JP2019127675A - 衣服 - Google Patents

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Abstract

【課題】送風装置が着脱可能な衣服において、着用者の身体を効果的に冷却可能な技術を提供する【解決手段】吸気口860と排気口880とを有するファンユニット8が着脱可能な上着は、表地2と、表地2に取り付けられた裏地3とを備える。表地2は、吸気口860および排気口880が表地2の外側および裏地3側に夫々配置された状態でファンユニット8が取り付けられるファン取付け部212を有する。表地2と裏地3の間には、ファンユニット8の駆動によって排気口880から送出された外気が流動可能な内部空間10が形成されている。内部空間10は、上着が非着用状態で、ファンユニット8によって風量Q(1分当たりの立方メートル:m3/min)で内部空間10に外気が送出された場合に、風量Qと内部空間10の圧力P(パスカル:Pa)とが、P≧1.1Q2という関係を満たすように構成されている。【選択図】 図3

Description

本発明は、送風装置が着脱可能な衣服に関する。
送風装置が着脱可能な衣服が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような衣服では、送風装置によって衣服内に外気が送出されることで、衣服の着用者の身体を冷却することができる。
特開2005―54299号公報
特許文献1に開示されている衣服では、ファンによって外部から取り込まれた空気は、着用者の身体と衣服の間を流れつつ身体を冷却し、襟元や袖口に設けられた空気出口部から外部へ流出する。このため、空気出口部以外の部分(裾、前立て等)から空気が漏れると冷却効果が下がってしまう傾向がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、送風装置が着脱可能な衣服において、着用者の身体を効果的に冷却可能な技術を提供することを課題とする。
本発明の一態様として、送風装置と、表地と、表地に取り付けられた裏地とを備えた衣服が提供される。送風装置は、吸気口と排気口とを有する。表地は、取付け部を備えている。取付け部には、吸気口および排気口が表地の外側および裏地側に夫々配置された状態で、送風装置が取り付け可能である。表地と裏地の間には、内部空間が形成されている。送風装置の駆動によって排気口から送出された外気は、内部空間を流動可能である。そして、内部空間は、衣服が非着用状態で、送風装置によって風量Q(1分当たりの立方メートル:m/min)で内部空間に外気が送出された場合に、風量Qと内部空間の圧力P(パスカル:Pa)とが、P≧1.1Qという関係を満たすように構成されている。
本態様の衣服によれば、送風装置によって表地と裏地の間の内部空間に送出された外気によって、裏地を表地から離れる方向に膨らませる(つまり、表地と裏地との間の距離を増大させる)ことが可能な好適な内圧Pを得ることができる。これにより、裏地の少なくとも一部を着用者の身体(または肌着)に接触させやすくなるため、裏地に汗を吸収させて、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させやすくなる。この場合、裏地と身体(または肌着)との接触部分では、効率的な熱交換が行われ、着用者を効果的に冷却することができる。なお、内部空間は、風量Qと圧力Pとが、P≧1.4Qという関係を満たすように構成されていることがより好ましく、P≧2.0Qという関係を満たすように構成されていることがより好ましく、P≧3.0Qという関係を満たすように構成されていることが更に好ましい。この場合、裏地を更に膨らませることができるため、裏地のより広い範囲を着用者の身体により確実に接触させやすくなる。
本発明の一態様として、送風装置と、表地と、表地に取り付けられた裏地とを備えた衣服が提供される。送風装置は、吸気口と排気口とを有する。表地は、取付け部を備えている。取付け部には、吸気口および排気口が表地の外側および裏地側に夫々配置された状態で、送風装置が取り付け可能である。表地と裏地の間には、内部空間が形成されている。この衣服は、非着用状態で送風装置によって内部空間に外気が送出された場合の内部空間の圧力が、送風装置が送風可能な風量範囲内の何れかの風量において、少なくとも5パスカルとなるように構成されている。
本態様の衣服によれば、送風装置によって表地と裏地の間に送出された外気によって内部空間の圧力を少なくとも5パスカルまで高め、裏地を表地から離れる方向に膨らませる(つまり、表地と裏地との間の距離を増大させる)ことができる。これにより、裏地の少なくとも一部を着用者の身体(または肌着)に接触させやすくなるため、裏地に汗を吸収させて、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させやすくなる。この場合、裏地と身体(または肌着)との接触部分では、効率的な熱交換が行われ、着用者を効果的に冷却することができる。なお、本態様の「送風装置が送風可能な風量範囲」とは、風量が一律である(変更不能である)場合には、予め定められた所定の風量をいい、風量が変更可能である場合には、使用者の操作を介して、あるいは制御装置によって設定可能な風量の最小値から最大値までの範囲をいう。なお、衣服に着脱可能な送風装置の仕様に関する現実的な制約を考慮すると、最小値は概ね毎分0.4立方メートル(m/min)以上であり、最大値は概ね毎分2.5立方メートル(m/min)以下である。縫製にもよるが、内部空間の圧力は、40.4パスカル以下程度であることが好ましい。この場合、内部空間の圧力が高まりすぎて、裏地が過度に着用者の身体に押し付けられ、着用感が損なわれるのを抑制することができる。
本発明の一態様において、裏地は、第1領域と、第1領域よりも通気度が高い第2領域とを含んでもよい。本態様によれば、裏地は、内部空間に送出された外気が、単位時間あたりに所定の単位面積を流通可能な体積量の観点で、第1領域よりも通気度が高い第2領域から流出しやすい構成とされている。よって、着用者の身体の特定の部位に対応して第2領域を選択的に配置することで、着用者の身体をより効果的に冷却することが可能となる。
本発明の一態様において、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した第1領域の通気度は、1〜50cc/cm/sの範囲内であるとよい。第1領域の通気度は、好ましくは10〜30cc/cm/sの範囲内であり、より好ましくは、15〜25cc/cm/sの範囲内である。本態様によれば、内部空間に送出された外気を、第2領域から積極的に流出させて身体の特定の部位を効果的に冷却しつつ、第1領域からも緩やかに流出させて身体のより広範囲からの放熱を促進し、冷感をより高めることができる。なお、第1領域の通気度を上記範囲内とすることで、裏地が着用者の身体に接触していない場合であっても、第1領域を通して身体側に流出する外気によって、身体からの放熱を促進することができる。特に、第1領域の通気度が、10〜30cc/cm/sの範囲内である場合は、送風量を大きくしなくても、裏地の少なくとも一部が着用者の身体に接触しつつ、第1領域を通して外気が身体側に十分に流出するので、裏地と身体(または肌着)との接触部分における効率的な熱交換と、身体の広範囲からの放熱との両方をより確実に実現することができ、効果的に着用者の身体を冷却することが可能となる。
本発明の一態様において、第2領域は、メッシュ生地で構成されており、第1領域は、メッシュ生地以外の織物、編物または不織布等で構成されていてもよい。本態様によれば、空隙の割合がより高いメッシュ生地で構成された第2領域からスムーズに外気を流出させることができる。
本発明の一態様において、第2領域は、裏地のうち、衣服の着用時に着用者の首周り、腕の付け根周り、および胸部のうち少なくとも1つに対応する領域であってもよい。本態様によれば、熱がこもった身体の冷却効果が高いとされる部位(皮膚のすぐ下に太い血管が通っている部位)に外気を直接当て、着用者の身体をより効果的に冷却することができる。
本発明の一態様において、裏地の縁部は、表地に対して全体が開放不能な状態、または一部が開閉可能な状態で表地に取り付けられていてもよい。なお、「開放不能な状態」とは、典型的には、縁部全体が縫合や接着等によって表地に接合されている状態を指し、「開閉可能な状態」とは、典型的には、縁部の一部に開口が設けられ、その開口がボタン、スライドファスナ、面ファスナ等の手段によって閉塞可能であることを指すものである。本態様によれば、送風装置で送風が行われる場合には内部空間が表地と裏地によって取り囲まれた状態を確保して、内部空間から無用に外気が漏れることを抑制し、より確実に内部空間の圧力を維持することができる。また、必要に応じて縁部の一部と表地との間に形成される開口から、選択的に外気を排出することができる。
本発明の一態様において、衣服は、着用された状態で、送風装置によって内部空間に外気が送出された場合に、内部空間の圧力が、裏地と着用者の身体の間に形成される空間の圧力よりも高くなるように構成されていてもよい。本態様によれば、裏地を良好に膨らませることができる。
本発明の一態様によれば、衣服は、着用された状態で、送風装置によって内部空間に外気が送出された場合に、裏地の少なくとも一部が着用者の身体に密着するように構成されていてもよい。本態様によれば、裏地に汗を吸収させ、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させる効果をより高めることができる。
本発明の一態様として、吸気口と排気口とを有する送風装置が着脱可能な衣服が提供される。この衣服は、表地と、表地に取り付けられた裏地とを備えている。表地は、吸気口および排気口が表地の外側および裏地側に夫々配置された状態で送風装置が着脱可能な取付け部を有する。表地と裏地の間には、取付け部に装着された送風装置の駆動によって排気口から送出された外気が流動可能な内部空間が形成されている。また、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した裏地の通気度は、1〜50cc/cm/sの範囲内であり、且つ、表地の通気度よりも大きい。
本態様の衣服では、裏地の通気度は、表地の通気度よりは大きいものの、比較的小さく設定されている。これにより、内部空間の外気の圧力をある程度高く維持しつつ、内部空間の外気を、裏地を通して着用者の身体側に緩やかに流出させることができる。よって、本態様の衣服によれば、裏地が身体に接触していない場合であっても、裏地全体から緩やかに流出する外気によって身体の広範囲からの放熱を促進し、着用者を効果的に冷却することができる。また、裏地の少なくとも一部が着用者の身体に接触している場合には、その部分に汗を吸収させ、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させることができる。この場合、効率的な熱交換によって着用者を効果的に冷却することができる。
なお、本態様における裏地の通気度は、好ましくは10〜30cc/cm/sの範囲内であり、より好ましくは、15〜25cc/cm/sの範囲内である。また、裏地には、上記範囲の上限よりも通気度が大きい通気口(通気度がより高い生地で覆われた開口であっても、貫通孔であってもよい)が選択的に設けられていてもよい。なお、第1領域の通気度を上記範囲内とすることで、裏地が着用者の身体に接触していない場合であっても、第1領域を通して身体側に流出する外気によって、身体からの放熱を促進することができる。特に、第1領域の通気度が、10〜30cc/cm/sの範囲内である場合は、送風量を大きくしなくても、裏地の少なくとも一部が着用者の身体に接触しつつ、第1領域を通して外気が身体側に十分に流出するので、裏地と身体(または肌着)との接触部分における効率的な熱交換と、身体の広範囲からの放熱との両方をより確実に実現することができ、効果的に着用者の身体を冷却することが可能となる。
本発明の一態様として、吸気口と排気口とを有する送風装置が着脱可能な衣服が提供される。この衣服は、表地と、表地に取り付けられた裏地とを備えている。表地は、吸気口および排気口が表地の外側および裏地側に夫々配置された状態で送風装置が着脱可能な取付け部を有する。表地と裏地の間には、取付け部に装着された送風装置の駆動によって排気口から送出された外気が流動可能な内部空間が形成されている。裏地の通気度は、表地の通気度よりも大きい。また、裏地のうち、表地と裏地との接合部に囲まれた第1領域の面積は、表地のうち接合部に囲まれた第2領域の面積よりも大きい。
本態様の衣服は、裏地の通気度を表地の通気度よりも高く設定することで、送風装置が取付け部に装着され、内部空間に外気が送出された場合、外気が表地よりも裏地から流出しやすい構成とされている。また、裏地の第1領域の面積の方が表地の第2領域の面積よりも大きいため、裏地が着用者の身体側に膨らみやすく、裏地の少なくとも一部が着用者の身体(または肌着)に接触しやすくなる。これにより、裏地に汗を吸収させて、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させやすくなる。また、裏地を通して流出した外気によって、着用者の身体からの放熱を促進することができる。よって、着用者の身体を効果的に冷却することができる。また、表地よりも裏地の膨らみの方が大きくなるため、例えば、表地を身体に沿った大きさとした場合であっても、裏地を効率的に身体に接触させやすい。なお、本態様において、第1領域の面積は、第2領域の面積の1.1〜2倍であることが好ましい。この場合、裏地を身体側に効果的に膨ませることができる。
なお、本態様における表地と裏地との接合方法は特に限定されるものではなく、例えば、縫合、接着を含む。なお、第1領域および第2領域は、全周に亘って接合されている必要はなく、外周の一部に接合されていない部分(内部空間と外部とを連通する開口)が選択的に設けられてもよい。また、このような開口は、例えば、ボタン、スライドファスナ、面ファスナ等の手段によって閉塞可能であってもよい。
背面からみた状態の上着を示す説明図である。 前を開いた状態の上着の内側を示す説明図である。 ファンユニットが取り付けられた上着の断面を示す説明図である。 ファンユニットの斜視図である。 ファンユニットの吸気部の正面図である。 バッテリホルダの斜視図である。 内圧Pと風量Qの関係の説明図である。 背面からみた状態のベストを示す説明図である。 前を開いた状態のベストの内側を示す説明図である。 実施形態の上着と、変形例の上着およびベストと、比較例の上着の内圧の実測データを示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、本発明に係る衣服の一例として、上着1を例示する。
まず、上着1の概略構成について説明する。図1および図2に示す本実施形態の上着1は、通気衣服、空調衣服、冷却衣服などとも称される衣服の一例であって、送風を行うファンユニット8を着脱可能に構成されている。上着1は、表地2と裏地3とを備えており、ファンユニット8は、吸気口860および排気口880が表地2の外側および裏地3側に夫々配置された状態で、表地2に取り付けられる。着用者が上着1を着用した状態でファンユニット8による送風が行われると、吸気口860から吸い込まれた外気が、排気口880を介して表地2と裏地3の間に送出され、表地2と裏地3の間に形成された内部空間10(図3参照)内を流動する。これにより裏地3が膨らみ、着用者の身体(肌着を着用した状態を含む)に接触して、汗を吸収する。そして、内部空間10を流動する外気がこの汗を蒸発させることで熱を奪い、着用者に冷感を与えるものである。また、外気は、裏地3を通して内部空間10から流出し、身体全体の放熱を促進することによっても着用者に冷感を与える。
以下、上着1の詳細構成について説明する。図1および図2に示すように、上着1は、前開きの長袖の上衣として構成されており、表地2と、表地2に取り付けられた裏地3とを備えている。
表地2は、後身頃21、前身頃23、および袖25を有する。
図1に示すように、後身頃21は、2つのファンユニット8を着脱可能に構成されている。より詳細には、後身頃21は、下部(詳細には、着用時に着用者の腰上部を覆う部分)の2箇所に、ファンユニット8が取り付けられる取付け開口211を有する。なお、取付け開口211は、ファンユニット8のハウジング84の筒状部85(図3参照)の径と概ね同径に形成されている。以下、取付け開口211の周縁部を、ファン取付け部212ともいう。なお、ファン取付け部212は、ファンユニット8を安定して取り付け可能とするために、補強材によって補強されていることが好ましい。
図2に示すように、前身頃23は、左身頃と右身頃とが1対のスライドファスナ231によって接続(開閉)可能とされている。また、表地2の裾は、引き紐29を通した状態で、筒状に縫い止められている。着用者は、適宜、引き紐29を引っ張ってストッパで留めることで、裾の絞り具合を調節することができる。また、袖25の袖口は一部がゴムで伸縮自在とされており、更に、面ファスナ付きのストラップ251で、袖口の絞り具合が調整可能とされている。
なお、本実施形態では、表地2には、優れた耐水性および透湿性を有する生地が採用されている。より詳細には、表地2には、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(56dtex/72fil)の経糸およびポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(56dtex/72fil)の緯糸を用いた平織物が採用されており、その経密度は220本/2.54cm、緯密度は145本/2.54cmである。また、表地2の目付けは107g/mである。更に、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度は、本実施の形態においては、単位時間当たり単位面積を通過する流体体積として、0.1cc/cm/s(当該単位については、「cc/(cm・s)」とも表記される)である。
図2に示すように、裏地3は、表地2の後身頃21および前身頃23全体を覆うように、縁部30の全体が表地2に縫い付けられている。つまり、袖25には裏地は取り付けられていない。なお、ファンユニット8による送風時に、表地2から離れる方向(つまり着用者の身体側)に膨らみやすいように、裏地3のうち、表地2と裏地3との縫合部(縁部30)に囲まれた領域の面積は、表地2のうち、縁部30に囲まれた領域の概ね1.1倍とされている。
裏地3のうち、後身頃21を覆う部分の下端部には、縁部30に沿って、直線状に切り込まれた開口301が形成されている。開口301は、スライドファスナ302により開閉可能とされている。ファンユニット8をファン取付け部212に着脱する場合には、スライドファスナ302が開けられ、開口301を介して着脱作業が行われる。一方、上着1を着用してファンユニット8による送風が行われる場合には、スライドファスナ302は閉じられた状態とされる。これにより、腰の周囲で内部空間10から外気が漏れ出ることが防止される。裏地3のうち、右前身頃を覆う部分には、スナップボタンによって留め付け可能なフラップを有するポケット304が設けられている。更に、裏地3のうち、2つのファン取付け部212に対向する部分の下側には、夫々、ファンユニット8と、後述するバッテリホルダ96(図3参照)とを接続するためのケーブル91を挿通可能な開口306が設けられている。なお、開口306の周囲には、ケーブル91が挿通されている場合にはその外周部を覆うとともに、ケーブル91が挿通されていない場合に開口306を実質的に塞ぐべく、筒状のカバーが設けられている。
また、裏地3は、通気度が互いに異なる複数の領域を有する。具体的には、裏地3は、より低い通気度を有する主領域31と、より高い通気度を有する排気領域32とを有する。主領域31は、裏地3の面積の大部分を占めており、ファンユニット8による送風時に伴って膨らみ、着用者の身体に接触可能な領域を含む。一方、排気領域32は、表地2と裏地3の間に送出された外気が主領域31よりも容易に通過可能な領域として構成されている。排気領域32は、着用者が特に冷感を得やすく、熱がこもった身体の冷却効果が高いとされる部位(皮膚のすぐ下に太い血管が通っている部位)に対応して選択的に設けられる。本実施形態では、排気領域32は、着用時に、着用者の首筋、両脇の下、両腕の付け根の背中側の部分、および胸部(特に、鳩尾およびその上部)に夫々対向する領域に設けられている。なお、排気領域32は、縁部30に隣接して設けられている。また、排気領域32全体の面積は、主領域31の面積の10パーセント以下程度にとどめられている。
本実施形態では、主領域31と排気領域32は、通気度が異なる生地で構成されている。主領域31には、優れた吸汗・速乾性を有する生地が採用されている。より詳細には、主領域31には、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(83dtex/24fil)の経糸およびポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(33dtex/12fil)の緯糸を用いた綾織物が採用されており、この織物には吸水加工が施されている。また、主領域31の密度は、126本/2.54cm、90本/2.54cmである。また、主領域31の目付けは、77.2g/mである。更に、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した主領域31の通気度は、19.4cc/cm/sである。一方、主領域31よりも通気度の高い排気領域32には、通気度100cc/cm/s以上のメッシュ生地が採用されている。
以下、上着1に着脱可能に構成されたファンユニット8の構成について説明する。図3および図4に示すように、ファンユニット8は、本体部81と、本体部81とは別体として形成され、本体部81に着脱可能なリング部材89とを備えている。
まず、本体部81について説明する。図3に示すように、本体部81は、モータ82と、ファン83と、モータ82およびファン83を収容するハウジング84とを主体として構成されている。モータ82およびファン83は、ハウジング84内に同軸状に配置されている。なお、本実施形態では、モータ82として、ブラシを有する直流モータが採用されている。ファン83は、複数の羽根831を備えた軸流ファンとして構成されている。ファン83は、モータ82の駆動に伴って、回転軸A1周りにモータシャフトと一体的に回転される。
図3〜図5に示すように、ハウジング84は、リング部材89が取り付けられる筒状部85と、吸気口860を有する吸気部86と、吸気部86の周囲に設けられたフランジ部87と、排気口880を有する排気部88とを含む。
図3に示すように、筒状部85は円筒状に形成された部分であって、ファン83の回転軸A1を中心軸として、モータ82およびファン83と同軸状に配置されている。詳細な図示は省略するが、筒状部85の外周面には、リング部材89の内周面に形成された雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部が形成されている。
吸気部86は、筒状部85の2つの開口端のうちファン83の吸気側の端を覆うように配置されている。図5に示すように、吸気部86は、回転軸A1方向からみて全体として円形に形成されており、閉塞部861と、第1リブ863と、第2リブ864とを含む。閉塞部861は、回転軸A1に概ね直交するように、吸気部86の中心部に配置された板状部である。第1リブ863は、閉塞部861から概ね放射状に延びている。第2リブ864は、閉塞部861の外形に対応する環状に形成され、吸気部86の径方向中央部に配置されて、第1リブ863を接続している。本実施形態では、吸気部86の第1リブ863および第2リブ864の間に形成された開口が、吸気口860を構成する。各吸気口860は、吸気部86を回転軸A1方向に貫通している。フランジ部87は、吸気部86の外周から径方向外側に突出するように設けられている。
図3に示すように、排気部88は、筒状部85の2つの開口端のうちファン83の排気側の端を覆うように配置されている。図4に示すように、排気部88は、全体としては、回転軸A1方向において筒状部85から離れる方向に突出する円形ドーム状に形成されており、閉塞部881と、第1リブ883と、第2リブ884と、第3リブ885とを含む。閉塞部881は、回転軸A1に概ね直交するように、排気部88の中心部に配置された板状部である。第1リブ883は、閉塞部881から放射状に延びている。第2リブ884は、環状に形成され、第1リブ883の径方向外側の端部を接続する。第3リブ885は、回転軸A1周りの周方向に等間隔で配置され、第2リブ884と筒状部85の端部を円弧状に接続する。本実施形態では、排気部88の第1リブ883、第2リブ884、第3リブ885の間に形成された開口が、排気口880を構成する。各排気口880は、排気部88を回転軸A1方向に貫通している。なお、排気口880のうち、第3リブ885の間に形成された排気口880は、排気部88を回転軸A1に交差する方向にも貫通している。
また、図3および図4に示すように、排気部88の周方向における一部には、第1リブ883〜第3リブ885が設けられていないコネクタ配置領域887が設けられている。コネクタ配置領域887に対して回転軸A1側には、モータ82に電気的に接続されたコネクタ888が配置されている。コネクタ配置領域887には、ファンユニット8とバッテリホルダ96とを接続するためのケーブル91のコネクタ913が配置され、コネクタ888に差し込まれる。なお、図2に示すように、ケーブル91は、2つのファンユニット8に対応可能な二股状に構成されており、一端にはバッテリホルダ96のコネクタ962(図6参照)に接続可能なコネクタ911を有し、二股に分かれた他端の各々には、ファンユニット8のコネクタ888に接続可能なコネクタ913を有する。
次に、リング部材89について説明する。図3および図4に示すように、リング部材89は、筒状部891と、フランジ部893とを主体として構成されている。筒状部891は、本体部81の筒状部85の外周に着脱可能に構成された短尺状の円筒体として形成されている。詳細な図示は省略するが、本実施形態では、筒状部891の内周面には、雌ネジ部が形成されている。筒状部85の外周面に形成された雄ネジ部に対してこの雌ネジ部が螺合されることで、リング部材89が本体部81に対して同軸状に取付けられる。フランジ部893は、筒状部85の軸方向における一端部から径方向外側に突出するように設けられている。フランジ部893の外径は、本体部81のフランジ部87の外径と概ね同一に設定されている。
以上のように構成されたファンユニット8は、図3に示すように、本体部81の吸気部86および排気部88が、表地2の外側(つまり、外気に曝される側)および裏地3側(着用者の身体側)に夫々配置された状態で、ファン取付け部212に取り付けられる。具体的には、使用者はまず、リング部材89が取り外された状態の本体部81の一部を、上着1の取付け開口211に挿入する。より詳細には、本体部81のフランジ部87をファン取付け部212の外側に配置し、筒状部85と排気部88を、取付け開口211から上着1の内側へ挿入する。これにより、フランジ部87の前側にファン取付け部212(表地2)が配置された状態となる。更に、使用者は、裏地3のスライドファスナ302(図2参照)を開け、開口301を通してリング部材89を本体部81に取り付ける。具体的には、外側のフランジ部87と内側のフランジ部893によってファン取付け部212(表地2)が挟持される位置まで、リング部材89(筒状部891)を本体部81(筒状部85)に螺合させる。このようにしてファンユニット8が取付けられると、排気口880は、裏地3に対向するように、表地2と裏地3の間に配置される。
その後、図2に示すように、開口301を通してケーブル91のコネクタ911がファンユニット8に接続され、コネクタ913側の端部が、ケーブル91用の開口306から裏地3の内側に引き出される。本実施形態では、ファンユニット8は、ケーブル91を介して、図6に示すバッテリホルダ96に電気的に接続可能とされている。バッテリホルダ96は、ファンユニット8の電源としての充電式のバッテリ95を装着可能、且つ、電気的に接続可能な周知の構成を有する。なお、本実施形態のバッテリ95は、各種の電動工具(スクリュードライバ、ハンマドリル等)に装着されて、電動工具の電源としても使用可能な周知のバッテリである。バッテリホルダ96からは、一端にコネクタ962を有するケーブル961が延出されている。コネクタ962には、ケーブル91のコネクタ911を接続可能である。
なお、バッテリ95が装着されたバッテリホルダ96は、ポケット304(図2参照)内に収容することができる。また、バッテリホルダ96に設けられた弾性を有するクリップ963によって、ベルト等に取り付けることも可能である。
また、バッテリホルダ96には、ファンユニット8(詳細には、モータ82)の駆動開始および停止の指示を入力するための操作ボタン965が設けられている。本実施形態では、バッテリホルダ96には、操作ボタン965を介して入力された情報に応じてモータ82の駆動制御を行うコントローラ(典型的には、CPUを備えたマイクロコンピュータ)も搭載されている。また、本実施形態では、操作ボタン965は、ファンユニット8の風量の調節のための指示も入力可能とされている。風量の調節は、コントローラによって、操作ボタン965から入力された情報に応じてモータ82の回転数が変更されることで行われる。なお、本実施形態では、ファンユニット8の風量は、毎分0.8m(弱)と、毎分1.4m(強)の2段階に調節可能とされている。
以下、上着1とファンユニット8による送風との関係について説明する。本実施形態では、上述のように、ファンユニット8の吸気口860は表地2の外側に配置され、排気口880は表地2と裏地3の間に配置される。モータ82が駆動され、ファン83が回転されると、吸引された外気は、吸気口860を通ってハウジング84内へ流入する。流入した外気は、排気口880を通って前方および回転軸A1に交差する方向に流出する。つまり、表地2と裏地3の間に外気が送出される。
従来の通気衣服等と称される衣服に関しては、着用者の身体と衣服の生地(裏地がない衣服では表地、裏地がある衣服では裏地)との間の空間で外気を流動させることで、着用者の汗を蒸発させて熱を奪うことに主眼が置かれている。このため、衣服の末端部(例えば、上着やズボンの裾、前立て、襟元、袖口等)をファスナ等で閉じたりゴムで絞ったりすることで、身体と生地の間に外気が流動可能な空間を保つことが一般的である。これにより、着用時の動きやすさや、着用態様の自由度が損なわれやすい。
これに対し、本実施形態の発明者らは、従来とは異なる次の2点に着目し、本実施形態の上着1を構成している。1点は、ファンユニット8によって表地2と裏地3の間に送出された外気によって内部空間10の圧力を大気圧よりも上昇させて裏地3を表地2から離れる方向に膨らませ(つまり、表地2と裏地3との間の距離を増大させ)、裏地3の少なくとも一部を着用者の身体に接触させて汗を吸収させ、表地2と裏地3の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させるという点である。この場合、裏地3の身体に接触している部分で効率的な熱交換が行われ、着用者は、冷感を得ることができる。また、もう1点は、裏地3の比較的広い領域を通して内部空間10から外気を緩やかに流出させることで、身体からの放熱を促すという点である。
この着目点に基づき、発明者らは、非着用状態の上着1においてファンユニット8が送風を行った場合の、表地2と裏地3の間に形成される内部空間10の圧力(以下、単に内圧ともいう)とファンユニット8の風量との適切な関係を見出した。
まず、内圧は、内部空間10における外気の流れを妨げる力(圧力損失、送風抵抗)に概ね対応すると考えられる。圧力損失は、風量の二乗に比例することが知られている。そこで、発明者らは、内圧P(Pa)と風量Q(m/min)との間に、P=K・Q(Kは係数)という関係式(近似式)が成立しうるとの観点から、係数Kについて鋭意検討した。なお、係数Kは、所定の(無次元)定数(Constant)である。
その結果、係数Kが1.1以上であることが好ましいことを特定し、風量Qと内圧Pとが、P≧1.1Qという関係を満たす場合に、風量Qに応じて好ましい内圧P、つまり、裏地3を着用者の身体に接触させやすくなるだけの内圧Pが得られることを見出した。なお、一定の風量Qで送風を行った場合、裏地3が最大限膨らむまでは内圧Pは徐々に上昇するため、ここでいう内圧Pは、風量Qにおける最大の内圧に対応している。また、係数Kは、1.4倍以上であると好ましく、2.0倍以上であるとより好ましく、3.0倍以上であると更に好ましい。つまり、風量Qと内圧Pとが、P≧1.4Qという関係を満たすことが好ましく、P≧2.0Qという関係を満たすことがより好ましく、P≧3.0Qという関係を満たすことが更に好ましい。
本実施形態の上着1に関し、発明者らは、差圧式流量計を用いて風量を測定しつつ、非着用状態で吊るされた上着1の取付け開口211から、内部空間10へ送風を行った。そして、このときの内圧(ゲージ圧(大気圧を基準とした圧力))を、後身頃21の中央下部(腰部あたり)の表地2と裏地3の間に配置された圧力計を用いて測定した。この結果、風量が毎分0.86mのときの内圧は6.0Pa、風量が毎分1.16mのときの内圧は8.6Pa、風量が毎分1.63mのときの内圧は13.3Pa、風量が毎分2.16mのときの内圧は19.2Pa、風量が毎分2.56mのときの内圧は23.7Paであった。この結果が、関数P=1.1Q、P=1.4Q、P=2.0Q、P=3.0Qのグラフとともに、図7にダイヤ型のマーカでプロットされている。図7に示すように、本実施形態の上着1によれば、内圧Pと風量Qは、P≧3.0Qという関係を満たしており、ファンユニット8の風量Qが毎分0.8m(弱)に設定された場合でも、比較的高い内圧Pを得ることができることがわかる。
更に、発明者らは、次のような手順で、内圧Pと、表地2と裏地3との間の最大距離Dとの関係についても特定した。まず、ファンユニット8がファン取付け部212に取り付けられ、スライドファスナ231が開かれて左身頃と右身頃とが分かれた状態の上着1を広げ(図2参照)、表地2が下側、裏地3が上側となるように概ね水平な平面(床)に載置した。そして、ファンユニット8によって送風を行い、後身頃21の中央下部(腰部あたり)の表地2と裏地3の間に配置された圧力計を用いて特定された内圧Pにおける表地2と裏地3との間の最大距離Dを測定した。この結果、内圧Pが0.40Pa、0.72Pa、0.90Pa、1.09Pa、1.52Paであるときの最大距離Dは、夫々、3.0cm、5.5cm、8.0cm、13.0cm、16.5cmであった。
この結果から、内圧Pと風量Qの関係がP≧1.1Qの関係を満たす場合には、風量Qが少なくとも毎分0.8mであれば、概ね5.5cm以上の最大距離Dが得られると考えられ、内圧Pと風量Qの関係がP≧1.4Qの関係を満たす場合には、風量Qが少なくとも毎分0.8mであれば、概ね8.0cm以上の最大距離Dが得られると考えられる。また、内圧Pと風量Qの関係がP≧2.0Qの関係を満たす場合には、風量Qが毎分0.6mであれば概ね5.5cm以上の最大距離Dが得られ、風量Qが毎分0.7mであれば8.0cm以上の最大距離Dが得られると考えられる。更に、内圧Pと風量Qの関係がP≧3.0Qの関係を満たす場合には、風量Qが毎分0.5mであれば5.5cm以上の最大距離Dが得られ、風量Qが毎分0.6mであれば8.0cm以上の最大距離Dが得られると考えられる。
内圧Pが同じである場合、実際に着用者が上着1を着用した場合の表地2と裏地3との間の距離は、上述のように測定された最大距離Dよりも短くなると考えられるが、最大距離Dが少なくとも5.5cmであれば、平均的な体型(身長および胸囲)の成人男性の場合には、裏地3(特に、後身頃21を覆う領域)の一部を着用者の身体に密着させることができることが確認された。更に、最大距離Dが少なくとも8.0cmであれば、裏地3(特に、後身頃21を覆う領域)のより広い範囲を着用者の身体に確実に密着させることができること、また、平均的な成人男性よりも小柄な(身長および胸囲が小さい)着用者にも対応可能であることが確認された。実施形態の上着1に関しては、上述のように、内圧Pと風量Qは、P≧3.0Qという関係を満たしており、ファンユニット8の風量Qが毎分0.8m(弱)に設定された場合でも、内圧Pは少なくとも1.92Paとなる。よって、最大距離Dは16.5cm以上となるため、裏地3を十分に着用者の身体に密着させ、着用者の身体を効果的に冷却することができることがわかる。
また、本実施形態の上着1では、裏地3は、主領域31と、主領域31よりも通気度の高い排気領域32とを含んでいる。特に、本実施形態では、排気領域32がメッシュ生地、主領域31が綾織生地で構成されており、排気領域32の通気度は主領域31よりも大幅に高い。このため、内部空間10に送出された外気は、排気領域32から流出しやすく、内部空間10における外気の流動性も確保される。よって、排気領域32から流出した外気が首筋、両脇の下、両腕の付け根の背中側の部分、および胸部(鳩尾およびその上部)に直接当たることで、着用者に冷感を与えるとともに、熱がこもった身体を効果的に冷却することができる。また、内部空間10で流動する外気が裏地3に吸収された汗を効果的に蒸発させることができる。更に、主領域31は、内圧Pを維持可能でありつつも外気のある程度の通過を許容する生地で構成されているため、主領域31のうち、着用者の身体に密着していない領域を通過する外気によって身体の放熱を促進することによっても着用者に冷感を与えることができる。
また、本実施形態では、表地2の通気度は比較的低いことから、内部空間10に送出された外気が表地2を通して外部に流出することが抑制されている。これにより、内圧Pを良好に維持しつつ、外気を排気領域32および主領域31から優先的に流出させることができる。また、両脇の下および背中側の腕の付け根の近傍に設けられた排気領域32から流出した外気を、袖25内を通過させ、袖口から流出させることで、腕を冷却することもできる。なお、袖25の袖口近傍には、外気を排気するための開口が形成されていてもよい。
更に、本実施形態の上着1では、前身頃23のスライドファスナ231を全開し、前を開けた状態(つまり、胸部や腹部が前身頃23に覆われない状態)で上着を着用した場合でも、内圧は良好に維持される。これにより、従来のいわゆる通気衣服等に比べ、着用時の動きやすさや着用態様の自由度を向上することができる。具体的には、上着1の前を閉めた状態で着用できるのみならず、前を開けた状態で、引き紐29で裾を絞らずに使用することもできる。これにより、着用時の圧迫感も解消することができる。更に、本実施形態の上着1は、裏地3のうち縁部(縫合部)30に囲まれた領域の面積は、表地2のうち縁部30に囲まれた領域の概ね1.1倍とされており、外観に影響する表地2よりも、裏地3の方が身体側に膨らみやすい構成とされている。このため、裏地3を効率的に身体側に膨らませて身体に接触させやすくするとともに、上着1の見栄えも良好に保つことができる。
上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る衣服および送風装置は、例示された上着1およびファンユニット8の構成に限定されるものではない。
例えば、上述の係数Kに影響を与える因子として、表地2および裏地3の特性(通気度、目付け、密度、伸び率、繊維の種類、組織の種類等)が挙げられる。よって、上記実施形態の例示に限らず、係数Kが1.1以上である限りにおいて、表地2および裏地3は適宜変更することが可能である。以下に、表地2および裏地3が保有しうる特性について例示する(但し、以下の例に限定されるものではない)。
表地2としては、化学繊維(例えば、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、ポリウレタン繊維、ポリエーテルエステル繊維等)、天然繊維(綿、ウール、絹等)、またはこれらを複合した繊維を含む生地(織物、編物、不織布等)を採用することができる。表地2は、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度が、通常0.01〜40cc/cm/sの範囲内であり、好ましくは0.05〜20cc/cm/sの範囲内であり、より好ましくは0.05〜10cc/cm/sの範囲内である。なお、実施形態で例示したように、表地2の通気度は、裏地3(主領域31)の通気度よりも低いことが好ましい。また、できるだけ少ない風量で裏地3を膨らませるためには、表地2の通気度を上記範囲内で比較的低い値に設定することが好ましい。表地2の目付けは、上記の通気度を満たすように調整することができ、通常、50〜300g/mの範囲内であり、好ましくは70〜250g/mの範囲内である。また、表地2には、耐水性と透湿性に優れた生地が採用されることが好ましい。
裏地3についても、表地2と同様、化学繊維、天然繊維、またはこれらを複合した繊維を含む生地(織物、編物、不織布等)を採用することができる。主領域31の通気度は、通常1〜50cc/cm/sの範囲内であり、好ましくは、10〜30cc/cm/sの範囲内であり、より好ましくは、15〜25cc/cm/sの範囲内である。なお、できるだけ少ない風量で内圧を高め、裏地3を膨らませるためには、主領域31の通気度を上記範囲内で比較的低い値に設定することが好ましい。一方、主領域31を通して身体側に流出する外気によって、身体からの放熱を促進するためには、通気度が低すぎないことが好ましい。主領域31の通気度が、10〜30cc/cm/sの範囲内である場合は、送風量をそれほど大きくしなくても、裏地3の少なくとも一部が着用者の身体に接触しつつ、主領域31を通して外気が身体側に十分に流出するので、裏地3と身体(または肌着)との接触部分における効率的な熱交換と、身体の広範囲からの放熱との両方をより確実に実現することができ、効果的に着用者の身体を冷却することができる。
排気領域32は、主領域31よりも通気度が高ければよく、メッシュ生地以外の平織、綾織等の公知の織編地で構成されていてもよいし、生地で覆われない開口で構成されていてもよい。この場合、開口は、裏地3の縁部30の一部が表地2に対して開閉可能な状態で取り付けられることで形成されていてもよい。開口は、例えば、スライドファスナ、面ファスナ、スナップボタン等によって開閉可能とすることができる。また、排気領域32は、必ずしも、上記実施形態のように、着用者の首筋、両脇の下、両腕の付け根の背中側の部分、および胸部に夫々対向する領域の全てに設けられる必要はない。排気領域32は、少なくとも1つであってもよいし、省略されてもよい。なお、排気領域32が省略される場合には、排気領域32が設けられる場合よりも裏地3の通気度を高くすることが好ましい。この場合、裏地3(主領域31)全体を通過する外気によって身体の広範囲からの放熱を促進することで、効果的な冷却を行うことができる。
また、主領域31に対する排気領域32の面積比率も、適宜変更されてよい。なお、着用者に当たる風の風速が大きいほど冷感が高まることが知られている。ファンユニット8が同じ風量で送風を行ったときの風速は、各排気領域32の面積を小さくするほど大きくなる。よって、できるだけ少ない風量で効果的に着用者の特定の部位を冷却するには、主領域31に対する排気領域32の面積比率や各排気領域32の面積は、比較的小さいことが好ましい。更に、主領域31の通気度を上記範囲内に設定することで、内部空間10に送出された外気を主領域31からも緩やかに流出させて身体の広範囲からの放熱を促進し、冷感をより高めることができる。
また、主領域31の目付けは通常、30〜150g/mの範囲内であり、好ましくは、40〜120g/mの範囲内であり、より好ましくは50〜90g/mの範囲内である。裏地3のうち、少なくとも主領域31を構成する生地は、吸水性および速乾性に優れることが好ましい。
上記実施形態では、上着1は袖25付きの上衣であって、裏地3が後身頃21と前身頃23の内面の概ね全体を覆っている。しかし、裏地3は、後身頃21の内面のみを覆うように取り付けられていてもよいし、後身頃21および前身頃23に加えて袖25の内面を覆うように取り付けられてもよい。なお、表地2のうち、表地2と裏地3との縫合部(縁部30)に囲まれた領域の面積と裏地3の面積との関係は、通常、裏地3の面積が、表地2の上記領域の面積の1倍以上であればよく、好ましくは、1.1〜2倍である。裏地3の表地2に対する取付け方法は、縫合に限られず、接着剤による接着や超音波溶着等が採用されてもよい。
また、本発明の衣服は、例えば、フード付きの上衣、袖無しの上衣(所謂ベスト)、上衣とズボンがつながった所謂つなぎ服、またはズボンとしても好適に実現することができる。上衣およびつなぎ服に関しては、裏地3は、表地2の後身頃21の少なくとも一部(好ましくは半分以上、より好ましくは概ね全域)を覆うように取り付けられることが好ましい。なお、衣服の用途は特に限定されるものではなく、作業着、スポーツウェア、レジャーウェア、消防服、防護服、手術着等として実現されうる。
ここで、図8および図9を参照して、上着1の一変形例に係るベスト100について説明する。図8および図9に示すように、ベスト100は、上着1(図2参照)と同様に、表地200と裏地300とを備えている。但し、上着1とは異なり、表地200は、後身頃21および前身頃23のみを有し、袖は有していない。裏地300は、上着1と同様、後身頃21および前身頃23全体を覆うように、縁部30の全体が表地2に縫い付けられている。但し、上着1とは異なり、裏地300には、両腕の付け根の背中側の部分に対応した排気領域32は設けられていない。上着1におけるこれらの排気領域32は、袖25内へ外気を送出するために設けられているのに対し、袖なしのベスト100ではその必要性は低いからである。ベスト100のその他の構成については、上着1と同一である。
なお、上述のように、衣服の末端部(上着の裾や袖口等)をファスナ等で閉じたりゴムで絞ったりすることで身体と生地の間に外気が流動可能な空間を保つ従来の構造では、ベスト100のような袖無しの上衣を実現することが難しかった。これに対し、裏地300と表地200の間の内部空間10の圧力を利用することで、ベスト100においても効果的に着用者の身体を冷却することができる。また、ベスト100は、袖がないことで、着用時の圧迫感を更に低減し、動きやすさを向上させることができる。
以下に、上着1の更なる変形例としての上着102およびベスト104と、上着1、上着102およびベスト104に対する比較例としての上着109(いずれも図示は省略)について説明する。
上着102は、図2に示す上着1と同じ構成を有する前開きの長袖の上衣として構成されている。つまり、上着102は、後身頃、前身頃および袖を含む表地と、前身頃と後身頃の全体を覆うように取り付けられ、主領域と排気領域とを含む裏地とを備え、ファンユニット8が着脱可能に構成されている。但し、上着102の表地の特性は、上着1の表地2とは異なっている。具体的には、上着102の表地は、綿の織物であって、その経密度は120本/2.54cm、緯密度は110本/2.54cmである。また、表地の目付けは155g/mである。更に、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度は、6.9cc/cm/sである。上着102の裏地(主領域および排気領域)の種類、密度、目付けおよび通気度は、上着1の裏地3と同じである。
ベスト104は、図9に示すベスト100と同じ構成を有する袖なしの上衣として構成されている。つまり、ベスト104は、後身頃および前身頃を含む表地と、前身頃と後身頃の全体を覆うように取り付けられ、主領域と排気領域とを含む裏地とを備え、ファンユニット8が着脱可能に構成されている。なお、両腕の付け根の背中側の部分には対応した排気領域が設けられていない点も、ベスト100と同様である。ベスト104の表地は、ポリエステルの織物であって、その経密度は249本/2.54cm、緯密度は103本/2.54cmである。また、表地の目付けは103g/mである。更に、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度は、0.3cc/cm/sである。ベスト104の裏地(主領域および排気領域)の種類、密度、目付けおよび通気度は、上着1の裏地3と同じである。
比較例に係る上着109は、前開きの長袖の上衣として構成されており、後身頃、前身頃および袖を含む表地と、表地に取り付けられた裏地とを備え、ファンユニット8が着脱可能に構成されている。但し、上着109の裏地は、後身頃のみを覆うように表地に接合されている。上着109の表地の種類、密度、目付けおよび通気度は、上着1の表地2と同じである。上着109の裏地は、ポリエステルのメッシュ生地であって、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定したその通気度は、170.7cc/cm/sである。なお、上着109の裏地は、通気度が非常に高いメッシュ生地で全体が形成されており、上着1の主領域31と排気領域32のように、通気度の異なる複数の領域を含んでいない。
発明者らは、上着1の変形例に係る上着102およびベスト104と、比較例に係る上着109についても、上着1と同様に、差圧式流量計を用いて風量を測定しつつ、ファンユニット8によって表地と裏地の間に形成された内部空間へ送風を行い、このときの内圧(ゲージ圧)を測定した。
上着102に関しては、風量が毎分0.69mのときの内圧は4.4Pa、風量が毎分1.16mのときの内圧は6.3Pa、風量が毎分1.58mのときの内圧は9.9Pa、風量が毎分1.94mのときの内圧は15.6Pa、風量が毎分2.35mのときの内圧は20.5Paであった。
ベスト104に関しては、風量が毎分1.16mのときの内圧は8.2Pa、風量が毎分1.61mのときの内圧は12.7Pa、風量が毎分1.97mのときの内圧は16.1Pa、風量が毎分2.32mのときの内圧は20.0Pa、風量が毎分2.54mのときの内圧は23.5Paであった。
上着109に関しては、風量が毎分0.52mのときの内圧は0.7Pa、風量が毎分1.15mのときの内圧は1.0Pa、風量が毎分1.70mのときの内圧は0.6Pa、風量が毎分2.03mのときの内圧は0.5Pa、風量が毎分2.48mのときの内圧は0.2Paであった。
これらの結果が、関数P=1.1Q、P=1.4Q、P=2.0Q、P=3.0Qのグラフ、および、上述した上着1の測定結果とともに、図10にプロットされている。図10に示すように、本実施形態の上着1と同様、上着102およびベスト104については何れも、内圧Pと風量Qが、P≧3.0Qという関係を満たしている。このことから、上着102およびベスト104においても、ファンユニット8の風量Qが毎分0.8m(弱)に設定された場合でも、比較的高い内圧Pを得ることができることがわかる。よって、上着102およびベスト104でも、上着1と同様、ファンユニット8の駆動に応じて裏地が表地から離れる方向に膨らんで着用者の身体に接触することで、効率的な熱交換を実現することができる。また、裏地を通して緩やかに流出する外気によって、着用者の身体からの放熱を効果的に促すことができる。
一方、比較例の上着109に関しては、風量が大きくなっても内圧が高まらない。より詳細には、実際に測定が行われた毎分0.52mから毎分2.48mまでの風量範囲内において、内圧は最大でも1パスカルであって、全体としては1パスカル以下で概ね横這いである。これは、裏地の通気度が170.7cc/cm/sと高く、内部空間に送出された外気が、裏地を容易に通過してしまうためである。なお、裏地の通気度が50cc/cm/sを超えると、内部空間に送出された外気が容易に裏地を通過してしまい、内圧を十分に高めるのが難しくなることから、上述のように、裏地(主領域と排気領域を含む場合は主領域)の通気度の好ましい上限は50cc/cm/sとされている。このように、比較例に係る上着109では、ファンユニット8によって送風が行われても、内圧が十分に高まらないため、裏地を表地から離れる方向に膨らませにくい。また、ファンユニット8から内部空間に送出された外気は、排気口880の近傍で、着用者の身体側へと裏地を容易に通過することができるため、内部空間全域に外気を流動させにくい。よって、上着109が上着1、上着102、ベスト104のような効果を発揮することは難しい。
ファンユニット8の構成についても、適宜、変更されてよい。例えば、モータ82として、より小型で高出力なブラシレスモータが採用されてもよい。ファン83の径や羽根831の数が変更されてもよい。かかる変更に伴い、ファンユニット8の風量も変動しうる。ファンユニット8の風量は、必ずしも2段階で調節可能である必要はない。つまり、ファンユニット8の風量(モータ82の回転数)は一定であってもよいし、3段階以上で調節可能であっても、無段階で調節可能であってもよい。なお、裏地3を十分に膨らませる内圧をより確実に達成するとの観点からは、ファンユニット8の風量は、毎分0.5m以上に設定可能であることが好ましく、毎分0.8m以上に設定可能であることがより好ましい。なお、風量の調節の指示は、操作ボタン965以外の操作部材(ダイアル等)を介して入力されてもよいし、バッテリホルダ96とは別体として設けられた操作ユニットに配置されていてもよい。また、モータ82の駆動制御(ファン83の風量制御)を行うコントローラは、バッテリホルダ96ではなく、ファンユニット8に配置されていてもよい。
なお、ファンユニット8は、1つのハウジング84内に複数のファン83が収容された構成であってもよい。この場合、ファン83の数に対応して、モータ82も複数設けられていてもよい。つまり、本発明の送風装置は、少なくとも1つのファンと、少なくとも1つのモータと、少なくとも1つのファンおよび少なくとも1つのモータを収容するとともに、表地に着脱可能なハウジングとを備えていればよい。
また、ファンユニット8の表地2に対する取付け方法は、上記実施形態の例に限られない。例えば、ハウジング84(筒状部85)およびリング部材89の一方に可撓性を有する係止片が設けられ、他方に係止片が係止可能な凹部が設けられていてもよい。この場合、リング部材89がハウジング84に対して回転軸A1方向に嵌め込まれ、係止片が凹部に係止することで、取付けが完了する。あるいは、ハウジング84(筒状部85)の外周面にL字状のガイド溝が設けられ、リング部材89の内周面にガイド溝に係合可能な突起が設けられていてもよい。この場合、突起がガイド溝内に配置された状態で、リング部材89がハウジング84に対して回転軸A1方向に嵌め込まれ、更に、周方向に回転されることで、取付けが完了する。また、ファンユニット8の取付け位置(ファン取付け部212)が、後身頃21に代えて前身頃23に設けられてもよい。また、ハウジング84が回転軸A2方向に2つの部分に分離可能であって、これら2つの部分が取付け部212を挟持した状態で係合されてもよい。
ファンユニット8の取付け位置や取付け可能な数についても、適宜、変更が可能である。例えば、ファンユニット8は、前身頃に着脱可能であってもよい。取付け可能なファンユニット8の数は、1であってもよいし、3以上であってもよい。
上記実施形態および変形例の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。上着1、120、ベスト100、104は、本発明の「衣服」の一例である。ファンユニット8、吸気口860、排気口880は、夫々、本発明の「送風装置」、「吸気口」、「排気口」の一例である。表地2、200、裏地3、300は、夫々、本発明の「表地」、「裏地」の一例である。ファン取付け部212は、本発明の「取付け部」の一例である。内部空間10は、本発明の「内部空間」の一例である。主領域31、排気領域32は、夫々、本発明の「第1領域」、「第2領域」の一例である。
本発明および上記実施形態の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様のうち少なくとも1つが、単独で、または、上述の実施形態、変形例、もしくは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されてもよい。
[態様1]
前記表地の通気度は、前記裏地の通気度よりも低くてもよい。
[態様2]
前記表地の通気度は、前記裏地の前記第1領域の前記第1の通気度よりも低くてもよい。
これらの態様によれば、内部空間に送出された外気が表地を通して外部に流出することを抑制するため、内部空間の圧力を良好に維持しつつ、外気を裏地から優先的に流出させることができる。なお、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した表地の通気度は、0.01〜40cc/cm/sの範囲内であるとよく、好ましくは0.05〜20cc/cm/sの範囲内であり、より好ましくは0.05〜10cc/cm/sの範囲内である。
[態様3]
前記裏地のうち、前記表地と前記裏地との接合部に囲まれた第1領域の面積は、前記表地のうち前記接合部に囲まれた第2領域の面積以上であるとよい。
表地の第2領域の面積の方が裏地の第1領域の面積よりも大きいと、表地が外側に膨らみやすい。これに対し、本態様によれば、内部空間に送出された外気によって、裏地を表地から離れる方向に膨らませ、裏地の少なくとも一部を身体に接触させやすくすることができる。なお、第1領域の面積が第2領域の面積よりも大きい場合には、特に効果的である。
[態様4]
前記表地は、前記取付け部を有する後身頃と、前身頃とを含み、
前記裏地は、少なくとも前記後身頃の一部を覆うように前記表地に取り付けられており、
前記後身頃を下、前記裏地を上にした状態で前記衣服を概ね水平な平面に載置し、前記内部空間に前記送風装置で送風を行った場合に、前記圧力が0.72Paであるときの前記表地と前記裏地の最大距離が、少なくとも5.5cmであってもよい。
本態様によれば、内部空間の圧力を0.72Paまで高めることで、裏地の少なくとも一部を着用者の身体に密着させることができる。
[態様5]
態様4において、前記圧力が0.90Paであるときの前記表地と前記裏地の最大距離が、少なくとも8.0cmであってもよい。
本態様によれば、内部空間の圧力を0.90Paまで高めることで、裏地のより広い領域を着用者の身体により確実に密着させることができる。
[態様6]
吸気口と排気口とを有する送風装置が着脱可能な衣服において、
後身頃と前身頃とを少なくとも含む表地と、
少なくとも前記後身頃の一部を覆うように、前記表地に取り付けられた裏地とを備え、
前記後身頃は、前記吸気口および前記排気口が前記表地の外側および前記裏地側に夫々配置された状態で前記送風装置が取り付けられる取付け部を有し、
前記表地と前記裏地の間には、前記送風装置の駆動によって前記排気口から送出された外気が流動可能な内部空間が形成されており、
前記送風装置は、毎分0.5m以上の風量の外気を送出可能であって、
前記衣服は、前記後身頃を下、前記裏地を上にした状態で前記衣服を概ね水平な平面に載置し、前記送風装置によって毎分0.8mの風量で前記内部空間に前記外気が送出されたときの前記内部空間を形成する前記表地と前記裏地との間の最大距離が、少なくとも5.5cmとなるように構成されていてもよい。
本態様によれば、比較的少ない毎分0.8mの風量でも、裏地の少なくとも一部を着用者の身体に密着させることができる。
[態様7]
態様6の衣服において、前記最大距離は、少なくとも8.0cmとなるように構成されていてもよい。
本態様によれば、比較的少ない毎分0.8mの風量でも、裏地のより広い領域を着用者の身体により確実に密着させることができる。
[態様8]
態様6または態様7の衣服において、
前記後身頃を下、前記裏地を上にした状態で前記衣服を概ね水平な平面に載置し、前記送風装置が毎分0.5mの風量で前記内部空間に前記外気を送出したときの前記最大距離が、少なくとも5.5cmとなるように構成されていてもよい。
本態様によれば、比較的少ない毎分0.5mの風量でも、裏地の少なくとも一部を着用者の身体に密着させることができる。
[態様9]
態様8の衣服において、前記後身頃を下、前記裏地を上にした状態で前記衣服を概ね水平な平面に載置し、前記送風装置が毎分0.6mの風量で前記内部空間に前記外気を送出したときの前記最大距離が、少なくとも8.0cmとなるように構成されていてもよい。
本態様によれば、比較的少ない毎分0.6mの風量でも、裏地のより広い領域を着用者の身体により確実に密着させることができる。
[態様10]
前記衣服は、後身頃と前身頃とを少なくとも含む上着であって、
前記前身頃は、右前身頃と左前身頃とが、分離可能に接合されていてもよい。
本態様によれば、前身頃を左右に分離した状態(つまり、前を開けた状態)で着用することが可能となるため、着用時の動きやすさや着用態様の自由度を向上することができる。なお、右前身頃と左前身頃は、例えば、スライドファスナ、面ファスナ、スナップボタン等によって分離可能に接合することができる。
[態様11]
前記衣服は、後身頃と前身頃とを含む袖なしの上着であってもよい。
本態様によれば、衣服の着用時の圧迫感を更に低減し、動きやすさを更に向上させることができる。
[態様12]
前記裏地には、吸水加工が施されていてもよい。
本態様によれば、着用者の身体に接触した裏地で汗を速やかに吸収し、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させることができるため、冷却効果をより一層高めることができる。
[態様13]
前記第2領域は、少なくとも1つ設けられており、全体として、前記第1領域の面積の10パーセント以下の面積を有していてもよい。
本態様によれば、好適な内圧を維持しつつ、着用者の特定の部位を選択的に冷却することができる。
1:上着
10:内部空間
2:表地
21:後身頃
211:取付け開口
212:ファン取付け部
23:前身頃
231:スライドファスナ
25:袖
251:ストラップ
29:引き紐
3:裏地
30:縁部
301:開口
302:スライドファスナ
304:ポケット
306:開口
31:主領域
32:排気領域
8:ファンユニット
81:本体部
82:モータ
83:ファン
831:羽根
84:ハウジング
85:筒状部
86:吸気部
860:吸気口
861:閉塞部
863:第1リブ
864:第2リブ
87:フランジ部
88:排気部
880:排気口
881:閉塞部
883:第1リブ
884:第2リブ
885:第3リブ
887:コネクタ配置領域
888:コネクタ
89:リング部材
891:筒状部
893:フランジ部
91:ケーブル
911:コネクタ
913:コネクタ
95:バッテリ
96:バッテリホルダ
961:ケーブル
962:コネクタ
963:クリップ
965:操作ボタン
本発明は、送風装置が着脱可能な衣服に関する。
送風装置が着脱可能な衣服が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような衣服では、送風装置によって衣服内に外気が送出されることで、衣服の着用者の身体を冷却することができる。
特開2005―54299号公報
特許文献1に開示されている衣服では、ファンによって外部から取り込まれた空気は、着用者の身体と衣服の間を流れつつ身体を冷却し、襟元や袖口に設けられた空気出口部から外部へ流出する。このため、空気出口部以外の部分(裾、前立て等)から空気が漏れると冷却効果が下がってしまう傾向がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、送風装置が着脱可能な衣服において、着用者の身体を効果的に冷却可能な技術を提供することを課題とする。
本発明の一態様として、送風装置と、表地と、表地に取り付けられた裏地とを備えた衣服が提供される。送風装置は、吸気口と排気口とを有する。表地は、取付け部を備えている。取付け部には、吸気口および排気口が表地の外側および裏地側に夫々配置された状態で、送風装置が取り付け可能である。表地と裏地の間には、内部空間が形成されている。送風装置の駆動によって排気口から送出された外気は、内部空間を流動可能である。そして、内部空間は、衣服が非着用状態で、送風装置によって風量Q(1分当たりの立方メートル:m/min)で内部空間に外気が送出された場合に、風量Qと内部空間の圧力P(パスカル:Pa)とが、P≧1.1Qという関係を満たすように構成されている。
本態様の衣服によれば、送風装置によって表地と裏地の間の内部空間に送出された外気によって、裏地を表地から離れる方向に膨らませる(つまり、表地と裏地との間の距離を増大させる)ことが可能な好適な内圧Pを得ることができる。これにより、裏地の少なくとも一部を着用者の身体(または肌着)に接触させやすくなるため、裏地に汗を吸収させて、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させやすくなる。この場合、裏地と身体(または肌着)との接触部分では、効率的な熱交換が行われ、着用者を効果的に冷却することができる。なお、内部空間は、風量Qと圧力Pとが、P≧1.4Qという関係を満たすように構成されていることがより好ましく、P≧2.0Qという関係を満たすように構成されていることがより好ましく、P≧3.0Qという関係を満たすように構成されていることが更に好ましい。この場合、裏地を更に膨らませることができるため、裏地のより広い範囲を着用者の身体により確実に接触させやすくなる。
本発明の一態様において、衣服は、非着用状態で送風装置によって内部空間に外気が送出された場合の内部空間の圧力が、送風装置が送風可能な風量範囲内の何れかの風量において、少なくとも5パスカルとなるように構成されていてもよい
本態様の衣服によれば、送風装置によって表地と裏地の間に送出された外気によって内部空間の圧力を少なくとも5パスカルまで高め、裏地を表地から離れる方向に膨らませる(つまり、表地と裏地との間の距離を増大させる)ことができる。これにより、裏地の少なくとも一部を着用者の身体(または肌着)に接触させやすくなるため、裏地に汗を吸収させて、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させやすくなる。この場合、裏地と身体(または肌着)との接触部分では、効率的な熱交換が行われ、着用者を効果的に冷却することができる。なお、本態様の「送風装置が送風可能な風量範囲」とは、風量が一律である(変更不能である)場合には、予め定められた所定の風量をいい、風量が変更可能である場合には、使用者の操作を介して、あるいは制御装置によって設定可能な風量の最小値から最大値までの範囲をいう。なお、衣服に着脱可能な送風装置の仕様に関する現実的な制約を考慮すると、最小値は概ね毎分0.4立方メートル(m/min)以上であり、最大値は概ね毎分2.5立方メートル(m/min)以下である。縫製にもよるが、内部空間の圧力は、40.4パスカル以下程度であることが好ましい。この場合、内部空間の圧力が高まりすぎて、裏地が過度に着用者の身体に押し付けられ、着用感が損なわれるのを抑制することができる。
本発明の一態様において、裏地は、第1領域と、第1領域よりも通気度が高い第2領域とを含んでもよい。本態様によれば、裏地は、内部空間に送出された外気が、単位時間あたりに所定の単位面積を流通可能な体積量の観点で、第1領域よりも通気度が高い第2領域から流出しやすい構成とされている。よって、着用者の身体の特定の部位に対応して第2領域を選択的に配置することで、着用者の身体をより効果的に冷却することが可能となる。
本発明の一態様において、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した第1領域の通気度は、1〜50cc/cm/sの範囲内であるとよい。第1領域の通気度は、好ましくは10〜30cc/cm/sの範囲内であり、より好ましくは、15〜25cc/cm/sの範囲内である。本態様によれば、内部空間に送出された外気を、第2領域から積極的に流出させて身体の特定の部位を効果的に冷却しつつ、第1領域からも緩やかに流出させて身体のより広範囲からの放熱を促進し、冷感をより高めることができる。なお、第1領域の通気度を上記範囲内とすることで、裏地が着用者の身体に接触していない場合であっても、第1領域を通して身体側に流出する外気によって、身体からの放熱を促進することができる。特に、第1領域の通気度が、10〜30cc/cm/sの範囲内である場合は、送風量を大きくしなくても、裏地の少なくとも一部が着用者の身体に接触しつつ、第1領域を通して外気が身体側に十分に流出するので、裏地と身体(または肌着)との接触部分における効率的な熱交換と、身体の広範囲からの放熱との両方をより確実に実現することができ、効果的に着用者の身体を冷却することが可能となる。
本発明の一態様において、第2領域は、メッシュ生地で構成されており、第1領域は、メッシュ生地以外の織物、編物または不織布等で構成されていてもよい。本態様によれば、空隙の割合がより高いメッシュ生地で構成された第2領域からスムーズに外気を流出させることができる。
本発明の一態様において、第2領域は、裏地のうち、衣服の着用時に着用者の首周り、腕の付け根周り、および胸部のうち少なくとも1つに対応する領域であってもよい。本態様によれば、熱がこもった身体の冷却効果が高いとされる部位(皮膚のすぐ下に太い血管が通っている部位)に外気を直接当て、着用者の身体をより効果的に冷却することができる。
本発明の一態様において、裏地の縁部は、表地に対して全体が開放不能な状態、または一部が開閉可能な状態で表地に取り付けられていてもよい。なお、「開放不能な状態」とは、典型的には、縁部全体が縫合や接着等によって表地に接合されている状態を指し、「開閉可能な状態」とは、典型的には、縁部の一部に開口が設けられ、その開口がボタン、スライドファスナ、面ファスナ等の手段によって閉塞可能であることを指すものである。本態様によれば、送風装置で送風が行われる場合には内部空間が表地と裏地によって取り囲まれた状態を確保して、内部空間から無用に外気が漏れることを抑制し、より確実に内部空間の圧力を維持することができる。また、必要に応じて縁部の一部と表地との間に形成される開口から、選択的に外気を排出することができる。
本発明の一態様において、衣服は、着用された状態で、送風装置によって内部空間に外気が送出された場合に、内部空間の圧力が、裏地と着用者の身体の間に形成される空間の圧力よりも高くなるように構成されていてもよい。本態様によれば、裏地を良好に膨らませることができる。
本発明の一態様によれば、衣服は、着用された状態で、送風装置によって内部空間に外気が送出された場合に、裏地の少なくとも一部が着用者の身体に密着するように構成されていてもよい。本態様によれば、裏地に汗を吸収させ、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させる効果をより高めることができる。
本発明の一態様において、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した裏地の通気度は、1〜50cc/cm/sの範囲内であり、且つ、表地の通気度よりも大きくてもよい
本態様の衣服では、裏地の通気度は、表地の通気度よりは大きいものの、比較的小さく設定されている。これにより、内部空間の外気の圧力をある程度高く維持しつつ、内部空間の外気を、裏地を通して着用者の身体側に緩やかに流出させることができる。よって、本態様の衣服によれば、裏地が身体に接触していない場合であっても、裏地全体から緩やかに流出する外気によって身体の広範囲からの放熱を促進し、着用者を効果的に冷却することができる。また、裏地の少なくとも一部が着用者の身体に接触している場合には、その部分に汗を吸収させ、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させることができる。この場合、効率的な熱交換によって着用者を効果的に冷却することができる。
なお、本態様における裏地の通気度は、好ましくは10〜30cc/cm/sの範囲内であり、より好ましくは、15〜25cc/cm/sの範囲内である。また、裏地には、上記範囲の上限よりも通気度が大きい通気口(通気度がより高い生地で覆われた開口であっても、貫通孔であってもよい)が選択的に設けられていてもよい。なお、第1領域の通気度を上記範囲内とすることで、裏地が着用者の身体に接触していない場合であっても、第1領域を通して身体側に流出する外気によって、身体からの放熱を促進することができる。特に、第1領域の通気度が、10〜30cc/cm/sの範囲内である場合は、送風量を大きくしなくても、裏地の少なくとも一部が着用者の身体に接触しつつ、第1領域を通して外気が身体側に十分に流出するので、裏地と身体(または肌着)との接触部分における効率的な熱交換と、身体の広範囲からの放熱との両方をより確実に実現することができ、効果的に着用者の身体を冷却することが可能となる。
本発明の一態様において、裏地の通気度は、表地の通気度よりも大きくてもよい。また、裏地のうち、表地と裏地との接合部に囲まれた第1領域の面積は、表地のうち接合部に囲まれた第2領域の面積よりも大きくてもよい
本態様の衣服は、裏地の通気度を表地の通気度よりも高く設定することで、送風装置が取付け部に装着され、内部空間に外気が送出された場合、外気が表地よりも裏地から流出しやすい構成とされている。また、裏地の第1領域の面積の方が表地の第2領域の面積よりも大きいため、裏地が着用者の身体側に膨らみやすく、裏地の少なくとも一部が着用者の身体(または肌着)に接触しやすくなる。これにより、裏地に汗を吸収させて、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させやすくなる。また、裏地を通して流出した外気によって、着用者の身体からの放熱を促進することができる。よって、着用者の身体を効果的に冷却することができる。また、表地よりも裏地の膨らみの方が大きくなるため、例えば、表地を身体に沿った大きさとした場合であっても、裏地を効率的に身体に接触させやすい。なお、本態様において、第1領域の面積は、第2領域の面積の1.1〜2倍であることが好ましい。この場合、裏地を身体側に効果的に膨ませることができる。
なお、本態様における表地と裏地との接合方法は特に限定されるものではなく、例えば、縫合、接着を含む。なお、第1領域および第2領域は、全周に亘って接合されている必要はなく、外周の一部に接合されていない部分(内部空間と外部とを連通する開口)が選択的に設けられてもよい。また、このような開口は、例えば、ボタン、スライドファスナ、面ファスナ等の手段によって閉塞可能であってもよい。
背面からみた状態の上着を示す説明図である。 前を開いた状態の上着の内側を示す説明図である。 ファンユニットが取り付けられた上着の断面を示す説明図である。 ファンユニットの斜視図である。 ファンユニットの吸気部の正面図である。 バッテリホルダの斜視図である。 内圧Pと風量Qの関係の説明図である。 背面からみた状態のベストを示す説明図である。 前を開いた状態のベストの内側を示す説明図である。 実施形態の上着と、変形例の上着およびベストと、比較例の上着の内圧の実測データを示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、本発明に係る衣服の一例として、上着1を例示する。
まず、上着1の概略構成について説明する。図1および図2に示す本実施形態の上着1は、通気衣服、空調衣服、冷却衣服などとも称される衣服の一例であって、送風を行うファンユニット8を着脱可能に構成されている。上着1は、表地2と裏地3とを備えており、ファンユニット8は、吸気口860および排気口880が表地2の外側および裏地3側に夫々配置された状態で、表地2に取り付けられる。着用者が上着1を着用した状態でファンユニット8による送風が行われると、吸気口860から吸い込まれた外気が、排気口880を介して表地2と裏地3の間に送出され、表地2と裏地3の間に形成された内部空間10(図3参照)内を流動する。これにより裏地3が膨らみ、着用者の身体(肌着を着用した状態を含む)に接触して、汗を吸収する。そして、内部空間10を流動する外気がこの汗を蒸発させることで熱を奪い、着用者に冷感を与えるものである。また、外気は、裏地3を通して内部空間10から流出し、身体全体の放熱を促進することによっても着用者に冷感を与える。
以下、上着1の詳細構成について説明する。図1および図2に示すように、上着1は、前開きの長袖の上衣として構成されており、表地2と、表地2に取り付けられた裏地3とを備えている。
表地2は、後身頃21、前身頃23、および袖25を有する。
図1に示すように、後身頃21は、2つのファンユニット8を着脱可能に構成されている。より詳細には、後身頃21は、下部(詳細には、着用時に着用者の腰上部を覆う部分)の2箇所に、ファンユニット8が取り付けられる取付け開口211を有する。なお、取付け開口211は、ファンユニット8のハウジング84の筒状部85(図3参照)の径と概ね同径に形成されている。以下、取付け開口211の周縁部を、ファン取付け部212ともいう。なお、ファン取付け部212は、ファンユニット8を安定して取り付け可能とするために、補強材によって補強されていることが好ましい。
図2に示すように、前身頃23は、左身頃と右身頃とが1対のスライドファスナ231によって接続(開閉)可能とされている。また、表地2の裾は、引き紐29を通した状態で、筒状に縫い止められている。着用者は、適宜、引き紐29を引っ張ってストッパで留めることで、裾の絞り具合を調節することができる。また、袖25の袖口は一部がゴムで伸縮自在とされており、更に、面ファスナ付きのストラップ251で、袖口の絞り具合が調整可能とされている。
なお、本実施形態では、表地2には、優れた耐水性および透湿性を有する生地が採用されている。より詳細には、表地2には、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(56dtex/72fil)の経糸およびポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(56dtex/72fil)の緯糸を用いた平織物が採用されており、その経密度は220本/2.54cm、緯密度は145本/2.54cmである。また、表地2の目付けは107g/mである。更に、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度は、本実施の形態においては、単位時間当たり単位面積を通過する流体体積として、0.1cc/cm/s(当該単位については、「cc/(cm・s)」とも表記される)である。
図2に示すように、裏地3は、表地2の後身頃21および前身頃23全体を覆うように、縁部30の全体が表地2に縫い付けられている。つまり、袖25には裏地は取り付けられていない。なお、ファンユニット8による送風時に、表地2から離れる方向(つまり着用者の身体側)に膨らみやすいように、裏地3のうち、表地2と裏地3との縫合部(縁部30)に囲まれた領域の面積は、表地2のうち、縁部30に囲まれた領域の概ね1.1倍とされている。
裏地3のうち、後身頃21を覆う部分の下端部には、縁部30に沿って、直線状に切り込まれた開口301が形成されている。開口301は、スライドファスナ302により開閉可能とされている。ファンユニット8をファン取付け部212に着脱する場合には、スライドファスナ302が開けられ、開口301を介して着脱作業が行われる。一方、上着1を着用してファンユニット8による送風が行われる場合には、スライドファスナ302は閉じられた状態とされる。これにより、腰の周囲で内部空間10から外気が漏れ出ることが防止される。裏地3のうち、右前身頃を覆う部分には、スナップボタンによって留め付け可能なフラップを有するポケット304が設けられている。更に、裏地3のうち、2つのファン取付け部212に対向する部分の下側には、夫々、ファンユニット8と、後述するバッテリホルダ96(図3参照)とを接続するためのケーブル91を挿通可能な開口306が設けられている。なお、開口306の周囲には、ケーブル91が挿通されている場合にはその外周部を覆うとともに、ケーブル91が挿通されていない場合に開口306を実質的に塞ぐべく、筒状のカバーが設けられている。
また、裏地3は、通気度が互いに異なる複数の領域を有する。具体的には、裏地3は、より低い通気度を有する主領域31と、より高い通気度を有する排気領域32とを有する。主領域31は、裏地3の面積の大部分を占めており、ファンユニット8による送風時に伴って膨らみ、着用者の身体に接触可能な領域を含む。一方、排気領域32は、表地2と裏地3の間に送出された外気が主領域31よりも容易に通過可能な領域として構成されている。排気領域32は、着用者が特に冷感を得やすく、熱がこもった身体の冷却効果が高いとされる部位(皮膚のすぐ下に太い血管が通っている部位)に対応して選択的に設けられる。本実施形態では、排気領域32は、着用時に、着用者の首筋、両脇の下、両腕の付け根の背中側の部分、および胸部(特に、鳩尾およびその上部)に夫々対向する領域に設けられている。なお、排気領域32は、縁部30に隣接して設けられている。また、排気領域32全体の面積は、主領域31の面積の10パーセント以下程度にとどめられている。
本実施形態では、主領域31と排気領域32は、通気度が異なる生地で構成されている。主領域31には、優れた吸汗・速乾性を有する生地が採用されている。より詳細には、主領域31には、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(83dtex/24fil)の経糸およびポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(33dtex/12fil)の緯糸を用いた綾織物が採用されており、この織物には吸水加工が施されている。また、主領域31の密度は、126本/2.54cm、90本/2.54cmである。また、主領域31の目付けは、77.2g/mである。更に、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した主領域31の通気度は、19.4cc/cm/sである。一方、主領域31よりも通気度の高い排気領域32には、通気度100cc/cm/s以上のメッシュ生地が採用されている。
以下、上着1に着脱可能に構成されたファンユニット8の構成について説明する。図3および図4に示すように、ファンユニット8は、本体部81と、本体部81とは別体として形成され、本体部81に着脱可能なリング部材89とを備えている。
まず、本体部81について説明する。図3に示すように、本体部81は、モータ82と、ファン83と、モータ82およびファン83を収容するハウジング84とを主体として構成されている。モータ82およびファン83は、ハウジング84内に同軸状に配置されている。なお、本実施形態では、モータ82として、ブラシを有する直流モータが採用されている。ファン83は、複数の羽根831を備えた軸流ファンとして構成されている。ファン83は、モータ82の駆動に伴って、回転軸A1周りにモータシャフトと一体的に回転される。
図3〜図5に示すように、ハウジング84は、リング部材89が取り付けられる筒状部85と、吸気口860を有する吸気部86と、吸気部86の周囲に設けられたフランジ部87と、排気口880を有する排気部88とを含む。
図3に示すように、筒状部85は円筒状に形成された部分であって、ファン83の回転軸A1を中心軸として、モータ82およびファン83と同軸状に配置されている。詳細な図示は省略するが、筒状部85の外周面には、リング部材89の内周面に形成された雌ネジ部に螺合可能な雄ネジ部が形成されている。
吸気部86は、筒状部85の2つの開口端のうちファン83の吸気側の端を覆うように配置されている。図5に示すように、吸気部86は、回転軸A1方向からみて全体として円形に形成されており、閉塞部861と、第1リブ863と、第2リブ864とを含む。閉塞部861は、回転軸A1に概ね直交するように、吸気部86の中心部に配置された板状部である。第1リブ863は、閉塞部861から概ね放射状に延びている。第2リブ864は、閉塞部861の外形に対応する環状に形成され、吸気部86の径方向中央部に配置されて、第1リブ863を接続している。本実施形態では、吸気部86の第1リブ863および第2リブ864の間に形成された開口が、吸気口860を構成する。各吸気口860は、吸気部86を回転軸A1方向に貫通している。フランジ部87は、吸気部86の外周から径方向外側に突出するように設けられている。
図3に示すように、排気部88は、筒状部85の2つの開口端のうちファン83の排気側の端を覆うように配置されている。図4に示すように、排気部88は、全体としては、回転軸A1方向において筒状部85から離れる方向に突出する円形ドーム状に形成されており、閉塞部881と、第1リブ883と、第2リブ884と、第3リブ885とを含む。閉塞部881は、回転軸A1に概ね直交するように、排気部88の中心部に配置された板状部である。第1リブ883は、閉塞部881から放射状に延びている。第2リブ884は、環状に形成され、第1リブ883の径方向外側の端部を接続する。第3リブ885は、回転軸A1周りの周方向に等間隔で配置され、第2リブ884と筒状部85の端部を円弧状に接続する。本実施形態では、排気部88の第1リブ883、第2リブ884、第3リブ885の間に形成された開口が、排気口880を構成する。各排気口880は、排気部88を回転軸A1方向に貫通している。なお、排気口880のうち、第3リブ885の間に形成された排気口880は、排気部88を回転軸A1に交差する方向にも貫通している。
また、図3および図4に示すように、排気部88の周方向における一部には、第1リブ883〜第3リブ885が設けられていないコネクタ配置領域887が設けられている。コネクタ配置領域887に対して回転軸A1側には、モータ82に電気的に接続されたコネクタ888が配置されている。コネクタ配置領域887には、ファンユニット8とバッテリホルダ96とを接続するためのケーブル91のコネクタ913が配置され、コネクタ888に差し込まれる。なお、図2に示すように、ケーブル91は、2つのファンユニット8に対応可能な二股状に構成されており、一端にはバッテリホルダ96のコネクタ962(図6参照)に接続可能なコネクタ911を有し、二股に分かれた他端の各々には、ファンユニット8のコネクタ888に接続可能なコネクタ913を有する。
次に、リング部材89について説明する。図3および図4に示すように、リング部材89は、筒状部891と、フランジ部893とを主体として構成されている。筒状部891は、本体部81の筒状部85の外周に着脱可能に構成された短尺状の円筒体として形成されている。詳細な図示は省略するが、本実施形態では、筒状部891の内周面には、雌ネジ部が形成されている。筒状部85の外周面に形成された雄ネジ部に対してこの雌ネジ部が螺合されることで、リング部材89が本体部81に対して同軸状に取付けられる。フランジ部893は、筒状部85の軸方向における一端部から径方向外側に突出するように設けられている。フランジ部893の外径は、本体部81のフランジ部87の外径と概ね同一に設定されている。
以上のように構成されたファンユニット8は、図3に示すように、本体部81の吸気部86および排気部88が、表地2の外側(つまり、外気に曝される側)および裏地3側(着用者の身体側)に夫々配置された状態で、ファン取付け部212に取り付けられる。具体的には、使用者はまず、リング部材89が取り外された状態の本体部81の一部を、上着1の取付け開口211に挿入する。より詳細には、本体部81のフランジ部87をファン取付け部212の外側に配置し、筒状部85と排気部88を、取付け開口211から上着1の内側へ挿入する。これにより、フランジ部87の前側にファン取付け部212(表地2)が配置された状態となる。更に、使用者は、裏地3のスライドファスナ302(図2参照)を開け、開口301を通してリング部材89を本体部81に取り付ける。具体的には、外側のフランジ部87と内側のフランジ部893によってファン取付け部212(表地2)が挟持される位置まで、リング部材89(筒状部891)を本体部81(筒状部85)に螺合させる。このようにしてファンユニット8が取付けられると、排気口880は、裏地3に対向するように、表地2と裏地3の間に配置される。
その後、図2に示すように、開口301を通してケーブル91のコネクタ911がファンユニット8に接続され、コネクタ913側の端部が、ケーブル91用の開口306から裏地3の内側に引き出される。本実施形態では、ファンユニット8は、ケーブル91を介して、図6に示すバッテリホルダ96に電気的に接続可能とされている。バッテリホルダ96は、ファンユニット8の電源としての充電式のバッテリ95を装着可能、且つ、電気的に接続可能な周知の構成を有する。なお、本実施形態のバッテリ95は、各種の電動工具(スクリュードライバ、ハンマドリル等)に装着されて、電動工具の電源としても使用可能な周知のバッテリである。バッテリホルダ96からは、一端にコネクタ962を有するケーブル961が延出されている。コネクタ962には、ケーブル91のコネクタ911を接続可能である。
なお、バッテリ95が装着されたバッテリホルダ96は、ポケット304(図2参照)内に収容することができる。また、バッテリホルダ96に設けられた弾性を有するクリップ963によって、ベルト等に取り付けることも可能である。
また、バッテリホルダ96には、ファンユニット8(詳細には、モータ82)の駆動開始および停止の指示を入力するための操作ボタン965が設けられている。本実施形態では、バッテリホルダ96には、操作ボタン965を介して入力された情報に応じてモータ82の駆動制御を行うコントローラ(典型的には、CPUを備えたマイクロコンピュータ)も搭載されている。また、本実施形態では、操作ボタン965は、ファンユニット8の風量の調節のための指示も入力可能とされている。風量の調節は、コントローラによって、操作ボタン965から入力された情報に応じてモータ82の回転数が変更されることで行われる。なお、本実施形態では、ファンユニット8の風量は、毎分0.8m(弱)と、毎分1.4m(強)の2段階に調節可能とされている。
以下、上着1とファンユニット8による送風との関係について説明する。本実施形態では、上述のように、ファンユニット8の吸気口860は表地2の外側に配置され、排気口880は表地2と裏地3の間に配置される。モータ82が駆動され、ファン83が回転されると、吸引された外気は、吸気口860を通ってハウジング84内へ流入する。流入した外気は、排気口880を通って前方および回転軸A1に交差する方向に流出する。つまり、表地2と裏地3の間に外気が送出される。
従来の通気衣服等と称される衣服に関しては、着用者の身体と衣服の生地(裏地がない衣服では表地、裏地がある衣服では裏地)との間の空間で外気を流動させることで、着用者の汗を蒸発させて熱を奪うことに主眼が置かれている。このため、衣服の末端部(例えば、上着やズボンの裾、前立て、襟元、袖口等)をファスナ等で閉じたりゴムで絞ったりすることで、身体と生地の間に外気が流動可能な空間を保つことが一般的である。これにより、着用時の動きやすさや、着用態様の自由度が損なわれやすい。
これに対し、本実施形態の発明者らは、従来とは異なる次の2点に着目し、本実施形態の上着1を構成している。1点は、ファンユニット8によって表地2と裏地3の間に送出された外気によって内部空間10の圧力を大気圧よりも上昇させて裏地3を表地2から離れる方向に膨らませ(つまり、表地2と裏地3との間の距離を増大させ)、裏地3の少なくとも一部を着用者の身体に接触させて汗を吸収させ、表地2と裏地3の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させるという点である。この場合、裏地3の身体に接触している部分で効率的な熱交換が行われ、着用者は、冷感を得ることができる。また、もう1点は、裏地3の比較的広い領域を通して内部空間10から外気を緩やかに流出させることで、身体からの放熱を促すという点である。
この着目点に基づき、発明者らは、非着用状態の上着1においてファンユニット8が送風を行った場合の、表地2と裏地3の間に形成される内部空間10の圧力(以下、単に内圧ともいう)とファンユニット8の風量との適切な関係を見出した。
まず、内圧は、内部空間10における外気の流れを妨げる力(圧力損失、送風抵抗)に概ね対応すると考えられる。圧力損失は、風量の二乗に比例することが知られている。そこで、発明者らは、内圧P(Pa)と風量Q(m/min)との間に、P=K・Q(Kは係数)という関係式(近似式)が成立しうるとの観点から、係数Kについて鋭意検討した。なお、係数Kは、所定の(無次元)定数(Constant)である。
その結果、係数Kが1.1以上であることが好ましいことを特定し、風量Qと内圧Pとが、P≧1.1Qという関係を満たす場合に、風量Qに応じて好ましい内圧P、つまり、裏地3を着用者の身体に接触させやすくなるだけの内圧Pが得られることを見出した。なお、一定の風量Qで送風を行った場合、裏地3が最大限膨らむまでは内圧Pは徐々に上昇するため、ここでいう内圧Pは、風量Qにおける最大の内圧に対応している。また、係数Kは、1.4倍以上であると好ましく、2.0倍以上であるとより好ましく、3.0倍以上であると更に好ましい。つまり、風量Qと内圧Pとが、P≧1.4Qという関係を満たすことが好ましく、P≧2.0Qという関係を満たすことがより好ましく、P≧3.0Qという関係を満たすことが更に好ましい。
本実施形態の上着1に関し、発明者らは、差圧式流量計を用いて風量を測定しつつ、非着用状態で吊るされた上着1の取付け開口211から、内部空間10へ送風を行った。そして、このときの内圧(ゲージ圧(大気圧を基準とした圧力))を、後身頃21の中央下部(腰部あたり)の表地2と裏地3の間に配置された圧力計を用いて測定した。この結果、風量が毎分0.86mのときの内圧は6.0Pa、風量が毎分1.16mのときの内圧は8.6Pa、風量が毎分1.63mのときの内圧は13.3Pa、風量が毎分2.16mのときの内圧は19.2Pa、風量が毎分2.56mのときの内圧は23.7Paであった。この結果が、関数P=1.1Q、P=1.4Q、P=2.0Q、P=3.0Qのグラフとともに、図7にダイヤ型のマーカでプロットされている。図7に示すように、本実施形態の上着1によれば、内圧Pと風量Qは、P≧3.0Qという関係を満たしており、ファンユニット8の風量Qが毎分0.8m(弱)に設定された場合でも、比較的高い内圧Pを得ることができることがわかる。
更に、発明者らは、次のような手順で、内圧Pと、表地2と裏地3との間の最大距離Dとの関係についても特定した。まず、ファンユニット8がファン取付け部212に取り付けられ、スライドファスナ231が開かれて左身頃と右身頃とが分かれた状態の上着1を広げ(図2参照)、表地2が下側、裏地3が上側となるように概ね水平な平面(床)に載置した。そして、ファンユニット8によって送風を行い、後身頃21の中央下部(腰部あたり)の表地2と裏地3の間に配置された圧力計を用いて特定された内圧Pにおける表地2と裏地3との間の最大距離Dを測定した。この結果、内圧Pが0.40Pa、0.72Pa、0.90Pa、1.09Pa、1.52Paであるときの最大距離Dは、夫々、3.0cm、5.5cm、8.0cm、13.0cm、16.5cmであった。
この結果から、内圧Pと風量Qの関係がP≧1.1Qの関係を満たす場合には、風量Qが少なくとも毎分0.8mであれば、概ね5.5cm以上の最大距離Dが得られると考えられ、内圧Pと風量Qの関係がP≧1.4Qの関係を満たす場合には、風量Qが少なくとも毎分0.8mであれば、概ね8.0cm以上の最大距離Dが得られると考えられる。また、内圧Pと風量Qの関係がP≧2.0Qの関係を満たす場合には、風量Qが毎分0.6mであれば概ね5.5cm以上の最大距離Dが得られ、風量Qが毎分0.7mであれば8.0cm以上の最大距離Dが得られると考えられる。更に、内圧Pと風量Qの関係がP≧3.0Qの関係を満たす場合には、風量Qが毎分0.5mであれば5.5cm以上の最大距離Dが得られ、風量Qが毎分0.6mであれば8.0cm以上の最大距離Dが得られると考えられる。
内圧Pが同じである場合、実際に着用者が上着1を着用した場合の表地2と裏地3との間の距離は、上述のように測定された最大距離Dよりも短くなると考えられるが、最大距離Dが少なくとも5.5cmであれば、平均的な体型(身長および胸囲)の成人男性の場合には、裏地3(特に、後身頃21を覆う領域)の一部を着用者の身体に密着させることができることが確認された。更に、最大距離Dが少なくとも8.0cmであれば、裏地3(特に、後身頃21を覆う領域)のより広い範囲を着用者の身体に確実に密着させることができること、また、平均的な成人男性よりも小柄な(身長および胸囲が小さい)着用者にも対応可能であることが確認された。実施形態の上着1に関しては、上述のように、内圧Pと風量Qは、P≧3.0Qという関係を満たしており、ファンユニット8の風量Qが毎分0.8m(弱)に設定された場合でも、内圧Pは少なくとも1.92Paとなる。よって、最大距離Dは16.5cm以上となるため、裏地3を十分に着用者の身体に密着させ、着用者の身体を効果的に冷却することができることがわかる。
また、本実施形態の上着1では、裏地3は、主領域31と、主領域31よりも通気度の高い排気領域32とを含んでいる。特に、本実施形態では、排気領域32がメッシュ生地、主領域31が綾織生地で構成されており、排気領域32の通気度は主領域31よりも大幅に高い。このため、内部空間10に送出された外気は、排気領域32から流出しやすく、内部空間10における外気の流動性も確保される。よって、排気領域32から流出した外気が首筋、両脇の下、両腕の付け根の背中側の部分、および胸部(鳩尾およびその上部)に直接当たることで、着用者に冷感を与えるとともに、熱がこもった身体を効果的に冷却することができる。また、内部空間10で流動する外気が裏地3に吸収された汗を効果的に蒸発させることができる。更に、主領域31は、内圧Pを維持可能でありつつも外気のある程度の通過を許容する生地で構成されているため、主領域31のうち、着用者の身体に密着していない領域を通過する外気によって身体の放熱を促進することによっても着用者に冷感を与えることができる。
また、本実施形態では、表地2の通気度は比較的低いことから、内部空間10に送出された外気が表地2を通して外部に流出することが抑制されている。これにより、内圧Pを良好に維持しつつ、外気を排気領域32および主領域31から優先的に流出させることができる。また、両脇の下および背中側の腕の付け根の近傍に設けられた排気領域32から流出した外気を、袖25内を通過させ、袖口から流出させることで、腕を冷却することもできる。なお、袖25の袖口近傍には、外気を排気するための開口が形成されていてもよい。
更に、本実施形態の上着1では、前身頃23のスライドファスナ231を全開し、前を開けた状態(つまり、胸部や腹部が前身頃23に覆われない状態)で上着を着用した場合でも、内圧は良好に維持される。これにより、従来のいわゆる通気衣服等に比べ、着用時の動きやすさや着用態様の自由度を向上することができる。具体的には、上着1の前を閉めた状態で着用できるのみならず、前を開けた状態で、引き紐29で裾を絞らずに使用することもできる。これにより、着用時の圧迫感も解消することができる。更に、本実施形態の上着1は、裏地3のうち縁部(縫合部)30に囲まれた領域の面積は、表地2のうち縁部30に囲まれた領域の概ね1.1倍とされており、外観に影響する表地2よりも、裏地3の方が身体側に膨らみやすい構成とされている。このため、裏地3を効率的に身体側に膨らませて身体に接触させやすくするとともに、上着1の見栄えも良好に保つことができる。
上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る衣服および送風装置は、例示された上着1およびファンユニット8の構成に限定されるものではない。
例えば、上述の係数Kに影響を与える因子として、表地2および裏地3の特性(通気度、目付け、密度、伸び率、繊維の種類、組織の種類等)が挙げられる。よって、上記実施形態の例示に限らず、係数Kが1.1以上である限りにおいて、表地2および裏地3は適宜変更することが可能である。以下に、表地2および裏地3が保有しうる特性について例示する(但し、以下の例に限定されるものではない)。
表地2としては、化学繊維(例えば、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、ポリウレタン繊維、ポリエーテルエステル繊維等)、天然繊維(綿、ウール、絹等)、またはこれらを複合した繊維を含む生地(織物、編物、不織布等)を採用することができる。表地2は、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度が、通常0.01〜40cc/cm/sの範囲内であり、好ましくは0.05〜20cc/cm/sの範囲内であり、より好ましくは0.05〜10cc/cm/sの範囲内である。なお、実施形態で例示したように、表地2の通気度は、裏地3(主領域31)の通気度よりも低いことが好ましい。また、できるだけ少ない風量で裏地3を膨らませるためには、表地2の通気度を上記範囲内で比較的低い値に設定することが好ましい。表地2の目付けは、上記の通気度を満たすように調整することができ、通常、50〜300g/mの範囲内であり、好ましくは70〜250g/mの範囲内である。また、表地2には、耐水性と透湿性に優れた生地が採用されることが好ましい。
裏地3についても、表地2と同様、化学繊維、天然繊維、またはこれらを複合した繊維を含む生地(織物、編物、不織布等)を採用することができる。主領域31の通気度は、通常1〜50cc/cm/sの範囲内であり、好ましくは、10〜30cc/cm/sの範囲内であり、より好ましくは、15〜25cc/cm/sの範囲内である。なお、できるだけ少ない風量で内圧を高め、裏地3を膨らませるためには、主領域31の通気度を上記範囲内で比較的低い値に設定することが好ましい。一方、主領域31を通して身体側に流出する外気によって、身体からの放熱を促進するためには、通気度が低すぎないことが好ましい。主領域31の通気度が、10〜30cc/cm/sの範囲内である場合は、送風量をそれほど大きくしなくても、裏地3の少なくとも一部が着用者の身体に接触しつつ、主領域31を通して外気が身体側に十分に流出するので、裏地3と身体(または肌着)との接触部分における効率的な熱交換と、身体の広範囲からの放熱との両方をより確実に実現することができ、効果的に着用者の身体を冷却することができる。
排気領域32は、主領域31よりも通気度が高ければよく、メッシュ生地以外の平織、綾織等の公知の織編地で構成されていてもよいし、生地で覆われない開口で構成されていてもよい。この場合、開口は、裏地3の縁部30の一部が表地2に対して開閉可能な状態で取り付けられることで形成されていてもよい。開口は、例えば、スライドファスナ、面ファスナ、スナップボタン等によって開閉可能とすることができる。また、排気領域32は、必ずしも、上記実施形態のように、着用者の首筋、両脇の下、両腕の付け根の背中側の部分、および胸部に夫々対向する領域の全てに設けられる必要はない。排気領域32は、少なくとも1つであってもよいし、省略されてもよい。なお、排気領域32が省略される場合には、排気領域32が設けられる場合よりも裏地3の通気度を高くすることが好ましい。この場合、裏地3(主領域31)全体を通過する外気によって身体の広範囲からの放熱を促進することで、効果的な冷却を行うことができる。
また、主領域31に対する排気領域32の面積比率も、適宜変更されてよい。なお、着用者に当たる風の風速が大きいほど冷感が高まることが知られている。ファンユニット8が同じ風量で送風を行ったときの風速は、各排気領域32の面積を小さくするほど大きくなる。よって、できるだけ少ない風量で効果的に着用者の特定の部位を冷却するには、主領域31に対する排気領域32の面積比率や各排気領域32の面積は、比較的小さいことが好ましい。更に、主領域31の通気度を上記範囲内に設定することで、内部空間10に送出された外気を主領域31からも緩やかに流出させて身体の広範囲からの放熱を促進し、冷感をより高めることができる。
また、主領域31の目付けは通常、30〜150g/mの範囲内であり、好ましくは、40〜120g/mの範囲内であり、より好ましくは50〜90g/mの範囲内である。裏地3のうち、少なくとも主領域31を構成する生地は、吸水性および速乾性に優れることが好ましい。
上記実施形態では、上着1は袖25付きの上衣であって、裏地3が後身頃21と前身頃23の内面の概ね全体を覆っている。しかし、裏地3は、後身頃21の内面のみを覆うように取り付けられていてもよいし、後身頃21および前身頃23に加えて袖25の内面を覆うように取り付けられてもよい。なお、表地2のうち、表地2と裏地3との縫合部(縁部30)に囲まれた領域の面積と裏地3の面積との関係は、通常、裏地3の面積が、表地2の上記領域の面積の1倍以上であればよく、好ましくは、1.1〜2倍である。裏地3の表地2に対する取付け方法は、縫合に限られず、接着剤による接着や超音波溶着等が採用されてもよい。
また、本発明の衣服は、例えば、フード付きの上衣、袖無しの上衣(所謂ベスト)、上衣とズボンがつながった所謂つなぎ服、またはズボンとしても好適に実現することができる。上衣およびつなぎ服に関しては、裏地3は、表地2の後身頃21の少なくとも一部(好ましくは半分以上、より好ましくは概ね全域)を覆うように取り付けられることが好ましい。なお、衣服の用途は特に限定されるものではなく、作業着、スポーツウェア、レジャーウェア、消防服、防護服、手術着等として実現されうる。
ここで、図8および図9を参照して、上着1の一変形例に係るベスト100について説明する。図8および図9に示すように、ベスト100は、上着1(図2参照)と同様に、表地200と裏地300とを備えている。但し、上着1とは異なり、表地200は、後身頃21および前身頃23のみを有し、袖は有していない。裏地300は、上着1と同様、後身頃21および前身頃23全体を覆うように、縁部30の全体が表地2に縫い付けられている。但し、上着1とは異なり、裏地300には、両腕の付け根の背中側の部分に対応した排気領域32は設けられていない。上着1におけるこれらの排気領域32は、袖25内へ外気を送出するために設けられているのに対し、袖なしのベスト100ではその必要性は低いからである。ベスト100のその他の構成については、上着1と同一である。
なお、上述のように、衣服の末端部(上着の裾や袖口等)をファスナ等で閉じたりゴムで絞ったりすることで身体と生地の間に外気が流動可能な空間を保つ従来の構造では、ベスト100のような袖無しの上衣を実現することが難しかった。これに対し、裏地300と表地200の間の内部空間10の圧力を利用することで、ベスト100においても効果的に着用者の身体を冷却することができる。また、ベスト100は、袖がないことで、着用時の圧迫感を更に低減し、動きやすさを向上させることができる。
以下に、上着1の更なる変形例としての上着102およびベスト104と、上着1、上着102およびベスト104に対する比較例としての上着109(いずれも図示は省略)について説明する。
上着102は、図2に示す上着1と同じ構成を有する前開きの長袖の上衣として構成されている。つまり、上着102は、後身頃、前身頃および袖を含む表地と、前身頃と後身頃の全体を覆うように取り付けられ、主領域と排気領域とを含む裏地とを備え、ファンユニット8が着脱可能に構成されている。但し、上着102の表地の特性は、上着1の表地2とは異なっている。具体的には、上着102の表地は、綿の織物であって、その経密度は120本/2.54cm、緯密度は110本/2.54cmである。また、表地の目付けは155g/mである。更に、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度は、6.9cc/cm/sである。上着102の裏地(主領域および排気領域)の種類、密度、目付けおよび通気度は、上着1の裏地3と同じである。
ベスト104は、図9に示すベスト100と同じ構成を有する袖なしの上衣として構成されている。つまり、ベスト104は、後身頃および前身頃を含む表地と、前身頃と後身頃の全体を覆うように取り付けられ、主領域と排気領域とを含む裏地とを備え、ファンユニット8が着脱可能に構成されている。なお、両腕の付け根の背中側の部分には対応した排気領域が設けられていない点も、ベスト100と同様である。ベスト104の表地は、ポリエステルの織物であって、その経密度は249本/2.54cm、緯密度は103本/2.54cmである。また、表地の目付けは103g/mである。更に、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した通気度は、0.3cc/cm/sである。ベスト104の裏地(主領域および排気領域)の種類、密度、目付けおよび通気度は、上着1の裏地3と同じである。
比較例に係る上着109は、前開きの長袖の上衣として構成されており、後身頃、前身頃および袖を含む表地と、表地に取り付けられた裏地とを備え、ファンユニット8が着脱可能に構成されている。但し、上着109の裏地は、後身頃のみを覆うように表地に接合されている。上着109の表地の種類、密度、目付けおよび通気度は、上着1の表地2と同じである。上着109の裏地は、ポリエステルのメッシュ生地であって、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定したその通気度は、170.7cc/cm/sである。なお、上着109の裏地は、通気度が非常に高いメッシュ生地で全体が形成されており、上着1の主領域31と排気領域32のように、通気度の異なる複数の領域を含んでいない。
発明者らは、上着1の変形例に係る上着102およびベスト104と、比較例に係る上着109についても、上着1と同様に、差圧式流量計を用いて風量を測定しつつ、ファンユニット8によって表地と裏地の間に形成された内部空間へ送風を行い、このときの内圧(ゲージ圧)を測定した。
上着102に関しては、風量が毎分0.69mのときの内圧は4.4Pa、風量が毎分1.16mのときの内圧は6.3Pa、風量が毎分1.58mのときの内圧は9.9Pa、風量が毎分1.94mのときの内圧は15.6Pa、風量が毎分2.35mのときの内圧は20.5Paであった。
ベスト104に関しては、風量が毎分1.16mのときの内圧は8.2Pa、風量が毎分1.61mのときの内圧は12.7Pa、風量が毎分1.97mのときの内圧は16.1Pa、風量が毎分2.32mのときの内圧は20.0Pa、風量が毎分2.54mのときの内圧は23.5Paであった。
上着109に関しては、風量が毎分0.52mのときの内圧は0.7Pa、風量が毎分1.15mのときの内圧は1.0Pa、風量が毎分1.70mのときの内圧は0.6Pa、風量が毎分2.03mのときの内圧は0.5Pa、風量が毎分2.48mのときの内圧は0.2Paであった。
これらの結果が、関数P=1.1Q、P=1.4Q、P=2.0Q、P=3.0Qのグラフ、および、上述した上着1の測定結果とともに、図10にプロットされている。図10に示すように、本実施形態の上着1と同様、上着102およびベスト104については何れも、内圧Pと風量Qが、P≧3.0Qという関係を満たしている。このことから、上着102およびベスト104においても、ファンユニット8の風量Qが毎分0.8m(弱)に設定された場合でも、比較的高い内圧Pを得ることができることがわかる。よって、上着102およびベスト104でも、上着1と同様、ファンユニット8の駆動に応じて裏地が表地から離れる方向に膨らんで着用者の身体に接触することで、効率的な熱交換を実現することができる。また、裏地を通して緩やかに流出する外気によって、着用者の身体からの放熱を効果的に促すことができる。
一方、比較例の上着109に関しては、風量が大きくなっても内圧が高まらない。より詳細には、実際に測定が行われた毎分0.52mから毎分2.48mまでの風量範囲内において、内圧は最大でも1パスカルであって、全体としては1パスカル以下で概ね横這いである。これは、裏地の通気度が170.7cc/cm/sと高く、内部空間に送出された外気が、裏地を容易に通過してしまうためである。なお、裏地の通気度が50cc/cm/sを超えると、内部空間に送出された外気が容易に裏地を通過してしまい、内圧を十分に高めるのが難しくなることから、上述のように、裏地(主領域と排気領域を含む場合は主領域)の通気度の好ましい上限は50cc/cm/sとされている。このように、比較例に係る上着109では、ファンユニット8によって送風が行われても、内圧が十分に高まらないため、裏地を表地から離れる方向に膨らませにくい。また、ファンユニット8から内部空間に送出された外気は、排気口880の近傍で、着用者の身体側へと裏地を容易に通過することができるため、内部空間全域に外気を流動させにくい。よって、上着109が上着1、上着102、ベスト104のような効果を発揮することは難しい。
ファンユニット8の構成についても、適宜、変更されてよい。例えば、モータ82として、より小型で高出力なブラシレスモータが採用されてもよい。ファン83の径や羽根831の数が変更されてもよい。かかる変更に伴い、ファンユニット8の風量も変動しうる。ファンユニット8の風量は、必ずしも2段階で調節可能である必要はない。つまり、ファンユニット8の風量(モータ82の回転数)は一定であってもよいし、3段階以上で調節可能であっても、無段階で調節可能であってもよい。なお、裏地3を十分に膨らませる内圧をより確実に達成するとの観点からは、ファンユニット8の風量は、毎分0.5m以上に設定可能であることが好ましく、毎分0.8m以上に設定可能であることがより好ましい。なお、風量の調節の指示は、操作ボタン965以外の操作部材(ダイアル等)を介して入力されてもよいし、バッテリホルダ96とは別体として設けられた操作ユニットに配置されていてもよい。また、モータ82の駆動制御(ファン83の風量制御)を行うコントローラは、バッテリホルダ96ではなく、ファンユニット8に配置されていてもよい。
なお、ファンユニット8は、1つのハウジング84内に複数のファン83が収容された構成であってもよい。この場合、ファン83の数に対応して、モータ82も複数設けられていてもよい。つまり、本発明の送風装置は、少なくとも1つのファンと、少なくとも1つのモータと、少なくとも1つのファンおよび少なくとも1つのモータを収容するとともに、表地に着脱可能なハウジングとを備えていればよい。
また、ファンユニット8の表地2に対する取付け方法は、上記実施形態の例に限られない。例えば、ハウジング84(筒状部85)およびリング部材89の一方に可撓性を有する係止片が設けられ、他方に係止片が係止可能な凹部が設けられていてもよい。この場合、リング部材89がハウジング84に対して回転軸A1方向に嵌め込まれ、係止片が凹部に係止することで、取付けが完了する。あるいは、ハウジング84(筒状部85)の外周面にL字状のガイド溝が設けられ、リング部材89の内周面にガイド溝に係合可能な突起が設けられていてもよい。この場合、突起がガイド溝内に配置された状態で、リング部材89がハウジング84に対して回転軸A1方向に嵌め込まれ、更に、周方向に回転されることで、取付けが完了する。また、ファンユニット8の取付け位置(ファン取付け部212)が、後身頃21に代えて前身頃23に設けられてもよい。また、ハウジング84が回転軸A2方向に2つの部分に分離可能であって、これら2つの部分が取付け部212を挟持した状態で係合されてもよい。
ファンユニット8の取付け位置や取付け可能な数についても、適宜、変更が可能である。例えば、ファンユニット8は、前身頃に着脱可能であってもよい。取付け可能なファンユニット8の数は、1であってもよいし、3以上であってもよい。
上記実施形態および変形例の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。上着1、120、ベスト100、104は、本発明の「衣服」の一例である。ファンユニット8、吸気口860、排気口880は、夫々、本発明の「送風装置」、「吸気口」、「排気口」の一例である。表地2、200、裏地3、300は、夫々、本発明の「表地」、「裏地」の一例である。ファン取付け部212は、本発明の「取付け部」の一例である。内部空間10は、本発明の「内部空間」の一例である。主領域31、排気領域32は、夫々、本発明の「第1領域」、「第2領域」の一例である。
本発明および上記実施形態の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様のうち少なくとも1つが、単独で、または、上述の実施形態、変形例、もしくは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されてもよい。
[態様1]
前記表地の通気度は、前記裏地の通気度よりも低くてもよい。
[態様2]
前記表地の通気度は、前記裏地の前記第1領域の前記第1の通気度よりも低くてもよい。
これらの態様によれば、内部空間に送出された外気が表地を通して外部に流出することを抑制するため、内部空間の圧力を良好に維持しつつ、外気を裏地から優先的に流出させることができる。なお、JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した表地の通気度は、0.01〜40cc/cm/sの範囲内であるとよく、好ましくは0.05〜20cc/cm/sの範囲内であり、より好ましくは0.05〜10cc/cm/sの範囲内である。
[態様3]
前記裏地のうち、前記表地と前記裏地との接合部に囲まれた第1領域の面積は、前記表地のうち前記接合部に囲まれた第2領域の面積以上であるとよい。
表地の第2領域の面積の方が裏地の第1領域の面積よりも大きいと、表地が外側に膨らみやすい。これに対し、本態様によれば、内部空間に送出された外気によって、裏地を表地から離れる方向に膨らませ、裏地の少なくとも一部を身体に接触させやすくすることができる。なお、第1領域の面積が第2領域の面積よりも大きい場合には、特に効果的である。
[態様4]
前記表地は、前記取付け部を有する後身頃と、前身頃とを含み、
前記裏地は、少なくとも前記後身頃の一部を覆うように前記表地に取り付けられており、
前記後身頃を下、前記裏地を上にした状態で前記衣服を概ね水平な平面に載置し、前記内部空間に前記送風装置で送風を行った場合に、前記圧力が0.72Paであるときの前記表地と前記裏地の最大距離が、少なくとも5.5cmであってもよい。
本態様によれば、内部空間の圧力を0.72Paまで高めることで、裏地の少なくとも一部を着用者の身体に密着させることができる。
[態様5]
態様4において、前記圧力が0.90Paであるときの前記表地と前記裏地の最大距離が、少なくとも8.0cmであってもよい。
本態様によれば、内部空間の圧力を0.90Paまで高めることで、裏地のより広い領域を着用者の身体により確実に密着させることができる。
[態様6]
吸気口と排気口とを有する送風装置が着脱可能な衣服において、
後身頃と前身頃とを少なくとも含む表地と、
少なくとも前記後身頃の一部を覆うように、前記表地に取り付けられた裏地とを備え、
前記後身頃は、前記吸気口および前記排気口が前記表地の外側および前記裏地側に夫々配置された状態で前記送風装置が取り付けられる取付け部を有し、
前記表地と前記裏地の間には、前記送風装置の駆動によって前記排気口から送出された外気が流動可能な内部空間が形成されており、
前記送風装置は、毎分0.5m以上の風量の外気を送出可能であって、
前記衣服は、前記後身頃を下、前記裏地を上にした状態で前記衣服を概ね水平な平面に載置し、前記送風装置によって毎分0.8mの風量で前記内部空間に前記外気が送出されたときの前記内部空間を形成する前記表地と前記裏地との間の最大距離が、少なくとも5.5cmとなるように構成されていてもよい。
本態様によれば、比較的少ない毎分0.8mの風量でも、裏地の少なくとも一部を着用者の身体に密着させることができる。
[態様7]
態様6の衣服において、前記最大距離は、少なくとも8.0cmとなるように構成されていてもよい。
本態様によれば、比較的少ない毎分0.8mの風量でも、裏地のより広い領域を着用者の身体により確実に密着させることができる。
[態様8]
態様6または態様7の衣服において、
前記後身頃を下、前記裏地を上にした状態で前記衣服を概ね水平な平面に載置し、前記送風装置が毎分0.5mの風量で前記内部空間に前記外気を送出したときの前記最大距離が、少なくとも5.5cmとなるように構成されていてもよい。
本態様によれば、比較的少ない毎分0.5mの風量でも、裏地の少なくとも一部を着用者の身体に密着させることができる。
[態様9]
態様8の衣服において、前記後身頃を下、前記裏地を上にした状態で前記衣服を概ね水平な平面に載置し、前記送風装置が毎分0.6mの風量で前記内部空間に前記外気を送出したときの前記最大距離が、少なくとも8.0cmとなるように構成されていてもよい。
本態様によれば、比較的少ない毎分0.6mの風量でも、裏地のより広い領域を着用者の身体により確実に密着させることができる。
[態様10]
前記衣服は、後身頃と前身頃とを少なくとも含む上着であって、
前記前身頃は、右前身頃と左前身頃とが、分離可能に接合されていてもよい。
本態様によれば、前身頃を左右に分離した状態(つまり、前を開けた状態)で着用することが可能となるため、着用時の動きやすさや着用態様の自由度を向上することができる。なお、右前身頃と左前身頃は、例えば、スライドファスナ、面ファスナ、スナップボタン等によって分離可能に接合することができる。
[態様11]
前記衣服は、後身頃と前身頃とを含む袖なしの上着であってもよい。
本態様によれば、衣服の着用時の圧迫感を更に低減し、動きやすさを更に向上させることができる。
[態様12]
前記裏地には、吸水加工が施されていてもよい。
本態様によれば、着用者の身体に接触した裏地で汗を速やかに吸収し、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させることができるため、冷却効果をより一層高めることができる。
[態様13]
前記第2領域は、少なくとも1つ設けられており、全体として、前記第1領域の面積の10パーセント以下の面積を有していてもよい。
本態様によれば、好適な内圧を維持しつつ、着用者の特定の部位を選択的に冷却することができる。
[態様14]
衣服であって、
吸気口と排気口とを有する送風装置と、
表地と、
前記表地に取り付けられた裏地とを備え、
前記表地は、前記吸気口および前記排気口が前記表地の外側および前記裏地側に夫々配置された状態で前記送風装置が着脱可能な取付け部を有し、
前記表地と前記裏地の間には、前記送風装置の駆動によって前記排気口から送出された外気が流動可能な内部空間が形成されており、
前記衣服は、非着用状態で前記送風装置によって前記内部空間に前記外気が送出された場合の前記内部空間の圧力が、前記送風装置が送風可能な風量範囲内の何れかの風量において、少なくとも5パスカルとなるように構成されていることを特徴とする衣服。
本態様の衣服によれば、送風装置によって表地と裏地の間に送出された外気によって内部空間の圧力を少なくとも5パスカルまで高め、裏地を表地から離れる方向に膨らませる(つまり、表地と裏地との間の距離を増大させる)ことができる。これにより、裏地の少なくとも一部を着用者の身体(または肌着)に接触させやすくなるため、裏地に汗を吸収させて、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させやすくなる。この場合、裏地と身体(または肌着)との接触部分では、効率的な熱交換が行われ、着用者を効果的に冷却することができる。なお、本態様の「送風装置が送風可能な風量範囲」とは、風量が一律である(変更不能である)場合には、予め定められた所定の風量をいい、風量が変更可能である場合には、使用者の操作を介して、あるいは制御装置によって設定可能な風量の最小値から最大値までの範囲をいう。なお、衣服に着脱可能な送風装置の仕様に関する現実的な制約を考慮すると、最小値は概ね毎分0.4立方メートル(m /min)以上であり、最大値は概ね毎分2.5立方メートル(m /min)以下である。縫製にもよるが、内部空間の圧力は、40.4パスカル以下程度であることが好ましい。この場合、内部空間の圧力が高まりすぎて、裏地が過度に着用者の身体に押し付けられ、着用感が損なわれるのを抑制することができる。
[態様15]
吸気口と排気口とを有する送風装置が着脱可能な衣服であって、
表地と、
前記表地に取り付けられた裏地とを備え、
前記表地は、前記吸気口および前記排気口が前記表地の外側および前記裏地側に夫々配置された状態で前記送風装置が着脱可能な取付け部を有し、
前記表地と前記裏地の間には、前記取付け部に装着された前記送風装置の駆動によって前記排気口から送出された外気が流動可能な内部空間が形成されており、
JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した前記裏地の通気度は、1〜50cc/cm /sの範囲内であり、且つ、前記表地の通気度よりも大きいことを特徴とする衣服。
本態様の衣服では、裏地の通気度は、表地の通気度よりは大きいものの、比較的小さく設定されている。これにより、内部空間の外気の圧力をある程度高く維持しつつ、内部空間の外気を、裏地を通して着用者の身体側に緩やかに流出させることができる。よって、本態様の衣服によれば、裏地が身体に接触していない場合であっても、裏地全体から緩やかに流出する外気によって身体の広範囲からの放熱を促進し、着用者を効果的に冷却することができる。また、裏地の少なくとも一部が着用者の身体に接触している場合には、その部分に汗を吸収させ、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させることができる。この場合、効率的な熱交換によって着用者を効果的に冷却することができる。
なお、本態様における裏地の通気度は、好ましくは10〜30cc/cm /sの範囲内であり、より好ましくは、15〜25cc/cm /sの範囲内である。また、裏地には、上記範囲の上限よりも通気度が大きい通気口(通気度がより高い生地で覆われた開口であっても、貫通孔であってもよい)が選択的に設けられていてもよい。なお、第1領域の通気度を上記範囲内とすることで、裏地が着用者の身体に接触していない場合であっても、第1領域を通して身体側に流出する外気によって、身体からの放熱を促進することができる。特に、第1領域の通気度が、10〜30cc/cm /sの範囲内である場合は、送風量を大きくしなくても、裏地の少なくとも一部が着用者の身体に接触しつつ、第1領域を通して外気が身体側に十分に流出するので、裏地と身体(または肌着)との接触部分における効率的な熱交換と、身体の広範囲からの放熱との両方をより確実に実現することができ、効果的に着用者の身体を冷却することが可能となる。
[態様16]
吸気口と排気口とを有する送風装置が着脱可能な衣服であって、
表地と、
前記表地に取り付けられた裏地とを備え、
前記表地は、前記吸気口および前記排気口が前記表地の外側および前記裏地側に夫々配置された状態で前記送風装置が着脱可能な取付け部を有し、
前記表地と前記裏地の間には、前記取付け部に装着された前記送風装置の駆動によって前記排気口から送出された外気が流動可能な内部空間が形成されており、
前記裏地の通気度は、前記表地の通気度よりも大きく、
前記裏地のうち、前記表地と前記裏地との接合部に囲まれた第1領域の面積は、前記表地のうち前記接合部に囲まれた第2領域の面積よりも大きいことを特徴とする衣服。
本態様の衣服は、裏地の通気度を表地の通気度よりも高く設定することで、送風装置が取付け部に装着され、内部空間に外気が送出された場合、外気が表地よりも裏地から流出しやすい構成とされている。また、裏地の第1領域の面積の方が表地の第2領域の面積よりも大きいため、裏地が着用者の身体側に膨らみやすく、裏地の少なくとも一部が着用者の身体(または肌着)に接触しやすくなる。これにより、裏地に汗を吸収させて、表地と裏地の間で流動する外気によって、この汗を蒸発させやすくなる。また、裏地を通して流出した外気によって、着用者の身体からの放熱を促進することができる。よって、着用者の身体を効果的に冷却することができる。また、表地よりも裏地の膨らみの方が大きくなるため、例えば、表地を身体に沿った大きさとした場合であっても、裏地を効率的に身体に接触させやすい。なお、本態様において、第1領域の面積は、第2領域の面積の1.1〜2倍であることが好ましい。この場合、裏地を身体側に効果的に膨ませることができる。
なお、本態様における表地と裏地との接合方法は特に限定されるものではなく、例えば、縫合、接着を含む。なお、第1領域および第2領域は、全周に亘って接合されている必要はなく、外周の一部に接合されていない部分(内部空間と外部とを連通する開口)が選択的に設けられてもよい。また、このような開口は、例えば、ボタン、スライドファスナ、面ファスナ等の手段によって閉塞可能であってもよい。
1:上着
10:内部空間
2:表地
21:後身頃
211:取付け開口
212:ファン取付け部
23:前身頃
231:スライドファスナ
25:袖
251:ストラップ
29:引き紐
3:裏地
30:縁部
301:開口
302:スライドファスナ
304:ポケット
306:開口
31:主領域
32:排気領域
8:ファンユニット
81:本体部
82:モータ
83:ファン
831:羽根
84:ハウジング
85:筒状部
86:吸気部
860:吸気口
861:閉塞部
863:第1リブ
864:第2リブ
87:フランジ部
88:排気部
880:排気口
881:閉塞部
883:第1リブ
884:第2リブ
885:第3リブ
887:コネクタ配置領域
888:コネクタ
89:リング部材
891:筒状部
893:フランジ部
91:ケーブル
911:コネクタ
913:コネクタ
95:バッテリ
96:バッテリホルダ
961:ケーブル
962:コネクタ
963:クリップ
965:操作ボタン

Claims (12)

  1. 衣服であって、
    吸気口と排気口とを有する送風装置と、
    表地と、
    前記表地に取り付けられた裏地とを備え、
    前記表地は、前記吸気口および前記排気口が前記表地の外側および前記裏地側に夫々配置された状態で前記送風装置が着脱可能な取付け部を有し、
    前記表地と前記裏地の間には、前記送風装置の駆動によって前記排気口から送出された外気が流動可能な内部空間が形成されており、
    前記内部空間は、前記衣服が非着用状態で、前記送風装置によって風量Q(1分当たりの立方メートル:m/min)で前記内部空間に前記外気が送出された場合に、前記風量Qと前記内部空間の圧力P(パスカル:Pa)とが、P≧1.1Qという関係を満たすように構成されていることを特徴とする衣服。
  2. 請求項1に記載の衣服であって、前記内部空間は、前記風量Qと前記圧力Pとが、P≧1.4Qという関係を満たすように構成されていることを特徴とする衣服。
  3. 衣服であって、
    吸気口と排気口とを有する送風装置と、
    表地と、
    前記表地に取り付けられた裏地とを備え、
    前記表地は、前記吸気口および前記排気口が前記表地の外側および前記裏地側に夫々配置された状態で前記送風装置が着脱可能な取付け部を有し、
    前記表地と前記裏地の間には、前記送風装置の駆動によって前記排気口から送出された外気が流動可能な内部空間が形成されており、
    前記衣服は、非着用状態で前記送風装置によって前記内部空間に前記外気が送出された場合の前記内部空間の圧力が、前記送風装置が送風可能な風量範囲内の何れかの風量において、少なくとも5パスカルとなるように構成されていることを特徴とする衣服。
  4. 請求項1〜3の何れか1つに記載の衣服であって、
    前記裏地は、第1領域と、前記第1領域よりも通気度が高い第2領域とを含むことを特徴とする衣服。
  5. 請求項4に記載の衣服であって、
    JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した前記第1領域の通気度が、1〜50cc/cm/sの範囲内であることを特徴とする衣服。
  6. 請求項4または5に記載の衣服であって、
    前記第2領域は、メッシュ生地で構成されており、
    前記第1領域は、前記メッシュ生地以外の織物、編物または不織布で構成されていることを特徴とする衣服。
  7. 請求項4〜6の何れか1つに記載の衣服であって、
    前記第2領域は、前記裏地のうち、前記衣服の着用時に着用者の首周り、腕の付け根周り、および胸部のうち少なくとも1つに対応する領域であることを特徴とする衣服。
  8. 請求項1〜7の何れか1つに記載の衣服であって、
    前記裏地の縁部は、前記表地に対して全体が開放不能な状態、または一部が開閉可能な状態で前記表地に取り付けられていることを特徴とする衣服。
  9. 請求項1〜8の何れか1つに記載の衣服であって、
    前記衣服が着用された状態で、前記送風装置によって前記内部空間に前記外気が送出された場合に、前記内部空間の前記圧力が、前記裏地と着用者の身体の間に形成される空間の圧力よりも高くなるように構成されていることを特徴とする衣服。
  10. 請求項1〜8の何れか1つに記載の衣服であって、
    前記衣服が着用された状態で、前記送風装置によって前記内部空間に前記外気が送出された場合に、前記裏地の少なくとも一部が着用者の身体に密着するように構成されていることを特徴とする衣服。
  11. 吸気口と排気口とを有する送風装置が着脱可能な衣服であって、
    表地と、
    前記表地に取り付けられた裏地とを備え、
    前記表地は、前記吸気口および前記排気口が前記表地の外側および前記裏地側に夫々配置された状態で前記送風装置が着脱可能な取付け部を有し、
    前記表地と前記裏地の間には、前記取付け部に装着された前記送風装置の駆動によって前記排気口から送出された外気が流動可能な内部空間が形成されており、
    JIS L1096―1998 6.27通気性A法(フラジール法)により測定した前記裏地の通気度は、1〜50cc/cm/sの範囲内であり、且つ、前記表地の通気度よりも大きいことを特徴とする衣服。
  12. 吸気口と排気口とを有する送風装置が着脱可能な衣服であって、
    表地と、
    前記表地に取り付けられた裏地とを備え、
    前記表地は、前記吸気口および前記排気口が前記表地の外側および前記裏地側に夫々配置された状態で前記送風装置が着脱可能な取付け部を有し、
    前記表地と前記裏地の間には、前記取付け部に装着された前記送風装置の駆動によって前記排気口から送出された外気が流動可能な内部空間が形成されており、
    前記裏地の通気度は、前記表地の通気度よりも大きく、
    前記裏地のうち、前記表地と前記裏地との接合部に囲まれた第1領域の面積は、前記表地のうち前記接合部に囲まれた第2領域の面積よりも大きいことを特徴とする衣服。
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