JP3787948B2 - 屋外展張用フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、施設園芸等の被覆に用いられる屋外展張用フィルムに関するものである。更に詳しくは、透明性を有し、且つ、優れた遮熱性とその持続力を有する屋外展張用フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からの施設園芸において、一般的に用いられるハウス被覆資材は、冬場の保温性向上および光合成に必要な日射量を確保することを目的に、可視光線を極力透過させる、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどの透明合成樹脂フィルムが使用されている。
これら従来の合成樹脂フィルムは冬場の栽培性向上を目的としたものであり、初夏から、盛夏を経て初秋の間は、ハウス内が高温となり、施設園芸は困難である。そのため、夏場を越す必要のある多年生の花卉類の場合は、内張りまたは外張りのカーテンとしての遮光ネットや寒冷紗を使用し、日射(可視光線含む)を約30〜80%遮ることによって、ハウス内に透過してくる日射エネルギーを低下させ、ハウス内温度の上昇を抑えている。花卉類の場合は、必要な光量が少なくても栽培が可能ではあるものの、遮光による植物の徒長という問題がある。
【0003】
また、夏場の高温対策としてハウス内冷房も行われているが、ミストによる冷房は、植物が濡れる事に起因して病害が発生しやすく、また、多湿による作業環境の悪化、更に、日本のように高温多湿環境下では、その効果も不十分であるといった問題点があり、普及していない。他方、冷凍機による冷房も、日射が降り注ぐハウスでは、冷房効率が非常に低いので、あまり行われていない。
一方、夏場の果菜類の栽培に関しては、作物生理上および品質上、ほとんど遮光は不可能なため、西南暖地において、施設園芸による夏場の果菜類の栽培は行われておらず、東北や北海道の冷涼地においても、夏場透明フィルムの被覆下では、ハウス内が高温となり、品質および作業環境が問題となっている。そこで、可視光線は極力透過させ、熱線(即ち、近赤外線)を極力カットするタイプの被覆資材が求められている。
【0004】
そこで、合成樹脂フィルムの表面にごく薄い金属層を蒸着した赤外線反射材料(特公昭59−13325号公報)、近赤外線および赤外線を反射するホログラムを合成樹脂フィルムと組み合わせて使用した農業用フィルム(特開平7−274738号公報)等が提案されているが、太陽からの日射エネルギーは、可視光領域で約50%、近赤外線領域、赤外線領域で約50%のエネルギー量を有するので、可視光を遮断すれば、透過してくる日射エネルギー量を容易に低減できるが、可視光量が不足するという問題がある。
よって、日射エネルギーの中で近赤外線領域の光を積極的に吸収または反射(遮蔽)させることが望ましく、熱線吸収剤または熱線反射剤を合成樹脂フィルムへ練り込むこと、あるいは塗布することが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
熱線遮蔽能を有する粒子を練り込んだ方法として、例えば、六塩化タングステン、硫化第二銅、アミニウム系の近赤外線吸収色素、金属錯体化合物等の熱線反射剤あるいは熱線吸収剤を配合することが、特公平4−45546号公報、特公昭58−56533号公報、特公昭62−54143号公報、特開昭50−51549号公報、特公昭54−25060号公報、特公平1−114801号公報、特開平2−17306号公報、特開平3−215561号公報、特開平3−161644号公報、特開平6−73197号公報、特開平8−81567号公報等により提案されている。
【0006】
また、熱線反射剤あるいは熱線吸収剤を塗布した方法として、酸化スズ微粒子をバインダー溶液に分散させ、透明基材上に製膜してなる可視光線透過率が高く、しかも熱線遮蔽性に優れる熱線遮蔽膜(特開平6−262717号公報)、ポリエチレンテレフタレートフィルムにアミノ化合物よりなる有機物近赤外線吸収層および酸化スズと酸化アンチモンの固溶体よりなる無機物近赤外線吸収層を積層した近赤外線吸収性フィルム(特開平7−100996号公報)等が提案されている。
しかし、熱線吸収剤または反射剤とも、屋外に曝露すると、数年以内特に有機系の場合は1年以内に熱線遮蔽能が低下し、夏場ハウス内の高温対策としての効果が薄れてくる問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる背景下にあって、熱線を遮蔽する屋外展張用フィルムとして、可視光線を透過し、且つ、熱線遮蔽性能の効果の持続性を向上させた屋外展張用フィルムを提供すべく、鋭意検討した。
【0008】
しかして本発明の要旨とするところは、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、周期律表3B,4Bおよび5B族に属する少なくとも1種の金属がドープされた熱線遮蔽能を有する無機酸化物微粒子を含有する層(A)を設け、更にその層上に、紫外線吸収剤を含有する厚さ1〜10μmのアクリル系樹脂からなる層(B)を展張時外側となる面に設けてなる屋外展張用フィルムに存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、熱線とは波長200〜2600nmの範囲の近赤外線を意味し、また、遮蔽とは反射または吸収を意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の屋外展張用フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、一般にフィルム成形に用いられる樹脂であれば何れでもよい。具体的には、塩化ビニル、エチレン、プロピレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化エチレン等の単量体の単独またはこれら相互の重合体、あるいはこれら単量体中の少なくとも1種と他の共重合可能な単量体(例えば、酢酸ビニル、塩化ビニリデン等)との共重合体、含フッ素樹脂、ポリエステル、ポリアミド等もしくはこれら重合体のブレンド物があげられる。これらの中では、耐候性、光透過性、経済性、強度等の観点から、塩化ビニル系樹脂(即ち、ポリ塩化ビニルおよび塩化ビニルを50重量%以上含むその共重合体)およびエチレン系樹脂(即ち、ポリエチレンおよびエチレンを50重量%以上含むその共重合体)が好適であり、最も有利にはポリエチレンテレフタレートおよびフッ素樹脂である。
【0010】
ポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、フィルムは未延伸のものでも二軸に延伸されたものでもよいが、フィルムの強度の点からいえば二軸に延伸されたものが好ましい。
二軸に延伸する場合は、縦、横、2.0〜5.0倍延伸されたものが好ましい。延伸倍率が2.0倍未満であると、製品の強度が充分のものとならないので好ましくなく、5.0倍を越えたものでは製品の強度は充分なものとなるが、製造作業が困難となるので好ましくない。延伸倍率は二軸方向とも、夫々2.5〜4.0倍の範囲が特に好ましい。二軸延伸フィルムを製造する方法は特に限定されるものではなく、例えば逐次にまたは同時に縦横二軸に延伸する等、従来知られている、如何なる方法によるものでもよい。
【0011】
本発明の屋外展張用フィルムに係る熱可塑性樹脂フィルムは、厚みが0.01〜0.3mmのものが好ましい。厚みが0.01mm未満であると、製品の強度が充分なものとならず、また、0.3mmを越えるとフィルムが硬くなり、取り扱い難くなるので好ましくない。
これら熱可塑性樹脂には、必要に応じ、通常の熱可塑性樹脂に添加される周知の可塑剤、滑剤、熱安定剤、有機リン酸金属塩、防曇剤、防霧剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、安定剤、酸化防止剤等の添加助剤を通常量配合することができる。
【0012】
滑剤ないし熱安定剤としては、一般的に屋外展張用フィルムに使用される、脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、エステル系滑剤、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、有機ホスファイト化合物の如きキレーター、フェノール類、βージケトン化合物等があげられる。具体的には、特公昭62ー53543号公報第7欄第1行〜12行目に記載の化合物等がある。
紫外線吸収剤としては、次のようなものがあげられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤である、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等。
【0013】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤である、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホンベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノン、ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等。
【0014】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−カルボン酸ブチルエステルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5,6−ジクロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−エチルスルホンベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アミノフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ステアリルオキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−カルボン酸フェニル)ベンゾトリアゾールエチルエステル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−シクロヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’,5’−ジメチルフェニル)−5−カルボン酸ベンゾトリアゾールブチルエステル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’,5’−ジクロルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−エチルスルホンベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メトキシフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−カルボン酸エステルベンゾトリアゾール、2−(2’−アセトキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等。
【0015】
更に、これらシアノアクリレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の数量体、重合体があげられる。
これらの紫外線吸収剤は1種あるいは2種以上併用してもよく、その使用量は熱可塑性樹脂100重量部当り0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜2重量部である。
【0016】
本発明において、層(A)を構成する、周期律表3B、4Bおよび5B族に属する少なくとも1種の金属がドープされた熱線遮蔽能を有する無機酸化物微粒子とは、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ゲルマニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物に、3B、4Bおよび5B族に属する金属をドープさせ導電性を付与したものであり、具体的には、スズがドープされた酸化インジウム(ITO)、アンチモンがドープされた酸化スズ(ATO)、ガリウムがドープされた酸化ゲルマニウム等があげらる。これらは2種以上ドープさせても良い。また、周期律表とは、短周期型、長周期型いづれの周期律表でも良い。
【0017】
これら無機酸化物微粒子の粒径は、平均粒径が2000nmを超える粗粒物になると、表面粗度が低下し、クレーター状のへこみや突起ができて外観不良になるほか、表面の乱反射も著しくなり、可視光線透過率が低下するので好ましくない。よって、無機酸化物微粒子の平均粒径は2000nm以下が望ましい。
また、無機酸化物微粒子の添加量は、層(A)および層(B)成形後のフィルムにおいて、可視光領域(代表して555nmでの透過率)の透過率が60%以上となるように調整すべきであるが、対象作物範囲を考慮すると、可視光線透過率値で80%以上となるような配合量に調整することがより望ましい。
【0018】
これら無機酸化物微粒子は、1種または数種を同時に用いてもかまわない。また、アントラキノン誘導体や、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、スクアリリウム化合物、チオ尿素化合物、イモニウム系化合物、アセチレン系化合物などの有機化合物あるいは、クロム、コバルト、銅等の金属錯体を併用してもさしつかえない。
かかる層(A)を形成するには、無機酸化物微粒子をバインダーとともに液状分散媒中に分散させたものを熱可塑性樹脂フィルムの表面上に、塗布した後、強制乾燥または自然乾燥し、液状分散媒を揮散させればよい。
【0019】
バインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いればよい。具体的には、アクリル系樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチロール系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等があげられるが、特にアクリル系樹脂が好適である。
強制乾燥する方法としては、熱風乾燥法、赤外線輻射法等が採用できる。
また、塗布する方法としては、ロールコート法、ディップコート法、ハケ塗り法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法等それ自体公知のいかなる方法によってもよい。
【0020】
フィルム表面と、層(A)との接着性が充分でない場合には、層(A)を塗布する前に、フィルム表面にプラズマ処理を施すとか、もしくはコロナ放電処理を施すとか、適当なアンカー剤の塗布等の方法によってフィルム表面を改質してもよい。
本発明の屋外展張用フィルムは、層(A)を形成した面上または層(A)を形成したフィルムの反対面上に、層(B)を形成する。すなわち、層(A)がフィルム片面のみに形成された場合、層(B)は、層(A)面上または層(A)を形成していないフィルム表面上に、あるいは両面に形成してもよい。層(A)がフィルム両面に形成された場合、少なくとも一面に、層(B)を形成すればよい。
【0021】
本発明において層(B)を構成するアクリル系樹脂としては、幹成分としての架橋アクリル酸エステル系弾性体の存在下に、分岐成分としてのメタクリル酸アルキルエステル単量体、またはメタクリル酸アルキルエステルを主成分としこれと共重合可能なビニル系単量体との混合物を重合して得られるグラフト共重合体であって、架橋アクリル酸エステル系弾性体を5〜80重量%含むものが好ましい。
架橋アクリル酸エステル系単量体とは、架橋性単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、またはこれと共重合可能なビニル系単量体との混合物を重合して得られる重合体である。
【0022】
架橋性単量体としては、通常多官能性化合物として使用されているものであればよく、具体例としては、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルアジペート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート等があげられ、これらは2種以上を併用してよい。
【0023】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とは、アクリル酸のまたはメタクリル酸のアルキルエステル類であり、具体的には例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル等があげられ、一般には、アルキル基の炭素数が1〜20個のアクリル酸アルキルエステルおよび/またはアルキル基の炭素数が1〜20個のメタクリル酸アルキルエステルが使用され、これらは混合して使用してもよい。
【0024】
これら(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、メタクリル酸およびメタクリル酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜12)、イタコン酸のジアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜10)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン等があげられる。これら単量体は、40重量%以下、好ましくは25重量%以下とするのがよい。
【0025】
架橋アクリル酸エステル系弾性体は、乳化重合法によって製造するのがよい。
この際使用できる重合開始剤は、通常の遊離基発生開始剤である。具体例をあげると、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物;キュメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド、キュメンパーオキサイド等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系の開始剤をあげることができる。
【0026】
更にこれらの重合開始剤に、亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート、グルコース、ポリアミン、アスコルビン酸ヒドロキシアセトン等の還元剤を組み合せた、通常のレドックス系開始剤も使用しうる。
乳化剤としては、通常の乳化重合用の界面活性剤をあげることができる。例えば、炭素数が8〜20個のアルキル硫酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム塩およびラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪族カルボン酸のナトリウム、カリウム塩等の陰イオン界面活性剤や、アルキルフェノール類、脂肪族アルコール類およびポリプロピレンオキサイド類とエチレンオキサイドとの反応生成物等の非イオン界面活性剤があげられる。また、場合によっては、これら界面活性剤を2種以上併用することもできる。更に、ナフタレンホルムアルデヒド縮合スルフォン酸塩等の界面活性剤を添加することもできる。更に要すれば、アルキルアミン塩酸塩等の陽イオン界面活性剤を使用することもできる。
【0027】
架橋アクリル酸エステル系弾性体を製造する方法としては、次の乳化重合方法があげられる。
(1)アクリル酸アルキルエステル単量体、またはアクリル酸アルキルエステル単量体とこれと共重合可能なビニル系単量体との混合物に、少量の架橋性単量体を加えて重合する方法。
(2)(1)の方法で得た重合体エマルジョンに、更にアクリル酸アルキルエステル単量体、またはアクリル酸アルキルエステル単量体とこれと共重合可能なビニル系単量体との混合物を加えて重合する方法。
(3)(2)の方法において、少量の架橋剤存在下、アクリル酸アルキルエステル単量体またはこれと共重合可能なビニル系単量体の混合物を加えて重合する方法。
【0028】
(4)アクリル酸アルキルエステル単量体、またはアクリル酸アルキルエステル単量体とこれと共重合可能なビニル系単量体との混合物より乳化重合して未架橋重合体を製造する。次いで、この重合系に、更に、少量の架橋性単量体の存在下、アクリル酸アルキルエステル単量体、またはアクリル酸アルキルエステル単量体とこれと共重合可能なビニル系単量体との混合物を加えて重合する方法。
(5)(1)〜(4)の方法で得た重合体エマルジョンの一種に、更にアクリル酸アルキルエステル単量体、またはこれと共重合可能なビニル系単量体を加え、架橋性単量体を加えずまたは少量加えて重合する方法。
【0029】
架橋アクリル酸エステル系弾性体は、前記界面活性剤の使用量や、使用する水性媒体の量を加減することによって、架橋弾性体エマルジョン粒子の平均粒子径を調整し、0.05〜0.30μmの範囲とすることが好ましい。0.05μm以下では、被膜として使用されるアクリル系樹脂の機械的強度が低下し、0.30μmを超えると、応力白化が著しくなり好ましくない。
更に架橋アクリル酸エステル系弾性体は、次の方法で測定したゲル含量が80%以上で、膨潤度が15以下のものがよい。
【0030】
ゲル含量および膨潤度は、架橋弾性体の所定量(W0)を採取し、室温でメチルエチルケトンに48時間浸漬した後の膨潤した重量(W1)およびこの試料を減圧乾燥機で乾燥した後の重量(W2)を測定し、次式により算出することが出来る。
【0031】
【数1】
ゲル含量=(W2−W0)×100(%)
膨潤度 =(W1−W2)/W0
【0032】
ゲル含量、膨潤度は、前述の架橋性単量体の種類および量の調整以外に、弾性体を重合する時の温度、開始剤の種類とその使用量、弾性体を構成する単量体の添加方法、分子量調節剤の有無等の重合諸条件によって影響されるので、適宜調節するのがよい。ゲル含量が80%に満たないときは、その弾性体から得られる被膜形成用アクリル系樹脂は、後述する有機溶媒に完全に溶解し、または過度に膨潤し、弾性体粒子が変形してしまい、好ましくない。膨潤度についても、15を超えると応力白化しやすくなり、好ましくない。
【0033】
上記架橋アクリル酸エステル系弾性体にグラフトさせる分岐成分のメタクリル酸アルキルエステル単量体としては、弾性体製造の際に使用される前述の中から選んでよく、これと共重合可能なビニル系単量体もまた、弾性体製造の際に使用されると例示したものの中から選んでよい。
この場合、グラフトさせる単量体成分から得られる重合体または共重合体自体のガラス転移温度(Tg)が50℃以上となるように、単量体の種類や組合せを選ぶことが好ましい。Tgが50℃に満たないときは、このグラフト重合体を含むアクリル系樹脂の被膜の耐ブロッキング性が悪くなる(ブロッキングしやすい)ので好ましくない。
【0034】
グラフト重合反応は、乳化重合法によって遂行するのがよいが、溶液重合法によってもよい。例えば、乳化重合法によってグラフト重合を行う場合は、架橋アクリル酸エステル系弾性体のエマルジョンに、グラフトさせる単量体を加え、必要があれば乳化剤、重合開始剤、分子量調節剤、水等を加えて、通常の乳化重合の条件を選んで、遂行することができる。グラフトさせる単量体との割合は、架橋弾性体エマルジョンを重合体固形分100重量部に対し、通常10重量部以上、30重量部以上とする。
【0035】
アクリル系樹脂中には、グラフト教重合体以外に、例えば、メタクリル酸アルキルエステル単量体または、メタクリル酸アルキルエステル単量体を主成分としてこれと共重合可能なビニル系単量体の混合物を重合してられるメタクリル樹脂、または、グラフト共重合体製造の際に生成するフリーなメタクリル樹脂も含まれる。
【0036】
更に、アクリル系樹脂には、グラフト重合体と相溶性があり、Tgが50℃以上で透明な硬質熱可塑性樹脂をブレンドして、被膜形成用アクリル系樹脂として使用することができる。アクリル系樹脂に含まれる架橋弾性体の割合を5〜80重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲とするのがよい。架橋弾性体の割合が5重量%に満たないときは、機械的強度が劣り、80重量%を超えるときは、これを被膜として有するフィルムの耐ブロッキング性が悪くなり、好ましくない。
【0037】
これらアクリル系樹脂には、紫外線吸収剤を配合して、基体フィルムの片面に被膜を形成する。
紫外線吸収剤の種類は、従来公知の紫外線吸収剤、例えばサリチル酸系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等があげられる。具体的には、前述したような紫外線吸収剤とその数量体、重合体があげられる。これらの中で、アクリル系樹脂への溶解性、熱可塑性樹脂フィルムに塗布して屋外展張用として使用する観点から評価すると、ベンゾフェノン系化合物、および/またはベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
【0038】
前記アクリル系樹脂に配合される紫外線吸収剤の量は、余り少なすぎると本発明の目的が達成されないし、余り多すぎるとブリード・アウトの問題がある。好ましい配合量は、アクリル系樹脂100重量部に対して、10〜25重量部の範囲である。
アクリル系樹脂に配合される紫外線吸収剤の量、ポリエチレンテレフタレートの片面に形成される被膜の厚さは、種々変更しうるが、フィルム一定面積当りの紫外線吸収剤の量を150〜1000mg/m2の範囲とすると特に好ましい。
【0039】
これら紫外線吸収剤を含有するアクリル系樹脂の被膜の厚さは、1〜10μmであり、特に1〜5μmが好適である。1μm未満であると本発明の目的が達成されないので好ましくなく、10μmを超えると被膜が剥離しやすいという問題が生じ好ましくない。
【0040】
本発明の層(B)を熱可塑性樹脂フィルム表面上に形成するには、紫外線吸収剤を含む組成物を、液状分散媒として、例えば、メチルエチルケトンのようなケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル類などの1種または2種以上を混合した有機溶媒との混合物を用いて分散液として用いる。この組成物を熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に塗布し、強制乾燥または自然乾燥して、液状分散媒を揮散させることで塗膜を形成することができる。
【0041】
強制乾燥する方法としては、熱風乾燥法、赤外線輻射法等が採用できる。強制乾燥するときの加熱温度は、塗布された組成物によって決定されるが、50〜250℃、好ましくは70〜200℃の範囲である。
塗布する方法としては、ロールコート法、ディップコート法、ハケ塗り法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法等それ自体公知のいかなる方法によってもよい。
【0042】
フィルム表面と、層(B)との接着性が充分でない場合には、層(B)を塗布する前に、フィルム表面にプラズマ処理を施すとか、もしくはコロナ放電処理を施すとか、適当なアンカー剤の塗布等の方法によってフィルム表面を改質してもよい。
本発明に係る屋外展張用フィルムを展張使用する際は、層(B)が形成された面をハウスあるいはトンネルの外側になるように展張する。
【0043】
【発明の効果】
本発明に係る屋外展張用フィルムは、透明性に優れ、且つ、層(A)と層(B)との相乗効果により、夏場の農業用ハウス内の遮熱効果が向上し、その効果の持続に優れるので、屋外展張用フィルムとしての利用価値は極めて大きい。
【実施例】
以下、本発明を実施例にもとづいて詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。
実施例1〜9、比較例1〜6
【0044】
(1)基体フィルムの調製
(i)ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
ポリエチレンテレフタレート(o−クロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定した極限粘度が0.65のもの)100重量部に対し、必要に応じ表−1に示した紫外線吸収剤を同表に示した配合割合で配合した。
各配合物をスーパーミキサーで10分間攪拌混合したのち、常法によって溶融押出し、縦方向に延伸温度65℃、延伸倍率3.5倍、次いで横方向に延伸温度65℃、延伸倍率3.5倍で逐次二軸延伸し、厚さ0.15mmの二軸配向フィルムを製造した。このフィルムの密度は1.37g/cm3であった。
【0045】
(ii)軟質塩化ビニル系樹脂(PVC)フィルム
ポリ塩化ビニル(重合度=1300)100重量部に対して、ジオクチルフタレートを50重量部、トリクレジルホスフェートを5重量部、エポキシ樹脂を2重量部、Ba−Zn系液状安定剤を2重量部、Ba−Zn系粉末安定剤を1重量部、ソルビタンモノパルミテートを1.5重量部および表−1に示した紫外線吸収剤を0.1重量部を秤量し、これらをスーパーミキサーで10分間攪拌混合した後、165℃に加熱したロール上で混練し、L型カレンダー装置によって、幅100cm、厚さ0.15mmの透明な軟質塩化ビニル系樹脂フィルムを製造した。
【0046】
(iii)フッ素樹脂フィルム
エチレン−テトラフルオロエチレン共重合樹脂フィルム(デュポン(株)製テフゼルAS、厚み64μm)の片面上に、放電電圧120V、放電電流4.7A、ラインスピード5〜15m/minでコロナ処理を行った。
【0047】
(iv)ポリオレフィン系(PO)フィルム
三層インフレーション成形装置として三層ダイに100mmφ((株)プラ技研製)を用い、押出機は外肉層を30mmφ((株)プラ技研製)2台、中間層を40mmφ((株)プラ技研製)として成形温度160℃、ブロー比2.0、引取速度5m/分にて下記配合からなる厚さ0.15mmの積層フィルムを製造した。
【0048】
【0049】
【0050】
【表1】
【0051】
(2)層(A)
(i)層(A)組成物の調製
表−2に示した種類の熱線遮蔽能を有する無機酸化物を、アクリル系樹脂溶液(メチルメタクリレート50重量部、ブチルメタクリレート30重量部および2ーヒドロキシエチルメタクリレート20重量部)(固形分濃度10wt%)に表−2に示した配合量(重量%で示した)で配合し、層(A)組成物を調製した。なお、ITOは、住友大阪セメント(株)製、超微粒子ITO、ATOは、住友大阪セメント(株)製、超微粒子ATOを用いた。
【0052】
(ii)層(A)の形成
(1)で得られた各フィルムの片面(フッ素フィルムの場合は、表面処理をした面上)に、(2)-(i)で得られた各組成物をバーコート法によって、乾燥後の塗布量が固形分として6g/m2となるように塗布し、130℃の熱風中に1分間滞留させ溶媒を飛散させた。
【0053】
(3)層(B)
(i)アクリル系樹脂の調製
紫外線吸収剤を配合するためのアクリル系樹脂溶液は、次のように調製した。
【0054】
(a)アクリル系樹脂溶液a
a−1 架橋アクリル酸エステル系弾性体の製造
重合缶中に、脱イオン水300重量部(以下、単に「部」と表示するのは「重量部」を意味する。)、過硫酸カリ0.3部、燐酸二ナトリウム12水塩0.5部、燐酸水素ナトリウム2水塩0.3部を仕込み、充分窒素置換を行ったのちに、内温を70℃に昇温した。内温をこの温度に保持し、攪拌しながら、スチレン19.8部、アクリル酸ブチル69.3部、メタクリル酸アリル0.9部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(乳化剤)2.5部からなる混合物を、2時間を要して連続的に添加した。
【0055】
添加終了後直ちに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.0部、スチレン2.2部、アクリル酸ブチル7.7部、アクリル酸アリル0.1部からなる混合物を加えた。加え終わってから30分間経過してから、内温を90℃に昇温し、この温度で3時間反応を続け、架橋弾性体のエマルジョンを得た。
この架橋弾性体の平均粒子径は0.2mμであり、ゲル含量は97.1%、膨潤度は7.2であった。
【0056】
a−2 グラフト共重合体の製造
重合缶に、上記a−1で得た架橋弾性体エマルジョン400部を仕込み、攪拌しながら、窒素置換した後、内温を80℃に昇温した。内温をこの温度に保持し、攪拌しながら脱イオン水3.0部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.15部を溶解した液を添加してからメタクリル酸メチル30.0部、n−オクチルメルカプタン0.03部、パラメンタンパーオキサイド(50%溶液)0.15部の混合物を、30分間を要して連続的に添加した。添加終了後、更に30分間重合反応を継続し、グラフト共重合体エマルジョンを得た。なおグラフトさせた単量体成分から得られる共重合体自体のガラス転移温度(Tg)は108℃であった。
得られたグラフト共重合体エマルジョンは、常法に従って塩析し、重合体を濾別し、水洗し、乾燥して、グラフト共重合体の粉末を得た。
【0057】
a−3 樹脂溶液aの調製
上記a−2で得たグラフト共重合体6.5部に、メタクリル樹脂(メタクリル酸メチル/メタクリル酸エチルが96/4の割合の共重合体)のビーズ13.5部を混合し、この混合物をメチルエチルケトン64部とトルエン16部とよりなる混合溶媒中に入れて、攪拌しつつ溶解し、固形分が20重量%のアクリル系樹脂溶液aを調製した。
【0058】
(b)アクリル系樹脂溶液b
b−1 架橋アクリル酸エステル系弾性体の製造
重合缶中に、脱イオン水250部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム2.9部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.05部を仕込み、充分窒素置換を行った。この重合缶の内容物を攪拌しつつ、メタクリル酸メチル1.6部、アクリル酸ブチル8.0部、1,3−ブチレンジメタクリレート0.4部、メタクリル酸アリル0.1部、キュメンハイドロパーオキサイド0.04部からなる混合物を仕込んだ。重合缶内温を70℃に昇温し、この温度で60分間反応を継続した。続いて、この重合缶にメタクリル酸メチル1.5部、アクリル酸ブチル22.5部、1,3−ブチレンジメタクリレート1.0部、メタクリル酸アリル0.25部およびこれら単量体混合物に対して0.05重量%の量のキュメンハイフォロパーオキサイドを加えた混合物を60分を要して添加した。
得られた架橋弾性体の平均粒子径は0.12mμであり、ゲル含量は90%、膨潤度は10であった。
【0059】
b−2 グラフト共重合体の製造
上記b−1で得た架橋弾性体エマルジョンを含む重合缶に、イオン水3部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.01部を溶解した液を添加してから、メタクリル酸メチル5部、アクリル酸ブチル5部、アクリル酸アリル0.1部およびこれら単量体に対して0.03重量%の量のキュメンハイドロパーオキサイドを加えた混合物を30分要して、連続的に添加した。添加終了後、更に30分間重合反応を継続した。
【0060】
この重合缶に、イオン水3部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.05部を溶解した液を添加してから80℃に昇温し、メタクリル酸メチル52.25部、アクリル酸ブチル2.75部、パラメンタンハイドロパーオキサイド(50%溶液)0.13部よりなる混合物を、30分間を要して添加した。添加終了後、更に80℃で30分間重合反応を継続し、グラフト共重合体エマルジョンを得た。なお最外層にグラフトさせた単量体成分から得られる共重合体自体のガラス転移温度(Tg)は103℃であった。
得られたグラフト共重合体エマルジョンは、常法に従って塩析し、重合体を濾別し、水洗し、乾燥して、グラフト共重合体の粉末を得た。
【0061】
b−3 樹脂溶液bの調製
上記b−2で得たグラフト共重合体20部をメチルエチルケトン64部とトルエン16部とよりなる混合溶媒中に入れて攪拌し、固形分が20重量%のアクリル系樹脂溶液bを調製した。
【0062】
(ii)層(B)組成物の調整
上記(i)に記載の方法に従って調製したアクリル系樹脂溶液に、表−2に示した種類の紫外線吸収剤を、同表に記載した割合(樹脂固形分に対する割合(重量%)を意味する。)を添加した。
(iii)層(B)の形成
(2)で得られたフィルムの層(A)を形成した面上に、(3)−(ii)で得られた各種組成物をバーコート法によって塗布し、140℃の熱風中に1分間滞留させ溶媒を飛散させた。
【0063】
【表2】
【0064】
表−2中の注(*1)は以下のものを表す。
X:2−(2'−ヒドロキシ−5'−tーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
Y:2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジtーブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
Z:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
【0065】
(4)評価
得られた各フィルムと耐候試験後(5000h後)のフィルムについて次に記載した方法で各種の性質を評価し、結果を表−3に示した。
(i)耐候試験
紫外線ロングライフ・フェードメーター(スガ試験機(株)製FAL−5型)にてサンシャインカーボンアーク光源を使用し、耐候試験を行った。
(ii)可視光線透過率
自記分光光度計(日立330型)を用い、60φ積分球を使用し、555nmでの全光線透過率を測定した。
(iii)熱線遮断率
自記分光光度計(日立330型)を用い、60φ積分球を使用し、200〜2600nmでの全光線透過率を測定し、かつ、太陽からの日射エネルギーの波長依存性データを合わせ、基材によって遮断される日射エネルギーと基材がなく直接受ける日射エネルギーとの比で示した。
【0066】
(iv)熱線遮蔽効果持続性
耐候試験後の熱線遮蔽効果を初期のそれと比較し、以下の基準により評価した。
5点:ほぼ初期の効果を持続
4点:やや効果が劣るが、栽培性は良好
3点:やや効果が劣り、栽培性にもやや影響が生じる
2点:僅かに熱線遮蔽効果は残っているが、夏場の栽培性に効果無し
1点:ほぼ効果が消滅
【0067】
【表3】
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面上に、周期律表3B,4Bおよび5B族に属する少なくとも1種の金属がドープされた熱線遮蔽能を有する無機酸化物微粒子を含有する層(A)を設け、更にその層上に、紫外線吸収剤を含有する厚さ1〜10μmのアクリル系樹脂層(B)を展張時外側となる面に設けてなる屋外展張用フィルム。
- 層(A)が、平均粒子径として5〜2000nmの無機酸化物粒子と、そのバインダーとして熱可塑性樹脂とを用いたものである、請求項1記載の屋外展張用フィルム。
- 555nmでの直進光線透過率が80%以上である請求項1または2記載の屋外展張用フィルム。
- 層(A)の無機酸化物微粒子が、アンチモンがドープされた酸化スズ微粒子またはスズがドープされた酸化インジウム微粒子である、請求項1ないし3のいずれかの項に記載の屋外展張用フィルム。
- 紫外線吸収剤が、ベンゾフェノン系化合物および/またはベンゾトリアゾール系化合物であり、その量がフィルム1m2あたり150〜1000mgの範囲である請求項1ないし4のいずれかの項に記載の屋外展張用フィルム。
- 層(B)のアクリル系樹脂が、幹成分としての架橋アクリル酸エステル系弾性体の存在下に、分岐成分としてのメタクリル酸アルキルエステル単量体、またはメタクリル酸アルキルエステルを主成分としこれと共重合可能なビニル系単量体との混合物を重合して得られるグラフト共重合体である請求項1ないし5のいずれかの項に記載の屋外展張用フィルム。
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