JP5539761B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、孔版印刷機、複写機又はプリンタ等のような画像形成装置に関し、特に、給紙台に積載された用紙を、最上位から1枚ずつ画像形成部に給紙する給紙部を有する画像形成装置に関する
画像形成装置の給紙部において、従来は、積載用紙の最上位の用紙に給紙ローラを押し付け、捌き板との間に挟み込み、摩擦により送り出す方式が一般的に採用されていたが、摩擦を利用しているため、複数の用紙が同時に送り出されたり、反対に送り出しミスがあったり、用紙が汚損されたり、あるいは用紙に皺が発生したりしていた。
このような用紙の重送、送り出しミス及び汚損等を無くすために、給紙部に、多数の吸着孔を有すると共にエア吸引機構を備えたエア吸着式搬送ベルト機構を備えると共に、用紙搬送方向前方から用紙に対してエアを吹き出すエア吹き出し機構を備えたものが提案されている(特許文献1及び2参照)。これら提案された給紙部の構造によると、積載された用紙に向けて搬送方向前方からエアを吹き出すことにより、最上位用紙を捌くと共に浮揚させ、それにより搬送ベルトの下側搬送面に吸着させ、吸着状態で搬送することができる。
また、用紙の種類、たとえば大きさ及び重さ等に応じて最適な給紙性能が発揮できるように、特許文献1の画像形成装置の給紙部では、最上位の用紙が吸引され始めてからエア吸着式搬送ベルト機構の搬送面(下面)に吸着されるまでの時間を計測し、計測した時間と、予め設定された基準時間とを比較し、その大小により、エア吹き出し機構の開口量を制御するように構成されている。また、特許文献2の画像形成装置の給紙部では、手動により、エア吹き出し機構の開口量及び積載用紙の上限位置が調整できるようになっている。
特開昭60−56739号公報。 特開2000−203141号公報。
ところが、給紙性能は、用紙の大きさや重さ等の用紙規格のみで変化するものではなく、用紙の状態並びに作業環境、たとえば湿度あるいは温度等でも大きく左右され、作業環境等が変化すると、上記特許文献1の自動調整では、必ずしも適切に自動調整されない場合があり、給紙不良が生じることがある。
また、特許文献2の画像形成装置の給紙部では、積載用紙が画像形成部に順次給紙されている印刷作業中に、手動でエア吹き出し量等を調整しなければならず、調整中における給紙不良を無くすことができず、調整に手間がかかると共に用紙が無駄になることもある。
(発明の目的)
本発明の目的は、給紙部にエア吸着式搬送機構及びエア吹き出し機構を備えている画像形成装置において、用紙を無駄にすることなく、任意のタイミングで、用紙の種類及び環境に応じて最適な給紙ができるように調整できるようにすることである。
上記課題を解決するため、本発明は、給紙部と、該給紙部から給紙された用紙に画像を形成する画像形成部と、複数の操作キーを有する操作部と、各種駆動部及び調整部を制御するための制御部と、を備えており、前記給紙部は、用紙を積載して昇降可能な給紙台と、該給紙台の最上位用紙を上方からエア吸着して前記画像形成部へ給紙するエア吸着式搬送機構と、前記積載用紙に向けて給紙方向と逆向きにエアを吹き出すエア吹き出し機構と、前記給紙台上の最上位用紙の上限位置を検出する上限センサーと、を有し、前記制御部は、前記上限センサーによる位置検出に基づいて、前記最上位用紙が所定高さにくるよう前記給紙台の昇降機構を制御する、画像形成装置において、前記制御部の記憶部には、前記吹き出し機構及び前記エア吸着式搬送機構のエア吸着機能を作動状態に維持し、前記エア吸着式搬送機構の搬送機能を停止状態に維持し、前記上限センサーによる給紙台の昇降を作動状態に維持する、手動調整モードが記憶されており、前記操作部のキー操作により、前記手動調整モードに切り換え、該手動調整モードにおいて、前記エア吹き出し機構の作動により最上位用紙及びその近傍の用紙を浮揚させた状態で、前記エア吹き出し機構のエア吹き出し量及び前記上限センサーの上限検出位置を手動調整可能としている。
上記画像形成装置において、好ましくは、操作部の操作キーの一つとして、手動調整切り換えキーを設ける。
また、好ましくは、印刷作業時、製版作業時、及び画像形成装置停止時のいずれにおいても、前記手動調整モードへの切り換えを可能とする。
さらに、好ましくは、手動調整モードにおける前記エア吸着式搬送機構のエア吸引量は、最小吸引状態に設定されている。あるいは、前記手動調整モードでは、前記エア吸着式搬送機構のエア吸引量も手動調整可能となっている。
(1)本発明によると、手動調整モードにおいて、画像形成部への給紙を停止した状態で、上限センサーによる積載用紙の高さ調整及びエア吹き出し機構によるエア吹き出し量調整を手動にて行えるので、用紙を無駄にすることなく、用紙の種類及び環境に合わせた最適な状態に給紙性能を設定することができる。
(2)操作キーの一つとして、手動調整切り換えキーを設けることにより、手動調整切り換えキーの操作のみで手動調整モードに簡単に切り換えることができる。
(3)印刷作業時、製版作業時、及び画像形成装置停止時のいずれにおいても、手動調整モードへの切り換えが可能であるので、所望のタイミングで、速やかに、最適な給紙状態に調整することができる。
(4)手動調整モードにおける前記エア吸着式搬送機構のエア吸引量を、最小吸引状態に設定する場合には、手動調整モードにおけるエネルギー消費を低減できる。また、手動調整モードで、エア吸着式搬送機構のエア吸引量も手動調整可能となる場合には、用紙の種類等に応じた給紙性能を一層向上させることができる。
本発明の一実施の形態に係る孔版印刷機(画像形成装置の一例)の斜視図である。 図1の孔版印刷機の内部を透視して示す概略側面図である。 図1の孔版印刷機の操作部の拡大平面図である。 エア吸着式搬送ベルト機構の底面図である。 エア吸着式搬送ベルト機構の全体の斜視図である。 エア吹き出し機構の平面図である。 エア吹き出し機構の後面図である。 図6のVIII-VIII断面拡大図である。 エア吹き出し機構を前方から見た縦断面図である。 上限センサーの内部を透視して示す斜視図である。 上限センサーの内部を透視して示す側面図である。 調整中の上限センサーの内部を透視して示す側面図である。 給紙作動状態の給紙部を示す側面略図である。 手動調整モード状態又は待機状態の給紙部を示す側面略図である。 給紙部に関連する制御系を示すブロック図である。
図1〜図15は、本発明に係る画像形成装置として、孔版印刷を示しており、図1に記載してあるように、用紙搬送方向Fを「前方」、用紙搬送方向Fと反対方向を「後方」と称し、また、用紙幅方向(用紙搬送方向Fと直交する水平方向)を「左右方向」とし、後方から見た状態で「右方」と「左方」を規定し、以下説明する。
(孔版印刷機の全体構造)
孔版印刷機の斜視図である図1において、孔版印刷機の本体1の後方(用紙搬送方向Fの上流側)に給紙部2が設けられ、前方(用紙搬送方向Fの下流側)に排紙部3が設けられ、上側に画像読取部4が設けられ、該画像読取部4の右隣に操作部8が設けられ、本体1の内部に、各駆動部及び各調整部を制御するための制御部(CPU、RAM及びROM等)9が内蔵されている。
孔版印刷機の簡略側面図である図2において、本体1内には、前後方向の概ね中間部に画像形成部5が設けられ、画像形成部5の後方上部に製版部6が設けられ、画像形成部5の前方上部に排版部7が設けられている。
画像形成部5は、内部にインク供給ローラ10が内接すると共に矢印R方向に回転駆動する印刷版胴11と、該印刷版胴11に下方から圧接可能に対向する押圧ローラ12等から構成されており、印刷版胴11の周壁には多数の孔が形成されると共に、前記製版部6で製版された孔版原紙Nが装着されるようになっている。
画像読取部4は、ガラスの原稿台(図示せず)に載置された原稿の画像を読み取り、画像データを生成する。画像データは、外部のコンピュータから受信するようにしてもよい。
製版部6は、製版用のマスターロール13及びサーマルヘッド14等を備えており、画像読取部4で生成した画像データに基づいて、サーマルヘッド14で孔版原紙(マスター)Nを製版し、画像形成部5の印刷版胴11に装着するようになっている。
排版部7は、引込みローラ16及び巻取りローラ17等を備えており、前記印刷版胴11に装着された使用済みの孔版原紙Nを取り外し、引込みローラ16で排版部内に引き込み、排版ロールとして巻き取るようになっている。
本体1の印刷用紙入口には、上下一対の取込ローラ15が配置され、該取込ローラ15と画像形成部5との間には中間搬送機構19及び上下一対のタイミングローラ18が配置されている。該タイミングローラ18は画像形成部5の印刷版胴11の駆動と同期して適宜タイミングで回転し、印刷用紙Pを画像形成部5へ送り込むようになっている。
排紙部3は、排紙ベルト21と、ファン22と、紙受台23と、用紙幅ガイド24と、ストッパー24a等を備えており、ファン22により排紙ベルト21上の用紙Pを排紙ベルト21に吸着し、紙受台23上へ排出するようになっている。
図3は、操作部8の拡大平面図であり、操作面には、各種設定画面及び入出力数値が表示される表示部20と、複数の操作キー並びにインジケータが設けられている。操作キーとしては、印刷作業を開始するプリントキー25a、製版作業を開始する製版キー25b、各種作業を停止するストップキー25c、テストプリントを開始するテストプリントキー25d、数字を入力するための複数のテンキー25e、印刷濃度並びに印刷スピードを表示するインジケータ26a、26b、及び後述する手動調整モードに切り換えるための手動調整切り換えキー29等を備えている。
(給紙部2の全体構成)
図1において、給紙部2は、床面に設置された基台27と、該基台27上に用紙幅方向移動自在に支持された給紙ユニット28と、から構成されている。該給紙ユニット28は、左右の側壁55に昇降可能に支持された給紙台30と、用紙幅方向に間隔を置いて配置された一対の用紙幅ガイド31、32と、給紙台30の前部上方に配置されたエア吸着式搬送ベルト機構33と、図2に示すように、給紙台30の前端に隣接するように立設された前端ストッパー板35と、該ストッパー板35の上端前方部に配置されたエア吹き出し機構36と、給紙台30上に積載された印刷用紙Pの上限位置を検出する上限センサー37と、積載された印刷用紙Pの後端を揃えるための後端ストッパー38等を備えている。
基台27は、キャスター47等を介して床面に載置されると共に、所定の位置において、伸縮自在なストッパー脚48により移動不能に固定されている。給紙ユニット28は、基台27の上面に敷設された前後一対のレール49に、移動ローラ50を介して用紙幅方向移動自在に支持されており、用紙幅方向調整可能な連結機構71により、本体1の後端部に用紙幅方向移動調整可能に連結されている。
(エア吸着式搬送ベルト機構33)
図2において、エア吸着式搬送ベルト機構33は、前後一対の回転ローラ40と、両回転ローラ40間に巻き掛けられた搬送ベルト41と、搬送ベルト41内に配置された吸引ボックス42等を備えており、吸引ボックス42は吸引ファン43に接続している。
図4はエア吸着式搬送ベルト機構33の底面図であり、搬送ベルト41は複数本(たとえば6本)配置されると共に多数の吸引孔44が形成されており、吸引ボックス42の下面には、複数本の吸引スリット45が形成され、該吸引スリット45からエアを吸い込むことにより、搬送ベルト41の下面(搬送面)に用紙を吸着し、前方に搬送するようになっている。
図5はエア吸着式搬送ベルト機構33の全体の斜視図であり、吸引ボックス42は、吸引ダクト42aを介して吸引ファン43の吸引量調整弁ボックス46に接続し、該吸引量調整弁ボックス46内には、吸引開口面積を最小から最大まで変更可能な吸引量調整弁46aが設けられている。該吸引量調整弁46aは、原則として自動制御されるが、自動制御に加え、たとえば手動式の調整レバー96を連結し、手動によっても、開閉及び開口度の調整が可能となっている。又は、吸入量調整弁46aの開閉により吸気のオン、オフの切り換えを行い、吸引ファン43の電源のPWM制御により、吸引量の増減を制御するようにしてもよい。
(給紙台30)
図1において、給紙部2の側壁55内に、給紙台30を昇降するための昇降機構(エレベータ機構等)57が内蔵されており、この昇降機構57により給紙台30を昇降させるようになっている。
(用紙幅ガイド31,32及び後端ストッパー38)
図1において、左右一対の用紙幅ガイド31,32は、たとえば、右側の用紙幅ガイド31が固定型式で、左側の用紙幅ガイド32が、用紙幅方向に移動自在な可動式となっている。
給紙台30の上方には、前後方向に延びる支持ロッド38aが配置され、この支持ロッド38aに、前記後端ストッパー38が前後方向移動自在に支持されている。
(エア吹き出し機構36)
図2において、エア吹き出し機構36は、用紙幅方向に長いユニットボックス60を有しており、このユニットボックス60は、給紙ユニット28の前端部に固定されると共に、ダクト61を介して送風ファン62に接続し、該送風ファン62からユニットボックス60内にエアを圧送するようになっている。
図6はエア吹き出し機構36の平面図、図7はエア吹き出し機構36の後面図、図8は図6のVIII-VIII断面拡大図、図9はエア吹き出し機構36の駆動機構を前方から見た縦断面図である。図6において、ユニットボックス60の上面には、後向きに開口する3つのエア吹き出し口63が左右方向に間隔をおいて設けられている。最も右側のエア吹き出し口63は、固定型用紙幅ガイド31の近傍位置であって、固定型用紙幅ガイド31に対して、用紙幅方向に所定距離D1を隔てて位置している。上記所定距離D1は、用紙Pを左前端角部Paから捌く(捲る)のに最も適した距離(例えば20mm〜40mm)に設定されている。
各吹き出し口63の後側には、吹き出し口63の開度を調整するためのシャッター64が左右方向移動可能に配置され、また、各吹き出し口63間には、最終の捌きを行なう捌き板66が昇降可能に配置されている。
図7において、3つのシャッター64は、ベース板65により一体に連結されており、図7に示す全開位置では、各シャッター64は対応するエア吹き出し口63の左側に位置しており、右方に移動することにより各エア吹き出し口63を徐々に閉塞し、それらの開度を減少させるようになっている。
図9は、前方から見た図であるので、図面の左右は実際の左右と逆になっている。この図9において、シャッター64のベース板65には左右方向に長いガイド溝72が形成され、該ガイド溝72にはユニットボックス60に設けられたガイドピン73が係合し、該ガイドピン73によりベース板65の移動方向を左右に規制するようになっている。ベース板65とユニットボックス60の左壁の間にはコイルばね75が張設され、ベース板65の右端部には操作ケーブル76が連結されている。操作ケーブル76は調節ダイヤル77に連結し、手動にて調整ダイヤル77を回して操作ケーブル76を引っ張ることにより、コイルばね75に抗してベース板65及びシャッター64を右方へ移動し、エア吹き出し口63の開度を減少するようになっている。
左右2個配置された捌き板66は、二股状の取付板80の上端に固着されており、取付板80には上下方向に長いガイド溝81と、カムピン84が設けられている。ガイド溝81にはユニットボックス60に設けられたガイドピン82が係合し、取付板80の移動方向を上下に規制するようになっており、カムピン84は駆動プレート86の縦板部86aに形成されたカム溝85に係合している。該カム溝85は水平に対して左上がりに傾斜しており、駆動プレート86を右方に移動することにより、取付板80及び捌き板66を押し上げるようになっている。また、駆動プレート86の右端部に形成された縦板部86bには左右方向に長い長孔90が形成され、該長孔90に、ユニットボックス60に設けられたガイドピン91を係合することにより、駆動プレート86の移動方向を左右方向に規制している。駆動プレート86とユニットボックス60の左壁の間にはコイルばね92が張設され、駆動プレート86の右端部には操作ケーブル95が連結されている。操作ケーブル95は手動式の調整ダイヤル94に連結し、手動により調整ダイヤル94を回して操作ケーブル95を引っ張ることにより、コイルばね92に抗して駆動プレート86を右側に移動し、カム溝85及びカムピン84からなるカム機構を介して、取付板80及び捌き板66を上昇させる。
図8は、エア吹き出し口63の詳細を示しており、エア吹き出し口63の下壁63bは積載用紙Pと略平行(該実施の形態では略水平)に形成され、上壁63aは後上がり傾斜状に形成されている。下壁63bと上壁63aを上記のように形成することにより、エア吹き出し口63からは、略水平向きのエアと、後斜め上向きのエアが、後方の積載用紙Pの前端縁に向って吹き出されることになる。
(上限センサー37)
図10は上限センサー37を透視して示す斜視図、図11及び図12はそれぞれ上限センサー37を透視して示す側面図である。図10において、上限センサー37は、角箱状のケース100と、該ケース100に前下端部に固着された支軸101と、該支軸101に回動自在に支持された検知レバー102と、前記支軸101に、前記検知レバー102とは独立して回動可能に支持されると共に、任意の回動位置で摩擦等により自己保持される手動式の調整レバー105と、を備えている。
調整レバー105は、略前方に延びる前部と略上方に延びる後部とからL字形に形成されており、調整レバー105の前端部が支軸101に回動可能に支持されている。上方に延びる後部は、ケース100の上壁に形成されたスリット100aと通って上方に突出し、その上端部には抓み105aが設けられている。
調整レバー105の下部には、発光部107a及び受光部107bからなる光センサー107が設置されており、発行部107aと受光部107bとは、前後方向に間隔をおいて対向している。なお、前記光センサー107の代わりに、所定距離まで被検出部が接近した状態を磁力により検出する近接スイッチ、あるいは機械的な接触により検出するマイクロスイッチ等を備えることも可能である。また、電流値の変化を利用したポテンショメータを設置することも可能である。
検知レバー102は、支軸101より前方部分が前下方に突出しており、検知レバー1−2の前下端縁102aは、積載用紙の最上位用紙P1に滑らかに当接するように円弧形に形成されている。検知レバー102の支軸101より後方部分は、左方に折れ曲がる遮光板102bが一体に形成されている。この遮光板102bは、検知レバー102の支軸101回りの揺動により、前記発光部107aと受光部107bとの隙間に進退するようになっており、前記隙間に進入して発光部107aからの検出光を遮断することにより、上限位置を検出するようになっている。すなわち、センサー光が遮蔽されることにより、最上位用紙が上限位置あるいはそれ以上に上昇したことを検知し、反対に、遮蔽状態のセンサー光が通過状態になることにより、最上位用紙が上限位置よりも下降したことを検知する。
図11において、検知レバー102は、実線で示す係止位置(回動基準位置)で、図示しない係止部材により、下端縁102aが下降しないように係止されている。検知レバー102の前下端縁102aが積載用紙の最上位用紙P1によって押し上げられると、検知レバー102は矢印A1方向に回動し、仮想線で示すように、係止位置から設定角度θ1だけ回動すると、遮光板102bにより光センサー107のセンサー光を遮蔽する。
調整レバー105は、前述のように支軸101回りに、検知レバー102とは独立して回動可能であり、支軸101回りに回動することにより、設定角度をθ1から別の角度に変更し、それにより、積載用紙の上限検出位置H1を変更することができる。
図12は、調整レバー105を図11の状態から矢印B1方向に回動した状態を示しており、設定角度はθ1からθ2に減少し、これに伴い、上限検出位置もH1からH2に低下している。すなわち、調整レバー105を矢印B1方向に回動するに従い、設定角度が減少し、上限検出位置が低くなっていくのである。
なお、図10の斜視図は、調整レバー105を、図11の状態から、さらに矢印B1方向に最大限回動した状態であり、上限検出位置が最も低く設定されることになる。
(制御系の構成)
図15は、給紙部2の駆動部及び調整部に関する制御系を示すブロック図であり、制御部9には、操作部8,上限センサー37,給紙台30の昇降機構57,エア吹き出し機構36の送風ファン62,エア吸着式搬送ベルト機構33の吸引量調整弁46a及び搬送機構駆動部(モータ等)が、電気的に接続されている。
制御部9の入力部には、上限センサー37からの上限位置検出信号、操作部8からの各種操作キーによる入力信号、吸引量調整弁46aからの開度検出信号等が入力される。制御部9の出力部からは、給紙台30の昇降機構57への昇降、下降及び停止信号、エア吹き出し機構36の送風ファン62へのオンオフ信号、エア吸着式搬送ベルト機構33の搬送駆動部へのオンオフ信号、並びに吸引量調整弁46aへの開口度変更信号等が出力される。
上限センサー37は、前述のように手動式の調整レバー105により上限検出位置の調整が可能となっており、エア吹き出し機構36のシャッター64は、手動式の調整ダイヤル77により吹き出し量の調節が可能となっている。なお、エア吸着式搬送ベルト機構33の吸引量調整弁46aも、前述のように、手動式の調整ダイヤル96によって、手動により吸引量を調整することができる。
(製版作業及び印刷作業の概要)
(1)図3の製版キー25bを押すことにより、図2において、画像読取装置4で原稿を読み取り、製版部6で製版し、製版後の孔版原紙(マスター)Nを印刷版胴11に装着する。
(2)次に、印刷準備として、下降位置の給紙台30に多数の印刷用紙Pを積載し、給紙台30を上昇させる。最上位用紙P1が上限センサー37に接触し、さらに上限検出位置まで上昇すると、上限センサー37による上限位置の検知により、給紙台30は停止する。これにより、最上位用紙P1は所定の高さに設定される。すなわち、搬送ベルト41の搬送面に対し、所定間隔だけ下方の位置に、最上位用紙P1が停止される。
(3)図3のプリントキー25aを押すことにより、印刷作業がスタートする。すなわち、図2において、画像形成部5の印刷版胴11等が回転すると共に、給紙部2のエア吸引式搬送ベルト機構33及びエア吹き出し機構36が作動する。これにより、給紙台30の最上位用紙P1が、エア吸着式搬送ベルト機構33の搬送ベルト41の下面に吸着され、前記最上位用紙P1は吸着状態で前方に送り出され、図8の捌き板66の上端隙間を抜けて、図2の入口側取込ローラ15から孔版印刷機1内に供給される。
(4)本体1内では、中間搬送機構19を通って前方のタイミングローラ18まで搬送される。タイミングローラ18は、印刷版胴11の回転と同期して駆動することにより、用紙Pを画像形成部5の印刷版胴11と押圧ローラ12の間のニップ部に送り込む。そしてこのニップ部において、印刷用紙の表面に印刷が施される(画像形成される)。
(5)印刷後の印刷用紙Pは、排紙ベルト21に吸着されながら紙受台23に排出される。
(給紙工程の詳細)
(1)図13は、印刷作業中における給紙部2の給紙動作状態を示し、図14は印刷作業中における給紙部2の待機状態を示している。図13において、エア吸着式搬送ベルト機構33の吸引作用により、最上位用紙P1が搬送ベルト41の搬送面(下面)に吸着され、それと同時に、エア吹き出し口63からのエアにより、最上位用紙P1の下側に続く数枚の用紙が浮揚され、それぞれ上下方向に隙間を隔てるように捌かれる。この状態で搬送ベルト41が駆動することにより、最上位用紙P1は前方に搬送される。
(2)最上位用紙P1の給紙が完了すると、図14に示すように、一時的に搬送ベルト41が停止し、次位の用紙が給紙されるタイミングまで、待機する。この待機状態では、搬送ベルト41は停止した状態であるが、エア吸着式搬送ベルト機構33による吸引作用は、吸引量を最小限に制御した状態で実施され、かつ、エア吹き出し口63からのエア吹き出しも実施されている。
(3)次の給紙タイミングになると、エア吸着式搬送ベルト機構33の搬送ベルト41が再駆動すると共に、吸引量が最小値から所定吸引量まで増加し、前記同様に次の最上位用紙を給紙する。
(4)前記のように、図13の給紙動作状態と、図14の待機状態とを、交互に繰り返すことにより、所定タイミングで、1枚ずつ最上位用紙を給紙する。
(5)印刷作業が進み、積載用紙の高さ(最上位用紙の位置)が所定量低下したことを上限センサー37が検知すると、その検知信号が制御部9に入力され、制御部9から給紙台30の昇降機構57に上昇指示信号が送られる。これにより、昇降機構57が駆動して、給紙台30が上昇し、最上位用紙の位置が高くなる。最上位用紙が高くなるにつれて、上限センサー37の検知レバー102が押し上げられ、上限位置まで達したことを検知すると、昇降停止信号が入力され、昇降機構57が停止する。
すなわち、作業中は、積載用紙の最上位用紙の位置(高さ)が略一定に維持され、これにより、印刷作業の進み度合い(積載用紙の減り具合)に関係なく、常に、適切な給紙が実施される。
(手動調整モードにおける手動調整)
印刷作業中は、前記のように、上限センサー37による最上位用紙P1の位置制御により、最上位用紙の高さ(搬送ベルト41の下面と最上位用紙P1との間隔)が略一定に保たれる。しかし、用紙の質あるいは環境(特に湿度)の変化により、適切な給紙が出来なくなる場合がある。たとえば、上限センサー37により検知される上限検出位置、あるいはエア吹き出し量が適切でなくなり、給紙遅れや二重送り、あるいは部分的に重なった状態で給紙される場合がある。ちなみに、エア吹き出し量が多すぎると、積載用紙がまとまって上昇し、二重送りが生じやすく、反対にエア吹き出し量が少なすぎると、次位以下の用紙が浮揚せず、給紙ミスあるいは給紙遅れの原因となる。このような場合には、図3の手動調整切り換えキー29を押すことにより、印刷機全体を手動調整モードとし、手動により、上限検出位置及びエア吹き出し量を調節する。
前記手動調整切り換えキー29は、孔版印刷機が印刷状態、製版状態あるいは停止状態にいずれの状態でも行うことができる。
たとえば、印刷作業中に、図3の手動調整切り換えキー29を押すと、手動調整モードに入り、図2の画像形成部5では、本体1内に残存する用紙を総て印刷し、排紙部3に排出する。なお、印刷版胴11は手動調整の間、空回転を持続する。
一方、給紙部2では、図14に示すように、エア吸着式搬送ベルト機構33の搬送ベルト41が停止すると同時に、吸引量調整弁46a(図5)が最小開度まで閉じる。また、エア吹き出し機構36は通常のエア吹き出し状態が維持される。すなわち、印刷作業中の待機状態と同じ状態となる。
給紙部2が図14の状態に維持されている間に、作業者は、最上位用紙P1及びその近傍の用紙の浮揚状態及び捌け状態を視認しつつ、上限センサー37の調整レバー105を回動し、上限検出位置を上方あるいは下方に調整すると共に、エア吹き出し機構36の調整ダイヤル77を回動して、エア吹き出し口63の開度を変更し、エア吹き出し量を調節する。これらに調整により、最上位用紙の下方に来る数枚の用紙が適切に浮揚し、捌かれる状態にセットする。
手動による調整作業が終了すると、作業者は、たとえば図3の手動調整切り換えキー29を再度押すことにより、前述の印刷作業に戻す。
製版作業中に、手動調整切り換えキー29を押した場合には、前記手動調整モードに切り換えられるが、製版作業は停止することなく実施され、製版後の孔版原紙が印刷版胴11に装着される。
また、孔版印刷機を停止した状態で手動調整切り換えキー29を押した場合には、給紙部2のみが前記手動調整モードに切り換えられる。
なお、手動調整モードにおいて、図5の吸引量調整レバー96を手動操作して、印刷作業時の最大吸引量の値あるいは最小吸引量の値等を、調整することも可能である。
[その他の発明の実施の形態]
(1)前記実施の形態では、操作部8の手動調整切り換えキー29を押すことにより、手動調整モードに切り換わるように構成しているが、専用の手動調整切り換えキー29を備えなくとも、たとえば、プリントキー25aとテストプリントキー25dとを、同時に押すことにより、手動調整モードに切り替わるように構成したり、他のキー操作の組合せで手動調整モードに切り替わるように構成したり、することも可能である。それらの場合、印刷途中であれば、プリントキー25a又は、テストプリントキー25dを押すだけで、印刷状態に戻るようにしてもよい。
(2)前記上限センサー37の手動調整及びエア吹き出し機構36のエア吹き出し量の手動調整と、前記技術文献2の従来の自動調整とを組み合わせた構成とすることもできる。
(3)前記実施の形態では、図2に示すように、エア吸着式搬送ベルト機構33より後方に上限センサー37を設けているが、封筒を給紙する場合には、前記後部の上限センサー37に加え、あるいは後部の上限センサー37の代わりに、給紙台30の前部、たとえばエア吸着式搬送ベルト機構33の下側に別の上限センサーを設けても良い。この場合、手動調整モード時には、前側の上限センサーにより、封筒の前部の上限検出位置を手動調整する。封筒を給紙する場合には、一般に開口を後方に向けて積載され、前端部に折重ね部分(既に閉塞された折り重ね部分)が位置するため、前端部の高さが後端部に比べて高くなる傾向になるが、この高くなる前端部を上限センサーにより検知するのである。
(4)画像形成装置として、複写機又はプリンタ等にも本発明を適用することができる。
1 孔版印刷機の本体
2 給紙部
3 排紙部
5 画像形成部
6 製版部
8 操作部
9 制御部
25a プリントキー
29 手動調整切り換えキー
43 吸引ファン
46a 吸引量調整弁
30 給紙台
33 エア吸着式搬送ベルト機構
36 エア吹き出し機構
41 搬送ベルト
37 上限センサー
57 昇降機構
62 送風ファン
63 エア吹き出し口
64 シャッター
77 エア吹き出し量用の調整ダイヤル
105 上限センサーの手動式調整レバー

Claims (5)

  1. 給紙部と、該給紙部から給紙された用紙に画像を形成する画像形成部と、複数の操作キーを有する操作部と、各種駆動部及び調整部を制御するための制御部と、を備えており、
    前記給紙部は、用紙を積載して昇降可能な給紙台と、該給紙台の最上位用紙を上方からエア吸着して前記画像形成部へ給紙するエア吸着式搬送機構と、前記積載用紙に向けて給紙方向と逆向きにエアを吹き出すエア吹き出し機構と、前記給紙台上の最上位用紙の上限位置を検出する上限センサーと、を有し、前記制御部は、前記上限センサーによる位置検出に基づいて、前記最上位用紙が所定高さにくるよう前記給紙台の昇降機構を制御する、画像形成装置において、
    前記制御部の記憶部には、前記吹き出し機構及び前記エア吸着式搬送機構のエア吸着機能を作動状態に維持し、前記エア吸着式搬送機構の搬送機能を停止状態に維持し、前記上限センサーによる給紙台の昇降を作動状態に維持する、手動調整モードが記憶されており、
    前記操作部のキー操作により、前記手動調整モードに切り換え、該手動調整モードにおいて、最上位用紙及びその近傍の用紙を浮揚させた状態で、前記エア吹き出し機構のエア吹き出し量及び前記上限センサーの上限検出位置を手動調整可能としている、画像形成装置。
  2. 前記操作部の操作キーの一つとして、手動調整切り換えキーを設けてある請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 印刷作業時、製版作業時、及び画像形成装置停止時のいずれにおいても、前記手動調整モードへの切り換えが可能となっている請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記手動調整モードにおける前記エア吸着式搬送機構のエア吸引量は、最小吸引状態に設定されている、請求項1乃至3のいずれか一つに記載に画像形成装置。
  5. 前記手動調整モードでは、前記エア吸着式搬送機構のエア吸引量も手動調整可能となっている、請求項1乃至3のいずれか一つに記載に画像形成装置。
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