JP6061166B1 - 冷却衣服 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、このような環境では、安全性や機能性の面から、生地が厚い衣服が着用されている。高温環境下で長時間の作業を行う場合、体外に熱を充分に放出することができないため、過度の体温上昇を引き起こして熱中症に陥るおそれがある。
このように、冷却衣服と下着等の間に平行な冷却風が流れることで、汗の蒸発による人体の生理的冷却機能の有効範囲を大幅に拡大される。そのため、冷却衣服を着用することで、高温環境下であっても、過度な体温上昇を防止することができる。
しかし、着用者の体勢や冷却衣服の使用の態様によって、袖口や襟元の隙間が閉じられ、冷却風が冷却衣服の内部に一時的に滞留する。そうすると、冷却衣服の内部が加圧状態となるため、モータへの負担が大きくなり、結果としてモータの温度が上昇する。モータの温度が上昇すると、外部の空気よりも高い温度の冷却風が冷却衣服の内部に送出されるため、冷却衣服が身体を冷却する機能を低下させるおそれがある。
また、着用者が、例えば屋外で作業する場合、冷却衣服の生地が熱を吸収し、その生地の温度が上昇する。そのため、冷却風は、汗の蒸発による人体の生理的冷却機能を向上させるだけではなく、冷却衣服の生地に吸収された熱を取り除く、つまり、冷却衣服自体の温度を低下させることが望まれている。
しかし、特許文献1の冷却衣服では、平行風発生装置の周囲に均一に冷却風が送出されるため、冷却衣服の下方向に流れる冷却風は裾にぶつかり、外部に排出されず、滞留してしまう。そのため、冷却風を効率的に利用することができない問題がある。
身体に対して平行な冷却風の流れを発生させた場合、冷却風の流れは身体の表面に境界層を形成することが知られている。この境界層が形成されると、身体の表面を流れる冷却風の風速が著しく低下し、冷却風と身体との間で効率よく熱交換することができない。
さらに、本発明の冷却衣服は、両側の肩部分にパッドが備えられていることを特徴とする。
さらに、貯留された冷却風は、冷却衣服を構成する生地の熱と熱交換し、その熱を外部に排出する。そのため、汗を蒸発させる機能に加え、冷却衣服の生地の温度も低下させることができ、さらに効率よく身体を冷却することができる。
また、ボックスプリーツとして形成することで、外側に拡がらない場合でも、冷却衣服の外観を損ねることなく、意匠性を維持できる。
冷却衣服1は、図1に示すように、取付け孔3に装着される風発生手段としての風発生装置2と、風発生装置2よりも上側に折り畳み部としてのボックスプリーツ4を備えている。また、冷却衣服1は、着脱可能である袖部7と、両肩部分にパッド8を備えている。
この冷却衣服1は、使用者が直接着用し、または下着を着用した上から着用する。本実施形態では、使用者が冷却衣服1を直接着用した場合について説明する。
なお、図面上、裾口幅の方向を幅方向X、幅方向Xと直交する着丈方向を高さ方向Yとする。
本実施形態の冷却衣服1において、風発生装置2(取付け孔3)よりも上側にボックスプリーツ4が設けられていることが、大きな特徴部分である。
ボックスプリーツ4は、胴体の背中部から肩部にかけて形成された一対の背中ボックスプリーツ5、および胴体の肩部から襟部にかけて形成された一対の襟ボックスプリーツ6からなる。
このボックスプリーツ4は、ヒダ山が幅方向Xの外側に折られ、裏のヒダ山の折り目が突合せになっている。
背中ボックスプリーツ5は、幅方向Xにおいて、取付け孔3よりも内側に形成されている。ここで、冷却衣服1を幅方向Xに2等分する線を中心線Lとすると、背中ボックスプリーツ5は、中心線Lを軸として、対称に形成されている。この背中ボックスプリーツ5は、高さ方向Yに、直線状に形成され、互いに略平行に形成されている。
この背中ボックスプリーツ5の上端は、上側縫合部22によって縫合され、一方、下端は下側縫合部23によって縫合されている。この上側縫合部22および下側縫合部23は、幅方向Xにそれぞれ形成されている。
また、背中ボックスプリーツ5の幅方向Xの長さL1は、3cmに設計されている。この長さL1は、3cmに限定されず、外観上の点から2cmから5cmが好ましい。
さらに、背中ボックスプリーツ5は、後述する領域A1の体積が1000cm3から3000cm3の範囲となるように形成されている。なお、服のサイズや用途等に応じて、上記の体積を変更することができる。
襟ボックスプリーツ6の下端は、上側縫合部22によって縫合されている。
また、襟ボックスプリーツ6の幅方向Xの長さL2は、1.5cmに設計されている。この長さL2は、1.5cmに限定されず、外観上の点から1cmから3cmが好ましい。
さらに、襟ボックスプリーツ6は、後述する領域A2の体積が250cm3から750cm3の範囲となるように形成されている。なお、服のサイズや用途等に応じて、上記の体積を変更することができる。
パッド8は、冷却衣服1の両肩部分に1つずつ設けられている。パッド8には、クッション性の高い材料を使用する。
風発生装置2は、冷却衣服1の胴体の腰部に形成された取付け孔3に装着されている。
この取付け孔3は、中心線Lを軸として、幅方向Xに対称に形成されている。そのため、風発生装置2は、中心線Lを対称軸として、幅方向Xに1つずつ設けられている。
この風発生装置2は、図2に示すように、冷却衣服1の外部から空気を取り込むための空気取込口11と、冷却衣服1の内部に冷却風を送出するための空気送出口12と、空気取込口11が形成されている外側ファンガード13と、空気送出口12が形成されている内側ファンガード14と、冷却衣服1の外部の空気を取込み、冷却衣服1の内部に冷却風を送出する軸流ファン15、軸流ファン15を駆動させ、使用者の身体9の側で軸流ファン15を支持するモータ16と、モータ16を覆うキャップ17とを備えている。
この風発生装置2は、環状の固定リング18を使用し、取付け孔3に対して、斜め下方向に所定の角度だけ傾斜させて、取付け孔3に装着されている。そのため、風発生装置2は、その上端部25が外側に突出し、かつその下端部26が冷却衣服1の内側に配置されている。なお、所定の角度については、後述する。
風発生装置2を、取付け孔3に対して斜め下方向に所定の角度だけ傾斜させて装着することで、空気取込口11は取付け孔3に対して斜め下方向に所定の角度だけ傾斜している。そのため、風発生装置2は、軸流ファン15を回転させることで、斜め下方向から外部の空気を取り込み、その空気は軸流ファン15の軸方向に沿って斜め上方向に移動し、空気送出口12から身体9に向けて冷却風として送出される。
使用者が冷却衣服1を着用すると、冷却衣服1と身体9の間に形成される流路30が形成され、風発生装置2を稼働させると、風発生装置2から送出された冷却風は、流路30を移動し、襟元および袖口の隙間から外部に流出される。
そのため、風発生装置2から送出された冷却風を襟元や袖口に効率的に流すことで、効率的に身体9を効率的に冷却される。
軸流ファン16の中心と対象物が垂直に交差する点をA点とし、A点から図2の上側に150mm離れた地点をB点、A点から下側に150mm離れた地点をC点とし、風発生装置2(空気取込口11)の設置角度と、B点およびC点での風速の関係を調べた。風速測定は、風発生装置2の設置角度を5°毎に変更して行った(表1)。また、比較例として、風発生装置2を対象物に対し傾斜させずに、かつ、カバー部20の先端部分を対象物に接するように配置し、対象物に対して平行に送風した場合のB点およびC点の風速を測定した。比較例の風発生装置2は、カバー部20の風が取り込まれる正面には、空気送出口12が設けられていない構造となっている。なお、符号Fは、空気の流れを示している。
冷却衣服1を着用した使用者が作業する際、襟元や袖口に隙間が形成され、冷却風が円滑に外部に排出される場合と、襟元や袖口の隙間が塞がれ、冷却風が円滑に外部に排出されない場合がある。使用者は、様々な体勢で作業等をするため、隙間が形成されたり、隙間が塞がれることが繰り返される。
使用者が冷却衣服1を着用し、風発生装置2のスイッチ(図示しない)をONにするとモータ15が駆動し、軸流ファン16が回転し始め、外部の空気は、図3に示すように、風発生装置2の斜め下方向から空気取込口11を介して、風発生装置2の内部に取り込まれる(空気の流れF)。取り込まれた空気は、軸流ファン16に沿って移動し、空気送出口12を介して、風発生装置2の斜め上方向の流路30に送出される(空気の流れF1)。
つまり、外部の空気は、風発生装置2の斜め下方向から空気取込口11を介して取り込まれ、風発生装置2の上方向に空気送出口12から身体9に向けて送出される。そのため、流路30の上方向、つまり襟元や袖口の方向に多量の冷却風が流れる。
この冷却風は、身体9に衝突し、身体9に接しながら上方向に流れ、襟元および袖口から冷却衣服1の外部に流出する(空気の流れF2)。
また、風発生装置2から送出された冷却風は、直接身体9に衝突するため、境界層は形成せず、身体9に直接触れながら流路30を流れる。空気が直接身体9に触れることで、身体9と熱交換をしやすくなり、身体9を効率よく冷却することができる。
また、風発生装置2は、空気取込口11を冷却衣服1の斜め下方向に向けて取り付けられ、モータ7が作動している間も冷却衣服1の斜め下方向に向いている。したがって、冷却衣服1は、未使用時と使用時によって、外観が変化しないため、意匠性を維持することができる。
さらに、風発生装置2は、冷却衣服1に対し斜め下向きに装着されているため、軸流ファン6の重力と軸流ファン16が回転したときに生じる推力が、常にモータ7の軸を引き抜く方向に作用する(図2)。そのため、風発生装置2の作動時に、モータ軸の摩擦音やモータ本体が近接する部材に衝突することで生じる衝突音を防止することができる。
さらに、風発生装置2は、その上端部25が外側に突出し、かつその下端部26が冷却衣服1の内側に配置され、冷却衣服1に対して下向きに装着されているため、風発生装置2の重心の位置が冷却衣服1の表面に近づき、風発生装置2が冷却衣服1に対して上方向を向く力が小さくなる。そのため、風発生装置2が、斜め下向きに装着されている状態を確実に維持することができる。
また、空気送出口12は、空気取込口11に対向する位置に形成されているため、取り込まれた空気を空気取込口11から空気送出口12に一直線に流すことができ、風発生装置2の効率を低下させることなく冷却風を送出できる。
高さ方向Yに形成されているボックスプリーツ4は、流路30が加圧状態になっていない場合でも、若干外側に拡がる。
そのため、ボックスプリーツ4よりも下側から送出される冷却風は、ボックスプリーツ4に沿って移動する。そうすると、冷却風は、高さ方向Yの上方向に誘導され、円滑に襟元や袖口に移動し、外部に排出される。したがって、高さ方向Yにボックスプリーツ4が形成されていることで、効率よく身体9を冷却することができる。
したがって、身体9の熱を、ボックスプリーツ4を介して、冷却衣服1の外部に放出でき、身体9を効率的に冷却できる。
図4は、襟元や袖口の隙間が塞がれ、冷却衣服1の流路30が加圧状態になった場合における、図1中の冷却衣服1の背中ボックスプリーツ4の断面図(A−A断面図)であり、図5は、冷却衣服1の流路30が加圧状態になった場合における、図1中の冷却衣服1の襟ボックスプリーツ6の断面図(B−B断面図)である。なお、図4および図5中の長二点鎖線は、加圧状態になる前の状態をそれぞれ示している。
そうすると、冷却衣服1において、領域A1や領域A2の分だけ、冷却風が貯留される流路30の体積が増加する。
そのため、冷却衣服1に領域A1や領域A2が形成されない場合と比べて、冷却衣服1の内部(流路30)の加圧状態を緩和できるため、流路30に冷却風を送出する軸流ファン15を稼働させるモータ16の負担を軽減できる。風発生装置2には、充電式のものを使用する場合が多いため、モータ16の浪費を防止することで、領域A1や領域A2が形成されない場合よりも長い時間、風発生装置2を稼働させることができる。
また、モータ16の負担が軽減されると、モータ16から発生する熱量が少なくなる。そうすると、風発生装置2から冷却衣服1の内部に送出される冷却風が、モータ16の周辺を通過するときに、その冷却風の温度が上昇することを防止することができる。
ボックスプリーツ4が拡がることで形成される領域A1や領域A2に滞留した冷却風の中でも、生地の周辺に貯留された冷却風は、生地と熱交換する。
その後、襟元や袖口の隙間が形成され、冷却風が排出されるときに、冷却衣服1の生地の熱が冷却風によって外部に放出され、冷却衣服1の温度を下げることができる。
冷却衣服1の温度が下がると、冷却衣服1の内部の温度が下がり、使用者の身体9の体温の上昇を抑制できる。
また、冷却衣服1は、両肩部分にパッド8を備えている。そのため、例えば、肩部分に部材を担ぎ作業する場合に、パッド8がクッションの働きをし、部材から肩にかかる負担を軽減できる。
本実施形態の変形例に係る冷却衣服1は、風発生装置2が取付け孔3に回転可能に取り付けられ、風発生装置2を回転させたときに、空気取込口11を介して取り込まれる空気の方向が変更されると供に、空気送出口12を介して送風される冷却風の方向が変更される。
変形例に係る冷却衣服1の構成は、風発生装置2の構成以外は同じ構成とし、同じ構成については、説明を省略する。
本変形例に係る冷却衣服1の風発生装置2は、取付け孔3に装着した後、取付け孔3の周方向に回転させることができる。
風発生装置2を取付け孔3の周方向へ回転させる場合、風発生装置2全体を回転させるため、風発生装置2の上端部25や空気取込口11等も所定の方向に回転する。そのため、空気取込口11を傾斜させる角度を自由に変更することができる。そうすると、空気取込口11を介して取り込まれる空気の方向が変更されると供に、空気送出口12を介して送風される冷却風の方向が変更される。
また、身体9の全体をむらなく冷却するには、風発生装置2の取付け孔3に対する回転角度は、0ー〜45ーとすることが好ましい。
一方、図7に示すように、各風発生装置2を内側(右側の風発生装置2は左回り、左側の風発生装置2は右回り)に所定の角度だけ回転させ装着させた場合、風発生装置2から送出される空気の大部分が背中の中央付近を通過し(空気の流れF1)、襟元や袖口から冷却衣服1の外部に流出される(空気の流れF2)。そのため、身体9の背中部分が重点的に冷却し、襟元から流出した空気は後頭部を冷却することができる。
また、風発生装置2を回転させ、背中ボックスプリーツ4に向けて、多くの冷却風を送出することで、より円滑に冷却風を外部に排出できる。
このように、送風される空気の方向が変更されると、流路30の冷却風の流れる方向や流れる経路が変更されるため、冷却風の流れる方向を自在に選択でき、身体9の冷却したい部位を選択的に冷却することができ、さらに身体9を効率的に冷却できる。
次に、本実施形態の変形例2について説明する。
風発生装置2のフランジ19と内側ファンガード14は、図8に示すように、別個の部材で構成され、この内側ファンガード14の円環部21の外周は球面を有している。そのため、円環部21とフランジ19は、球面で接触し、風発生装置2(空気取込口11)の下向きの角度を5〜35°の範囲で任意の角度に設定することができる。さらに、風発生装置2は、上下方向の角度だけでなく、左側または右側にも回転することができる。
風発生装置2を左側または右側に回転させると、空気取込口11を介して取り込まれる空気の方向が変更されると供に、空気送出口12を介して送出される冷却風の方向が変更される。そのため、冷却風の流れる方向を自在に選択できる。
したがって、本実施形態の変形例1のように、風発生装置2全体を円周方向に回転させなくとも、身体9の冷却したい部位を選択的に冷却することができる。
本実施形態では、斜め上方向に冷却風を送出する風発生手段2を使用したが、風発生手段を取付け孔3に対して垂直(傾斜角度0ー)に取り付けた場合でも、本実施形態で述べた効果と同様な効果が生じる。
2 風発生装置(風発生手段)
3 取付け孔
4 ボックスプリーツ(折り畳み部)
5 背中ボックスプリーツ
6 襟ボックスプリーツ
7 袖部
8 パッド
9 身体
11 空気取込口
12 空気送出口
13 外側ファンガード
14 内側ファンガード
15 軸流ファン
16 モータ
17 キャップ
18 固定リング
19 フランジ
20 カバー部
21 円環部
22 上側縫合部
23 下側縫合部
24 接続部
25 上端部
26 下端部
30 流路
F 空気の流れ
F1〜F3 空気の流れ
Claims (6)
- 空気取込口と、内側に冷却風を送出する空気送出口とを有する風発生手段が、取付け孔に装着される冷却衣服において、
前記空気送出口から送出された冷却風によって外側に拡がり、前記風発生手段よりも上側に形成された折り畳み部を備え、
前記風発生手段は、前記取付け孔に対して、斜め下方向に5°〜35°傾斜して装着され、
前記風発生手段を作動させたときに、前記風発生手段の斜め下方向から前記空気取込口を介して空気が取り込まれ、前記風発生手段の斜め上方向に前記空気送出口を介して、使用者に向けて冷却風が送出される、
ことを特徴とする冷却衣服。 - 前記風発生手段が前記取付け孔に回転可能に取り付けられ、
前記風発生手段を回転させたときに、
前記空気取込口を介して取り込まれる前記空気の方向が変更されると共に、
前記空気送出口を介して送出される前記冷却風の方向が変更される、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却衣服。 - 前記折り畳み部が、ボックスプリーツであり、
このボックスプリーツは、着丈方向に形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷却衣服。 - 前記風発生手段は、腰部に設けられ、
前記折り畳み部が、少なくとも背中部又は襟部に形成された、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の冷却衣服。 - 着脱可能な袖部を備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の冷却衣服。 - 両側の肩部分に、パッドが備えられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の冷却衣服。
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