JP5625037B2 - ガラス母材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、従来の脱水剤である塩素ガスや塩化チオニルを使用しなくても多孔質シリカガラスを脱水することが可能なガラス母材の製造方法、更には光ファイバや光学部品等の光学用途に適用可能なほど高純度で、かつアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物の添加物濃度を制御して導入することが可能なガラス母材の製造方法に関する。
従来、多孔質シリカガラスの脱水剤として、塩素(Cl)や塩化チオニル(SOCl)等の塩素系のガスが用いられている。特許文献1,2には、従来の塩素処理に対して、多孔質シリカガラスを、塩素を含まず、一酸化炭素(CO)を含む還元性の雰囲気下で焼結する方法が記載されている。
また、アルカリ金属酸化物、あるいはアルカリ土類金属酸化物がドープされたシリカガラスを用いて作製した光ファイバは、伝送損失が低下することがこれまで多くの先人により示されてきたが(例えば、非特許文献1参照)、これを工業的に大量生産する技術は未完成である。既存の光ファイバの製造方法においては気相での加水分解反応、もしくは酸素による熱酸化反応を用いるため、例えば四塩化ケイ素(SiCl)、四塩化ゲルマニウム(GeCl)など、ガス状の原料を使用する必要がある。
しかしながら、いわゆる硬いカチオンであるアルカリ金属イオン、あるいはアルカリ土類金属イオンは、非常に強いイオン結合を形成するため、それらの化合物(塩)は常温かつ常圧付近では固体となることがほとんどである。従って、ガスとなる化合物をほとんど形成しないため、光ファイバの製造には適用が困難だった。そのため、アルカリ金属酸化物、あるいはアルカリ土類金属酸化物がドープされた光ファイバを商用生産するためには、従来この分野で確立された方法とは異なる製造方法を開発しなければならない。
このような課題に対して、これまで様々な取り組みがなされてきた。例えばアルカリ金属化合物が易水溶性であることを利用して、アルカリ金属化合物の水溶液を霧状にして原料ガス中に混合して酸水素火炎に導入し、他の原料と同時に加水分解してガラスを形成する方法が試された。また、ある種のアルカリ金属化合物と他の金属化合物とを反応させて得られる複合塩は、元のアルカリ金属化合物よりも蒸気圧が高くなることが知られており、この複合塩を原料として利用する試みもなされた。
更に最近では、アルカリ金属ハロゲン化物を強加熱してアルカリ金属蒸気とし、光ファイバ前駆体ガラスをこれに曝してドープする方法が試された。さらに、アルカリ金属ハロゲン化物を加熱して蒸気とした後に直ちに冷却して微粒子化し、これを適当なガス流で運搬することでエアロゾルとして原料供給する方法も試された。
特表2004−523454号公報 特許第4540034号公報
M.E. Lines、"A possible non-halide route to ultralow loss glasses"、Journal of Non-Crystalline Solids、1988年、第103巻、p.279−288
従来、多孔質シリカガラスの脱水剤として用いられている塩素ガスや塩化チオニルは、それぞれ気体、あるいは発煙性の液体であり、人体に対する毒性も高いので、装置等からの漏出を防ぐためには万全の対策が必要であり、取扱いが難しいという問題がある。
また、シリカガラスにアルカリ金属酸化物、あるいはアルカリ土類金属酸化物がドープする方法に関しては、上述のアルカリ金属化合物の水溶液を用いる方法は、本来光ファイバの製造においては損失増加の原因となる水分の混入を避けるべきである、という観点とは逆行する製造方法である。また、上述の蒸気圧の大きな複合塩を形成させて蒸気として導入する方法では、蒸気圧の上昇の程度が小さく効果は非常に限定的で、しかも本来光ファイバの機能に不必要な化学種を加えることになるため、伝送損失の上昇をもたらすことが懸念される。
更に、アルカリ金属化合物を強加熱してアルカリ金属蒸気を得る方法は、その還元反応の反応機構が不明確であり、現実性に乏しい。エアロゾルを用いる方法では、原料にガスを用いる従来の方法に比べて、原料供給量の制御性にやや難がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来の脱水剤である塩素ガスや塩化チオニルを使用しなくても多孔質シリカガラスを脱水することが可能なガラス母材の製造方法を提供する。更には光ファイバや光学部品等の光学用途に適用可能なほど高純度で、かつアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物の添加物濃度を制御して導入することが可能なガラス母材の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、シリカガラスを脱水して焼結するガラス母材の製造方法であって、多孔質のシリカガラスの表面の水酸基に、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を気化させて接触させることにより、前記シリカガラスを脱水し、次いで、前記シリカガラスを焼結し、透明なガラス体とすることを特徴とするガラス母材の製造方法を提供する。
前記課題を解決するため、本発明は、シリカガラスを脱水し、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物をドープして焼結するガラス母材の製造方法であって、多孔質のシリカガラスの表面の水酸基に、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を気化させて接触させることにより、前記シリカガラスを脱水し、かつ、前記シリカガラスにアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物をドープし、次いで、前記シリカガラスを焼結し、透明なガラス体とすることを特徴とするガラス母材の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記ガラス母材の製造方法により製造したガラス母材を用いた光ファイバを提供する。
また、本発明は、前記ガラス母材の製造方法により製造したガラス母材をコアに用いた光ファイバを提供する。
また、本発明は、前記ガラス母材の製造方法により製造したガラス母材をクラッドに用いた光ファイバを提供する。
また、本発明は、前記ガラス母材の製造方法を用いて光ファイバプリフォームを製造する工程と、前記光ファイバプリフォームを紡糸する工程を備える光ファイバの製造方法を提供する。
また、本発明は、前記ガラス母材の製造方法を用いて光ファイバのコア母材を作製する工程と、前記コア母材の周囲にクラッドを形成して光ファイバプリフォームを製造する工程と、前記光ファイバプリフォームを紡糸する工程を備える光ファイバの製造方法を提供する。
本発明によれば、従来の脱水剤である塩素ガスや塩化チオニルを使用しなくても多孔質シリカガラスを脱水することができる。また、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物の添加物濃度を制御してシリカガラスにドープすることが容易で、かつシリカガラスの結晶化を抑制することができる。
本発明に用いられる製造装置の一例を示す図である。 シリカ(SiO)の相図を示す図である。
以下、好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。
本形態例のガラス母材の製造方法は、シリカガラスを脱水して焼結するガラス母材の製造方法であって、多孔質のシリカガラスの表面の水酸基に、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を気化させて接触させることにより、シリカガラスを脱水し、かつシリカガラスにアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物をドープする脱水−ドープ工程と、シリカガラスを焼結して透明なガラス体とする焼結工程を有する。
周期表の第二周期のリチウムとベリリウムはやや特殊な性質を示すが、アルカリ金属、すなわち、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの化合物(塩)や、アルカリ土類金属、すなわち、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムは強塩基性であり、種々の酸性アニオンと塩を形成することができる。強い酸と弱い酸が共存するときには、より弱い酸と結合を形成する方向に平衡が移動する。逆に例えばハロゲンなどの強酸性の物質は、強い塩基と弱い塩基が共存するときには、より弱い塩基と結合を形成する方向に平衡が移動する。
典型的な例は食塩(NaCl)の水への溶解で、次の式(1)のような反応式の平衡は、大きく右に寄っている。
Figure 0005625037
ところで、VADやOVDといった光ファイバ用ガラスの製造には、酸水素火炎による熱酸化反応が利用されている。そのため、これらの光ファイバ用ガラスの製造方法で作製されたシリカには、大量の水(水酸基)が含まれている。高品質な光ファイバ用ガラス母材を得るためには、一旦、シリカ微粒子の集合体、いわゆるシリカガラススートの状態としたのち、塩素(Cl)や塩化チオニル(SOCl)等、ハロゲン元素を含有するガスの雰囲気中で加熱脱水したのち、さらに高い温度で加熱して透明で中実なガラス体に焼結する工程を経て、ガラス母材を製造している。
シリカ微粒子表面の水酸基(便宜的にH−O−(SiOで表す)は両性で、弱い酸としても弱い塩基としてもふるまう。ここに、強酸−強塩基の組み合わせからなる塩が作用すると、次の式(2)のような反応が進行することが期待される。
Figure 0005625037
すなわち、シリカガラススートにアルカリ金属化合物(塩)やアルカリ土類金属化合物(塩)を作用させることで、アルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオンのドープを行うと同時に、シリカガラススートの脱水も可能になる。また、このとき生成する弱塩基−強酸からなる塩(式(2)ではHCl)がガスであれば、系内から容易に除去できるため、光ファイバの伝送損失を悪化させる不純物とならず、特に好ましいといえる。
アルカリ金属化合物(塩)やアルカリ土類金属化合物(塩)は、一般に次のような性質を示す。
例えば塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物などのハロゲン化物、酸化物、水酸化物などの多くは化学的に安定で、分解することなく融点を示す。ただし、イオン半径の大きなアルカリ金属の酸化物、例えば酸化カリウム(KO)は、過酸化物(K)とカリウム(K)に分解する。炭酸水素塩はかなり低温で分解して炭酸塩となるが、炭酸塩は融点を示し、さらに加熱すると酸化物に分解する。硫化物は大気中の酸素や二酸化炭素と反応して、それぞれ酸化物や炭酸塩に変化するが、不活性ガス中では融点を示す。硝酸塩は比較的低い融点を示すが、融点以上で亜硝酸塩に分解する。いくつかの例を表1に示す。
式(2)の反応が進行したときに生成する弱塩基−強酸からなる塩がガスとなるアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩は、ハロゲン化物、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩などである。硫化物や硫酸塩は不揮発性の硫酸を副生する可能性があり、好適とはいえない。
Figure 0005625037
これらのアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の融点は、シリカガラスの融点、あるいはシリカガラススートが稠密化して中実の透明ガラス体となる焼結温度よりも低い場合がほとんどで、シリカガラスの融点や焼結温度以下の温度領域でも、蒸気圧は低いながらも気化することができる。酸化物や炭酸塩等に分解する場合も、酸化物や炭酸塩等として気化することができる。そこで、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の蒸気又は液滴とシリカガラススートを焼結温度以下で接触させれば、シリカガラススートの脱水と同時に、シリカガラスにアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物をドープすることが可能になる。以上のことから、脱水−ドープ工程の温度は、少なくとも、用いるアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物の融点以上であることが必要である。
アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物としては、同一のアルカリ金属元素の化合物を2種類以上併用することもでき、異なるアルカリ金属元素の化合物を2種類以上併用することもでき、同一のアルカリ土類金属元素の化合物を2種類以上併用することもでき、異なるアルカリ土類金属元素の化合物を2種類以上併用することもでき、アルカリ金属化合物とアルカリ土類金属化合物を合わせて2種類以上併用することもできる。シリカガラスにアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物を、2種類以上ドープすることも可能である。
被ドープシリカガラスは、純粋なシリカ(SiO)ガラスでもよく、フッ素(F)や酸化ゲルマニウム(GeO)等の通常の光ファイバで用いられる添加物がドープされたシリカガラスでもよく、目的のドープ量より少ないアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物がドープされたシリカガラスでもよい。2種類以上の添加物が含まれるシリカガラスを被ドープシリカガラスとすることもできる。
図1に、本形態例のガラス母材の製造方法に用いられる製造装置の一例を示す。この製造装置10は、加熱炉11と、被処理シリカガラス12を支持する軸13を有する。図1に示す加熱炉11は、内部に被処理シリカガラス12を収容する際に開閉可能な複数の部分、すなわち、本体(炉心管)11a及び蓋体11bから構成されている。軸13は、中心線の周囲で回転させたり、長手方向に沿って移動させたりすることができる構造とすることも可能である。ここで、「被処理シリカガラス」とは、ガラス母材の原材料となるシリカガラス、すなわちドープ前の被ドープシリカガラスと、この被ドープシリカガラスから誘導されるドープ途中及びドープ後のシリカガラスを総称する意味であり、製造装置内のシリカガラスで構成され得る他の部材を含まない。
加熱炉11は、被処理シリカガラス12を加熱するガラス加熱部(均熱焼結部)14と、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物のドープ材料16を加熱するドープ材料加熱部(気化部)15を有する。これにより、被処理シリカガラス12の温度とドープ材料16の温度とを、別々に制御することが可能である。
ガラス加熱部14の外周には、1つ又は2つ以上のガラス加熱用ヒータH1が設けられている。図1の場合、ガラス加熱用ヒータH1は、被処理シリカガラス12の全体よりも長い円筒状のヒータが一体に設けられており、被処理シリカガラス12の全体を均等に加熱することが可能な均熱炉を構成している。被処理シリカガラス12の長手方向に複数のヒータを設置することも可能である。この場合は、すべてのヒータを発熱させて被処理シリカガラス12の全体を加熱することにより均熱炉として使用したり、一部のヒータを発熱させて被処理シリカガラス12の一部を加熱する傾斜炉として使用したりすることができる。脱水−ドープ工程においては、被処理シリカガラス12の全体を均等に加熱することが好ましい。焼結工程においては、被処理シリカガラス12の一部を加熱しながら、被処理シリカガラス12を長手方向に移動させ、被処理シリカガラス12を一端側から徐々に焼結した場合、多孔質ガラスの内部に含まれるガスが中実化する際に被処理シリカガラス12の外部に放出されやすく、透明なガラス体への気泡の残留を抑制することができる。また、ガラス加熱部14に複数のヒータを設ける場合に、各ヒータの温度を変えて、温度勾配を設けることもできる。
ドープ材料加熱部15の外周には、1つ又は2つ以上のドープ材料加熱用ヒータH2が設けられている。ドープ材料加熱用ヒータH2によりドープ材料16(アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物)をその融点以上に加熱すると、ドープ材料16から気化した蒸気18を加熱炉11内に発生させ、被処理シリカガラス12の表面(外表面や多孔質の内部表面)に接触することが可能である。
ドープ材料16は、加熱炉11の内部に設置されたドープ材料保持部17に保持されている。ドープ材料保持部17は、皿等の容器を図示しない支柱や腕、格子などの支持体により支持することができる。このように、ドープ材料16を加熱炉11の内壁から離れた位置に設置することにより、ドープ材料の乾燥工程等の際、ドープ材料の周囲に水分等の不純物を運搬するためのキャリアガスを効率よく流通させることができる。
加熱炉11は、内部にガスを流入させる入口(ガス導入口)19と出口(ガス排出口)20を有する。多孔質の被処理シリカガラス12の脱水−ドープ工程を行う場合、あるいはその前工程として、ドープ材料16の乾燥工程を同じ加熱炉11内で行う場合、ドープ材料16や被処理シリカガラス12から排出される水分の排出を促進するため、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N)等の不活性ガスからなるキャリアガスを、ガス導入口19からガス排出口20へと流通させることができる。また、脱水−ドープ工程では、従来の脱水剤である塩素(Cl)や塩化チオニル(SOCl)等の塩素系ガスをキャリアガスに混合する必要はない。ガス導入口19は、キャリアガスや脱水剤等を供給するガス供給装置(図示せず)に接続される。また、ガス排出口20は、排出されるガスに混じるガラス微粒子や、脱水時に生成する弱塩基−強酸からなる塩等を除去するため、適切な除去装置(スクラバ。図示せず)に接続される。光ファイバの製造においては損失増加の原因となる水分の混入を避けるため、加熱炉11内に導入するガスは、水分量を十分に低減した乾燥気体であることが望ましい。
脱水−ドープ工程では、多孔質の被処理シリカガラス12を、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物16とともに、加熱炉11内に保持する。脱水−ドープ工程における加熱炉11の内部温度は、必ずしもドープ材料16の沸点以上ではないため、ドープ材料の蒸気18は、ドープ材料の液滴又は微粒子を含んでいてもよい。脱水−ドープ工程の間、加熱炉11の入口19及び出口20を開放し、ガスを流通させる。ドープ材料16を沸点以上の高温の蒸気とする場合に比べて、ドープ材料の蒸気18が被処理シリカガラス12の表面に付着しやすくなる。また、ドープ材料16を沸点以上の高温とする場合、その温度によっては、被処理シリカガラス12が結晶化、あるいは軟化(更には液化)して、ガラス状態や形状、組成分布を維持することが困難になる場合がある。そこで、加熱炉11内をガラス加熱用ヒータH1により、ドープ材料16(アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物)の融点以上で、かつ、ドープ処理時間内で被処理シリカガラスが結晶化する温度より低い温度に保つことにより、被処理シリカガラス12を脱水すると同時にアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物を効率よくドープすることができる。処理温度や処理時間等を調整することにより、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物の添加物濃度を制御して導入することが可能である。
気液平衡状態のドープ材料によるドープ量は、シリカガラスに対する接触時間及び接触面積に比例する。このため、被処理(被ドープ)シリカガラスとしては、中実なガラスの塊ではなく、ガラスの微粒子スートの集合体など、多孔質であると好ましい。多孔質のシリカガラスは、例えばVAD(Vapor phase axial deposition)法やOVD(Outside vapor deposition)法などの方法により形成することが可能である。スートの集合体は、シリカガラスからなる支持体、例えばシリカガラスからなる棒(ロッド)や管(チューブ)等の出発部材の外周や先端部にスートを堆積させることで、所望の寸法に成長させることができる。VAD法の場合、出発部材の先端部から、スートを長さ方向に成長させることにより、半径方向の中心部までスートで形成された大型の集合体を形成できるため、好ましい。図1に示すように、多孔質の被処理シリカガラス12をVAD法で作製した場合、ガラススートを堆積させる出発母材の一部又は全部を、被処理シリカガラス12を支持する軸13として用いることができる。例えばVAD法により製造される多孔質のシリカガラスは、比表面積が5〜20m/gであり、好適に使用することができる。
ドープ処理の温度は、少なくとも、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物が気化するため、その融点以上であることが必要である。温度が高いほどアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンがシリカガラス中に速く拡散するため、より短時間でドープ可能である。しかし、アルカリ金属塩などが存在するとシリカガラスは結晶化しやすく、クリストバライトやトリディマイトなどの結晶性シリカが生成しやすい。純粋なバルクのシリカガラスでは、1000〜1700℃程度の温度範囲で最も結晶化しやすいが、シリカガラス中にアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンの濃度が増加するにつれて、シリカガラスが結晶化しやすい温度範囲は低下する。被処理シリカガラスの結晶化を抑制するため、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物のドープは、ドープ処理時間中に被処理シリカガラスが結晶化する温度範囲より低い温度で行う必要がある。そのため、必要なドープ量やドープ処理時間等にもよるが、ドープ処理温度は700〜950℃が好ましい。
焼結工程は、被処理シリカガラス12を加熱炉11内に留めたまま、脱水−ドープ工程に引き続いて、実施することができる。焼結工程を実施する前に、加熱炉の雰囲気中及び被処理シリカガラスの表面に存在する未反応のドープ材料を排出する工程を設けることができる。これにより、焼結工程中にアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物のドープ量が変化(増加)することを抑制することができる。この場合でも、ドープ材料加熱部15が十分に冷却されれば、ドープ材料保持部17内のドープ材料16を加熱炉11内に留めたまま、焼結工程を実施して構わない。
アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物がドープされた多孔質の被処理シリカガラス12を焼結することにより、透明なガラス体を得ることができる。このとき、シリカガラスが結晶化しやすい温度範囲をできるだけ早く通過するような速い昇温速度で加熱することにより、あるいは被処理シリカガラスが結晶化しやすい温度範囲を避け、焼結処理時間内で被処理シリカガラスが結晶化する温度より低い温度に保ちながら、多孔質の被処理シリカガラスを焼結することにより、被処理シリカガラスの結晶化を抑制して、ガラス状態を保つことができる。
シリカガラスが結晶化しやすい温度範囲は、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物のドープ量等にもよるが、おおよそ1000〜1300℃である。速い昇温速度で加熱する場合は、この温度範囲の間、高速で昇温する。昇温速度としては、10〜20℃/min以上であり、例えば10〜20℃/minが好ましい。
図2に、シリカ(SiO)の相図を示す。シリカは低温型石英(図2ではlow Q)、高温型石英(図2ではhigh Q)、トリディマイト(図2ではT)、クリストバライト(図2ではC)等の異なる結晶構造を有することが知られている。トリディマイトやクリストバライトは、石英に比べると密度が低いため、圧力が比較的低い条件下で安定に存在する。常圧(1気圧)ではクリストバライトが安定に存在する上限温度(シリカの融点)は約1730℃であるが、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物がドープされると、低粘度化によりクリストバライトの安定な温度範囲が200〜300℃程度低下し、おおむね1200℃以上でクリストバライトが安定になる。
石英の生成速度が非常に遅く、石英が安定な領域ではガラス状態が保たれること、また、トリディマイトはガラスから直接生成せず、クリストバライトから相転移して生成することを考慮すると、被処理シリカガラスの結晶化を防ぐには、クリストバライトの生成を抑制することが重要である。高温型石英−低温型石英間のように原子配列の大きな変化を伴わない相転移は速く進行するが、石英、トリディマイト、クリストバライト等の間の相転移は、原子配列の大きな変化を伴うため、水分の少ない条件下では起こりにくい。そこで、昇温速度を速く、あるいは焼結温度を低くすることで、クリストバライトの生成を抑制し、焼結を行うことができる。
昇温速度を速くする方法の場合、このような高速の昇温を開始する温度(高速昇温開始温度)は、被処理シリカガラスが結晶化しやすい温度範囲よりやや低い温度であり、1000℃以下が好ましい。焼結工程の前に加熱炉の雰囲気がより低温であった場合、焼結の開始に際して前記高速昇温開始温度まで加熱する必要がある。前記高速昇温開始温度以下の温度範囲では、昇温速度は特に限定されず、被処理シリカガラスの歪みを抑制するため、より低速で昇温することができる。前記高速昇温開始温度以下での昇温速度は、例えば1〜10℃/minである。高速の昇温を終了する温度(高速昇温終了温度)は、多孔質の被処理シリカガラス12が焼結されて透明なガラス体となる焼結温度である。この焼結温度は、被処理シリカガラスの融点より低い温度であることが好ましい。被処理シリカガラスが液体となる高温に加熱すれば、結晶化を防ぐことはできるけれども、ガラス体が形状や添加物濃度分布を保つことができない。そこで、高速昇温終了温度は、被処理シリカガラス12がガラス状態を保つことができる温度範囲において、例えば1300〜1400℃が挙げられる。焼結温度に達した後、透明なガラス体が得られるまで焼結温度の範囲内に保ち、その後、放冷する。焼結温度の範囲内に保っている間は、焼結温度が一定であってもよく、あるいは焼結温度の範囲内で任意に昇温又は降温をすることもできる。
焼結温度を低くする方法の場合、焼結温度は、被処理シリカガラスが結晶化しやすい温度範囲よりやや低い温度であり、1000℃以下、例えば900〜1000℃が好ましい。透明なガラス体が得られるまで焼結温度の範囲内に保ち、その後、放冷する。焼結温度の範囲内に保っている間は、焼結温度が一定であってもよく、あるいは焼結温度の範囲内で任意に昇温又は降温をすることもできる。
得られる透明なガラス体は、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物が乾燥した雰囲気下でドープされるため、水酸基(−OH)の含有量が低く、高純度で、伝送光の損失を抑制することができるので、光ファイバやレンズ、プリズム等の光学部品を製造するためのガラス母材として利用可能である。
本発明のガラス母材の製造方法は、光ファイバや光学部品等の製造方法の中で、該光ファイバや光学部品等を構成する、一部又は全部のガラスの製造に利用することができる。光ファイバの製造方法としては、本発明のガラス母材の製造方法を、コアの一部又は全部の製造に利用してもよく、クラッドの一部又は全部の製造に利用してもよく、コアとクラッドのそれぞれの製造に同時に利用してもよい。
光ファイバの製造方法としては、本発明のガラス母材の製造方法を用いて光ファイバプリフォームの一部又は全部を製造し、得られた光ファイバプリフォームを紡糸する等の工程により製造する方法が挙げられる。コアのみに本発明のガラス母材の製造方法を用いる場合は、本発明のガラス母材の製造方法を用いて光ファイバのコア母材を作製した後、このコア母材の周囲に通常の方法を用いてクラッドを形成して光ファイバプリフォームを製造し、さらに紡糸する等の工程により製造する方法が挙げられる。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
通常のVAD法により、シリカガラスのみからなるスートを作製し、これを加熱炉に入れた。アルカリ金属イオン源として、塩化カリウム(KCl、純正化学株式会社製、純度99.9%以上)を粉末としてシリカガラス製の皿に静置し、同じく炉の中に入れた。シリカガラススートとKClは、同じ炉内に設置されるが、空間的には離れた位置にあり、別々に加熱できる機構とした。炉内の雰囲気の圧力は1気圧である。
まず、皿に入ったKClの温度をその融点より十分に低い200℃に保ち、乾燥したヘリウム(He)を炉内に流通させて、KClを乾燥した。次いで、炉内全体をHeのみに置換して水分と塩素を十分に排出した後、シリカガラススートとKClの加熱温度を、それぞれ800℃(KClの融点よりわずかに高い)とし、さらにHeを流通させた状態で1時間放置した。その後、シリカガラススートの温度を800℃に保持したまま、皿に入ったKClの温度をその融点より十分に低い200℃まで冷却したのち、炉内に再度Heを流通させ、雰囲気中及びシリカガラススートの表面に存在する未反応のKClを炉内から排出した。
酸素(O)を含むHeで炉内を置換したのち、この混合ガスを流通させたまま、KClがドープされたシリカガラススートを昇温速度10℃/min以上で1300℃に達するまで加熱して、さらにシリカガラススートの温度を1300℃に保持したまま、2時間放置し、シリカガラススートを焼結して中実のシリカガラスとした。最後に放冷して、シリカガラスの温度が500℃以下になったところで炉内からシリカガラスを取り出した。
(実施例2)
KClの乾燥工程と、シリカガラススートの脱水−ドープ工程を実施例1と同様に実施し、焼結工程を次のように変更した。
酸素(O)を含むHeで炉内を置換したのち、この混合ガスを流通させたまま、KClがドープされたシリカガラススートを980℃に加熱して、12時間放置し、シリカガラススートを焼結して中実のシリカガラスとした。最後に放冷して、シリカガラスの温度が500℃以下になったところで炉内からシリカガラスを取り出した。
(比較例1)
通常のVAD法により、シリカガラスのみからなるスートを作製し、これを加熱炉に入れた。Heで炉内を置換したのち、シリカガラススートの温度を950℃とし、さらにHeを流通させた状態で5時間放置した。
その後、炉内にHeを流通させたまま、昇温速度10℃/min以上で1440℃に達するまで加熱して、さらにシリカガラススートの温度を1440℃に保持したまま、1時間放置し、シリカガラススートを焼結して中実のシリカガラスとした。最後に放冷して、シリカガラスの温度が500℃以下になったところで炉内からシリカガラスを取り出した。
(比較例2)
通常のVAD法により、シリカガラスのみからなるスートを作製し、これを加熱炉に入れた。脱水剤として塩化チオニル(SOCl)を含むHeで炉内を置換したのち、この混合ガスを流通させたまま、シリカガラススートの温度を950℃とし、さらに3時間放置した。
Heで炉内を置換したのち、Heを流通させたまま、昇温速度10℃/min以上で1440℃に達するまで加熱して、さらにシリカガラススートの温度を1440℃に保持したまま、1時間放置し、シリカガラススートを焼結して中実のシリカガラスとした。最後に放冷して、シリカガラスの温度が500℃以下になったところで炉内からシリカガラスを取り出した。
(比較例3)
実施例1と同様に、KClの乾燥工程と、シリカガラススートの脱水−ドープ工程、及び焼結工程を行ったが、雰囲気中及びシリカガラススートの表面に存在する未反応のKClを炉内から排出する工程を行わずにシリカガラスを作製した。
得られたシリカガラスの内部には、結晶化によるとみられる多数の欠陥が見られ、炉内から取り出し室温まで放冷するまでの間に、シリカガラス表面まで達する多数のひび割れが生じ、一部は破断して、中実のシリカガラスは得られなかった。
上記で作製したシリカガラスの含水量はいずれの場合も非常に小さく、容易には定量できない。しかし、シリカガラスの周囲に、より低屈折率の、例えばフッ素をドープしたシリカガラスを形成すると、前者をコア、後者をクラッドとする光ファイバ用母材(光ファイバプリフォーム)を作製することができる。さらにこれを光ファイバ化して伝送損失の波長依存性を測定し、水に起因する光吸収(伝送損失)を観測することにより、比較することができる。そこで、以下のようにしてシングルモードの光ファイバを作製して伝送特性を測定した。
(シングルモード光ファイバの作製例)
上記実施例1及び2、ならびに比較例1及び2により作製したシリカガラスを、それぞれ延伸して直径11.0mmの丸棒とし、その両端を一般的な外付けガラス形成装置用旋盤に取り付けた。このシリカガラスの表面をアルゴン(Ar)と六フッ化硫黄(SF)からなるガスを用いたプラズマによりエッチングして、直径が10.4mmになるまで同芯状に外削したのち、直ちに外削済み表面に通常の外付け方法により同芯状にシリカスートを堆積させた。
シリカスートを堆積させたシリカガラスを加熱炉に入れ、SOClを含むHeで炉内を置換したのち、この混合ガスを流通させたまま、シリカスートを堆積させたシリカガラスの温度を1050℃とし、さらにシリカスートを堆積させたシリカガラスの温度を1050℃に保持したまま、3時間放置した。
四フッ化ケイ素(SiF)を含むHeで炉内を置換したのち、この混合ガスを流通させたまま、昇温速度10℃/min以上で1360℃に達するまで加熱して、さらにシリカガラススートを堆積させたシリカガラスの温度を1360℃に保持したまま、2時間放置し、シリカガラススートを焼結して中実で一体のシリカガラスとした。最後に放冷して、シリカガラスの温度が500℃以下になったところで炉内からシリカガラスを取り出した。
上記の外付け工程一回で、所定のコア/クラッドの直径比となるクラッド部を形成できない場合には、上記の工程で作製したシリカガラスを適当な太さまで延伸した後、同様の工程によりさらに外周部に外付けを繰り返し行うことでクラッド部の厚さを増やすことができる。本作製例の場合は、一回目の外付け工程においてコア径の3.5倍以上のクラッド径となるよう外付けし、次いで、直径12mm以上15mm以下に延伸した後、二回目の外付け工程においてコア径の8.0倍以上のクラッド径となるよう外付けし、作製したシリカガラスをさらに、直径15mm以上22mm以下に延伸した後、三回目の外付け工程において所定のコア/クラッドの直径比となるよう外付けすることにより光ファイバプリフォームを作製した。ただし、三回目の外付け工程においては、プラズマエッチング工程を行わなかった。
上記のようにして作製した光ファイバプリフォームは、通常の紡糸工程により紡糸することで、シングルモード光ファイバを作製した。
以上のようにして、上記実施例1及び2、ならびに比較例1及び2により作製したシリカガラスをコアとする、シングルモード光ファイバの各測定波長における損失を、表2に示す。
Figure 0005625037
実施例1及び2で作製したシリカガラスをコアに用いた光ファイバの、水の存在に起因する1383nmにおける伝送損失は、比較例2に示した、塩素系脱水剤を用いた一般的な脱水方法で作製したシリカガラスをコアに用いた光ファイバの伝送損失ほどには低下できないものの、比較例1に示した、脱水剤を用いず、He雰囲気で長時間加熱することで脱水したシリカガラスをコアに用いた光ファイバの伝送損失に比べて大幅に低下した。すなわち、本発明で示した方法を用いることにより、従来の脱水剤である塩素ガスや塩化チオニルを使用しなくても多孔質シリカガラスを脱水することが可能となった。
また、1310nmにおける伝送損失、及びシリカガラスの伝送損失が最低値を示す1550nmにおける伝送損失は、実施例1及び2で作製したシリカガラスをコアに用いた光ファイバにおいて、比較例2で作製したシリカガラスをコアに用いた光ファイバを下回った。すなわち、本発明で示した方法を用いることにより、シリカガラスにアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物(本実施例では酸化カリウム)がドープされ、これをコアに用いた光ファイバではコアのガラスの仮想温度が低下したことによりレイリー散乱が低減され、結果として伝送損失が低下したと考えられる。一方、さらに長波長の1625nmにおける伝送損失は、改善効果が見られないか、あるいはわずかに悪化した。これは、コア中、あるいはコア/クラッド境界にごく稀に微結晶が生じ、光ファイバに不規則に応力がかかることでマイクロベンド損失のような損失が生じているためではないかと推察しているが、確認されていない。しかしながら、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物の添加物濃度を制御して導入することができ、光ファイバや光学部品等の光学用途に適用可能なほど含水量が低く、高純度で、かつ低損失なガラス母材を製造することが可能となった。
本発明で示した脱水−ドープ法は、スート状のガラスに対してであれば適用可能である。例えば、光ファイバの製造工程において、外付け法により形成したシリカガラススートに適用すれば、光ファイバプリフォームの径方向の任意の部位を脱水でき、かつその部位にアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物をドープすることが可能となる。また、被ドープガラスが、純粋なシリカガラスである必要はなく、他のドーパント、例えば光ファイバで通常用いられるGeOやFなどがあらかじめドープされているシリカガラスであっても適用可能である。
10…製造装置、11…加熱炉、11a…本体(炉心管)、11b…蓋体、12…シリカガラス、13…軸、14…ガラス加熱部(均熱焼結部)、15…ドープ材料加熱部(気化部)、16…ドープ材料(アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物)、17…ドープ材料保持部、18…ドープ材料の蒸気又は液滴、19…入口(ガス導入口)、20…出口(ガス排出口)、H1…ガラス加熱用ヒータ、H2…ドープ材料加熱用ヒータ。

Claims (4)

  1. シリカガラスを脱水して焼結するガラス母材の製造方法であって、
    多孔質のシリカガラスの表面の水酸基に、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を気化させて接触させることにより、前記シリカガラスを脱水し、
    次いで、前記シリカガラスを焼結し、透明なガラス体とすることを特徴とするガラス母材の製造方法。
  2. シリカガラスを脱水し、アルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物をドープして焼結するガラス母材の製造方法であって、
    多孔質のシリカガラスの表面の水酸基に、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を気化させて接触させることにより、前記シリカガラスを脱水し、かつ、前記シリカガラスにアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物をドープし、
    次いで、前記シリカガラスを焼結し、透明なガラス体とすることを特徴とするガラス母材の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のガラス母材の製造方法を用いて光ファイバプリフォームを製造する工程と、前記光ファイバプリフォームを紡糸する工程を備える光ファイバの製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載のガラス母材の製造方法を用いて光ファイバのコア母材を作製する工程と、前記コア母材の周囲にクラッドを形成して光ファイバプリフォームを製造する工程と、前記光ファイバプリフォームを紡糸する工程を備える光ファイバの製造方法。
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