図1は本発明に係る実施例の用紙排出装置1の全体構成を斜視的に示し、図2は本発明に係る実施例の用紙排出装置1を断面して示している。
図1及び図2に示した本発明に係る実施例の用紙排出装置1は、インクジェットプリンタ,孔版印刷装置,レーザプリンタなどの印刷装置や、複写機などを用いて用紙P上に画像を形成できる画像形成装置(図示せず)に適用され、この画像形成装置の用紙排出部側に設置されている。
上記した実施例の用紙排出装置1は、不図示の画像形成装置によって画像が形成された用紙Pを用紙排出方向に沿って順次排出する排紙部10と、排紙部10から順次排出された用紙Pを落下させて積載する紙受台21と、この紙受台21を紙受台支持部材22の支持台部22c(図2,図4)上に着脱自在に支持しながら用紙Pの積載量に応じて上下方向に昇降させる紙受台昇降機構部20と、紙受台21上に積載された用紙Pの幅方向の左右の端部を規制する左右一対のサイドフェンス板31,32を用紙サイズに応じて用紙Pの排出方向と直交する用紙幅方向に移動させるサイドフェンス板移動機構部30とを備えている。
また、用紙排出装置1は、用紙Pの排出方向の上流側で紙受台21の上面板部21bよりも上方に第1ブラケット51(図2)を介して垂設されたオフセットガイド板52により用紙区分け時に紙受台21上に積載される用紙Pの排出方向の後端部側をオフセットさせるために、オフセットガイド板52を用紙区分けごとに所定のオフセット量だけ前方下方又は後方上方に移動させると共に、オフセットガイド板52の下方部位に取り付けた第1用紙突き当て部材53(図2,図3)を自重により重力方向に下動させるオフセットガイド板移動機構部50を備えている。
また、用紙排出装置1は、用紙Pの排出方向の下流側でオフセットガイド板52と間隔を離して対向して紙受台21の上面板部21bよりも上方に第2ブラケット61を介して垂設されたエンドフェンス板62により用紙区分け時に紙受台21上に積載される用紙Pの排出方向の前端部側をオフセットさせるために、エンドフェンス板62を用紙区分けごとに所定のオフセット量だけ前方又は後方に移動させると共に、エンドフェンス板62の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材63(図2,図3)を自重により重力方向に下動させるエンドフェンス板移動機構部60を備えている。
更に、用紙排出装置1は、この装置全体を制御する制御部80を備えている。
この際、紙受台21は、略水平な姿勢で上下方向に昇降しているために、この紙受台21上に積載される用紙Pは、用紙幅方向の左右の端部を規制する左右一対のサイドフェンス板31,32と、用紙Pの排出方向の上流側に設置されて用紙Pの排出方向の後端部を規制するオフセットガイド板52と、用紙Pの排出方向の下流側に設置されて用紙Pの排出方向の前端部を規制するエンドフェンス板62とによる合計4枚の板で周囲を囲まれた状態で用紙区分け処理を行うように構成されており、各板31,32,52,62は紙受台21に対して分離して設けられている。
ここで、用紙排出装置1内の各部について順を追って具体的に説明する。
図1に示す如く、まず、排紙部10は、用紙排出装置1の後側板2の上方部位に取り付けられている。この排紙部10では、不図示の画像形成装置から排出された用紙Pを搬送する2組の上下左右一対の用紙搬送ローラ組11,11と、排紙位置近傍の排紙ローラ12とが用紙搬送ガイド板13に沿って設置されている。
また、用紙搬送ガイド板13の左右には、左右一対の用紙腰付けウイング部材14,15が、用紙幅方向に沿って内側から外側に向って徐々に高さが高くなるように左右対称に傾斜して設置されており、用紙Pの種類による剛性に応じて用紙腰付けウイング部材14,15の傾斜面の高さを左右対称に変えることで、用紙Pへの腰付け量を可変設定できるようになっている。
また、用紙排出装置1の後側板2には、用紙ガイドフェンス板3が用紙幅方向の中心部位を中心にして左右対称に間隔を隔てて垂直に複数取り付けられており、各用紙ガイドフェンス板3は、後述する用紙区分けを行わない通常の用紙排出時に、紙受台21上に積載される用紙Pの後端部を規制するようになっている。
尚、この実施例では、用紙Pの排紙位置を正確に確保するために排紙部10を用紙排出装置1側に設置したが、これに限ることなく、排紙部10と略同じ構成部材を画像形成装置側に設置して、画像形成装置から用紙Pを順次排出する構成でも良い。
次に、紙受台昇降機構部20は、紙受台21が用紙排出装置1の後側板2と、この後側板2と間隔を離して対向した前側板4との間に略水平に配置されている。
上記した紙受台21は、底板部21aが最大サイズとして例えばA3サイズの用紙Pを積載できる外形寸法に形成されており、用紙Pの排出方向の下流側に位置する前面21a1と、用紙Pの排出方向の上流側に位置する後面21a2と、用紙Pの排出方向と直交する用紙幅方向の左右の側面21a3,21a4とに囲まれて矩形板状に形成されている。
また、紙受台21は、底板部21a上で左右の側面21a3,21a4間の略中央部位に上面板部21bが底板部21aよりも高さを僅かに高くし且つ用紙幅方向に所定の幅を持って用紙排出方向に沿って突出形成されている。
また、紙受台21の底板部21a上には、第1隙間部21c,21dが上面板部21bの左右に沿ってそれぞれ所定幅に設定され、この第1隙間部21c,21dを介して用紙Pに対して適正な形状に腰付けするために左右一対の傾斜面部21e,21fを組としてこの組が左右対称に複数組突出形成されている。
この際、各組の傾斜面部21e,21fは、底板部21a上の左右に用紙排出方向に沿って所定幅に設定した第2隙間部21g,21hを隔てて左右の側面21a3,21a4側に向って高さが徐々に高くなるように傾斜して形成されている。
そして、紙受台21の上面板部21b及び各組の傾斜面部21e,21f上には、A3サイズ,A4サイズ,葉書サイズなどのいずれか1種類の用紙Pが4000枚程度大量に積載可能になっているので、紙受台21の昇降量は400mm〜500mm程度に設定されている。
また、紙受台21の底板部21aの右側面21a4側から左側面21a3側にかけて、紙受台21を着脱自在に支持する紙受台支持部材22が設けられている。
上記した紙受台支持部材22は、一対のL字状板部22a,22bが底板部21aの右側面21a4側に前後方向に間隔を離して前後対称に垂直に取り付けられており、且つ、一対のL字状板部22a,22bの各下端部位に直角に連接して紙受台21を着脱自在に支持する支持台部22c(図2,図4)が底板部21aの左側面21a3側に向かって水平に一体形成されている。
この際、紙受台支持部材22の支持台部22cは、紙受台21の底板部21aの底面積よりも小サイズで矩形板状に形成されており、図2に示したように、この支持台部22cは、用紙排出方向の長さが紙受台21の底板部21aよりも短く形成されているが、用紙幅方向は紙受台21の底板部21aと略同じ寸法に形成されている。
また、紙受台支持部材22の一対のL字状板部22a,22bの各外側の前後にブラケット23A,23Bが紙受台支持部材22の一対のL字状板部22a,22bと同様に垂直に設けられている。
上記した前後のブラケット23A,23Bは、上下に設けた連結棒24(上側のみ図示)を紙受台支持部材22の一対のL字状板部22a,22bを通して連結されていると共に、上下の連結棒24間に駆動用シャフト25が連結棒24と平行に回転自在に軸支されている。
また、前側のブラケット23Aにはステッピングモータ26と、このステッピングモータ26に連結したギヤボックス27とが取り付けられている。そして、ギヤボックス27内の最終段のギヤ(図示せず)が駆動用シャフト25の前端部に取り付けた駆動用ギヤ(図示せず)に噛合していると共に、駆動用シャフト25の後端部にも駆動用ギヤ(図示せず)が取り付けられている。
更に、前後のブラケット23A,23Bの各側方近傍に前後のラック28A,28Bが長尺に垂設されており、これら前後のラック28A,28Bに駆動用シャフト25の前後の端部に取り付けた駆動用ギヤ(図示せず)が噛合しているので、紙受台支持部材22は前後のブラケット23A,23Bと一体にステッピングモータ26の駆動力によって上下方向に自走可能になっている。
そして、ステッピングモータ26を作動して、前後のラック28A,28Bに沿って駆動用シャフト25の前後の端部に取り付けた駆動用ギヤ(図示せず)を正転又は逆転させると、紙受台支持部材22の支持台部22c上に着脱自在に支持した紙受台21が上下方向に昇降できるようになっている。
また、図2に示すように、用紙排出装置1の後側板2と、この後側板2と間隔を離して対向した前側板4には、用紙高さ位置検出用光センサ29が発光部と受光部とを互いに対向させて取り付けられている。
この用紙高さ位置検出用光センサ29は、用紙Pが積載されていない紙受台21の上面板部21bの高さ位置、又は、紙受台21の上面板部21b上に積載された用紙Pのうちで最上層の用紙Pの用紙高さ位置を検出している。
これにより、排紙部10(又は画像形成装置)から順次排出される用紙Pが紙受台21上に落下するときに、用紙Pが排紙される排紙位置と、用紙Pが積載されていない紙受台21の上面板部21b、又は、紙受台21の上面板部21b上に積載された最上層の用紙Pとの間に設定される用紙落下高さH(図2,図3)が略一定になるように用紙高さ位置検出用光センサ29で検出している。
従って、制御部80は、用紙高さ位置検出用光センサ29からの検出結果によりステッピングモータ26を介して紙受台21を用紙Pの積載量に応じて用紙高さ位置に至るように昇降させているので、排紙部10から排紙された用紙Pが略一定な用紙落下高さHの位置に落下して正常な姿勢を保って紙受台21上に整然と積載されるようになっている。
尚、前後のラック28A,28Bの下方部位には、紙受台21上に用紙Pが満載されたことを検出するための用紙満載検出用光センサ(図示せず)が設置されている。
次に、サイドフェンス板移動機構部30は、左右一対のサイドフェンス板31,32が紙受台21内の左右で間隔を離して互いに対向して垂直に配置されている。
この際、左右一対のサイドフェンス板31,32は、用紙Pの排出方向に沿って長尺な矩形板状に形成され、且つ、用紙Pの幅方向の左右の端部を規制する左右一対の用紙端部規制面31a,32aが互いに内側に向かって対向して平坦に形成されていると共に、用紙間の空気を逃がすために各中間部位に複数の孔31b,32bが貫通して形成されているので、排紙部10から排出された用紙Pが空気抵抗に影響されずに紙受台21上に落下できるようになっている。
また、左右一対のサイドフェンス板31,32の各下方部位には、一対のガイド用曲げ片(31c,31d),(32c,32d…図示せず)を組とした複数組が紙受台21の底板部21a上の左右に設定した第2隙間部21g,21h内に進入可能に形成されていると共に、各組のガイド用曲げ片(31c,31d),(32c,32d…図示せず)間に本発明の要部の一部となる延長フェンス部材33が回動自在に支持されているが、この延長フェンス部材33については後で詳述する。
また、左右一対のサイドフェンス板31,32を移動させる移動機構は、紙受台21の上方に設けた支持部材の一例として、用紙排出装置1の上方を覆う天板(図示せず)の裏面側に取り付けられている。
即ち、不図示の天板の裏面側に支持した第1モータブラケット34を介して第1ギヤードモータ35が正逆転可能に取り付けられている。
そして、第1ギヤードモータ35の回転が右側の第1タイミングプーリ(36…図示せず)に伝達されていると共に、右側の第1タイミングプーリ(36)と、このプーリ(36)に対して間隔を離して対向して左側のサイドフェンス板31の上方に固定設置したブラケット37上のシャフト38に軸着された左側の第2タイミングプーリ39との間に第1タイミングベルト40が掛け渡されている。
また、左右の第2,第1タイミングプーリ39,(36)間には、第1タイミングベルト40を挟んだ前後に2本の第1,第2ガイドシャフト41,42が用紙幅方向と平行に支持されている。
また、左右一対のサイドフェンス板31,32の各上方部位に各2本のシャフト43を介して左右一対のスライダ44,45が連結されており、且つ、左右一対のスライダ44,45は2本の第1,第2ガイドシャフト41,42に沿って用紙幅方向にスライド可能に嵌合していると共に、左側のスライダ44は第1タイミングベルト40の前側に連結され、右側のスライダ45は第1タイミングベルト40の後側に連結されている。
上記により、第1ギヤードモータ35を作動させて、第1タイミングベルト40が正転すれば左右一対のサイドフェンス板31,32が互いに内側(又は外側)に移動し、一方、第1タイミングベルト40が逆転すれば左右一対のサイドフェンス板31,32が互いに外側(又は内側)に移動するので、左右一対のサイドフェンス板31,32は用紙Pの幅サイズに応じて用紙幅方向の左右の端部を規制できるようになっている。
次に、オフセットガイド板移動機構部50は、排紙部10から順次排出された用紙Pが落下できるように排紙部10の直下で後側板2にユニット化して取り付けられている。
このオフセットガイド板移動機構部50では、第1ブラケット51(図2)に取り付けたオフセットガイド板52が、モータ54(図2)と連結したリンク機構55(図2)により用紙排出方向に対して前方下方又は後方上方に移動可能になっている。
上記したオフセットガイド板52は、後述する用紙区分け時に、紙受台21上で用紙Pの後端部側の積載位置を用紙排出方向に所定のオフセット量だけオフセットさせて、オフセット動作により交互に設定される第1,第2の用紙積載位置に積載された用紙Pの後端部を規制している。
また、オフセットガイド板52の前面下方部位には、第1用紙突き当て部材53(図2,図3)が用紙Pの後端部を規制できるようにオフセットガイド板52の前面に揃えて、例えば20mm程度上下動可能で、且つ、自重により下動可能に取り付けられている。
次に、エンドフェンス板移動機構部60は、紙受台21の底板部21aの前面21a1側に設けられている。
このエンドフェンス板移動機構部60では、板金材を用いて形成した第2ブラケット61にエンドフェンス板62が一体的に固着されており、このエンドフェンス板62は前述したオフセットガイド板52に対して用紙Pの排出方向の長さだけ間隔を離して対向するように垂設されていると共に、第2ブラケット61と一体にエンドフェンス板62が用紙Pの排出方向の前後に移動可能になっている。
また、エンドフェンス板62の後面下方部位には、第2用紙突き当て部材63(図2,図3)が用紙Pの前端部を規制できるようにエンドフェンス板62の後面に揃えて、例えば20mm程度上下動可能で、且つ、自重により下動可能に取り付けられていると共に、電磁ソレノイド64(図2)を作動させることにより第2用紙突き当て部材63が上動できるようになっている。
この際、エンドフェンス板62は前後方向に移動可能なっているが、オフセットガイド板52とは異なって上下方向には移動しない。この理由は、後述する用紙区分け時に、紙受台21が用紙積載量に応じて下降するために、エンドフェンス板62は紙受台21の上面板部21bよりも上方で一定の高さを保っている。
ここで、第2ブラケット61と一体にエンドフェンス板62を移動させる移動機構は、用紙排出装置1の上方を覆う天板(図示せず)の裏面側に取り付けられている。
即ち、不図示の天板の裏面側に支持した第2モータブラケット65を介して第2ギヤードモータ66が正逆転可能に取り付けられている。
そして、第2ギヤードモータ66の回転が前側の第3タイミングプーリ67に伝達されていると共に、前側の第3タイミングプーリ67と、このプーリ67に対して間隔を離して対向して後側板2の上方に固定設置したブラケット68上のシャフト69に軸着された後側の第4タイミングプーリ70との間に第2タイミングベルト71が掛け渡されている。
また、前後の第3,第4タイミングプーリ67,70間には、第2タイミングベルト71を挟んだ左右に2本の第3,第4ガイドシャフト72,73が、2本の第1,第2ガイドシャフト41,42に衝突しないように第1,第2ガイドシャフト41,42の下方に用紙排出方向と平行に支持されている。
また、第2ブラケット61の天面板部61aにスライダ74(図8)が連結されており、このスライダ74は2本の第3,第4ガイドシャフト72,73に沿って用紙排出方向にスライド可能に嵌合していると共に、第2タイミングベルト71の左側に連結されている。
上記により、第2ギヤードモータ66を作動させて、第2タイミングベルト71が正転すれば第2ブラケット61とエンドフェンス板62とが一体に後方側(又は前方側)に移動し、一方、第2タイミングベルト71が逆転すれば第2ブラケット61とエンドフェンス板62とが一体に前方側(又は後方側)に移動するようになっている。
そして、第2ブラケット61と一体なエンドフェンス板62は、用紙Pの排出方向の長さサイズに応じて移動できると共に、後述する用紙区分け時に、紙受台21に積載される用紙Pの前端部側の積載位置を用紙排出方向に所定のオフセット量だけオフセットさせて、オフセット動作により交互に設定される第1,第2の用紙積載位置に積載された用紙Pの前端部を規制している。
次に、制御部80は、用紙排出装置1内の適宜な位置に設置されている。この制御部80は、排紙部10と、紙受台昇降機構部20と、サイドフェンス板移動機構部30と、オフセットガイド板移動機構部50と、エンドフェンス板移動機構部60とをそれぞれ制御している。
次に、上記のように構成した実施例の用紙排出装置1を用いて、排紙部10(又は画像形成装置)から順次排出される用紙Pを紙受台21上で用紙区分けする動作について、図3(a)〜(r)を用いて動作順に簡略に説明する。
尚、図3中において、用紙Pが積載されていない紙受台21の上面板部21bの高さ位置、又は、紙受台21上に積載された最上層の用紙Pの用紙高さ位置を検出するために、後側板2と前側板4とに取り付けた光透過型の用紙高さ位置検出用光センサ29は、図示の都合上、図3(a),(g),(m)のみ図示し、その他の図は用紙高さ位置を一点鎖線で図示して用紙高さ位置検出用光センサ29の図示を省略している。
ここで、実施例の用紙排出装置1を用いて多数枚の用紙Pを区分けする場合に、紙受台21の上面板部21b上に積載される用紙Pの排出方向の長さは同じであるとする。
また、排紙部10から順次排出される用紙Pを紙受台21上に用紙区分けごとに積載する所定の積載枚数は、用紙区分けごとに一定に設定する場合と、ジョブによって用紙区分けごとに可変設定する場合とがある。
更に、排紙部10から順次排出される用紙Pに対して紙受台21上で用紙排出方向の前後にオフセットさせて複数回に亘って区分けする際に、第1の用紙積載位置と、第2の用紙積載位置とが設定されて、第1の用紙積載位置と第2の用紙積載位置とを交互繰り返している。
この際、上記した第1の用紙積載位置は、紙受台21に対してオフセットガイド板52と、このオフセットガイド板52に対して用紙Pの排出方向の長さだけ隔てて対向したエンドフェンス板62とが用紙排出方向の上流側に待機している待機位置と同じ位置である。
一方、上記した第2の用紙積載位置は、紙受台21に対してオフセットガイド板52と、エンドフェンス板62とが第1の用紙積載位置よりも用紙排出方向の下流側に向ってそれぞれ所定量だけオフセットした位置である。
そして、複数回の用紙区分け動作のうちで、奇数回目の用紙区分け動作は第1の用紙積載位置で行い、一方、偶数回目の用紙区分け動作は第2の用紙積載位置で行うようになっている。
まず、図3(a)は、紙受台21上に用紙Pが積載される前でこの紙受台21が待機位置で待機している状態を示している。
ここでは、用紙Pが積載されていない紙受台21の上面板部21bの高さを後側板2と前側板4とに取り付けた光透過型の用紙高さ位置検出用光センサ29で検出することにより、排紙部10から排紙される用紙Pの排紙位置から紙受台21の上面板部21bまでの用紙落下高さHが略一定になる位置に紙受台21が待機している。
また、後側板2側に垂設したオフセットガイド板52は、紙受台21の上面板部21bよりも上方に配置され且つ紙受台21の底板部21aの後面21a2から僅かに離れて後側板2に略沿って1回目の用紙区分けを待機し、落下する用紙Pの後端部を規制可能になっていると共に、オフセットガイド板52の下方部位に取り付けた第1用紙突き当て部材53は、自重により紙受台21側に向って垂下している。従って、第1用紙突き当て部材53は、オフセットガイド板52と共に用紙Pの排出方向の後端部を規制可能になっている。
また、前側板4側に垂設したエンドフェンス板62は、紙受台21の上面板部21bよりも上方に配置され且つこの上面板部21bに積載される用紙Pの排出方向の長さに対応した位置で1回目の用紙区分けを待機して、落下する用紙Pの前端部を規制可能になっていると共に、エンドフェンス板62の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材63は、電磁ソレノイド64(図2)をオフ状態にしているために自重により紙受台21側に向って垂下してこの紙受台21の上面板部21b上にソフトに接触している。従って、第2用紙突き当て部材63は、エンドフェンス板62と共に用紙Pの排出方向の前端部を規制可能になっている。
次に、図3(b)は、排紙部10から用紙Pを排出して、用紙区分け時の奇数回目の一例として1回目の用紙区分けを行う状態を示している。
ここでは、オフセットガイド板52及び第1用紙突き当て部材53と、エンドフェンス板62及び第2用紙突き当て部材63は、共に図3(a)に示した状態と同じ状態を保っている。
従って、1回目の用紙区分け時には、オフセットガイド板52及び第1用紙突き当て部材53と、エンドフェンス板62及び第2用紙突き当て部材63との間に1回目の用紙積載位置(第1の用紙積載位置)が設定されている。
そして、排紙部10から順次排出された用紙Pは、オフセットガイド板52とエンドフェンス板62との間を落下して紙受台21の上面板部21b上に順次積載されて、ここで積載された用紙Pの前端部がエンドフェンス板62の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材63に当接して用紙Pの先端位置が規制される。
また、予め設定した枚数の用紙Pが積載されるたびに紙受台21の上面板部21b上に積載された最上層の用紙Pの高さ位置を用紙高さ位置検出用光センサ29で検出しているので、用紙Pの排紙位置と最上層の用紙Pとの間に設定される用紙落下高さHが略一定になるようにステッピングモータ26(図1)を介して紙受台21を下降させている。この紙受台21の下降に伴ってエンドフェンス板62の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材63は紙受台21の上面板部21bから離間する。
この後、紙受台21の上面板部21b上に用紙Pが所定の用紙区分け枚数だけ積載された段階で、紙受台21が下降を停止して、1回目の用紙区分け動作が終了する。
次に、図3(c)は、2回目の用紙区分け動作を行うための前段階として、1回目の用紙区分け動作が終了して紙受台21の下降を停止した後に、左右一対のサイドフェンス板31,32を開き、閉じ、開く状態を示している。
ここで、左右一対のサイドフェンス板31,32を一時的に所定量開くことで、用紙区分け中に左右一対のサイドフェンス板31,32に引っ掛かった用紙Pの引っ掛かりを防止している。更に、左右一対のサイドフェンス板31,32を一時的に所定量開いたときに生じる用紙幅方向の積載ズレを矯正するために、左右一対のサイドフェンス板31,32を再度閉じてもう一度開くように制御することで、紙受台21上での用紙積載不良を防止している。
次に、図3(d)は、2回目の用紙区分け動作を行うための前段階として、紙受台21を下降させた状態を示している。ここで、紙受台21を下降させると、オフセットガイド板52の下方部位に取り付けた第1用紙突き当て部材53と、エンドフェンス板62の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材63とが、紙受台21上に積載した1回目に用紙区分けした最上層の用紙Pから離間できる。
次に、図3(e)は、2回目の用紙区分け動作を行うための前段階として、オフセットガイド板52を用紙Pの排出方向に沿った右下方(+側)に移動させて、右方への所定のオフセット量として例えば+30mm程度移動させ、且つ、下方へ5mm程度移動させていると共に、オフセットガイド板52の下方部位に取り付けた第1用紙突き当て部材53は自重により下動している。一方、エンドフェンス板62の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材63を、電磁ソレノイド64(図2)のON動作により上動させている。
次に、図3(f)は、2回目の用紙区分け動作を行うための前段階として、第2用紙突き当て部材63を上動させたまま、エンドフェンス板62を用紙Pの排出方向に沿った右方(+側)に所定のオフセット量として例えば+30mm程度移動させている。
次に、図3(g)は、2回目の用紙区分け動作を行うための前段階として、電磁ソレノイド64(図2)をオフ状態にしてエンドフェンス板62の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材63を自重により下動させている。
次に、図3(h)は、2回目の用紙区分け動作を行うための前段階として、紙受台21を上昇させて、紙受台21上に積載した1回目の用紙区分けした最上層の用紙P上にオフセットガイド板52の下方部位に取り付けた第1用紙突き当て部材53をソフトに接触させると共に、エンドフェンス板62の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材63を紙受台21の上面板部21bに接近させることにより、共に右方にオフセットしたオフセットガイド板52とエンドフェンス板62との間に2回目の用紙積載位置(第2の用紙積載位置)が設定される。
次に、図3(i)は、2回目の用紙区分け動作を行うための前段階として、図3(c)の段階で開いた状態の左右一対のサイドフェンス板31,32を再び閉じる。これにより、図3(j)に示す次工程で2回目の用紙区分けを行うときに、左右一対のサイドフェンス板31,32で用紙Pの左右の端部への規制が可能になる。
次に、図3(j)は、排紙部10から用紙Pが再び順次排出されて、2回目の用紙区分けが行われる。これにより、2回目の用紙区分けされる用紙Pは、1回目の用紙区分けした最上層の用紙P上で右方に例えば30mm程度オフセットされて積載される。
次に、図3(k)〜図3(q)に示した状態は、3回目の用紙区分け動作を行うための前段階を示しているが、ここでは、2回目の用紙区分け動作の前段階に対して異なる点についてのみ説明し、2回目の用紙区分け動作の前段階と同じ動作の説明を省略して図示だけとする。
ここで、2回目の用紙区分け動作の前段階に対して異なる点は、3回目の用紙区分を行うための前段階中で、図3(m)において、オフセットガイド板52を斜め左上方(−側)に移動させ、エンドフェンス板62の下方部位に取り付けた第2用紙突き当て部材63を上動させ、更に、図3(n)において、第2用紙突き当て部材63を上動させたまま、エンドフェンス板62を左方(−側)に移動させている。
従って、左方に−30mm程度、上方に5mm程度に移動させたオフセットガイド板52と、左方に−30mm程度に移動させたエンドフェンス板62との間に3回目の用紙積載位置(第1の用紙積載位置)が設定されて、オフセットガイド板52及びエンドフェンス板62が1回目と同じ待機位置に戻る。
この後、図3(r)において、用紙Pを再々度排出して3回目の用紙区分けを行うことができる。
以下、複数回の用紙区分け動作を繰り返して行うときに、オフセットガイド板52及びエンドフェンス板62を、用紙区分けごとに所定のオフセット量だけ用紙排出方向に対して前方又は後方に交互に移動させることで、紙受台21上に区分けして積載された用紙Pの積載位置は用紙排出方向に対して前後交互にオフセットされる。
次に、本発明に係る実施例の用紙排出装置1において、紙受台21上に積載した用紙Pを装置1外に取り出す場合について、図4〜図7を用いて説明する。
図4(a),(b)は本発明に係る実施例の用紙排出装置1において、紙受台21上に積載した大量の用紙Pを、台車90を用いて用紙幅方向の左側から装置1外に引き出す場合を説明するために斜視的に示している。また、図5(a)〜(c)は左側のサイドフェンス板31の下方部位に回動可能に支持した複数の延長フェンス部材33を説明するための図である。また、図6(a),(b)は紙受台21に積載した最上層の用紙Pが左側のサイドフェンス板31の下方部位に回動可能に支持した延長フェンス部材33の用紙端部規制面33aで規制されているときに、延長フェンス部材33の第1態様動作を説明するための図である。更に、図7(a)〜(c)は紙受台21に積載した最上層の用紙Pが左側のサイドフェンス板31の用紙端部規制面31aで規制されているときに、延長フェンス部材33の第2態様動作を説明するための図である。
まず、図4(a)に示した状態は、用紙排出装置1により用紙Pを区分けしている最中の状態を斜視的に示しており、紙受台21は紙受台昇降機構部20によって昇降する紙受台支持部材22の支持台部22c上に設けた不図示の位置決めピンによって位置決めされた状態で支持台部22c上に着脱自在に搭載されて、支持台部22cと一体に上方に至っている。
そして、紙受台21上に積載した大量の用紙Pのうちで最上層の用紙Pは、用紙Pの幅サイズに応じた位置に移動した左右一対のサイドフェンス板31,32中で間隔を隔てて対向した左右一対の用紙端部規制面31a,32aと、オフセットガイド板52中で用紙排出方向と反対側に向いた用紙端部規制面52aと、用紙Pの排出方向の長さサイズに応じた位置に移動したエンドフェンス板62中で用紙排出方向に向いた用紙端部規制面62aとにより規制されているので、大量の用紙Pを装置1外に取り出すことが不可能な状態になっている。
また、左右一対のサイドフェンス板31,32のうちで少なくとも左側のサイドフェンス板31の下方部位には、後述する複数の延長フェンス部材33が回動可能に支持されている。
また、紙受台支持部材22の支持台部22cよりも下方の床面U上には、台車90が予め用意されている。上記した台車90は、一対の車輪付きアーム台91,92が互いに間隔を離して対向して用紙幅方向に沿って床面U上に設置され、且つ、一対の車輪付きアーム台91,92の各一端側に取っ手93が取り付けられている。
そして、左側のサイドフェンス板31側が用紙幅方向に沿った用紙取り出し方向(台車引き出し方向)に設定されている。
この際、一対の車輪付きアーム台91,92間に形成された空間K内には、紙受台支持部材22の支持台部22cが進入可能になっている。また、一対の車輪付きアーム台91,92の各上面91a,92aから床面Uまでの高さh1は、紙受台支持部材22の支持台部22cの高さh2よりも高く設定されており、且つ、一対の車輪付きアーム台91,92の各上面91a,92a上に紙受台支持部材22の支持台部22cよりも外形サイズが大きい紙受台21が搭載可能になっている。
一方、図4(b)に示した状態は、用紙排出装置1により用紙Pを区分けした後に、紙受台支持部材22の支持台部22cを紙受台昇降機構部20を介して最下位まで下降させた状態を示しており、且つ、紙受台21上に積載した大量の用紙Pのうちで最上層の用紙Pが左側のサイドフェンス板31の下方部位に回動可能に支持した延長フェンス部材33の一対の回動軸33d,33e(図5〜図7)よりも下方に至っている。
ここで、紙受台支持部材22の支持台部22cが最下位まで下降すると、支持台部22cは台車90の一対の車輪付きアーム台91,92間に形成された空間K内に進入する一方、紙受台21は一対の車輪付きアーム台91,92上に搭載されるので、紙受台21の下面と支持台部22cの上面との間には上記した寸法h1−h2の隙間が生じるために、紙受台21は紙受台昇降機構部20から切り離される。
従って、ユーザが取っ手93を把持しながら台車90を台車引き出し方向に引き出すと、紙受台21上に積載した大量の用紙Pを用紙幅方向の左側から装置1外に取り出すことができる。
次に、図5(a)〜(c)に示す如く、左右一対のサイドフェンス板31,32のうちで用紙取り出し方向(台車引き出し方向)側に配置した左側のサイドフェンス板31の下方部位には、この実施例の要部の一部となる複数の延長フェンス部材33が回動自在に支持されており、且つ、必要に応じて右側のサイドフェンス板(32)の下方部位にも部品の共通化を図るために複数の延長フェンス部材33が回動自在に支持されている。
上記した複数の延長フェンス部材33は、紙受台21上に積載した用紙Pの幅方向の端部を左側のサイドフェンス板31と同様に規制すると共に、紙受台21上に積載した用紙Pの束を容易に装置1外に取り出すために、用紙取り出し方向(台車引き出し方向)に向って回動自在に支持されている。
即ち、左側のサイドフェンス板31は、前述したように用紙Pの幅方向の左端部を規制する用紙端部規制面31aの中間部位に複数の孔31bが貫通して形成され、且つ、用紙端部規制面31aの下方部位に一対のガイド用曲げ片31c,31dを組として複数組が所定の間隔を隔てて下方に向かって突出形成されている。
更に、各組の一対のガイド用曲げ片31c,31d間に凹状切り欠き部31eが下方に向って凹状にそれぞれ切り欠かれていると共に、各組のガイド用曲げ片31c,31dに一対の長孔31f,31gが互いに間隔を離して対向して垂直方向に沿って貫通して形成されている。
一方、複数の延長フェンス部材33は、上記した凹状切り欠き部31e内に進入可能な外形サイズで平板状に形成され、用紙Pの幅方向の左端部を規制する用紙端部規制面33aが左側のサイドフェンス板31の用紙端部規制面31aに対して垂直方向に沿って一致するように形成されていると共に、互いに間隔を離して対向する一対の側面33b,33cの各上方部位から一対の回動軸33d,33eが外側に向って突出形成されている。
また、左側のサイドフェンス板31の下方部位に突出形成した一対のガイド用曲げ片31c,31dのうちで、各一対の長孔31f,31gよりも下方部位には、一対のストッパ片31h,31iが凹状切り欠き部31e内に向うように互いに対向して対称に突出形成されている。
また、上記した一対のストッパ片31h,31iと対応して、延長フェンス部材33の用紙端部規制面33a側に一対の凹部33f,33gが有底状に形成されており、これら一対の凹部33f,33g内に一対のストッパ片31h,31iが当接することで、延長フェンス部材33が左側のサイドフェンス板31の用紙端部規制面31a側に向かって回動するのを規制している。
そして、複数の延長フェンス部材33を左側のサイドフェンス板31の下方部位に形成した複数の凹状切り欠き部31e内に進入させて、各延長フェンス部材33に形成した一対の回動軸33d,33eを一対の長孔31f,31g内に遊嵌させているので、複数の延長フェンス部材33は上下方向に移動可能で重力により下方に向って垂れ下がっていると共に、用紙端部規制面33a側とは反対側の用紙取り出し方向(台車引き出し方向)に向って回動可能になっている。
この際、複数の延長フェンス部材33が紙受台21に接触した場合には、各延長フェンス部材33の一対の回動軸33d,33eが左側のサイドフェンス板31の一対の長孔31f,31g内を上動することにより、各延長フェンス部材33は重力に抗して上方向に退避するので、延長フェンス部材33が破壊しない。
また、図5(c)に示したように、延長フェンス部材33を例えば側面33c側から見たときに、延長フェンス部材33の一対の回動軸(33d),33eを、延長フェンス部材33の重心位置EGと、延長フェンス部材33の用紙端部規制面33aとの間に設定することで、延長フェンス部材33は一対の回動軸(33d),33eを中心にして左側のサイドフェンス板31の用紙端部規制面31a側に向かう回動力が働くので、用紙取り出し方向に回動した延長フェンス部材33を垂直な姿勢に戻すことが可能となる。
これにより、延長フェンス部材33の用紙端部規制面33a側に形成した一対の凹部(33f),33g内に左側のサイドフェンス板31の一対のガイド用曲げ片(31c),31dの下方に形成した一対のストッパ片(31h),31iが当接することで、左側のサイドフェンス板31の用紙端部規制面31aと延長フェンス部材33の用紙端部規制面33aとが直線的に一致しながら延長フェンス部材33が重力方向に向って垂下している。
そして、左側のサイドフェンス板31の下方部位に突出形成した一対のガイド用曲げ片31c,31dに延長フェンス部材33を回動自在に支持したときに、延長フェンス部材33の第1態様動作では、図6(a)に示す如く、用紙Pの排紙位置から紙受台21上に積載した用紙Pのうちで最上層の用紙Pが位置する用紙落下高さHを、重力により垂れ下がっている状態における延長フェンス部材33の一対の回動軸33d,33eよりも下方に設定して、最上層の用紙Pの幅方向の端部を延長フェンス部材33の用紙端部規制面33aで規制している。
この第1態様動作の場合には、図6(b)に示すように、紙受台21上に積載した用紙Pの束を人手HDで把持して、この用紙Pの束を用紙取り出し方向に引き出すと、用紙Pの束で押されて延長フェンス部材33が一対の回動軸33d,33eを中心にして用紙取り出し方向に向って回動できるので、紙受台21上に積載した用紙Pの束を用紙幅方向の左側から装置1外に容易に取り出すことができる。
一方、延長フェンス部材33の第2態様動作では、図7(a)に示す如く、用紙Pの排紙位置から紙受台21上に積載した用紙Pのうちで最上層の用紙Pが位置する用紙落下高さHを、重力により垂れ下がっている状態における延長フェンス部材33の一対の回動軸33d,33eよりも上方で、左側のサイドフェンス板31中で例えば中間高さ位置に設定して、最上層の用紙Pの幅方向の端部を左側のサイドフェンス板31の用紙端部規制面31aで規制しているので、紙受台21上に大量の用紙Pを積載できるが、この状態では紙受台21上に積載した大量の用紙Pの束が左側のサイドフェンス板31で規制されているので装置1外に取り出すことができない。
そこで、延長フェンス部材33の第2態様動作では、図7(b)に示す如く、紙受台21上に積載した最上層の用紙Pが、重力により垂れ下がっている状態における延長フェンス部材33の一対の回動軸33d,33eよりも下方に至るように紙受台支持部材22の支持台部22c(図1,図2,図4)と一体に紙受台21を下降させて、最上層の用紙Pの幅方向の端部を延長フェンス部材33の用紙端部規制面33aで規制する。
この後、先に図4(b)で説明したように、紙受台支持部材22の支持台部22cを最下位まで下降させて、紙受台21を紙受台支持部材22の支持台部22c上から切り離して台車90上に搭載して、この台車90を台車引き出し方向に引き出すと、図7(c)に示す如く、紙受台21上に積載した大量の用紙Pの束で押されて延長フェンス部材33が一対の回動軸33d,33eを中心にして用紙取り出し方向に向って回動できるので、紙受台21上に積載した大量の用紙Pの束を用紙幅方向の左側から装置1外に容易に取り出すことができる。
また、大量の用紙Pを紙受台21上に積載する場合に、左右一対のサイドフェンス板31,32を鉛直下方に延ばすことなく、複数の延長フェンス部材33を左側のサイドフェンス板31の下方部位に回動自在に設けることで、用紙落下高さH(図2)が拡がらないために、大量の用紙Pを紙受台21上に正常な姿勢で落下させて良好に積載できると共に、用紙Pの取り出し時に紙受台21の昇降範囲をできるだけ小さく設定することができる。
尚、実施例とは異なって、紙受台21上に積載した用紙Pの束を用紙排出方向の前方から装置1外に取り出したい場合には、ここでの図示を省略するが、不図示の天板の裏面側に懸架させた左右一対のサイドフェンス板31,32の下方部位に複数の延長フェンス部材33を回動自在に支持すると共に、不図示の天板の裏面側に懸架させたエンドフェンス板62の下方部位に延長フェンス部材を用紙排出方向の前方に向って回動可能に支持すれば、人手又は台車90により紙受台21上に積載した用紙Pを用紙排出方向の前方から取り出すことが可能である。
次に、本発明に係る実施例の用紙排出装置1において、紙受台21上に積載した用紙Pの幅方向の左右の端部を規制するために用紙Pの幅方向に移動自在な左右一対のサイドフェンス板31,32が「逆ハ字状」に傾くことを防止する技術的思想について、図8〜図14を用いて説明する。
図8は本発明に係る実施例の用紙排出装置1において、紙受台21上に積層した用紙Pを左右一対のサイドフェンス板31,32と、エンドフェンス板62とで規制している状態を斜視的に示している。また、図9は実施例に対する比較例として、左右一対のサイドフェンス板31,32が互いに間隔を離して対向して「逆ハ字状」に傾いている状態を示している。また、図10(a)は左右一対のサイドフェンス板31,32が互いに間隔を離して対向して「垂直」に垂れ下がっている理想状態を示し、図10(b)は左右一対のサイドフェンス板31,32が互いに間隔を離して対向して「ハ字状」に傾いている状態を示している。また、図11は左右一対のサイドフェンス板31,32の取り付け状態の実施例を模式的に示している。更に、図12〜図14は左右一対のサイドフェンス板31,32の取り付け状態の第1〜第3変形例を模式的に示している。
まず、図8に示した本発明に係る実施例の用紙排出装置1において、左右一対のサイドフェンス板31,32及びエンドフェンス板62は、紙受台21から切り離されて上方に設けた不図示の天板の裏面側に移動可能に懸架されている。
そして、左右一対のサイドフェンス板31,32は、各上方部位にそれぞれ取り付けた各2本のシャフト43を介して左右一対のスライダ44,45に連結されており、且つ、左右一対のスライダ44,45は2本の第1,第2ガイドシャフト41,42にそれぞれ嵌合しているので、左右一対のサイドフェンス板31,32が用紙幅方向に移動自在になっている。
この際、図8に示したように、2本の第1,第2ガイドシャフト41,42のうちで移動基準となる第2ガイドシャフト42に嵌合する左右一対のスライダ44,45の孔は丸孔に形成され、一方、第1ガイドシャフト42に嵌合する左右一対のスライダ44,45の孔はスライダへの回り止め用として長孔に形成されている。
また、エンドフェンス板62は、第3,第4ガイドシャフト72,73に嵌合したスライダ74を介して用紙排出方向に移動自在になっている。
ここで、紙受台21上に、例えば用紙幅寸法が100mm程度である葉書サイズの用紙Pを積載して、この葉書サイズの用紙Pの幅方向の左右の端部を左右一対のサイドフェンス板31,32で規制する場合に、左右一対のスライダ44,45の用紙幅方向の寸法Wは、葉書サイズに対応して50mm程度しか取れないので、左右一対のスライダ44,45の用紙幅方向の寸法Wや、第1,第2ガイドシャフト41,42の軸寸法と左右一対のスライダ44,45の孔寸法とに起因したガタツキにより回転が生じ、左右一対のサイドフェンス板31,32が垂直に垂れ下がらずに傾いて開いてしまうことがある。
更に、左右一対のスライダ44,45の用紙幅方向の寸法Wを仮に長く設定した場合には、左右一対のサイドフェンス板31,32の傾きを軽減できるものの、左右一対のサイドフェンス板31,32を駆動する駆動力が増加してしまうので、上記した寸法Wを50mm以上長く設定することができない。
この際、図9に示す如く、実施例の比較例として、左右一対のサイドフェンス板31,32が互いに間隔を離して対向して上部側が幅広く、且つ、下部側が幅狭く開いて、「逆ハ字状」に傾いてしまう場合に、剛性の低い用紙Pが紙受台21に向って排出されると、剛性の低い用紙Pは左右一対のサイドフェンス板31,32間に設定される仮想中心線に沿って排出されるとは限らずに蛇行して排出されることがあるために、左右一対のサイドフェンス板31,32の用紙端部規制面31a,32aと剛性の低い用紙Pの摺動抵抗とにより、剛性の低い用紙Pの幅方向の端部が左右一対のサイドフェンス板31,32の少なくとも一方の用紙端部規制面31a,(32a)に寄り掛かった状態になり、紙受台21上で剛性の低い用紙Pの積載不良が生じてしまうことがある。
一方、図10(a)に示す如く、左右一対のサイドフェンス板31,32が「垂直」に垂れ下がったときには理想状態であるが、図10(b)に示す如く、左右一対のサイドフェンス板31,32が「ハ字状」に傾いた場合に、剛性の低い用紙Pが紙受台21に向って排出されても、剛性の低い用紙Pの幅方向の端部が左右一対のサイドフェンス板31,32の少なくとも一方の用紙端部規制面31a,(32a)に寄り掛かった状態が生じないことを実験により予め確認した。
この際、左右一対のサイドフェンス板31,32が「ハ字状」に傾くことを許容した場合に、「ハ字状」の傾き量を事前に計測しておくことで、左右一対のサイドフェンス板31,32の上部間の幅寸法を用紙Pの幅寸法より僅かに大きな値なるように左右一対のサイドフェンス板31,32の移動位置を制御すれば良いものである。
そこで、左右一対のサイドフェンス板31,32が「逆ハ字状」に傾くことを防止するために、この実施例の用紙排出装置1では、図11に示す如く、紙受台21の上方に設けた不図示の天板の裏面側に支持した第1,第2ガイドシャフト41,42に沿って左右一対のスライダ44,45を用紙幅方向に移動自在に嵌合させ、且つ、左右一対のスライダ44,45の下方にシャフト43を介して左右一対のサイドフェンス板31,32を連結したときに、左右一対のスライダ44,45の用紙幅方向の中点Oよりも左右一対のサイドフェンス板31,32の重心位置Gを左右一対のサイドフェンス板31,32中で間隔を隔てて対向した左右一対の用紙端部規制面31a,32a側に偏らせて設定することにより、左右一対のサイドフェンス板31,32に対して上記した中点Oを中心にして「ハ字状」に傾ける回転モーメントが生じる。
これにより、実施例において、先に図10(a),(b)を用いて説明したように、左右一対のサイドフェンス板31,32が「垂直」な姿勢又は「ハ字状」の姿勢を取ることができ、剛性の低い用紙Pを排出しても、剛性の低い用紙Pの幅方向の端部が左右一対のサイドフェンス板31,32の少なくとも一方に寄り掛からないので、用紙積載不良が生じない。
一方、図12に示す如く、実施例の用紙排出装置1とは異なって、この実施例を一部変形させた第1変形例の用紙排出装置1Aでは、紙受台21Aの裏面側に支持した第1,第2ガイドシャフト41,42に沿って左右一対のスライダ44,45を用紙幅方向に移動自在に嵌合させ、且つ、左右一対のスライダ44,45の上方にシャフト43を介して左右一対のサイドフェンス板31,32を連結したときに、左右一対のスライダ44,45の用紙幅方向の中点Oよりも左右一対のサイドフェンス板31,32の重心位置Gを左右一対のサイドフェンス板31,32中で間隔を隔てて対向した左右一対の用紙端部規制面31a,32a側に偏らせて設定することにより、左右一対のサイドフェンス板31,32に対して上記した中点Oを中心にして「ハ字状」に傾ける回転モーメントが生じる。
これにより、第1変形例において、先に図11を用いて説明した実施例と略同様に、左右一対のサイドフェンス板31,32が「垂直」な姿勢又は「ハ字状」の姿勢を取ることができるので、剛性の低い用紙Pを排出しても、剛性の低い用紙Pの幅方向の端部が左右一対のサイドフェンス板31,32の少なくとも一方に寄り掛からないので、用紙積載不良が生じない。
更に、図13,図14に示す如く、実施例を一部変形させた第2,第3変形例の用紙排出装置1B,1Cでは、先に図11,図12を用いて説明した実施例,第1変形例の技術的思想を適用した際に、2本の第1,第2ガイドシャフト41B,42Bを変形させることで、用紙Pの幅サイズ(用紙幅)が小さい場合に用紙Pが左右一対のサイドフェンス板31,32に寄り掛かり易い現象を防止している。
具体的に説明すると、上記した第1,第2ガイドシャフト41B,42Bは、長手方向の両端部側の軸径を太く形成し、且つ、長手方向の中央部に向って左右対称に軸径が徐々に細くなるようにテーパ状に形成している。
また、第1,第2ガイドシャフト41B,42Bのテーパ形状に合わせて、この第1,第2ガイドシャフト41B,42Bに嵌合する左右一対のスライダ44B,45Bの各孔をテーパ孔に形成している。
これにより、用紙Pの幅サイズ(用紙幅)が大きい場合には、左右一対のスライダ44B,45Bが第1,第2ガイドシャフト41B,42Bの長手方向の両端部側に向かって移動するので、軸径と孔径の寸法差が小さくなりガタツキを小さく抑えることができ、これに伴って、左右一対のサイドフェンス板31,32の「ハ字状」の傾きを小さく抑えることができる。
一方、用紙Pの幅サイズ(用紙幅)が小さい場合には、左右一対のスライダ44B,45Bが第1,第2ガイドシャフト41B,42Bの長手方向の中央部に向かって移動するので、軸径と孔径の寸法差が大きくなり、これに伴って、左右一対のサイドフェンス板31,32の「ハ字状」の傾きが大きくなる。
従って、第2,第3変形例によれば、2本の第1,第2ガイドシャフト41B,42Bに沿って左右一対のスライダ44B,45Bが移動する移動範囲において、第1,第2ガイドシャフト41B,42Bの軸寸法と、左右一対のスライダ44B,45Bの孔寸法との寸法差が、用紙Pの幅サイズ(用紙幅)が大きくなるにつれて小さくなる。
これにより、用紙Pの幅サイズ(用紙幅)に応じて、左右一対のサイドフェンス板31,32の「ハ字状」の傾きを可変制御でき、用紙幅に応じて良好な用紙積載性能を得ることができる。