JP4407328B2 - 透明ガラス体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は透明ガラス体の製造方法に関し、さらに詳細には、その出発原料としてSiO2粉末を用い、ハロゲンのドープ量を増加させることによって純石英ガラスに対する比屈折率差を増大させた、光ファイバ等のガラス体製造のための母材である透明ガラス体の製造方法に関する。
従来から一般的に行われている代表的な透明ガラス体の製造方法としては、主原料であるSiCl4やドーパント材であるGeCl4、POCl3、BBr3等の気相状のガラス原料をAr等のキャリアガスと共に酸水素バーナ等に供給し、これを該バーナの火炎中に噴出させて加水分解または酸化反応させることにより生成するガラス微粒子(以下、多孔質プリフォームという)を、該バーナと相対的に移動するターゲット(以下、出発材という)上に析出、堆積させて得られた多孔質プリフォームを高温で焼結化して透明ガラス体とするものである。
このような気相原料を出発材とする方法(気相合成法)には、例えば特許文献1(第3頁、左上欄)に記載されているように、気相からガラス微粒子を補助棒(出発材)の軸に垂直な方向に直接析出させる方法(OVD法)、気相からガラス微粒子を棒(出発材)の前面に直接析出させる方法(VAD法)、気相からガラス粒子をバーナを用いて純石英ガラス管内の内壁に直接析出させる方法(MCVD法)、プラズマを用いて気相からガラス粒子を直接純石英ガラス管の内壁に析出させる(PCVD法)がある。これらの方法により得られた多孔質プリフォームを高温で加熱することにより焼結して透明ガラス体とし、例えばこれを所望の径並びに長さに線引きして光ファイバとする等、得られた透明ガラス体に所定の加工を施すことによって目的とするガラス体とされる。
また、多孔質プリフォームを製造するその他の方法としては、例えば非特許文献1に記載されているようにテトラエトキシシラン等の金属アルコキシドを加水分解した後、これを焼成して多孔質プリフォームとする、いわゆるゾル−ゲル法による方法が知られている。このゾル−ゲル法による多孔質プリフォームの量産のための実用化が試みられている外、例えば特許文献1に開示されているように、気相のガラス原料から得たSiO2粒子を捕集し、これを加熱して出発材上に多孔質プリフォームを成長させる方法等も提案されている。
特開昭61−77631号公報 S.Shibata,「Sol-gel-derived silica preforms for optical fibers」,Journal of Non-Crystalline Solid, 178(1994), 272-283
ところで、透明ガラス体においては、通常その出発原料もしくは多孔質プリフォームに種々の元素をドープして透明ガラス体の光学特性を変えたり改善することがなされており、例えば透明ガラス体にハロゲン元素をドープすると、該ハロゲンがフッ素(F)である場合には純石英ガラスよりも得られる透明ガラス体の屈折率を低下させ、塩素(Cl)である場合には逆に屈折率を高め得ることが知られている。
ハロゲン元素をドープして透明ガラス体の純石英ガラスとの屈折率差をより大きくするためには、ドープするハロゲン元素の量を多くすることが考えられるが、代表的な製造方法であるVAD法、OVD法などの気相状態のガラス原料から気相合成により多孔質プリフォームを製造した場合、ドープされ得るハロゲンの濃度には限界があって、そのため純石英ガラスに対する比屈折率差の絶対値はフッ素をドープした場合でおよそ0.8%以下程度であるところから、純石英ガラスに比べて従来のものより屈折率差のより大きい透明ガラス体の製造方法の開発が望まれている。
透明ガラス体を製造する場合、気相状態のガラス原料から多孔質プリフォームを製造してこれを透明ガラス体とした場合に比べて、ゾル−ゲル法により多孔質プリフォームを製造した場合の方が、多孔質プリフォーム中により高濃度のハロゲン元素をドープすることが出来る可能性があり、純石英ガラスに対する比屈折率差をより大きくできるかもしれない。しかしながらソル−ゲル法により製造された多孔質プリフォームから得た透明ガラス体を、例えば光ファイバとするためにこれを線引きしようとすると、多孔質プリフォームの表面に吸着している水分や塩素ガスで脱水した際、表面に吸着している塩素ガスによる再発泡や水分除去のための乾燥に長時間を要する等の弊害があった。
図7は表面にSi−OH基(Siと結合したOH基)を有するSiO2からなる多孔質プリフォームを脱水するためにCl2ガスに接触させた場合における、SiO2表面のOH基とCl2ガスとの反応による表面での化学変化を模式的に示したものであるが、多孔質プリフォームを例えばCl2ガスで脱水すると、SiO2表面のOH基がClで置換され、これを焼結化しても後工程でこのClがCl2ガスとして離れて再発泡するという弊害がある。
本発明は上記課題を解決し、ドープされるハロゲン元素の濃度を高め、純石英ガラスに対する屈折率差(比屈折率差の絶対値)をより大きく出来て、しかも、透明ガラス体を線引きして光ファイバ(ガラス体)を製造する工程における再発泡がほとんど見られない透明ガラス体の製造方法を提供しようとするものである。
本発明者らは多孔質プリフォームにドープされるハロゲン元素の濃度を高めるために、透明ガラス体の前駆体である多孔質プリフォームの製造方法や、その際に用いる出発原料の表面特性等に関して詳細に検討した結果、出発原料として気相状態の原料を用いるのではなく、特定の比表面積を有し、かつ、表面に特定濃度のSi−OH基を有するSiO2粉末を出発原料として使用し、これをバーナの火炎中から出発材に噴出させて該出発材上に付着、堆積させるか、あるいは上記SiO2粉末を成形することによって多孔質プリフォームを製造し、得られた多孔質プリフォームにハロゲン元素を添加するようにするか、あるいはまた上記SiO2粉末に予めハロゲンを含有させておいてからこのSiO2粉末を使用して多孔質プリフォームを製造するようにすれば、従来から行われているVAD法、OVD法などによって気相状態のガラス原料から多孔質プリフォームを製造した場合に比べてドープされるハロゲンの濃度をより高めることができ、しかも、透明ガラス体製造の際の後工程である透明ガラス体の線引き工程においても再発泡の少ない多孔質プリフォームが得られ、上記課題が解決出来ることを見出して本発明に到った。
すなわち、本発明は下記(1)〜()の方法により上記課題を解決するものである。
(1)SiO粉末を原料とする透明ガラス体の製造方法において、比表面積が130m/g以上であり、その表面に単位平方ナノメータ当たり1(個/nm)以上の濃度のSi−OH基が形成されているSiO粉末を使用して、前記SiO 粉末をバーナへ搬送し、該バーナからターゲット上に噴出させることにより該ターゲット上にSiO 微粒子を堆積させて多孔質プリフォームを製造した後に、該多孔質プリフォームにハロゲンを添加し、さらにこれを焼結することを特徴とする透明ガラス体の製造方法。
)SiO粉末を原料とする透明ガラス体の製造方法において、比表面積が130m/g以上であり、その表面に単位平方ナノメータ当たり1(個/nm)以上の濃度のSi−OH基が形成されているSiO粉末に予めハロゲンを含有させておき、該ハロゲンを含有させたSiO粉末を使用して、前記SiO 粉末をバーナへ搬送し、該バーナからターゲット上に噴出させることにより該ターゲット上にSiO 微粒子を堆積させて多孔質プリフォームを製造した後、該多孔質プリフォームを焼結することを特徴とする透明ガラス体の製造方法。
)前記ハロゲンの供給源がハロゲン化珪素であることを特徴とする前記(1)または)のいずれかに記載の透明ガラス体の製造方法。
)前記ハロゲンが弗素(F)であることを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載の透明ガラス体の製造方法。
)前記SiO粉末の比表面積が400m/g以下であることを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載の透明ガラス体の製造方法。
)前記焼結する温度が900〜1300℃であることを特徴とする前記(1)〜()のいずれかに記載の透明ガラス体の製造方法。
なお、本明細書において出発材に付着、かつ堆積させたコアまたはコアとクラッド層からなる多孔質のガラス微粒子堆積体を多孔質プリフォームと称し、該多孔質プリフォームを高温の焼結炉で加熱することによって焼結して透明化したものを透明ガラス体と称する。
本発明の透明ガラス体の製造方法によれば、出発原料としてその表面にSi−OH基を有するSiO2粒子からなる粉末を用いるので、添加されるハロゲン元素とSiO2粒子表面のSi−OH基との結合により、添加されるハロゲン元素の遊離がない。
また、比表面積の大きいSiO2粒子からなる粉末を用いるため、該粒子表面のSi−OH基と結合するハロゲン元素の数が増大する。そのため、VAD法やOVD法等の方法により気相合成によって製造する場合に比べて透明ガラス体にドープされるハロゲンの濃度が高められ、純石英ガラスに対する比屈折率差のより大きいガラス体とすることができる。
更に、本発明の製造方法によりコアにGeO2が添加されたハロゲン含有の透明ガラス体を製造した場合、GeO2の添加量を減らすことができるため、本発明により得られた透明ガラス体から例えば光ファイバを製造すると伝送損失がより低減される。
更にまた、本発明により得られた多孔質プリフォームを焼結して透明ガラス体とする際に焼結温度を従来よりも下げることが出来るので、添加されたハロゲンの蒸発防止と製造コストの低減が可能となる。
次に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の透明ガラス体の製造方法は、出発原料として特定の比表面積を有し、かつ、その表面にSi−OH基を有するSiO2粒子の粉末を用いて最初に多孔質プリフォームを製造する工程(多孔質プリフォーム製造工程)と、得られた多孔質プリフォームにハロゲン元素を添加してドープする工程(ハロゲン元素添加工程)と、ハロゲンがドープされた多孔質プリフォームを加熱、焼結して透明ガラス体とする工程(焼結工程)を経て製造するか、もしくは特定の比表面積を有し、かつ、その表面にSiと結合したOH基(Si−OH基)を有するSiO2粒子に予めハロゲン元素を添加した後、このSiO2粒子の粉末を出発原料として多孔質プリフォームを製造する工程(多孔質プリフォーム製造工程、すなわち多孔質プリフォームの製造とハロゲン元素のドープとを同時に行う)と、得られた多孔質プリフォームを加熱、焼結して透明ガラス体とする工程(焼結工程)を経て製造するものである。
図6はSi−OH基をその表面に有するSiO2粒子とSiF4ガスとが粒子表面で接触した場合の化学反応による表面組成の変化を模式的に表したものであるが、表面にSiと結合したOH基を有するSiO2粒子とSiF4ガスとを接触させると、粒子表面で下記式1または式2の化学反応を起こし、式1の反応を起こした場合には、図6に示すようにHFガスを発生すると共にSi−OH基のOHとSiF3とが置換して該粒子表面のSiと結合することによってSiO2粒子中にFが取り込まれる。
SiF4+SiOH→Si−O−SiF3+HF ・・・[式1]
SiF4+2SiOH→Si−O−SiF2−O−Si+2HF ・・・[式2]
本発明の透明ガラス体の製造方法において、ドープされるハロゲン元素の濃度をより高める得る点から、その比表面積が130mm2/g以上であって、しかも、その表面には単位平方nm当たりの数が1(個/nm2)以上のSi−OH基を有するSiO2粒子の粉末が出発原料として使用される。ただし、400mm2/gよりも大きな比表面積をもったSiO2粉末を用いてガラス体を製造すると、多孔質プリフォームを製造した際にその表面に吸着した水分により、線引きしてガラス体を製造する際に再発泡が起こり易くなるため好ましくない。そこで、本発明の透明ガラス体を製造するための出発原料としては、およそ130〜400m2/g、より好ましくはおよそ130〜380m2/g程度の比表面積を有するSiO2粒子を出発原料として用いることが好ましい。
なお、上記範囲の比表面積を有し、その表面にSi−OH基を有するSiO2粉末としては、例えば、AEROSILの商標名で市販されているSiO2微粒子等、市販のSiO2粉末の中から所望の比表面積と粒子表面に結合たSi−OH基の濃度とを有するものが適宜選択して使用される。
本発明の透明ガラス体の製造方法において、多孔質プリフォームの製造方法(多孔質プリフォーム製造工程)としてはいくつかの方法が採用され得る。その中、第1の多孔質プリフォーム製造方法としては、従来のVAD法、OVD法等による気相合成法に用いられる装置の中、気相原料が供給される部分に、上記のSiO2の粉末を供給する粉末供給装置を設けて、ここからSiO2の原料粉末をバーナに供給し、供給されたSiO2粉末を該バーナからの火炎と共に出発材に向けて噴出させて、火炎中で溶融または軟化したSiO2粉末を出発材上に付着、堆積させる方法である。
図1は本発明の透明ガラス体の製造方法において、上記第1の多孔質プリフォーム製造方法を実施するための装置の1例を模式的に示したものであり、本発明を説明するために必要な部分のみを表わしており、図に表わされていない装置なども適宜用いることができる。また、本明細書の各図面においては、共通する構成部分は同じ番号で表し、以下説明も省略する。
図1に例示した装置はOVD法として知られている外付け法と概略同じ構成を有する。
図1において、例えばガラスロッド等からなる出発材1が回転手段2と結合されていて、出発材1を囲んで反応容器4が配置される。バーナ6は出発材1の長手方向の回転軸とほぼ並行に往復移動することができるように、移動手段30と結合されて配置される。これとは別に、出発原料のSiO2粉末20は原料粉末供給管14を通じて必要に応じてその途中に設けられたバルブ15の開閉によって原料粉末供給用タンク11に供給し、貯蔵しておく。
多孔質プリフォームを製造する際には、エジェクタ21を動作させて原料吸出管22から流動化した原料粉末供給用タンク11中の原料のSiO2粉末20を吸出し、これがキャリアガス供給管13から通気されるアルゴン(Ar)ガスなどのキャリアガス(キャリアガスA)と混合され、キャリアガスAと共に原料粉末供給ライン16を通じて搬送され、その途中で混合用ガス供給ライン17から供給される混合用ガス(キャリアガスB)と混合され、原料粉末供給ライン16と連通する配管18からバーナ6の中心ポート7にこれらのキャリアガスA、Bと共にSiO2の原料粉末20が供給される。なお、エジェクタ21を動作させる際には、例えば、原料粉末供給用タンク11の底部側壁に設けられた通気口36からメッシュ12を通して空気などの流動化ガスを通気すると共に、原料粉末供給用タンク11の壁面等に設けた振動装置37を作動させて該タンク11中の原料粉末20を流動化させながら原料吸出管22から原料粉末20(SiO2粉末)を吸出させることによって原料粉末20の吸出をよりスムースに行うことができる。
酸水素バーナ等のバーナ6は中心に中心ポート7が配され、その外周には同心円状に外側ポート8が配されていて、外側ポート8には水素(H2)、メタン(CH4)、エチレン(C24)などの可燃性ガスおよび酸素(O2)、乾燥空気等の助燃性ガスとその外のシールガスが供給される。バーナ6を移動手段30により出発材1の回転軸とほぼ平行に往復運動させ、回転手段2により軸を中心に回転している出発材1上にバーナ6からの火炎9が吹き付けられ、火炎9によって溶融または軟化した原料のSiO2粉末20は、出発材1上または該出発材1上に既に付着しているSiO2を主成分とするガラス微粒子(多孔質プリフォーム10)の上に順次付着、堆積して出発材1の周囲(径方向)に多孔質プリフォーム10が形成される。
本例ではバーナ6を移動手段30により、回転している出発材1の回転軸とほぼ平行に往復運動させる例を示したが、これとは逆にバーナ6は固定しておき、図示していない出発材1の移動手段を更に設けて、出発材1を回転させながら回転軸とほぼ平行に往復運動させるとか、回転している出発材1とバーナ6との両方をほぼ平行かつ相対的に移動させるとか、また、バーナ6として複数のバーナを出発材1の回転軸方向に並置したバーナ列を用いることもできる。
図3(a)および(b)は本発明の透明ガラス体の製造方法において使用することができるバーナ6の具体化例を例示する断面図である。図1に例示したバーナ6は多重管バーナであり、図の簡略化のために外側ポート8を1つしか示していないが、実際に用いる多重管バーナは、例えば図3(a)に示されるように中心ポート7の外周に向かってそれぞれ隔壁35を隔てて第2ポート31、第3ポート32、第4ポート33および第5ポート34からなる4つの外側ポートを有する5重管バーナ、または外側ポートを7つ有する7重管バーナ等や、図3(b)に示されるような、原料粉末を供給する中心ポート7と該中心ポート7の周囲に各種ガスを通気する複数の外側ポート8が設けられたバーナをはじめとする、公知の構造のバーナを用いることができる。
本発明の透明ガラス体の製造のために用いられるキャリアガス等の各種ガスは、ガラス体製造のために従来から使用されているガスが適宜使用されるが、例えば原料のSiO2粉末20を流動化し、バーナ6へ搬送するためのキャリアガスAとしてはヘリウム(He)ガス、Arガス、窒素(N2)ガス、乾燥空気などのガスが使用され、所望によりキャリアガスAと共に搬送される原料粉末に、キャリアガスA以外にH2ガス、CH4ガス、C24ガスなどの可燃性ガスやO2ガス、乾燥空気などの助燃性ガス(キャリアガスB)が混合されて、バーナ6に供給される。
これらのガスの組合わせ例として、例えば、図3(a)に例示したバーナを用い、中心ポート7にはキャリアガスAとしてHeとH2の混合ガスを導入し、バーナ6の第2ポート31にはArガス、第三ポート32にはO2ガス、第4ポート33にはArガス、第5ポート34にH2ガスをそれぞれ供給するなど、中心ポート7に供給する原料粉末と共にキャリアガスAおよびBが任意に組み合わせてバーナ6に供給される。
図2は本発明の透明ガラス体の製造方法において、上記第1の多孔質プリフォーム製造方法を実施するための他の装置の1例を例示するもので、2種類の原料粉末を別々にキャリアガスによって搬送する場合の実施態様を模式的に示したものであり、図2に例示の装置はVAD法(軸付け法)と概略同じ構成を有する。バーナ6への粉末原料20、20aの供給手段として原料粉末供給用タンク11、11a内の底部近傍に設けた各メッシュ12、12a上に、それぞれ所定量の両原料粉末20、20aをバルブ15、15aの開閉により各原料粉末供給管14、14aから供給して貯蔵しておき、それぞれのキャリアガス供給管13、13aから供給されるキャリアガスAを通気しながらエジェクタ21、21aを作動させ、各原料粉末を流動化させて、原料粉末吸出管22、22aから吸出された粉末原料20、20aをそれぞれの原料粉末供給ライン16、16aを通じて搬送させ、原料粉末供給ライン16、16aの合流点で混合された両原料粉末20、20aは原料粉末供給ライン16中を引続き搬送され、さらにその途中から供給される混合用ガス(キャリアガスB)と混合されて、原料粉末供給ライン16、16aと連通する配管18を経由して両原料粉末20、20aがバーナ6の中心ポート7へ供給される点を除けば、原料粉末および各キャリアガスを供給するための装置の構成は図1に例示の構成とほぼ同様である。
なお本例では、エジェクタ21、21aを動作させている間は、原料粉末供給用タンク11、11aの各底部側壁に設けられた通気口36、36aからメッシュ12、12aを通して空気などの流動化ガスを通気し、また、同時に原料粉末供給用タンク11、11aの壁面等に設けた振動装置37、37aを作動させ、更に、回転手段38、38aにより、原料粉末供給用タンク11、11a内の中心に設けた駆動軸39、39aを回転させて、その先端に取付けられた攪拌翼40、40aを回転させて原料粉末20、20aを流動化させることにより原料吸出管22、22aからの原料粉末20、20aの吸出を容易にしている。
2種類の原料粉末の混合量はそれぞれ原料供給用タンク11および11aに保管しておく原料粉末の量や、通気するキャリアガスの流量などにより適宜調整する。また、3種以上の原料粉末を用いる場合には、図2の装置に原料タンク11、11aの外に第3、第4の原料供給用タンクを配置すればよい。
本発明の製造方法においても、主原料である、所定の比表面積および表面のSi−OH基濃度の上記SiO2とともに、これ以外の金属酸化物粉末を原料粉末として用いることにより、得られる透明ガラス体の光学特性や溶融時の粘性等の特性を調節することができる。例えば、SiO2にGeO2を約15%添加すると得られる透明ガラス体の屈折率を1%上昇することができ、SiO2にTiO2を添加することにより、得られる透明ガラス体の熱膨張率を低下させることができる。
図2に例示した装置を用いる本例の場合には、出発材1は回転手段2によって鉛直方向を回転軸として回転される。火炎9は出発材1上に吹き付けられて、火炎9中に含まれる原料のSiO2粉末20(ガラス微粒子)は、火炎9中で溶融または軟化され、回転している出発材1またはこれに一部付着、堆積しはじめたガラス微粒子の下部に付着して多孔質プリフォーム10の層が形成されるとともに、出発材1は昇降手段3によって上方に引上げることにより、多孔質プリフォーム10が出発材1の下方に堆積し、成長する。
なお、第1の製造方法による多孔質プリフォームを製造するには、図1および図2に例示した装置を用いた上述のような方法に限られるものではなく、その他にMCVD法やPCVD法等の気相合成による多孔質プリフォームの製造方法として従来から知られている各製造方法において使用される装置に、気相原料に代えてSiO2粒子を主成分とする粉末原料粒子を供給し、該各気相合成法に準じて多孔質プリフォームを製造することもできる。
本発明において多孔質プリフォームの製造方法(多孔質プリフォーム製造工程)としては、上記第1の多孔質プリフォーム製造方法の外に、原料のSiO2粉末、または必要に応じてSiO2粉末とこれ以外外の第2、第3成分である金属化合物の粉末との混合物を成形用の鋳型中に充填して加圧、成形体とする方法(第2の多孔質プリフォーム製造法)や、水、アルコール等の溶媒中に原料のSiO2粉末、または必要に応じてSiO2粉末とこれ以外の第2、第3成分である金属化合物の粉末との混合物を分散させてスラリー化し、これをメスシリンダーなど入れて静置し、溶媒を揮散させて脱水した後、乾燥して成形体とする方法(第3の多孔質プリフォーム製造法)等の方法も可能であり、これらの方法は比較的簡略な多孔質プリフォームの製造方法として推奨される。
上述のようにして得られた多孔質プリフォームは、次いで所定の温度に加熱、昇温し得て、炉内に通気し得る通気手段を備えた別のハロゲンドープ用の加熱炉(図示せず)に移して該通気手段により炉の内部にハロゲン化物のガスを通気しながら1000〜1400℃の所定の温度で熱処理することによってハロゲン元素をドープする。
図4はハロゲン元素添加工程において、ハロゲンガスを通気しながら前の工程(多孔質プリフォーム製造工程)で得られた多孔質プリフォームを熱処理する際の昇温曲線(昇温時間と温度との関係)を例示するものである。最初にHe、Ar等の不活性ガスを通気して多孔質プリフォームが収納されている容器内を不活性ガスで置換しながら、図4に示すように、例えば1000℃近辺の所定の温度(t1)まで昇温し、次いで不活性ガスに加えて、あるいは不活性ガスに代えてハロゲン化物ガスを炉内に通気しながら一定の時間その温度(t1)に保持し、この間にハロゲンを多孔質プリフォームに添加、含有させる。次いで、例えば1400℃近辺の該多孔質プリフォームが透明化し得る所定の温度(t2)まで昇温して焼結し、そのまま一定の時間保持してからハロゲン化物ガスの通気と加熱を停止して冷却することによって多孔質プリフォームにハロゲンがドープされた本発明の透明ガラス体を得る(ハロゲン化及び焼結工程)。
ハロゲン元素をドープするための上記ハロゲン化合物ガスとしては、SiF4、CF4、C26、CCl26、SF6等の弗素化合物からなるガスや、SiCl4、CCl4等の塩素化合物からなるガス等が使用されるが、特に、屈折率を下げる効果があり、また、単位ドープ量当たりの屈折率変化量が大きく、屈折率調整剤として好ましい等の点からこれらハロゲン化合物の中でも弗素化合物ガスを用いるのがより好ましい。特にフッ素がドープされたものは、光通信に使用する波長域での伝送損失を生じない光ファイバ用の母材として最適である。
なお、このハロゲン元素添加工程は、多孔質プリフォーム製造工程において出発原料として予めハロゲン元素が添加されたSiO2粉末を用いて多孔質プリフォームを製造した場合には省略されるが、その場合でも得られる多孔質プリフォーム中にドープされているハロゲン元素の濃度調整のためにこのハロゲン元素添加工程を設けてもよい。
次に実施例により本発明を説明する。
〔実施例1〕
原料粉末20として、表面に結合しているSi−OH基の濃度が2〜3.3個/nm2であり、BET法により測定した時の比表面積が380m2/gであり、平均一次粒子径が7nmであるSiO2微粒子粉末{商品名:AEROSIL(商標)380(日本アエロジル社製)を用い、製造装置としてVAD装置に粉末供給手段を後付けした図2に示す装置を用いる。出発材1として純シリカロッドを、また、バーナ6としては図3(a)に示した多重管バーナをそれぞれ用いて、順次以下の各工程を経て透明ガラス体を製造する。
(多孔質プリフォーム製造工程)
原料供給タンク11に上記原料粉末20を入れ、キャリアガスAとしてArガスをおよそ5L/分の供給速度でキャリアガス供給管13から通気し、原料供給タンク11下部の通気口36から流動化ガスとして空気を送り、メッシュ12を通して内部に流入させるとともに、振動装置37を作動させ、かつ駆動手段38により攪拌翼40を回転させて原料粉末20を流動化させながらエジェクタ21で原料粉末20を吸出して原料粉末20をArガスと共におよそ8g/分の供給速度で原料粉末供給ライン16に送る。なお、本例では、原料粉末20として用いたのはSiO2微粒子粉末だけなので、もう一方の原料供給タンク11aは使用せず、この未使用の原料供給タンク11aに連通する原料粉末供給ライン16aはバルブ15aを閉じて閉鎖しておく。
Arガスに搬送されて原料粉末供給ライン16中を流動してきた上記原料粉末20は、混合用ガスライン17から供給されるO2ガス(キャリアガスB)と混合され、配管18を経由してバーナ6の中心ポート7から火炎9中に噴出させて、出発材1の下端に多孔質プリフォームを付着、堆積させながら出発材1を徐々に上方に引き上げて、出発材1の軸方向に多孔質プリフォーム10を成長させる。
この時、バーナ6の第2ポート31、第3ポート32、第4ポート33及び第5ポート34には配管19を通してそれぞれシール用のArガス、H2ガス、ArガスおよびO2ガスを供給する。バーナ6の中心ポート7への供給速度は、SiO2粉末を10〜11g/分、SiO2粉末を搬送するキャリアガスとしてのArガスの供給速度を上述のように5L/分とし、キャリアガスB(O2ガス)は2L/分となるように調整される。また、バーナ6の第2ポート31〜第5ポート34に供給される各ガスの供給速度は、それぞれ第2ポート32に流すシール用のArガスをほぼ3L/分、第3ポート32に流すH2ガスをほぼ20L/分、第4ポート33に流すArガスをほぼ3L/分、第5ポート34に流すO2ガスをほぼ15L/分とする。
(ハロゲン元素添加工程及び焼結工程)
次に、バーナ6への原料粉末20および各キャリアガスの供給を停止して、上記多孔質プリフォーム製造工程で得られた多孔質プリフォーム10を反応容器4とは別の図示していない反応容器(石英製炉心管)内に移し、配管19からはHeガスを15SLMで供給して、その反応容器内にHeガスを通気しながら図4に示す昇温曲線(昇温時間と温度との関係)に従って炉心管内を電気炉で加熱、昇温する。
反応容器内の炉心管の温度が1050℃(t1=1050℃)に達したところでHeガスの供給を停止し、次に配管19からSiF4ガスを1000cc/分の流量で供給しながら反応容器内の炉心管の温度を1050℃に(1〜3時間)保持することにより、多孔質プリフォーム10にFが添加される。
ついで、SiF4ガスの通気を続けながらさらに昇温し、反応容器(炉心管)内の温度を1200℃(t=1200℃)でおよそ10分以内の短時間保持し、Fがドープされた実施例1の透明ガラス体を得る。
図5は、このようにして製造される実施例1の透明ガラス体の屈折率分布を、純石英ガラスに対する比屈折率差(Δn)で示したものである。図5において、横軸は透明ガラス体の径方向の距離を示し、縦軸は純石英ガラスに対する比屈折率差(純石英ガラスの屈折率に対する、実施例1の透明ガラス体と純石英ガラスとの屈折率差の比)を百分率で表したものであり、従来の製造方法によって製造した場合には純石英ガラスに対する比屈折率差が−0.75%程度であるのに対して、実施例1の透明ガラス体は純石英ガラスに対する比屈折率差がおよそ−1.26%である。
〔実施例2〕
原料粉末として、表面に結合しているSi−OH基の濃度が2.8〜4個/nm2であり、BET法により測定した時の比表面積が200m2/gであり、平均一次粒子径が12nmであるSiO2微粒子粉末{商品名:AEROSIL(商標)200(日本アエロジル社製)を用いる。製造装置として、VAD装置に粉末供給手段を後付けした図1に示す装置を用い、出発材1およびバーナ6は実施例1と同様のものを用いて、順次、以下の工程を経て透明ガラス体を製造する。
(多孔質プリフォーム製造工程)
原料供給タンク11に上記原料粉末20を入れ、Arガス(キャリアガスA)をおよそ5L/分の流量でキャリアガス供給管13から通気して、原料供給タンク11下部の配管37から流動化のためのガスとして空気を通気し、メッシュ12を通して原料供給タンク11内部に流入させるとともに、振動装置37を作動させて、原料粉末20を流動化させ、エジェクタ21により、原料粉末吸出管22より吸出した上記原料粉末20をキャリアガスAにより原料粉末供給ライン16中を搬送し、混合用ガス供給ライン17から供給されるO2ガス(キャリアガスB)と混合されて、配管18を経由してバーナ6の中心ポート7に供給し、中心ポート7から火炎9中に噴出される。バーナ6は、回転手段2によって軸を中心に回転している出発材1の軸方向とほぼ平行に移動手段30により往復移動させておき、火炎9中に噴出された原料粉末20を出発材1の周囲に付着、堆積させて、徐々に出発材1の軸方向に堆積させることによって多孔質プリフォーム10を製造する。なお、この時、多重管バーナの第2ポート31〜第5ポート34にはそれぞれ実施例1の場合と同様のガスを供給する。
(ハロゲン元素添加工程及び焼結工程)
次に、バーナ6への原料粉末および各キャリアガスの供給を止め、上記多孔質プリフォーム製造工程で得られた多孔質プリフォーム10を反応容器4とは別の反応容器(石英製炉心管)内に移し、以下、実施例1のハロゲン化工程及び焼結工程と同様にして、F元素がドープされた実施例2の透明ガラス体を得る。
〔実施例3〕
(多孔質プリフォーム製造工程)
原料粉末として、実施例1と同一のSiO2微粒子粉末{商品名:AEROSIL(商標)380(日本アエロジル社製)を用い、この原料粉末(SiO2微粒子粉末)と水とを1:2の重量比で混合し、これを鋳型に詰めて万力で押し固めることによりSiO2微粒子粉末からなる多孔質プリフォームの成形体を製造する。
(ハロゲン元素添加工程及び焼結工程)
実施例1の多孔質プリフォームの製造工程で得る多孔質プリフォーム10に代えて、上記のようにしてSiO2微粒子粉末を加圧成形して得られる多孔質プリフォームを実施例1のハロゲン化工程及び焼結工程において使用した反応容器(石英製炉心管)内に移し、以下、実施例1のハロゲン化工程及び焼結工程と同様にして上記のSiO2微粒子粉末を加圧成形して得られる多孔質プリフォームにFをドープし、これを焼結して実施例3の透明ガラス体を製造する。
〔実施例4〕
(多孔質プリフォーム製造工程)
原料粉末として、実施例1と同一のSiO2微粒子粉末{商品名:AEROSIL(商標)380(日本アエロジル社製)を用いる。この原料粉末(SiO2微粒子粉末)と水とを1:5の重量比で混合してSiO2微粒子粉末の水スラリーを調製し、これをメスシリンダーに投入し、スラリー中の水が蒸発して形が崩れない程度に固まったSiO2微粒子粉末をメスシリンダーから取出して1週間放置して自然乾燥させてから、この成形体を90℃で5時間加熱した後、更に200℃で5時間加熱することによってSiO2微粒子粉末からなる多孔質プリフォームの成形体を製造する。
(ハロゲン元素添加工程及び焼結工程)
実施例3の多孔質プリフォーム製造工程で得る多孔質プリフォームに代えて、上記のようにしてSiO2微粒子粉末を成形して得られる多孔質プリフォームの成形体を使用する以外は実施例3のハロゲン添加工程と同様にして、この多孔質プリフォームにFをドープし、これを焼結して実施例4の透明ガラス体を製造する。
〔実施例5〕
出発原料として実施例2で用いた出発原料と同一の微粒子粉末{商品名:AEROSIL(商標)200(日本アエロジル社製)を用い、ハロゲン元素添加工程において反応容器内(炉心管内)に供給するガスとしてSiF4ガスに代えてSiCl4ガスを用いる以外は実施例1と同様にして実施例5の透明ガラス体を製造する。
〔実施例6〕
原料粉末として、表面に結合しているSi−OH基の濃度が2.8〜4個/nm2であり、BET法により測定した時の比表面積が130m2/gであり、平均一次粒子径が16nmであるSiO2微粒子粉末{商品名:AEROSIL(商標)130(日本アエロジル社製)を用い、ハロゲン元素添加工程において配管19から反応容器内に供給するガスとしてSiF4ガスに代えてSiCl4ガスを用いる以外は実施例2と同様にして実施例6の透明ガラス体を製造する。
〔比較例1〕
(多孔質プリフォーム製造工程)
原料粉末として、加熱により気相化したSiCl4をArガスと共にバーナに供給して、火炎加水分解により製造した、表面に結合しているSi−OH基の濃度が2〜4個/nm2であり、BET法により測定した時の比表面積が25m2/gであり、平均一次粒子径が200nmであるSiO2微粒子粉末を原料粉末として用いる。
製造装置として、原料粉末供給装置が付設されていない従来の気相合成によるVAD製造装置を用い、酸水素バーナ中に原料ガスの代わりに原料として上記のSiO2微粒子粉末を供給して出発材に向け該バーナの火炎を噴出させて出発材上にSiO2からなる多孔質プレフームを製造する。
(ハロゲン元素添加工程および焼結工程)
上記のようにして多孔質プリフォームを得た後、バーナへの原料粉末及びキャリアガスの供給を停止して、上記多孔質プリフォーム製造工程で得られた多孔質プリフォームを該多孔質プリフォームの製造の際に用いた反応容器とは別の反応容器(石英製炉心管)内に移し、SiF4ガスを炉心管内に通気して実施例1と同様にして得られた多孔質プリフォームにF元素がドープされた比較例1の透明ガラス体を得る。
〔比較例2〕
得られた多孔質プリフォームのハロゲン元素添加工程において反応容器内に通気するハロゲン含有ガスとして、SiF4ガスに代えてSiCl4ガスを用いる以外は比較例1と同様にして比較例2の透明ガラス体を製造する。
〔比較例3〕
原料粉末として、表面に結合しているSi−OH基の濃度が2〜4個/nm2であり、BET法により測定した時の比表面積が50m2/gであり、平均一次粒子径が40nmである、SiO2微粒子粉末{商品名:OX(商標)50(日本アエロジル社製)を用いる以外は実施例1と同様にして比較例3の透明ガラス体を製造する。
上記実施例1〜6および比較例1〜3の各透明ガラス体の屈折率変化分{石英ガラスに対する比屈折率差(Δn)}を表1に示す。なお、表1には屈折率変化分と共に、各透明ガラス体の前駆物質である多孔質プリフォームの製法、用いる原料(原料化合物または商品名)、原料粉末の平均一次粒子径(nm)、比表面積(m2/g)、粒子表面のOH基濃度{単位平方nm当たりのOHの数(個/nm2)}およびハロゲン元素添加工程におけるハロゲン添加用雰囲気(雰囲気ガスの組成)も併せて示す。
表1に示す各実施例及び比較例の製造方法は、VAD法用の装置に粉体供給装置を設けて(図2に例示の装置)気相原料の供給部に粉体原料を供給して多孔質プリフォームを製造する製造法を採用するものを「VAD+粉」と略記し、OVD法用の装置に粉体供給装置を設けて(図1に例示の装置)気相原料の供給部に粉体原料を供給して多孔質プリフォームを製造する製造法を採用するものを「OVD+粉」、原料粉末を鋳型中で加圧成形して多孔質プリフォームを製造する製造法を採用するものを「圧粉」、原料粉末を水などの溶媒中に分散させたスラリーから成形して多孔質プリフォームを製造する製造法を採用するものを「スラリー」とそれぞれ略記し、気相原料からVAD法による従来の製法で多孔質プリフォームを製造したもの「通常VAD」と略記した。
Figure 0004407328
表1に示した実施例1〜4と比較例1との比較からわかるように、原料として表面に一定濃度以上のOH基を有するSiO2粒子の粉末を用い、これにハロゲン元素としてFをドープした場合、従来のVAD法により製造された透明ガラス体の純石英ガラスに対する比屈折率差がおよそ−0.73%程度であるのに対して、本発明の製造方法により製造された透明ガラス体の純石英ガラスに対する比屈折率差は−1.01〜−1.26であり、純石英ガラスに比べて著しく屈折率が低下する。また、実施例5、6と比較例2との比較からわかるように、ハロゲン元素としてClをドープした場合、従来のVAD法により製造された透明ガラス体に比べてその純石英ガラスに対する比屈折率差が大きくなっている。
更に、実施例1と比較例2との比較からもわかるように、出発原料として表面に一定濃度以上のOH基を有するSiO2粒子の粉末を用いる場合でも、用いられるSiO2粒子の比表面積が小さいと得られる透明ガラス体の純石英ガラスに対する比屈折率差が小さく、また、実施例6と比較例2との比較からもわかるように、用いられるSiO2粒子の比表面積が130m2/g程度以上であれば従来のVAD法により製造される透明ガラス体よりも純石英ガラスに対する比屈折率差を大きくすることができる。
本発明の製造方法を実施する際の多孔質プリフォームを製造するための装置の1例を模式的に示した図である。 本発明の製造方法を実施する際の多孔質プリフォームを製造するための装置の他の1例を模式的に示した図である。 本発明の製造方法において用いる多重管バーナを模式的に示した図である。 本発明の製造方法におけるハロゲン添加工程での反応容器の昇温曲線を例示する図である。 本発明の製造方法により得られた透明ガラス体の純石英ガラスに対する比屈折率分布を例示す図である。 本発明において原料粉末として使用されるSiO2粉末にフッ素化合物ガスを接触させた際の粒子表面での化学反応を模式的に示す図である。 本発明において原料粉末として使用されるSiO2粉末に塩素ガスを接触させた際の粒子表面での化学反応を模式的に示す図である。
符号の説明
1 出発材、 2 回転手段
3 昇降手段、 4 反応容器
5 排気孔、 6 バーナ
7 中心ポート、 8 外側ポート
9 火炎、 10 多孔質プリフォーム
11、11a 原料粉末供給用タンク、 12、12a メッシュ
13、13a キャリアガス、 14、14a 原料粉末供給管
15、15a バルブ、 16 原料粉末供給ライン
17 混合用ガス供給、 18、19 配管
20、20a 原料粉末、 21 エジェクタ
22 原料粉末吸出管、 30 移動手段
31 第2ポート、 32 第3ポート
33 第4ポート、 34 第5ポート
35 隔壁 36、36a 通気口
37、37a 振動装置 38、38a 回転手段
39、39a 回転軸 40、40a 攪拌翼

Claims (6)

  1. SiO粉末を原料とする透明ガラス体の製造方法において、
    比表面積が130m/g以上であり、その表面に単位平方ナノメータ当たり1(個/nm)以上の濃度のSi−OH基が形成されているSiO粉末を使用して
    前記SiO 粉末をバーナへ搬送し、該バーナからターゲット上に噴出させることにより該ターゲット上にSiO 微粒子を堆積させて多孔質プリフォームを製造した後に、
    該多孔質プリフォームにハロゲンを添加し、
    さらにこれを焼結する
    ことを特徴とする透明ガラス体の製造方法。
  2. SiO粉末を原料とする透明ガラス体の製造方法において、
    比表面積が130m/g以上であり、その表面に単位平方ナノメータ当たり1(個/nm)以上の濃度のSi−OH基が形成されているSiO粉末に予めハロゲンを含有させておき、該ハロゲンを含有させたSiO粉末を使用して
    前記SiO 粉末をバーナへ搬送し、該バーナからターゲット上に噴出させることにより該ターゲット上にSiO 微粒子を堆積させて多孔質プリフォームを製造した後、
    該多孔質プリフォームを焼結する
    ことを特徴とする透明ガラス体の製造方法。
  3. 前記ハロゲンの供給源がハロゲン化珪素であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の透明ガラス体の製造方法。
  4. 前記ハロゲンが弗素(F)であることを特徴とする請求項1〜項のいずれか1項に記載の透明ガラス体の製造方法。
  5. 前記SiO粉末の比表面積が400m/g以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の透明ガラス体の製造方法。
  6. 前記焼結する温度が900〜1300℃であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の透明ガラス体の製造方法。
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