JP3922818B2 - 酸性活性アルミナの製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸性活性アルミナの製法に関するもので、より詳細には、従来の活性アルミナの吸着性能に加えて、金属成分や他の塩基成分に対しても吸着性能を有する酸性活性アルミナの製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸着剤等の用途に使用されているアルミナ(Aluminum oxide)は、活性アルミナ(Activated alumina)あるいはアルミナゲル(Alumina gel)ともいわれ、一般的に使用されている無機質多孔質体の一つである。
アルミナの既存化学物質No.は1−23、CAS No.は、1344−28−1である。
【0003】
活性アルミナは単一の物理構造ではなく、水酸化アルミニウムから高温安定相であるα−アルミナへの転移過程における準安定相である比較的高い表面積を有する数種類の物理構造を有するアルミナの総称である。
化学的には固体酸、固体塩基性を有しており、極性分子の吸着剤あるいは触媒、触媒担体として広く使用されている。
【0004】
公知の活性アルミナの殆どのものは、アルミン酸アルカリ原料から出発することに関連して、ナトリウム等のアルカリ金属分を含有しており、そのpHは一般に9乃至10のアルカリ側にある。
【0005】
低ナトリウム含量アルミナの製造法も既に知られており、例えば特開昭64−37416号公報には、ナトリウム化合物を原料の少なくとも一部として用いて形成したナトリウム分を含むアルカリ性アルミナヒドロゲルを含む水性液を、アルカリ性のまま濾過し、得られたアルカリ性アルミナヒドロゲルを乾燥、焼成した後、アンモニウム塩水溶液と接触させることが記載され、この方法によれば、アンモニウム塩水溶液処理により、アルミナ中のナトリウム分は、アンモニウム塩と反応し、水溶液中に溶出されることも記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の公知方法によれば、ナトリウム含量が0.2重量%以下、特に0.1重量%以下の高表面積多孔性アルミナが製造され、このアルミナは中和されない酸性点を数多く有するとしても、水洗、濾過、乾燥、焼成等の工程を複数回にわたって反復する必要があり、手間のかかる工程を多数必要とし、工程数の点でも、また生産性の点でも未だ満足しうるものではない。
しかも、上記方法によると、活性アルミナ中のナトリウム分を可及的に少なくすることはできるとしても、活性アルミナ中に酸成分を含有させるという技術思想は全くなく、またその手段についても何ら記載されていない。
【0007】
一方、活性炭等の物理的吸着剤では、酸添着処理が屡々行われており、この酸添着吸着剤は塩基性物質の吸着に有効な作用を示すことが知られている。
活性アルミナにおいて、このような酸添着活性アルミナが存在しないことはちょっと奇異な感じもするが、これは活性アルミナが酸との反応性が大きく、酸を活性のある状態で担持させることが困難であることに関連していると認められる。
【0008】
本発明者らは、特定の水酸化アルミニウムと塩化及び/又は硫酸アンモニウムとを混合し、この混合物を焼成するときには、酸性の活性アルミナが得られ、この酸性活性アルミナは特異な吸着特性を示すことを見出した。
【0009】
即ち、本発明の目的は、活性アルミナの吸着性能に加えて、酸性側pHを有し、金属成分や他の塩基成分に対して吸着性を示し、吸着剤として有用な酸性活性アルミナの製法を提供するにある。
本発明の他の目的は、上記酸性活性アルミナを、面倒な操作や工程を要することなしに、少ない工程で製造しうる方法を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によればまた、ギブサイト型水酸化アルミニウム、擬ベーマイト型水酸化アルミニウム、バイヤライト型水酸化アルミニウムの内少なくとも一つの水酸化アルミニウムと、該水酸化アルミニウム中に含有するアルカリ金属成分よりも過剰で且つ150℃乾燥基準で該水酸化アルミニウムの少なくとも一つに対して0.5乃至3.0重量%の塩化及び/又は硫酸アンモニウムとを乾式で混合し、この混合物を450乃至700℃の温度で焼成することを特徴とする酸性活性アルミナの製法が提供される。
【0012】
【発明の実施形態】
本発明は、特定の水酸化アルミニウム、即ちギブサイト型水酸化アルミニウム、擬ベーマイト型水酸化アルミニウム、バイヤライト型水酸化アルミニウムの内少なくとも一つの水酸化アルミニウムと、前記水酸化アルミニウム中のアルカリ金属分よりも過剰の塩化及び/又は硫酸アンモニウムとを混合し、この混合物を焼成すると、生成する活性アルミナ中に塩素又は硫酸分が有効に固定され、この活性アルミナは従来のものには認められなかった酸性側pHを示すという知見に基づくものである。
【0013】
即ち、本発明による酸性活性アルミナは、150℃乾燥基準で測定して97重量%以上のAlを含有するという化学的組成の点では従来の活性アルミナと同様であるが、150乃至400m/gのBET比表面積と0.2乃至0.7cc/gの細孔容積とで表されるように、優れた表面活性及び多孔性を保持しながら、酸性側pHを示すように改質されていることが顕著な特徴である。
【0014】
活性アルミナが酸性側pHを示すことは、用いた塩化及び/又は硫酸アンモニウム中の塩素及び/又は硫酸分が活性アルミナ中に固定されているためであり、この固定の程度は、第一に、2重量%水性懸濁液として測定したとき、4.0乃至7.0、特に4.5乃至6.5の範囲のpHにあること、及び第二に、蛍光X線法で測定して、下記式(1)
=C/CAl ‥(1)
式中、Xは塩素(Cl)または硫黄(S)であり、
は塩素成分または硫黄成分のX線強度(KCPS)であり、
AlはAlのX線強度(KCPS)である、
で定義される強度比(R)において、RClが0.0010以上、特に0.0010乃至0.0040であること、又はRが0.010以上、特に0.010乃至0.040であることによって確認できる。
【0015】
本発明による酸性活性アルミナは、活性アルミナとして、優れた一般的吸着特性に加えて、酸としての化学的吸着特性乃至吸着活性をも有している。
このため、通常の活性アルミナ(2重量%水性懸濁液のpHが9.0乃至10.0)では、例えば金属塩として、6塩化タングステン(WCl)を20ppmの濃度で含有する100ml溶液について、1重量%の量で添加し、25℃の温度で2時間処理したときの金属(タングステン)イオンの除去率が78%のオーダーであるのに対して、本発明の酸性活性アルミナでは、上記と同様な処理条件下において、金属(タングステン)イオンの除去率が97%以上のオーダーに向上するのである(後述の応用例1を参照)。
【0016】
かくして、本発明の酸性活性アルミナは、通常の活性アルミナの高比表面積及び吸着活性に加えて、金属成分や他の塩基成分にも高い吸着性能を示すので、この吸着性能をも併せて有することが望まれる吸着剤、触媒、触媒担体などの分野に有用である。
【0017】
本発明の酸性活性アルミナは、格別の面倒な操作を必要とせず、その製造も至って簡単且つ容易であるという利点をも有している。
即ち、活性アルミナは、一般に水酸化アルミニウムを焼成することにより製造されるが、本発明の方法では、この焼成操作に先立って、水酸化アルミニウムに所定量の塩化及び/又は硫酸アンモニウムを混合するだけでよく、一切面倒な操作を必要としない。塩化及び/又は硫酸アンモニウムの混合量は、水酸化アルミニウムに含有されるナトリウム分に対して過剰な量であればよく、一層具体的には、上記懸濁液pHを与えるような量である。
【0018】
[製造法]
本発明の酸性活性アルミナは、ギブサイト型水酸化アルミニウム、擬ベーマイト型水酸化アルミニウム、バイヤライト型水酸化アルミニウムの内少なくとも一つの水酸化アルミニウムと、前記水酸化アルミニウム中に含有するアルカリ金属分よりも過剰の塩化及び/又は硫酸アンモニウムとを混合し、この混合物を焼成することにより、製造される。
【0019】
アルミニウムの水酸化物には、ギブサイト型、ベーマイト乃至擬ベーマイト型、バイヤライト型の各種のものが知られている。
【0020】
ギブサイト(gibbsite)は、組成式Al(OH)で表わされるアルミニウム水酸化物である。ベーマイト(boehmite)は組成式AlO(OH)で表わされるアルミニウム酸化・水酸化物であるが、擬ベーマイト(pseud−boehmite)は、性状としてはゲル状であるが、ベーマイト類似のブロードなX線回折像を示すものである。また、バイヤライト(bayerite)は、組成式Al(OH)で表わされる水和アルミナである。
図1〜4に、ギブサイト、ベーマイト、擬ベーマイト及びバイヤライトの各X線回折像を示す。
【0021】
本発明では、上記ギブサイト、擬ベーマイト、バイヤライトは、各々単独で使用することもできるし、或いは組み合わせでも使用することができる。擬ベーマイト型の水酸化アルミニウムは活性が大きく、粒子強度の大きい活性アルミナを与えるという点で優れたものではあるが、ギブサイト型の水酸化アルミニウムに比してかなり高価であるという難点がある。本発明では、擬ベーマイトの一部乃至全部をギブサイトで置き換えて使用できるので、その製造コストをかなり低減できる。
用いる水酸化アルミニウム原料は必ずしも純粋であるものに限定されず、アルカリ金属分等の不純物を含有するものであってもかまわない。一般に入手しうる上記の水酸化アルミニウムは、ナトリウム分を0.1乃至0.3重量%程度含有しており、この水酸化アルミニウムは十分に本発明の原料として用いることができる。
【0022】
本発明では、上記水酸化アルミニウムに添加混合するアンモニウム塩として、塩化及び/又は硫酸アンモニウムを用いることができる。後述する比較例に示すとおり、硝酸アンモニウムなどの他のアンモニウム塩を用いたのでは、酸成分を有効に活性アルミナ中に固定することができない。
【0023】
添加混合する塩化及び/又は硫酸アンモニウムは、水酸化アルミニウム中に含まれるアルカリ金属分に対して過剰な量で使用されるべきであり、一般に150℃乾燥基準の水酸化アルミニウムに対して、0.5乃至3.0重量%である。又、上記のアンモニウム塩をそれぞれ単独で用いた場合、塩化アンモニウムは、0.5乃至2.0重量%、硫酸アンモニウムは、2.0乃至3.0重量%の量で用いるのが好ましい。
塩化及び/又は硫酸アンモニウムの量が上記範囲を下回ると、水性懸濁液のpHを前記範囲に制御することが困難となる傾向があると共に、生成する活性アルミナは金属成分等に対する吸着性能も低下する傾向がある。また、塩化及び/又は硫酸アンモニウムを上記範囲を上回る量で使用しても、生成する活性アルミナの性能の点では格別のメリットがなく、処理コストが増大するので経済的には不利となる。
【0024】
水酸化アルミニウム原料と、塩化及び/又は硫酸アンモニウムとの混合は、両者の混合が比較的均一に行いうるものであればよく、特に限定されない。
操作の簡便さ及び固液分離が不必要であることなどの利点からは、乾式で両者を混合することが望ましく、この乾式混合には、水平円筒型混合機、V型混合機、リボン型混合機、攪拌型混合機、回転円盤型混合機、ボールミル等の混合機を用いることができる。
【0025】
得られた混合物は、そのまま次の焼成操作に付することもできるし、必要あれば造粒、成形等の操作を行ったのち、焼成を行うこともできる。水酸化アルミニウムとして、擬ベーマイト型の水酸化アルミニウムを含有するものを用いた場合には、バインダーとしての作用も得られると共に、自己焼結性をも有しているので、強度の高い粒状物や成形品も得られる。
【0026】
本発明では、必要により成形した混合物を焼成して、活性アルミナとする。焼成温度は、水酸化アルミニウムの水和水の脱水が行われるが、α−アルミナの生成にまでは至らないような温度であり、一般に450乃至700℃、特に500乃至600℃の温度が適当である。焼成時間は、温度によっても相違するが、一般に1乃至3時間の範囲から、適当な比表面積と細孔容積とが得られるように焼成時間を選択する。
この焼成に際して、水酸化アルミニウム中に含有される過剰の塩化及び/又は硫酸アンモニウムは分解し、塩素及び/又は硫酸分は活性アルミナに固定される一方で、アンモニア分は焼成雰囲気中に揮散する。
【0027】
混合物の焼成には、混合物の形状等を考慮して、固定床式、移動床式、或いは流動床式の焼成炉が使用され、混合物が粉粒体である場合にはロータリキルン等の移動式焼成炉が特に適している。
焼成により生成した活性アルミナは、必要に応じ分級等の操作を行ったのち製品とする。
【0028】
[活性アルミナ及び用途]
本発明による活性アルミナは、150℃乾燥基準で測定して97重量%以上、特に98重量%以上のAlを含有し、150乃至400m2/g、特に150乃至300m/gのBET比表面積と、0.2乃至0.7cc/g、特に0.2乃至0.5cc/gの細孔容積とを有する。この酸性活性アルミナは、2重量%水性懸濁液として測定したpHが、従来の活性アルミナでは一般に9.0乃至10.0の範囲にあるのに対して、4.0乃至7.0、特に4.5乃至6.5の範囲にある。
【0029】
また、 蛍光X線法で測定して、下記式(1)
=C/CAl ‥(1)
式中、Xは塩素(Cl)又は硫黄(S)であり、
は塩素成分又は硫黄成分のX線強度(KCPS)であり、
AlはAlのX線強度(KCPS)である、
で定義される強度比(R)において、RClが0.0010以上、特に0.0010乃至0.0040であること、又はRが0.010以上、特に0.010乃至0.040であり、従来の活性アルミナの強度比の50倍以上である。
【0030】
この活性アルミナは、非晶質乃至微結晶性であり、微結晶性のものは、γ型等の結晶構造をとりうるが、結晶の発達の程度は小さい。
添付図面の図5に、本発明による活性アルミナのX線回折像を示す。
【0031】
活性アルミナの形状としては、粉末乃至顆粒状が一般的であるが、円柱状、円筒状、ハニカム状、繊維状、膜(シート)状など多岐にわたる形状でも使用することができる。
粉粒体の場合、体積基準の中位径(D50)は、一般に5乃至100μm、特に5乃至80μmの範囲にあることが取り扱いの点で有利である。
【0032】
本発明による活性アルミナは、前述した利点を生かして、各種吸着剤、触媒担体、触媒、樹脂配合剤等の用途に用いることができ、上記用途において、各種金属成分、例えばLi、Na、K、Rb等の周期律表第IA族金属、Cu、Ag、Au等の周期律表第IB族金属、Be、Mg、Ca、Sr、Ba等の周期律表第IIA族金属、Zn、Cd、Hg等の周期律表第IIB族金属、Sc、Y、ランタノイド等の周期律表第IIIA 族金属、Al、Ga、In、Tl等の周期律表第IIIB 族金属、Ti、Zr、Hf等の周期律表第IVA族金属、Ge、Sn、Pb等の周期律表第IVB族金属、V、Nb、Ta等の周期律表第VA族金属、As、Sb、Bi等の周期律表第VB族金属、Cr、Mo、W等の周期律表第VIA族金属、Se、Te、Po等の周期律表第VIB族金属、Mn、Tc、Re等の周期律表第VIIA 族金属、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等の周期律表第VIII族金属などの成分や、アンモニア、各種有機塩基、例えば1級、2級または3級の脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミン、含窒素複素環化合物、4級有機アンモニウム化合物などの吸着、捕集乃至保持に利用することができる。
【0033】
例えば、活性アルミナは水分に対する吸着性を有しており、各種ガスの除湿、液体の脱水、樹脂中の水分捕捉などの目的に使用されており、他に、液体の脱酸、リン酸イオンの吸着、フッ素イオンの吸着、砒酸イオンの吸着除去、更には臭気成分の脱臭などにも使用されているが、本発明の活性アルミナを用いると、これらの作用と同時に金属成分、アンモニア、有機塩基等の吸着捕集を同時に行うことができる。
【0034】
本発明の酸性活性アルミナは、重合体中の汚染金属成分を除去するための吸着剤として特に有用である。例えば、線状乃至環状のオレフィン類の重合乃至共重合には、遷移金属のハロゲン化物やシクロペンタジエニル錯体(所謂メタロセン)と有機アルミニウム化合物との組合せが使用されており、得られる重合体乃至共重合体中には、触媒として用いた金属の残渣成分が必然的に含有されている。これは、付加重合体に限られるものではなく、例えばエステル交換触媒等を用いる縮重合型重合体においても同様である。
また、樹脂中への汚染金属成分の混入は、重合触媒を使用する場合に限定されず、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン重合体のように、重合体を水素添加触媒の存在下に水素添加する場合にも同様に生じる。
これらの残渣成分は、樹脂を着色したり、樹脂製品の光学的特性を経時的に低下させたり、或いは樹脂製品の電気的特性を低下させる傾向があるため、これらの汚染金属成分を、簡単な処理によって、重合体の特性を低下させることなく、有効に除去することは非常に望ましいことである。
【0035】
本発明によれば、汚染金属成分を含有する樹脂溶液に対して、酸性活性アルミナを添加し、混合したのち、これを分離することにより、樹脂中の汚染金属成分を除去することができる。
【0036】
対象とする樹脂の適当な例は、熱可塑性樹脂、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、ピロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等あるいはそれらの混合物;エラストマー重合体、例えばニトリル−ブタジエンゴム(NBR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IIB)、ブチルゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリウレタン、シリコーンゴム、アクリルゴム等;熱可塑性エラストマー、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等である。
【0037】
これらの重合体は、一般に有機溶媒溶液の形で汚染金属成分の除去処理に用いることができ、有機溶媒としては、上記重合体を溶解しうるそれ自体公知の任意の有機溶媒が使用される。オレフィン系樹脂やエラストマーに対する有機溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒が適当である。溶液中の重合体濃度は、処理が容易に行えるように適宜決定され、一般に0.1乃至50重量%、特に1乃至40重量%の範囲とするのが適当である。
【0038】
酸性活性アルミナの添加量は、汚染金属成分の含有量によっても相違するが、一般的にいって、重合体を基準として、重合体100重量部当たり、0.1乃至30重量部、特に1乃至20重量部が適当である。
吸着処理は、酸性活性アルミナを添加した溶液を1乃至30分間攪拌することにより行われ、汚染金属成分を吸着したアルミナは、濾過、遠心分離等の固液分離操作により重合体溶液から分離する。
【0039】
本発明による酸性活性アルミナは、樹脂中の水分に対する吸着剤として使用し得るほか、樹脂中の金属成分のイミグレーション(移行)防止剤としても使用できる。電子部品等においては、樹脂中での金属成分の移行が電気的特性の経時的低下の原因となるが、酸性活性アルミナを樹脂中に配合しておくことにより、金属成分の移行を防止できる。
【0040】
このような用途に用いる樹脂としては、前述した熱可塑性樹脂やエラストマーのほかに、熱硬化性樹脂、例えばフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
本発明の酸性活性アルミナは、重合体100重量部当たり0.01乃至10重量部、特に1乃至5重量部の量で配合するのがよい。
【0041】
本発明による酸性活性アルミナは、それ自体で、脱水、脱水素、C−C結合、C−N結合、C−S結合を伴う縮合反応、分解反応の促進などの触媒として使用できる。脱水反応用触媒としては、アルコールと酸からのエステルの合成があり、また、炭化水素の異性化、改質、芳香族化の触媒としても使用される。
また、本発明の酸性活性アルミナは、前述した金属成分を担持させる触媒担体としても有用であり、この触媒は例えば脱硫反応、過酸化水素合成、オキシクロリネーション、自動車排気ガス処理、NO分解などの用途に使用される。
【0042】
また、本発明の酸性活性アルミナは、煙草の抽出液を吸着し、汚染成分又は悪臭成分を除去する(後述の応用例2を参照)。
【0043】
さらに本発明の活性アルミナは、無機物のシリカゾル、エアロジル、疎水処理エアロジル等の微粒子シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、フィロケイ酸アルミニウム亜鉛乃至その非晶質シリカ複合体、フィロケイ酸亜鉛、フィロケイ酸アルミニウムマグネシウム、フィロケイ酸マグネシウム等の複合フィロケイ酸塩、カルシア、マグネシア、チタニア等の金属酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩、ハイドロタルサイト、ベントナイト、A型、X型、Y型、P型等の合成ゼオライト及びその酸処理物又はその金属イオン交換物から成る定形粒子等、有機物としてはシラン系、アルミニウム系、チタン系或いはジルコニウム系のカップリング剤、高級脂肪酸、金属石鹸或いは樹脂酸石鹸、または界面活性剤等を上記の目的に応じて混合もしくは表面に被覆して用いることもできる。
【0044】
混合は均一に混合されるのであればどのような方法でも良く、例えば、スーパーミキサー等で摩砕混合しても良い。混合割合は酸性活性アルミナに対し1〜50wt%が好適である。また、被覆の場合は酸性活性アルミナに対し1〜30wt%が好適である。
【0045】
さらに、抗菌性物質として銀、銅、亜鉛タイプのゼオライト、アパタイト、銀を添着したガラス、トルマリン等を用いることができる。また、光触媒(光反応性半導体)として、例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、及びニオブ酸カリウム等を用いることもできる。
【0046】
【実施例】
以下に、実施例を示し本発明を詳細に説明する。なお、実施例における測定方法は、次の通りである。
【0047】
(1)化学組成
JIS.M.8855.に準拠して行った。
ただしIg−Loss分はゼロとし、その他の化学組成よりアルミナの含有割合を求めた。
【0048】
(2)BET比表面積、細孔容積
カルロエルバ社製Sorptomatic Series 1900を使用し、BET法により測定した。
【0049】
(3)スラリーpH
JIS.K.5101.24Aに準じて測定した2%サスペンジョンのpH値。
【0050】
(4)蛍光X線
理学電機工業(株)製 RIX2100を用いて生成物中のAl、Cl、Sを同定した。なお、測定条件は以下のとおりである。
ターゲット ;Rh
管電圧(KV);30
管電流(mA);130
検出器 ;PC
分光結晶 ;GE
分析線 ;Kα
【0051】
(5)粒径測定
平均粒径(メジアン径;μm)はコールターカウンター社製のレーザー回折型粒子サイズアナライザー(コールターR LS130)を用いて測定した。
【0052】
(6)XRD
理学電機(株)製、X線発生装置4036A1、ゴニオメータ2125D1、計数装置5071を用いて、Cu−Kαにて測定した。
【0053】
実施例で用いた水酸化アルミニウムは、ギブサイト型水酸化アルミニウム、擬ベーマイト型水酸化アルミニウム、バイヤライト型水酸化アルミニウムをそれぞれ用いた。ギブサイト型水酸化アルミニウムは日本軽金属製のものを用い、擬ベーマイト型水酸化アルミニウム、バイヤライト型水酸化アルミニウムは、それぞれ以下の合成法で得た物を用いた。
【0054】
(擬ベーマイトの合成)
擬ベーマイトは、以下のように合成した。100℃の加温撹拌条件下にある炭酸カルシウムの濃度100g/Lスラリー中に、Alとして80g/L濃度の微酸性(pH2.8)の硝酸アルミニウム溶液を200ml/minの速度で注加し、注加終了後の反応スラリーのpHが7.5、温度85℃の条件でゆっくり撹拌しながら1時間の熟成処理をして、水和アルミナとした。次いで、濾過、水洗をし110℃で乾燥して擬ベーマイト型水和アルミナの粉末を得た。
【0055】
(バイヤライトの合成)
バイヤライトは、以下のように合成した。2Lのステンレスビーカーに市販のアルミン酸ソーダ(Al濃度21.4%、NaO濃度17.6%、NaO/Al=1.35)を706g(全液量中のAl濃度として8%)秤取り純水212mlを加えた後、20℃に調節した恒温槽に入れ、ハイスターラーで撹拌しながらアクリルアミドポリマー水溶液(和光純薬製約10%水溶液、平均分子量50万)を423g加えて(Al分に対してポリアクリルアミド無水物として28%)十分分散した。次いで5%硫酸545gを約1分間で加え、注加終了後撹拌を止めそのまま12時間静置した。静置後沈殿物と母液を濾別分離し、得られたケーキを純水中で再分散し十分分散後、pHが2.0になるまで5%硫酸を加えpHが2.0でほぼ安定したらそのまま1時間撹拌し、以後濾過、水洗し、更に110℃で乾燥してバイヤライト型水和アルミナを得た。
【0056】
(実施例1)
150℃乾燥基準でギブサイト型水酸化アルミニウム100gに、市販の塩化アンモニウム(NHCl)1.0gをハイスピードミキサー(深江工業製FS−GS−40Jタイプ)で2分間混合した。その後、混合品を150℃で10時間乾燥した後550℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、酸性活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。また、XRDを図5に、IRを図6にそれぞれ示す。
【0057】
(実施例2)
150℃乾燥基準で擬ベーマイト型水酸化アルミニウム100gに、市販の塩化アンモニウム(NHCl)1.0gをハイスピードミキサーで2分間混合した。その後、混合品を150℃で10時間乾燥した後450℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、酸性活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0058】
(実施例3)
150℃乾燥基準でバイヤライト型水酸化アルミニウム100gに、市販の塩化アンモニウム(NHCl)1.0gをハイスピードミキサーで2分間混合した。その後、混合品を150℃で10時間乾燥した後700℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、酸性活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0059】
(実施例4)
150℃乾燥基準でギブサイト型水酸化アルミニウム50gと、擬ベーマイト型水酸化アルミニウム50gに、市販の塩化アンモニウム(NHCl)1gをハイスピードミキサーで2分間混合した。混合品を成形機で3mm押し出し成形後、150℃で10時間乾燥した後550℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、酸性活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0060】
(実施例5)
150℃乾燥基準で擬ベーマイト型水酸化アルミニウム100gに、市販の塩化アンモニウム(NHCl)0.5gをハイスピードミキサーで2分間混合した。その後、混合品を150℃で10時間乾燥した後550℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、酸性活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0061】
(実施例6)
150℃乾燥基準でギブサイト型水酸化アルミニウム50gと、擬ベーマイト型水酸化アルミニウム50gに、市販の塩化アンモニウム(NHCl)0.5gをハイスピードミキサーで2分間混合した。混合品を成形機で3mm押し出し成形後、150℃で10時間乾燥した後550℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、酸性活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0062】
(実施例7)
150℃乾燥基準でギブサイト型水酸化アルミニウム100gに、市販の塩化アンモニウム(NHCl)2.0gをハイスピードミキサーで2分間混合した。その後、混合品を150℃で10時間乾燥した後550℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、酸性活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0063】
(実施例8)
150℃乾燥基準でギブサイト型水酸化アルミニウム100gに、市販の硫酸アンモニウム((NHSO)2.0gをハイスピードミキサーで2分間混合した。その後、混合品を150℃で10時間乾燥した後550℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、酸性活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0064】
(実施例9)
150℃乾燥基準でギブサイト型水酸化アルミニウム100gに、市販の塩化アンモニウム(NHCl)0.5gと市販の硫酸アンモニウム((NHSO)0.5gをハイスピードミキサーで2分間混合した。その後、混合品を150℃で10時間乾燥した後550℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、酸性活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0065】
(比較例1)
150℃乾燥基準でギブサイト型水酸化アルミニウム100gを550℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0066】
(比較例2)
150℃乾燥基準でギブサイト型水酸化アルミニウム100gに塩化アンモニウム(NHCl)0.4gをハイスピードミキサーで2分間混合した。その後、混合品を150℃で10時間乾燥した後550℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0067】
(比較例3)
150℃乾燥基準で擬ベーマイトゲル100gに塩化アンモニウム(NHCl)0.2gをハイスピードミキサーで2分間混合した。その後、混合品を150℃で10時間乾燥した後550℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0068】
(比較例4)
150℃乾燥基準でギブサイト型水酸化アルミニウム100gに硫酸アンモニウム((NHSO)0.4gをハイスピードミキサーで2分間混合した。混合品を成形機で3mm押し出し成形後、150℃で10時間乾燥した後550℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、活性アルミナを得た。 得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0069】
(比較例5)
150℃乾燥基準でギブサイト型水酸化アルミニウム100gに硝酸アンモニウム(NHNO)1gをハイスピードミキサーで2分間混合した。その後、混合品を150℃で10時間乾燥した後550℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0070】
(比較例6)
150℃乾燥基準でギブサイト型水酸化アルミニウム100gに塩化アンモニウム(NHCl)1.0gをハイスピードミキサーで2分間混合した。その後、混合品を150℃で10時間乾燥した後380℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0071】
(比較例7)
150℃乾燥基準でギブサイト型水酸化アルミニウム100gに塩化アンモニウム(NHCl)1.0gをハイスピードミキサーで2分間混合した。その後、混合品を150℃で10時間乾燥した後800℃で2時間焼成を行った。焼成後、粉砕機で粉砕を行い、活性アルミナを得た。
得られたアルミナについて物性を測定し、結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0003922818
【0073】
(応用例1)
(タングステンの吸着実験)
100mlビーカーに試料(活性アルミナ)1.00gと水0.29gを混ぜた後、シクロヘキサン80gとエチレングリコールジメチルエーテル20gとを混合した溶媒に6塩化タングステン(WCl)0.002g(タングステンの濃度9ppm)混合した溶液の内50gを添加し含浸させた。その後、室温下で2時間撹拌し、濾別し、濾過残渣についてシクロヘキサン25ml及び上記混合溶媒30mlを使用して洗浄を行う。
濾過残渣について150℃、20時間乾燥を行い、各試料中のタングステンの含有量を分析し、下記式(2)により除去率を求めた。
タングステン(W)除去率(%) = 100×吸着タングステン量(Wmg)
/添加タングステン量(Wmg) ・・(2)結果を表2に示す。
【0074】
【表2】
Figure 0003922818
【0075】
(応用例2)
(たばこの葉の水抽出成分の吸着除去実験)
実施例により試作したアルミナについて、たばこの葉からの水抽出成分の吸着除去実験を行った。
市販のたばこ(ハイライト)10本分の葉を1Lイオン交換水中に投入し、90℃で30分間抽出し、濾過後、褐色状の抽出液を得た。
吸着剤として、実施例で試作した各アルミナと、含アルミニウムフィロケイ酸亜鉛(水澤化学製:ミズカナイト)、フィロケイ酸マグネシウム(水澤化学製:ミズカライフ)を用いた。
上記抽出液100mlに、試料4gを投入し、1分撹拌混合後濾別を行い、濾液について吸光光度率を測定した。分析機器は、日本分光製V−560を使用し、測定用試料セルは石英を使用し、測定波長は200〜800nmで測定した。除去率は、吸収スペクトル400nmにおけるスペクトル透過率で比較した。結果を表3に示す。
【0076】
【表3】
Figure 0003922818
【0077】
表3において*印の試料は、実施例1で調製した酸性活性アルミナとミズカライフを各2g混合した物である。
表3において各実施例で調製した活性アルミナは、抽出原液および比較例で調製した活性アルミナと比較して400nmスペクトル透過率は向上している。このことは、本発明の活性アルミナは、400nmスペクトルで吸収する物質の吸着除去効果が著しいことを示している。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、ギブサイト型水酸化アルミニウム、擬ベーマイト型水酸化アルミニウム、バイヤライト型水酸化アルミニウムの内少なくとも一つの水酸化アルミニウムと、前記水酸化アルミニウム中に存在する金属成分よりも過剰の塩化及び/又は硫酸アンモニウムとを混合し、この混合物を焼成することにより、生成する活性アルミナ中に塩素及び/又は硫酸分が有効に固定され、従来のものには認められなかった酸性側pHを示す活性アルミナが得られる。
この酸性活性アルミナは、従来の活性アルミナに勝るとも劣らない吸着性を有すると共に、金属成分やアンモニア、有機塩基等に対する吸着性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】ギブサイトのX線回折像を示す。
【図2】ベーマイトのX線回折像を示す。
【図3】擬ベーマイトのX線回折像を示す。
【図4】バイヤライトのX線回折像を示す。
【図5】本発明(実施例1)による活性アルミナのX線回折像を示す。
【図6】本発明(実施例1)による活性アルミナのIR図を示す。

Claims (1)

  1. ギブサイト型水酸化アルミニウム、擬ベーマイト型水酸化アルミニウム、バイヤライト型水酸化アルミニウムの内少なくとも一つの水酸化アルミニウムと、該水酸化アルミニウム中に含有するアルカリ金属成分よりも過剰で且つ150℃乾燥基準で該水酸化アルミニウムの少なくとも一つに対して0.5乃至3.0重量%の塩化及び/又は硫酸アンモニウムとを乾式で混合し、この混合物を450乃至700℃の温度で焼成することを特徴とする酸性活性アルミナの製法。
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