JP2020125574A - 衣料 - Google Patents

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Abstract

【課題】着用者の身体を効率的に冷やすことができる衣料を提供する。【解決手段】表地11と、表地11よりも着用者の肌側に配置されている裏地12と、表地11の縁部11aと裏地12が互いに止着されている第1止着部と、表地11に取り付けられており、外部の空気を表地11と裏地12の間に取り込む送風機15と、を有する上衣2を備え、上衣2には、長手方向と幅方向を有し、長手方向がアームホール2Aの少なくとも一部に沿って配置されている帯状布地13であって、幅方向の一方側が表地に接続されており、幅方向の他方側が裏地に接続されている帯状布地13が設けられており、帯状布地13には、表地11と裏地12の間の空気を着用者側に排出する複数の第1排気口16Aが設けられている衣料。【選択図】図3

Description

本発明は、表地と裏地の間に空気を通すことで身体の熱を外に逃がすことができる送風機付きの衣料に関するものである。
熱中症等の対策として、現場作業時、運動時、スポーツ観戦時等に着用する送風機付きの衣服が開発されている。例えば、特許文献1には表布と裏布との間の通気ダクトに該当する箇所に介在して通気ダクトの通気可能状態を維持するスペーサー手段が設けられている衣服が開示されている。
特開2015−212447号公報
しかし、従来の送風機付きの衣料は、着用者の身体を効率的に冷やす観点からは改善の余地があった(第1の課題)。また、身体を曲げたり捻ったりする等、着用者の動きや姿勢によっては空気の流れが悪化して部分的に冷却できないおそれがあったり、衣料全体が膨らむことで太って見えることがあった。また、送風機付きの衣料は、送風機を容易に取り外すことができないため、洗濯しにくいという問題もあった(第2の課題)。
そこで、本発明の第1の観点は、着用者の身体を効率的に冷やすことができる衣料を提供することを目的とする。また、本発明の第2の観点は、着用者が動いたり姿勢を変えても衣料全体を冷却しつつ、スリムなシルエットも得られる送風機付きの衣料であって、送風機の少なくとも一部を取り外しやすい衣料を提供することを目的とする。
前記第1の課題を解決することができた本発明の第1の観点に係る衣料の一実施態様は、表地と、表地よりも着用者の肌側に配置されている裏地と、表地の縁部と裏地が互いに止着されている第1止着部と、表地に取り付けられており、外部の空気を表地と裏地の間に取り込む送風機と、を有する上衣を備えた衣料であって、上衣には、長手方向と幅方向を有し、長手方向がアームホールの少なくとも一部に沿って配置されている帯状布地であって、幅方向の一方側が表地に接続されており、幅方向の他方側が裏地に接続されている帯状布地が設けられており、帯状布地には、表地と裏地の間の空気を着用者側に排出する複数の第1排気口が設けられていることを特徴とする。本発明によれば、上衣のアームホールに沿って配置されている帯状布地に複数の第1排気口が設けられているため、汗を掻きやすい着用者の脇の下に向かって空気を排出する、または熱が籠もりやすい袖内に空気を流すことができるため、着用者の身体を効率よく冷やすことができる。
帯状布地のうち表地と接続されている部分の長さは、裏地と接続されている部分の長さよりも長いことが好ましい。これにより、身長方向においてアームホールを上側領域と下側領域に二等分割したときに、下側領域の下端部に設けられている帯状布地の幅方向が、着用者の身幅方向に沿って倒れるように配置されやすくなり、着用者の脇の下側に向かって空気が排出されやすくなる。また、上側領域の上端部に設けられている帯状布地の幅方向が、着用者の身長方向に沿って立ち上がるように配置されやすくなり、袖口側に向かって空気が排出されやすくなる。
身長方向においてアームホールを上側領域と下側領域に二等分割したときに、帯状布地は、下側領域にのみ配置されており、下側領域に配置されている第1排気口から着用者の脇の下側に向かって空気が排出されることが好ましい。これにより、汗を掻きやすい着用者の脇の下に重点的に空気を排出することができるため、着用者の身体を効率よく冷やすことができる。
身長方向においてアームホールを上側領域と下側領域に二等分割したときに、帯状布地は、上側領域のみに配置されており、上側領域に配置されている第1排気口から袖口側に向かって空気が排出されることが好ましい。これにより、熱が籠もりやすい袖内に空気を流すことができるため、着用者の身体を効率よく冷やすことができる。
帯状布地は、アームホールの全周にわたって環状に配置されており、身長方向においてアームホールを上側領域と下側領域に二等分割したときに、上側領域に配置されている第1排気口から袖口側に向かって空気が排出され、下側領域に配置されている第1排気口から着用者の脇の下側に向かって空気が排出されることが好ましい。これにより、汗を掻きやすい着用者の脇の下に重点的に空気を排出しつつ、熱が籠もりやすい袖内に空気を流すことができるため、着用者の身体を効率よく冷やすことができる。
帯状布地は、帯状布地の肩頂部を中央に含む全長の四分の一の長さ部分Aが、平面展開視において80度以上140度以下湾曲していることが好ましい。このように帯状布地を形成することにより、帯状布地のうち部分Aの幅方向が着用者の身長方向に沿って立ち上がるように配置されやすくなるため、袖口側に向かって空気を排出しやすくなる。
帯状布地は、帯状布地の肩頂部の反対側を中央に含む全長の四分の一の長さ部分Bが、平面展開視において10度以上80度以下湾曲していることが好ましい。このように帯状布地を形成することにより、帯状布地のうち部分Bの幅方向が着用者の身幅方向に沿って倒れるように配置されやすくなるため、着用者の脇の下側に向かって空気が排出されやすくなる。
上記部分Aに配置されている第1排気口からの排気方向を表す単位ベクトルaは、上記部分Bに配置されている第1排気口からの排気方向を表す単位ベクトルbよりも、身幅方向の外方に向かう成分が大きいことが好ましい。このように第1排気口を配置することにより、汗を掻きやすい着用者の脇の下に重点的に空気を排出しつつ、熱が籠もりやすい袖内に空気を流すことができるため、着用者の身体を効率よく冷やすことができる。
前記第2の課題を解決することができた本発明の第2の観点に係る衣料の一実施態様は、表地と、該表地よりも着用者の肌側に配置されている裏地と、表地の縁部と裏地が互いに止着されている第1止着部と、表地に取り付けられており、外部の空気を表地と裏地の間に取り込む送風機と、裏地に形成されており、表地と裏地の間の空気を着用者側に排出する複数の第2排気口と、を有している衣料であって、第1止着部から離間している位置において表地と裏地が互いに止着されている複数の第2止着部が設けられており、さらに下記(1)〜(3)に規定する条件を満たしていることを特徴とする。
(1)送風機は表地の少なくとも一部を構成する領域Xに取り付けられている。
(2)領域Xは、第1止着部または第2止着部によって囲まれている領域である。ただし、領域Xを区画している第2止着部同士の間にある隙間、領域Xを区画している第2止着部と第1止着部の間にある隙間があることにより表地と裏地とが互いに止着されていない部分が存在していても、隙間の大きさが、隙間の部分を送風機が通り抜けないものであることを条件として、隙間の部分に第2止着部が存在しているものとみなして領域Xを画定する。
(3)裏地は領域Xに相対向する領域Yを有しており、領域Xおよび領域Yの少なくとも一方には、開閉可能な開口部が設けられている。
本発明によれば、第2止着部が設けられていることにより表地と裏地の間の空気の流れを適度に分岐させることができるため、着用者が動いたり姿勢を変えても衣料全体を冷却することができる。また、第2止着部を複数設けていることにより衣料の膨らみを抑制することができるため、スリムなシルエットを得ることもできる。さらに、上記のように送風機と開口部が配置されていることにより、開口部を経由して送風機の少なくとも一部を外部に取り出しやすくなる。これにより、送風機の少なくとも一部が衣料から取り外されるため、衣料を洗濯しやすくなる。
開口部は領域Yに設けられていることが好ましい。これにより裏地側の開口部から送風機の少なくとも一部を外部に取り出すことができるとともに、衣料の着用時に開口部を目立ちにくくすることもできる。
送風機の全部又は一部は、開口部を経由して外部に取り出し可能であることが好ましい。これにより、送風機の全部又は一部を衣料から取り外すことができるため、衣料を洗濯しやすくなる。
開口部にはジップファスナーが備えられていることが好ましい。ジップファスナーをスライドさせることにより、開口部の開閉を容易に行うことができる。
身幅方向に対して45度以上120度以下傾斜した方向または身長方向に延在している第2止着部(以下、第2−1止着部と称する)は、身幅方向の一方側と他方側のそれぞれに配置されており、送風機は、各々の第2−1止着部よりも身幅方向の外方にある領域Xにそれぞれ取り付けられていることが好ましい。これにより、送風機からの空気をスムーズに第2−1止着部に誘導しながら、身幅方向の内方側の膨らみを抑制することができるため、スリムなシルエットを得ることができる。
送風機は、身幅方向に対して3度以上20度以下傾斜した方向または身幅方向に延在している第2止着部(以下、第2−2止着部と称する)よりも身長方向の上側に取り付けられていることが好ましい。このように第2−2止着部が配置されていることにより表地と裏地の間の空気の流れをさらに多数に分岐することができる。また、複数の第2−2止着部によって空気の流れがせき止められ、送風機からの空気を、第2−2止着部よりも身長方向yの上側に優先的に流すことができるため、裾部が膨らみにくくなり腰回りをすっきりとしたデザインにすることができる。
身長方向において、複数の第2−2止着部は、複数の第2−1止着部よりも下方に配置されていることが好ましい。複数の第2−2止着部によって空気の流れがせき止められ、送風機からの空気を、空気の流れを適度に分岐させることができる第2−1止着部に優先的に流すことができるため、衣料全体の冷却効果を一層高めることができる。
本発明の第1の観点に係る衣料は、上衣のアームホールに沿って配置されている帯状布地に複数の第1排気口が設けられているため、汗を掻きやすい着用者の脇の下に向かって空気を排出する、または熱が籠もりやすい袖内に空気を流すことができるため、着用者の身体を効率よく冷やすことができる。また、本発明の第2の観点に係る衣料は、第2止着部が設けられていることにより表地と裏地の間の空気の流れを適度に分岐させることができるため、着用者が動いたり姿勢を変えても衣料全体を冷却することができる。また、第2止着部を複数設けていることにより衣料の膨らみを抑制することができるため、スリムなシルエットを得ることもできる。さらに、上記のように送風機と開口部が配置されていることにより、開口部を経由して送風機の少なくとも一部を外部に取り出しやすくなる。これにより、送風機の少なくとも一部が衣料から取り外されるため、衣料を洗濯しやすくなる。
本発明の第1の観点および第2の観点に係る衣料の正面図を表す。 本発明の第1の観点および第2の観点に係る衣料の背面図を表す。 本発明の第1の観点に係る衣料の一実施形態の拡大斜視図を表す。 図3に示した帯状布地の平面展開図を表す。 本発明の第1の観点に係る衣料の他の実施形態の拡大斜視図を表す。 図5に示した帯状布地の平面展開図を表す。 本発明の第1の観点に係る衣料のさらに他の実施形態の拡大斜視図を表す。 図7に示した帯状布地の平面図を表す。 図7に示した帯状布地の部分Aの平面展開図を表す。 図7に示した帯状布地の部分Bの平面展開図を表す。 本発明の第2の観点に係る衣料の一実施形態であり、衣料の前身頃を表側から見た平面図を表す。 図11に示した前身頃を裏側から見た平面図を表す。 図11に示した衣料の後身頃を表側から見た平面図を表す。 図11に示した衣料の後身頃を裏側から見た平面図を表す。 図13に示した衣料の後身頃を表側から見た平面図の変形例を表す。 図15に示した衣料の後身頃を裏側から見た平面図を表す。 図13に示した衣料の後身頃を表側から見た平面図の他の変形例を表す。 図17に示した衣料の後身頃を裏側から見た平面図を表す。 図14に示した衣料の後身頃を裏側から見た平面図の他の変形例を表す。 図14に示した衣料の後身頃を裏側から見た平面図のさらに他の変形例を表す。 本発明の第2の観点に係る衣料の他の実施形態の斜視図を表す。 図21に示した衣料の背面図を表す。 図21に示した衣料に設けられているフードを表側から見た側面図を表す。 図21に示したフードを裏側から見た側面図を表す。
まず、本発明の第1の観点および第2の観点の双方に共通する衣料の構成例について説明する。以下、本発明に係る衣料に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
本発明において衣料とは身に着けるものであり、コート・ジャケット・ジャンパー等の上衣、ズボン・スカート等の下衣、ワンピース・つなぎ等の上衣と下衣が一体化したつなぎ服を含む。また、本発明の上衣の袖は、例えば長袖や七分袖のように肘よりも手首側に袖口があるものであってもよく、例えば半袖や袖がないノースリーブのように肘よりも肩側に袖口があるものであってもよく、五分袖のように肘の位置に袖口があるものでもよい。本発明の衣料は、防暑用、スポーツ用、アウトドア用として好適に用いられる。
本発明において衣料の裏側とは、衣料を着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、衣料の表側とは、衣料を着用した際の着用者とは反対側を意味する。また、本発明において身幅方向とは着用者の左右方向を意味し、身長方向とは着用者の身長方向であって上下方向を意味する。
図1〜図2を用いて衣料の構成例について説明する。図1〜図2は、それぞれ本発明の第1の観点および第2の観点に係る衣料1の正面図と背面図を表す。なお、図1〜図2において、身幅方向xの一方側x1に配置されているのが右前身頃3R、他方側x2に配置されているのが左前身頃3Lである。図1〜図2では、衣料1が、袖がなく立襟7を有する上衣2(ベスト)である例を用いて説明するが、衣料の態様はこれに限定されるものではなく、袖付きのものであってもよく、また、襟がなくてもよく、さらに別の態様の襟やフードを有していてもよい。袖付きの場合、袖部は裏地がなく、表地一枚で構成されるものであってもよい。衣料1は、表地11と、裏地と、第1止着部21と、送風機15と、複数の排気口と、を有している。
表地11は、衣料1の表側に配置されている生地であり、裏地は、表地11よりも着用者の肌側に配置されている生地である。表地11と裏地は、それぞれ1枚の生地から構成されていてもよく、複数の生地を積層することにより構成されていてもよい。特に第2の観点に係る衣料においては、後述する第2排気口16Bとは別に裏地から着用者側に空気を排出することで冷却効果を一層高めるために、裏地は表地11よりも高い通気性を有していてもよい。
表地11や裏地を構成する生地の材料は、衣料に一般に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、布地(織布、編布、不織布等)、樹脂が積層されている布地、樹脂フィルム、これらを組み合わせた材料等を用いることができる。布地を構成する繊維としては、例えば、綿・絹等の天然繊維、ポリエステル・ポリエチレン・ナイロン等の合成繊維が挙げられる。生地同士は、縫合、接着剤による接着、熱融着、超音波融着等により接合することができる。
表地は裏地に比べて通気度(フラジール通気度:JIS L 1096)の低い生地で構成されていてもよい。これにより、表地から外部に空気が抜けることに起因する空気の取り込み効率が落ちることがなく、また裏地から全体的に身体に空気を与えることができる。表地の通気度は低いほど好ましく、例えばフラジール通気度をゼロ(測定限界以下)とすることができる。
第1止着部21では、表地11の縁部11aと裏地が互いに止着されている。このように表地11の縁部11aが裏地に止着されていることにより、表地11と裏地の間に空気を通す流路のベースとなる部分を形成することができる。このように第1止着部21を形成することにより、衣料1にポケットが設けられていてもよい。表地11の縁部11aは、表地11の縁から5cm以内の範囲であり、好ましくは3cm以内、さらに好ましくは1cm以内の範囲である。
第1止着部21において、表地11の縁部11aと裏地の縁部が互いに止着されていてもよい。図1〜図2に示すように、第1止着部21において、表地11の周縁部と裏地の周縁部が互いに止着されていてもよい。第1止着部21の数は特に限定されず、複数設けられていてもよい。
送風機15は、表地11に取り付けられており、外部の空気を表地11と裏地の間に取り込む。送風機15は、衣料1を着用したときに邪魔にならない位置に配置されていればよい。例えば衣料1が上衣2の場合、送風機15は前身頃3と後身頃4の少なくともいずれか一方に形成されていることが好ましく、後身頃4に形成されていることがより好ましい。具体的には、送風機15は、身長方向yにおいて肩甲骨よりも下方に配置されていることが好ましく、着用者の腰に対応する位置に配置されていることがより好ましく、また、袖には形成されていないことが好ましい。
送風機15の数は特に限定されないが、身体全体を効率よく冷却するために、送風機15は、身幅方向xの一方側x1と他方側x2にそれぞれ取り付けられていることが好ましく、後身頃4の左側と右側にそれぞれ取り付けられていることがより好ましい。送風機15は、身幅方向xに離間して配置されていてもよい。なお、本発明において身幅方向xの一方側x1と他方側x2はそれぞれ身幅方向xの中央線Cの右側と左側を意味する。
本発明の第1の観点に係る衣料には少なくとも第1排気口が後述する帯状布地に設けられ、第2の観点に係る衣料には少なくとも第2排気口が裏地に設けられる。以下では、第1排気口と第2排気口をまとめて排気口と称することがある。排気口は、表地と裏地の間の空気を着用者側に排出する貫通口である。衣料には複数の排気口が設けられる。複数の排気口は、左右対称に配置されていてもよい。排気口の形状は、特に限定されず、例えば、円形状、楕円形状、多角形状、あるいはこれらの組み合わせとすることができる。複数の排気口の形状は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
排気口の開口面積は特に限定されないが、例えば10mm2以上であることが好ましく、20mm2以上であることがより好ましく、30mm2以上であることがさらに好ましく、また、300mm2以下であることが好ましく、280mm2以下であることがより好ましく、250mm2以下であることがさらに好ましい。排気口が円形である場合、排気口16の直径は、5mm以上、好ましくは7mm以上とすることができ、20mm以下、好ましくは15mmの範囲としてもよい。
以下では、本発明の第1の観点に係る衣料の構成例について詳しく説明する。本発明の第1の観点に係る衣料の一実施態様は、表地と、表地よりも着用者の肌側に配置されている裏地と、表地の縁部と裏地が互いに止着されている第1止着部と、表地に取り付けられており、外部の空気を表地と裏地の間に取り込む送風機と、を有する上衣を備えた衣料であって、上衣には、長手方向と幅方向を有し、長手方向がアームホールの少なくとも一部に沿って配置されている帯状布地であって、幅方向の一方側が表地に接続されており、幅方向の他方側が裏地に接続されている帯状布地が設けられており、帯状布地には、表地と裏地の間の空気を着用者側に排出する複数の第1排気口が設けられていることを特徴とする。本発明によれば、上衣のアームホールに沿って配置されている帯状布地に複数の第1排気口が設けられているため、汗を掻きやすい着用者の脇の下に向かって空気を排出する、または熱が籠もりやすい袖内に空気を流すことができるため、着用者の身体を効率よく冷やすことができる。
図3は、本発明の第1の観点に係る衣料1の一実施形態において、左前身頃3Lを拡大した斜視図を表し、図4は、図3に示した帯状布地の平面展開図を表す。図3では、衣料1が袖6の無い上衣2(ベスト)である例を示している。帯状布地13は、長手方向pと、長手方向pと垂直な幅方向qと、を有する布地であり、アームホール2Aの周りに第1排気口16Aを配置するために設けられている。帯状布地13はその長手方向pがアームホール2Aの少なくとも一部に沿って配置されている。また、帯状布地13はその幅方向qの一方側13Baが表地に接続されており、幅方向qの他方側13Bbが裏地12に接続されている。長手方向pおよび幅方向qの双方と垂直な方向が帯状布地13の厚さ方向である。なお、図3では、左前身頃3Lのアームホール2Aに帯状布地13が設けられている状態を示したが、右前身頃のアームホールにも同様に帯状布地が設けられていることが好ましい。
帯状布地13は、複数の生地が長手方向pまたは幅方向qに接続されることによって形成されていてもよい。また、帯状布地13は、1または複数の生地が厚さ方向に積層されることによって形成されていてもよい。
帯状布地13は、幅方向qの長さ(すなわち幅)が長手方向pの長さよりも短いものであればよく、その長さは第1排気口16Aの形状や開口面積に応じて設定することができる。帯状布地13の幅は、長手方向pにおいて一定であってもよく、長手方向pの場所によって異なっていてもよい。帯状布地13は長手方向pの一部が直線状に延在していてもよく、また、長手方向pの少なくとも一部が湾曲していてもよく、長手方向pの全体が湾曲していてもよい。
帯状布地13には複数の第1排気口16Aが設けられている。複数の第1排気口16Aは、帯状布地13の長手方向pに離隔して配置されていることが好ましい。換言すれば、複数の第1排気口16Aは、アームホール2Aの周方向に沿って並んで配置されていることが好ましい。隣り合う第1排気口16Aどうしの離隔距離は一定であっても変化していてもよい。例えば、帯状布地13に少なくとも3つの第1排気口16Aが長手方向pに離隔して配置されている場合、これらを第1−1排気口、第1−2排気口、第1−3排気口とすると、第1−1排気口と第1−2排気口の離隔距離は、第1−2排気口と第1−3排気口の離隔距離と同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
一つのアームホール2Aに設けられている複数の第1排気口16Aは、帯状布地13の肩頂部13Cを通りかつ身長方向yに平行な直線に対して線対称に配置されていることが好ましい。これにより、着用者の前後方向においてバランスよく身体を冷却することができる。
帯状布地13は、第1排気口16Aが設けられている部分の幅が、第1排気口16Aが設けられていない部分の幅よりも広く形成されていることが好ましい。これにより、帯状布地13に第1排気口16Aを形成しやすくなる。
帯状布地13を構成する生地の材料としては、表地や裏地を構成する生地の材料の説明を参照することができる。第1排気口16Aとは別に着用者側に空気を排出することで冷却効果を一層高めるために、帯状布地13は裏地と同程度の通気性を有していることが好ましく、例えば、表地よりも高い通気性を有する構成とすることができる。
帯状布地13と表地11、または帯状布地13と裏地12は、縫合、接着剤による接着、熱融着、超音波融着等により接合することができる。
帯状布地13のうち表地11と接続されている部分の長さは、裏地12と接続されている部分の長さよりも長いことが好ましい。これにより、身長方向yにおいてアームホール2Aを上側領域2Aaと下側領域2Abに二等分割したときに、下側領域2Abの下端部に設けられている帯状布地13の幅方向qが着用者の身幅方向xに沿って倒れるように配置されやすくなり、着用者の脇の下側に向かって空気が排出されやすくなる。また、上側領域2Aaの上端部に設けられている帯状布地13の幅方向qが、着用者の身長方向yに沿って立ち上がるように配置されやすくなり、袖口6A側に向かって空気が排出されやすくなる。
帯状布地13のうち表地11と接続されている部分の長さは、裏地12と接続されている部分の長さの1.01倍以上であることが好ましく、1.05倍以上であることがより好ましく、1.07倍以上であることがさらに好ましく、また、2倍以下、1.5倍以下、1.3倍以下、あるいは1.25倍以下とすることも許容される。
図3に示すように、身長方向yにおいてアームホール2Aを上側領域2Aaと下側領域2Abに二等分割したときに、帯状布地13は、下側領域2Abにのみ配置されており、下側領域2Abに配置されている第1排気口16Aから着用者の脇の下側に向かって空気が排出されることが好ましい。これにより、汗を掻きやすい着用者の脇の下に重点的に空気を排出することができるため、着用者の身体を効率よく冷やすことができる。
第1排気口16Aから着用者の脇の下側に向かって空気を排出しやすくするためには、アームホール2Aの身長方向yの下端部において、帯状布地13の厚さ方向と身長方向yのなす角度が45度以内の範囲にあることが好ましく、30度以内の範囲にあることがより好ましく、10度以内の範囲にあることがさらに好ましく、帯状布地13の厚さ方向と身長方向yが平行であることが特に好ましい。
帯状布地13がアームホール2Aの下側領域2Abのみ、または後述するように上側領域2Aaのみに配置される場合、図4に示すように帯状布地13の長手方向pの少なくとも一方端部がその一方端13Aa側に向かって幅狭に形成されていることが好ましく、帯状布地13の長手方向pの一方端部がその一方端13Aa側に向かって幅狭に形成されており、他方端部がその他方端13Ab側に向かって幅狭に形成されていることがより好ましい。これによりアームホール2Aの周方向において、表地11と裏地12の間に帯状布地13が存在している部分から存在していない部分へと切り替わる部分において表地11と裏地12をスムーズに接合することが可能となる。
図5は、本発明の第1の観点に係る衣料1の他の実施形態の左前身頃3Lおよび袖6の部分を拡大した斜視図を表し、図6は、図5に示した帯状布地13の平面展開図を表す。図5では、衣料1が、長袖を有する上衣2である例を示している。図5に示すように、身長方向yにおいてアームホール2Aを上側領域2Aaと下側領域2Abに二等分割したときに、帯状布地13は、上側領域2Aaのみに配置されており、上側領域2Aaに配置されている第1排気口16Aから袖口6A側に向かって空気が排出されることが好ましい。これにより、熱が籠もりやすい袖6内に空気を流すことができるため、着用者の身体を効率よく冷やすことができる。
第1排気口16Aから着用者の袖口6A側に向かって空気を排出しやすくするために、アームホール2Aの身長方向yの上端部(帯状布地13の肩頂部13C)において、帯状布地13の厚さ方向と身幅方向xのなす角度が45度以内の範囲にあることが好ましく、30度以内の範囲にあることがより好ましく、10度以内の範囲にあることがさらに好ましく、帯状布地13の厚さ方向と身幅方向xが平行であることが特に好ましい。
図7は、本発明の第1の観点に係る衣料1のさらに他の実施形態において、左前身頃3Lおよび袖6の部分を拡大した斜視図を表す。図7では、衣料1が長袖を有する上衣2である例を示している。図7に示すように、帯状布地13は、アームホール2Aの全周にわたって環状に配置されており、身長方向yにおいてアームホール2Aを上側領域2Aaと下側領域2Abに二等分割したときに、上側領域2Aaに配置されている第1排気口16Aから袖口6A側に向かって空気が排出され、下側領域2Abに配置されている第1排気口16Aから着用者の脇の下側に向かって空気が排出されることが好ましい。これにより、汗を掻きやすい着用者の脇の下に重点的に空気を排出しつつ、熱が籠もりやすい袖6内に空気を流すことができるため、着用者の身体を効率よく冷やすことができる。
帯状布地13がアームホール2Aの全周にわたって環状に配置されている場合、上側領域2Aaに配置されている第1排気口16Aの数と、下側領域2Abに配置されている第1排気口16Aの数は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。衣料1内の風量を確保する観点からは、上側領域2Aaに配置されている第1排気口16Aの数を、下側領域2Abに配置されている第1排気口16Aの数よりも多くすることが好ましい。また、脇の下側を重点的に冷却する観点からは、下側領域2Abに配置されている第1排気口16Aの数を、上側領域2Aaに配置されている第1排気口16Aの数よりも多くすることが好ましい。
上側領域2Aaに配置されている第1排気口16Aと下側領域2Abに配置されている第1排気口16Aの開口面積は、同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
図8は、図7に示した帯状布地13の平面図を表す。図8では、帯状布地13がアームホール2Aの全周にわたって環状に配置されているときの状態を示しているため、帯状布地13のうち、アームホール2Aの上側領域2Aaに配置されている部分が紙面垂直方向を向くように、アームホール2Aの下側領域2Abに配置されている部分が紙面の上方向を向くように立体的に示されている。図8に示すように立体的形状を有する帯状布地13の全長を、帯状布地13の幅方向qと平行な直線L1によって4等分割して裁断し、4つのパーツ(部分)に分ける。なお、帯状布地13を4つのパーツに分割する際には、帯状布地13の肩頂部13Cに、4つのパーツのうち1つのパーツの長手方向pの中央が位置するように4つの直線L1を配置する。分割して裁断されたパーツのうち、帯状布地13の肩頂部13Cを中央に含む部分を部分A、肩頂部13Cと反対側13Dを中央に含む部分を部分Bと称する。図9、図10は、それぞれ分割して裁断された部分Aおよび部分Bを上から押さえて偏平状にしたときの平面展開図である。
帯状布地13の部分Aの湾曲角度θ1を以下のように設定することが好ましい。図9に示すように、帯状布地13は、帯状布地13の肩頂部13Cを中央に含む全長の四分の一の長さ部分Aが、平面展開視において80度以上湾曲していることが好ましく、より好ましくは90度以上、さらに好ましくは100度以上湾曲しており、また、140度以下湾曲していることが好ましく、より好ましくは130度以下、さらに好ましくは120度以下湾曲している。このように帯状布地13の湾曲角度θ1を設定することにより、帯状布地13のうち部分Aの幅方向qが着用者の身長方向yに沿って立ち上がるように配置されやすくなるため、袖口6A側に向かって空気を排出しやすくなる。
また、帯状布地13の部分Bの湾曲角度θ2を以下のように設定することが好ましい。図10に示すように、帯状布地13は、帯状布地13の肩頂部13Cの反対側を中央に含む全長の四分の一の長さ部分Bが、平面展開視において10度以上湾曲していることが好ましく、より好ましくは20度以上、さらに好ましくは30度以上湾曲しており、また、80度以下湾曲していることが好ましく、より好ましくは70度以下、さらに好ましくは60度以下湾曲している。これにより、帯状布地13のうち部分Bの幅方向qが着用者の身幅方向xに沿って倒れるように配置されやすくなるため、着用者の脇の下側に向かって空気が排出されやすくなる。
なお、図9〜図10において、帯状布地13の湾曲角度θ1、θ2は、直線L2とL3のなす角度によって表すことができる。直線L2は、帯状布地13の部分AまたはBの長手方向pの一方端の位置における幅方向qの中心点13Eと帯状布地13が最も湾曲している位置における幅方向qの中心点13Gとを結んだ直線であり、直線L3は、帯状布地13の部分AまたはBの長手方向pの他方端の位置における幅方向qの中心点13Fと上記点13Gとを結んだ直線である。
図7に示すように、部分Aに配置されている第1排気口16Aからの排気方向を表す単位ベクトルaは、部分Bに配置されている第1排気口16Aからの排気方向を表す単位ベクトルbよりも、身幅方向xの外方に向かう成分が大きいことが好ましい。このように第1排気口16Aを配置することにより、汗を掻きやすい着用者の脇の下に重点的に空気を排出しつつ、熱が籠もりやすい袖6内に空気を流すことができるため、着用者の身体を効率よく冷やすことができる。
図3〜図10では図示していないが、第1の観点に係る衣料1にも、後述する第2の観点に係る衣料1と同様に複数の第2止着部22が設けられていることが好ましい。第2止着部の形状や配置については、第2の観点に係る衣料1の説明を参照することができる。
また、図3〜図10では図示していないが、第1の観点に係る衣料1にも、後述する第2の観点に係る衣料1と同様に、裏地には複数の第2排気口16Bが設けられていることが好ましい。
図11〜図14を用いて本発明の第2の観点に係る衣料の構成例について詳説する。図11〜図12は、それぞれ本発明の実施の形態に係る衣料1の前身頃3を表側と裏側から見た平面図を表し、図13〜図14は、それぞれ図11に示した衣料1の後身頃4を表側と裏側から見た平面図を表す。なお、図11および図12において、身幅方向xの一方側x1に配置されているのが右前身頃3R、他方側x2に配置されているのが左前身頃3Lである。図11〜図14では、衣料1が、袖の無いベストである例を用いて説明するが、衣料の態様はこれに限定されるものではなく、袖付きのものであってもよい。袖部は、裏地がなく、表地一枚で構成されるものであってもよい。衣料1は、表地11と、裏地12と、第1止着部21と、送風機15と、複数の排気口16と、複数の第2止着部22と、を有している。
本発明の第2の観点に係る衣料には、第1止着部21から離間している位置において表地11と裏地12が互いに止着されている複数の第2止着部22が設けられている。第2止着部22が設けられていることにより表地11と裏地12の間の空気の流れを適度に分岐させることができるため、送風機15からの空気は複数のルートを通って排気口16から排出されることが可能となる。その結果、着用者が身体を曲げたり捻ったりする等、姿勢を変えても空気の流れをせき止めずに維持することができ、衣料1全体を冷却することができる。また、第2止着部22を複数設けていることにより衣料1の膨らみを抑制することができるため、スリムなシルエットを得ることもできる。
第2止着部22は、衣料1の身長方向yの全体にわたって設けられていてもよく、身長方向yの一部に設けられていてもよい。
さらに、本発明の第2の観点に係る衣料1は、下記(1)〜(3)に規定する条件を満たしている。
(1)送風機15は表地11の少なくとも一部を構成する領域Xに取り付けられている。(2)領域Xは、第1止着部21または第2止着部22によって囲まれている領域である。ただし、領域Xを区画している第2止着部22同士の間にある隙間30、領域Xを区画している第2止着部22と第1止着部21の間にある隙間30があることにより表地11と裏地12とが互いに止着されていない部分が存在していても、隙間30の大きさが、隙間30の部分を送風機15が通り抜けないものであることを条件として、隙間30の部分に第2止着部22が存在しているものとみなして領域Xを画定する。
(3)裏地12は領域Xに相対向する領域Yを有しており、領域Xおよび領域Yの少なくとも一方には、開閉可能な開口部17が設けられている。
上記のように送風機15と開口部17が配置されていることにより、開口部17を経由して送風機15の少なくとも一部を外部に取り出しやすくなる。これにより、送風機15の少なくとも一部が衣料1から取り外されるため、衣料1を洗濯しやすくなる。図13では、領域Xを左下がりのハッチングで示しており、図14では領域Yを交差するハッチングで示している。
領域Xを区画している第2止着部22同士の間にある隙間30を第1の隙間31、領域Xを区画している第2止着部22と第1止着部21の間にある隙間30を第2の隙間32とすると、上記(2)の条件のただし書きは、「領域Xを区画している第2止着部22同士の間にある第1の隙間31、領域Xを区画している第2止着部22と第1止着部21の間にある第2の隙間32があることにより表地11と裏地12とが互いに止着されていない部分が存在していても、第1の隙間31および第2の隙間32の大きさが、第1の隙間31および第2の隙間32の部分を送風機15が通り抜けないものであることを条件として、第1の隙間31および第2の隙間32の部分に第2止着部22が存在しているものとみなして領域Xを画定する」ことを意味している。また、条件(2)ただし書きの「隙間30の大きさが、隙間30の部分を送風機15が通り抜けないものである」とは、第1の隙間31および第2の隙間32の大きさが、表地11または裏地12の面に対して平行移動させたときにこれら第1の隙間31および第2の隙間32の部分を送風機15が通り抜けないものであることを意味している。
開口部17は、1つのみ設けられていてもよく、複数設けられていてもよい。中でも、開口部17と送風機15の数が同じであることが好ましい。このように送風機15に対応する開口部17がそれぞれ設けられていることにより、送風機15を外部に取り出しやすくなる。
開口部17は、身長方向yに延在していてもよく、身幅方向xに延在していてもよい。また、開口部17は、身長方向yに対して3度以上、5度以上、あるいは10度以上傾斜していてもよく、また、30度以下、25度以下、あるいは20度以下傾斜していてもよい。
開口部17の延在長さは、送風機15の外径よりも長いことが好ましい。これにより、開口部17を経由して送風機15を外部に取り出しやすくなる。
図14に示すように、開口部17は領域Yに設けられていることが好ましい。また、開口部17は領域Yに設けられており、領域Xには設けられていなくてもよい。これにより裏地12側の開口部17から送風機15の少なくとも一部を外部に取り出すことができるとともに、衣料1の着用時に開口部17を目立ちにくくすることもできる。
図15〜図16を参照しながら、図11〜図14とは異なる開口部17の配置例について説明する。図15は、図13に示した衣料1の後身頃4を表側から見た平面図の変形例を表し、図16は、図14に示した衣料1の後身頃4を裏側から見た平面図の変形例を表す。図15に示すように、開口部17は領域Xに設けられていてもよい。これにより、表地11側の開口部17を経由して送風機15の少なくとも一部を外部に取り出すことができる。開口部17を領域Xに設けることにより、開口部17が表側に面し、目立ちやすくなる。
図示していないが、開口部17は領域Xと領域Yにそれぞれ設けられていてもよい。これにより、領域Xと領域Yに設けられている開口部17のうち、使用者が取り出しやすい側から送風機15を外部に取り出すことができるようになる。
図示していないが、衣料1には、開口部17とは別にポケットを設けることもできる。ポケットを設けることにより、衣料1に小物等を収容することができる。ポケットは表地11に形成されていてもよく、裏地12に形成されていてもよい。ポケットの位置は特に限定されない。例えば、開口部17が裏地12の領域Yに設けられており、ポケットが表地11の領域Xに設けられていてもよい。
送風機15の全部又は一部は、開口部17を経由して外部に取り出し可能であることが好ましい。これにより、送風機15の全部又は一部を衣料1から取り外すことができるため、衣料1を洗濯しやすくなる。
開口部17には、ジップファスナー、面ファスナー、スナップボタン等の留め具が備えられていることが好ましい。これにより、衣料1の着用時に開口部17を閉じることができ、衣料1の洗濯時に開口部17を開けることができる。中でも、開口部17にはジップファスナーが備えられていることがより好ましい。ジップファスナーをスライドさせることにより、開口部17の開閉を容易に行うことができる。
複数の第2排気口16Bは、裏地12に形成されており、表地11と裏地12の間の空気を着用者側に排出する。第2排気口16Bは、裏地12の表面側から裏面側へと貫通するように形成される。表地11と裏地12の間に取り込まれた空気が第2排気口16Bから排出されることにより、例えば汗が蒸発するときの気化熱を利用して身体の熱を逃がすことができる。
第2排気口16Bは、汗をかきやすい所に形成されていることが好ましく、例えば、頭部、首、脇の下、胸、左右の肩甲骨の間、膝の裏に対応する位置に形成されていることが好ましい。図12および図14では、排気口16が、前身頃3および後身頃4の脇の下に対応する位置、後身頃4の左右の肩甲骨の間に対応する位置(特に図14では身幅方向xの中央線Cに重なる位置)、前身頃3の胸部に対応する位置に設けられている例を示している。
第2排気口16Bの数は特に限定されないが、身体全体を効率よく冷却するために、第2排気口16Bは、身幅方向xの一方側x1と他方側x2にそれぞれ形成されていることが好ましく、後身頃4の左側と右側にそれぞれ形成されていることがより好ましい。また、複数の第2排気口16Bは、身幅方向xの一方側x1と他方側x2にそれぞれにおいて身長方向yに離間して配置されていてもよい。
第2排気口16Bが、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて少なくとも2つずつ配置されており、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて、第2排気口16Bの開口面積は、空気の流れ方向の下流側ほど大きいことが好ましい。これにより空気の流れ方向の下流側で空気を積極的に排出しやすくなるため、空気の流速が高められ、衣料1を素早く冷却することができる。
身長方向yにおいて衣料1を上側y1と下側y2に二等分割したときに、上側y1に複数の第2排気口16Bが配置されており、下側y2に送風機15が配置されていることが好ましい。これにより、送風機15を衣料1を着用したときに邪魔にならない位置に配置しつつ、身長方向yの下方から上方に向かって空気を流すことで衣料1全体を効率よく冷却することができる。
図11〜図16に示すように、第2止着部22は、身長方向に延在するように配置されていることが好ましい。これにより、空気を身長方向yに沿って流れやすくすることができるため、空気の流速が高められ、衣料1を素早く冷却することができる。
第2止着部22は、身幅方向xに対して傾斜していてもよい。例えば、第2止着部22は、身幅方向xに対して45度以上傾斜していることが好ましく、60度以上傾斜していることがより好ましく、70度以上傾斜していることがさらに好ましく、また135度以下傾斜していることが好ましく、120度以下傾斜していることがより好ましく、110度以下傾斜していることがさらに好ましい。これにより、衣料1全体としては空気がおおよそ身長方向yに流れるようになる。
以下では、身幅方向xに対して45度以上120度以下傾斜した方向または身長方向に延在している第2止着部22を第2−1止着部22Aと称する。図11〜図16に示すように、第2−1止着部22Aは、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれに配置されており、送風機15は、各々の第2−1止着部22Aよりも身幅方向xの外方にある領域Xにそれぞれ取り付けられていることが好ましい。これにより、送風機15からの空気をスムーズに第2−1止着部22Aに誘導しながら、身幅方向xの内方側の膨らみを抑制することができるため、スリムなシルエットを得ることができる。
複数の第2−1止着部22Aは、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて身長方向yに離間して配置されていることが好ましい。このように第2−1止着部22Aが設けられていることにより表地11と裏地12の間の空気の流れをより多数に分岐させることができる。
送風機15が、身幅方向xの一方側x1と他方側x2にそれぞれ取り付けられており、開口部17が、身幅方向xの一方側x1と他方側x2にそれぞれ設けられていることが好ましい。このように送風機15に対応する開口部17がそれぞれ設けられていることにより、送風機15を外部に取り出しやすくなる。
第2−1止着部22Aは、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれに配置されており、送風機15は、各々の第2−1止着部22Aよりも身幅方向xの外方にある領域Xにそれぞれ取り付けられており、開口部17は、各々の送風機15よりも身幅方向xの外方にある領域Yにそれぞれ設けられていることが好ましい。このように送風機15に対応する開口部17がそれぞれ設けられていることにより、送風機15を外部に取り出しやすくなる。
空気流通性の向上の観点から、第1止着部21と第2−1止着部22Aの離間距離は、1cm以上であることが好ましく、3cm以上であることがより好ましく、5cm以上であることがさらに好ましい。また、衣料1の膨らみ抑制の観点から、第1止着部21と第2−1止着部22Aの離間距離は、30cm以下であることが好ましく、25cm以下であることがより好ましく、20cm以下であることがさらに好ましい。
第2−1止着部22Aは、第1止着部21よりも身幅方向xの内方に配置されていることが好ましい。これにより、特に膨らみやすい位置での膨張抑制効果を高めることができる。
第2−1止着部22Aの数は特に限定されないが、第2−1止着部22Aは、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて、少なくとも3つずつ配置されていることが好ましく、少なくとも4つずつ配置されていることがより好ましい。また、第2−1止着部22Aの身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて、15以下配置されていることが好ましく、12以下配置されていることがより好ましい。これにより、表地11と裏地12の間の空気の流れをより多数に分岐させることができるようになる。
衣料1は、前身頃3と後身頃4を有する上衣2であり、送風機15は、後身頃4に取り付けられており、複数の第2−1止着部22Aは、前身頃3の身幅方向xの一方側x1と他方側x2と、後身頃4の身幅方向xの一方側x1と他方側x2にそれぞれ配置されていることが好ましい。これにより送風機15を衣料1を着用したときに邪魔にならない位置に配置しつつ、第2−1止着部22Aによって前身頃3と後身頃4の両方で空気の流れ方向が制御されるため、衣料1全体を効率よく冷却することができる。
複数の第2−1止着部22Aは、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて、身幅方向xにも離間して配置されていることが好ましい。これにより、空気の流れをより多数に分岐させることができる。
第2−1止着部22Aが、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて少なくとも3つずつ配置されており、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて、隣り合う第2−1止着部22A間の身長方向yの距離は、空気の流れ方向の下流側ほど小さいことが好ましい。これにより下流側での空気の流れ方向を制御しやすくなり、衣料1全体を好適に冷却することができる。ここで、隣り合う第2−1止着部22A間の身長方向yの距離は、身長方向yにおいて、上側に位置する第2−1止着部22Aの下方端と、下側に位置する第2−1止着部22Aの上方端との最短距離を意味する。
一の第2−1止着部22Aが身幅方向xに隣り合う他の第2−1止着部22Aとの距離は、一の第2−1止着部22Aが身長方向yに隣り合うさらに他の第2−1止着部22Aとの距離よりも大きいことが好ましい。これにより、空気を身幅方向xよりも身長方向yに優先的に流れやすくすることができる。ここで、一の第2−1止着部22Aが身幅方向xに隣り合う他の第2−1止着部22Aとの距離(すなわち、身幅方向xにおいて隣り合う第2−1止着部22A間の距離)は、身幅方向xにおいて、左側に位置する第2−1止着部22Aの右方端と、右側に位置する第2−1止着部22Aの左方端との最短距離を意味する。
隣り合う第2−1止着部22A間の身幅方向xの距離は、身長方向yにおいて一定であってもよい。これにより空気の流れ方向を制御しやすくなり、衣料1の大量生産にも適している。
隣り合う第2−1止着部22A間の身幅方向xの距離は、空気の流れ方向の下流側ほど小さくなっていてもよい。これにより下流側での空気の流れ方向を制御しやすくなり、衣料1全体を好適に冷却することができる。
図17〜図18を参照しながら、図11〜図16とは異なる開口部の配置例について説明する。図17は、図13に示した衣料の平面図の他の変形例を表し、図18は図17に示した衣料の後身頃を裏側から見た平面図を表す。図13〜図16では、開口部17が身長方向yに延在するように形成されていたが、図17〜図18に示すように、開口部17は、身幅方向xに延在するように形成されていてもよい。送風機15が、身幅方向xの一方側x1と他方側x2にそれぞれ取り付けられている場合、開口部17は、身幅方向xの中心線Cと交差し、かつ身幅方向xにおいて2つの送風機15の内方端より外方に延在していることが好ましく、身幅方向xの中心線Cと交差し、かつ身幅方向xにおいて2つの送風機15の外方端より外方に延在していることがより好ましい。このように開口部17を配置することにより、開口部17の数が送風機15の数より少なくても開口部17を経由して外部に送風機15を取り出しやすくなる。
図17〜図18に示すように、身長方向yにおいて、開口部17は第2止着部22の下方端より下方に配置されていてもよい。これにより、衣料1の着用時に開口部17を目立ちにくくすることができる。なお、開口部17が身幅方向xに延在している場合、開口部17は、衣料1の身長方向yの下方端から20cm以内の範囲に配置されていることが好ましく、より好ましくは15cm以内の範囲、さらに好ましくは10cm以内の範囲に配置される。
図19〜図20を参照しながら、図11〜図16とは異なる第2−1止着部22Aの配置例について説明する。図19〜図20は、図14に示した衣料1の後身頃4を裏側から見た平面図の他の変形例を表す。図19に示すように、第2−1止着部22Aは、身長方向yの上方から下方に向かって身幅方向xの内方から外方に延在するように配置されていることが好ましい。このように第2−1止着部22Aを延在させることによって空気の流れ方向を制御することができるとともに、衣料1のシルエットの微調整が可能になる。また、送風機15よりも身長方向yの上方に配置されている第2−1止着部22Aが、身長方向yの上方から下方に向かって身幅方向xの内方から外方に延在するように配置されていることが好ましい。これにより、空気の流れ方向の下流側では身幅方向xの内方に向かって空気が流れやすくなる。身体の身幅方向xの内方を集中的に冷やすことで、着用者の体温を効率的に下げることができる。
図20に示すように、第2−1止着部22Aは、身長方向yの上方から下方に向かって身幅方向xの外方から内方に延在するように配置されていることが好ましい。このように第2−1止着部22Aを延在させることによっても空気の流れ方向を制御することができるとともに、衣料1のシルエットの微調整が可能になる。また、送風機15よりも身長方向yの上方に配置されている第2−1止着部22Aが、身長方向yの上方から下方に向かって身幅方向xの外方から内方に延在するように配置されていてもよい。これにより、空気の流れ方向の下流側では身幅方向xの外方に向かって空気が流れやすくなり、衣料1全体に空気が行き渡りやすくなるため、衣料1全体を冷却する効果が高められる。
図11〜図19に示すように、身幅方向xの一方側x1または他方側x2において、複数の第2−1止着部22Aの延在方向は同じであることが好ましい。これにより空気の流れ方向を制御しやすくなり、衣料1の大量生産にも適している。
図20に示すように、複数の第2−1止着部22Aの延在方向が異なっていてもよい。様々な向きに第2−1止着部22Aを配置することによって、衣料1全体に空気が行き渡りやすくなり、衣料1全体を冷却する効果が高められる。例えば、身幅方向xの一方側x1において身長方向yに離間している一の第2−1止着部22Aと他の第2−1止着部22Aが設けられている場合、一の第2−1止着部22Aが身長方向yの上方から下方に向かって身幅方向xの外方から内方に延在するように配置されており、他の第2−1止着部22Aが身長方向yの上方から下方に向かって身幅方向xの内方から外方に延在するように配置されていてもよい。
身幅方向xの一方側x1と他方側x2の少なくともいずれか一方において、身幅方向xに隣り合う第2−1止着部22Aの延在方向は、同じであることが好ましい。このように第2−1止着部22Aの延在方向を設定することにより、身長方向yにおける空気の流れを身幅方向x全体で均一にしやすくなる。
身幅方向xの一方側x1と他方側x2の少なくともいずれか一方において、身長方向yに隣り合う第2−1止着部22Aの延在方向が異なっていることが好ましい。このように第2−1止着部22Aの延在方向を設定することにより、空気の流れ方向を複雑にすることができるため、衣料1全体に空気が行き渡りやすくなり、衣料1全体を冷却する効果が高められる。
第2−1止着部22Aの延在方向は、左右対称であることが好ましい。これにより、左右均等に冷却効果が得られるとともに、衣料1のいびつな膨張を抑制することができる。
第2−1止着部22Aの形状は特に限定されないが、第2−1止着部22Aは、帯状または線状に形成されていることが好ましい。第2−1止着部22Aをこのような形状とすることにより、空気の流れ方向の制御や衣料1のシルエットの調整が行いやすくなる。なお、第2−1止着部22Aは、連続的または断続的な帯状または線状に形成されていてもよい。
複数の第2−1止着部22Aの長さは、同じでもよく、異なっていてもよい。第2−1止着部22Aの長さは特に限定されないが、例えば、1cm以上であることが好ましく、3cm以上であることがより好ましく、5cm以上であることがさらに好ましく、また、15cm以下であることが好ましく、12cm以下であることがより好ましく、10cm以下であることがさらに好ましい。第2−1止着部22Aの長さをこのような範囲に設定することによって、適度に空気の流れを確保しながら、衣料1の膨らみを抑制することができる。
下流側での空気の流れ方向を制御しやすくするためには、第2−1止着部22Aの長さは、空気の流れ方向の下流側ほど長いことが好ましい。
身幅方向xの一方側x1と他方側x2の少なくともいずれか一方において、身幅方向xに隣り合う第2−1止着部22Aの長さは、同じであることが好ましい。このように第2−1止着部22Aの長さを設定することにより、身長方向yにおける空気の流れを身幅方向x全体で均一にしやすくなる。
第2−1止着部22Aが、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて少なくとも2つずつ配置されており、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて、第2−1止着部22Aの長さは、空気の流れ方向の下流側ほど長いことが好ましい。これにより下流側での空気の流れ方向を制御しやすくなり、衣料1全体を好適に冷却することができる。
第1止着部21と第2−1止着部22Aがそれぞれ帯状または線状に形成されている場合、すべての第2−1止着部22Aの合計長さが、すべての第1止着部21の合計長さよりも短いことが好ましい。これにより、空気の流れを低下させない程度に適度に分岐させることができるため、空気が衣料1全体に行き渡りやすくなり、衣料1全体を冷却することができる。
複数の第2−1止着部22Aの幅は、同じでもよく、異なっていてもよい。第2−1止着部22Aの幅は、例えば0.5mm以上、1mm以上、3mm以上、または20mm以下、15mm以下、10mm以下とすることができる。第2−1止着部22Aの幅をこのような範囲に設定することによって、適度に空気の流れを確保しながら、衣料1の膨らみを抑制することができる。
第2−1止着部22Aは、左右対称な形状に形成されていることが好ましい。これにより、衣料1の左右均等に冷却効果が得られるとともに、衣料1のいびつな膨張を抑制することができる。
送風機15は、身幅方向xの一方側x1と他方側x2にそれぞれ取り付けられており、身幅方向xにおいて、第2−1止着部22Aは、2つの送風機15の内方端よりも内方に配置されていることが好ましい。これにより、送風機15からの空気をスムーズに第2−1止着部22Aに誘導しながら、身幅方向xの内方側の膨らみを抑制することができるため、スリムなシルエットを得ることができる。同様の理由から、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて、さらに身幅方向xを内方側と外方側に二等分割したときの内方側に第2−1止着部22Aが配置されており、外方側に送風機15が配置されていてもよい。
身長方向yにおいて、送風機15は、最も下方側に配置されている第2−1止着部22Aの下方端よりも上方に配置されていることが好ましい。これにより、送風機15からの空気は、最も下方側に並んで配置されている2つの第2−1止着部22A間を通りやすくなるため、空気が様々な方向に流れやすくなって衣料1全体に行き渡りやすくなる。
図示していないが、身長方向yにおいて、送風機15は、最も下方側に配置されている第2−1止着部22Aの下方端よりも下方に配置されていてもよい。これにより、送風機15からの空気は身幅方向xに並んで配置されている2つの第2−1止着部22A間を通り、身長方向yに沿って流れやすくなる。
身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて、身幅方向xに並んでいる一の第2−1止着部22Aと他の第2−1止着部22Aの間に複数の第2排気口16Bが配置されていることが好ましい。これにより身幅方向xに並んでいる第2−1止着部22A間に誘導された空気を効率よく第2排気口16Bから排出することができるため、衣料1の冷却効果を高めることができる。なお、図19〜図20に示されている第2排気口16Bの位置は勿論のことながら特に制限されるものではなく、図14に示されているように背中部あるいは脇部にあってもよい。
身長方向yにおいて、最も上方に配置されている第2排気口16Bの上方端は、最も上方に配置されている第2−1止着部22Aの上方端よりも下方に配置されていることが好ましい。また、身長方向yにおいて、最も下方に配置されている第2排気口16Bの下方端は、最も下方に配置されている第2−1止着部22Aの下方端よりも上方に配置されていることが好ましい。これにより第2−1止着部22Aで空気の流れ方向を制御しながら、空気を効率よく第2排気口16Bから排出することができる。
図11〜図20に示すように、第2止着部22は、身幅方向xに延在するように配置されていてもよい。これにより、身長方向yにおける空気の流れがせき止められるため、空気が流れる方向を制御することができる。
身長方向yにおける空気の流れをせき止めるために設けられる第2止着部22は、身幅方向xに対して3度以上、5度以上、あるいは10度以上傾斜していてもよく、また、30度以下、25度以下、あるいは20度以下傾斜していてもよい。
以下では、身幅方向xに対して3度以上20度以下傾斜した方向または身幅方向xに延在している第2止着部22を第2−2止着部22Bと称する。空気をせき止める効果を高めるため、第2−2止着部22Bは、複数設けられていることが好ましい。なお、第2−2止着部22Bの延在方向は、第2−1止着部22Aの延在方向と異なっていることが好ましい。
送風機15は、第2−2止着部22Bよりも身長方向yの上側に取り付けられていることが好ましい。このように第2−2止着部22Bが配置されていることにより表地11と裏地12の間の空気の流れをさらに多数に分岐することができる。また、複数の第2−2止着部22Bによって空気の流れがせき止められ、送風機15からの空気を、第2−2止着部22Bよりも身長方向yの上側に優先的に流すことができるため、裾部が膨らみにくくなり腰回りをすっきりとしたデザインにすることができる。
複数の第2−2止着部22Bは、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて、身幅方向xに離間して配置されていることが好ましい。このように第2−2止着部22Bが配置されていることにより表地11と裏地12の間の空気の流れをさらに多数に分岐することができる。
身長方向yにおいて、複数の第2−2止着部22Bは、複数の第2−1止着部22Aよりも下方に配置されていることが好ましい。複数の第2−2止着部22Bによって空気の流れがせき止められ、送風機15からの空気を、空気の流れを適度に分岐させることができる第2−1止着部22Aに優先的に流すことができるため、衣料1全体の冷却効果を一層高めることができる。同様の理由から、身長方向yにおいて、第2−2止着部22Bは、送風機15よりも下方に配置されていることが好ましい。
第2−2止着部22Bは、身幅方向xの中心線Cと交差するように配置されていてもよい。これにより、表地11と裏地12の間の空気の流れをより多数に分岐させることができるようになる。
第2−2止着部22Bの形状は特に限定されないが、第2−1止着部22Aと同様に帯状または線状に形成することができる。複数の第2−2止着部22Bの長さや幅は、同じでもよく、異なっていてもよい。第2−2止着部22Bの長さや幅は、第2−1止着部22Aと同様に設定することができる。
第2−2止着部22Bの数は特に限定されないが、第2−2止着部22Bは、4つ以上配置されていることが好ましく、5つ以上配置されていることがより好ましく、また、8つ以下配置されていることが好ましく、7つ以下配置されていることがより好ましい。また、第2−2止着部22Bは、身幅方向xの一方側x1と他方側x2のそれぞれにおいて、2つ以上配置されていればよく、4つ以下配置されていてもよい。
身幅方向xにおいて、隣り合う第2−2止着部22B間の距離は、一定であることが好ましい。これにより空気の流れ方向を制御しやすくなり、衣料1の大量生産にも適している。ここで、隣り合う第2−2止着部22B間の距離は、身幅方向xにおいて左側に位置する第2−2止着部22Bの右方端と、右側に位置する第2−2止着部22Bの左方端との最短距離を意味する。
身幅方向xにおいて、隣り合う第2−2止着部22B間の距離は、第2−2止着部22Bの長さよりも短いことが好ましい。これにより、複数の第2−2止着部22Bによって空気の流れがせき止められやすくなるため、送風機15からの空気を第2−1止着部22Aに優先的に流すことができる。同様の理由から、身幅方向xにおいて、隣り合う第2−2止着部22B間の最大距離は、身長方向yにおいて隣り合う第2−1止着部22A間の最小距離よりも小さいことが好ましい。
衣料1には、さらに、第2−2止着部22Bよりも身幅方向xの外方であって第2−1止着部22Aよりも身長方向yの下方に表地11と裏地12が互いに止着されている第2止着部22(以下、第2−3止着部22Cと称する)が設けられており、第2−3止着部22Cの外方端が、第1止着部21と接していることが好ましい。このように第2−3止着部22Cが設けられていることにより表地11と裏地12の間の空気の流れをせき止めることができる。
第2−3止着部22Cは、身幅方向xに延在していることが好ましい。また、第2−3止着部22Cは、身幅方向xの一方側x1と他方側x2にそれぞれ設けられていることが好ましい。第2−3止着部22Cの延在方向は、第2−2止着部22Bの延在方向と同様にすることができる。また、第2−3止着部22Cの形状は、第2−1止着部22Aと同様に帯状または線状に形成することができる。複数の第2−3止着部22Cの長さや幅は、同じでもよく、異なっていてもよい。第2−3止着部22Cの長さや幅は、第2−1止着部22Aと同様に設定することができる。
次に、図11〜図20に示した衣料とは異なる態様の衣料について図21〜図24を参照しながら説明する。なお、図21〜図24の説明において、上記の説明と重複する部分は説明を省略する。図21は、本発明の第2の観点に係る衣料の他の実施形態の斜視図を表し、図22は、図21に示した衣料の背面図を表している。図23および図24は、それぞれ図21に示したフードを表側または裏側から見た側面図を表している。衣料1は、表地11と表地11よりも着用者の肌側に配置されている裏地12とを有し着用者の頭部および首を覆うフード5が取り付けられている上衣であり、第2−1止着部22Aは、フード5の身幅方向xの一方側x1と他方側x2にそれぞれ配置されており、フード5の裏地12に第2排気口16Bが配置されていることが好ましい。表地11は裏地12に比べて通気度(フラジール通気度:JIS L 1096)の低い生地で構成されていてもよい。これにより、表地11から外部に空気が抜けることに起因する空気の取り込み効率が落ちることがなく、また裏地12から全体的に頭部に空気を与えることができる。
フード5の左頭側部と右頭側部の裏地12にそれぞれ複数の第2排気口16Bが配置されていることが好ましい。これにより、着用者の顔周りや頭部にさらに風を送ることができるため、身体全体を効率よく冷却することができる。
本発明において、フード5の頭側部は、着用者の頭部の側部を覆う部分であり、例えば、頬、耳、側頭骨、蝶形骨、側頭筋を覆う。着用者の左側の頭側部を覆う部分が左頭側部、右側の頭側部を覆う部分が右頭側部である。図23〜図24では、左頭側部から見たフード5の側面図を示している。
図22に示すように、フード5の後頭部にも第2排気口16B(より好ましくは複数の第2排気口16B)が配置されていることが好ましい。これにより、着用者の首部にも風を送ることができる。なお、フード5の後頭部は頭部の後側や首の後側を覆う部分であり、例えば、後頭骨、頭頂骨の後側半分、後頭筋、僧帽筋の首部分を覆う。
なお、本発明には、第1の観点に係る実施形態と、第2の観点に係る実施形態を適宜組み合わせた形態も含まれる。
1:衣料
2:上衣
2A:アームホール
2Aa:アームホールの上側領域
2Ab:アームホールの下側領域
3:前身頃
3L:左前身頃
3R:右前身頃
4:後身頃
5:フード
6:袖
6A:袖口
7:立襟
11:表地
12:裏地
13:帯状布地
13Aa:帯状布地の長手方向の一方端
13Ab:帯状布地の長手方向の他方端
13Ba:帯状布地の幅方向の一方側
13Bb:帯状布地の幅方向の他方側
13C:帯状布地の肩頂部
13D:帯状布地の肩頂部の反対側
13E:帯状布地の長手方向の一方端の位置における幅方向の中心点
13F:帯状布地の長手方向の他方端の位置における幅方向の中心点
13G:帯状布地の最も湾曲している位置における幅方向の中心点
15:送風機
16:排気口
16A:第1排気口
16B:第2排気口
17:開口部
21:第1止着部
22:第2止着部
22A:第2−1止着部
22B:第2−2止着部
22C:第2−3止着部
30:隙間
31:第1の隙間
32:第2の隙間
A:帯状布地の肩頂部を中央に含む全長の四分の一の長さ部分
B:帯状布地の肩頂部の反対側を中央に含む全長の四分の一の長さ部分
a:部分Aに配置されている排気口からの排気方向を表す単位ベクトル
b:部分Bに配置されている排気口からの排気方向を表す単位ベクトル
L1:帯状布地の全長を4等分割する直線
L2:帯状布地の長手方向の一方端の位置における幅方向の中心点と最も湾曲している位置における幅方向の中心点を結んだ直線
L3:帯状布地の長手方向の他方端の位置における幅方向の中心点と最も湾曲している位置における幅方向の中心点を結んだ直線
p:帯状布地の長手方向
q:帯状布地の幅方向
X、Y:領域
x:身幅方向
x1:身幅方向の一方側
x2:身幅方向の他方側
y:身長方向
y1:身長方向の上側
y2:身長方向の下側

Claims (15)

  1. 表地と、
    該表地よりも着用者の肌側に配置されている裏地と、
    前記表地の縁部と前記裏地が互いに止着されている第1止着部と、
    前記表地に取り付けられており、外部の空気を前記表地と前記裏地の間に取り込む送風機と、を有する上衣を備えた衣料であって、
    前記上衣には、長手方向と幅方向を有し、該長手方向がアームホールの少なくとも一部に沿って配置されている帯状布地であって、前記幅方向の一方側が表地に接続されており、前記幅方向の他方側が裏地に接続されている帯状布地が設けられており、
    該帯状布地には、前記表地と前記裏地の間の空気を着用者側に排出する複数の第1排気口が設けられていることを特徴とする衣料。
  2. 前記帯状布地のうち前記表地と接続されている部分の長さは、前記裏地と接続されている部分の長さよりも長い請求項1に記載の衣料。
  3. 身長方向において前記アームホールを上側領域と下側領域に二等分割したときに、
    前記帯状布地は、前記下側領域にのみ配置されており、
    前記下側領域に配置されている前記第1排気口から着用者の脇の下側に向かって空気が排出される請求項1または2に記載の衣料。
  4. 身長方向において前記アームホールを上側領域と下側領域に二等分割したときに、
    前記帯状布地は、前記上側領域のみに配置されており、
    前記上側領域に配置されている第1排気口から袖口側に向かって空気が排出される請求項1または2に記載の衣料。
  5. 前記帯状布地は、前記アームホールの全周にわたって環状に配置されており、
    身長方向において前記アームホールを上側領域と下側領域に二等分割したときに、
    前記上側領域に配置されている第1排気口から袖口側に向かって空気が排出され、
    前記下側領域に配置されている前記第1排気口から着用者の脇の下側に向かって空気が排出される請求項1または2に記載の衣料。
  6. 前記帯状布地は、前記帯状布地の肩頂部を中央に含む全長の四分の一の長さ部分Aが、平面展開視において80度以上140度以下湾曲している請求項5に記載の衣料。
  7. 前記帯状布地は、前記帯状布地の肩頂部の反対側を中央に含む全長の四分の一の長さ部分Bが、平面展開視において10度以上80度以下湾曲している請求項6に記載の衣料。
  8. 前記部分Aに配置されている第1排気口からの排気方向を表す単位ベクトルaは、前記部分Bに配置されている第1排気口からの排気方向を表す単位ベクトルbよりも、身幅方向の外方に向かう成分が大きい請求項7に記載の衣料。
  9. 表地と、
    該表地よりも着用者の肌側に配置されている裏地と、
    前記表地の縁部と前記裏地が互いに止着されている第1止着部と、
    前記表地に取り付けられており、外部の空気を前記表地と前記裏地の間に取り込む送風機と、
    前記裏地に形成されており、前記表地と前記裏地の間の空気を着用者側に排出する複数の第2排気口と、を有している衣料であって、
    前記第1止着部から離間している位置において前記表地と前記裏地が互いに止着されている複数の第2止着部が設けられており、
    さらに下記(1)〜(3)に規定する条件を満たしていることを特徴とする衣料。
    (1)前記送風機は前記表地の少なくとも一部を構成する領域Xに取り付けられている。(2)前記領域Xは、前記第1止着部または前記第2止着部によって囲まれている領域である。ただし、前記領域Xを区画している前記第2止着部同士の間にある隙間、前記領域Xを区画している前記第2止着部と前記第1止着部の間にある隙間があることにより前記表地と前記裏地とが互いに止着されていない部分が存在していても、当該隙間の大きさが、当該隙間の部分を前記送風機が通り抜けないものであることを条件として、当該隙間の部分に前記第2止着部が存在しているものとみなして領域Xを画定する。
    (3)前記裏地は前記領域Xに相対向する領域Yを有しており、前記領域Xおよび前記領域Yの少なくとも一方には、開閉可能な開口部が設けられている。
  10. 前記開口部は前記領域Yに設けられている請求項9に記載の衣料。
  11. 前記送風機の全部又は一部は、前記開口部を経由して外部に取り出し可能である請求項9または10に記載の衣料。
  12. 前記開口部にはジップファスナーが備えられている請求項9〜11のいずれか一項に記載の衣料。
  13. 身幅方向に対して45度以上120度以下傾斜した方向または身長方向に延在している前記第2止着部(以下、第2−1止着部と称する)は、身幅方向の一方側と他方側のそれぞれに配置されており、前記送風機は、各々の前記第2−1止着部よりも身幅方向の外方にある前記領域Xにそれぞれ取り付けられている請求項9〜12のいずれか一項に記載の衣料。
  14. 前記送風機は、身幅方向に対して3度以上20度以下傾斜した方向または身幅方向に延在している前記第2止着部(以下、第2−2止着部と称する)よりも身長方向の上側に取り付けられている請求項9〜13のいずれか一項に記載の衣料。
  15. 身長方向において、複数の前記第2−2止着部は、身幅方向に対して45度以上120度以下傾斜した方向または身長方向に延在している複数の前記第2止着部(以下、第2−1止着部と称する)よりも下方に配置されている請求項14に記載の衣料。
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