JP3788652B2 - 近赤外線吸収性樹脂成形品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、近赤外線を含有するハードコート層を有する近赤外線吸収性樹脂成形品に関する。詳しくは、近赤外線吸収能、可視光線透過性に優れていることより、近赤外線を遮断するフィルター、具体的には窓ガラス、褪色保護シート、画像表示装置のフィルター等に好適に使用することができる近赤外線吸収性樹脂成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
透明樹脂に近赤外線吸収能を持つ物質を配合してなる近赤外線吸収透明樹脂組成物に関する発明としては種々のものが知られている。例えば、特開平6−240146号公報には、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル樹脂等の透明樹脂にフタロシアニン化合物0.005〜0.1重量%配合した組成物が知られている。
また、特開平6−256541号公報には、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の透明樹脂にアントラキノン系化合物を0.01〜10重量%配合した組成物から成る成形フィルムが知られている。
更に、特開平7−179656号公報には、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン等の透明樹脂に、硫化鉛、チオ尿素誘導体を配合した組成物が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの公報に記載される組成物では、透明樹脂に対して近赤外線吸収剤を配合混練するため、耐熱性のない近赤外線吸収剤では使用できないと言う問題点があった。
従って、本発明は、耐熱性の低い近赤外線吸収剤も使用することができ、可視光線透過性が優れていると共に、800〜1,100nmの近赤外線遮蔽能に優れ、表面傷付き性が低い樹脂成形品を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定な構造の成形品とすることにより近赤外線吸収能を低下せず、表面傷付き性を向上させることができるとの知見に基づき、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明の近赤外線吸収性樹脂成形品は、透明樹脂層の少なくとも一方の面に、塗工により設けられた近赤外線吸収剤を含有する層を有する樹脂成形品で、近赤外線吸収剤が、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、アミニウム塩系化合物の少なくとも1種を含有する2種以上の近赤外線吸収剤であり、400〜700nmの可視光線透過率が50%以上、800〜1,000nmの近赤外線透過率が10%以下であることを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
[I] 構成成分
(1) 透明樹脂
本発明の近赤外線吸収性透明樹脂成形品を構成する透明樹脂としては、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない樹脂であれば良く、特に制限はないが、その具体的なものとしては、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等を挙げることができる。
【0006】
(a)ポリカーボネート系樹脂
上記ポリカーボネート系樹脂としては、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法または溶融法で反応させて製造されるものである。2価フェノールの代表的な例として以下のものが挙げられる。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等である。好ましい2価のフェノールとしてはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系であり、特にビスフェノールを主成分とするものである。
【0007】
(b)ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂
上記ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂としては、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂であり、具体的にはメタクリル酸メチルの単独重合体またはメタクリル酸メチルを50%以上含む重合性不飽和単量体混合物の共重合体である。メタクリル酸メチルと共重合可能な重合性不飽和単量体としては、例えば以下のものが挙げられる。
アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(アクリル酸エチルあるいはメタクリル酸エチルの意味。以下同じ)、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロキシフルフリール、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレートなどである。
【0008】
(c) 環状オレフィン系樹脂
上記環状オレフィン系樹脂としては、シクロブテン類、シクロペンテン類、シクロヘキセン類等の単環式環状オレフィン及びノルボルネン類、トリシクロ−3−デセン類等の多環式環状オレフィンの中から選ばれる単一種の環状オレフィンのビニレン重合による単独重合体、或いは、複数種の環状オレフィン同志のビニレン重合による共重合体、或いは、これら環状オレフィンとエチレンとの共重合体等が挙げられる。
モノマーとして用いられる環状オレフィンの例としては、シクロブテン、シクロペンテン、4−メチルシクロペンテン等のシクロペンテン類、シクロヘキセン、3−メチルシクロヘキセン、3−ビニルシクロヘキセン等のシクロヘキセン類等の単環式環状オレフィン、ノルボルネン、1−メチルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、メチレンノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン等のノルボルネン類、トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3−デセン、2−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3−デセン等のトリシクロ−3−デセン類、ジシクロペンタジエン(トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3,7−デカジエン又はトリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3,8−デカジエン、7−メチルジシクロペンタジエン等のジシクロペンタジエン類、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、5,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン等のテトラシクロ−3−ドデセン類、ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、10−メチルペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[4.7.0.12,5 .08,13.19,12]−3−ペンタデセン等のペンタシクロペンタデセン類、ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4,10−ペンタデカジエン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4,11−ペンタデカジエン等のペンタシクロデカジエン類、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン類等の多環式環状オレフィンを挙げることができる。
【0009】
(d) 飽和ポリエステル系樹脂
上記飽和ポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸エステルとグリコールのエステル交換反応等により製造されるものである。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、アジピン酸、マレイン酸等であり、グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等を挙げることができる。好ましいポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートである。
上記透明樹脂には、一般に公知である添加剤、例えば、フェノール系、燐系等の酸化防止剤、ハロゲン系、燐酸系等の難燃剤、耐熱老化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等を配合することができる。
また、上記透明樹脂は、公知の射出成形、Tダイ成形、カレンダー成形、圧縮成形等の方法や、有機溶剤に溶解させてキャスティングする方法等を用い、フィルム又はシート(板)に成形される。成形体の厚みとしては、目的に応じて10μm〜5mmの範囲が望ましい。
【0010】
(2) ハードコート層
本発明の近赤外線吸収剤を含有するハードコート層を形成するハードコート剤としては、紫外線硬化性アクリル系樹脂が用いられ、具体的には、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート、或いは、多官能アクリレート、光重合開始剤、及び、有機溶剤を主成分とするものである。
エポキシアクリレートとしては、エポキシ樹脂のエポキシ基をアクリル酸でエステル化し、官能基をアクリロイル基としたものであり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂へのアクリル酸付加物、ノボラック型エポキシ樹脂へのアクリル酸付加物等がある。
【0011】
ウレタンアクリレートは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させたウレタンプレポリマーを水酸基を持つアクリレートでアクリル変性して得られる。
ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ポリテトラメチレングリコール、アジピン酸とエチレングリコールとの縮重合体等が挙げられる。
【0012】
ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。水酸基を持つアクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
【0013】
多官能アクリレートとしては、分子内に3個以上のアクリロイル基を有するものであり、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、これら2種以上の混合物を挙げることができる。
【0014】
光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等を挙げることができ、これらの光重合開始剤は2種以上を適宜に併用することもできる。
【0015】
有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、2−メトキシエチルアセタート、2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート等のエーテルエステル類を挙げることができ、又、これらを混合して使用することもできる。
上記成分以外にも、耐磨耗性向上のため、コロイド状金属酸化物、有機溶剤を分散媒としたシリカゾルを加えることもできる。
【0016】
(3)近赤外線吸収剤
本発明の樹脂成形品を構成する近赤外線吸収剤は、有機物質であるニトロソ化合物及びその金属錯塩、シアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、トリアリルメタン系化合物、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、又は、アミノ化合物、アミニウム塩系化合物、或いは、無機物であるカーボンブラックや、酸化アンチモン、又は、酸化インジウムをドープした酸化錫、周期率表4A、5A又は6A族に属する金属の酸化物、若しくは、炭化物又は硼素化合物等を挙げることができる。これらの化合物のうち少なくとも2種を用いる。
また、近赤外線吸収剤の少なくとも1種は、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、或いは、アミニウム塩化合物を用いる。
イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物としては、下記骨格を有する化合物が挙げられる。
アミニウム塩化合物としては、下記の式で表わされる化合物であり、式中のXの具体例としては、6フッ化アンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、フッ化硼素酸イオン、6フッ化砒素酸イオン、過沃素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、塩素イオン等を挙げることができる。
【0017】
イモニウム系化合物或いはジイモニウム系化合物
【0018】
【化1】
Figure 0003788652
【0019】
【化2】
Figure 0003788652
【0020】
【化3】
Figure 0003788652
【0021】
【化4】
Figure 0003788652
【0022】
アミニウム塩化合物
【0023】
【化5】
Figure 0003788652
【0024】
(式中、Xは陰イオンを表わす。)
N,N,N´,N´−テトラキス(p−ジアリルアミノフェニル)−1,4−ベンゼンのアミニウム塩
(特開昭64−75454号公報参照)
【0025】
(4) 配合
上記ハードコート剤に近赤外線吸収剤を配合して、透明樹脂層上に設ける。
ハードコート剤への近赤外線吸収剤の添加割合は、100:1〜100:40、好ましくは100:2〜100:15の範囲が好ましい。
上記範囲未満であると可視光線の透過率は良くなるが、近赤外線吸収能は低下する。また、上記範囲を超過すると近赤外線吸収能は良くなるが、可視光線の透過率は低下する。
【0026】
(5) 透明樹脂成形品の製造方法
本発明の透明樹脂成形品の製造方法は、フィルム或いはシート(板)に成形された透明樹脂層の少なくとも一面に、上記近赤外線吸収剤を配合したハードコート剤を塗布、硬化することにより製造される。
この際、透明樹脂層の表面は、公知の表面処理、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、化学薬品による処理、プライマー層の塗布等を施しても良い。
ハードコート層は、ディツピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法及びエアーナイフコート法等の塗工方法で、溶剤乾燥、活性エネルギー照射後、透明樹脂層表面に1〜50μm、好ましくは3〜20μmの厚みとなるように塗工される。
溶剤乾燥後、塗布したハードコート層を架橋硬化せしめるためには、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫外線或いは通常20〜200keVの電子線加速器から取り出される電子線、α線、β線、γ線等の活性エネルギー線を用いることができる。
本発明の近赤外線吸収透明樹脂成形品は、目的に応じて、透明導電層を設けたり、表面への蛍光灯等の光の写り込みを防止するアンチリフレクション層を設けることができる。
更に、この成形品は単独はもちろん透明のガラスや他の透明樹脂板等に貼り付けた積層体として用いることができる。
【0027】
【実施例】
以下に実施例により、本発明を説明するが本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
実施例1
塗工液の調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトーールペンタアクリレートの混合物(日本化薬社製「カラヤッドDPHA」)の40%メチルエチルケトン溶液100部に、ベンジルジメチルケタール0.2部を混合したハードコート剤に、日本触媒社製近赤外線吸収剤「イーエクスカラー803K」(フタロシアニン系)1重量部、日本化薬社製近赤外線吸収剤「IRG−022」(ジイモニウム系)4重量部を添加し、塗工液を調製した。
塗 工
この塗工液を、三菱レーヨン社製ポリメタクリル酸メチルアクリペット「VH5」で成形した100mm□×2mmtのシート状成形体に、バーコーター#20で塗工し、80℃で5分間加熱乾燥した。このものを出力7.5kW、出力密度120W/cmの高圧水銀灯を用い、光源下10cmの位置でコンベアスビード2m/分の条件で紫外線を照射して紫外線硬化させた。
評 価
得られた成形品の近赤外線透過率を分光光度計(BIO−RAD社製FTS−60A型)で測定した結果、800nm〜1,000nmの平均透過率は2%であった。また、可視光線透過率は分光光度計(島津社製UV−2200型)で測定した結果、平均透過率は60%であった。
また、耐傷付き性を評価するために、線径0.0014mmの#1000スチールウールのパッドを荷重2kg/cm2 の下に一定速度で擦り、その後の成形品表面の反射光(入射角60度)の光沢度保持率を光沢度計により測定した。
その結果を表1に示す。
【0028】
実施例2
塗工液の調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬社製「カラヤッドDPHA」)の40%メチルエチルケトン溶液100部に、ベンジルジメチルケタール0.2部を混合したハードコート剤に、日本感光色素研究所製近赤外線吸収剤「NK−3027」(ベンゾピリリウム系)2重量部、日本化薬社製近赤外線吸収剤「IRG−022」(ジイモニウム系)1重量部、日本触媒社製近赤外線吸収剤「イーエクスカラー901B」(フタロシアニン系)2重量部を添加し、塗工液を調製した。
塗 工
この塗工液を、三菱エンプラ社製ポリカーボネート樹脂「ユーピロンS−3000」で成形した10mm□×2mmtのシート状成形品に、バーコーター#20で塗工した以外は実施例1と同様に行ない紫外線硬化させた。
評 価
得られた成形品の近赤外線透過率、可視光線透過率を実施例1と同様にして測定した結果、800〜1,000nmの平均透過率は8%、可視光線透過率は平均55%であった。また、実施例1と同様に耐傷付き性評価行なった。その結果を表1に示す。
【0029】
実施例3
塗工液の調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬社製「カラヤッドDPHA」)の40%メチルエチルケトン溶液100部に、ベンジルジメチルケタール0.2部を混合したハードコート剤に、日本触媒社製近赤外線吸収剤「イーエクスカラー803K」(フタロシアニン系)1重量部、日本化薬社製近赤外線吸収剤「IRG−002」(アミニウム系)4重量部を添加し、塗工液を調製した。
塗 工
この塗工液を、三井石油化学社製ポリオレフィン樹脂「アペル6013」で成形した10mm□×2mmtのシート状成形品に、バーコーター#20で塗工した以外は実施例1と同様に行ない紫外線硬化させた。
評 価
得られた成形品の近赤外線透過率、可視光線透過率を実施例1と同様にして測定した結果、800〜1,000nmの平均透過率は3%、可視光線透過率は平均60%であった。また、実施例1と同様に耐傷付き性評価行なった。その結果を表1に示す。
【0030】
実施例4
塗工液の調製
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及び無水ピロメリト酸の反応物の40%メチルエチルケトン溶液100部に、ベンジルジメチルケタール0.2部を混合したハードコート剤に、日本触媒社製近赤外線吸収剤「イーエクスカラー803K」(フタロシアニン系)1重量部、日本化薬社製近赤外線吸収剤「IRG−022」(ジイモニウム系)4重量部を添加し、塗工液を調製した。
塗 工
この塗工液を、ダイヤホイルヘキスト社製PETフィルム「T100E」(厚み100μm)に、バーコーター#20で塗工した以外は実施例1と同様に行ない紫外線硬化させた。
評 価
得られた紫外線硬化フィルムを厚み2mmの透明アクリル板に貼り合わせて得られた成形品の近赤外線透過率、可視光線透過率を実施例1と同様にして測定した結果、800〜1,000nmの平均透過率は5%、可視光線透過率は平均55%であった。また、実施例1と同様に耐傷付き性評価行なった。その結果を表1に示す。
【0031】
比較例1
三菱レーヨン社製ポリメタクリル酸メチルアクリペット「VH5」100重量部に、日本感光色素研究所社製近赤外線吸収剤NK−3027(ベンゾピリリウム系)2重量部、NKX−124(シアニン系)1重量部、日本化薬社製近赤外線吸収剤「IRG−022」(ジイモニウム系)2重量部を添加し、40mm径の単軸押出機で混練し、透明樹脂組成物を得た。
得られた組成物を、射出成形機(日本製鋼所製J−150)にて成形し、100mm□×2mmtのシート状成形体を得た。
得られた成形体に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬社製「カラヤッドDPHA」)の40%メチルエチルケトン溶液100部に、ベンジルジメチルケタール0.2部を混合したハードコート剤を、バーコーター#20で塗工し、実施例1と同様に紫外線硬化させた。
評 価
得られた成形品の近赤外線透過率、可視光線透過率を実施例1と同様にして測定した結果、800〜1,000nmの平均透過率は20%、可視光線透過率は平均50%であった。また、実施例1と同様に耐傷付き性評価行なった。その結果を表1に示す。
【0032】
実施例5
塗工液の調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬社製「カラヤッドDPHA」)の40%メチルエチルケトン溶液100部に、ベンジルジメチルケタール0.2部を混合したハードコート剤に、日本触媒社製近赤外線吸収剤「イーエクスカラー803K」(フタロシアニン系)1重量部、「イーエクスカラー901B」(フタロシアニン系)1重量部、日本感光色相研究所製近赤外線吸収剤「NK−3027」(ベンゾピリリウム系)2重量部を添加し、塗工液を調製した。
塗 工
この塗工液を、三菱レーヨン社製ポリメタクリル酸メチルアクリペット「VH5」で成形した10mm□×2mmtのシート状成形品に、バーコーター#20で塗工し、実施例1と同様に紫外線硬化させた。
評 価
得られた成形品の近赤外線透過率、可視光線透過率を実施例1と同様にして測定した結果、800〜1,000nmの平均透過率は12%、可視光線透過率は平均40%であった。また、実施例1と同様に耐傷付き性評価行なった。その結果を表1に示す。
なお、耐傷付き性評価においては、光沢保持率80%以上を○、それ以外を×とした。
【0033】
【表1】
Figure 0003788652
【0034】
【発明の効果】
透明性樹脂層の少なくとも一方の面に近赤外線吸収剤を添加したハードコート層を設けた樹脂成形品は、耐熱性の低い近赤外線吸収剤の性能を低下させることなく、また、耐傷付き性を向上させ、400〜700nmの可視光線透過率が40%以上、800〜1000mmの近赤外線透過率が10%以下であることから、ディスプレイ用フィルター、サングラス、保護眼鏡、リモコン受光器、窓ガラス、褪色保護シート等の幅広い用途に使用することができる。

Claims (4)

  1. 透明樹脂層の少なくとも一方の面に、塗工により設けられた近赤外線吸収剤を含有する層を有する樹脂成形品で、近赤外線吸収剤が、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、アミニウム塩系化合物の少なくとも1種を含有する2種以上の近赤外線吸収剤であり、400〜700nmの可視光線透過率が50%以上、800〜1,000nmの近赤外線透過率が10%以下であることを特徴とする近赤外線吸収性樹脂成形品。
  2. 近赤外線吸収剤を含有する層がハードコート層である請求項1に記載の近赤外線吸収性樹脂成形品。
  3. 透明樹脂が、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、飽和ポリエステル樹脂、環状オレフィン系樹脂よりなる群から選ばれたいずれかの樹脂である、請求項1又は2に記載の近赤外線吸収性樹脂成形品。
  4. 近赤外線吸収剤を含有する層が紫外線硬化アクリル系樹脂からなる請求項1〜3のいずれかに記載の近赤外線吸収性樹脂成形品。
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