JP6052780B2 - アルミナ水和物微粒子粉末の製造方法およびアルミナ水和物微粒子粉末 - Google Patents

アルミナ水和物微粒子粉末の製造方法およびアルミナ水和物微粒子粉末 Download PDF

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Description

本発明は、水への分散性に優れ、分散液は安定性に優れ、粘度が低く、透明性に優れるとともに経時変化が小さく、結合材、触媒または触媒担体原料等として好適に用いることができるアルミナ水和物微粒子粉末の製造方法および、該製造方法によって得られるアルミナ水和物微粒子粉末ならびに該アルミナ水和物微粒子粉末の水分散液に関する。
従来、アルミナは触媒、触媒担体、結合材、吸着剤、乾燥剤、フィラー等として用いられている。このアルミナの前駆体としてアルミナ水和物微粒子が用いられる場合がある。
使用形態も種々あるが、例えば、成型体触媒を製造する場合に、粒子状の触媒成分の結合材として用いられる場合があり、このとき、アルミナ水和物微粒子によっては、成型性が不良であったり、得られる成型体の強度、耐摩耗性、ひいては触媒性能が不充分となる場合がある。
具体的には、粒子状触媒成分とアルミナ水和物微粒子粉末と、必要に応じて成型助剤等を水を混合して成型体用混練物を調製し、ついで成型体とした場合、成型性、得られる成型体の強度、耐摩耗性等が変動し、安定的に満足な成型体が得られない場合があった。
通常、アルミナ水和物微粒子の調製は、代表的にはアルカリ性アルミニウム塩水溶液と酸性アルミニウム塩水溶液とを反応させたり、アルカリ性アルミニウム塩水溶液を単に酸で中和して先ず、アルミナ水和物ゲルを調製し、これを水、あるいはアンモニア水等を用いて洗浄して調製されている。反応させる際には、安定化剤、粒子成長調整剤等としてポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルセルロース、およびシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルコン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸などの多価カルボン酸およびその塩等が使用されている。
ついで、洗浄したアルミナ水和物ゲルは、凝集体であったり、粒子が不均一であることから解膠剤を用いて、解膠して用いられている。このとき、解膠剤としては無機酸あるいは有機酸が用いられている。
無機酸としては硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸等が用いられている。
また、有機酸としてはギ酸、酢酸、ブタン酸、プロピオン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、9-ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、グリコール酸、クエン酸、りんご酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸等が用いられている。
このようにして調製されたアルミナ水和物ゲルあるいは解膠したアルミナ水和物ゲル(ゾルということもある)は、そのまま、成型体に用いられたり、乾燥して用いられている。
しかしながら、乾燥しないでそのまま用いる場合は、調製から時間が経過すると、成型性が低下し、得られる成型体の強度、耐摩耗性等が低下したり、大きく変動する場合があった。このため、乾燥してアルミナ水和物微粒子として用いても成型性が変動したり、低下する場合があった。
また、乾燥して用いる場合は、水への分散性が低下し、この分散液を成型体に用いた場合も成型性が低下し、得られる成型体の強度、耐摩耗性等が低下する場合があり、乾燥した粉末を用いても得られる成型体の強度、耐摩耗性等が低下する場合があった。
アルミナ水和物微粒子の製造方法としては、解膠剤として陰イオン源である硝酸、塩酸、蟻酸、酢酸などの酸を用いたアルミナ水和物分散液を、熱風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥、熱気流乾燥等に乾燥し、このとき解膠剤を揮発させ、これを水に再分散させた、固形分濃度の高いアルミナ水和物分散液の製造方法が開示されている。(特許文献1:特開平9−286612号公報)
また、アルミナ水分散液の増粘、凝集および沈降、分散後のゲル化等による不具合を回避するために分子内に少なくとも1個の窒素原子を含むモノカルボン酸を主成分として含むアルミナ分散剤を含むアルミナ分散液が開示されている。(特許文献2:特開2000−109315号公報)
しかしながら、前記したいずれのアルミナ水和物分散液、アルミナ分散剤を含むアルミナ分散液も、透明性が低く、経時変化により粘度が高くなる場合があり、成型体に用いた場合も得られる成型体の強度、耐摩耗性等が低下する場合があり、分散液を乾燥した粉末を用いても得られる成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合があった。
特開平9−286612号公報 特開2000−109315号公報
本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意検討した結果、前記したアルミナ水和物ゲルの解膠時に解膠剤としての酢酸に加えて酢酸アンモニウムを所定量添加すると、噴霧乾燥した後のアルミナ水和物微粒子の粉末は水への分散性が向上し、分散液は安定性に優れ、粘度が低く、透明性に優れることを見出して本発明を完成するに至った。
本発明は、水への分散性に優れ、分散液は安定性に優れ、結合材、触媒または触媒担体原料等として好適に用いることができるアルミナ水和物微粒子粉末の製造方法および、該製造方法によって得られるアルミナ水和物微粒子粉末ならびに該アルミナ水和物微粒子粉末の水分散液(アルミナゾルということがある。)を提供することを目的としている。
本発明に係るアルミナ水和物微粒子粉末の製造方法は、下記の工程(a)〜(c)を含んでなることを特徴としている。
(a)アルミナ水和物ゲルを調製し、ついで洗浄する工程
(b)アルミナ水和物微粒子をAl換算で100重量部として、緩衝剤が5〜15重量部の範囲となり、解膠剤が5〜30重量部の範囲となるように添加し、ついで熟成する工程
(c)噴霧乾燥する工程
前記工程(b)における緩衝剤がカルボン酸塩であることが好ましい。
前記カルボン酸塩がカルボン酸のアンモニウム塩であることが好ましい。
前記解膠剤がカルボン酸であることが好ましい。
前記工程(b)における熟成時のアルミナ水和物微粒子分散液のpHが3〜6.5の範囲にあり、温度が50〜100℃の範囲にあることが好ましい。
前記アルミナ水和物微粒子粉末のアルミナ水和物微粒子の平均粒子径(DA1)が100〜1,000nmの範囲にあることが好ましい。
前記アルミナ水和物微粒子粉末(噴霧乾燥品)の平均粒子径(DA2)が1〜200μmの範囲にあることが好ましい。
前記アルミナ水和物微粒子粉末の固形分濃度2.2重量%の水分散液の粘度が200mPa・s以下、光透過率が25%以上の範囲にあることが好ましい。
本発明に係るアルミナ水和物微粒子粉末は、前記のアルミナ水和物微粒子粉末の製造方法によって得られたことを特徴としている。
また、本発明に係るアルミナ水和物微粒子粉末は、平均粒子径(DA1)が100〜1,000nmの範囲にあるアルミナ水和物微粒子が凝集した平均粒子径(DA2)が1〜200μmの範囲にあるアルミナ水和物微粒子粉末であって、該微粒子粉末を水に分散させて固形分濃度を2.2重量%とした水分散液の粘度が200mPa・s以下、光透過率が25%以上の範囲にあることを特徴としている。
本発明に係るアルミナ水和物微粒子水分散液は、前記アルミナ水和物微粒子粉末を水に分散させたことを特徴としている。
本発明方法によれば、水への分散性に優れ、分散液は安定性に優れ、結合材、触媒または触媒担体原料等とし好適に用いることができるアルミナ水和物微粒子粉末を製造することができる。また、本発明によれば、そのようなアルミナ水和物微粒子粉末ならびにアルミナ水和物微粒子粉末の水分散液が得られる。
まず、本発明に係るアルミナ水和物微粒子粉末の製造方法について説明する。
[アルミナ水和物微粒子粉末の製造方法]
本発明に係るアルミナ水和物微粒子粉末の製造方法は、下記の工程(a)〜(c)を含んでなることを特徴としている。
(a)アルミナ水和物ゲルを調製し、ついで洗浄する工程
(b)アルミナ水和物微粒子をAl換算で100重量部として、緩衝剤が5〜15重量部の範囲となり、解膠剤が5〜30重量部の範囲となるように添加し、ついで熟成する工程
(c)噴霧乾燥する工程
工程(a)
アルミナ水和物ゲルを調製し、ついで洗浄する。
アルミナ水和物ゲルの調製は、従来公知の方法を採用することができる。
例えば、アルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸アルミニウム水溶液を反応させてアルミナ水和物のゲルを調製する。
この場合、アルミン酸ナトリウムと、硫酸アルミニウムの使用量は濃度によっても異なるが、アルミン酸ナトリウムのNaと硫酸アルミニウムのSOとのモル比Na/SOが概ね2.0〜3.5の範囲にあることが好ましい。
また、アルミナ水和物ゲルを調製する際には前記した粒子成長調整剤を用いることができる。
例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、グルコン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸などの多価カルボン酸およびその塩等が挙げられる。
ついでアルミナ水和物ゲルを水またはアンモニア水で洗浄する。洗浄の目的は、前記調製例ではNaおよびSOを低減することである。
洗浄後のアルミナ水和物ゲル中のNaの残存量は、用途によっても異なるが、酸化物換算でAl中にNaOとして0.1重量%以下、さらには0.05重量%以下であることが好ましい。
Al中のNaO残存量が0.1重量%を超えると、後工程で添加する酸の解膠効果が小さくなってしまうため、アルミナ粒子の分散性が不充分となる場合があり、また不純分として触媒性能等へ影響する場合がある。
洗浄後のアルミナ水和物微粒子中のSOの残存量は、酸化物換算でAl中にSOとして0.5重量%以下、さらには0.2重量%以下であることが好ましい。
Al中のSOの残存量が0.5重量%を超えると、得られるアルミナ水和物微粒子粉末の分散性が不充分となる場合があり、また不純分として触媒性能等へ影響する場合がある。
工程(b)
ついで、洗浄後のアルミナ水和物微粒子分散液にアルミナ水和物微粒子をAl換算で100重量部として、緩衝剤が5〜15重量部の範囲となり、解膠剤が5〜30重量部の範囲となるように添加し、ついで熟成する。
アルミナ水和物微粒子分散液の濃度はAlとして1〜15重量%、さらには5〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
アルミナ水和物微粒子分散液の濃度がAlとして1重量%未満の場合は、得られるアルミナ水和物微粒子粉末の分散性、分散液の透明性が向上することもなく、濃度が低すぎるため生産効率が低く、経済性が不充分となる場合がある。
アルミナ水和物微粒子分散液の濃度がAlとして15重量%を超えると、粘度が高くなり過ぎて、解膠操作が効果的に実施できず、後述する熟成において充分な熟成効果が得られず、得られるアルミナ水和物微粒子粉末の分散性、分散液の透明性が不充分となり、これを成型体の結合材として用いても得られる成型体の強度、耐摩耗性等が低下する場合がある。
緩衝剤
緩衝剤としてはカルボン酸塩が用いられる。
カルボン酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム、ブタン酸ナトリウム、ブタン酸アンモニウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸アンモニウム、ペンタン酸ナトリウム、ペンタン酸アンモニウム、ヘキサン酸ナトリウム、ヘキサン酸アンモニウム、ヘプタン酸ナトリウム、ヘプタン酸アンモニウム、オクタン酸ナトリウム、オクタン酸アンモニウム、ノナン酸ナトリウム、ノナン酸アンモニウム、デカン酸ナトリウム、デカン酸アンモニウム、ドデカン酸ナトリウム、ドデカン酸アンモニウム、テトラデカン酸ナトリウム、テトラデカン酸アンモニウム、ペンタデカン酸ナトリウム、ペンタデカン酸アンモニウム、ヘキサデカン酸ナトリウム、ヘキサデカン酸アンモニウム、9-ヘキサデセン酸ナトリウム、9-ヘキサデセン酸アンモニウム、ヘプタデカン酸ナトリウム、ヘプタデカン酸アンモニウム、オクタデカン酸ナトリウム、オクタデカン酸アンモニウム、グリコール酸ナトリウム、グリコール酸アンモニウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸アンモニウム、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、グルコン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸アンモニウム、マロン酸ナトリウム、マロン酸アンモニウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸アンモニウム、グルタール酸ナトリウム、グルタール酸アンモニウム、アジピン酸ナトリウム、アジピン酸アンモニウム、セバシン酸ナトリウム、セバシン酸アンモニウム、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸アンモニウム、フマル酸ナトリウム、フマル酸アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸アンモニウム、α−乳酸ナトリウム、α−乳酸アンモニウム、β−乳酸ナトリウム、β−乳酸アンモニウム、γ−ヒドロキシ吉草酸ナトリウム、γ−ヒドロキシ吉草アンモニウム、グリセリン酸ナトリウム、グリセリン酸アンモニウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸アンモニウム、トロパ酸ナトリウム、トロパ酸アンモニウム、ベンジル酸ナトリウム、ベンジル酸アンモニウム等が挙げられる。カルボン酸塩はナトリウム、アンモニウム塩に限定されるものではなく、その他種々の塩を使用することが可能である。
緩衝剤の使用量は、アルミナ水和物微粒子分散液中のアルミナ水和物微粒子をAl換算で100重量部として、5〜15重量部、さらには7〜12重量部の範囲にあることが好ましい。
緩衝剤の使用量が、アルミナ水和物微粒子分散液中のアルミナ水和物微粒子をAl換算で100重量部として、5重量部未満の場合は、緩衝剤としての効果が小さくなってしまい、後述する分散液のpHが大きく変動したり、所定範囲に調整できない場合があり、解膠効果が充分得られないために、最終的に得られるアルミナ水和物微粒子粉末の分散性、分散液の透明性等が不充分となる場合がある。
緩衝剤の使用量が、アルミナ水和物微粒子分散液中のアルミナ水和物微粒子をAl換算で100重量部として、15重量部を超えると、最終的に得られるアルミナ水和物微粒子粉末中に過剰に残存する場合があり、カルボン酸塩の種類によっても異なるが、分散性、分散液の透明性等が不充分となる場合があり、これを触媒等に用いた場合、触媒性能等へ影響する場合がある。
本発明では、前記カルボン酸塩のなかでもアンモニウム塩が好ましい。アンモニウム塩を用いると、後述する噴霧乾燥時に分解して、ナトリウムのように残存しないため、触媒性能等への影響を無くすることができる。
解膠剤
解膠剤としては、従来公知の無機酸、有機酸を用いることができる。
本発明では、有機酸、特にカルボン酸を用いることが好ましい。
カルボン酸としては、酢酸、ギ酸、ブタン酸、プロピオン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、9-ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、グリコール酸、シュウ酸、アクリル酸、グルコン酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、α−乳酸、β−乳酸、γ−ヒドロキシ吉草酸、グリセリン酸、酒石酸、クエン酸、トロパ酸、ベンジル酸等が挙げられる。
解膠剤の使用量は、アルミナ水和物微粒子分散液中のアルミナ水和物微粒子をAl換算で100重量部として、5〜30重量部、さらには10〜20重量部の範囲にあることが好ましい。
解膠剤の使用量が、アルミナ水和物微粒子分散液中のアルミナ水和物微粒子をAl換算で100重量部として、5重量部未満の場合は、前記緩衝剤の使用量によっても異なるが、解膠効果が充分得られないために、最終的に得られるアルミナ水和物微粒子粉末の分散性、分散液の透明性等が不充分となる場合がある。
解膠剤の使用量が、アルミナ水和物微粒子分散液中のアルミナ水和物微粒子をAl換算で100重量部として、30重量部を超えると、前記緩衝剤の使用量によっても異なるが、解膠が進みすぎて急激に粘度が上昇する場合があり、最終的に得られるアルミナ水和物微粒子粉末の分散性、分散液の透明性等が不充分となる場合がある。また、アルミナ水和物微粒子粉末を用いた成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合がある。
なお、解膠剤の使用量は、解膠剤の種類によっても異なるが、解膠率として概ね1〜10%、好ましくは2〜5%の範囲となるように用いる。
ここで、解膠率とは下記式によって定義される。
解膠率(%)=解膠剤(mol)/{Al(mol)×6}x100
本工程(b)における熟成時のアルミナ水和物微粒子分散液のpHは3〜6.5、さらには3.5〜6.0の範囲にあることが好ましい。
熟成時のアルミナ水和物微粒子分散液のpHが3未満の場合は、酸による解膠が進みすぎて粘度が上昇し、最終的に得られるアルミナ水和物微粒子粉末の分散性、分散液の透明性等が不充分となる場合がある。また、アルミナ水和物微粒子粉末を用いた成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合がある。
熟成時のアルミナ水和物微粒子分散液のpHが6.5を超えると、解膠が不充分となり、この場合も最終的に得られるアルミナ水和物微粒子粉末の分散性、分散液の透明性等が不充分となる場合がある。また、アルミナ水和物微粒子粉末を用いた成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合がある。
また、熟成時のアルミナ水和物微粒子分散液の温度は50〜100℃、さらには75〜100℃の範囲にあることが好ましい。
熟成温度が50℃未満の場合は、解膠が不充分となり、最終的に得られるアルミナ水和物微粒子粉末の分散性、分散液の透明性等が不充分となる場合がある。また、アルミナ水和物微粒子粉末を用いた成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合がある。
熟成温度が100℃を超えると、アルミナ水和物微粒子の粒子成長が進むためか、最終的に得られるアルミナ水和物微粒子粉末の分散性、分散液の透明性等が不充分となる場合がある。また、アルミナ水和物微粒子粉末を用いた成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合がある。
なお、熟成時間は、熟成温度によっても異なるが概ね5〜10時間である。
工程(c)
ついで、熟成したアルミナ水和物微粒子分散液を熱風気流中に噴霧して乾燥する。
噴霧乾燥方法としては、従来公知の方法を採用することができ、例えば、回転ディスク法、加圧ノズル法、2流体ノズル法等、従来公知の方法を採用することができる。
本発明ではスプレーノズル法が好適である。
噴霧乾燥における熱風の入口温度が150〜500℃、さらには150〜450℃の範囲にあり、出口温度が50〜200℃、さらには80〜120℃の範囲にあることが好ましい。
熱風の入口温度が150℃未満の場合は、乾燥が不充分となる場合があり、このため噴霧乾燥機の壁面等への付着が激しくなり、著しく収率が低下する場合がある。
熱風の入口温度が500℃を越えると、アルミナ水和物微粒子の擬ベーマイト構造の結晶水が過度に揮散し、また、アルミナ水和物微粒子同士が結合するためか、得られるアルミナ水和物微粒子粉末の分散性、分散液の透明性等が不充分となる場合がある。また、アルミナ水和物微粒子粉末を用いた成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合がある。
熱風の出口温度が50℃未満の場合は、前記入り口温度が低すぎる場合と同様、乾燥が不充分となる場合があり、このため噴霧乾燥機の壁面等への付着が激しくなり、著しく収率が低下する場合がある。
熱風の出口温度が200℃を越えると、前記出口温度が高すぎる場合と同様、アルミナ水和物微粒子の擬ベーマイト構造の結晶水が過度に揮散し、得られるアルミナ水和物微粒子粉末の分散性、分散液の透明性等が不充分となる場合がある。また、アルミナ水和物微粒子粉末を用いた成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合がある。
このようにして、本発明に係るアルミナ水和物微粒子の粉末を得ることができる。
アルミナ水和物微粒子粉末はアルミナ水和物微粒子が強く結合することなく凝集した粒子である。
このような、アルミナ水和物微粒子粉末を構成するアルミナ水和物微粒子の平均粒子径(DA1)は100〜1,000nm、さらには150〜800nmの範囲にあることが好ましい。
アルミナ水和物微粒子の平均粒子径(DA1)が100nm未満の場合は、アルミナ水和物微粒子粉末を水に分散させたときに粘度が高くなり過ぎるとともに、分散液の透明性が低く、これを用いた成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合がある。
アルミナ水和物微粒子の平均粒子径(DA1)が1,000nmを超えると、アルミナ水和物微粒子粉末を水に分散させたときの分散液の透明性が低く、これを用いた成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合がある。
また、前記アルミナ水和物微粒子粉末(噴霧乾燥品)の平均粒子径(DA2)は1〜200μm、さらには2〜80μmの範囲にあることが好ましい。
アルミナ水和物微粒子粉末の平均粒子径(DA2)が1μm未満の場合は、粉末の流動性が低く、これを用いた成型体を調製する場合に他の原料との均一な混合ができない場合があり、得られる成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合がある。
アルミナ水和物微粒子粉末の平均粒子径(DA2)が200μmを超えるものは、本発明に用いる噴霧乾燥法では得ることが困難である。
本発明の方法で得られたアルミナ水和物微粒子粉末は、水への分散性が良く、アルミナ水和物微粒子分散液(アルミナゾルということがある。)は、粘度が低く、透明性(光透過率)が高いという特性を有している。
アルミナ水和物微粒子分散液の固形分濃度が2.2重量%の時の粘度は200mPa・s、さらには100mPa・s以下の範囲にあることが好ましい。
アルミナ水和物微粒子分散液の固形分濃度が2.2重量%の時の粘度が200mPa・sを超える場合は、理由は明らかではないが分散液の透明性が低く、成型体の調製等に実用する高濃度の場合に粘度が高すぎて、これを用いて得られる成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合がある。
また、アルミナ水和物微粒子分散液の固形分濃度が2.2重量%の時の光透過率は25%以上、さらには30%以上の範囲にあることが好ましい。
アルミナ水和物微粒子分散液の固形分濃度が2.2重量%の時の光透過率が25%未満であると、分散液の安定性が低く、且つ、粘度が高くなる傾向にあり、また理由は明らかではないが成型体の調製等に実用する高濃度の場合に粘度が高すぎて、これを用いて得られる成型体の強度、耐摩耗性等が不充分となる場合がある。
つぎに、本発明に係るアルミナ水和物微粒子粉末について説明する。
[アルミナ水和物微粒子粉末]
本発明に係るアルミナ水和物微粒子粉末は、上述のアルミナ水和物微粒子粉末の製造方法によって得られたことを特徴としている。
アルミナ水和物微粒子粉末の平均粒子径(DA2)は1〜200μm、さらには2〜80μmの範囲にあることが好ましい。
また、アルミナ水和物微粒子粉末を構成するアルミナ水和物微粒子の平均粒子径(DA1)は100〜1,000nm、さらには150〜800nmの範囲にあることが好ましい。
本発明の方法で得られたアルミナ水和物微粒子粉末は、水への分散性が良く、アルミナ水和物微粒子分散液は、粘度が低く、透明性(光透過率)が高いという特性を有している。
本発明に係るアルミナ水和物微粒子粉末は、平均粒子径(DA1)が100〜1,000nmの範囲にあるアルミナ水和物微粒子が凝集した平均粒子径(DA2)が1〜200μmの範囲にあるアルミナ水和物微粒子粉末であって、該微粒子粉末を水に分散させて固形分濃度を2.2重量%とした水分散液の粘度が200mPa・s以下、光透過率が25%以上の範囲にある。
つぎに、本発明に係るアルミナ水和物微粒子分散液について説明する。
[アルミナ水和物微粒子分散液]
本発明に係るアルミナ水和物微粒子分散液は、前記アルミナ水和物微粒子粉末を水に分散させたことを特徴としている。
本発明に係るアルミナ水和物微粒子分散液は、粘度が低く、透明性(光透過率)が高いという特性を有している。
以下、実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
アルミナ水和物微粒子粉末(1)の調製
アルミン酸ソーダ水溶液(Al23としての濃度5質量%)13.3kgを撹拌しながら、これに濃度26.5質量%のグルコン酸ソーダ水溶液75gを添加し、硫酸アルミニウム水溶液(Al23としての濃度2.5質量%)13.3kgを10分間かけて添加してアルミナヒドロゲルを調製した。このアルミナヒドロゲルの温度は45℃で、pHは8.0であった。その後、45℃で30分間攪拌した後、濃度10質量%の炭酸ソーダ水溶液を添加し、pH9.4とし、45℃で60分間攪拌した。
次いで、フィルターにて、生成したアルミナ水和物ゲルを濾過し、60℃温純水によって洗浄した。得られたアルミナ水和物微粒子中のアルカリおよび硫酸根の残存量は、NaOとして0.05質量%、SO4として0.10質量%であった。洗浄したアルミナ水和物微粒子ゲルに純水を加えてAl23としての濃度を8.5質量%に調整した。
ついで、Al23としての濃度が8.5質量%のアルミナ水和物微粒子ゲルに緩衝剤として濃度16質量%の酢酸アンモニウム水溶液0.56kg添加し、ついで、解膠剤として濃度90質量%の酢酸0.16kgを添加した後、95℃で10時間攪拌熟成を行った。
このときのpHは4.0であった。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度が8質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のゲルの粘度は90mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.0nmであった。
次に、スプレードライヤーにより、噴霧乾燥域に供給する熱風の温度が400℃、乾燥域からの排出ガスの温度が100±10℃の範囲に調整しながら、Al23としての濃度8質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを供給して噴霧乾燥し、アルミナ水和物微粒子粉末(1)を調製した。
アルミナ水和物微粒子粉末(1)の平均粒子径(DA2)を以下の方法で測定し、結果を表に示す。
平均粒子径(D A2 )の測定
JIS K 0069に準拠し、マイクロメッシュシーブ法で測定した。
また、アルミナ水和物微粒子粉末(1)を構成するアルミナ水和物微粒子(1)の平均粒子径(DA1)を以下の方法で測定し、結果を表に示す。
平均粒子径(D A1 )の測定
Alとしての濃度1質量%のアルミナ水和物微粒子(1)分散液を調製し、粒度分布測定装置(堀場製作所製:LA−300)にて測定した。
分散性評価
純水480mlを計量し、これに、アルミナ水和物微粒子粉末(1)をAl23として11gとなるように計量して分散処理を行い、以下の方法で光透過率および粘度を測定し、結果を表に示す。
光透過率
紫外可視分光光度計(島津(株)製:UV−1800)を用いて測定した。測定波長は500nmにて測定を行った。
また、透過率の経時変化を評価するために、24時間経過後に再び光透過率を測定し、結果を表に示す。
粘度
B型粘度計(東機産業(株)製:TVB−10M)を用いて測定し、結果を表に示す。また、24時間経過後に再び粘度を測定し、結果を表に示す。
[実施例2]
アルミナ水和物微粒子粉末(2)の調製
実施例1において、緩衝剤として濃度21質量%の酢酸アンモニウム水溶液0.56kg添加する以外は同様にして熟成を行った。このときのpHは4.1であった。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度を8質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のゲルの粘度は80mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.0nmであった。
以下、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、アルミナ水和物微粒子粉末(2)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(2)について、平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)を測定し、結果を表に示す。また、分散性、粘度、光透過率および経時変化を評価し、結果を表に示す。
[実施例3]
アルミナ水和物微粒子粉末(3)の調製
実施例1において、緩衝剤として濃度13質量%の酢酸アンモニウム水溶液0.56kg添加した以外は同様にして熟成を行った。このときのpHは3.9であった。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度を8質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のゲルの粘度は100mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.0nmであった。
以下、実施例1と同様にして噴霧乾燥して、アルミナ水和物微粒子粉末(3)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(3)について、平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)を測定し、結果を表に示す。また、分散性、粘度、光透過率および経時変化を評価し、結果を表に示す。
[実施例4]
アルミナ水和物微粒子粉末(4)の調製
実施例1において、緩衝剤として濃度16質量%の酢酸アンモニウム水溶液の代わりに濃度16質量%の乳酸アンモニウム水溶液を用い、解膠剤として乳酸を用いた以外は同様にして熟成を行った。このときのpHは4.5であった。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度を8質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のゲルの粘度は130mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.0nmであった。
以下、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、アルミナ水和物微粒子粉末(4)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(4)について、平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)を測定し、結果を表に示す。また、分散性、粘度、光透過率および経時変化を評価し、結果を表に示す。
[実施例5]
アルミナ水和物微粒子粉末(5)の調製
実施例1において、解膠剤として濃度90質量%の0.22kgを添加した以外は同様にして95℃で10時間攪拌熟成を行った。
このときのpHは3.5であった。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度を8質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のゲルの粘度は140mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.1nmであった。
以下、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、アルミナ水和物微粒子粉末(5)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(5)について、平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)を測定し、結果を表に示す。また、分散性、粘度、光透過率および経時変化を評価し、結果を表に示す。
[実施例6]
アルミナ水和物微粒子粉末(6)の調製
実施例1において、95℃で15時間攪拌した以外は同様にして熟成を行った。このときのpHは3.9であった。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度を8質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のゲルの粘度は120mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.0nmであった。
以下、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、アルミナ水和物微粒子粉末(6)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(6)について、平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)を測定し、結果を表に示す。また、分散性、粘度、光透過率および経時変化を評価し、結果を表に示す。
[実施例7]
アルミナ水和物微粒子粉末(7)の調製
実施例1において、95℃で5時間攪拌した以外は同様にして熟成を行った。このときのpHは4.1であった。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度を8質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のゲルの粘度は40mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.0nmであった。
以下、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、アルミナ水和物微粒子粉末(7)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(7)について、平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)を測定し、結果を表に示す。また、分散性、粘度、光透過率および経時変化を評価し、結果を表に示す。
[実施例8]
アルミナ水和物微粒子粉末(8)の調製
実施例1において、80℃で10時間攪拌した以外は同様にして熟成を行った。このときのpHは4.0であった。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度を8質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のゲルの粘度は30mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.2nmであった。
以下、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、アルミナ水和物微粒子粉末(8)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(8)について、平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)を測定し、結果を表に示す。また、分散性、粘度、光透過率および経時変化を評価し、結果を表に示す。
[実施例9]
アルミナ水和物微粒子粉末(9)の調製
実施例1において、洗浄したアルミナ水和物微粒子ゲルに純水を加えてAl23としての濃度を12.5質量%に調整した。
ついで、Al23としての濃度12.5質量%のアルミナ水和物微粒子ゲルに緩衝剤として濃度16質量%の酢酸アンモニウム水溶液0.56kg添加し、ついで、解膠剤として濃度90質量%の酢酸0.16kgを添加した後、95℃で10時間攪拌熟成を行った。このときのpHは4.0であった。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度12.0質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のスラリー粘度は160mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.0nmであった。
次に、スプレードライヤーにより、噴霧乾燥域に供給する熱風の温度が400℃、乾燥域からの排出ガスの温度が100±10℃の範囲に調整しながら、Al23としての濃度12.0質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを供給して噴霧乾燥し、アルミナ水和物微粒子粉末(9)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(9)について、平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)を測定し、結果を表に示す。また、分散性、粘度、光透過率および経時変化を評価し、結果を表に示す。
[実施例10]
アルミナ水和物微粒子粉末(10)の調製
実施例1において、洗浄したアルミナ水和物微粒子ゲルに純水を加えてAl23としての濃度を5.5質量%に調整した。
ついで、Al23としての濃度5.5質量%のアルミナ水和物微粒子ゲルに緩衝剤として濃度16質量%の酢酸アンモニウム水溶液0.56kg添加し、ついで、解膠剤として濃度90質量%の酢酸0.16kgを添加した後、95℃で10時間攪拌熟成を行った。このときのpHは4.0であった。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度5.0質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のスラリー粘度は30mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.2nmであった。
次に、スプレードライヤーにより、噴霧乾燥域に供給する熱風の温度が400℃、乾燥域からの排出ガスの温度が100±10℃の範囲に調整しながら、Al23としての濃度5.0質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを供給して噴霧乾燥し、アルミナ水和物微粒子粉末(10)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(10)について、平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)を測定し、結果を表に示す。また、分散性、粘度、光透過率および経時変化を評価し、結果を表に示す。
[比較例1]
アルミナ水和物微粒子粉末(R1)の調製
アルミン酸ソーダ水溶液(Al23としての濃度5質量%)13.3kgを撹拌しながら、これに濃度26.5質量%のグルコン酸ソーダ水溶液75gを添加し、硫酸アルミニウム水溶液(Al23としての濃度2.5質量%)13.3kgを10分間かけて添加してアルミナヒドロゲルを調製した。このアルミナヒドロゲルの温度は45℃で、pHは8.0であった。その後、45℃で30分間攪拌した後、濃度10質量%の炭酸ソーダ水溶液を添加し、pH9.4とし、45℃で60分間攪拌した。
次いで、フィルターにて、生成したアルミナヒドロゲルを濾過し、60℃温純水によって洗浄した。得られたアルミナ水和物微粒子ゲル中のアルカリおよび硫酸根の残存量は、Na2Oとして0.05質量%、SO4として0.01質量%であった。
洗浄したアルミナ水和物微粒子ゲルに純水を加えてAl23として8.5質量%に調整した。
ついでこのアルミナ水和物微粒子ゲルに解膠剤として濃度90質量%の酢酸0.16kgを添加したのち95℃で攪拌熟成を行ったが、5時間を経過した時点で粘度が高くなり、熟成を停止した。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度8.0質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のゲルの粘度は2000mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.1nmであった。
以下、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、アルミナ水和物微粒子粉末(R1)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(R1)について、平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)を測定し、結果を表に示す。また、分散性、粘度、光透過率および経時変化を評価し、結果を表に示す。
[比較例2]
アルミナ水和物微粒子粉末(R2)の調製
実施例1と同様にしてAl23としての濃度8.5質量%の洗浄したアルミナ水和物微粒子ゲルを調製し、これに、緩衝剤として濃度16質量%の酢酸アンモニウム水溶液0.56kg添加し、解膠剤としての酢酸アンモニウム水溶液は添加することなく、95℃で10時間攪拌熟成を行った。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度8.0質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のゲルの粘度は70mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.0nmであった。
以下、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、アルミナ水和物微粒子粉末(R2)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(R2)について、平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)を測定し、結果を表に示す。また、分散性、粘度、光透過率および経時変化を評価し、結果を表に示す。
なお、粘度は、測定中に沈降が認められた。このため、低粘度となったと考えられる。
[比較例3]
アルミナ水和物微粒子粉末(R3)の調製
実施例1において、緩衝剤として濃度16質量%の酢酸アンモニウム水溶液1.06kg添加した以外は同様にして熟成を行った。このときのpHは4.0であった。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度を8.0質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のゲルの粘度は80mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.0nmであった。
以下、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、アルミナ水和物微粒子粉末(R3)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(R3)について、平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)を測定し、結果を表に示す。また、分散性、粘度、光透過率および経時変化を評価し、結果を表に示す。
[比較例4]
アルミナ水和物微粒子粉末(R4)の調製
実施例1において、緩衝剤として濃度16質量%の酢酸アンモニウム水溶液0.19kg添加した以外は同様にして熟成を行った。このときのpHは3.5であった。
ついで、40℃まで冷却して、Al23としての濃度を8.0質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを得た。この時のゲルの粘度は1000mPa・sであった。
この時のアルミナ水和物微粒子の結晶構造は擬ベーマイトで、結晶子径は3.0nmであった。
以下、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、アルミナ水和物微粒子粉末(R4)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(R4)について、平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)を測定し、結果を表に示す。また、分散性、粘度、光透過率および経時変化を評価し、結果を表に示す。
[比較例5]
アルミナ水和物微粒子粉末(R5)の調製
実施例1と同様にして調製したAl23としての濃度を8.0質量%の熟成アルミナ水和物微粒子ゲルを乾燥用容器に入れ、箱型乾燥機にて100℃で24時間乾燥してアルミナ水和物微粒子粉末(R5)を調製した。
得られたアルミナ水和物微粒子粉末(R5)は、分散性が悪く容易に沈降が見られたため平均粒子径(DA2)、平均粒子径(DA1)、分散性、粘度、光透過率等の測定は実施しなかった。
Figure 0006052780
Figure 0006052780

Claims (8)

  1. 下記の工程(a)〜(c)を含んでなることを特徴とするアルミナ水和物微粒子粉末の製造方法。
    (a)アルミナ水和物ゲルを調製し、ついで洗浄する工程
    (b)アルミナ水和物微粒子をAl換算で100重量部として、カルボン酸塩が5〜15重量部の範囲となり、カルボン酸が5〜30重量部の範囲となるように添加し、ついで熟成する工程
    (c)噴霧乾燥する工程
  2. 前記カルボン酸塩がカルボン酸のアンモニウム塩であることを特徴とする請求項に記載のアルミナ水和物微粒子粉末の製造方法。
  3. 前記工程(b)における熟成時のアルミナ水和物微粒子分散液のpHが3〜6.5の範囲にあり、温度が50〜100℃の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のアルミナ水和物微粒子粉末の製造方法。
  4. 前記アルミナ水和物微粒子粉末を構成するアルミナ水和物微粒子の平均粒子径(DA1)が100〜1,000nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のアルミナ水和物微粒子粉末の製造方法。
  5. 前記アルミナ水和物微粒子粉末(噴霧乾燥品)の平均粒子径(DA2)が1〜200μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のアルミナ水和物微粒子粉末の製造方法。
  6. 前記アルミナ水和物微粒子粉末の固形分濃度2.2重量%の水分散液の粘度が200mPa・s以下、光透過率が25%以上の範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のアルミナ水和物微粒子粉末の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られるアルミナ水和物微粒子粉末を水に分散させことを特徴とするアルミナ水和物微粒子水分散液の製造方法
  8. 平均粒子径(DA1)が100〜1,000nmの範囲にあるアルミナ水和物微粒子が凝集した平均粒子径(DA2)が1〜200μmの範囲にあるアルミナ水和物微粒子粉末であって、該微粒子粉末を水に分散させて固形分濃度を2.2重量%とした水分散液の粘度が200mPa・s以下、光透過率が25%以上、24時間後の光透過率が38〜42%の範囲にあることを特徴とするアルミナ水和物微粒子粉末
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