JP6068919B2 - 軟質塩化ビニル系樹脂フィルム - Google Patents
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Description
また、特開平1−101248号公報(特許文献2)には、塩化ビニル系共重合体、無黄変型熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂組成物を成形してなる、自動車の車体に装着されるモールディング等の自動車用装飾又は保護材が記載されている。同文献には、当該自動車用装飾又は保護材は、屋外において長期間使用されても硬度の経時変化が少ないことが教示されている。
これら先行従来文献には、耐傷付き性を向上させる点について何ら記載されていない。
すなわち、本発明は、
(1)少なくとも、主成分として塩化ビニル系樹脂(a)と、熱可塑性ポリウレタン(b1)及び/またはエチレン−一酸化炭素共重合体(b2)と、架橋塩化ビニル系樹脂(c)とを含む樹脂組成物から構成される軟質塩化ビニル系樹脂フィルム、
(2)前記塩化ビニル系樹脂(a)と前記熱可塑性ポリウレタン(b1)及び/またはエチレン−一酸化炭素共重合体(b2)との合計100質量部に対する、前記架橋塩化ビニル系樹脂(c)の量が1〜10質量部である、(1)に記載の軟質塩化ビニル系樹脂フィルム、
(3)前記架橋塩化ビニル系樹脂(c)のゲル分率が20〜50%である、(1)又は(2)に記載の軟質塩化ビニル系樹脂フィルム、
(4)前記樹脂組成物が更に黒色顔料を含む、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の軟質塩化ビニル系樹脂フィルム、
(5)(1)〜(4)のいずれか1項に記載の軟質塩化ビニル系樹脂フィルムを用いてなる自動車外装材、及び
(6)自動車外装材の塗装代替用フィルムとして用いられる、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の軟質塩化ビニル系樹脂フィルム、
を、提供するものである。
本発明においては、塩化ビニル系樹脂(a)は、塩化ビニルの単独重合体あるいは塩化ビニルとこれと共重合しうる他のコモノマーとの共重合体であってもよい。該共重合体におけるコモノマーとしては、エチレン、プロピレン、スチレンなどの不飽和炭化水素類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸のエステル、ビニルメチルエーテルのようなビニルエーテル類、アクリロニトリルのような不飽和ニトリル類、塩化ビニリデンなどを例示することができる。これらは例えば30重量%以下、好ましくは20重量%以下の割合で共重合されていてもよい。又これらのランダム共重合体のほかに、エチレン・酢酸ビニル共重合体のようなベースポリマーに塩化ビニルをグラフト重合させたものを使用することもできる。
本発明における熱可塑性ポリウレタン(b1)としては、ポリエステルジオールにジイソシアネート化合物を反応させて得られるポリエステルウレタンあるいはポリエーテルジオールにジイソシアネート化合物を反応させて得られるポリエーテルウレタンなどが使用できる。上記ジイソシアネート成分としてはテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートのような脂環族ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、o、mまたはp−キシリレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネートなどを挙げることができる。また上記ポリエステルジオールとしては、脂肪族ジカルボン酸、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸などと、脂肪族ジオール、例えば1.4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどから誘導される分子量400〜10000程度のものが好適に使用される。上記ポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの分子量400〜10000程度のものが好適に使用できる。
本発明におけるエチレン−一酸化炭素共重合体(b2)としては、例えばエチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体、又は、エチレン−アルキルアクリレート−一酸化炭素三元共重合体を好適に用いることができるが、これらに限定するものではない。
なお、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素三元共重合体におけるエチレン単位は、45〜75質量%であるのがさらに好ましく、中でも50〜65質量%であるのがより好ましい。酢酸ビニル単位は、10〜40質量%であるのがさらに好ましく、中でも15〜35質量%であるのがより好ましい。一酸化炭素単位は、5〜25質量%であるのがさらに好ましく、中でも8〜20質量%であるのがより好ましい。
なお、エチレン−アルキルアクリレート−一酸化炭素三元共重合体におけるエチレン単位は、45〜75質量%であるのがさらに好ましく、中でも50〜65質量%であるのがより好ましい。アルキルアクリレート単位は、10〜40質量%であるのがさらに好ましく、中でも15〜35質量%であるのがより好ましい。一酸化炭素単位は、5〜25質量%であるのがさらに好ましく、中でも8〜20質量%であるのがより好ましい。
本発明における架橋塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル系樹脂が部分的に架橋されているものを言う。塩化ビニル系樹脂の架橋は、その重合時や重合後に、架橋剤によりおこなわれる。
詳細な理由は不明であるが、本発明においては、ゲルタイプの塩化ビニル系樹脂を1種類だけ用いるよりも、特定のゲル分率の架橋塩化ビニル系樹脂を少量添加することによって、光沢度(グロス)を下げずに表面の耐傷つき性を向上させることができ、両性能のバランスに優れる。
・塩化ビニル系樹脂(a):TH−800(大洋塩ビ製、平均重合度:800)
・熱可塑性ポリウレタン(b1):T−R3080(DICバイエル製、JIS A硬度:88)
・エチレン−一酸化炭素共重合体(b2):エルバロイHP662(エチレン−nBA一CO共重合体、三井・デュポンポリケミカル製)
・架橋塩化ビニル系樹脂(c):XEL−C(カネカ製、ゲル分率:30%)
・エポキシ化大豆油:M−6(DIC製)
・黒顔料:DAP4744−BK(大日精化工業製、カーボンブラック濃度35〜45%)
JIS K 7105に準拠して60度鏡面光沢度を測定した。なお、評価は光沢度が30%以上のものを○(実用範囲)とし、30%未満を×とした。
[耐傷付き性(学振磨耗)]
綿布(かなきん3号)、垂直加重500gfで試験片中央に自動車用液状ワックスを3cc滴下し試験片を往復10回摩擦後、下記の基準で目視にて傷付き性を評価した。
◎:目視で傷跡が全く観察されない
○:目視で傷跡が若干観察されるがほとんど目立たない
△:目視で傷跡深さが浅く観察されるが実用範囲内
×:目視で傷跡が観察される
各々表1に記載されている配合量の原料に安定剤等の一般的な各種添加剤を少量添加し、約170℃の温度で7分間テストカレンダーで混練・製膜し、厚さ0.10mmの軟質塩化ビニル系樹脂フィルムを各々得た。尚、表1中の原料の配合量はいずれも質量部である。
Claims (5)
- 少なくとも、
主成分として塩化ビニル系樹脂(a)と、
熱可塑性ポリウレタン(b1)及び/またはエチレン−一酸化炭素共重合体(b2)と、
架橋塩化ビニル系樹脂(c)とを
含む樹脂組成物から構成され、
前記塩化ビニル系樹脂(a)と前記熱可塑性ポリウレタン(b1)及び/またはエチレン−一酸化炭素共重合体(b2)との合計100質量部に対する、前記架橋塩化ビニル系樹脂(c)の量が1〜5質量部である軟質塩化ビニル系樹脂フィルム。 - 前記架橋塩化ビニル系樹脂(c)のゲル分率が20〜50%である、請求項1に記載の軟質塩化ビニル系樹脂フィルム。
- 前記樹脂組成物が更に黒色顔料を含む、請求項1又は2に記載の軟質塩化ビニル系樹脂フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の軟質塩化ビニル系樹脂フィルムを用いてなる自動車外装材。
- 自動車外装材の塗装代替用フィルムとして用いられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の軟質塩化ビニル系樹脂フィルム。
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