JP6074599B2 - 温室 - Google Patents

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Description

本発明は、温室に関する。
特許文献1は、ハウスによる栽培装置を開示している。図26に示されるように、特許文献1に開示された栽培装置は、大型連棟ハウス(加温型)及び大型連棟ハウス(無加温型)のみならず、パイプハウスにも適用可能なハウスによる栽培装置を提案するために、ハウス1の内面に、開け閉め自在の内張りカーテン2を展張し、この内張りカーテン2の内側も開け閉め自在の内張りカーテン3を配設し、これら内張りカーテン2及び3に赤外線カット材を混入してなる。
特開平11−164626号公報
「ポリマーフィルムと機能性膜」、技報堂出版、p.302〜307
温室に用いられるカーテンのような熱線遮蔽シートが有機色素を含む場合、有機色素が酸素により劣化する。本発明の目的は、有機色素が劣化することが抑制された熱線遮蔽シートを有する温室を提供することにある。
本発明は、内部で植物を栽培するために用いられる温室であって、
前記温室は、熱線遮蔽シートを具備し、
前記熱線遮蔽シートは、
100cc/m・24hr・atm以下の酸素透過係数を有する第1透明層、
熱線遮蔽能力を有する有機色素を含有する第2透明層、および
100cc/m・24hr・atm以下の酸素透過係数を有する第3透明層、
を具備し、
前記第2透明層は、前記第1透明層および前記第3透明層の間に挟まれている。
本発明は、有機色素が劣化することが抑制された熱線遮蔽シートを有する温室を提供する。
図1は、第1実施形態による温室301の断面図を示す。 図2は、第1実施形態による温室301の変形例の断面図を示す。 図3は、第1実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100の断面図である。 図4は、第2実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100の断面図を示す。 図5は、金属酸化物粒子の直径および反射ピーク波長の間の関係を表すグラフである。 図6は、第3実施形態による温室301の概略図を示す。 図7は、第3実施形態による温室301の第1変形例の断面図を示す。 図8は、第3実施形態による温室301の第2変形例の断面図を示す。 図9は、第4実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100の断面図を示す。 図10は、第4実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100の変形例の断面図を示す。 図11は、第5実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100の平面図を示す。 図12は、第5実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100の断面図を示す。 図13は、実施例1において測定された熱線遮蔽シート100の光透過率を示すグラフである。 図14は、実施例1による熱線遮蔽シート100を太陽光が透過した際の分光エネルギー分布を示すグラフである。 図15は、実施例1における透過率積分値の差の経時変化率を示すグラフである。 図16は、実施例2において測定された熱線遮蔽シート100の光透過率を示すグラフである。 図17は、実施例2において測定された熱線遮蔽シート100の光反射率を示すグラフである。 図18は、実施例2による熱線遮蔽シート100に含まれる第4透明層104(すなわち、紫外線反射層を形成するSiO粒子層)の表面のSEM像を示す図である。 図19は、実施例1、実施例2、および実施例3における光透過率の差の経時変化の測定結果を示すグラフである。 図20は、実施例3において用いられた模擬温室500の概略図を示す。 図21は、実施例3において用いられた熱線遮蔽シート100、すなわち、実施例1による熱線遮蔽シート100の光透過率の測定結果を示すグラフである。 図22は、実施例3および比較例において用いられた模擬温室500の内部の平均温度の差を示すグラフである。 図23は、実施例4および実施例5による熱線遮蔽シート100の光透過率の測定結果を示すグラフである。 図24は、実施例4および実施例5による熱線遮蔽シート100を太陽光が透過した際の分光エネルギー分布を示すグラフである。 図25は、実施例4および実施例5における透過率積分値の差の経時変化率を示すグラフである。 図26は、特許文献1に開示された栽培装置を示す。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による温室301の断面図を示す。本明細書において用いられる用語「温室」とは、内部で植物を栽培するために用いられる建造物を意味する。図1に示されるように、温室301は、天井306および側壁307を有する。天井306または側壁307の少なくとも一方は、透光性である。あるいは、図2に示されるように、温室301は、透光性のフィルム451から形成される。フィルム451は、断面視において半円筒の形状を有することが望ましい。
本明細書において用いられる用語「透明」とは、400ナノメートル以上700ナノメートル以下の波長を有する光(すなわち、可視光)の少なくとも一部が透過することを意味する。400ナノメートル未満の波長を有する紫外光が遮蔽される場合であっても、可視光が透過する限り、「透明」という用語が用いられる。同様に、700ナノメートル以上の波長を有する赤外光が遮蔽される場合であっても、可視光が透過する限り、「透明」という用語が用いられる。
図1に示されるように、温室301は、熱線遮蔽シート100を具備している。熱線遮蔽シート100は、温室301の内部を上部および下部に分割している。温室301の下部には、温室301の内部の温度を測定するための温度計303、作物を栽培するための複数の栽培ベッド304、および温室301の内部の受光量を測定するための日射量検出器305が備えられ得る。温室301は、エアコン401を有し得る。
図3は、第1実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100の断面図である。
図3に示されるように、熱線遮蔽シート100は、第1透明層101、第2透明層102、および第3透明層103を具備する。言い換えれば、熱線遮蔽シート100は、第1透明層101、第2透明層102、および第3透明層103から構成される積層構造を具備する。第2透明層102は、第1透明層101および第3透明層103の間に挟まれている。
(第2透明層102)
第2透明層102は、樹脂から構成される。言い換えれば、第2透明層102の主成分は、樹脂である。第2透明層102は、熱線遮蔽能力を有する有機色素を含有する。第2透明層102のために用いられる樹脂の例は、酢酸セルロース、メチルセルロース、またはエチルセルロースである。第2透明層102のために用いられる樹脂の他の例は、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、またはポリアクリロニトリルである。
熱線遮蔽能力を有する有機色素は、光合成に有効な光の波長領域、すなわち、可視光の波長領域よりも長い波長領域(例えば、700ナノメートル以上、望ましくは、800ナノメートル以上)に光の最大吸収波長を有することが望ましい。具体的には、光合成に有効な光の波長領域は400ナノメートル〜700ナノメートルであるので、有機色素は、700ナノメートル以上の波長領域に光の最大吸収波長を有することが望ましい。より望ましくは、有機色素は、800ナノメートル以上の波長領域に光の最大吸収波長を有する。一方、有機色素は、可視光を吸収しにくいことが望ましい。言い換えれば、可視光は、第2透明層102を透過することが望ましい。そのため、有機色素の最大吸収波長の下限は、可視光の波長領域を考慮し、適切に判断され得る。
有機色素の例は、ニッケルジチオール錯体などの有機金属錯体、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、フタロシアニン系化合物、シアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、またはジイモニウム系化合物である。ジイモニウム系化合物は、熱線領域(すなわち、800ナノメートル以上1300ナノメートル以下)に幅広い吸収領域を有するので、ジイモニウム系化合物が用いられることが望ましい。二種類以上の有機色素が混合されて用いられ得る。
(第1透明層101・第3透明層103)
第1透明層101は、100cc/m・24hr・atm以下の低い酸素透過係数を有する。このため、第2透明層102に含有される有機色素が酸素に接触することが抑制され、有機色素の熱線遮蔽能力を長期間にわたって維持することができる。万一、第1透明層101が、100cc/m・24hr・atmを超える高い酸素透過係数を有する場合、第2透明層102に含有される有機色素が容易に酸化される。その結果、熱線遮蔽能力が低下する。酸素透過係数は、ASTM D−1434 厚さ25μm 0%RH、またはASTM D−3985 20℃ 65%RHに従って、測定される。より詳細には、非特許文献1を参照せよ。
第1透明層101の材料の例は、ポリエステル、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、またはポリアクリロニトリルである。ポリエチレン、ポリプロピレン、およびエチレンテトラフルオロエチレンは望ましくない。望ましくは、第3透明層103は第1透明層101と同一である。しかし、第3透明層103の材料は、第1透明層101の材料と異なり得る。
第1実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100の製造方法の例が、以下、記述される。まず、基材が用意される。次に、樹脂が有機溶媒に添加される。熱線遮蔽物質として用いられる有機色素も有機溶媒に添加される。このようにして、インクが調製される。インクには、必要に応じて、紫外線吸収剤のような添加剤が添加され得る。調製されたインクは、基材上に塗布される。次いで、有機溶媒を乾燥させるか、または樹脂成分に応じて適切な方法で樹脂を硬化させ、第2透明層102を形成する。第2透明層102を形成するために用いられる塗布方法の例は、浸漬法、グラビアコート法、バーコート法、オフセットコート法、またはロールコート法である。
有機色素の含有量の増加に伴い、熱線遮蔽率が増加する。しかし、有機色素の含有量の増加に伴い、第2透明層102を透過する可視光の透過率が低下する。そのため、第2透明層102に含有される有機色素の含有量は、第2透明層102の主成分である樹脂に対して、0.1重量%以上50重量%以下の範囲にすることが望ましい。
その後、第2透明層102から基材が取り外される。次に、第2透明層102の両面が、100cc/m・24hr・atm以下の低い酸素透過係数を有する有機樹脂から形成される薄膜によって被覆される。これらの薄膜は、第1透明層101および第3透明層103として機能する。このようにして、熱線遮蔽シート100が作成される。第2透明層102が被覆される前に、第1透明層101に粘着層が設けられ得る。粘着層は、第1透明層101および第2透明層102の間の密着性を向上する。これにより、第2透明層102に含有される有機色素が酸素に接触することがより効果的に抑制され、有機色素の熱線遮蔽能力を長期間にわたってより効果的に維持することができる。同様に、第3透明層103にも粘着層が設けられ得る。第1透明層101/粘着層/第2透明層102/粘着層/第3透明層103の積層構造がラミネート加工に供され、熱線遮蔽シート100が作成され得る。
第2透明層102から基材が取り外すことに代えて、基材は第1透明層101として用いられ得る。
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100の断面図を示す。
図4に示されるように、第2実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100は、さらに第4透明層104を具備する。第4透明層104は、第2透明層102および第3透明層103の間に挟まれている。第4透明層104は、100ナノメートル以上250ナノメートル以下の直径を有する複数の金属酸化物粒子を含む。以下、第1透明層101は温室301の内側を向いており、かつ第3透明層103は温室301の外側を向いていると仮定する。言い換えれば、太陽光のような光は、まず、第3透明層103に照射される。第3透明層103に照射された光の一部は、第3透明層103を透過し、第4透明層104に到達する。第4透明層104に到達された光の一部は、第4透明層104を透過し、第2透明層102に到達する。第2透明層102に照射された光の一部は、第2透明層102を透過し、第1透明層101に到達する。
後に詳細に説明されるように、第4透明層104は、紫外線反射層として機能することが望ましい。第4透明層104に含有される各金属酸化物粒子が100ナノメートル未満の直径を有する場合、第4透明層104は紫外線を反射することができない。一方、第4透明層104に含有される各金属酸化物粒子が250ナノメートルを超える直径を有する場合、可視光線領域が第4透明層104により反射されることもあるため望ましくない。
1実施態様において、第4透明層104は、第1透明層101のために用いられる樹脂から構成され、当該樹脂が、100ナノメートル以上250ナノメートル以下の直径を有する複数の金属酸化物粒子を含有し得る。望ましくは、第4透明層104は樹脂を含まず、かつこのような複数の金属酸化物粒子から構成される。
このように、第4透明層104は、100ナノメートル以上250ナノメートル以下の直径を有する複数の金属酸化物粒子から構成されることが望ましい。さらにより望ましくは、これらの複数の金属酸化物粒子は、最密充填構造を有するように規則的に配置される。第4透明層104が、最密充填構造を有するように規則的に配置された複数の金属酸化物粒子から構成される場合、第4透明層104が所定の波長を有する光を反射するメカニズムが、以下説明される。
およそ50ナノメートル以上1マイクロメートル以下の直径を有する複数のコロイド粒子が3次元的に規則的に配列することによって形成された構造体は、原子および/または分子が3次元的に規則的に配列された結晶にちなんで、「コロイド結晶」と呼ばれる。金属酸化物粒子もまた、コロイド粒子と同様の挙動を示す。複数の金属酸化物粒子が規則的に配列された面に太陽光が照射されると、ブラッグの法則に基づき、所定の反射波長λを有する光が増大される。言い換えれば、反射波長λは、ブラッグの法則およびスネルの法則に基づいて、以下の数式(I)により表わされる。
λ=2d(n−sinθ)0.5 (I)
ここで、λは反射波長、θは入射角、dは隣接する2つの粒子の中心間の距離に等しい間隔、nは有効屈折率を表す。
数式(I)から明らかなように、間隔dを変化させることにより、第4透明層104に入射される光に含まれる様々な波長の中から数式(I)に基づいて選択された反射波長λを有する光が選択的に反射される。複数の金属酸化物粒子が規則的に配列されて最密充填構造を有する場合、間隔dは、間隔dが粒子の直径φに依存していることを意味する以下の数式(II)により表わされる。
d=φ×(2/3)0.5 (II)
有効屈折率nは、以下の数式(III)により表される。
n=(1−α)n+α・n (III)
ここで、nは金属酸化物粒子の屈折率、nは金属酸化物粒子の間に存在する物質の屈折率、αは体積当たりの金属酸化物粒子の占有率を表す。
図5は、金属酸化物粒子の直径および反射ピーク波長の間の関係を表す。図5においては、以下の事項が仮定された。金属酸化物粒子としてSiO粒子が用いられ、かつ複数の金属酸化物粒子が最密充填構造を有していた。占有率αは74%に等しかった。SiOの屈折率は1.45に等しかった。複数の金属酸化物粒子の隙間に存在する物質は空気であった。図5の縦軸に表された反射ピーク波長は、入射角が0度から90度まで10度おきに変化されながら算出された10個の反射ピーク波長の平均値である。
オゾン層を通過して地表に到達した太陽光に含まれる紫外線領域は、280ナノメートル以上400ナノメートル以下であるため、この領域の波長を有する光を反射するように金属酸化物粒子の直径が選択されることが望ましい。言い換えれば、第4透明層104は、紫外線反射層として機能することが望ましい。金属酸化物粒子としてSiO粒子を使用する場合には、図5から明らかなように、およそ150ナノメートル以上220ナノメートル以下の直径を有するSiO粒子が用いられることが望ましい。
第4透明層104のために用いられる金属酸化物粒子の材料は、可視光に対して透過性を有する限り限定されない。金属酸化物粒子の材料の例は、二酸化ケイ素、ホウ珪酸ガラス、アルミン酸カルシウム、ニオブ酸リチウム、カルサイト、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化アルミニウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、酸化イットリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、セレン化亜鉛、臭ヨウ化タリウム、またはダイアモンドである。2種類以上の材料の混合物が用いられ得る。金属酸化物粒子は、これらの材料から選択された1以上の材料から形成されたシェルによって被覆され得る。
第4透明層104が、最密充填構造を有するように規則的に配置された複数の金属酸化物粒子から構成される場合、第4透明層104は、200ナノメートル以上500ナノメートル以下の厚みを有することが望ましい。このような第4透明層104は、100ナノメートル以上250ナノメートル以下の直径を有する金属酸化物粒子が規則的に配列された複数の層の積層構造でもあり得る。このような層の数が多くなるに伴い、反射波長λの領域が広がる。その結果、可視光の透過率が低下し得る。そのため、第4透明層104は、200ナノメートル以上500ナノメートル以下の厚みを有することが望ましい。
第4透明層104は、複数の金属酸化物粒子を含有するため、熱線遮蔽シート100の耐衝撃性を向上する。そのため、第4透明層104は、衝撃から第2透明層102を保護する。
第2実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100の製造方法の例が、以下、記述される。第1実施形態の場合と同様に、第2透明層102が形成される。
第2透明層102の上面に、複数の金属酸化物粒子を含有する溶液が塗布される。次いで、溶液は乾燥され、最密充填構造を有するように複数の金属酸化物粒子を規則的に配列させる。このようにして、第4透明層104が形成される。第4透明層104の厚みは、溶液に含有される金属酸化物粒子の濃度、溶液の量、または溶媒を選択することによって調整され得る。溶媒を自然乾燥させることによって最密充填構造を有するように複数の金属酸化物粒子が規則的に配列され得る。これに代えて、加熱により乾燥させることによって最密充填構造を有するように複数の金属酸化物粒子が規則的に配列され得る。
次いで、基材が、第2透明層102および第4透明層104の積層構造から取り外される。第1実施形態の場合と同様に、第1透明層101および第3透明層103が積層され、熱線遮蔽シート100を形成する。第1実施形態の場合と同様に、基材は第1透明層101として用いられ得る。さらに、粘着層が用いられ得る。
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態による温室301の概略図を示す。温室301は、梁311を内部に具備している。熱線遮蔽シート100は、第1巻取軸312aの周りに巻き取られている。第1巻取軸312aは骨材からなる梁311の近傍に位置している。熱線遮蔽シート100の一端にはワイヤ313が取り付けられている。ワイヤ313に代えて、透明フィルムが用いられ得る。ワイヤ313は、第2巻取軸312bの周りに巻き取られることができる。第2巻取軸312bは、側壁307の近傍に位置している。熱線遮蔽シート100またはワイヤ313のいずれか一方が、温室301の内部に展開され、温室301の内部が上部および下部に分割される。図6においては、ワイヤ313が展開されている。熱線遮蔽シート100の使用時には、ワイヤ313が第2巻取軸312bの周りに巻き取られ、かつ熱線遮蔽シート100が第1巻取軸312aから引き出され、温室301の内部で熱線遮蔽シート100を展開する。
温室301の内部の温度が温度計303により測定される。温度に関する情報は、制御装置(図示せず)に送信される。制御装置は、温室301内の温度に基づいて、熱線遮蔽シート100またはワイヤ313のいずれか一方が温室301の内部に展開されるように、第1巻取軸312aまたは第2巻取軸312bの少なくとも一方に制御信号を送信する。熱線遮蔽シート100の一部が温室301の内部に展開され得る。すなわち、温室301の内部に展開され得る熱線遮蔽シート100の面積は、第1巻取軸312aから引き出される熱線遮蔽シート100の量を調整することによって、自由に調整され得る。温度計303からの情報に代えて、あるいはこれと共に、日射量検出器305からの情報が、制御装置に送信され得る。言い換えれば、温室301に照射される日射量を元に、制御装置は、第1巻取軸312aまたは第2巻取軸312bの少なくとも一方に制御信号を送信し得る。
熱線遮蔽シート100が第1巻き取り軸312aに巻き取られる構造に代えて、使用しない際には複数枚の熱線遮蔽シート100が側壁307の近傍に折り畳まれ、かつ使用の際には複数枚の熱線遮蔽シート100が温室301内に展開される構造が採用され得る。
熱線遮蔽シート101が温室301内に展開されると、熱線遮蔽能力を有する有機色素の働きにより温室301の内部の温度が所定温度以下の温度に保持される。言い換えれば、有機色素は、温室301の内部の温度を上昇させる熱線(すなわち、700ナノメートル以上の波長を有する近赤外線)が温室301に入ることを抑制する。一方、有機色素は、光合成のために有効な可視領域の波長を有する光が温室301に入ることを抑制しない。言い換えれば、光合成のために有効な可視領域の波長を有する光は、熱線遮蔽シート101を透過する。このようにして、温室301の内部の温度が所定温度以下の温度に維持されながら、栽培ベッド304上で植物が育成する。
図1および図6に示される形態に代えて、熱線遮蔽シート100は、天井306を被覆し得る。言い換えれば、天井306の上面に熱線遮蔽シート100が展開される。熱線遮蔽シート100が展開された状態で、熱線遮蔽シート100は天井306の下面に吊される。温室301の内側または外側において側壁307は熱線遮蔽シート100により被覆され得る。より具体的には、熱線遮蔽シート100は、天井306から鉛直につり下げられ、側壁307を被覆し得る。このような場合においても、熱線遮蔽能力を有する有機色素の働きにより温室301の内部の温度が所定温度以下の温度に保持され、かつ、光合成のために有効な可視領域の波長を有する光は熱線遮蔽シート100を透過する。図2に示されるように、温室300を形成する半円筒形のフィルム451が、実施形態による熱線遮蔽シート100から形成され得る。あるいは、図7および図8に示されるように、半円筒形のフィルム451の外側または内側が、実施形態による熱線遮蔽シート100によって被覆され得る。
長期間にわたり熱線遮蔽シート100が用いられると、近赤外線領域での吸収率が低下し得る。そのような場合においては、エアコン401を用いて温室301の内部の温度が低下される。このようにして、温室301の内部の温度が所定温度以下の温度に保持されながら、栽培ベッド304上で植物が育成する。
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100の断面図を示す。図9に示されるように、第4実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100は、第1透明層101、第2透明層102、および第3透明層103だけでなく、第5透明層105をも具備する。第5透明層105は、第3透明層103上に積層される。望ましくは、第5透明層105は、第3透明層103上に接する。
第5透明層105は、放熱フィラーを含有する。望ましくは、放熱フィラーは、ハイドロタルサイト化合物から形成される。第5透明層105は透光性である。万一、第5透明層105が透光性でない場合、太陽光は栽培ベッド304に到達し得ない。
ハイドロタルサイト化合物は、以下の化学式(I)により表される複合水酸化物である。

[M2+ 1−x3+ (OH)][An− x/n・mHO] (I)

ここで、
2+は、2価金属を表し、
3+は、3価金属を表し、
n−は、層間アニオンを表し、かつ
xは、およそ0.2以上およそ0.33以下の値を表す。

化学式(I)に示されるように、ハイドロタルサイト化合物は、化学式[M2+ 1−x3+(OH)]により表される金属水酸化物層を有する。この金属水酸化物層はホスト層とも呼ばれる。ホスト層は正に帯電している。ハイドロタルサイト化合物は、化学式[An− x/n・mHO]により表されるゲスト層を有する。ゲスト層は負に帯電している。このように、ゲスト層は、炭酸イオンのようなアニオンおよび層間水分子から形成される。ゲスト層に含有されるアニオンは、ホスト層の正電荷を補償する。
xの値は、[M3+]/([M2+]+[M3+])に等しい。上述したように、xの値は、およそ0.2以上およそ0.33以下であり得る。
2価金属M2+の例は、Mg2+、Zn2+、Ni2+、Fe2+、Ca2+、Co2+、またはCu2+である。3価金属M3+の例は、Al3+、Fe3+、Mn3+、またはCr3+である。層間アニオンAn−の例は、Cl、NO 、あるいはCO 2−のような無機酸、またはサリチル酸、しゅう酸、あるいはクエン酸のような有機酸である。3価金属M3+の一部は、4価金属M4+で置換され得る。化学式[Li1/3Al2/3(OH)][An− 1/(3n)・mHO]により表されるように、ホスト層において、2価金属が用いられずに、1価金属および3価金属の組み合わせが用いられ得る。
このようなハイドロタルサイト化合物の例は、
(i) 化学式MgAl(OH)16CO・4HOで表され、かつ天然鉱物として産出されるハイドロタルサイト化合物、または
(ii) 化学式Mg4.3Al(OH)12.6CO・3.5HOで表されるハイドロタルサイト化合物型類似物
である。
望ましくは、ハイドロタルサイト化合物は、0.1マイクロメートル以上30マイクロメートル以下の粒径を有する粉末から形成される。より望ましくは、この粉末は、3マイクロメートル以下の粒径を有する。
第5透明層105の材料の例は、樹脂である。望ましくは、この樹脂は、およそ1.3以上およそ1.7以下の屈折率を有する。ハイドロタルサイト化合物は、およそ1.5の屈折率を有する。1.3以上およそ1.7以下の屈折率を有する樹脂は、ハイドロタルサイト化合物の屈折率と類似する屈折率を有するので、第5透明層105に入る光は、ハイドロタルサイト化合物からなる粉末の表面上で散乱されにくくなる。そのため、1.3以上およそ1.7以下の屈折率を有する樹脂を用いれば、第5透明層105の透光性が適切に維持され得る。より望ましくは、第5透明層105のために用いられる樹脂は、およそ1.4以上およそ1.6以下の屈折率を有する。
第5透明層105のために用いられ得る樹脂の望ましい例は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素系樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂、ビニルアルコール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、またはポリカーボネート樹脂である。これらの樹脂はおよそ1.3以上およそ1.7以下の屈折率を有する。
第5透明層105における、ハイドロタルサイト化合物の樹脂に対する重量比は、適切に選択され得る。ハイドロタルサイト化合物の重量比が高いことに伴い、第5透明層105の熱伝導性および放熱特性が向上するが、可視光の透過率が低減する傾向も生じる。そのため、ハイドロタルサイト化合物の樹脂に対する重量比は、0.1重量%以上50重量%以下の範囲であることが望ましい。このように、第5透明層105は、樹脂中にハイドロタルサイト化合物のような放熱フィラーを分散することにより形成されることが望ましい。
樹脂の熱伝導性および放熱特性を向上させるために、窒化ホウ素、グラファイト、アルミナ、または酸化マグネシウムが樹脂に含有され得る。しかし、これらの材料は、いずれも、1.7を超える屈折率を有するため、樹脂の透光性、すなわち、第5透明層105の透光性が維持されない傾向がある。
上述したように、第4実施形態による熱線遮蔽シート100は、第5透明層105を具備する。後述される実施例4を実施例5と比較すれば明らかなように、第4実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100においては、ハイドロタルサイト化合物の働きにより、有機色素の近赤外線吸収能力の低下が抑制される。
より詳細には、太陽光が第5透明層105に照射されると、太陽光は、透光性の第5透明層105を通過し、第2透明層102に到達する。第2透明層102は、近赤外線を吸収可能な有機色素を含有するので、太陽光に含まれる近赤外線は第2透明層102により遮蔽され、残りの太陽光が第2透明層102を通過する。有機色素が近赤外線を吸収することにより、熱が第2透明層102の内部に生じる。このように生じた熱により、第2透明層102の温度は高くなる。
後述される実施例4において実証されるように、本発明者らは、第5透明層105に含有されるハイドロタルサイト化合物が、第2透明層102から伝わった熱の一部を第5透明層105から効率的に放出することを見いだした。
有機色素が近赤外線を吸収することによって第2透明層102の内部に生じた熱の一部は、第5透明層105に含有されるハイドロタルサイト化合物の働きによって、第5透明層105から効率的に放出される。このように、第2透明層102の内部に生じた熱は第2透明層102に蓄積されにくい。そのため、第2透明層102に含有される有機色素の劣化が抑制される。言い換えれば、ハイドロタルサイト化合物によって、第5透明層105の熱伝導性を高められ、第2透明層102の内部に生じた熱の一部を効率的に第5透明層105から放出する。このように、第5透明層105に含有されるハイドロタルサイト化合物は、放熱フィラーとして機能する。
このようにして、第2透明層102の温度の増加が抑制される。その結果、有機色素の劣化が抑制され、有機色素の近赤外線吸収能力を長時間、維持する。
第5透明層105に含有されるハイドロタルサイト化合物は、2価金属M2+および3価金属M3+として、それぞれマグネシウムおよびアルミニウムを含有することが望ましい。マグネシウムおよびアルミニウムは、他の金属よりも高い熱伝導率を有する。そのため、第2透明層102の内部に生じた熱の一部は、ハイドロタルサイト化合物に含有されるマグネシウムおよびアルミニウムの働きによって、第5透明層105からより容易に放出される。図10に示されるように、2層の第5透明層105が設けられ得る。第1透明層101は、一方の第5透明層105aおよび第2透明層102の間に挟まれる。第2透明層102は、他方の第5透明層105bおよび第2透明層102の間に挟まれる。第4実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100もまた、第4透明層104を具備し得る。
(第5実施形態)
図11は、第5実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100の平面図を示す。図12は、第5実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100の断面図を示す。
第5実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100は、複数のストリップ351および複数の糸状の繊維352から形成されている。各ストリップ351は、帯状である。各糸状の繊維352が帯状のストリップ351に直交するように、複数のストリップ351は、複数の糸状の繊維352を用いて編まれている。各ストリップ351は、近赤外線を吸収可能な有機色素を含有する第2透明層102を具備する。図12に示されるように、各ストリップ351は、実施形態1において説明された第3透明層103および第1透明層101を具備し得る。この場合、第2透明層102は、第3透明層103および第1透明層101の間に挟まれる。各糸状の繊維352は、ハイドロタルサイト化合物のような放熱フィラーを含有する。
糸状の繊維352は、以下のように製造され得る。まず、化学式MgAl(OH)16CO・4HOによって表されるハイドロタルサイトの粉末が、表面処理に供され得る。各粉末は、3マイクロメートル以下の粒径を有することが望ましい。この粉末が樹脂に添加され、次いで十分に混練される。混練された樹脂は、延伸され、糸状の繊維352を得る。
図12に示されるように、断面において、1つのストリップ351aは、隣接する2つのストリップ351b・351cに挟まれている。糸状の繊維352は、複数のストリップ351を上下に縫うようにして通り抜けている。より詳細には、糸状の繊維352は、ストリップ400cの上面に位置し、ストリップ400bの下面に位置し、そしてストリップ400aの上面に位置している。
第5実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100においても、第2透明層102において生じた熱の一部が、糸状の繊維352に含有されるハイドロタルサイト化合物の働きにより、効率的に糸状の繊維352の表面から放出され、有機色素の近赤外線吸収能力を長時間、維持する。
糸状の繊維352に代えて、ハイドロタルサイト化合物のような放熱フィラーを含有する帯状の繊維もまた、複数のストリップ351を編むために用いられ得る。第5実施形態において用いられる熱線遮蔽シート100もまた、第4透明層104を具備し得る。
以下、実施例を参照しながら、本発明がより詳細に説明される。
(実施例1)
ジイモニウム系化合物(CIR−1085F:日本カーリット株式会社より入手)および酢酸セルロース(和光純薬工業株式会社より入手)が、アセトンに溶解され、アセトン溶液を調製した。ジイモニウム系化合物は、熱線遮蔽能力を有する有機色素として用いられた。酢酸セルロースは、第2透明層102を形成する樹脂として用いられた。アセトン溶液において、ジイモニウム系化合物は、アセトンに対して1重量%の重量比を有していた。アセトン溶液において、酢酸セルロースは、アセトンに対して10重量%の重量比を有していた。
次いで、アセトン溶液は、ポリエチレンテレフタラートから形成されたシート(以下、「PETシート」という、東洋紡株式会社より入手、商品名:コスモシャイン(登録商標))上にスピンコート法により塗布された。続いて、アセトン溶液は乾燥され、第1PETシート/ジイモニウム系化合物を含有する酢酸セルロース層から構成される積層構造を得た。この第1PETシートは、第1透明層101として機能した。この酢酸セルロース層は、第2透明層102として機能した。
他のPETシートが積層構造上に積層され、第1PETシート/ジイモニウム系化合物を含有する酢酸セルロース層/第2PETシートから構成される積層構造を得た。第2PETシートは、第3透明層103として機能する。次いで、この積層構造が、ラミネート加工に供された。このようにして、実施例1による熱線遮蔽シート100が得られた。
実施例1による熱線遮蔽シート100の光透過率が、紫外可視赤外分光光度計(日本分光株式会社製品、商品名:V−670)および積分球を用いて測定された。図13は、実施例1において測定された熱線遮蔽シート100の光透過率を示すグラフである。図13から明らかなように、可視領域の波長を有する光は熱線遮蔽シート100を比較的容易に透過する。一方、近赤外領域の波長、特に800ナノメートル以上1200ナノメートル以下の波長を有する光は、熱線遮蔽シート100を極めて透過しにくい。このことは、光合成に有効な可視領域の波長を有する光は熱線遮蔽シート100を容易に透過するが、熱の主要因となる近赤外領域の波長を有する光は熱線遮蔽シート100によって遮蔽されていることを意味する。
図14は、実施例1による熱線遮蔽シート100を太陽光が透過した際の分光エネルギー分布を示す。実線は、地表上に降り注ぐ太陽光のエネルギーを示す。点線は、実施例1による熱線遮蔽シート100を太陽光が通過した後の太陽光のエネルギーを示す。400ナノメートル以上700ナノメートル以下の範囲の透過エネルギーの積分値が、光合成に有効な可視領域の透過率として算出された。700ナノメートル以上1600ナノメートル以下の範囲の透過エネルギーの積分値が、熱の主要因となる赤外線領域の透過率として算出された。可視領域の透過率および赤外線領域の透過率の差も算出された。以下の表1は、算出結果を示す。
Figure 0006074599
次に、実施例1による熱線遮蔽シート100は、耐久性試験に供された。より詳細には、実施例1による熱線遮蔽シート100に模擬太陽光が照射されることによって、実施例1による熱線遮蔽シート100が、ソーラーシミュレーター(ペクセル・テクノロジーズ株式会社製、商品名:PEC−L15)を用いて評価された。
ソーラーシミュレーターは実際の太陽光よりも強い模擬太陽光を出力した。20万ルクス相当の照度を有する位置に、実施例1によるシートが設置された。一定時間ごとに、透過率が測定された。測定された透過率を元にして、可視領域の透過率の積分値および赤外領域の透過率の積分値が算出された。次いで、透過率の積分値の差の経時変化率が算出された。比較例1として、実施例1において得られた第2透明層102上に、農POフィルム(三菱樹脂アグリドリーム株式会社製、商品名:ダイヤスター(登録商標))が積層された積層構造体が作製され、比較例1による熱線遮蔽シートを得た。比較例1によるシートもまた、同様の耐久性試験に供された。
図15は、透過率積分値の差の経時変化率を示すグラフである。実線は、実施例1による熱線遮蔽シート100の結果を示す。点線は、比較例1による熱線遮蔽シートの結果を示す。実験の開始時からおよそ1020時間が経過した後に、実施例1による熱線遮蔽シート100の透過率の積分値の差が0となった。一方、実験の開始時からおよそ460時間が経過した後に、比較例1による熱線遮蔽シートの透過率積分値の差が0となった。このことは、実施例1による熱線遮蔽シート100は、比較例1による熱線遮蔽シートよりも高い耐久性を有することを意味する。
農POフィルムは、ポリプロピレンまたはポリエチレンで構成されていた。ポリプロピレンは、2100cc/m・24hr・atmの酸素透過量を有していた。一方、ポリエチレンテレフタラートは、100cc/m・24hr・atmの酸素透過量を有していた。実施例1を比較例1と比較すれば明らかなように、農POフィルムと比較して、PETシートは酸素をより効果的に遮蔽した。その結果、農POフィルムと比較して、PETシートは第2透明層102の劣化をより効果的に抑制した。
(実施例2)
酢酸セルロース層、すなわち、第2透明層102上に、以下のように第4透明層104が形成されたこと以外は、実施例1と同様に熱線遮蔽シート100が作製された。200ナノメートルの直径を有するコロイダルシリカ溶液(日産化学株式会社製、商品名:MP2040)を用いて、SiOの含有量が1重量%に等しくなるように、SiO粒子溶液が調製された。SiO粒子溶液は、酢酸セルロース層上に塗布され、次いで乾燥された。このようにして、複数のSiO粒子が、最密充填構造を有するように規則的に酢酸セルロース層上に配置された。最密充填構造を有するように規則的に配置された複数のSiO粒子は、第4透明層104として機能した。
このようにして形成された第4透明層104の両面に、PETシートが積層され、第1PETシート/酢酸セルロース層/SiO粒子層/第2PETシートから構成される積層構造を得た。この積層構造はラミネート加工に供された。このようにして、実施例2による熱線遮蔽シートが得られた。
実施例1の場合と同様に、実施例2による熱線遮蔽シート100の光透過率が、紫外可視赤外分光光度計(日本分光株式会社製品、商品名:V−670)および積分球を用いて測定された。図16は、実施例2において測定された熱線遮蔽シート100の光透過率を示すグラフである。図16から明らかなように、可視領域の波長を有する光は熱線遮蔽シート100を比較的容易に透過する。一方、近赤外領域の波長、特に800ナノメートル以上1200ナノメートル以下の波長を有する光は、熱線遮蔽シート100を透過しにくい。このことは、光合成に有効な可視領域の波長を有する光は熱線遮蔽シート100を透過するが、熱の主要因と成る近赤外領域の波長を有する光は熱線遮蔽シート100によって遮蔽されていることを意味する。
実施例2による熱線遮蔽シート100の光反射率が、紫外可視赤外分光光度計(日本分光株式会社製品、商品名:V−670)および積分球を用いて測定された。図17は、実施例2において測定された熱線遮蔽シート100の光反射率を示すグラフである。光透過率を示す図16の場合とは異なり、図17では光反射率が測定されたことに留意せよ。実施例1による熱線遮蔽シート100の光反射率も同様に測定された。
図17から明らかなように、実施例2による熱線遮蔽シート100は、200ナノメートルの直径を有する複数のSiO粒子から構成される第4透明層104を有するため、実施例2による熱線遮蔽シート100は、380ナノメートルに反射ピークを有する。一方、実施例1による熱線遮蔽シート100は、このような反射ピークを有しない。図5において、200ナノメートルの直径に対応する反射ピークはおよそ375ナノメートルである(図5に描かれた小円を参照せよ)。図17は、図5に示される関係を証明している。
図18は、実施例2による熱線遮蔽シート100に含まれる第4透明層104、すなわち紫外線反射層を形成するSiO粒子層の表面のSEM像である。図18から、第4透明層104が複数のSiO粒子から構成される最密充填構造を有していることが理解される。
実施例2による熱線遮蔽シート100が、実施例1の場合と同様に耐久性試験に供された。さらに、実施例1の場合と同様に、実施例2による熱線遮蔽シート100の可視領域の透過率および赤外線領域の透過率が算出された。表2は、その算出結果を示す。
Figure 0006074599
実施例2Bとして、アセトン溶液が、さらにベンゾフェノンを含有することを除き、実施例1の場合と同様に熱線遮蔽シート100が作製された。ベンゾフェノンは、アセトンに対して10重量%の重量比を有していた。
図19は、光透過率の差の経時変化の測定結果を示す。太い実線、細い実線、および破線は、それぞれ、実施例2、実施例1、および実施例2Bによる熱線遮蔽シートの結果を示す。
表2から明らかなように、実施例2Bによる熱線遮蔽シート100の光透過率の差は、実施例1による熱線遮蔽シート100の光透過率の差よりも小さかった。しかし、実施例2による熱線遮蔽シート100の透過率積分値の差が0%になる時間は、実施例1による熱線遮蔽シートのものよりも長かった。これは、実施例2による熱線遮蔽シート100では、紫外線反射層として機能するSiO粒子層の働きにより紫外線が反射されたために第2透明層102が劣化することが抑制されたためである。
図19から明らかなように、実施例2による熱線遮蔽シート100は、実施例2Bによる熱線遮蔽シート100よりも高い耐久性を有していた。実施例2Bによる熱線遮蔽シート100に含有される紫外線吸収剤が紫外線を吸収して熱を発生させる。発生した熱は、有機色素の劣化を加速する。一方、実施例2による熱線遮蔽シート100に含まれる第4透明層104(すなわち、紫外線反射層)は、このような熱が発生することを抑制するため、第2透明層102の耐久性が向上する。
(実施例3)
実施例3においては、熱線遮蔽シート100が、温室301において用いられるカーテンとして用いられた場合に、温室301の内部の温度がどれくらい低下するかが、模擬温室500を用いて測定された。図20に示されるように、模擬温室500の内部に熱線遮蔽シート100が設置され、そして模擬太陽光が熱線遮蔽シート100を介して模擬温室500に照射された。このようにして、模擬温室500の内部の温度が測定された。
図20に示されるように、模擬温室500の中心に仕切り板502が設置され、模擬温室500を右側の部屋および左側の部屋に分割した。右側の部屋に熱線遮蔽シート100が設置された。一方、左側の部屋には、熱線遮蔽シートが設置されなかった。図20に描かれた2つの黒丸、2つの四角形、および2つの三角形により表される6つの位置に、熱電対から形成される温度計501が設置された。右側の部屋に設置された3つの温度計501は、仕切り板502を対称面として、左側の部屋に設置された3つの温度計501と対称であった。ソーラーシミュレーター(ペクセル・テクノロジーズ株式会社製、商品名:PEC−L15)を用いて、12万ルクスの出力を有する模擬太陽光が、模擬温室500の天井に照射された。右側の部屋において模擬太陽光に照射される部分の面積は、左側の部屋において模擬太陽光に照射される部分の面積と等しかった。このような模擬温室500において、左側の部屋における平均温度および右側の部屋における平均温度の差が測定された。
実施例1による熱線遮蔽シート100が、模擬温室500の右側の部屋に用いられた。比較例として、ポリビニルアルコールから形成されたフィルム(日本ワイドクロス株式会社製、商品名:サンサンカーテン(登録商標)TV50)が、熱線遮蔽シート100に代えて用いられた。
実施例3において用いられた熱線遮蔽シート100、すなわち、実施例1による熱線遮蔽シート100の光透過率が、紫外可視赤外分光光度計(日本分光株式会社製品、商品名:V−670)および積分球を用いて測定された。図21は、その結果を示す。同様に、比較例において用いられたフィルムの光透過率も測定された。太い実線は、実施例3において用いられた熱線遮蔽シート100、すなわち、実施例1による熱線遮蔽シート100の光透過率を示す。細い実線は、比較例において用いられたフィルムの光透過率を示す。比較例において用いられたフィルムは、光を遮るポリエチレン製不織布および光が透過するポリビニルアルコールフィルムを、短冊状に交互に並べることによって得られた。ポリエチレン製不織布の面積:ポリビニルアルコールフィルムの面積は、1:1であった。
比較例においては、可視領域における光透過率および赤外領域における透過率は、いずれもおよそ50%である。一方、実施例3においては、可視領域における光透過率は50%〜75%であるが、近赤外領域(800ナノメートル以上1200ナノメートル以下)における光透過率は、およそ0%という非常に低い値である。比較例において用いられたフィルムが、実施例1の場合と同様に耐久性試験に供された。以下の表3は、実施例1の結果と共に、その結果を示す。
Figure 0006074599
表3から明らかなように、実施例3において用いられた熱線遮蔽シート100、すなわち、実施例1による熱線遮蔽シート100の可視領域の透過率は、比較例のそれよりも高い。これは、実施例1による熱線遮蔽シート100が用いられた場合の光合成の効率が、比較例によるフィルムが用いられた場合の光合成の効率よりも高いことを意味する。一方、実施例1による熱線遮蔽シート100の赤外線領域の透過率は、比較例のそれよりも低い。これは、比較例によるフィルムが用いられた場合と比較して、実施例1による熱線遮蔽シート100が用いられた場合では、模擬温室500に赤外線が入射しにくいことを意味する。
図22は、実施例3および比較例における模擬温室500の内部の平均温度の差を示すグラフである。太い実線は、実施例3における模擬温室500の内部の平均温度の差を示す。一方、細い実線は、比較例における模擬温室500の内部の平均温度の差を示す。図22から明らかなように、実施例3において用いられた熱線遮蔽シート100、すなわち、実施例1による熱線遮蔽シート100が用いられた場合の平均温度差は、およそ2.4度(絶対値)であった。一方、比較例によるフィルムが用いられた場合の平均温度差は、およそ2.0度(絶対値)であった。このことは、実施例1による熱線遮蔽シート100が用いられた場合には、温室の内部の温度がより低い温度に維持されることを意味する。
このように、実施例1による熱線遮蔽シート100により、光合成のために有効な可視領域の波長を有する光の透過率が向上し、かつ、温室内の温度をより低い温度に維持することができる。
(実施例4)
(熱線遮蔽シート100の作成)
1重量%のジイモニウム化合物(日本カーリット株式会社製、商品名:CIR−RL)および10重量%の酢酸セルロース(和光純薬工業株式会社製)が、100重量%のメチルエチルケトンに溶解され、ジイモニウム溶液を調製した。
次に、ジイモニウム溶液が、ポリエチレンテレフタラートシート(東洋紡株式会社製、商品名:コスモシャイン(登録商標))上にスピンコート法により塗布された。ポリエチレンテレフタラートシートは、100cc/m・24時間・atm以下の低い酸素透過度を有していた。
続いて、ジイモニウム溶液は乾燥された。このようにして、ポリエチレンテレフタラートシート上に、ジイモニウム化合物を含有する層が形成された。ジイモニウム化合物を含有する層は第2透明層102として機能した。ポリエチレンテレフタラートシートは、第1透明層101として機能した。
他のポリエチレンテレフタラートシートを用いて、ジイモニウム化合物を含有する層が2枚のポリエチレンテレフタラートシートの間に挟まれるように、ジイモニウム化合物を含有する層がラミネートされた。他のポリエチレンテレフタラートシートは、第3透明層103として機能した。
一方、ハイドロタルサイト化合物を含有する第5透明層105が、以下のように形成された。まず、5重量%のハイドロタルサイト化合物(協和化学工業株式会社製、商品名:DHT−4A)が、100重量%ポリエチレンペレットに混合され、混合物を調製した。次いで、混合物はおよそ摂氏160度に加熱され、混合物を混練した。混練された混合物は、およそ摂氏160度に加熱されたホットプレスを用いて展開され、ハイドロタルサイト化合物を含有するシートを得た。
ハイドロタルサイト化合物を含有するシートは、第3透明層103上に積層された。このようにして、実施例4による熱線遮蔽シート100が得られた。ハイドロタルサイト化合物を含有するシートは、第5透明層105として機能した。
(実施例5)
実施例4による熱線遮蔽シート100に含まれる第2層104に代えて、農POフィルム(三菱樹脂アグリドリーム株式会社製、商品名:ダイヤスター(登録商標))が用いられたこと以外は、実施例4と同様の熱線遮蔽シート100が得られた。言い換えれば、実施例5では、実施例4による熱線遮蔽シート100に含まれる第5透明層105が、農POフィルムに置換された。農POフィルムは、低密度ポリエチレン層およびエチレン酢酸ビニル共重合体層の積層体から形成されていた。
(シートの評価)
実施例4による熱線遮蔽シート100の透過率が、紫外可視赤外分光光度計(UV-Vis-Nir Spectrophotometer、日本分光株式会社製、商品名:V−670)および積分球を用いて測定された。図23は、その結果を示す。図23は、実施例5による熱線遮蔽シート100の透過率の測定結果も示す。
図23から明らかなように、実施例4および実施例5のいずれにおいても、可視領域の波長を有する光の一部は熱線遮蔽シート100を透過している。しかし、近赤外線の領域の波長、すなわち、800ナノメートル以上1400ナノメートル以下の波長を有する光の透過率は低い。言い換えれば、光合成に有効な可視領域の波長を有する光はこれらの熱線遮蔽シート100を透過するが、熱の主要因と成る近赤外線の領域の波長を有する光は、熱線遮蔽シート100によって遮蔽されている。熱線遮蔽シート100が、ハイドロタルサイト含有シートを有する場合であっても、光合成に有効な400ナノメートルから700ナノメートルの波長を有する光は、熱線遮蔽シート100を透過している。
図24は、実施例4および実施例5による熱線遮蔽シート100を太陽光が透過した際の分光エネルギー分布を示す。点線は、地球上に降り注ぐ太陽光のエネルギーを示す。太い実線は、実施例4によるシートを太陽光が通過した後の太陽光のエネルギーを示す。細い実線は、実施例5によるシートを太陽光が通過した後の太陽光のエネルギーを示す。
400ナノメートル以上700ナノメートル以下の範囲の透過エネルギーの積分値が、光合成に有効な可視領域の透過率として算出された。700ナノメートル以上1600ナノメートル以下の範囲の透過エネルギーの積分値が、熱の主要因となる赤外線領域の透過率として算出された。可視領域の透過率および赤外線領域の透過率の差も算出された。以下の表4は、算出結果を示す。
Figure 0006074599
次に、実施例4および実施例5による熱線遮蔽シート100は、耐久性試験に供された。より詳細には、実施例4および実施例5による熱線遮蔽シート100に模擬太陽光が照射されることによって、実施例4および実施例5による熱線遮蔽シート100が、ソーラーシミュレーター(ペクセル・テクノロジーズ株式会社製、商品名:PEC−L15)を用いて評価された。
ソーラーシミュレーターは実際の太陽光よりも強い模擬太陽光を出力した。20万ルクス相当の照度を有する位置に、実施例4による熱線遮蔽シート100が設置された。一定時間ごとに、透過率が測定された。測定された透過率を元にして、可視領域の透過率の積分値および赤外領域の透過率の積分値が算出された。次いで、透過率の積分値の差の経時変化率が算出された。実施例5による熱線遮蔽シート100もまた、同様の実験のために用いられた。
図25は、透過率積分値の差の経時変化率を示すグラフである。図25では、初期値が1となるように、透過率積分値の差は、規格化されている。太い実線は、実施例4による熱線遮蔽シート100の結果を示す。細い実線は、実施例5による熱線遮蔽シート100の結果を示す。実験の開始時からおよそ1620時間が経過した後に、実施例4による熱線遮蔽シート100の透過率の積分値の差が0.7となった。一方、実験の開始時からおよそ1330時間が経過した後に、実施例5による熱線遮蔽シート100による太陽熱を抑制するためのシートの透過率積分値の差が0.7となった。これらの熱線遮蔽シート100の間の透過率積分値の差の比は、およそ1.2であった。
このことは、実施例5による熱線遮蔽シート100と比較して、実施例4による熱線遮蔽シート100に含有されるジイモニウム化合物の劣化が抑制されていたことを意味する。これについて、以下、より詳細に記述する。
ジイモニウム化合物は、第2透明層102に含有されるジイモニウム化合物自体が吸収した近赤外線によって生じた熱および第2透明層102に到来した酸素分子によって劣化する。実施例4および実施例5の両方において同一の第3透明層103および第1透明層101が用いられたので、実施例4において第3層103および第1透明層101を透過した酸素分子の量は、実施例5のそれと同じであった。従って、実施例4および実施例5の間の実質的な相違点は、第5透明層105がハイドロタルサイト化合物を含むかどうかという点のみであった。実施例4による熱線遮蔽シート100に含有されるジイモニウム化合物の劣化が抑制された理由は、第2透明層102に含有されるジイモニウム化合物が吸収した近赤外線によって生じた熱が、第5透明層105に含有されるハイドロタルサイト化合物の働きによって、第5透明層105から効率的に放出されたからである。
(実施例6)
実施例6においては、図11および図12に示される熱線遮蔽シート100が作製された。
第5透明層105が形成されなかったことを除き、実施例4による熱線遮蔽シート100と同様の熱線遮蔽シート100が作製された。言い換えれば、実施例1に開示される製造方法に従って、第3透明層103および第1透明層101の間に挟まれた第2透明層102が作製された。熱線遮蔽シート100は切断され、2ミリメートルの幅を有する複数の帯状のストリップ351を得た。
繊維352は、以下のように作製された。まず、100重量%のポリエチレンテレフタラートペレットに、5重量%のハイドロタルサイトが混合され、混合物を得た。混合物は、およそ摂氏300度に加熱され、混練された。混練された混合物は延伸され、ハイドロタルサイトを含有する糸状の繊維352を得た。
糸状の繊維352を用いて、複数の帯状のストリップ351が編まれることによって、熱線遮蔽シート100を得た。
本発明は、有機色素が劣化することが抑制された熱線遮蔽シートを有する温室を提供する。
100 熱線遮蔽シート
101 第1透明層
102 第2透明層
103 第3透明層
104 第4透明層
105 第5透明層
301 温室
302 栽培環境制御用カーテン
303 温度計
304 栽培ベッド
305 日射量検出器
306 天井
307 側壁
311 梁
312 巻取軸
313 ワイヤ
351 ストリップ
352 繊維
401 エアコン
451 フィルム
500 模擬温室
501 温度計

Claims (16)

  1. 内部で植物を栽培するために用いられる温室であって、
    前記温室は、熱線遮蔽シートを具備し、
    前記熱線遮蔽シートは、
    100cc/m・24hr・atm以下の酸素透過係数を有する、ポリエステルから構成される第1透明層、
    熱線遮蔽能力を有し、800ナノメートル以上の波長領域に光の最大吸収波長を有し、400ナノメートル〜700ナノメートルの波長領域の光を透過する有機色素を含有する第2透明層、および
    100cc/m・24hr・atm以下の酸素透過係数を有する、ポリエステルから構成される第3透明層、
    を具備し、
    前記有機色素は、ジイモニウム化合物であり、
    前記第2透明層は、前記第1透明層および前記第3透明層の間に挟まれている、温室。
  2. 請求項1に記載の温室であって、
    さらに第4透明層を具備し、ここで
    前記第1透明層が前記温室の内側を向いており、
    前記第3透明層が前記温室の外側を向いており、
    前記第4透明層が前記第2透明層および前記第3透明層の間に挟まれており、かつ
    前記第4透明層は、100ナノメートル以上250ナノメートル以下の直径を有する複数の金属酸化物粒子を含む、温室。
  3. 請求項2に記載の温室であって、
    各前記金属酸化物粒子は、SiOから形成される、温室。
  4. 請求項2に記載の温室であって、
    前記複数の金属酸化物粒子は、最密充填構造を有するように規則的に配列されている、温室。
  5. 請求項2に記載の温室であって、
    前記第4透明層は、200ナノメートル以上500ナノメートル以下の厚みを有する、温室。
  6. 請求項1に記載の温室であって、
    前記熱線遮蔽シートは、温室の内部を上部および下部に分割するように、温室の内部に配置される、温室。
  7. 請求項1に記載の温室であって、
    前記温室は天井および側壁を有しており、かつ
    前記熱線遮蔽シートは、前記天井を被覆している、温室。
  8. 請求項7に記載の温室であって、
    前記熱線遮蔽シートは、前記天井の上面に展開されている、温室。
  9. 請求項7に記載の温室であって、
    前記熱線遮蔽シートは、展開された状態で前記天井の下面に吊されている、温室。
  10. 請求項7に記載の温室であって、
    前記温室は天井および側壁を有しており、かつ
    前記熱線遮蔽シートは、前記側壁を被覆している、温室。
  11. 請求項10に記載の温室であって、
    前記熱線遮蔽シートは、前記温室の内側または外側の少なくともいずれか一方において前記側壁を被覆している、温室。
  12. 請求項1に記載の温室であって、
    前記温室は、フィルムから形成されており、かつ
    前記フィルムが、前記熱線遮蔽シートから形成されている、温室。
  13. 請求項1に記載の温室であって、
    前記温室は、フィルムから形成されており、かつ
    前記フィルムの内側または外側の少なくとも一方が、前記熱線遮蔽シートによって被覆されている、温室。
  14. 請求項1に記載の温室であって、
    さらに第5透明層を具備し、ここで
    前記第5透明層は、放熱フィラーを含有し、かつ
    前記第5透明層は、前記第3透明層上に積層されている。
  15. 請求項14に記載の温室であって、
    前記放熱フィラーは、ハイドロタルサイトである。
  16. 内部で植物を栽培するために用いられる温室のために用いられる熱線遮蔽シートであって、
    前記熱線遮蔽シートは、
    100cc/m・24hr・atm以下の酸素透過係数を有する、ポリエステルから構成される第1透明層、
    熱線遮蔽能力を有し、800ナノメートル以上の波長領域に光の最大吸収波長を有し、400ナノメートル〜700ナノメートルの波長領域の光を透過する有機色素を含有する第2透明層、および
    100cc/m・24hr・atm以下の酸素透過係数を有する、ポリエステルから構成される第3透明層、
    を具備し、
    前記有機色素は、ジイモニウム化合物であり、
    前記第2透明層は、前記第1透明層および前記第3透明層の間に挟まれている、熱線遮蔽シート。
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