JP2016069136A - 積載装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】積載トレイにおいて1枚目のシートの搬送を滞りなく行いながらも、2枚目以降では積載されたシートを所定位置で整然と保持することが可能な積載装置を提供する。
【解決手段】積載トレイ16にシートSが存在する場合は、所定の位置から移動しないような保持力をシートSに作用させる。一方、積載トレイ16にシートSが存在しない場合は、保持力が積載トレイ16上を搬送されるシートSに作用しないように、積載トレイの通紙面を切り替える。
【選択図】図19
【解決手段】積載トレイ16にシートSが存在する場合は、所定の位置から移動しないような保持力をシートSに作用させる。一方、積載トレイ16にシートSが存在しない場合は、保持力が積載トレイ16上を搬送されるシートSに作用しないように、積載トレイの通紙面を切り替える。
【選択図】図19
Description
本発明は、排出されたシートを積載する積載装置に関する。
大型のインクジェットプリンタのように、大判のシートを成果物として排出する装置では、成果物はバスケットのような容器に収容されることがある。しかしながら、このようなバスケットに複数枚のシートを連続排出すると、新たなシートが排出されるたびにこれら成果物が互いにぶつかり合い、傷や折れなどが生じるおそれがある。また、ロール状に保持された連続シートに画像をプリントした後、連続シートを画像に合わせてカットする構成では、カットされたシートに巻き癖(カール)が残っており、バスケット内に多数枚を積載収容することが困難であった。よって近年では、大判のシートを扱う装置に対し排出後のシートを整然と積載するための積載装置(スタッカ)が提供されている。
シートが大判の場合、多くの積載装置ではシート先端が積載トレイからはみ出し、垂れ下がった状態で保持されるが、垂れ下がった領域の自重によってシートが滑り落ちることが懸念される。これに対し、例えば特許文献1には、積載トレイの先端に摩擦面を配備した構成が開示されている。特許文献1のような構成を採用すれば、積載されるシートの量が増えるほど、その自重によって最下位にあるシートと摩擦面との間の摩擦力は強まり、積載シートが積載トレイから滑り落ちるのを防止することが出来る。
しかしながら、特許文献1で開示されるような摩擦面は、既に積載されているシートを滑り落とさないようするためには有効であるが、空の積載トレイに最初のシートが搬送されて来る場合には、その進行を妨げてしまうおそれがある。特に、ロール状に保持されていたときの巻き癖が残るシートでは、その先端が摩擦面に接触することで更なるカール形成が促され、正常な搬送を行うことが出来なくなってしまう場合がある。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものである。よってその目的とするところは、積載トレイにおいて1枚目のシートの搬送を滞りなく行いながらも、2枚目以降では積載されたシートを所定位置で整然と保持することが可能な積載装置を提供することである。
そのために本発明は、シートが傾斜した状態でトレイに支持され且つシートの一部が前記トレイから垂れ下がった状態で載置される積載装置であって、前記トレイにシートがすでに載置されている場合は、載置されているシートが落下しないように保持力を作用させ、前記トレイからシートが載置されていない場合は、前記保持力がシートに対し作用しないように切り替える切り替え手段を備えることを特徴とする。
本発明の積載装置によれば、トレイにシートが載置されていない状態におけるスムーズなシート搬送と、トレイにすでにシートが載置されている状態におけるシートの安定した保持を両立することが出来る。
図1は、インクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」と呼ぶ)100とそれに接続するスタッカ101(シート積載装置)の断面図である。プリンタ100において、ロール状に保持されたロールシート1の外周より連続シートSが引き出され、Y方向に向けて搬送される。そして、プリントヘッド5によって所定の画像がプリントされた後、カッタ8によって画像のサイズに応じた位置で切断され、排出ガイド9から排出される。プリンタ100より排出されたカットシートSは、スタッカ101に搬入され、傾斜をもったトレイユニット103に載置される。トレイユニット103に搬送されてくるシートは傾斜面に沿って重力方向の上方に上り頂点を過ぎたら下方に垂れ下がって保持される。この状態でインクの乾燥がなされる。連続プリントにより連続してスタッカに搬送されてきたカットシートSは、すでに排出されたシートの上に複数枚積載されていく。
なお、本発明のスタッカ(積載装置)はインクジェットプリンタとの組み合わせには限定されず、他のプリント方式のプリンタとの組み合わせであってもよい。また、プリンタに限らず画像読取装置やその他のシート処理装置から排出されるシートを積載する用途のスタッカとしても用いることができる。
以下、搬送経路の構成をより詳しく説明する。ロールシート1から供給されたシートSは、プリンタ搬送ローラ3およびプリンタピンチローラ4によって挟持されながら、プラテン6上に搬送される。プラテン6は、画像データに従ってインクを吐出するプリントヘッド5に対向する位置に配備され、プリント中のシートSをその下方から支持している。プラテン6には、不図示のダクトや吸引ファンと連通した吸引口が形成されており、搬送中のシートSを背後から吸引して、その平滑性を保っている。インクジェット方式のプリントヘッド5によるプリント動作が進み1ページ分の画像がプリントされると、カッタ8が画像の後端位置に合わせてシートSを切断する。
シートSの先端は、プリンタ100の排出ガイド9から排出されると、搬送ユニット102を介してスタッカ101に搬入される。搬送ユニット102内に配備された搬送ローラ12は、排出ガイド9から排出されたシートSの先端がスタッカ101に備えられたシート検知センサ22で検出した時点で駆動され、ピンチローラ13とともにシートSを挟持し、トレイユニット103に搬送する。切断後のシートSのサイズが十分に大きい場合、当該シートは積載トレイ16の端部からその先端が垂れ下がった状態で保持される。
なお、プリンタ100には、搭載されているロールシート1の幅サイズ入力、オンライン/オフラインの切り替え、コマンド入力などをユーザが行うための操作部が備えられている。
図2は、搬送ユニット102の構成を説明するための断面図である。搬送ユニット102は、スタッカ101において、シート搬送の最も上流に配置された搬送機構である。プリンタ100の排出ガイド9より排出されたシートSは、ジョイント部10と上ガイド11の間に挿入され、ジョイント部10に支持されながら、また上ガイド11によってそのカールが抑えられながら、両者の間を進行する。
搬送下ガイド20および搬送上ガイド21は、ジョイント部10と上ガイド11の間に到達したシートSを、更に搬送ローラ12とピンチローラ13のニップ部に案内するためのガイドである。搬送上ガイド21には、ピンチローラ13が回転可能に取り付けられており、不図示の付勢手段によって搬送ローラ12に向けて付勢されている。また、搬送上ガイド21には、排出ローラ15を支持する排出ローラホルダ29が回動可能に取り付けられている。一方、搬送下ガイド20の途中には、シートSの先端や後端を検出するためのシート検知センサ22が設けられている。
搬送ローラ12とピンチローラ13のニップ部から抜けたシートSは、トレイユニット103の上ガイド17と積載トレイ16の間を進行し、最終的に積載トレイ16上に積載シートSaとして保持される。上ガイド17および積載トレイ16は、水平方向(Y方向)に対して傾きを有しており、積載トレイ16の上流側端部は搬送ローラ12とピンチローラ13のニップ部よりも重力方向(Z方向)にHだけ低い位置に配置されている。積載トレイ16の上流側先端には、搬送ローラ12に対して串歯状に当接する付き当て部16dが形成されており、積載シートSaが積載トレイ16から滑り落ちるのを防いでいる。
上記ニップ部と積載トレイ16を接続したり離間したりすることが可能なクランプガイド14(可動ガイド)が設けられている。クランプガイド14は、外部からの圧力に応じて多少撓む平板で形成されており、後述する移動手段によって図のY方向に進行したり後退したり出来るようになっている。本明細書では、クランプガイド14が最も後退した状態を退避状態、Y方向に進行した状態を突出状態と称する。図2ではクランプガイド14がY方向に進行した突出状態を示している。
クランプガイド14の先端には回転体であるコロ24が取り付けられており、コロ24は積載トレイ16または積載シートSaに接触しながら従動回転してY方向に進行する。図2に示す突出状態において、コロ24は積載トレイ16に積載される最上位のシートSに当接している。このようなコロ24を配設することにより、積載シートSaを傷つけることなくこれがY方向へずれるのを抑えることができる。
突出状態において、排出ローラ15はクランプガイド14の上面に接触し、クランプガイド14の抗力によって排出ローラホルダ29と供に持ち上げられている。このような状態で新たなシートSが排出されて来ると、シートSはクランプガイド14に案内されながら排出ローラ15の回転に伴ってY方向に搬送され、積載トレイ16の最上位シートとして積載される。この際、新たに排出されて来るシートSが図2のように多少カールしていても、排出ローラ15が自重によってこれを押さえるので、搬送中のシートはその平滑性を維持することが出来る。また、段差Hはクランプガイド14によって塞がれているので、排出ローラ15から開放された先端が段差Hに入り込んで紙詰まりなどを招致することもない。さらに、積載トレイ16上にある積載シートSaの浮きについてもクランプガイド14によって抑えられているので、新たに排出されるシートSの先端が積載シートSaに引っ掛かったり積載シートSaの中腹に突き当たってこれを押し出したりすることもない。
図3は、クランプガイド14が図2の突出状態から−Y方向に移動した退避状態を示す図である。退避状態において、クランプガイド14は、搬送下ガイド20の内側に収納され、コロ24は搬送ローラ12の外径内に収まった位置に配置されている。このため、排出ローラ15は自重により搬送ローラ12に接触する位置にある。また、搬送ローラ12のニップ部と積載トレイ16の間の段差Hは露出する。新たに排出されるシートSの先端が未だシート検知センサ22に到達していないタイミングにおいて、このような退避状態を維持する。また、新たに排出されるシートSの後端が搬送ローラ12とピンチローラ13のニップ部から離れるタイミングにおいても、この退避状態が実現されているようにする。シートSの後端がニップ部から離れるタイミングにおいて退避状態が実現されていれば、シートSの後端は上記段差を落下し、その後端を既に積載トレイ16上にある積載シートSaの後端と揃えることが出来る。
図4は、搬送ローラ12およびクランプガイド14の駆動構成を説明するための斜視図である。搬送ローラ12およびクランプガイド14は搬送方向(Y方向)と交差するX方向に沿って複数ずつ交互に配置されている。
搬送ローラ12のそれぞれは、共通するトルクリミッタ付きギア31を介して搬送ローラモータ23により回転可能に連結されている。搬送ローラモータ23は、シート検知センサ22がシートSの先端を検出した時点で駆動され、搬送ローラ12の回転が開始されるようになっている。シートSがプリンタ搬送ローラ3とスタッカ101内の搬送ローラ12の両方で搬送されている場合、これら2つの搬送ローラの搬送速度は等しくなるように制御されている。そして、例えば搬送の途中でプリンタ搬送ローラ3が搬送動作を停止した場合、リミット値に達したトルクリミッタ付きギア31はシートS上で滑り出し、搬送ローラ12の回転を停止させるようになっている。一方、シートSがカットされ、スタッカ101側のシートSがスタッカ101内の搬送ローラ12のみで搬送される場合、搬送ローラ12による搬送速度は、スタッカ101側で独立に制御することが出来るようになる。
クランプガイド14のそれぞれはホルダ25に保持され、これら複数のホルダ25は、共通するクランプガイド軸30を介してクランプガイドモータ28に連結されている。そして、クランプガイドモータ28の駆動力によってギア26が順回転または逆回転し、ギア26に噛み合わされたレール32を介して、クランプガイド14がY方向へ進行したり後退したりする。ホルダ25それぞれのギア26には、トルクリミッタ27が取り付けられており、クランプガイドモータ28による進行や後退の程度は、トルクリミッタ27によってクランプガイド14ごとに調整される。
具体的に説明すると、クランプガイドモータ28がクランプガイド14を進行させるように回転したとき、それぞれのコロ24が積載トレイ16または積載シートSaに接触し、ある程度の抗力を受けた時点でトルクリミッタ27が作動し、停止する。つまり、X方向に配列する複数のクランプガイド14は、それぞれの位置の積載シートの厚みに応じて、進行の程度が調整される。
図5は、比較的小サイズの積載シートSaが積載トレイ16に既に積載されている場合において、クランプガイド14を退避状態から突出状態に移行させた場合の上面図である。ここでは、上ガイド17を取り除いた状態を示している。積載シートSaが存在する領域Aにおいては、図2のように、コロ24が積載シートSaの面に当接しながら回転および進行し、クランプガイド14自身も撓みながらY方向に進行する。そして、クランプガイド14の進行は、トルクリミッタ27がリミット値を超えた位置で停止する。トルクリミッタ27は、積載シートSaに対し過大な押圧力が働かないように調整されており、シートが傷つくことは無い。
一方、積載シートSaが存在しない領域Bに含まれるクランプガイド14については、図6のように、コロ24が積載トレイ16に直に当接した状態でトルクリミッタ27が作動し、その進行が止まる。図2と図6を比較すると、コロ24がより浅い位置(すなわちより早いタイミング)で当接している図2のほうが、より深い位置(すなわちより遅いタイミング)で当接している図6に比べてY方向への移動量が少ないことが分かる。つまり、図5に見るように、領域Aに含まれるクランプガイド14は、領域Bに含まれるクランプガイド14に比べてY方向への移動量が小さい。そして、どちらの領域においても、段差Hはクランプガイド14によって完全に塞がれており、新たに搬送されて来るシートSの先端が段差Hに入り込むことは無い。
図7は、スタッカ101における制御の構成を説明するためのブロック図である。コントローラ200は、シート検知センサ22の検出結果などに応じて、搬送ローラモータ23およびクランプガイドモータ28を駆動する。既に図4でも説明したように、搬送ローラモータ23は複数の搬送ローラ12を回転するが、その回転は共通するトルクリミッタギア31によって一様に制限されている。一方、クランプガイドモータ28は複数のクランプガイド14の進行および後退を制御するが、その移動量は個々のクランプガイド14に備えられたトルクリミッタ27によって個別に制限されている。
図8は、スタッカの電源オン時にコントローラ200が実行する工程を説明するためのフローチャートである。また、図9(a)〜(f)は、各工程におけるシートSの搬送および積載状態を示す図である。
ステップS100にて電源オンが確認されると、コントローラ200はステップS101に進み、シート検知センサ22がシートSの先端を検知したか否かを判断する。シートSの先端が検出されない場合、シートSの先端が検出されるまで周期的にステップS101を繰り返す。図9(a)は、シート検知センサ22がシートSの先端を検知した時点の状態を示している。このタイミングにおいてクランプガイド14は退避状態にあり、排出ローラ15は自重で下がり搬送ローラ12と接している。
ステップS101でシートSの先端が検出されると、コントローラ200はステップS102に進み、搬送ローラ12およびクランプガイドモータ28を駆動する。図9(b)は、これらモータ駆動中のシートSの搬送状態を示している。搬送ローラ12は反時計回りに回転し、クランプガイド14はY方向に進行し排出ローラ15を持ち上げて突出状態となる。先端が検出されたシートSは、その後搬送ローラ12とピンチローラ13にニップされながらクランプガイド14に沿ってY方向に搬送される。
ステップS103において、コントローラ200はシート検知センサ22がシートSの後端を検知したか否かを判断する。シートSの後端が検出されない場合、コントローラ200はステップS102に戻り、搬送ローラモータ23およびクランプガイドモータ28の駆動を継続する。ステップS103でシートSの後端が検出されると、コントローラ200はステップS104に進む。図9(c)は、シート検知センサ22がシートSの後端を検知した時点の状態を示している。
ステップS104において、コントローラ200はシートSの後端を検知した時点から第1の所定時間が経過したか否かを判断する。第1の所定時間が経過していないと判断した場合は、搬送ローラモータ23およびクランプガイドモータ28の駆動を継続する。ステップS104で第1の所定時間が経過したと判断した場合、コントローラ200はステップS105に進み、搬送ローラモータ23の駆動は維持したまま、クランプガイドモータ28を逆回転してクランプガイド14の−Y方向への退避を開始する。図9(d)はクランプガイド14が−Y方向に移動している途中、同図(e)は−Y方向への退避が完了した退避状態を示している。
シートSの後端が搬送ローラ12とピンチローラ13のニップ部から排出されるタイミングにおいて、クランプガイド14は完全に退避状態に戻っている。よって、排出ローラ15は回転中の搬送ローラ12に接してニップ部を形成しており、排出されたシートS後端が退避中のクランプガイド14に接触して−Y方向に引き戻されたり、搬送ローラ12に接触して傷や折れが発生したりすることは無い。また、排出ローラ15と搬送ローラ12のニップ部と積載トレイ16の間の段差Hは完全に露出しており、シートSの後端は積載トレイ16の規定位置に落下する。このように、シートSの搬送中はクランプガイド14をなるべく突出状態としておきながら、シートSの後端が上記ニップ部から排出されるタイミングでは完全に退避状態に戻っているように、第1の所定時間は設定されている。
続くステップS106にて、コントローラ200は、シートSの後端を検知した時点から第2の所定時間が経過したか否かを判断し、第2の所定時間が経過したと判断されるまで搬送ローラモータ23の駆動を継続する。ここで、第2の所定時間とは、第1の所定時間よりも大きな値であって、シートSの後端がシート検知センサ22を通過してから積載トレイ16に落下するのに十分な時間である。図9(f)は、シートSの後端が積載トレイ16に落下した直後の状態を示している。ステップS106で第2の所定時間が経過したと判断した場合、コントローラ200はステップS107に進み、搬送ローラモータ23の駆動を停止する。そして、再びステップS101に戻り、次のシートSの先端が通過するのを待つ。
以下、第1の所定時間の設定方法について説明する。既に説明したように、第1の所定時間とは、クランプガイド14の突出状態をなるべく維持しながらも、シートSの後端がニップ部から排出される時にはクランプガイド14が退避状態に戻っているようにクランプガイド14の後退を開始するための時間である。シートSの搬送中になるべく突出状態を維持することは、新たに排出されるシートSの摩擦力が積載シートSaに作用する時間や距離をなるべく短くして重送を防ぐためである。
しかし、このような重送の起き易さはスタッカ101の使用環境やシートSのシート種類によって変化する。また、多少重送しても、使用環境やシート種類によっては、シートの排出が完了した時点で積載トレイ16の傾きにより積載シートSaの後端部が整列され、積載性に影響が現れない場合もある。すなわち、重送が起き易い場合はクランプガイド14の後退を開始するタイミングはなるべく遅い方が良いが、然程重送が問題にならない場合には、搬送速度の誤差などに配慮して、クランプガイド14の後退は余裕を持って早目に開始することが好ましい。このため、本実施形態では、第1の所定時間をスタッカの使用環境やシートの種類によって異ならせることとする。
図10は、使用環境とシート種類の組み合わせと、これに対応する第1の所定時間の関係を示す図である。例えば、低温低湿の使用環境では他の環境に比べてシートの剛性および摩擦力が強くなり重送が起き易い。よって、低温低湿の環境ではクランプガイド14の突出状態がなるべく長時間維持されるように、いずれの種類のシートについても他の環境に比べて待機時間すなわち第1の所定時間を長く設定している(X<W、Z<Y)。
このような待機時間すなわち第1の所定時間は、使用するクランプガイド14の退避速度と退避距離から算出することが出来る。ここで、クランプガイド14の退避速度をVc、積載トレイ16に積載シートSaが存在しない場合すなわちクランプガイド14が最も突出した場合の退避距離をLmaxとすると、退避のために要する時間Tcは、
Tc=Lmax/Vc
となる。また、シート検知センサ22から搬送ローラ12のニップ部までの距離をLs、搬送ローラ12がシートを搬送する速度をVs、第1の所定時間をTwとすると、クランプガイド14の後退を開始してからシートSがニップ部を離れるまでの時間Tsは、
Ts=Ls/Vs−Tw
と表すことが出来る。そして、クランプガイド14の後退が、シートSがニップ部を離れる以前に完了しておくようにするためには、
Tc<Ts
すなわち、
Lmax/Vc<Ls/Vs−Tw ・・・(式1)
であることが要される。ここで、搬送ローラ12がシートを搬送する速度Vsについては、使用環境やシート種類によって変化することが想定される。このような搬送速度Vsの誤差も鑑みて、いずれの条件であっても(式1)を満たすように、各条件に応じた適切なTwを予め用意しておく。
Tc=Lmax/Vc
となる。また、シート検知センサ22から搬送ローラ12のニップ部までの距離をLs、搬送ローラ12がシートを搬送する速度をVs、第1の所定時間をTwとすると、クランプガイド14の後退を開始してからシートSがニップ部を離れるまでの時間Tsは、
Ts=Ls/Vs−Tw
と表すことが出来る。そして、クランプガイド14の後退が、シートSがニップ部を離れる以前に完了しておくようにするためには、
Tc<Ts
すなわち、
Lmax/Vc<Ls/Vs−Tw ・・・(式1)
であることが要される。ここで、搬送ローラ12がシートを搬送する速度Vsについては、使用環境やシート種類によって変化することが想定される。このような搬送速度Vsの誤差も鑑みて、いずれの条件であっても(式1)を満たすように、各条件に応じた適切なTwを予め用意しておく。
ところで、シートSの搬送中になるべく突出状態を維持するためには、クランプガイド14の退避速度を速めることも有効である。よって、クランプガイドモータ28やトルクリミッタ27など、クランプガイド14の移動に関わる機構の耐久性に問題が生じない程度に、クランプガイド14の移動速度Vcを調整するものとする。これにより、例えば摩擦力が大きく重送が起き易い場合でも、クランプガイド14の移動速度Vcを大きくすることにより、突出状態をより長時間にわたって維持することが出来るようになる。
また、別の方法として、シートSの搬送速度を遅くすることも有効である。スタッカ101におけるシートSの搬送速度は、搬送中のシートSがプリンタ100のカッタ8によって切断されるまでは、プリンタ搬送ローラ3と同調する必要があるが、切断された後はスタッカ独自の搬送制御を行うことが出来る。よって、搬送ローラモータ23やトルクリミッタギア31など、搬送ローラ12に関わる機構の耐久性に問題が生じない程度に、搬送速度Vsを調整するものとする。このような制御を行えば、例えば摩擦力が大きく重送が起き易い場合でも、シートSの搬送速度Vsを遅くすることにより、第1の所定時間Twを十分に大きな値に設定することが出来る。更に、クランプガイド14の移動速度VcとシートSの搬送速度Vs両方の調整を行えば、第1の所定時間Twを更に大きな値に設定し、クランプガイド14が積載シートSaから退避するタイミングを更に遅延させることが可能となる。このように、スタッカの使用環境やシート種類に応じた適切なタイミングでクランプガイド14の退避を開始することにより、様々な条件下においてもシートの排出および積載を安定して行うことが可能となる。
次に、トレイユニット103の概略について説明する。図11は、トレイユニット103の概略断面図である。ここでは、既に説明した搬送ユニット102の一部も示している。図11に見るように、クランプガイド14のそれぞれには積載トレイ16が搬送方向に接続しており、更に積載トレイ16のそれぞれにはZ方向上方から上ガイド17が対向して配備されている。クランプガイド14、積載トレイ16および上ガイド17らなるこのような単位ユニットは、X方向(図面垂直方向)に約25mmの幅を有するものとする。
図12はトレイユニット103の上面図である。クランプガイド14、積載トレイ16および上ガイド17らなる単位ユニットの複数がX方向に並列配置されることにより、A0サイズ以上の通紙領域幅を有するトレイユニット103が構成されている。このような梯子状の構成とすれば、全面を板状で構成するよりもトレイユニットを安価に提供することが出来る。個々の積載トレイ16において、その端部近傍の曲面16cの先端には、振動等が起きてもシートSが滑り落ちるのを防ぐための摩擦部材19が取り付けられている。また、このような摩擦部材19および曲面16cをX方向の両側から囲うように、個々の積載トレイ16の先端近傍には、トレイ回動部48が取り付けられている。トレイ回動部48の詳細については後に詳しく説明する。
トレイユニット103では、シートSがA系またはB系の定型サイズであれば、その片側の端部を図の基準端に位置決めした状態において、もう片側の端部がいずれかの単位ユニットに支持されるようになっている。すなわち、複数の単位ユニットは、定型サイズの幅に応じた間隔でX方向に位置決めされている。こうすることで、基準端と反対側のシートS端部が単位ユニットと単位ユニットの間に垂れ下がるのを防止し、安定した搬送を促すことが出来る。
複数の積載トレイ16は、搬送方向の上流側においてはX方向に延びる棒状のトレイ上流フレーム42によって、下流側においてはXY方向に延在する曲面形状のトレイ下流フレーム43によって、互いに連結されている。一方、複数の上ガイド17は、上ガイドフレーム41によってその周囲が連結され、更に搬送方向の上流側においては上ガイド回転軸40によって連結されている。更に、上ガイドフレーム41の下流端近傍の両側には、対向する積載トレイ16の両側に当接し積載トレイ16との距離を一定に保つためストッパ44が取り付けられている。ユーザは、ストッパ44を取手として用いることにより、上ガイドフレーム41に固定された複数の上ガイド17を、上ガイド回転軸40を中心に回動させて積載トレイ16上にある積載シートSaを取り出すことができる。
再度図11を参照する。積載トレイ16は水平方向に対し所定の角度θを有する略直線の傾斜面16aと、当該傾斜面に連続し所定の曲率を有する曲面16cとを有している。排出されるシートSは、傾斜面16aの傾斜を上昇するように進行し、曲面16cへと向かう。そして、シートSのサイズが十分に大きな場合、シート先端は曲面16cからはみ出して垂れ下がり、その途中が曲面16cに支持された状態で図のように保持される。曲面16cの終端の端部近傍には、振動等が起きてもシートSが滑り落ちるのを防ぐための摩擦部材19が取り付けられている。また、トレイ下流フレーム43の背面には、スタッカ101を移動させるときに利用する持ち手43aが取り付けられている。
X方向に配列する複数の傾斜面16aは、その上流側端部が既に説明したトレイ上流フレーム42によって連結され、支持されている。一方、複数の曲面16cは、ほぼその全域が、曲面16cと同等の曲率を有するトレイ下流フレーム43によって支持されている。トレイ下流フレーム43がXY方向に延在することにより、X方向に配列する曲面16c間の隙間は埋められ、定型サイズ以外のシートSが搬送されてきた場合も、その先端は必ず曲面16cまたはトレイ下流フレーム43に支持されるようになっている。このように、排出されるシートSのサイズに関わらず、傷や折れが発生するリスクを十分に抑制することが出来る。
なお、本実施形態において、傾斜面16aおよび曲面16cを合わせた搬送距離は約620mm、傾斜面16aの傾きθは30°とする。これにより、A0定型サイズ(長さ1189mm)のような大型のシートであっても、すべり落とすことなくトレイユニット103に積載保持することが出来る。
上ガイド17は、積載トレイ16の傾斜面16aに所定の間隔をもって対向するよう配備され、複数のガイドローラ18が延在方向に等間隔に配置されている。個々のガイドローラ18は、シートSに直接触れて従動回転するローラ部回転体であるローラ部18bと、これを支持するアーム18aを有している。アーム18aは、その一端が上ガイド17に取り付けられた状態で回動可能になっている。アーム18aの回動中心はローラ部18bよりも上流側である。このように、上ガイド17には、シートで押されるとアームが回動して退避する従動回転体がシート搬送方向に沿って複数並べられて設けられた構成を備えている。これにより、シートの積載枚数が増えて最上位のシートの上ガイド17との間隔が小さくなっても、搬送されるシートに押されて従動回転体が逃げるので紙詰まりが起きにくく、スムーズなシート積載がなされる。
上ガイド17本体の上ガイド通紙面17aと、これに対向する積載トレイ16の傾斜面16aとは、ストッパ44によって一定の通紙面間隔Lt0が維持されている。上ガイド17は、シートSのカールを抑えながらその搬送を促し、所定の姿勢で積載できるように作用する。このため、通紙面間隔Lt0は、搬送されてきたシートSの先端が積載トレイ16と上ガイド17の間で丸まってしまわない程度、すなわちカールしたシートSが持ちうる最小の曲率半径よりも小さい距離に抑えられていることが望まれる。ここで、シートSが図1で説明したようにロール状に保持されている場合、カールしたシートSが持ちうる最小の曲率半径はロール芯の半径とみなすことが出来る。よって、通紙面間隔Lt0はロールシート1のロール芯の半径以下に設定するのが好ましい。本実施形態では、ロール芯の外周直径が58.8mmであるロールシート1を用いるものとし、通紙面間隔Lt0を20mmとしている。
一方、ガイドローラ18は、ローラ部18bの自重により鉛直下方(Z方向)に回動しようとするが、不図示のストッパにより所定位置以上の回動は阻止されている。これにより、搬送の無い状態において、ガイドローラ18は図11に示す姿勢を保ち、ローラ部18bと傾斜面16aとの隙間距離Lt1(<Lt0)は一定に保たれている。そして、搬送されるシートSの曲面がローラ部18bに接触した場合に、ガイドローラ18はシート曲面の凹凸に伴って図の位置以上の範囲で上下に回動するようになっている。
隙間距離Lt1は、積載数が最大の場合であっても最上位の積載シートSaにローラ部18が接しないような高さであることが好ましい。本実施形態では、シートSの厚みを0.1mm、積載数の最大値を100とし、隙間距離Lt1を0.1×100=10mm以上の値に調整している。
図13は、トレイユニット103の下流端部近傍の拡大断面図である。ここでは、説明のため、トレイ回動部48が取り外された状態を示している。上ガイド17の下流端部17bは、積載トレイ16の傾斜面16aの途中、すなわち傾斜面16aと曲面16cの境界(変曲点16b)よりも搬送方向の上流側に位置している。このように、曲率を持ってシートSを支持する曲面よりも手前で、上ガイド17による抑制からシートSを開放するようにしている。
図14(a)および(b)は、本実施形態の構成を採用せず、曲面の最端部まで上ガイドを曲面とほぼ平行に配置した場合の比較例を示す図である。ここでは、シートSとして写真等の高濃度印刷物が搬送されてきた場合を示している。写真等の高濃度印刷物を搬送する場合、シートSはトタン状に波打ちながら、図14(a)に見るように、傾斜面を通過してもその搬送方向を変えずに直進する。そして、同図(b)に見るように、その先端が上ガイド17の通紙面に突き当たると、シートが傷ついてしまったり紙詰まりが生じてしまったりする。また、上ガイド17から突出するガイドローラ18に突き当たった場合は、ガイドローラ18との接触によって傷付く恐れもある。このような理由から、上ガイド17の下流端部17bは、曲面よりも手前に配置されることが好ましい。
但し、上ガイド17の下流端部17bがあまりに上流側にあると、上ガイドの17の機能が及ばない領域で搬送弊害が生じる場合がある。図15(a)および(b)は、上ガイド17の下流端部17bが必要以上に上流にある場合の搬送弊害を説明する図である。直進搬送される傾斜面16a上において、カールを有するシートSが上ガイド17の押さえから開放されると、シートSの先端にはカールが発生し始める(図15(a))。そして、シートSの先端の傾斜面16aに対する接触角αが90°を超えると、図15(b)のようにシートSは丸まり、その先端は搬送と逆方向に進行してしまう。
このため、本実施形態では、図14(a)および(b)で示したシートS先端の突き当たりや、図15(a)および(b)で示したシートの丸まりのどちらもが生じない程度に、上ガイド17の下流端部17bの位置ひいては上ガイド17の長さを調整する。そのための条件を以下に説明する。
再度図13を参照する。上ガイド17から開放されたシートSの先端が、傾斜面16aに対して90°以上の接触角を持たないようにするためには、シートの進行に伴って増大する接触角αが90°になる以前に、図16(a)のようにシートSの先端が変曲点16bを越えていればよい。このようにすれば、そのまま搬送が進行しても、図15(b)のようにシート先端が丸まることはなく、図16(b)のように曲面16cに案内されながら適切な方向に進行して行くことができる。そして、このような条件を満たすためには、シートSが持ちうる最小の曲率半径をRとしたとき、上ガイド17の端部17bと変曲点16bとの距離Lt2が2R未満(Lt2<2R)であることが要される。
図17は、最小のカール直径(2R)をシートの種類ごとに示した図である。種類によるばらつきはあるが、その平均はプリンタ100が保持するロールシート1におけるロール芯の外周直径の約1.2倍であることが確認された。本実施形態では、ロール芯の外周直径が58.8mmであるロールシート1を用いるものとし、その1.2倍の70.6mmを想定される最小のカール直径2Rとして、上ガイド17の後端位置17bを位置決めしている。具体的には、上ガイド17の端部17bと変曲点16bとの距離Lt2を58mm(<70.6mm)としている。これにより、カールを有するシートが搬送された場合であっても、シート先端が丸まることなく曲面16cから垂れ下がり、シート搬送および積層を正常に行うことが出来る。
図18は、曲面16cの形状を詳しく説明するための拡大図である。ここでは、説明のため、トレイ回動部48が取り外された状態を示している。垂れ下がるシートSは、曲面の曲面で支持されるので、シートS背面に局所的な力が作用することはなく、折れ傷などは発生し難い。但し、曲面16cの曲率を、曲面16c自体がシート先端のカールに巻き込まれるほど大きくしてしまうと、このような作用効果は発揮し辛くなってしまう。このため、曲面の曲率半径は想定される最小の曲率半径Rよりも大きく設定することが望まれる。本実施形態の曲面は、その曲率半径が30mm(直径で60mm)になるように形成されている。
変曲点16bから終端部16fまで所定の曲率で延在する曲面16cにおいて、その終端部16fは、曲面16cのZ方向における最上位点16eを越えて延在することが好ましい。終端部16fが最上位点16e よりも変曲点16bに近い位置にあると、垂れ下がるシートSの背面に終端部16fの位置で局所的な力が作用し、折れ跡が生じる懸念が高まるからである。一方、曲率を有する曲面16cが、垂れ下がるシートSをその曲面で好適に支持出来るのは、曲面16cの接線が鉛直になる位置16gまでである。この位置を越えて曲面16cを延在させても、曲面16cは垂直に垂れ下がるシートを支持することは出来ない。つまり、曲面16cの後端16fは、最大で16gの位置まであれば十分である。なお、本実施形態においては、傾斜面16aは曲率を持たない平面としたが、曲面よりも緩やかな曲率を持つ曲面とすることも出来る。
ところで、上述したように、曲面16cの端部近傍には、シートSの滑り落ちを防ぐための摩擦部材19が取り付けられている。この場合、積載トレイ16にまだ1枚のシートも積載されていないとき、最初に搬送されて来るシートの搬送をその摩擦部材19が妨害してしまう懸念がある。このため、本実施形態では、1枚目のシートが搬送される際にはシートSの裏面に摩擦部材19の摩擦力が作用せず、1枚目のシートが所定位置に積載された後に当該シートSの裏面に摩擦力が作用するような構成を設けている。
図19(a)および(b)は、摩擦部材19およびトレイ回動部48の詳細を説明するための拡大図である。摩擦部材19は、曲面16cからZ方向に突出した突起部47の上面に貼り付けられており、ほぼ水平な面を維持している。既に図12でも説明したが、積載トレイ16の先端近傍には、曲面をX方向の両側から囲うようにトレイ回動部48が取り付けられている。摩擦部材19は、この例では人工皮革からなり、積載トレイ16やトレイ回動部48などの他の部材よりも大きな摩擦係数を持っている。
トレイ回動部48は、中心軸49を軸として矢印の方向に回動可能になっており、中心軸49にはねじりコイルばね46も取り付けられている。ねじりコイルばね46は、その両端が、積載トレイ16側に配置されたトレイばねかけ51とトレイ回動部48側に配置されたトレイ回動部ばねかけ50によって位置決めされており、トレイ回動部48を重力に逆らって持ち上げる方向に付勢している。
積載トレイ16上に1枚のシートも積層されていない場合、トレイ回動部48はねじりコイルばね46によって図19(a)に示す位置まで持ち上げられ、その先端は曲面16cから離脱する。このような位置を第1位置と称し、このような状態を第1状態と称す。第1状態において、トレイ回動部48は、突起部47に貼り付けられた摩擦部材19よりもY方向上方に位置している。このため、最初に搬送されてくるシートSの背面は、摩擦部材19に接触することなく曲面16cを通過する。この際の通紙面は、通常の曲面16cよりも大きな傾きをもつことになるが、当該傾きは、シートSが傾斜面から無理なく接続できる程度に調整されている。
一方、最初のシートの搬送が完了し、その先端が積載トレイ16の終端部から垂れ下がり正常な姿勢で保持されると、当該シートSの重力がトレイ回動部48に作用し、トレイ回動部48はねじりコイルばね46の付勢力に逆らって下降する。このような位置を第2位置と称し、このような状態を第2状態と称す。図19(b)は、トレイ回動部48が第2位置にある第2状態を示している。第2位置(第2状態)において、トレイ回動部48は、曲面16cの側面まで下降し、突起部47に貼り付けられた摩擦部材19は露出する。このため、積載シートSaの背面は摩擦部材19に接触し、積載トレイ16からの落下が防止される。なお、ユーザが積載トレイ16上に積載されたシートを取り除くと、トレイ回動部48は再び第1位置(第1状態)に戻る。
このように、積載トレイ16に1枚のシートも積載されていない場合はトレイ回動部48は第1位置(第1状態)にあり、1枚のシートが積載された時点で第2位置(第2状態)に移動するようになっている。すなわち、そのような関係が成り立つように、ねじりコイルばね46のばね係数や突起部47の高さが調整されている。この際、トレイ回動部48を第2位置に移動させようとする力は、シートの自重すなわちサイズに依存している。最も使用頻度の高いA1サイズのシートを基準に、上記関係が成り立つようにねじりコイルばね46のばね係数などが調整されているものとする。
以上説明したように、最初に搬送されて来るシートは搬送中に摩擦部材19に接触することがないので、搬送中にカール形成が促されることなく、スムーズに所定位置まで搬送される。また、2枚目以降のシートが搬送される場合、1枚目のシートの背面は摩擦部材19に接触しているので、自重または2目以降のシート搬送力によって積載シートSaが押し出されることは無い。
この際、再度図12を参照するに、トレイ回動部48は積載トレイ16のそれぞれについて配備され複数配列している。よって、比較的幅の狭いシートが積載された場合、複数のトレイ回動部48のうち、積載シートSaの幅に相当する領域のトレイ回動部48のみが第2位置(第2状態)に移動し、他の領域のトレイ回動部48は第1位置(第1状態)を維持することになる。このため、その状態で幅の広いシートが搬送されて来ても、そのシートSの搬送中に摩擦部材19が接触することは無い。そして更に、幅の広いシートSが所定の位置に積載された時点で、幅の広いシートの幅内であって既に積載されている幅の狭いシートの幅外に位置するトレイ回動部48が第2位置に移動する。つまり、既に積載されているシートのサイズや量によらず、幅方向のいずれの位置においても、滞りない搬送と積載保持を実現することが出来る。
(第2の実施形態)
以下、変形例について説明する。図20(a)および(b)は、本実施形態で使用するトレイ回動部48の構成図である。トレイ回動部48は、駆動伝導ギア54を介してトレイ回動部駆動モータ55に連結されており、トレイ回動部駆動モータ55の回転に連動して、図20(a)で示す第1位置(第1状態)と同図(b)で示す第2位置(第2状態)が切り替えられる。トレイ回動部駆動モータ55が駆動されていない初期状態において、トレイ回動部48は自重によって積載トレイ16の通紙面に載せられた状態すなわち第2位置にある。
以下、変形例について説明する。図20(a)および(b)は、本実施形態で使用するトレイ回動部48の構成図である。トレイ回動部48は、駆動伝導ギア54を介してトレイ回動部駆動モータ55に連結されており、トレイ回動部駆動モータ55の回転に連動して、図20(a)で示す第1位置(第1状態)と同図(b)で示す第2位置(第2状態)が切り替えられる。トレイ回動部駆動モータ55が駆動されていない初期状態において、トレイ回動部48は自重によって積載トレイ16の通紙面に載せられた状態すなわち第2位置にある。
図21(a)および(b)は、トレイ回動部48の位置制御を説明するためのブロック図とフローチャートである。図21(a)を参照するに、コントローラ200は、シート検知センサ22および積載トレイ16に取り付けられた積載センサ60の検出結果などに応じて、トレイ回動部駆動モータ55を駆動する。ここで、積載センサ60は、積載トレイ16に搬送済みのシートが存在するか否かを検出するためのセンサである。トレイ回動部駆動モータ55は、トレイ回動部48を時計回り方向に回動させる。
図21(b)は、シートSの搬送時にコントローラ200が実行するトレイ回動部48に係る制御工程を説明するためのフローチャートである。シート搬送が確認されると、コントローラ200はステップS201に進み、シート検知センサ22がシートSの先端を検知したか否かを判断する。シートSの先端が検出されない場合、シートSの先端が検出されるまで周期的にステップS201を繰り返す。
シートSの先端が検出されるとコントローラ200はステップS202に進み、積載センサ60の検出結果より、積載トレイ16上に既に積載シートSaが存在するか否かを判断する。既に積載シートが存在すると判断した場合、本処理を終了する。一方、積載シートは存在しないと判断した場合、ステップS203に進む。
ステップS203において、コントローラ200はトレイ回動部駆動モータ55を駆動する。これによりトレイ回動部48は図20(b)の第2位置から時計回りに回動し、トレイ回動部48から突出するストッパアーム52が積載トレイ16の側面に取り付けられたストッパ部材53に当接することにより停止する。トレイ回動部駆動モータ55が駆動している間、この第1位置は維持される。
続くステップS204において、コントローラ200はシート検知センサ22がシートSの後端を検知したか否かを判断する。まだ検知していないと判断した場合はステップS203に戻り、トレイ回動部駆動モータ55の駆動を継続する。ステップS203およびS204が繰り返される間は、最初のシートSが積載トレイ上を搬送される期間である。そしてこの間、トレイ回動部48は第1位置が維持されている。すなわち、当該最初のシートSは、図20(a)に示すように、その裏面が摩擦部材19に接触することなく滑らかに進行することが出来る。
一方、ステップS204においてシートSの後端を検知したと判断した場合、コントローラ200はステップS205に進み、トレイ回動部駆動モータ55の駆動を停止する。当該停止によりトレイ回動部48に対する回動力は作用しなくなり、トレイ回動部48はその自重によって、反時計回りに回動する。そして、積載トレイ16の通紙面に当接した位置(第2位置)で停止する。以上で本処理を終了する。
以後、新たなシートの搬送が確認されるたびに本フローチャートは実行されるが、ステップS202にて、積載シートの存在が確認される限りトレイ回動部駆動モータ55は駆動されず、トレイ回動部48は第2状態を維持する。すなわち、最初に積載されたシートSの裏面が摩擦部材19に接触した状態が維持され、積載シートは積載トレイ16上に安定して保持される。
以上説明したように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、最初に搬送されるシートのスムーズな搬送と積載後のシートの安定した保持を両立することが出来る。さらに、トレイ回動部48の昇降を、トレイ回動部駆動モータ55を用いて行っているので、第1の実施形態のようにシートのサイズに依存することなく、トレイ回動部48の位置を確実に切り替えることが出来る。
(その他の実施形態)
以上説明した2つの実施形態では、トレイ回動部48を回動させることによって、摩擦部材19の露出と非露出を切り替えたが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。摩擦部材19を支持する突起部47が、ばね部材や駆動モータのような何らかの機構を介して突出したり退避したり出来れば、摩擦部材19の露出と非露出を切り替えられ、上記と同様の効果を得ることは可能である。
以上説明した2つの実施形態では、トレイ回動部48を回動させることによって、摩擦部材19の露出と非露出を切り替えたが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。摩擦部材19を支持する突起部47が、ばね部材や駆動モータのような何らかの機構を介して突出したり退避したり出来れば、摩擦部材19の露出と非露出を切り替えられ、上記と同様の効果を得ることは可能である。
また以上の実施形態では、積載されているシートの保持力を高めるための手段として摩擦部材を利用したが、本発明はこのような形態に限定されるものでもない。例えば、摩擦シートのような別部材を用意しなくても、積載トレイと同じ材料でありながらその表面粗さや凹凸を他の領域よりも荒くすることによって、摩擦シートと同様の効果を発揮することもできる。このように、積載されているシートを積載トレイ上に保持しようとする力が働く構成であれば、摩擦部材以外にもさまざまな機構を採用することが出来る。
また、積載トレイ16の一部又は全域に吸引力発生手段を設け、最初のシートが搬送されるときには吸引力を発生させないようにし、積載シートが存在するときには吸引力を発生させて、最下位のシートの背面に吸引力を作用させるようにすることも出来る。さらに、積載トレイ16の一部又は全域に静電気発生手段を設け、最初のシートが搬送されるときには静電気を発生させないようにし、積載シートが存在するときには静電気を発生させて、最下位のシートの背面に静電気力が作用するようにすることも出来る。いずれにしても、積載済みのシートに対し所定の位置から移動しないような力を作用させておきながら、積載済みのシートが存在しない場合には、そのような作用が搬送中のシートに及ばないようにするような切り替え構成が用意されていれば本発明の範疇である。
16 積載トレイ(トレイ)
16a 傾斜面
16c 曲面
19 摩擦部材
48 トレイ回動部
101 積載装置(スタッカ)
16a 傾斜面
16c 曲面
19 摩擦部材
48 トレイ回動部
101 積載装置(スタッカ)
Claims (7)
- シートが傾斜した状態でトレイに支持され且つシートの一部が前記トレイから垂れ下がった状態で載置される積載装置であって、
前記トレイにシートがすでに載置されている場合は、載置されているシートが落下しないように保持力を作用させ、
前記トレイからシートが載置されていない場合は、前記保持力がシートに対し作用しないように切り替える切り替え手段を備えることを特徴とする積載装置。 - 前記保持力は、摩擦部材がシートの背面に接触する際の摩擦力であり、
前記切り替え手段は、前記摩擦部材がシートに接触しない第1状態とシートに接触する第2状態とに切り替えることを特徴とする、請求項1に記載の積載装置。 - 前記切り替え手段は、シートの自重もしくは駆動力により前記第1状態と前記第2状態を切り替えるためのトレイ回動部を有することを特徴とする、請求項2に記載の積載装置。
- 前記切り替え手段は、駆動力により前記摩擦部材を昇降させて、前記第1状態と前記第2状態を切り替えることを特徴とする、請求項2に記載の積載装置。
- 前記保持力は、吸引力もしくは静電気力であり、
前記切り替え手段は、前記吸引力もしくは前記静電気力を発生させる第1状態と前記吸引力もしくは前記静電気力を発生させない第2状態を切り替えることを特徴とする、請求項1に記載の積載装置。 - インクジェットプリンタでプリントされたシートが搬送されてきて、前記トレイに複数枚積載されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の積載装置。
- 前記インクジェットプリンタはロールシートから引き出されたシートにプリントし、プリントしたものをカットしたシートが前記トレイに載置されることを特徴とする、請求項6に記載の積載装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019038663A (ja) * | 2017-08-25 | 2019-03-14 | 東芝テック株式会社 | プリンタ |
CN112551244A (zh) * | 2019-09-26 | 2021-03-26 | 精工爱普生株式会社 | 介质输送装置、处理装置、记录系统 |
US11110698B2 (en) * | 2016-09-01 | 2021-09-07 | Toshiba Tec Kabushiki Kaisha | Sheet gripping mechanism and printer |
-
2014
- 2014-09-30 JP JP2014199745A patent/JP2016069136A/ja active Pending
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