JP4425186B2 - フッ化金属単結晶の熱処理方法 - Google Patents

フッ化金属単結晶の熱処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4425186B2
JP4425186B2 JP2005180511A JP2005180511A JP4425186B2 JP 4425186 B2 JP4425186 B2 JP 4425186B2 JP 2005180511 A JP2005180511 A JP 2005180511A JP 2005180511 A JP2005180511 A JP 2005180511A JP 4425186 B2 JP4425186 B2 JP 4425186B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
single crystal
fluoride
heat treatment
metal fluoride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005180511A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007001783A (ja
Inventor
博紀 本田
直人 望月
輝彦 縄田
洋治 乾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokuyama Corp filed Critical Tokuyama Corp
Priority to JP2005180511A priority Critical patent/JP4425186B2/ja
Publication of JP2007001783A publication Critical patent/JP2007001783A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4425186B2 publication Critical patent/JP4425186B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

本発明は、フッ化金属単結晶を熱処理する方法に係る。より詳しくは、半導体製造装置の光学部材として有用な、微小ボイドが少なく、かつ複屈折も小さいフッ化金属単結晶を得ることのできる熱処理方法に係る。
フッ化カルシウムや、フッ化バリウム等のフッ化金属の単結晶は、広範囲の波長帯域にわたって高い透過率を有し、低分散で化学的安定性にも優れることから、紫外波長または真空紫外波長のレーザを用いた各種機器、カメラ、CVD装置等のレンズ、窓材等の光学材料として需要が広がってきている。とりわけ、フッ化カルシウム単結晶は、光リソグラフィー技術において次世代の短波長光源として開発が進められているArFレーザ(193nm)やFレーザ(157nm)での光源の窓材、光源系レンズ、投影系レンズとして期待が寄せられている。
従来、こうしたフッ化金属の単結晶は、原料となるフッ化金属を一旦高温で融解して溶融液として、そこから結晶成長させて単結晶を得る方法で製造されてきた。このような融液成長で単結晶を製造する方法としては、代表的には坩堝降下法(ブリッジマン法と通称される)と単結晶引上げ法(チョクラルスキー法と通称される)が挙げられる。坩堝降下法とは、坩堝中の単結晶製造原料の溶融液を、坩堝ごと徐々に下降させながら冷却することにより、坩堝中に単結晶を育成させる方法である。
一方、単結晶引上げ法とは、坩堝中の単結晶製造原料の溶融液面に、目的とする単結晶からなる種結晶を接触させ、次いで、その種結晶を坩堝の加熱域から徐々に引上げて冷却することにより、該種結晶の下方に単結晶を育成させる方法である。この方法で生じた単結晶は種結晶の部分のみが固定されており、他の部分が坩堝等と接触していないため、得られた単結晶が常に坩堝内壁と接触する坩堝降下法で得られる単結晶よりも歪みが小さいという利点がある。また優先成長方位である<111>方位以外の方位の単結晶を製造することが困難である坩堝降下法と異なり、単結晶引上げ法では、種結晶の結晶方位を選択することにより任意の結晶方位の単結晶を得ることができる。さらに大型の単結晶を成長させようとした場合、坩堝降下法では坩堝内壁に接した部分から不純物が混入、核となって部分的に多結晶化することが多く、その点でも単結晶引上げ法は優れた方法である(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、このような歪みの少ない方法である単結晶引上げ法によっても、前記した光学的用途によっては未だ残留応力や歪みが大きすぎる場合がある。単結晶に大きな残留応力や歪みが存在すると、これらに起因した複屈折も大きくなり、該単結晶を極めて厳密な光学的物性を有する用途、特に投影系レンズに使用しようとすると問題が生じる場合がある。従って、用途に対して歪みの大きすぎる場合には、得られた単結晶をディスク状に加工した後、さらにアニールと呼ばれる熱処理を施すことにより残留応力や歪を除去することが行われている。
このような熱処理(以下、アニールと称する場合がある)によって歪を除去するためには、降温速度、特に高温部分での降温速度を遅くすることが極めて重視されており、その速度を5℃/hr乃至2℃/hr以下とすることが提案されている。一方、昇温時の速度はあまり問題にされることがなく、アニールのための時間が長くなり過ぎないように、上記昇温速度よりも遥かに早い20〜50℃/hrで行われてきた(特許文献4〜7参照)。ただし、あまりに昇温速度が速すぎると熱衝撃により破損が生じる危険性があるため、昇温速度を150℃/hr以下とすることも提案されている(例えば、特許文献6参照)。
ところが、このような熱処理を行うと、フッ化金属単結晶に濁りや曇りが発生する場合があった。濁りや曇りが単結晶に存在すると、光の散乱により透過率が低下したり、コントラストが低下したりするという問題が生じる。この問題を解決するため、アニールの最高温度を1020〜1150℃の範囲にある所定の温度とする方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
特開2004−182588号公報 特開2005−029455号公報 特開平11−130594号公報 特開平11−240787号公報 特開平11−240798号公報 特開2000−128700号公報 特開2000−256095号公報
また本発明者らの検討によれば、前記した単結晶引上げ法で製造したアニール前のアズグロウン単結晶にも、濁りや曇りが存在する場合があることがわかった。この点につき、さらに検討を行ったところ、アズグロウン単結晶を切断や研削等の加工に供した際に、割れや欠けが発生するという現象を防ぐため、該アズグロウン単結晶の有する歪みを小さなものにする目的で、単結晶の引上げ(成長)終了後の降温速度を遅く(約0.5℃/min以下、好ましくは0.3℃/min以下)すると、濁りや曇りが存在する場合が多いことが分かった。
そして、この濁りや曇りの原因について検討した結果、これらはいずれも単結晶中に存在する多数の微小なボイド(空孔)であり、具体的には、濁りとして観察されるものは1〜2μm程度の大きさで、亜粒界に生じた八面体等の角張った形状をした多数の微細なボイドであり、一方、曇りとして観察されるものはグレン中に存在する厚さが数〜数十nm、広がりが数十〜100μm程度の板状のボイドが主なものであった。フッ化金属単結晶においてこのような現象が生じる原因は定かではなく、推測の域を出ないが、単結晶中に取り込まれた極微量の不純物や結晶粒界の乱れが起点となり、その起点に空孔欠陥が集合することによって負結晶が形成されているのではないかと考えられる。
また、本発明者らがさらに検討したところ、このようにアズグロウン単結晶の時点で既に微小ボイド(濁りや曇り)が生じている場合には、前述したような濁りや曇りの発生を抑えるために、最高温度を1020〜1150℃としてアニールしてもこれらが消失することはなく、むしろその数が増える(濁りや曇りが強くなる)傾向にあることがわかった。
さらにまた、単結晶引上げ法で製造した単結晶の場合、濁りや曇りが確認できない単結晶であっても、アルゴン雰囲気下に最高温度1020〜1150℃でアニールしても該アニール後に濁りや曇りが観察される場合がしばしばあった。これは結晶成長を高真空下で行う坩堝降下法と異なり、その原理上、高真空下での結晶成長が極めて困難な結晶引上げ法で製造されたアズグロウン単結晶では、前記欠陥集合の起点となる不純物の混入割合が相対的に多く、微小ボイドが生じやすい状態になっているためではないかと推測される。
むろん結晶引上げ後の降温速度を早くし、低温でアニールをすれば微小ボイドが生じることはほとんどない。しかしながら、降温速度を早くすると切断加工時に割れや欠けが頻発しやすいなどの障害が生じてしまう。またアニール温度が低いと、歪みが取れにくく、前述したような光リソグラフィー技術における光学材料、特に投影系レンズとして使用することは困難である。
したがって本発明は、微小ボイド(濁りや曇り)を生じさせることなく、あるいは既に微小ボイドが存在する場合には、該微小ボイドを消去させることができるフッ化金属単結晶のアニール方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意研究を行った。その結果、フッ化金属単結晶のアニールに際しての最高温度をかなり高い温度とし、さらに該最高温度に到達するまでの昇温速度を遅くすることにより、既に濁りや曇りとして認識される微小ボイドが存在している単結晶でも、該微小ボイドをほとんど消失させることができ、また、新たに微小ボイドが発生することもないことを見出し、さらに検討を進めた結果、本発明を完成した。
即ち本発明は、融点がXmelt℃のフッ化金属単結晶を該融点未満の温度に昇温し、ついで降温することにより熱処理する方法において、該熱処理により到達させる最高温度XMAX℃を(Xmelt−250)℃以上とし、かつ、少なくとも(XMAX−50)℃からXMAX℃までの昇温を、5℃/hr以下の昇温速度で行うことを特徴とするフッ化金属単結晶の熱処理方法である。
本発明の製造方法によれば、光リソグラフィー技術における光学材料等として有用な歪み(複屈折)が小さく、かつ透過率やコントラストの低下原因となる微小ボイド(濁りや曇りとして観察される)もほとんどないフッ化金属単結晶を効率よく得ることができる。
特に、大型で任意の結晶方位の単結晶を製造することが容易な一方で、微小ボイドを生じやすい製造方法である結晶引上げ法で製造された単結晶に対して適用すると極めて有効である。
本発明のアニール方法は、濁りや曇りの原因となる微小ボイドの発生を抑制(及び/又は既に存在する微小ボイドを除去)しつつ、フッ化金属単結晶を熱処理してその歪みや残留応力を除去するために行われる。
該フッ化金属単結晶としては公知の如何なるフッ化金属単結晶でもよい。該フッ化金属単結晶を具体的に例示すると、当該フッ化金属を具体的に例示すると、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化アルミニウム、フッ化バリウムリチウム、フッ化マグネシウムカリウム、フッ化アルミニウムリチウム、フッ化カルシウムストロンチウム、フッ化カリウムマグネシウム、フッ化ストロンチウムリチウム、フッ化セシウムカルシウム、フッ化リチウムカルシウムアルミニウム、フッ化リチウムストロンチウムアルミニウム、フッ化ランタノイド類等の単結晶が挙げられる。
上記フッ化金属のなかでも、本発明により得られる効果に対する要求の大きい短波長でのリソグラフィー用光学材料として用いられることが多いフッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム等のフッ化アルカリ土類金属類や、フッ化バリウムリチウム、フッ化リチウムカルシウムアルミニウム等の製造に適用することが好ましく、フッ化アルカリ土類金属類の単結晶のアニールに適用することがより好ましく、フッ化アルカリ土類金属類に適用することがより好ましく、なかでもフッ化カルシウムを対象とすると本発明の効果が特に顕著である。
上記のようなフッ化金属単結晶(アニール前)を得る方法も特に限定されず、結晶引上げ法(チョクラルスキー法)、坩堝降下法(ブリッジマン法)、帯溶融法(ゾーンメルティング法)、浮遊帯溶融法(フローティングゾーン法)等、公知の如何なる製造方法で得られた単結晶でもよく、例えば、結晶引上げ法としては、特開2005−29455号公報、特開2004−231502号公報、特開2004−182588号公報、特開2004−182587号公報、特開2003−183096号公報、特開2003−119095号公報、特開2002−60299号公報及び特開2002−234795号公報等に記載の製造方法及び装置が挙げられる。また坩堝降下法としては、特開平9−227293号公報、特開平9−315894号公報、特開2004−262742号公報等に記載の製造方法及び装置が挙げられる。特に濁りや曇りが生じ易い結晶引上げ方で製造された単結晶に本発明のアニール方法を適用すると、本発明の効果が顕著に得られる。
代表的な結晶引上げ法を簡単に説明すると、まず、フッ化亜鉛、フッ化鉛、四フッ化炭素等のスカベンジャー存在下に加熱溶融して酸化物や水分等の不純物の大部分を除去したフッ化金属原料を、単結晶引上げ炉内の坩堝に投入する。
該坩堝内に投入したフッ化金属原料は、溶融させるに先立って減圧下で加熱処理を施してさらに吸着水分を除去することが好ましい。十分に加熱を行って吸着水分を除去した後、フッ化金属原料を溶融させ、該融液から単結晶を引上げる。
単結晶の引き上げの際の温度は、対象となるフッ化金属に応じて決定され、例えば、坩堝底部の測定温度において、フッ化カルシウムの場合は、1440℃以上、好適には1440〜1520℃の温度で実施することが好ましく、フッ化バリウムの場合は、1300〜1400℃の温度で実施することが好ましい。また、該温度への昇温速度は10〜500℃/時間であることが好ましい。
上記加熱による水分の除去及び引上げの実施は、残留する水分の影響をなくすため、スカベンジャーの存在下で実施することが好ましい。スカベンジャーとしては、原料フッ化金属と共に仕込まれるフッ化亜鉛、フッ化鉛、ポリ四フッ化エチレンなどの固体スカベンジャーや、チャンバー内に雰囲気として導入される四フッ化炭素、三フッ化炭素、六フッ化エタンなどの気体スカベンジャーが使用される。固体スカベンジャーを使用することが好ましく、その使用量は、原料フッ化金属100重量部に対して0.005〜5重量部が好適である。
引上げ法に用いる種結晶は、フッ化金属の単結晶であり、種結晶体の育成面は、製造するアズグロウン単結晶の、結晶の主成長面に応じて、〔111〕面、〔100〕面等から適宜に採択すればよい。単結晶の育成中において、これら種結晶は、引き上げ軸を中心として回転させることが好ましく、回転速度は2〜20回/分であることが好ましい。また、上記種結晶の回転に併せて坩堝も、上記種結晶の回転方向と反対方向に同様の回転速度で回転させてもよい。このようにして所望の大きさの単結晶を引上げた後、炉内から取り出せる程度の温度まで降温する。降温速度としては、0.01〜3℃/分が好ましく、以下に記す加工に際して、割れや欠けの発生し難いアズグロウン単結晶とするために、0.1〜0.5℃/分とすることがより好ましい。
本発明の熱処理方法は、上記のようにして得た、あるいは坩堝降下法など他の方法で得たフッ化金属単結晶を熱処理(アニール)する方法である。熱処理に際しては上記のようにして成長させた後、炉から取り出したままの状態のインゴットでもよいが、より効率よく熱処理するためには、該インゴットを適当な大きさに切断してディスク状とし、これを熱処理することが好ましい。また、切断後、アニール前に切断面等を研磨及び洗浄することも好適である。むろんディスク状以外にも必要に応じた形状に加工したものをアニールしてよい。
本発明の熱処理方法においては、フッ化金属単結晶体の溶融を防止するために、フッ化金属単結晶に付与する最高温度XMAX℃を、該フッ化金属の融点Xmelt℃未満とする必要がある。XMAX℃が高いほうがアニール後の単結晶の歪みが少ない傾向にある。高温にするために必要なエネルギー等のコストやアニール炉の耐久性、アニールの全工程で必要な時間等と、歪みの除去効果とを勘案すると、XMAX℃は、(Xmelt−20)℃以下とすることが好ましく、(Xmelt−50)℃以下とすることがより好ましい。
また本発明の効果を得るためには、該最高温度XMAX℃を(Xmelt−250)℃以上の温度とすることが必要であり、好ましくは(Xmelt−200)℃以上、特に(Xmelt−150)℃以上の温度である。
そして本発明においては、該XMAX℃への昇温に際して、少なくとも(XMAX−50)℃から該XMAX℃への昇温を5℃/min以下のゆっくりした昇温速度で行う必要がある。より好ましくは4℃/min以下での昇温である。また、(XMAX−100)℃からXMAX℃への昇温を上記昇温速度で行うことがさらに好ましく、(XMAX−150)℃からXMAX℃への昇温を上記昇温速度で行うことが特に好ましい。ここで、昇温速度が5℃/hr以下であるとは、常に該昇温速度以下で昇温されることを示し、該温度範囲における昇温速度の平均値がその値となることを示すのではない。即ち、(XMAX−50)℃からXMAX℃まで昇温する時間が10時間以上かかっていれば、途中で5℃/hrを上回る速度(例えば、10℃/hr)で昇温してもよいというものではない。逆に、昇温速度が5℃/hr以下であれば途中で昇温速度を変化させたり、あるいはある一定の温度にしばらく保持してもよい。なお、昇温速度0℃/hrである場合は、一定の温度に保持されている状態であり、実際には昇温されているものではないが、本発明においては、このような昇温過程中の温度保持状態も昇温の一部とみなす。
一方、上記した昇温速度5℃/hr以下での昇温を開始する温度までは、従来公知の方法と同じく、20〜100℃/hr程度で昇温させればよい。
このようにしてXMAX℃まで昇温した後、好ましくは0.5〜100時間その温度で保持し、ついでゆっくりと降温する。降温パターンは従来公知のパターンを採用することができる。通常、高温領域においてゆっくりと降温するほど歪みが取れ易い傾向にあるが、一方でゆっくりと降温するほど時間が長くかかりあまりにゆっくりした降温では工業的に成り立たなくなってしまう。そのため、高温(通常、XMAXから(Xmelt−300)℃乃至(Xmelt−600)℃の温度)領域では、特にゆっくりと0.1〜5℃/hr程度(好ましくは0.1〜2℃/hr程度)で降温し、その後、段階的に降温速度を速くする方法が好ましい。
本発明の熱処理方法において、熱処理炉内の雰囲気はフッ化金属単結晶にダメージを与えるような雰囲気でなければ特に制限されるものではなく、真空排気下に行ったり、フッ素系ガス雰囲気下や不活性ガス雰囲気下で行ったり、あるいはこれらの条件を組み合わせて行ったりできる。
真空排気に際しては、アニール炉内の圧力が1Pa以下とすることが好ましく、1×10−1Pa以下がより好ましく、1×10−2Pa以下がさらに好ましく、1×10−3〜1×10−4Paとすることが特に好ましい。
不活性ガスとしては、アルゴンが特に好ましい。フッ素系ガスとしてはCF、CHF、CH、C、CHF、C等のフッ素化炭化水素類、F、HF、NFなどが挙げられる。これらのなかでも取り扱いの容易さや安全性などを考慮すると、フッ素化炭化水素類又はHFが好ましく、特にCF又はHFが好ましい。フッ素系ガスとしては、不活性ガスで希釈されたものでもよいが、実質的になんら希釈されていない濃度100%のものを用いることが好ましい。フッ素系ガス又は不活性ガス雰囲気下にする場合には、常圧下でも、加圧下でも、あるいは減圧下でもよい。
特に好ましくは、400℃乃至XMAX℃に昇温されるまで、より好ましくは(Xmelt−300)乃至XMAX℃、特にXMAX℃に昇温されるまでは真空排気下に昇温を行い、その後、フッ素系ガスを熱処理炉内に常圧になるまで導入する。該真空排気を開始する温度としては、200℃以下であることが好ましく、室温近辺から開始することが特に好ましい。フッ素系ガスを導入した後は、外部からの不純物の持込を防止し、また炉内の温度を制御しやすいという観点から、熱処理が終了するまで熱処理炉を密閉しておくことが好ましい。
上記のような高い温度でガスを熱処理炉内に導入する場合には、フッ化金属単結晶に熱衝撃を与えることを防ぐ観点からも、ゆっくりと導入したほうがよく、具体的には、アニール炉の内部容積をY(L)としたとき、Y/Zが500(min)以上となる導入速度Z(L/min)で行うことが好ましく、より好ましくはY/Zが1000(min)以上、さらに好ましくはY/Zが1500(min)以上となる導入速度で行うことである。具体的には、例えばアニール炉の内部容積が1000Lである場合には、2L/min以下とすることが好ましく、1L/min以下とすることがより好ましく、約0.67L/min以下とすることがさらに好ましい。
さらにまたフッ化鉛、フッ化亜鉛等のスカベンジャーを炉内に存在させた状態で熱処理を行ってもよい。
上記本発明の熱処理方法を実施するための熱処理炉としては公知のアニール炉を使用することができる。
上記のようにしてアニールされたフッ化金属単結晶は、濁りや曇りとして観察される微小ボイドが少なく、またアニールすることにより歪みも大幅に改善されるため複屈折が小さい単結晶となっており、よって、光リソグラフィー技術における各種光学部材、特に投影系レンズとして好適に使用できる。
以下、本発明を、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例、比較例に用いたフッ化金属単結晶のアズグロウン単結晶は、特開2005−029455号公報に記載された方法(チョクラルスキー法)により製造したものである。得られたアズグロウン単結晶体からディスクを取り、表面を#2000で研磨した後、以下の評価に供した。
(1)濁り及び曇りの程度(強さ);
所定の形状に整えたディスクについて、蛍光灯照明(約1000ルクス)の下で目視により観察し、ディスク面内に濁りや曇りが認められるか否かを判定した。蛍光灯照明の下では濁りや曇りが観察されないものについては、さらに暗室内において、ハロゲン光源(SCHOTT社製MegaLight100:ランプ12V100W最大出力)をディスク表面に密着させ、各方向から照射して目視観察を行った。評価基準は以下の通りである。
A:高輝度ハロゲンランプ照明によっても観察されない。
B:高輝度ハロゲンランプ照明によってはじめて観察される。
C:蛍光灯照明下(約1000ルクス)で観察される。
(2)濁り及び曇りの範囲
濁り及び曇りの程度の評価結果がB又はCであったものについて、同じくハロゲン光源を密着させた状態で観察される濁り及び曇りの範囲が、該ディスクの面積に対して何%の範囲に存在するかを評価した。評価基準は以下の通りである。なお濁り及び曇りの程度の評価結果がAであったものについては、この評価結果はSとした。
S:全く観測されない(程度評価でA)
A:ディスク面積の5%以下の範囲において観察される
B:ディスク面積の5〜20%の範囲において観察される
C:ディスク面積の20%以上の範囲において観察される
(3)複屈折;
単結晶体の複屈折(SBR)は、ディスク状の単結晶を自動複屈折分布測定装置(Hinds instruments, Inc.製 EXICOR 450AT; 光源633nm)に設置し、測定された複屈折の最小自乗平均として算出した。
実施例1
内部容積が1000Lアニール炉内に、直径160mm、厚さ30mmの(100)フッ化カルシウム単結晶及び2gのフッ化亜鉛を配置した。なおこのフッ化カルシウム単結晶は、結晶成長終了後、室温までの降温を15℃/hrで行ったものであり、既に曇りや濁りが存在していた。炉内を10−3〜10−4Paとなる程度に真空排気しつつ1100℃まで40℃/hrで昇温した。ついで真空排気を継続しながら1300℃に到達するまで3.3℃/hrで昇温した。この温度で5時間保持した後、排気系を遮断して真空排気を終了し、代りに四フッ化炭素ガスの導入を0.5L/minの速度で開始した。さらにその温度で2時間保持後、1250℃までは0.6℃/hr、1250〜1100℃では0.8℃/hr、1110〜800℃では1℃/hr、800〜500℃では3℃/hr、その後は10℃/hrで室温付近まで降温した。なお、炉内が常圧に達した時点で四フッ化炭素ガスの導入を終了し、ガス導入系を遮断してアニール炉を外部から閉鎖した。このようにしてアニールした単結晶のアニール前後の物性評価結果を表1に示す。
実施例2
実施例1で用いたのと同じアニール炉内に、直径260mm、厚さ50mmの(111)フッ化カルシウム単結晶と2gのフッ化亜鉛を配置した。炉内を10−3〜10−4Paとなる程度に真空排気しつつ1100℃まで40℃/hrで昇温した。ついで真空排気を継続しながら1300℃に到達するまで3.3℃/hrで昇温した。この温度で5時間保持した後、排気系を遮断して真空排気を終了し、代りに四フッ化炭素ガスの導入を0.5L/minの速度で開始した。さらにその温度で2時間保持後、1200℃までは1℃/hr、1200〜1100℃では1.5℃/hr、1100〜800℃では3℃/hr、800〜500℃では5℃/hr、その後は12℃/hrで室温付近まで降温した。なお、1200℃への降温中、炉内が常圧に達した時点で四フッ化炭素ガスの導入を終了し、ガス導入系を遮断してアニール炉を外部から閉鎖した。このようにしてアニールした単結晶のアニール前後の物性評価結果を表1に示す。
比較例1
実施例1で用いたのと同じアニール炉内に、直系220mm、厚さ50mmの(100)フッ化カルシウム単結晶及び2gのフッ化亜鉛を配置した。炉内を10−3〜10−4Paとなる程度に真空排気しつつ800℃まで40℃/hrで昇温した。この温度で5時間保持した後、排気系を遮断して真空排気を終了し、代りに四フッ化炭素ガスの導入を2L/minの速度で開始した。四フッ化炭素ガスの導入を続けながら1300℃に到達するまで40℃/hrで昇温した。さらに1300℃で10時間保持後、1250℃までは0.6℃/hr、1250〜1100℃では0.8℃/hr、1110〜800℃では1℃/hr、800〜500℃では3℃/hr、その後は10℃/hrで室温付近まで降温した。なお、炉内が常圧に達した時点で四フッ化炭素ガスの導入を終了し、ガス導入系を遮断してアニール炉を外部と密閉した。このようにしてアニールした単結晶のアニール前後の物性評価結果を表1に示す。
Figure 0004425186
実施例1及び比較例1における昇降温のパターンを示す図である。

Claims (1)

  1. 融点がXmelt℃のフッ化金属単結晶を該融点未満の温度に昇温し、ついで降温することにより熱処理する方法において、該熱処理により到達させる最高温度XMAX℃を(Xmelt−250)℃以上とし、かつ、少なくとも(XMAX−50)℃からXMAX℃までの昇温を、5℃/hr以下の昇温速度で行うことを特徴とするフッ化金属単結晶の熱処理方法。
JP2005180511A 2005-06-21 2005-06-21 フッ化金属単結晶の熱処理方法 Expired - Fee Related JP4425186B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005180511A JP4425186B2 (ja) 2005-06-21 2005-06-21 フッ化金属単結晶の熱処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005180511A JP4425186B2 (ja) 2005-06-21 2005-06-21 フッ化金属単結晶の熱処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007001783A JP2007001783A (ja) 2007-01-11
JP4425186B2 true JP4425186B2 (ja) 2010-03-03

Family

ID=37687723

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005180511A Expired - Fee Related JP4425186B2 (ja) 2005-06-21 2005-06-21 フッ化金属単結晶の熱処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4425186B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007001783A (ja) 2007-01-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4668068B2 (ja) フッ化金属単結晶体引上げ用装置及び該装置を用いたフッ化金属単結晶体の製造方法
KR20150017684A (ko) 실리콘 웨이퍼 및 그 제조 방법
JP5260797B2 (ja) 蛍石の製造方法
JP5119677B2 (ja) シリコンウェーハ及びその製造方法
JP4425185B2 (ja) フッ化金属単結晶のアニール方法
JP4425186B2 (ja) フッ化金属単結晶の熱処理方法
JP2006342029A (ja) フッ化金属単結晶を熱処理するために用いるアニール炉及びフッ化金属単結晶のアニール方法
JP4425181B2 (ja) フッ化金属単結晶体の製造方法
JP4463730B2 (ja) フッ化金属単結晶の製造方法
JP6591182B2 (ja) フッ化物結晶及び光学部品
JP2010040588A (ja) シリコンウェーハ
TWI623018B (zh) 矽晶圓的製造方法
JP2013060335A (ja) MgF2単結晶体の製造方法
JP2012096955A (ja) フッ化金属単結晶の熱処理方法
JP4500531B2 (ja) フッ化アルカリ土類金属のアズグロウン単結晶体
JP2012012258A (ja) レーザー耐性が改良されたフッ化金属単結晶の製造方法
JP2006117494A (ja) フッ化金属単結晶体の製造方法および該方法により製造されるフッ化金属のアズグロウン単結晶体
JP6035584B2 (ja) 蛍石結晶の製造方法
JP4836913B2 (ja) BaLiF3単結晶体
JP2004231502A (ja) フッ化バリウムのアズグロウン単結晶体
JP2010103450A (ja) シリコンウェーハの製造方法
JP4456849B2 (ja) フッ化カルシウムのアズグロウン単結晶体
JP2007308349A (ja) BaLiF3結晶体の熱処理方法。
JP2012006786A (ja) フッ化金属単結晶体の製造方法
JP5682894B2 (ja) 蛍石

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091102

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091117

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091208

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4425186

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151218

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees