述べたように、この外坩堝1と同軸に、その上方に位置固定されることとなる。具体的には、内坩堝3の直胴部20の上端のフランジ23に吊具41が取り付けられ、この吊具41は、リッド材43を介して、加熱ヒータ33の上部を閉じている隔離壁35に取り付けられている。
また、内坩堝3の内部に流入したフッ化金属の原料融液5を種結晶7と接触させて単結晶の育成が行われるため、加熱ヒータ33の上端部分に内坩堝3の上端部分が位置するように位置固定しておくことが好ましい。加熱ヒータ33よりも上方部分に内坩堝3が配置されると、加熱ヒータ33の出力変化による温度コントロールが困難となるおそれがあるためである。
さらに、内坩堝3の上方には、引上げロッド45が配置される。この引上げロッド45は、上下動且つ回転可能であり(その駆動機構は省略)、その下端には、種結晶7を保持する保持具47が取り付けられており、チャンバー30の天井壁及び断熱材の天井壁31cを貫通して内坩堝3(及び外坩堝1)の軸線(γ)に沿って単結晶育成室Z内に延びている。
即ち、この引上げロッド45の保持具47に保持された種結晶7を内坩堝3内の原料融液5に浸漬して単結晶を育成し、引き上げロッド45を引き上げることにより得られた単結晶体9を回収するわけである。
尚、図示されていないが、チャンバー30には、脱気管が取り付けられており、チャンバー30内の単結晶育成室Z内を所定の真空度に脱気し得るようになっている。
また、チャンバー30の天井壁及び断熱材の天井壁31cは開閉可能となっている。
<フッ化金属単結晶の製造>
上記の単結晶育成炉を用いてのフッ化金属単結晶の製造は以下のようにして行われる。
先ず、チャンバー30の天井壁及び断熱材の天井壁31cが開放された状態で、固体のフッ化金属原料が収容されている外坩堝1を、降下位置にある支持テーブル39上に載置し、次いで吊具41を用いて内坩堝3を所定位置に取り付ける。
尚、外坩堝1の溝13内には前述した固体スカベンジャーを収容しておくが、このスカベンジャーを原料のフッ化金属と共に、外坩堝1内に収容しておくことも可能である。
また、上記の外坩堝3内に収容する原料フッ化金属は、予め、前処理による精製によって水等の不純物を除去しておくことが好ましい。水分の存在下で単結晶の育成を行うと、単結晶体9中に酸化物が取り込まれてしまい、着色等の原因となるからである。
例えば、減圧下での加熱により、水分を除去しておくことが好適であるが、単なる減圧下の加熱では、原料内部の水分を効果的に除去することが困難であるため、減圧下での加熱後、四フッ化炭素、三フッ化炭素、六フッ化エタン等の気体スカベンジャーを含む雰囲気中で原料フッ化金属を溶融せしめることが好適である。また、溶融した原料フッ化金属を冷却、固化した後、表面に存在する不純物を削り取って除去するのがよい。
さらに、上記の原料フッ化金属は、粒径の小さい粉末であってもよいが、溶融したときの体積変化(体積減少)をできるだけ回避するため、粒径が60μm以上、好ましくは60〜1000μmの粒状物の形で用いるのがよい。
上記のようにして外坩堝1及び内坩堝3を装着した後、種結晶7が下端に保持されている引上げロッド45を内坩堝3の上方に位置せしめて断熱材の天井壁31c及びチャンバー30の天井壁を閉じ、フッ化金属の単結晶の育成を開始する。
先ず、単結晶の育成に先立っては、チャンバー30内を真空引きし、減圧下での加熱を行うことが好ましい。このような減圧下での加熱により、チャンバー30内の雰囲気中の酸素を除去すると同時に、前述した処理後に原料フッ化金属に吸着した水分がスカベンジャーとの反応により炭酸ガスとなって排出される。
上記の減圧下での加熱後に、チャンバー30内に窒素、アルゴン等の不活性ガスを導入し、単結晶の育成を行う。
この育成は、原料フッ化金属を、その融点〜融点+100℃の温度に加熱して溶融せしめ、この温度に維持した状態で行われる。例えば、原料フッ化金属としてフッ化カルシウムを用いた場合には、1420〜1520℃の温度に維持されて単結晶の育成が行われる。この場合、上記温度領域への昇温速度は、50〜500℃/hrの範囲とするのが好ましい。
また、原料フッ化金属が完全に溶融して融液5となった時点で、少なくとも内坩堝3に形成されている貫通孔Bの全てが液面よりも下方となるように(具体的には、融液5の液面が直胴部20に達するまで)、支持軸37によって外坩堝1を上昇させ、引上げロッド45を降下させて種結晶7を融液5に浸漬して単結晶の育成が行われる。即ち、種結晶7の周囲にフッ化金属の単結晶が成長していくわけである。
このような単結晶の育成中は、融液5の温度分布をできるだけ均一に保持するために、引上げロッド45を回転させ、種結晶7及び育成中の単結晶を回転すると同時に、支持軸37を逆方向に回転させ、種結晶7及び育成中の単結晶とは逆方向に外坩堝3を回転させるのがよい。この場合、その回転が速すぎると、融液5の流動が激しくなってしまうため、通常、引上げロッド45及び支持軸37の回転速度は5乃至10rpm程度に設定することが好ましい。
上記のようにして単結晶の育成を行いながら、徐々に引上げロッド45を上昇させ、得られた単結晶体7を引き上げていく。この引上げによって、融液5の液面が降下することとなるが、この液面の変動は、単結晶育成中の融液5の流動状態の変動をもたらすこととなる。従って、このような液面変動による融液5の流動状態の変動を可及的に防止し、常に一定条件下で単結晶の育成が行われるようにするために、引上げロッド45の上昇(即ち、単結晶体7の引上げ)に伴い、支持軸37を徐々に上昇させ、融液5の液面(即ち、内坩堝3内での融液の深さd)を一定のレベルに維持しておくことが最適である。具体的には、融液5の液面を、初期と同様の位置(液面が直胴部20に達する程度の位置)に維持し、貫通孔Bによる融液5の流動の安定化を図るのがよい。但し、この液面が高くなりすぎ、融液5の深さdが深くなりすぎると、融液5の液面と深部との間の温度差が大きくなり、融液5の流動が顕著となるため、この深さdが、引き上げられる単結晶体9の直胴部の径の0.5倍以上とはならない程度に液面の位置を維持しながら単結晶の育成を行うことが好ましい。
尚、上記のようにして単結晶の育成を行うに際しては、除去されずに融液5中に残存している水分が揮発したスカベンジャーと反応して炭酸ガスが発生するが、この炭酸ガスを除去するために、不活性ガスのチャンバー30内からの排気及び供給を適宜繰り返しながら育成を行ってもよい。
以上のようにして生成した単結晶体9を引き上げた後、降温を行い(降温速度は0.1〜3℃/分程度)、室温まで降下させた後、チャンバー30を開放し、目的とする単結晶体9を回収すればよい。
このようにして、本発明の二重坩堝構造を用いてフッ化金属の単結晶の育成及び回収を行うことにより、散乱体の発生が著しく抑制されたアズグロウン単結晶体を得ることができる。
以下、本発明を次の実験例により説明するが、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
なお、以下の実験において、アズグロウン単結晶体の直胴部全内部に存在する散乱体の数、およびアズグロウン単結晶体全内部に存在する散乱体の数は、それぞれ以下の方法により測定した。
<散乱体の測定>
ガラス製の水槽に測定対象の単結晶体全体が浸漬できる量のマッチングオイル(フッ化カルシウム単結晶の屈折率と同程度の屈折率に調整したオイル)を満たし、その中にアズグロウン体を静置した。次に、一方向から白色のハロゲンランプ光を照射し、該単結晶体を回転させ、視点を変えながら散乱体からの散乱光が観察できる位置を探し、測定対象に存在する散乱体の個数を目視により測定した。
<実施例1>
図6に示すような二重構造坩堝の単結晶体製造用引上げ装置を用いて、フッ化カルシウム単結晶体の製造を行った。
この単結晶体製造用引き上げ装置において、チャンバー内に設置された高純度グラファイト製の外坩堝は、内直径50cm(外直径52cm)、高さ24cmであり、傾斜壁11の水平面に対する角度は30度であった。この外坩堝内に吊り具41によりリッド材43に固定された状態で収納される内坩堝は、内直径44cm(外直径45.2cm)、高さ25cmであり、傾斜壁21の水平面に対する角度は30度であった。
内坩堝は、その中心部に口径が6mmの円筒状の貫通孔Aが1個と、中心部から傾斜壁面に沿って上方へ18.4cmおよび20.4cm離れた位置の円周状に均等間隔で各々60個、口径が0.8mmの円筒状の貫通孔Bが各形成されていた。
断熱材壁は、ピッチ系グラファイト成型断熱材であり、厚み方向の放熱能力は9W/m・Kのものであり、他方、天井板はグラファイト製であり、厚み方向の放熱能力は500W/m・Kのものであった。
フッ化亜鉛の存在下に炉内を十分に空焼きした後、内坩堝外壁、外坩堝内壁及び遮蔽部材とで構成される空間内に原料フッ化カルシウム塊70kgと、外坩堝の溝13内にスカベンジャーとしてのフッ化亜鉛10gを装入し、真空引きを開始した。内圧が5×10−3Pa以下に達した時点で、真空引きを継続しながらヒータに通電し原料の加熱を開始した。
約50℃/Hrで坩堝底部の温度が250℃になるまで昇温し、この温度で24時間保持した。そのときのチャンバー内の真空度は5×10−4Paであった。その後、約50℃/Hrで再び昇温を開始し、600℃に達した後、さらに12時間保持し、その後に真空排気ラインを遮断して高純度アルゴンをチャンバー内に供給し、内圧(炉内雰囲気圧力)を30kPa(abs)まで復圧して、引上げが終了して室温付近に降温するまでガスの導入を行わなかった。
30kPaへの復圧後、1500℃付近まで昇温して3時間保持して原料を溶融させた。この状態で外坩堝の位置を上昇させて溶融液の一部を貫通孔AおよびBを通じて内坩堝の内空部に流入させ、内坩堝内にもフッ化カルシウム原料の溶融液が収容された状態とした。
該内坩堝内の溶融液の深さは、10cm(アズグロウン単結晶体の直胴部直径の0.43倍の深さ)であった。
原料溶融液面の温度がフッ化カルシウムの溶融温度とほぼ等しくなるまで融液の温度を低下させた後、7rpmの速度で回転させた種結晶を溶融液表面に接触させ、4mm/Hrで引き上げて育成を行った。上記引き上げ中において、支持軸37を、内坩堝内の溶融液の深さが前記10cmに維持されるように、連続的に上昇させた。引き上げ終了後、結晶を融液から切り離し、常温まで降温した。
以上により、直胴部の直径23cm、直胴部長さが25cmのフッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体(直胴部の体積10380cm、直胴部の重量32.9kg)が得られた。底部の形状は下に下凸の対称形状であった。
この単結晶体について、直胴部全内部に存在する散乱体の数を測定した。その結果は、直胴部全内部に存在する散乱体の数は5個であり、その存在割合は0.15個/kgであった。(前記と同じ炉内構成、同じ運転条件にて5回フッ化カルシウム単結晶体の製造を行ったところ、直胴部全内部における散乱体の存在割合の平均値は0.23個/kgであった。)
<比較例1>
実施例1で使用した単結晶体製造用引き上げ装置において、図3(b)の比較例に示されている内坩堝を用いた以外は、実施例1と同様にしてフッ化カルシウム単結晶体の引き上げを行い、ほぼ同じ形状の単結晶体を得た。底部は下に下凸の形状ではあったが、明らかな非対称形状であった。
この単結晶体について、直胴部全内部に存在する散乱体の数を測定した。その結果は、直胴部全内部に存在する散乱体の数は88個であり、その存在割合は2.7個/kgであった。(前記と同じ炉内構成、同じ運転条件にて7回フッ化カルシウム単結晶体の製造を行ったところ、直胴部全内部における散乱体の存在割合の平均値は3.1個/kgであった。)
<実施例2>
実施例1で使用した単結晶体製造用引き上げ装置において、内坩堝の貫通孔Bの形成を中心部から傾斜壁面に沿って上方へ18.4cm離れた位置のみ(60個)とした以外は、実施例1と同様にしてフッ化カルシウム単結晶体の引き上げを行い、ほぼ同じ形状の単結晶体を得た。底部は下に下凸の形状ではあったが、若干非対称形状であった。
この単結晶体について、直胴部全内部に存在する散乱体の数を測定した。その結果は、直胴部全内部に存在する散乱体の数は16個であり、その存在割合は0.48個/kgであった。(前記と同じ炉内構成、同じ運転条件にて7回フッ化カルシウム単結晶体の製造を行ったところ、直胴部全内部における散乱体の存在割合の平均値は0.41個/kgであった。)
<実施例3>
実施例1で使用した単結晶体製造用引き上げ装置において、外坩堝の傾斜壁11の水平面に対する角度を20度(外坩堝の高さ24cm)、内坩堝の傾斜壁21の水平面に対する角度を20度(内坩堝の高さ20cm)とした以外は、実施例1と同様にしてフッ化カルシウム単結晶体の引き上げを行い、ほぼ同じ形状の単結晶体を得た。底部は下に下凸の対称形状であった。
この単結晶体について、直胴部全内部に存在する散乱体の数を測定した。その結果は、直胴部全内部に存在する散乱体の数は12個であり、その存在割合は0.36個/kgであった。(前記と同じ炉内構成、同じ運転条件にて7回フッ化カルシウム単結晶体の製造を行ったところ、直胴部全内部における散乱体の存在割合の平均値は0.41個/kgであった。)
<比較例2>
実施例1で使用した単結晶体製造用引き上げ装置において、傾斜壁11の水平面に対する角度が10度の外坩堝を用いた以外は、実施例1と同様にしてフッ化カルシウム単結晶体の引き上げを行い、ほぼ同じ形状の単結晶体を得た。底部の下凸は対称形状であったが実施例1にくらべ1/5程度の長さであった。
この単結晶体について、直胴部全内部に存在する散乱体の数を測定した。その結果は、直胴部全内部に存在する散乱体の数は110個であり、その存在割合は3.3個/kgであった。(前記と同じ炉内構成、同じ運転条件にて5回フッ化カルシウム単結晶体の製造を行ったところ、直胴部全内部における散乱体の存在割合の平均値は2.9個/kgであった。)
1:外坩堝
3:内坩堝
5:原料フッ化金属の融液
7:種結晶
9:単結晶体
21:傾斜壁

Claims (4)

  1. チョクラルスキー法によるフッ化金属単結晶育成炉内に配置される外坩堝と内坩堝とからなる二重坩堝構造において、
    前記外坩堝は、原料フッ化金属及びその融液を収容、保持するものであって、上下動可能に且つ前記内坩堝と同軸上に設けられており、
    前記内坩堝は、前記外坩堝の上部に位置固定されていると共に、下方中心に向かって縮径した傾斜壁を備え、
    前記内坩堝の傾斜壁の中心には、前記外坩堝に保持されている原料フッ化金属の融液が流通し得る貫通孔Aが形成されており、且つその傾斜壁には、その上端径をLで表して、径が(2/3)×Lとなるよりも上方の位置に複数の貫通孔Bが回転対称に形成されていることを特徴とする二重坩堝構造。
  2. 前記貫通孔Bが同心円状に100個以上形成されている請求項1に記載の二重坩堝構造。
  3. 前記外坩堝は、円筒状胴部壁と、該円筒状胴部壁の下端に連なる底部壁とを備えており、該底部壁の内面は、該円筒状胴部壁の下端から下方中心に向かって傾斜したV字型傾斜面となっており、且つ該V字型傾斜面の傾斜角βは、前記内坩堝の傾斜壁の傾斜角αに対してα±10度の範囲にある請求項1または2に記載の二重坩堝構造。
  4. チャンバー内に、環状の加熱ヒータと請求項1乃至3の何れかに記載の二重坩堝構造を有する外坩堝と内坩堝とを備えたフッ化金属単結晶育成炉であって、
    前記加熱ヒータにより囲まれる空間内には、前記チャンバーの底部壁を貫通して上端に支持テーブルを備えた支持軸が上下動可能且つ回転可能に延びており、
    前記外坩堝は、前記支持テーブル上に、前記支持軸と一体に上下動且つ回転可能に支持されており、
    前記内坩堝は、前記外坩堝の上方に且つ該外坩堝と同軸上に位置固定されており、
    前記内坩堝の上方には、下端に種結晶を保持する回転可能な単結晶引上げロッドが、前記チャンバーの天井壁を貫通して、該内坩堝の軸線に沿って上下動可能に設けられていることを特徴とするフッ化金属単結晶育成炉。
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