JP4199859B2 - 透明な活性アルミナの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は透明な活性アルミナの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
活性アルミナは、組織が多孔質であり、吸着剤乃至乾燥剤、触媒担体、触媒等として多くの分野に使用されており、近年は種々の樹脂配合剤としての用途にも期待が寄せられている。
【0003】
活性アルミナを塩基性硫酸アルミニウムから製造することは古くから知られており、例えば、特公昭30−7875号公報(公知例1と呼ぶ)には、組成
Al・XSO(X=1.8〜0.8)
水溶性塩基性アルミニウムを40〜100℃に加熱して粒状に固化せしめ、次にこれを水中または湯中に導いて加水分解により硫酸根の一部を脱却し、粒状を安定化した後、これを乾燥することなく、湿ったままの状態で稀薄アンモニア水と反応せしめて、粒状を崩すことなく、水酸化アルミニウムゲルを生じせしめ、これを水洗乾燥後カ焼することを特徴とする粒状活性アルミナの製造法が記載されている。
【0004】
塩基性硫酸アルミニウムを硫酸アルミニウムとアルミン酸アルカリとから製造することも既に知られており、例えば特開昭57−17425号公報(公知例2と呼ぶ)には、硫酸アルミニウムのようなアルミニウム塩の水溶液と、アルミン酸アルカリのようなアルカリ物質の水溶液とを、同時に混合手段に供給し、瞬間的に混合して部分中和反応せしめ、次いで生成した水酸化アルミニウムゲルを含む反応混合液を70℃以上の温度に加熱することから成る塩基性アルミニウム塩溶液の製造方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、公知の活性アルミナは何れも、白色の不透明性物質であり、樹脂中に配合したとき不透明となるので、透明性が要求されるような用途には明らかに適さない。すなわち、公知例2は凝集剤用、あるいは製紙工業用におけるサイズ剤として有用されるものであり、光透過性を必要とする光触媒用吸着剤、あるいはその担体、樹脂用配合剤等の用途として取り出すことは極めて困難である。また、従来の活性アルミナは不透明であるのでこの用途に対して適していない。
【0006】
本発明者らは、塩基性硫酸アルミニウムの内でも特定の組成のものを選択し、これを特定の緩衝液中でゲル化、洗浄、乾燥乃至焼成して得られる活性アルミナは優れた透明性を有することを見出した。また、通常の活性アルミナは、γ或いはη型の結晶構造を示すのに対して、本発明により製造される活性アルミナはX線回折学的に無定型であり、耐熱性にも優れていることを見出した。
【0007】
即ち、本発明の目的は、透明でしかもX線回折学的に非晶質構造を有する透明活性アルミナの製造法を提供するにある。
本発明の他の目的は、樹脂配合剤、光触媒用吸着剤、及び担体等の用途に有用な透明活性アルミナの製造法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記式
SO /Al =0.90〜1.00
で示されるモル組成の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルを、アンモニウム塩濃度が3重量%以上であり且つ7乃至12のpHを有するアンモニア−アンモニウム塩の緩衝液中で15乃至35℃の温度でゲルに転化し、水洗した後、100乃至600℃の温度で乾燥或いは焼成することを特徴とする透明な活性アルミナの製造法が提供される。
本発明の製造法では、
1.塩基性硫酸アルミニウムが、一層好適には、下記式SO/Al=0.90〜0.96で示されるモル組成を有するものであること、
2.塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルが5乃至3000m.pa.sの粘度を有するものであること、
3.塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルが560nmの波長で測定して95%以上の透過率を有するものであること、
が好ましい。
【0009】
【発明の実施形態】
[作用]
本発明により製造される活性アルミナ(以下、本発明の活性アルミナと呼ぶことがある)は、X線回折学的に実質上非晶質であり、BET比表面積が100乃至500m/g、特に150乃至350m/gの範囲にあり、且つ光学的に実質上透明であるという特徴を有している。
【0010】
添付図面の図1は、本発明の活性アルミナのX線回折像であり、図2は公知の活性アルミナ(市販活性アルミナ粉末)のX線回折像である。公知の活性アルミナはγ型の結晶構造を示すのに対して、本発明の活性アルミナは非晶質であるという特徴を有することが明らかである。
【0011】
この活性アルミナは、X線回折学的に非晶質でありながら耐熱性に優れているという利点を有している。即ち、温度600℃で3時間加熱した条件下においてもなお非晶質構造を維持でき、熱的に安定である。
【0012】
また、本発明の活性アルミナは、従来の活性アルミナに勝るとも劣らない優れた比表面積を有しており、BET比表面積は一般に100乃至500m/g、特に150乃至350m/gの範囲にある。
【0013】
更に、この活性アルミナは、上記の表面活性を有するにもかかわらず、光学的に実質上透明であるという特徴を有している。光学的に透明であるという事実は、この活性アルミナの粒子等の成形品を、目盛付のプレパラート上に載せ、光学顕微鏡で観察したとき、目盛線が明確に観察されることにより確認できる(図3参照)。即ち、公知例1による活性アルミナでは、上記の条件で観察したとき、白色不透明で目盛線が全く観察されないのに対して、本発明の活性アルミナ成形品では、明確に目盛線が観察される。
本発明の活性アルミナの造粒成形品は、上記の通り本質的に透明であるが、粉体の形では、透明なシリカゲルの粉末が示すように、光線の乱反射により白色の外観を呈する。しかしながら、活性アルミナの粉体を樹脂や液体中に分散させたものは、透明であり、透明性の本質が失われているわけではない。
【0014】
これらの特性により、本発明の活性アルミナを例えば樹脂配合剤として用いたとき、樹脂の透明性を実質上損なわずに、透湿防止、消臭性付与、アンチブロッキング性付与、体質顔料等の作用を発現させることができる。
【0015】
また、光触媒用吸着剤では、空気汚染物質等を吸着すると共に、触媒の光による活性化を阻害しないことが必須不可欠であるが、本発明の活性アルミナは吸着性に優れていると共に透明性にも優れているので、光触媒と組み合わせで用いたとき、汚染物質等の光分解性に優れているという利点を与える。
【0016】
本発明の透明な活性アルミナは、塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルをアンモニア−アンモニウム塩の緩衝液中でゲルに転化し、ゲル中の硫酸根を水洗により除去し、乾燥乃至焼成することにより製造されるが、塩基性硫酸アルミニウムとして、下記式
SO/Al=0.90〜1.00
特に =0.90〜0.96
で示されるモル組成の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルを選択使用することが重要である。
【0017】
上記公知例1の実施例には、SO/Al=1.1のモル組成の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルを加熱下にヒドロゲルに転化することが記載されているが、このように硫酸根のモル比が本発明の範囲を越えて大きい塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルからは、X線回折学的に非晶質の活性アルミナも得られないし、透明な活性アルミナも得られない。
一方、アルミナに対する硫酸根のモル比が本発明の範囲を下回ると、安定なヒドロゾルの形成そのものが困難となると共に、生成するアルミナの比表面積がかなり小さいものとなり、活性に著しく劣るものとなる。
【0018】
[透明活性アルミナ]
本発明による透明活性アルミナは、上述した特徴に加えていくつかの特徴を有している。先ず、この活性アルミナは、細孔半径が比較的小さくてしかも分布が狭いという特徴を有している。即ち、この活性アルミナは、細孔容積が0.3乃至1.2ml/g、特に0.3乃至0.8ml/gの範囲にあるが、平均細孔直径が30乃至150オングストローム、特に30乃至120オングストロームと比較的小さい範囲にあり、しかも細孔直径が30乃至120オングストロームの範囲内にある細孔容積が全細孔容積の60%以上、特に70乃至80%以上を占めるという狭い細孔分布を有する。
図4は、本発明による透明活性アルミナの細孔分布曲線を、公知の活性アルミナのそれと比較して示している。
【0019】
このため、本発明による透明活性アルミナは、毛管現象による吸着性が強く、また吸着、反応等に対する選択性が強いという吸着剤乃至触媒担体などとして望ましい特徴を備えている。
【0020】
また、本発明の透明活性アルミナは、いわゆるゾル−ゲル変成により形成されるため、粒状、フレーク状、繊維状、フィルム乃至シート等の任意の形状に成形可能であり、更に、ヒドロゲル生成から活性アルミナに至る任意の段階で、これを粉砕して粉末とすることができ、これらの任意の形態で、樹脂配合剤、光触媒用吸着剤、及び担体として用いることができる他、吸着剤、触媒担体等の一般的用途にも用いることができる。
一般には、この透明活性アルミナは、粒径が0.6乃至40μm、特に0.8乃至20μmの粉体や、粒径が20μm乃至8mm、特に40μm乃至5mmの成形物であることが好ましく、粒子形状は特に限定されないが、不定形、微小球状、球状乃至円柱状等の任意の形状であってよい。
【0021】
[製造方法]
本発明の活性アルミナの製造方法では、下記式
SO/Al=0.90〜1.00、
特に =0.90〜0.96
で示されるモル組成の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルを原料として使用する。
【0022】
上記組成の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルは、アルミン酸アルカリの水溶液とアルミニウム塩水溶液とを、上記モル組成の塩基性硫酸アルミニウムが生成するような割合で、高速旋断混合機を用いて同時混合し、必要により攪拌熟成することにより得られる。
【0023】
アルミン酸アルカリとしては、下記式
O/Al=1.0〜1.8 、
特に =1.2〜1.4
Mはアルカリ金属、特にナトリウムである、
で示されるアルミン酸アルカリが適当であり、このアルミン酸アルカリは、Al分として、12乃至28重量%、特に、18乃至26重量%の濃度の水溶液として使用するのがよい。
【0024】
一方、アルミニウム塩水溶液としては、硫酸アルミニウムの水溶液が使用され、このアルミニウム塩は、Al分として、6乃至10重量%、特に7乃至9重量%の濃度の水溶液として使用するのがよい。用いるアルミニウム塩溶液は、遊離酸を含有していることができ、この遊離酸は、Al当たり0.5モル%迄、一層好適には、0.2モル%迄許容される。
【0025】
アルミン酸アルカリ溶液とアルミニウム塩水溶液とは、高速剪断混合機を用いて同時混合することも、上記組成の塩基性硫酸アルミニウムを安定に製造する上で重要である。高速剪断混合には、ホモミキサー、コロイドミル等の混合機の他に、インラインミキサー等を用いることもできる。特に、後者の混合方式は、混合物の粘度が高い場合にも、均一な混合及び分散ができるので、有利である。
【0026】
本発明では、混合により生成するスラリーを15乃至50℃で均質化することが好ましい。温度が上記範囲よりも高いと、不均質なゲル化を来すおそれがあり、上記範囲よりも低くすることは、工業上実用的でない。均質化の時間は、一般に3乃至24時間程度が適当である。
【0027】
本発明で用いる塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルは、Alとしての濃度が4乃至15重量%、特に6乃至12重量%の範囲にあることが、生成する活性アルミナの物性や生産性の点で好ましい。
Alの濃度が上記範囲よりも低い場合には、ゲル化が生じにくくなったり、また生成するゲルの強度が低下する傾向があり、更にゲル中の水分量が多くなりすぎるため、生産性の点でも不利となる。
一方、Alの濃度が上記範囲よりも高い場合には、ヒドロゾルの安定性が低下する傾向があり、また生成するゲルの組織乃至構造が不均質のものとなって、活性アルミナの吸着物性や透明性が低下する傾向がある。
【0028】
本発明による塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルは、加熱するとヒドロゲル化し、放冷すると再びヒドロゾルに戻るというゾル−ゲル転移可逆性を持つコロイド溶液であり、更に、これに水を添加混合し、加熱によりヒドロゲル化し、放冷した場合に、長時間にわたってゾルに戻りにくくなるという特性をもっている。
具体的には、本発明で使用する塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルは、Alとしての濃度を4−10%及びヒドロゲル化温度を70℃として転化して、放冷によるヒドロゾルへの戻り時間が12時間以上である。
この特性は、ゲル化の進行を徐々に行い、透明な活性アルミナを製造する上で、重要な特性の一つであると考えられる。
【0029】
また、この塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルは、一般に回転粘度計(東京計器製:B型粘度計)で測定して、5乃至3000m.pa.sの粘度を有していることが、 ゾルの取り扱いの点で有利である。
【0030】
更に、透明な活性アルミナを製造するという見地からは、この塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルも透明であることが好ましく、560nmの波長の光線で測定して、95%以上の透過率を有するのが好ましい。
【0031】
上記の方法で製造される塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルは、これをそのままヒドロゲルの製造に用いることもできるし、また必要に応じ種々の前処理、例えば希釈処理、濃縮処理、副生物除去処理、安定化処理等を行ったのち、ヒドロゲルの製造に用いることもできる。
例えば、ゲル化操作に適したAl濃度とするために、水による希釈処理や、透析、逆浸透等による精製や濃縮処理を行うことができる。
また、複分解法により生成するヒドロゾル中には、副生成物である硫酸アルカリ(芒硝)が6乃至15重量%の濃度で含有されているのが一般的である。この場合、塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルを、例えば5℃以下の温度に攪拌下に冷却し、芒硝(NaSO・10HO)の結晶を晶出させ、これを固液分離に付することにより、芒硝の含有量が3重量%以下に抑制された塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルを得ることもできる。
更に、希釈や濃縮に際して、ヒドロゾルの安定化を図るため、原料の硫酸アルミニウムやアルミン酸アルカリ、或いは調製された塩基性硫酸アルミニウムに、有機酸、有機金属塩、各種金属塩等を安定化剤として添加することができ、さらには、各種触媒の触媒活性種として、あるいは紫外線吸収剤や赤外線吸収剤としての新たな機能を付与するために添加することもできる。
【0032】
本発明の透明な活性アルミナは、上記の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルをゲル化し、水洗を行い、乾燥乃至焼成を行うことにより製造される。
【0033】
塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルのゲル化は、塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルを、濃厚なアンモニア−アンモニウム塩の溶液中で室温乃至常温に近い温度でヒドロゲル化せしめ、硫酸根を水洗した後、乾燥乃至焼成して透明な活性アルミナゲルを製造する方法(以下単に室温ゲル化法と呼ぶ)により行われる。
【0034】
上記の室温ゲル化法において、ゲル化媒体として使用するアンモニア−アンモニウム塩溶液としては、pHが7乃至12、特に8乃至11の範囲にあるものが適当であり、緩衝作用を示す溶液が使用される。
このアンモニア−アンモニウム塩溶液では、塩基性硫酸アルミニウムヒドロゾルのゲル化とゲル中の硫酸根の中和とが、室温乃至常温に近い温度でしかも同時に徐々に進行し、透明性に特に優れたゲルが得られることが特徴である。
【0035】
アンモニウム塩としては、塩化アンモニウムや、硫酸アンモニウムなどの鉱酸のアンモニウム塩が使用されるが、塩化アンモニウムが特に好適である。
ヒドロゲルへの凝固作用の点では、アンモニウム塩は3重量%以上、特に5重量%以上の濃度で含有されることが好適である。
一方、ヒドロゲル中の硫酸根を中和するためには、アンモニアは上記のpH範囲となる量で存在すべきである。
一般に、アンモニアとアンモニウム塩とは、重量比で4:1乃至8:1、好ましくは6:1乃至7:1の割合で存在するのが望ましい。
【0036】
上記のゲル化媒体中での塩基性硫酸アルミニウムヒドロゾルのゲル化は、このヒドロゾルをノズルを通して、柱状流或いは液滴の形でゲル化媒体中に押し出し、押し出されたヒドロゾルをゲル化媒体中に一定時間保持することにより行われる。
この際、ヒドロゾルとゲル化媒体との相互混合が生じないようにすることがよく、例えば急激な攪拌等は避けるべきである。
塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルの比重は、一般に1.22乃至1.38あり、ゲル化媒体の比重に比して重いので、押し出されたヒドロゾル流がゲル化媒体中を静かに沈降しつつ、その表面からのゲルが進行する。
勿論、ゲル化媒体中に直接ヒドロゾルを押し出す代わりに、ヒドロゾルを空気中に柱状流或いは液滴の形で押し出し、この押出物が空気層を経てゲル化媒体中に導入されるようにしてもよい。
【0037】
室温ゲル化法の場合、ゲル化媒体中での保持時間は、塩基性硫酸アルミニウムの組成や濃度、或いはゲル化媒体の組成や濃度によっても相違するが、本発明においては30秒乃至12時間と広範囲にわたってゲル化ができる。
尚、本邦の場合、室温といっても、冬季の15℃から夏期の35℃程度まで変化するが、上記の温度範囲でゲル化媒体を加温したり、或いは冷却して温度を一定にすることは何ら差し支えないことが理解されるべきである。
【0038】
また、塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルのゲル化手段として、このヒドロゾルを加熱下にヒドロゲルに転化し、ゲル中の硫酸根を中和及び水洗により除去し、乾燥乃至焼成するという加熱ゲル化法が知られているが、この方法では、後述する実施例5(本発明外の参考例である)は、上述した室温ゲル化法に比して、得られる活性アルミナの透明度は低い。
【0042】
形成されたヒドロゲルを水洗し、これを乾燥乃至焼成して、透明な活性アルミナとする。室温ゲル化法で形成されるヒドロゲルでは、塩基性硫酸アルミニウム中の硫酸根は既に中和されているので、中和により生成した硫酸塩を除去するために水洗を行い、残留する硫酸根の量により、必要に応じて中和水洗する。
【0043】
ヒドロゲルが成形物の形で得られる場合には、成形物の形で中和や水洗を行えばよいが、ヒドロゲルが塊状物として得られる場合には、これを解砕して適度な成形物として、中和や水洗を行うのが有利である。
【0044】
中和、水洗後のヒドロゲルは、これを乾燥乃至焼成して、透明な活性アルミナとする。乾燥乃至焼成は、80乃至800℃、特に100乃至600℃の温度で、12乃至72時間、特に24乃至48時間程度の時間行うのが適当である。乾燥乃至焼成は、一段の処理で行うことも可能であるし、或いは比較的低い温度での乾燥と、比較的高い温度での焼成との二段の処理で行うことも可能である。
【0045】
粉体の活性アルミナを得る場合には、水洗後のヒドロゲルから最終活性アルミナに至る任意の段階で、成形物或いは塊状物を粉砕し、粉体の活性アルミナとすればよい。
【0046】
[用途]
本発明の活性アルミナは、樹脂配合剤として有用であり、例えば透湿防止、消臭性付与、アンチブロッキング性付与、体質顔料等の目的に用いることができる。
特に、この活性アルミナは、配合樹脂組成物の透明性を損なうことなく、上記作用を発現させ得るという優れた効果がある。
【0047】
本発明の活性アルミナを配合する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂或いは各種エラストマーを挙げることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、ピロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂でもよい。これらの内でも、オレフィン系樹脂が特に好適なものである。
一方、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は単独でも2種以上の組合せでも使用される。
また、エラストマー重合体としては、例えばニトリル−ブタジエンゴム(NBR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IIB)、ブチルゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリウレタン、シリコーンゴム、アクリルゴム等;熱可塑性エラストマー、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0048】
これらの樹脂組成物においては、上記活性アルミナを、要求される効果に応じて、樹脂100重量部当たり、0.01乃至20重量部、特に0.1乃至10重量部の量で用いるのがよい。
配合量が、上記範囲よりも少ないと、活性アルミナ配合による上記作用効果を得ることが困難となる傾向があり、一方上記範囲を上回っても配合量の増大に伴う格別の利点がなく、表面の摩擦傾向が増大するので好ましくない。
【0049】
上記樹脂組成物には、必要により、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤(ハロゲンキャッチャー)、核剤、熱線吸収剤、硬化剤、柔軟剤等が配合されるが、本発明の樹脂用配合剤は、ほぼ中性であると共に、これらの他の樹脂配合剤に対して不活性であり、これらを分解したり或いは着色する傾向がなく、他の樹脂配合剤の性能を阻害したり、樹脂の特性を劣化させることがない。
【0050】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、例えば
トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕 既存化学物質No(3)−3701、
1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕 既存化学物質No(3)−3093、
2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン 既存化学物質No(5)−1079、
ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕 既存化学物質No(3)−1693、
2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕 既存化学物質No(3)−3094、
オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート 既存化学物質No(3)−1737、
2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール) 既存化学物質No(3)−1120、
N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド) 既存化学物質No(9)−2086、
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル 既存化学物質No(3)−3376、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン 既存化学物質No(4)−191、
A:ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム(50%) B:ポリエチレンワックス(50%) 既存化学物質No(3)−3606、
等が使用される。
上記酸化防止剤は、樹脂100重量部当たり0.01乃至5重量部の量で使用するのが望ましい。
【0051】
熱安定剤としては、ホスファイト、ホスホナイトおよびホスホン酸誘導体等が使用される。
ここでホスファイトとしては様々なものが挙げられ、例えばトリフェニルホスファイト;ジフェニルホスファイト;ジデシルフェニルホスファイト;トリデシルホスファイト;トリオクチルホスファイト;トリドデシルホスファイト;トリオクタデシルホスファイト;トリノニルフェニルホスファイト;トリドデシルトリチオホスファイト;ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト;4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト;トリス(2,4ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト;ビス(2,4ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどの他、炭素数12〜15のアルキル基を有する4,4’−イソプロピリデンジフェニルテトラアルキルジホスファイトなどを挙げることができる。
また、ホスホナイトとしては例えばテトラキス(2,4−ジアルキルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトなどを挙げることができる。なおここでアルキル基は炭素数1〜30のものである。これらの中でも特にテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトが好ましい。
さらに、ホスホン酸誘導体として4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスホン酸;O−エチル−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル)ホスホン酸;O−(2−エチルヘキシル)−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル)ホスホン酸;O−エチル−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジル)ホスホン酸;O−エチル−(4−ヒドロキシ−3,5−t−ブチルベンジル)ホスホン酸のカルシウム塩などを挙げることができる。
上記熱安定剤は、樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部の割合で配合するのがよい。
【0052】
耐光安定剤としては、紫外線吸収剤や、紫外線吸収剤が使用され、前者の例として、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、例えば、
2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール 既存化学物質No(5)−544、
2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(a,a−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール 既存化学物質No(5)−5459、
2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール既存化学物質No(5)−3580、
2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール 既存化学物質No(5)−545、
2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール 既存化学物質No(5)−3605、
2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール既存化学物質No(5)−3604;
オキザリックアッシドアニリド系紫外線吸収剤、例えば
2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド 既存化学物質No(3)−2830、
2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド 既存化学物質No(3)−2800、
等が挙げられる。
また、紫外線安定剤としては、ヒンダードアミン系のもの、例えば
コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物 既存化学物質No(7)−2132、
ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔〔2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕 既存化学物質No(7)−2170、
2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル) 既存化学物質No(5)−5413、
等が挙げられる。
これらの耐光安定剤は、樹脂100重量部当たり0.01乃至5重量部の量で用いるのがよい。
【0053】
樹脂組成物の加工性を向上させるための滑剤としては、(イ)流動、天然または合成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のもの、(ロ)ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの、(ハ)ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系のもの、(ニ)ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等のエステル系のもの、(ホ)セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、(ヘ)ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケンおよび(ト)それらの混合系が一般に用いられるが、特に脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系が好ましい。
滑剤は、樹脂100重量部当たり0.01乃至20重量部の量で用いることが望ましい。
上記の滑剤は、本発明の活性アルミナ粒子の表面に予め被覆として設けておくことができる。
【0054】
樹脂に帯電防止性を付与するために、帯電防止剤を配合することができ、帯電防止剤としては、(イ)第一級アミン塩、第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、ピリジン誘導体等のカチオン系のもの、(ロ)硫酸化油、石ケン、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩、アルキル硫酸エルテル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、コハク酸エステルスルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン系のもの、(ハ)多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール等の非イオン系のもの、(ニ)カルボン酸誘導体、イミダゾリン誘導体等の両性系のものが一般に使用可能であるが、特に非イオン系、中でもポリオキシエチレンアルキルアミンやポリオキシエチレンアルキルアミドないしそれらの脂肪酸エステル、グリセリンの脂肪酸エステル等が好ましい。
【0055】
農業用フィルム等の透明性と防曇性とを要求される用途には、防曇剤を配合することができ、このような防曇剤としては、ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸モノグリセライド、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート及びソルビタンモノオレートなどが挙げられる。
これらの防曇剤も活性アルミナ粒子の表面に予め被覆として設けておくことができる。
【0056】
オレフィン系樹脂中に含まれる触媒残渣中のハロゲン原子を捕捉するための中和剤として、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、脂肪酸カルシウム、脂肪酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、リチウムアルミニウム水酸化物炭酸塩等が使用される。
このような中和剤は、樹脂100重量部当たり、0.01乃至10重量部の量で使用するのがよい。
この中和剤も、予め活性アルミナ粒子の表面に被覆として設けておいてもよい。
【0057】
樹脂の結晶化を促進するための造核剤としては、アルミニウム−p−第三ブチルベンゾエート、ジベンジリデンソルビトール、ビス(4−第三ブチルフェニル)ホスフェートナトリウム塩、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェートナトリウム塩、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェートカルシウム塩、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート塩基性アルミニウム塩などがあげられる。
【0058】
また、本発明の活性アルミナは光触媒用吸着剤や担体としての用途にも有用である。この光触媒用吸着剤では、空気汚染物質等を吸着すると共に、触媒の光による活性化を阻害しないことが必須不可欠であるが、本発明の活性アルミナは吸着性に優れていると共に透明性にも優れているので、光触媒と組み合わせで用いたとき、汚染物質等の光分解性に優れているという利点を与える。
【0059】
本発明の活性アルミナと組合せで用いる光反応性半導体は、主に波長が400nm以下の紫外線の照射により電子・正孔対が生成し、接触している臭気物質などを酸化還元反応で分解することができる物質であり、例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、及びニオブ酸カリウム等が挙げられる。これらの内でも、特に酸化チタン、就中アナターゼ型の酸化チタンが好ましく、この場合正孔のもつ強い酸化力が脱臭能力に関係すると思われる。
【0060】
これらの光半導体は粉末またはゾルの形で用いられ、その粒径は0.6乃至40μmの範囲にあることが好ましい。これらの光反応性半導体は、分散性、非溶解性の改良のため、脱臭能力をあまり低下させない程度に無機または有機物質で表面処理を行うことも可能である。
【0061】
表面を覆う無機物としては、シリカゾル、エアロジル、疎水処理エアロジル等の微粒子シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、カルシア、マグネシア、チタニア等の金属酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、ハイドロタルサイト、A型、P型等の合成ゼオライト及びその酸処理物又はその金属イオン交換物から成る定形粒子等があり、有機物としてはシラン系、アルミニウム系、チタン系或いはジルコニウム系のカップリング剤、高級脂肪酸、脂肪酸アミド、金属石鹸或いは樹脂酸石鹸、または界面活性剤等が目的に応じて使用される。
【0062】
例えば高級脂肪酸アマイド、エルカ酸アミド、オレイルパルミトアマイド、ステアリルエルカミド、2−ステアロミドエチルステアレート、エチレンビス脂肪酸アマイド、N,N’−オレオイルステアリルエチレンジアミン、ジエチルトルアミド、N,N’−ビス(2ヒドロキシエチル)アルキル(C12〜C18)アマイド、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)ラウロアマイド、N−アルキル(C10〜C18)トリメチレンジアミンと反応したオレイン酸、脂肪酸ジエタノールアミン、ジ−(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミンモノアセテートのジステアリン酸エステルが使用される。
【0063】
高級脂肪酸としては、炭素数10乃至22、特に14乃至18の飽和乃至不飽和脂肪酸、例えばカプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が使用される。ステアリン酸が好適なものである。脂肪酸は勿論牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の混合脂肪酸であってもよい。
【0064】
アルカリ金属石鹸とは脂肪酸アルカリ金属塩または脂肪酸アンモニウム塩であり、具体的には炭素数6〜22の脂肪酸、たとえばカプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、あるいはこれらの混合物などのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩が用いられる。
これらアルカリ石鹸の製造法は、特に限定されず、バッチ法でも連続法でもよいが、全体としての設備的メリットを考えると、連続法を採用した方がより好ましい。
【0065】
無機金属塩としては水可溶性金属塩、たとえばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛、リチウム、アルミニウム、銅、鉄、コバルトなどの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩あるいはこれらの混合物が用いられる
【0066】
本発明品を用いた活性アルミナ−光触媒組成物(以下有害物質除去用組成物という)は、活性アルミナと前記光反応性半導体とを1:4乃至19:1、特に好適には1:2乃至2:1の重量比で含有する。
活性アルミナの含有量が上記範囲を下回ると、有害物資の吸着性が低下して、光分解促進作用も低下する傾向がある。一方、光反応性半導体の含有量が上記範囲を下回ると、やはり光反応性が低下するようになる。
【0067】
また、この組成物は、天然或いは合成の粘土鉱物やそれ自体公知の樹脂バインダーを、バインダー或いは更に吸着助剤として含有することが好ましく、このバインダーは、前記活性アルミナ(A)及び光反応性半導体(B)の合計量100重量部当たり1乃至40重量部、特に20乃至34重量部の量で用いるのがよい。
【0068】
上記有害物質除去剤組成物は、種々の基体表面に塗布し、光触媒担持体としての用途に供することもできるし、またこの組成物を造粒して有害物質除去剤としての用途に供することもできる。
【0069】
基体塗布用組成物の場合、一般に固形分濃度が0.25乃至1.5重量%、特に0.5乃至1.0重量%となる分散体を調製するのがよく、また造粒用組成物の場合、前記組成物100重量部当たり、5乃至50重量部の液体水を造粒媒体として使用して、造粒を行えばよい。
【0070】
上記有害物質除去剤を施す基体としては、各種ハニカム、シート、パイプ、リング、粒状物等の成形体を挙げることができるが、この中でも表面積が大きく、圧力損失が少ないという点で、ハニカムが優れている。
【0071】
ハニカム基体としては、耐酸化性を有する素材であれば何れでもよく、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、スチール、ステンレススチール、チンフリースチール等の金属製ハネカムや、アルミナ、ジルコニア、シリカ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化チタン、炭化珪素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タングステン、各種粘土鉱物等のセラミックハニカム等を挙げることができる。
【0072】
一般に金属製のハニカム構造体は、自動車用の触媒や脱臭剤担体などの用途に大量に使用されているため、容易にしかも安価に入手しうるという利点がある。金属製ハニカムは、成形加工がしやすく、セル壁を極限まで薄くできるので、単位断面積中のセル数を多くとることができ、経済性にも優れている。その中でも特にアルミニウムを用いたハニカムは耐腐食性においても優れるため、好ましい。
【0073】
ハニカムのセル数は、ハニカム素材や用途によっても相違するが、一般に単位面積(in)当たり100乃至1000の範囲、特に120乃至250の範囲にあるのが好ましい。
【0074】
有害物質除去用組成物を担持させる基体としては、上記ハニカム類の他に、例えば、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、金属繊維、炭素繊維、ホルマイト族鉱物繊維等の無機繊維から成るシートを挙げることができる。即ち、これらの繊維のステープル繊維或いはフィラメントから成る織布、編布或いは不織布等が何れも使用される。繊維シートの目付(面積当たりの重量)は、繊維の種類によっても相違するが、一般に2乃至50g/mの範囲が適当である。
【0075】
基体の他の例としては、種々の無機成形物をも挙げることができる。無機成形物の径は一般に20μm乃至8mm、特に40乃至5mmの範囲にあることが好ましく、無機成形物としては、ガラスビーズ、発泡ガラスビーズ、シラスバルーン、各種粒状ゼオライト乃至その非晶質化物、クレー粒状体、粒状活性炭、シリカビーズ、アルミナビーズ、シリカ−アルミナビーズ等を挙げることができる。
他の基体を用いる代わりに、本発明の活性アルミナのビーズを担体として使用し、その表面に光触媒とバインダーとを含む組成物を被覆として設けてもよい。
【0076】
ハニカムやシートに担持させる光触媒組成物の塗布量は、その用途等によっても相違するが、一般に単位表面積当たり2乃至50g/m、特に5乃至10g/mの範囲にあるのが好ましい。
【0077】
本発明の有害物質除去剤や光触媒担持体は、大気中や水中の有害物質の除去に広く使用することができる。このような有害成分としては、アルデヒド、ケトン、フェノール類、アンモニア、硫化水素、メルカプタン、芳香族系酸、揮発性炭化水素、有機リン化合物、有機含窒素化合物、有機含硫黄化合物、NOx等が挙げられる。
【0078】
これらの有害物質を除去するためには、有害物質除去剤や光触媒担持体とを、光反応性半導体が活性化される光の照射下に、処理すべき気体或いは水と接触させればよく、その方法は特に限定されない。
【0079】
照射する光としては、一般に波長が400乃至200nmの紫外線が使用され、光源としては、ブラックライト、低圧水銀灯、高圧水銀灯などが使用される。
【0080】
本発明の活性アルミナは、上述した用途の他に、モレキュラーシーブに近い吸着性を有するので、一般的な吸着剤や触媒担体、インクジェット等記録紙用フィラーの用途にも勿論使用することができる。
【0081】
更に本発明の活性アルミナは他の機能性物質と組み合わせて用いることもできる。例えば染料、抗菌剤、脱臭剤等と混合、添着、被覆、含浸させて使用される。
【0082】
【実施例】
本発明を以下の例により具体的に説明するが、本発明は以下の例により限定されるものではない。
本発明における物性測定は以下の方法によって行った。
(1)粉末X線回折:理学電機(株)製、ゴニオメーターPMG−2レートメーターECP−D2、X線回折装置により測定した。
(2)粒度及び、粒度分布:コールターエレクトロニクス社製、コ−ルターカウンター TA−II型、により測定した。
(3)BET比表面積、細孔容積、細孔直径
カルロエルバ社製Sorptomatic Series 1900を使用し、BET法により測定した。
(4)化学分析
アルミナの分析はJIS.M.8855に準拠して行った。
(5)透過率
日本分光(株)製のV−560型分光光度計を用いて測定を行った。
(6)霞度(応用例フィルム)
ASTM D1003に準拠して測定した。
(7)脱臭試験(応用例光触媒)
試料を直径3cmの蓋なし秤量瓶にとり、2.0リットルのガラス瓶に入れ、ガス注入口(シリコンゴム栓)を付けた蓋で密栓する。アンモニア(またはアセトアルデヒド)200ppm相当量をマイクロシリンジを用いて注入する。ブラックランプを連続照射し24時間後の残存濃度から消臭容量を計算する。
(8)ゲル透明度
直径約0.5mmの円筒状にした活性アルミナの粒子等の成形品(粉末はそのまま)を、目盛付のプレパラート上に載せ、光学顕微鏡で観察したとき、目盛線が明確に観察されるか目視観察した。評価は以下の通り。
◎:透明であり、目盛線が明確に観察できる
○:若干の白濁はあるが透明であり、目盛り線が明確に確認できる。
△:白濁はあるが、目盛り線が確認できる。
×:不透明であり、目盛り線が確認できない。
【0083】
(実施例1)
20Lのステンレス製容器に硫酸アルミニウム水溶液(Al:7.72%,SO:18.20%)を16Kg計りとり、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al:23.80%,NaO:19.10%)4.28kgを5Lのステンレス製容器に計量しておく、硫酸アルミニウム水溶液の注加速度を約102ml/min、アルミン酸ナトリウム水溶液の注加速度を23.3ml/min、に設定し、高剪断下、定量ポンプで同時混合した。さらに目標の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルのモル比(SO/Al)が0.92となるように高剪断下のもとで混合液の循環系を形成し、そこに、546gのアルミン酸ナトリウム水溶液を2.0ml/minの注加速度で添加混合した。尚、循環速度は800ml/minとし、7日間室温で撹拌熟成した。最終的にAl 濃度11.44%、pH3.97、粘度180m.pa.s、70℃におけるゲル化時間が5分40秒の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾル(試料1−1)を得た。また、塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルのモル比(SO/Al)は0.922であった。
【0084】
調製された塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルを更に室温下で20日間撹拌熟成して重合を促進せしめ粘度を上昇させた塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルを予め、調製しておいた濃アンモニア−塩化アンモニウムのpH緩衝溶液(NHCl:70gと濃アンモニア水、約500mlをイオン交換水添加し、全量を1リットルに調製した緩衝溶液:pH9.84)に塩基性アルミニウムのヒドロゾルを注射器で押出し、室温下でヒドロゲル化せしめ、円柱状の透明なアルミナヒドロゲルを調製した。水洗、乾燥したのち、600℃で3時間焼成して透明性を有する活性アルミナ(試料1−2)を得た。
この透明活性アルミナ(1−2)の諸物性を表1に示す。
また、透明活性アルミナ(1−2)のX線回折チャートを図1に示し、光学顕微鏡写真を図3に示す。
【0085】
(実施例2)
20Lのステンレス製容器に硫酸アルミニウム水溶液(Al:7.68%,SO:17.90%)を16Kg計りとり、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al:24.10%,NaO:18.80% )4.19Kgを5Lのステンレス製容器に計量しておく、硫酸アルミニウム水溶液を注加速度を約102ml/min、アルミン酸ナトリウム水溶液の注加速度を22.9ml/min、に設定し、定量ポンプで高剪断下、同時混合した。さらに目標の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルのモル比が0.91となるように高剪断下のもとで混合液の循環系を形成し、そこに、593gのアルミン酸ナトリウム水溶液を2.0ml/minの注加速度で添加混合した。尚、循環速度は800ml/minとし、7日間室温で撹拌熟成した。最終的にAl濃度11.46%、pH3.99、粘度240m.pa.s、70℃におけるゲル化時間が2分50秒の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾル(試料2−1)を得た。また、塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルのモル比(SO/Al)は0.912であった。この塩基性硫酸アルミニウムゾルを実施例1と同様にし、透明活性アルミナ(試料2−2)を得た。
この透明活性アルミナ(2−2)の諸物性を表1に示す。
【0086】
(実施例3)
20Lのステンレス製容器に硫酸アルミニウム水溶液(Al:7.72%,SO:18.20%)を16Kg計りとり、自製アルミン酸ナトリウム水溶液(Al:23.80%,NaO:19.10%)4.28kgを5Lのステンレス製容器に計量しておく、硫酸アルミニウム水溶液を注加速度を約102ml/min、アルミン酸ナトリウム水溶液の注加速度を23.3ml/min、に設定し、高剪断下、定量ポンプで同時混合した。さらに目標の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルのモル比が0.95となるように高剪断下のもとで混合液の循環系を形成し、そこに、417gのアルミン酸ナトリウム水溶液を2.0ml/minの注加速度で添加混合した。尚、循環速度は800ml/minとし、7日間室温で撹拌熟成した。最終的にAl濃度11.36%、pH3.86、粘度61m.pa.s、70℃におけるゲル化時間が28分の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾル(試料3−1)を得た。尚、塩基性硫酸アルミニウムゾルのモル比(SO/Al)は0.946であった。この塩基性硫酸アルミニウムゾルを実施例1と同様にし、透明活性アルミナ(試料3−2)を得た。この透明活性アルミナ(3−2)の諸物性を表1に示す。
【0087】
(実施例4)
20Lのステンレス製容器に硫酸アルミニウム水溶液(Al:7.68%,SO :17.90%)を16Kg計りとり、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al:24.10%,NaO:18.80%)4.19Kgを5Lのステンレス製容器に計量しておく、硫酸アルミニウム水溶液をを注加速度を約102ml/min、アルミン酸ナトリウム水溶液の注加速度を22.9ml/min、に設定し、高剪断下、定量ポンプで同時混合した。さらに目標の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルのモル比が0.99となるように高剪断下のもとで混合液の循環系を形成し、そこに、245gのアルミン酸ナトリウム水溶液を2.0ml/minの注加速度で添加混合した。尚、循環速度は800ml/minとし、定量ポンプで循環させ、高剪断下にアルミン酸ナトリウム水溶液を滴下混合した。最終的にAl濃度11.25%、pH3.82、粘度31.0m.pa.s、70℃におけるゲル化時間が1時間分40分の塩基性硫酸アルミニウムゾル(試料4−1)を得た。尚、塩基性硫酸アルミニウムゾルのモル比は0.988であった。
【0088】
調製された塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルを更に室温下で120日間撹拌熟成して重合を促進せしめ粘度を上昇させた塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルを予め、調製しておいた濃アンモニア−塩化アンモニウムのpH緩衝溶液(NHCl:70gと濃アンモニア水、約500mlをイオン交換水添加し、全量を1リットルに調製した緩衝溶液:pH9.84)に塩基性アルミニウムのヒドロゾルを注射器より押出し、室温下でヒドロゲル化せしめ、円柱状の透明なアルミナヒドロゲルを調製した。水洗、乾燥したのち、600℃で3時間焼成して透明性を有する透明活性アルミナ(試料4−2)を得た。
この透明活性アルミナ(4−2)の諸物性を表1に示す。
【0089】
(実施例5)
実施例1のアルミナヒドロゾル(試料1−1=試料5−1)を加熱してゲル化(油中造粒)
この例は、加熱ゲル化法によりゲル化を行った例であり、本発明の範囲外の参考例である。
実施例1で調製された塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾル(試料1−1=試料5−1)を更に室温下で20日間撹拌熟成して重合を促進せしめ粘度を上昇させた塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルを予め、調製しておいたマシン油槽(90℃)にスプレーして加熱によりヒドロゲル化せしめ、水洗後、濃アンモニア処理して更に水洗し、600℃3時間焼成後、球状の透明性を有するアルミナヒドロゲル(試料5−2)を得た。この透明活性アルミナ(5−2)の諸物性を表1に示す。
【0090】
(比較例1)
20Lのステンレス製容器に硫酸アルミニウム水溶液(Al:7.72%,SO:18.20%)を16Kg計りとり、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al:23.80%,NaO:19.10%)2.76Kgを5Lのステンレス製容器に計量しておく。硫酸アルミ二ウム水溶液とアルミン酸ナトリウム水溶液を高剪断下のもとで同時混合し(SO/Al=1.9)、塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾル(試料6−1)を得た。尚、塩基性硫酸アルミニウムゾルのモル比(SO/Al)は1.9であった。このヒドロゾルを濃アンモニア−塩化アンモニウムのpH緩衝溶液に注射器を用いて押しだしたがゲル化せず、そのまま分散した。
【0091】
(比較例2)
濃度150g/Lの塩化ナトリウム水溶液を60℃に加温し、この張り込み液中に塩化アルミニウム水溶液とアルミン酸ソーダ溶液とを同時に注加した(SO/Al=0.8)、得られたスラリー(pH8)は瞬間的にゲル化して白色沈殿が確認された。70℃で3時間攪拌熟成した後、濾過、水洗を行い600℃で3時間焼成後、粉砕、分級を行い白色粉末アルミナ(試料7)を得た。
この白色粉末アルミナの諸物性を表1に示す。
【0092】
(比較例3)
市販の活性アルミナ粉体成形加工による白色(不透明)球状形態の工業用吸着剤を試料8とし、その諸物性を表1に示す。
【0093】
(応用例1)
高純度テレフタル酸とエチレングリコールを直接縮重合する際に試料粉末(各平均粒径を約3μmに粉砕分級したもの)0.2重量部加えPET樹脂を合成後、インフレーション成形を行い、厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの霞度(ヘイズ)を測定した。
その結果を表2に示す。
【0094】
(応用例2)
各試料アルミナ粉末(3μmに調製)10gと光触媒能を有する酸化チタン粉末10gをサンプルミルを用いて十分混合し、脱臭試験を行った。
その結果を表2に示す。
【0095】
【表1】
Figure 0004199859
【0096】
【表2】
Figure 0004199859
【0097】
【発明の効果】
本発明によれば、塩基性硫酸アルミニウムの内でも特定の組成のものを選択し、これをゲル化、中和、洗浄、乾燥乃至焼成することにより、優れた透明性を有し、無定型であり、耐熱性にも優れている新規な透明活性アルミナが得られる。
この透明活性アルミナは、樹脂配合剤、光触媒用吸着剤、及び担体の用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明品(実施例1)透明活性アルミナのX線回折像を示す図である
【図2】市販の活性アルミナのX線回折像を示す図である。
【図3】本発明品(実施例1)透明活性アルミナの光学顕微鏡写真である。
【図4】本発明品(実施例1)透明活性アルミナと市販の活性アルミナの細孔分布曲線を比較する図である。

Claims (3)

  1. 下記式
    SO/Al=0.90〜1.00
    で示されるモル組成の塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルを、アンモニウム塩濃度が3重量%以上であり且つ7乃至12のpHを有するアンモニア−アンモニウム塩の緩衝液中で15乃至35℃の温度でゲルに転化し、水洗した後、100乃至600℃の温度で乾燥或いは焼成することを特徴とする透明な活性アルミナの製造法。
  2. 塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルが、5乃至3000m.pa.sの粘度を有するものである請求項1に記載の活性アルミナの製造法。
  3. 塩基性硫酸アルミニウムのヒドロゾルが560nmの波長で測定して、95%以上の透過率を有するものである請求項1または2に記載の活性アルミナの製造法。
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