JP6233674B1 - 冷却衣服 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、このような環境下では、安全性や機能性の面から、生地が厚い衣服が着用されている。高温環境下で長時間の作業を行う場合、体外に熱を充分に放出することができないため、過度の体温上昇を引き起こして熱中症に陥るおそれがある。
この平行風発生装置は、衣服の表面よりも内側に取り付けられており、空気を取り込む方向に形成されている底部と取り込んだ空気を排出する空気送出口(平行風送出部)が形成されている側部とからなる内部ファンガードを有している。平行風発生装置は、取り込んだ空気を底部に衝突させ、空気送出口から略側面方向に空気(以下、冷却風と記す。)を送出する。そのため、平行風発生装置は、冷却衣服の外側から空気を取り込み、冷却衣服と下着又は体との間に平行な冷却風の流れを発生させることができる。また、内部ファンガードにおいて、空気送出口は同じ大きさで等間隔に形成されているため、平行風発生装置は、その周囲に同量(同じ風速)の冷却風を均一に排出する。
このように、冷却衣服と下着等の間に平行な冷却風が流れることで、汗の蒸発による人体の生理的冷却機能の有効範囲が大幅に拡大される。そのため、冷却衣服を着用することで、高温環境下であっても、過度な体温上昇を防止することができる。
一つ目は、軸流ファンの回転数が増加すると、軸流ファンを回転させる駆動源であるモータから発生する熱量が増加するため、外部の空気よりも温度の高い冷却風が内部に送出され、着用者に不快感を与えるおそれがある。そうすると、冷却衣服としての機能が失われる。
二つ目は、軸流ファンの回転数が増加すると、その分、モータのエネルギーが消費されるため、軸流ファンの回転数が少ない場合よりも、軸流ファンが機能する時間が短くなる。一般的に、軸流ファン(モータ)は、充電式のものが使用される。そのため、軸流ファンの充電がなくなった場合、再度、充電するために一旦作業を停止しなければならず、作業時間が長くなる。
三つ目は、軸流ファンの回転数が増加すると、軸流ファンの回転音が大きくなる。軸流ファンの回転音は、着用者へ不快感を与えるため、この回転音は、できるだけ小さい方が良い。
また、冷却風は、冷却風排出路を介して外側に円滑に排出されるため、冷却衣服の内側に冷却風が滞留することがなくなり、モータへの負担が軽減される。
そのため、着用者が、身体の特に右上半身を冷却したい場合、所望の領域を集中的に冷却することができる。また、この場合、モーターの回転数を増加させずに、右上半身を冷却できるため、モータへの負担を軽減できる。
本実施形態に係る冷却衣服を、図1〜図17を参照し、説明する。
本実施形態では、図1に示すように、高所で作業する着用者がフルハーネス安全帯10(以下、ハーネス10と記す。)を身につけ、その上から着用する冷却衣服1について説明する。このハーネス10の背中部分には、冷却衣服1の外側(外部)から命綱7が取り付けられる。
なお、図面上、裾口幅方向を幅方向X、幅方向Xと直交する着丈方向を高さ方向Yとし、図2以降、冷却衣服1のフードの記載は省略する。
取付け孔3は、冷却衣服1の腰部分に形成され、冷却衣服1の裾口幅を略二等分する中心線Lの両側に形成されている。そのため、取付け孔3に装着される風発生装置2は、中心線Lの両側にそれぞれ設けられている。そして、これらの風発生装置2のすぐ上側に冷却材収容部5が形成されている。
第一バンド部41は、裏地に固定された位置(以下、固定位置41Aと記す。)から第二ハンド部42が固定されている方向に向けて設けられている。この第一バンド部41には、係合部としてのボタン43が設けられている。
一方、第二バンド部42は、裏地に固定された位置(以下、固定位置42Aと記す。)から第一バンド41が固定されている方向に向けて設けられている。第二バンド部42には、ボタン43を係合するための係合孔44が形成されている。この係合孔44は、第二バンド部42の長手方向に沿って、複数形成されている。
また、第一バンド部41の固定位置41Aからボタン43までの直線の長さL1と第二バンド部42の固定位置42Aから係合孔44までの直線の長さL2を足し合わせた長さは、固定位置41Aから固定位置42Aまでの裏地に沿った長さL3よりも短くなるように設計されている。
なお、冷却排出路40Aを形成する際、係合孔44の位置を適宜選択し、ボタン43を係合することで、冷却風排出路40Aの面積(大きさ)を適宜選択できる。
また、冷却材収容部5は、高さ方向Yにおいて背中部分よりも下側に設けられている。
なお、この冷却材4は、風発生装置2の風下であって、冷却風が通過する風量が多い部分に設けられていることが好ましい。
取出し筒部6は、図7に示すように、命綱7をハーネスに取り付ける際、冷却衣服1の外側に引き出される。取出し筒部6の基端は、冷却衣服1の背面に固定されている。この取出し筒部6は、冷却衣服1の内側と外側を連通し、命綱7が挿入される開口部31を有している。この命綱7は、取出し筒部6を介して、着用者に取り付けられたハーネス10に接続される。
取出し筒部6の先端には、切欠き部33を有する環状袋32が形成されており、この環状袋32に口紐34が収納されている。切欠き部33から口紐34の両端が、環状袋32の外側に延出している。この口紐34は、図8に示すように、切欠き部33から引き出されることで、開口部31が閉じられ、命綱7の周囲が緊縛される。そして、引き出した口紐34で取出し筒部6の周囲を巻き回し、開口部31を密閉する。
この風発生装置2は、図9に示すように、冷却衣服1の外側から空気を取り込むための空気取込口11と、冷却衣服1の内側に冷却風を送出するための空気送出口12と、空気取込口11が形成されている外側ファンガード13と、空気送出口12が形成されている内側ファンガード14と、冷却衣服1の外側から空気を取込み、冷却衣服1の内部に冷却風を送出する軸流ファン15、軸流ファン15を駆動させ、使用者の身体9の側で軸流ファン15を駆動し、支持するモータ16と、モータ16を覆うキャップ17とを備えている。
この風発生装置2は、環状の固定リング18を使用し、取付け孔3に対して、斜め下方向に5°から35°の角度だけ傾斜させて、取付け孔3に装着されている。そのため、風発生装置2は、その上端部25が外側に突出し、かつその下端部26が冷却衣服1の内側に配置されている。
風発生装置2を、取付け孔3に対して斜め下方向に所定の角度だけ傾斜させて装着することで、空気取込口11は取付け孔3に対して斜め下方向に所定の角度だけ傾斜している。そのため、風発生装置2は、軸流ファン15を回転させることで、斜め下方向から外部の空気を取り込み、その空気は軸流ファン15の軸方向に沿って斜め上方向に移動し、空気送出口12から身体9に向けて冷却風として送出される。
取付部材51は、図11(c)に示すように、帯状であり、一端が冷却衣服1に縫い付けられることで固定されている。この取付部材51には、面ファスナ54,55が設けられている。取付部材51の開放端側が挿入孔53に通された後、取付部材51を折り返し、面ファスナ54,55同士を貼り付けることで、D管50は取付部材51に取り付けられる。
使用者が冷却衣服1を着用すると、冷却衣服1と身体9の間に形成される流路30が形成される。そして、風発生装置2を稼働させると、風発生装置2から送出された冷却風は、流路30を移動する。
本実施形態の冷却衣服1は、風発生装置2のすぐ上側に冷却材4を備えているため、風発生装置2の上側の位置に形成される流路30の雰囲気は冷却状態となる。また、風発生装置2は、取付け孔3に対し傾斜して設けられているため、風発生装置2よりも上側の流路30に多量の冷却風を送出する。さらに、冷却風排出路40Aが形成されているため、冷却衣服1の内側と外側は確実に連通される。
そうすると、風発生装置2から排出された冷却風は、図12に示すように、流路30で冷却され、冷却風排出路40Aを通過し、外側に円滑に排出される(F2)。
そのため、本実施形態の冷却衣服1は、外側から取り込まれる空気(F)の温度が高い場合でも、温度の低い冷却風を流路30に流すことができ、かつ、冷却風排出路40Aを介して、襟元から冷却衣服1の外側に円滑に排出することができ、身体9を効率的に冷却することができる。
本実施形態の冷却衣服1は、外側の空気よりも温度が低い冷却風を送出でき、かつ冷却風排出路40Aから外側に冷却風を円滑に排出できるため、着用者は、冷却風の風量を増加させる必要がなくなり、モータ16への負担を軽減でき、冷却衣服1の機能をより長い時間維持することができる。そのため、モータ16を充電する回数を減らすことでき、作業時間を短縮することができる。
また、網目の小さいネット45を使用することで、外側から風発生装置2に小さなゴミが侵入することを防ぐことができる。そのため、ゴミが侵入することによって、風発生装置2に不具合が生じることを防止できる。
図13に示すように、風発生装置2のフランジ19と内側ファンガード14は、別個の部材で構成され、この内側ファンガード14の円環部21の外周は球面を有している。そのため、円環部21とフランジ19は、球面で接触し、風発生装置2(空気取込口11)の下向きの角度を5〜35°の範囲で任意の角度に設定できる。さらに、風発生装置2は、上下方向の角度だけでなく、左側または右側にも回転することができる。
風発生装置2を左側または右側に回転させると、空気取込口11を介して取り込まれる空気の方向が変更されると供に、空気排出口12を介して送風される冷却風の方向が変更される。そのため、着用者は、冷却風の流れる方向を自在に選択できる。
したがって、風発生装置2全体を円周方向に回転させなくとも、身体9の冷却したい部位を選択的に冷却することができる。
なお、身体9の全体をむらなく冷却するには、風発生装置2の取付け孔3に対する回転角度は、0°〜45°とすることが好ましい。
そのため、身体9の背中部分が重点的に冷却し、襟元から流出した冷却風は後頭部を冷却することができる。この場合、冷却材4が設けられている部分の流路30を多量の冷却風が通過する。そのため、外部よりも温度の低い冷却風を冷却風排出路40Aに向けて送出でき、身体9を効率的に冷却することができる。
また、送出される冷却風の方向が変更されると、流路30内での冷却風の流れる方向や流れる経路が変更されるため、空気の流れる方向を自在に選択でき、身体9の冷却したい部位を選択的に冷却することもできる。
この場合、冷却材4が設けられている部分の流路30を多量の冷却風が通過するため、外部よりも温度の低い冷却風を冷却風排出路40Aに向けて送出でき、身体9を効率的に冷却することができる。また、冷却風により、身体9全体を包み込むように冷却し、空気の流れF3に示すように、襟元から流出されるため、使用者の顔も冷却することができる。
バンド部47は、襟元の下部分、かつ、中心線Lから所定の距離だけ離れた位置に固定されている(以下、固定位置47Aと記す。)
一方、取付部49は、中心線Lを中心として、固定位置47Aと対向する位置に固定されている(以下、固定位置49Aと記す。)。
なお、ボタン46は、バンド部47に沿って、複数設けてもよい。
この冷却衣服1は、片側の肩部分にのみバンド部47が設けられているため、バンド部が両肩部分に設けられている場合と比べ、着用者に違和感を生じさせることが少なくなる。
本実施形態では、冷却風排出機構60が幅方向Xに2つ設けられた冷却衣服1について説明する。なお、第一実施形態の冷却衣服1と同様な構成については、説明を省略する。
本実施形態の冷却衣服1には、図18に示すように、肩部分、かつ冷却衣服の幅方向Yの中心線Lの左側および右側に冷却風排出機構60がそれぞれ設けられている。この冷却風排出機構60は、第一冷却風排出機構61及び第二冷却風排出機構62を備えている。
第二冷却風排出機構62は、第一冷却風排出機構61と同様に、幅方向Xの中心線L側の裏地に固定された取付部としてのボタン65と、中心線Lから幅方向Xに所定の間隔を空けて裏地に固定されたバンド部66とを有する。
なお、各ボタン63,65は、バックネックポイントに設けることが好ましい。バックネックポイントとは、首を前に倒したときに骨が出る位置を示す。
各バンド部64,66には、その長手方向に沿って、係合孔67が複数形成されている。
本実施形態の冷却衣服1は、第一実施形態で述べた作用効果に加え、以下の作用効果が生じる。
本実施形態に係る冷却衣服1は、中心線Lの片側にのみ冷却風排出路60Aを形成することができ、例えば、第一冷却風排出機構61によって構成される冷却風排出路60Aを形成したとする。そうすると、流路30を通過し、冷却された冷却風は、図22に示すように、冷却風排出路60Aから外側に排出される。そのため、冷却風排出路60Aが形成されている側(図22上、右側)が集中的に冷却される。
つまり、冷却風排出路60Aを冷却衣服の片側にのみ形成することで、この冷却風排出路60Aに冷却風を誘導することができ、冷却したい領域を選択することができる。
このように冷却風の流れる領域を選択できることにより、例えば、着用者の右側部分に熱源があった場合や、着用者の右側部分に強い日差しが当たっている場合、着用者の右側部分を集中的に冷却でき、身体を効率的に冷却できる。
冷却風排出路60Aは、図24に示すように、バンド部64,66を取付部68,69に係合することで形成することができる。
例えば、冷却材収容部5は、図25に示すように、線ファスナが設けられ挿入口を形成し、この挿入口の周囲は玉縁飾りが施すこともできる。さらに、収納片8は、その長辺が高さ方向Yに沿って形成することもできる。この場合、収納片8は、一辺が冷却衣服1に対して接続され、自在に開閉できる構造を有している。
さらに、冷却材4を設ける位置は、背面であれば限定されないが、風発生装置2の近傍であって、冷却風の風下となる位置が最も好ましい。
風発生装置2は、取付け孔3に対して傾斜して装着されていない風発生手段も使用することができる。この場合でも、温度の低い冷却風を流路30に流すことができ、冷却風排出路40Aから排出できるため、身体9を効率よく冷却できる。
2 風発生装置(風発生手段)
3 取付け孔
4 冷却材
5 冷却材収容部
6 取出し筒部
7 命綱
8 収納片
8A,8B 面ファスナ
9 身体
10 フルハーネス安全帯(ハーネス)
11 空気取込口
12 空気送出口
13 外側ファンガード
14 内側ファンガード
15 軸流ファン
16 モータ
17 キャップ
18 固定リング
19 フランジ
20 カバー部
21 円環部
25 上端部
26 下端部
30 流路
31 開口部
32 環状袋
33 切欠き部
34 口紐
40,60 冷却風排出機構
40A,60A 冷却風排出路
41 第一バンド部
42 第二バンド部
43,46,63,65 ボタン(係合部)
44,48,67 係合孔
45 ネット
47 バンド部
49,68,69 取付部
50 D管
51 取付部材
52 フック接続穴
53 挿入孔
54,55 面ファスナ
61 第一冷却風排出機構
62 第二冷却風排出機構
64,66 バンド部
F 空気の流れ
F1〜F3 空気の流れ
L 中心線
L1〜L5 長さ
X 幅方向
Y 高さ方向
Claims (7)
- 軸流ファンを駆動するモータ、外側から空気を取り込む空気取込口、および内側に冷却風を送出する空気送出口を有する風発生手段が装着される取付け孔が、背面に形成された冷却衣服において、
着丈方向において、前記風発生手段の下端部よりも上側に設けられた冷却材と、
襟元の下部分であって、裾口幅方向の中心線の両側にそれぞれ設けられた冷却風排出機構によって構成され、前記冷却風が通過する冷却風排出路と、を備え、
前記風発生手段が、前記取付け孔に対して、斜め下方向に5度〜35度傾斜して装着され、前記風発生手段を作動させたときに、前記風発生手段の斜め下方向から前記空気取込口を介して前記空気が取り込まれ、前記空気送出口から前記風発生手段の斜め上方向に前記冷却風が送出され、
前記冷却風排出機構は、裏地に固定された取付部と、一端が前記裏地に固定され、係合部が形成されているバンド部とを有し、
一方の前記冷却排出機構の前記係合部と前記取付部とを係合し、前記バンド部の固定位置から前記取付部の固定位置までの直線の長さを、前記バンド部の固定位置から前記取付部の固定位置までの前記裏地に沿った長さよりも短くするとともに、前記裏地を弛ませることで、一方の前記冷却風排出路を開口させ、
前記冷却風が、一方の前記冷却風排出路を介して、外側に排出される、
ことを特徴とする冷却衣服。 - フック部材を連結するための連結部材が、前面に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却衣服。 - 前記取付け孔を覆うネットが設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷却衣服。 - 前記風発生手段が前記取付け孔に回転可能に取り付けられ、
前記風発生手段を回転させたときに、
前記空気取込口を介して取り込まれる前記空気の方向が変更されると共に、
前記空気送出口を介して送出される前記冷却風の方向が変更される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の冷却衣服。 - 前記風発生手段は、裾口幅方向の中心線の両側に設けられ、
前記冷却材は、前記風発生手段から前記中心線に向かって斜め上方向、かつ、着丈方向において前記肩部分よりも下側に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の冷却衣服。 - 内側と外側を連通し、命綱が挿入される開口部を有する取出し筒部が、前記背面に設けられ、
前記取出し筒部に、前記命綱の周囲を緊縛し、前記開口部を密閉する口紐が設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の冷却衣服。 - 前記取出し筒部を収容可能な収納片が設けられている、
ことを特徴とする請求項6に記載の冷却衣服。
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