JP5958923B1 - 冷却衣服 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、このような環境では、安全性や機能性の面から、生地が厚い衣服が着用されている。高温環境下で長時間の作業を行う場合、体外に熱を充分に放出することができないため、過度の体温上昇を引き起こして熱中症に陥るおそれがある。
このように、冷却衣服等の間に平行な空気が流れることで、汗の蒸発による人体の生理的冷却機能の有効範囲を大幅に拡大することができる。そのため、冷却衣服を着用することで、高温環境下であっても、過度な体温上昇を防止することができる。
しかし、特許文献1の冷却衣服においては、平行風発生装置の周囲に均一に空気を排出するため、冷却衣服の下方向に流れる空気は裾にぶつかり、外部に流出されず、滞留してしまう。そのため、取り込んだ空気を効率的に利用することができない。
また、身体に対して平行な空気の流れを発生させた場合、空気の流れは身体の表面に境界層を形成することが知られている。この境界層が形成されると、身体の表面を流れる空気の風速が著しく低下し、流れる風と身体との間で効率よく熱交換することができない。
また、ファンが自重で上方向を向いた場合、ファンとモータの重力は、モータ軸を押し込む方向に働く。一方で、ファンが回転すると、推力が働くためモータ軸を引き抜く方向に力が働く。そうすると、モータ軸の摩擦音やモータ本体が近接する部材に衝突する衝突音が発生し、風発生装置の使用時に雑音が生じるという問題がある。
また、風発生手段から排出された空気は、境界層を形成せず、直接身体または下着に接しながら流れるため、空気と身体は熱交換をしやすくなり、効率よく身体を冷却することができる。
さらに、冷却衣服は、襟元や袖口の方向に、多量の空気を流すことができるため、冷却衣服の内部に滞留する空気を減少させることができ、軸流ファンを作動させるモータの負担を低減できる。
風発生装置は、斜め下方向から空気取込口を介して空気が取り込まれ、風発生装置が作動している間も斜め下方向から空気を取り込むため、未使用時と使用時で外観上変化せず、意匠性を向上させることができる。風発生装置は、軸流ファンの重力と軸流ファンが回転したときに生じる推力が、常にモータ軸を引き抜く方向に作用し、風発生装置を作動させたときに、雑音の発生を防止することができる。
冷却衣服1は、図1に示すとおり、風発生手段としての風発生装置2と、風発生装置2を装着するための取付け孔3を備えている。冷却衣服1は、使用者が直接着用し、または下着を着用した上から着用する。本実施形態では、使用者が冷却衣服1を直接着用した場合について説明する。
風発生装置2は、環状の固定リング17を使用して、取付け孔3に装着される。この固定リング17の内周面には、図3に示すとおり、突起18が形成されている。突起18は、2つ設けられ、互いに対向する位置に形成されている。
内側ファンガード5は、ドーム型のカバー部14と円環部19を有する有底円筒状をしている。カバー部14には、空気排出口12が直線状に形成されている。この空気排出口12は、空気取込口11の位置と対向する位置に形成されている。また、内側ファンガード5の側面には、図3(a)に示すとおり、爪15を有するフランジ16が、内側ファンガード5と一体として形成されている。
また、風発生装置2は、モータ7に電力を供給し、軸流ファン6と接続されるバッテリ(図示しない)を備え、モータ7の側面にはハーネス(図示しない)とバッテリを接続するための端子穴21が形成されている。端子穴21にバッテリを接続するために、カバー部14は、一部がくり抜かれている。
風発生装置2は、冷却衣服1の外側から取付け孔3に装着される。風発生装置2は取付け孔3に挿入され、フランジ16と固定リング17で冷却衣服1を挟み込み、固定リング17に形成されている突起18をフランジ16の爪15に係合させることで固定される。
風発生装置2を装着する際、カバー部14と円環部19が接続される部分付近を、冷却衣服1に取り付ける。つまり、風発生装置2の上端部22(内側ファンガード5の円環部19の一部)を冷却衣服1の外側に突出させて装着する。一方、風発生装置2の下端部23(円環部19の一部)は、冷却衣服1の内側に配置されるように装着する。このように装着することで、風発生装置2(空気取込口11)は、冷却衣服1に対して斜め下方向を向いて取り付けられる。
一方、風発生装置2を取り外すときは、図3(a)に示すように、フランジ16を内側ファンガード5の径方向の内側(矢印Aの方向)に向けて力を加える。矢印Aの方向に力を加えると、図3(b)に示すとおり、爪15と突起18の係合状態が解除され、風発生装置2を取付け穴3から取り外すことができる。
冷却衣服1を着用する場合、風発生装置2により送り込まれた空気は、冷却衣服1と身体の間に形成される流路20を移動し、使用者の首元と冷却衣服1の襟元の隙間および袖口から外部に流出される。そのため、風発生装置2から送り込まれた空気が襟元や袖口に効率的に流れるようにすることが、身体を効率的に冷却するために必要である。空気が冷却衣服1の内部に滞留してしまうと、冷却衣服1の外部に空気が流出されにくくなり、身体を冷却する効果が低下し、さらに風発生装置2に負担がかかる。
軸流ファン6の中心と対象物が垂直に交差する点をA点とし、A点から図4の左側に150mm離れた地点をB点、右側に150mm離れた地点をC点とし、風発生装置2(空気取込口11)の設置角度と、B点およびC点での風速の関係を調べた。風速測定は、風発生装置2の設置角度を5°毎に変更し行った(表1)。また、比較例として、図9に示すように、風発生装置2を対象物に対し傾斜させずに、かつ、カバー部14の先端部分を対象物に接するように配置し、対象物に対して平行に送風した場合のB点およびC点の風速を測定した。比較例の風発生装置2は、カバー部14の風が取り込まれる正面には、空気排出口12は設けない構造となっている。
なお、符号Fは、空気の流れを示している。
また、比較例の測定結果と比べると、風発生装置2を設置する角度を変化させた場合の方が、B点において風速が大きくなることが分かった。例えば、風発生装置2の設置角度が20ーの場合、比較例の場合と比べて、B点の風速は約1.5倍となった。
冷却衣服1を着用すると、冷却衣服1と身体9との間に流路20が形成される。風発生装置2のスイッチ(図示しない)をONにするとモータ7が駆動する。そうすると、軸流ファン6が回転し始め、外部の空気は、風発生装置2の斜め下方向から空気取込口11を介して、空気の流れFに示すように、風発生装置2の内部に取り込まれる。この取り込まれた空気は、軸流ファン6に沿って移動し、風発生装置2の斜め上方向に空気排出口12を介して流路20に送風される(空気の流れF1)。
つまり、外部の空気は、風発生装置2の斜め下方向から空気取込口11を介して取り込まれ、風発生装置2の上方向に空気排出口12から身体9に向けて送風される。そのため、流路20の上方向、つまり襟元や袖口の方向に多量の空気が流れる。流路20に排出された空気は、身体9に衝突し、身体9に接しながら上方向に流れ、襟元および袖口から冷却衣服1の外部に流出する(空気の流れF2)。
また、風発生装置2から排出された空気は、直接身体9に衝突するため、境界層は形成せず、身体9に直接触れながら流路20を流れる。空気が直接身体9に触れることで、身体9と熱交換をしやすくなり、効率よく身体9を冷却することができる。
また、風発生装置2は、空気取込口11を冷却衣服1の斜め下方向に向けて取り付けられ、モータ7が作動している間も冷却衣服1の斜め下方向を向く。したがって、未使用時と使用時によって、冷却衣服1は外観上変化しないため、意匠性を向上させることができる。
なお、従来の風発生装置(平行風発生装置)の内部ファンガードの底部において、空気排出口は空気を取り込む正面の位置に形成されていない。そのため、取り込まれた空気は、底部の正面に衝突した後に、側部の空気排出口から冷却衣服の内部に送風される。そうすると、取り込まれた空気は、底部の正面に衝突し、風切り音が生じる。
さらに、空気排出口12は、空気取込口11に対向する位置に形成されているため、取り込まれた空気を空気取込口11から空気排出口12に一直線に流すことができる。そのため、風発生装置2の効率を低下させることなく空気を排出でき、排出される風量が減少することを防止できる。
本実施形態の変形例に係る冷却衣服1は、風発生装置2が取付け孔3に回転可能に取り付けられ、風発生装置2を回転させたときに、空気取込口11を介して取り込まれる空気の方向が変更されると供に、空気排出口12を介して送風される空気の方向が変更される。
本変形例に係る冷却衣服1の風発生装置2は、取付け孔3に装着した後、取付け孔3の周方向に回転させることができる。
風発生装置2を取付け孔3の周方向へ回転させる場合、風発生装置2全体を回転させるため、風発生装置2の上端部22や空気取込口11等も所定の方向に回転する。そのため、空気取込口11を傾斜させる角度を自由に変更することができる。そうすると、空気取込口11を介して取り込まれる空気の方向が変更されると供に、空気排出口12を介して送風される空気の方向が変更される。
また、身体9の全体をむらなく冷却するには、風発生装置2の取付け孔3に対する回転角度は、0ー〜45ーとすることが好ましい。
一方、図7に示すように、各風発生装置2を内側(右側の風発生装置2は左回り、左側の風発生装置2は右回り)に所定の角度だけ回転させ装着させた場合、風発生装置2から排出される空気の大部分が背中の中央付近を通過し(空気の流れF1)、襟元および袖口から冷却衣服1の外部に流出される(空気の流れF2)。そのため、身体9の背中部分が重点的に冷却し、襟元から流出した空気は後頭部を冷却することができる。
このように、送風される空気の方向が変更されると、流路20内での空気の流れる方向や流れる経路が変更されるため、空気の流れる方向を自在に選択でき、身体9の冷却したい部位を選択的に冷却することができる。
次に、本実施形態の変形例2について説明する。
図8に示すように、風発生装置2のフランジ16と内側ファンガード5は、別個の部材で構成され、この内側ファンガード5の円環部19の外周は球面を有している。そのため、円環部19とフランジ16は、球面で接触し、風発生装置2(空気取込口11)の下向きの角度を5〜35°の範囲で任意の角度に設定することができる。さらに、風発生装置2は、上下方向の角度だけでなく、左側または右側にも回転することができる。
風発生装置2を左側または右側に回転させると、空気取込口11を介して取り込まれる空気の方向が変更されると供に、空気排出口12を介して送風される空気の方向が変更される。そのため、空気の流れる方向を自在に選択できる。
したがって、本実施形態の変形例1のように、風発生装置2全体を円周方向に回転させなくとも、身体9の冷却したい部位を選択的に冷却することができる。
また、本実施形態では、空気取込口11や空気排出口12が直線状に形成されている例を示したが、外部から空気を取り込める構造であれば、直線状に限定されない。例えば、各ファンガードの中央から外周囲に向けて放射状に形成したり、井桁状に形成することができる。
2 風発生装置(風発生手段)
3 取付け孔
4 外側ファンガード
5 内側ファンガード
6 軸流ファン
7 モータ
8 キャップ
9 身体
11 空気取込口
12 空気排出口
13 前面
14 カバー部
15 爪
16 フランジ
17 固定リング
18 突起
19 円環部
20 流路
21 端子穴
22 上端部
23 下端部
F 空気の流れ
F1〜F3 空気の流れ
Claims (2)
- 使用者が着用する冷却衣服において、
軸流ファン、前記使用者の側で前記軸流ファンを支持するモータ、空気取込口、空気排出口を有する風発生手段と、
前記風発生手段を装着する取付け孔と、を備え、
前記風発生手段が作動したときに、前記風発生手段の斜め下方向から前記空気取込口を介して空気が取り込まれ、前記風発生手段の斜め上方向に前記空気排出口を介して前記使用者に向けて送風され、
前記風発生手段が前記取付け孔に対して斜め下方向に5°〜35°傾斜して装着されている、
ことを特徴とする冷却衣服。 - 前記風発生手段が前記取付け孔に回転可能に取り付けられ、
前記風発生手段を回転させたときに、
前記空気取込口を介して取り込まれる空気の方向が変更されると共に、
前記空気排出口を介して送風される前記空気の方向が変更される、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却衣服。
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