JP6682613B2 - セシウム又は/及びストロンチウム吸着剤 - Google Patents

セシウム又は/及びストロンチウム吸着剤 Download PDF

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Description

本発明は、セシウム又は/及びストロンチウムの吸着剤であり、特に海水中のストロンチウムを効率的に分離又は回収しうる吸着剤、及び該吸着剤に好適な製造方法に関する。
従来、放射性物質を含む排水の処理技術としては共沈処理が知られている(下記特許文献1参照)。しかし、水溶性である放射性ストロンチウム及び放射性セシウムについては、前記共沈処理は有効ではなく、現在、ゼオライトなどの無機系吸着剤による吸着除去が行われている(下記特許文献2参照)。
また、非特許文献1にはチタニウムイソプロピキシド、テトラエチルオルソシリケート、ニオブ酸化物を水酸化ナトリウム溶液に入れ、水熱処理することにより、ニオブ置換結晶性シリコチタネート(Nb−CST)を製造したこと、このニオブ置換結晶性シリコチタネートに塩酸処理を施した後、次いで水酸化ナトリウム水溶液で洗浄して副生物を除去したこと、得られたNb−CSTはバッチ試験により、セシウム及びストロンチウムの吸着性能が確認されたことが記載されている。
特開昭62−266499号公報 特開2013−57599号公報
J.Radional Nucl Chem(2011)287:p955-960
非特許文献1に記載されたように、Nb−CSTは、セシウム及びストロンチウムの両方の吸着能を有する。
しかしながら近年、特にストロンチウムを低濃度で含む液を効率的に吸着する吸着剤が求められているところ、非特許文献1には、10−1M等の比較的高い濃度でのストロンチウムの吸着性能について述べられているものの、より低い濃度での吸着性能については何ら記載も示唆もされていない。
また、従来のNb−CSTはストロンチウムを低濃度で含む液からのストロンチウム吸着性能について十分なものと言い難い。
したがって本発明の課題は、上記課題を解決できる吸着剤、及び該吸着剤の工業的に有利な製造方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、Nb−CSTを含有し且つX線回折測定において、メーンピークの半値幅が特定の範囲にあり、且つ特定のピークを示さない吸着剤は、驚くべきことに、低濃度でのストロンチウムの吸着効率が高いことを見出した。
即ち本発明は、一般式;ATi(SiO)・nHO(式中、AはNa及びKから選ばれる1種又は2種のアルカリ元素を示す。nは0以上2以下の数を示す。)で表される結晶性シリコチタネートに第5族元素Mが含有されている第5族元素M含有結晶性シリコチタネートを含むセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤であって、Cu−KαをX線源に用いて回折角(2θ)が5°以上80°以下の範囲でX線回析測定したときに、2θ=11°以上12°以下のメーンピークの半値幅が0.320°以下で、且つ2θ=29°以上30°以下の範囲にピークが観察されない、セシウム又は/及びストロンチウム吸着剤を提供するものである。
また本発明は、一般式;ATi(SiO)・nHO(式中、AはNa及びKから選ばれる1種又は2種のアルカリ元素を示す。nは0以上2以下の数を示す。)で表される結晶性シリコチタネートに第5族元素Mが含有されている第5族元素M含有結晶性シリコチタネートを含む原料を、有機カルボン酸に接触させる酸処理を行い、次いで、得られた酸処理物をアルカリ金属剤に接触させる、セシウム又は/及びストロンチウム吸着剤の製造方法を提供するものである。
本発明のセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤は、セシウム及びストロンチウムの吸着性能を有し、特にストロンチウムを低濃度で含有する水等の媒体から、ストロンチウムを効率よく吸着できる。
本発明のセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤の製造方法は、前記のセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤を工業的に有利な方法で製造することができる。
図1は、比較例1及び実施例1で得られた吸着剤のX線回折チャートである。 図2は、比較例1の粒状物を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真である。 図3は、実施例1の粒状物を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真である。 図4は、実施例2で得られた吸着剤のX線回折チャートである。 図5は、実施例1、実施例2及び比較例1の吸着剤の吸着試験におけるSr吸着量の測定結果を示すグラフである。 図6は、比較例2及び実施例3で得られた吸着剤のX線回折チャートである。 図7は実施例3、比較例2の吸着剤の吸着試験におけるSr吸着量の測定結果を示すグラフである。 図8は、実施例4で得られた吸着剤のX線回折チャートである。 図9は、比較例3で得られた吸着剤のX線回折チャートである。 図10は、実施例4及び比較例3の吸着剤の吸着試験におけるSr吸着量の測定結果を示すグラフである。
本発明のセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤(以下、単に「本発明の吸着剤」と記載する場合もある)は、一般式;ATi(SiO)・nHO(式中、AはNa及びKから選ばれる1種又は2種のアルカリ元素を示す。nは0以上2以下の数を示す。)で表される結晶性シリコチタネート(以下、単に「CST」ともいう)に第5族元素Mが含有されている第5族元素M含有結晶性シリコチタネートを有する。以下では、この第5族元素M含有結晶性シリコチタネートをM−CSTとも記載する。M−CSTは、CSTの結晶構造に由来するX線回折ピークパターンを有し且つ、化合物中に第5族元素Mを含有する。一般にNb−CSTは、その結晶構造中のチタン原子の一部を第5族元素Mの原子で置換したものとされている。なお、前記のATi(SiO)・nHOは、一般式;NaTi(SiO)・nHO、(Na(1−x)Ti(SiO)・nHO及びKTi(SiO)・nHO(これらの式中、xは0超1未満の数を示し、nは0〜2を示す。)としてあらわすこともできる。第5族元素Mはこれらのいずれの式で表される化合物におけるTiを置換していても良い。またAがNa及びKの両方を含む場合、NaTi(SiO)・nHO及びKTi(SiO)・nHO(これらの式中、xは0超1未満の数を示し、nは0〜2を示す。)を含有していても良く、(Na(1−x)Ti(SiO)・nHOを含有していても良い。
第5族元素Mとしては、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ドブニウム(Db)が挙げられる。このうち、製造コストの点、低濃度Sr吸着性能向上効果が高い点等から、ニオブ、バナジウムから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、ニオブを用いることが最も好ましい。以下では、このニオブ含有結晶性シリコチタネートをNb−CSTとも記載する。
本発明の吸着剤は、M−CSTによるCs及びSrの吸着性能を高く維持する観点から、Cu−KαをX線源に用いて回折角(2θ)が5°以上80°以下の範囲でX線回析測定したときに、CSTの結晶構造に特徴的なピークが観察されることが好ましい。具体的に本発明の吸着剤は上記走査範囲におけるメーンピークとして、11°以上12°以下の範囲にCSTの結晶構造に由来するメーンピークが観察されることが好ましい。また、14.5°以上15.5°以下、27.5°以上28.5°以下、34°以上35°以下、及び、17°以上18°以下、から選ばれる1又は2以上にCSTの結晶構造に由来するピークが観察されることも好ましい。
本発明の吸着剤は、上記特性を有することに加えて、X線回折分析において回折角11°以上12°以下の範囲に観察される前記のCSTの結晶構造に由来するメーンピークの半値幅が0.320°以下であることにより、後述するように2θ=29°以上30°以下の範囲にピークが観察されないことと組み合わせて、低濃度でのストロンチウム吸着率を向上させることができる。前記の半値幅は、更に、好ましくは0.2°以上0.320°以下で、前記メーンピークの半値幅からシェラーの式により求められる結晶子径が20nm以上、好ましくは20nm以上40nm以下であることが、ストロンチウム及びセシウムの吸着性能をいっそう向上させる観点から好ましい。低濃度のストロンチウム吸着性能を特に高める観点から、前記の半値幅が0.265°以上0.320°以下、特に0.315°以下であることが好ましい。また同様の観点から、前記メーンピークの半値幅からシェラーの式より求められる結晶子径が26nm以上31.5nm以下であることが好ましい。
前記の半値幅及び前記の結晶子径は、線源としてCu−Kαを用いるX線回折測定により得られ、具体的には後述する実施例に記載の方法にて測定される。前記の半値幅及び前記の結晶子径を上記の範囲とするためには、後述する好ましい製造方法で吸着剤を製造すればよい。
更に、本発明の吸着剤は、上記のようにCSTの結晶構造に特徴的なピークが観察されることが好ましい一方で、特定範囲にピークが観察されないことを特徴の一つとしている。具体的には、本発明の吸着剤は、2θ=29°以上30°以下の範囲にピークが観察されないことを特徴の一つとしている。ピークが観察されないとは、ピークの強度が好ましくは200cps以下、より好ましくは150cps以下、特に好ましくは100cps以下であることが含まれる。
本発明者らは、M−CSTを含む一方で、前記の範囲のピークが観察されない吸着剤は、ストロンチウムが低濃度である液中におけるストロンチウム吸着性能に優れることを見出した。前記の範囲のピークは、シリコニオベート(siliconiobate)に由来し、従来のM−CSTはこれを不純物としてわずかに含有していたものとみている。このシリコニオベートとしては、例えばA’10Nb14SiO42・mHO(式中、A’は、アルカリ金属であり、好ましくはNa及びKから選ばれる少なくとも1種の金属である。mは0以上10以下の数を示す。)やNa12(Ti)(Nb12SiO40)(HO)で表されるものが挙げられる。また本発明の吸着剤は、上記のX線回折測定をしたときに、上記で挙げた範囲に加えて、2θ=8.5°以上9.5°以下の範囲にもピークが観察されないことが好ましい。Nb−CSTを含有し且つX線回折測定においてこれらの範囲にピークが観察されない吸着剤は、例えば後述の製造方法により製造できる。
本発明の吸着剤は、走査型電子顕微鏡(SEM)で顕微鏡観察した時の表面平滑性に特徴の一つを有する。本発明の吸着剤は、ストロンチウムが低濃度の液でのストロンチウム吸着性能をより一層高めるために、従来のM−CSTに比べて、この顕微鏡観察での表面平滑性が高いものであることが好ましい。表面平滑性は、M−CST粒子表面における特定の大きさの粒子の少なさにより示される。具体的には200μm以上1000μm以下の粒度を有した吸着剤において、SEMで倍率1000倍で観察したときに、50μm×50μmの面積中の、最大長さが5μm以上15μm以下である粒子の数を求める。前記の粒子とは、前記の面積中に該粒子の全体の形状が含まれている粒子である。また最大長さとは、SEM画像において、この粒子を通る全ての線分のうち最大長のものをいう。この観察において、前記の面積中、前記の粒子の数は3個以下であることが好ましく、2個以下であることがより好ましく、1個以下であることが特に好ましい。この粒子の数は、前記の面積を有する互いに異なる10箇所以上の前記面積における平均であることが好ましく、2個以下であることがより好ましい。またSEM観察における加速電圧は、0.5kV以上15kV以下が好ましく、1kV以上10kV以下がより好ましい。前記の面積中、前記の粒子の数が前記の数以下である吸着剤は、例えば後述の製造方法により製造できる。
本発明の吸着剤は、ストロンチウムが低濃度の液でのストロンチウム吸着能を更に一層高める観点から、特定の方法で酸処理した場合のNb溶出量が特定範囲であることが好ましい。
Nb溶出量は、以下の方法で測定される。
0.1Mクエン酸水溶液に吸着剤を分散させる。得られるスラリー中の吸着剤の濃度は5%とする。これを大気雰囲気中、50℃で2時間撹拌する。次いで、得られたスラリーをろ紙(No.5C)でろ過してろ液を得る。本発明の吸着剤は、このようにして得られたろ液中のニオブ濃度が1000ppm以下であることが好ましく、800ppm以下であることがより好ましい。一方、理由は定かではないが、ろ液中のニオブ濃度が50ppm以下になると、返ってストロンチウムの吸着能が劣る傾向があるので、好ましくない。ろ液中のニオブ濃度は、例えば、後述する実施例に記載の方法で求めることができる。Nb溶出量が前記の量以下である吸着剤は、例えば後述の製造方法により製造できる。
本発明の吸着剤は、チタンと第5族元素Mのモル比(M/Ti)が0.15以上であることが、塩類存在下でもセシウムやストロンチウムの吸着選択性を高めるという観点やM−CSTを含有することによるCs及びSr吸着性能をより高いものとする観点から好ましい。また、モル比(M/Ti)は0.50以下であることが、目的物のM-CST以外の異相シリコニオベートの生成を抑制して、ストロンチウムを低濃度で含む液におけるストロンチウム吸着能をより一層高める観点から好ましい。これらの観点から、M−CSTは、モル比(M/Ti)が0.18以上0.48以下であることがより一層好ましく、0.18以上0.26以下であることが特に好ましい。M−CSTにおける好ましいモル比(M/Ti)としても、吸着剤のモル比として挙げた上記のモル比(M/Ti)と同様のモル比(M/Ti)が挙げられる。チタンに対するニオブのモル比は、蛍光X線回折装置(XRF)による半定量分析により、酸化物換算のTi及びMの量(TiO及びMの量、質量%)を測定し、これらの量から換算することができる。この半定量分析は具体的には実施例に記載の方法で行うことができる。モル比(M/Ti)が前記の範囲である吸着剤及びM−CSTは、例えば後述の製造方法により製造できる。
更に低濃度でのストロンチウム吸着性能をより一層高いものとする観点から、本発明の吸着剤は、上記の方法(XRF)で求めたSiO/TiOのモル比が0.55以上1.50以下であることが好ましく、0.60以上1.20以下であることがより好ましい。更に、AO/SiOのモル比が0.55以上1.00以下であることが好ましく、0.60以上0.95以下であることがより好ましい。
低濃度でのストロンチウム吸着性能をより一層高いものとする観点から、本発明の吸着剤は、上記の方法(XRF)で求めたAOの量の一例としては、13質量%以上17質量%以下、特に13.5質量%以上16.5質量%以下が好ましく挙げられる。また同様の方法で求めた吸着剤中のSiOの量としては、例えば15質量%以上23質量%以下、特に15.5質量%以上22質量%以下が好ましく挙げられる。また同様の方法で求めた吸着剤中のTiOの量の例としては、22質量%以上37質量%以下、特に23質量%以上36質量%以下が好ましく挙げられる。更に同様の方法で求めた吸着剤中のNbの量が例えば8質量%以上25質量%以下、特に10質量%以上24質量%以下が好ましく、一層好ましくは10質量%以上15質量%以下が挙げられる。これらの量は、特に本発明の吸着剤がNb−CSTからなる場合に好ましい。
また本発明の吸着剤は、後述するように、M−CSTを含む原料を、有機カルボン酸に接触させる酸処理を行い、次いで、得られた酸処理物をアルカリ金属剤に接触させて得られるものであることが好ましい。本願発明者はこの処理を施した吸着剤が、有機カルボン酸及びアルカリ金属剤の処理を施さないM−CSTを含有する吸着剤に比べて、低濃度のストロンチウムの高い吸着性能を示すことを確認した。本来ならば、この処理を施すことによるM−CSTの構造や特性の変化については全て、何らかの手段を用いて測定した上で、本願の特許請求の範囲において直接明記することが望ましい。
しかしながら、少なくとも出願時においては、出願人の技術レベルでは、本明細書で述べた本発明の吸着剤の物としての特徴以外に、本願発明の吸着剤の効果と関係するその他のM−CSTの構造又は特性を確認することができなかった。
また仮に全ての要因を突き止めたとしても、それら要因に係るM−CSTの構造や特性を、新たな測定方法を確立して特定する必要があり、そのためには、著しく過大な経済的支出及び時間を要する。
以上の事情より、特許出願の性質上、迅速性等を必要とすることに鑑みて、出願人は、本発明の吸着剤の好ましい特徴の一つとして、「M−CSTを含む原料を、有機カルボン酸に接触させる酸処理を行い、次いで、得られた酸処理物をアルカリ金属剤に接触させて得られた吸着剤」であることを記載した。
以上の通り、本願出願時においては、有機カルボン酸及びアルカリ金属剤の処理後のM−CSTの構造又は特性を全て特定することが不可能であるという事情が存在した。
また、本発明の吸着剤は、BET比表面積が50m/g以上200m/g以下、より好ましくは60m/g以上170m/g以下、特に好ましくは70m/g以上150m/g以下であることが、ストロンチウム及びセシウムの吸着性能をいっそう向上させる観点から好ましい。
前記BET比表面積は、後述する実施例に記載の方法にて測定される。吸着剤のBET比表面積を上記の範囲とするためには、後述する好ましい製造方法で吸着剤を製造すればよい。
本発明の吸着剤は、更に、一般式;A Ti20・mHO(式中、AはNa、K及びCsから選ばれる1種又は2種の金属を示し、mは0〜10の数を示す。)で表されるチタン酸塩を含有することが、いっそうストロンチウム吸着性能を向上させる観点から好ましい。
本発明の吸着剤の形態としては、粉末状、顆粒状、顆粒以外の成型体(球状、円柱状)等を挙げることができ、粉末状又は顆粒状であることが好ましい。
本発明の吸着剤が粒状体である場合、200μm以上1000μm以下の粒度を有することが好ましい。この粒度の粒状体からなる本発明の吸着剤には、200μmよりも細かい粒子が存在しないか或いは存在しても極微量であるため、本発明の吸着剤を吸着塔に充填して通水した場合に、粒子が吸着塔内で詰まる問題を防止することができる。また、粒径が1000μm以下である場合、吸着剤の吸着性能を向上しやすい。
具体的には、本発明の吸着剤が粒状体である場合、JIS Z8801規格による目開きが212μmの篩と、前記の目開きが1mmの篩とを用いたときに、本発明の吸着剤の98質量%以上、特に99質量%以上が目開き1mmの篩を通り且つ98質量%以上、特に99質量%以上が目開き212μmの篩を通らないことが好ましい。特に、本発明の吸着剤は、300μm以上600μm以下の粒度を有する粒状体からなることが好ましい。具体的には、JIS Z8801規格による目開きが300μmの篩と、目開きが600μmの篩とを用いたときに、本発明の吸着剤の98質量%以上、特に99質量%以上が前記の600μmの篩を通り且つ98質量%以上、特に99質量%以上が前記の300μmの篩を通らないことが好ましい。また本発明の吸着剤を粒径200μm未満の粉末の形態とすることも、吸着性能を向上しやすく、好ましい。後述するように、粉末の形態の吸着剤は、不織布に固定された形態等で用いることができる。
本発明の吸着剤におけるM−CSTの好ましい含有量は、その形態によって異なる。例えば吸着剤を不織布に固定させて使用する場合は、吸着剤中のM−CSTの量が好ましくは90質量%以上、特に95質量%以上であることが好ましい。また吸着剤が結合剤により造粒させた形態である場合は吸着剤中のM−CSTの量は好ましくは70質量%以上、特に80質量%以上であることが好ましい。吸着剤が結合剤成分を含有している場合は、
結合剤成分の量は、吸着剤中、1質量%以上30質量%以下程度であることが好ましく、1質量%以上20質量%以下程度であることがより好ましい。結合剤成分としては後述する各種の結合剤を用いることができる。
次いで、本発明の吸着剤の好ましい製造方法について説明する。この製造方法とは、M−CSTを含む原料(以下、「M−CST含有原料」ともいう)を、有機カルボン酸に接触させて酸処理し、次いで、得られた酸処理物をアルカリ金属剤に接触させる方法である。
本製造方法において用いるM−CST含有原料は、M−CSTを主相とすることが好ましい。これは該原料のX線回折測定において観察されるメーンピークが上記範囲のM−CSTのメーンピークであることにより示される。またM−CST含有原料は上記と同様のX線回折測定をしたときに、上述した本発明の吸着剤に含まれるNb−CSTのメーンピーク以外のピークとして上記で挙げた範囲の各ピークが観察されることが好ましい。一方でM−CST含有原料は、上記と同様のX線回折測定をしたときに、通常、上記の29°以上30°以下の範囲にピークが観察される。
M−CST含有原料における、好ましいモル比(M/Ti)としては、セシウム吸着性能を有することを前提として、ストロンチウムが低濃度の液における効率的なストロンチウム吸着性能を得る観点から、0.20以上0.60以下とすることが好ましく、0.20以上0.50以下とすることがより好ましく、0.25以上0.40以下とすることが特に好ましい。M−CST含有原料に含まれるM−CSTの好ましいモル比(M/Ti)としてもM−CST含有原料の好ましいモル比(M/Ti)として上記で挙げた範囲と同様の範囲が挙げられる。また同様の観点から、M−CST含有原料は、上記の方法(XRF)で求めたSiO/TiOのモル比が0.55以上1.50以下であることが好ましく、0.60以上1.20以下であることがより好ましい。更に同様の観点から、M−CST含有原料は、上記の方法(XRF)で求めたAO/SiOのモル比が0.55以上1.00以下であることが好ましく、0.60以上0.95以下であることがより好ましい。
またM−CST含有原料におけるAO、SiOの好ましい量としては、吸着剤におけるAO、SiOの好ましい量として上記で挙げた量を挙げることができる。M−CST含有原料におけるTiOの好ましい量としては、望ましいストロンチウム吸着性能を得る観点から22質量%以上36質量%以下、特に23質量%以上35質量%以下が好ましい量として挙げられ、M−CST含有原料におけるNbの好ましい量としては、13質量%以上25質量%以下、特に14質量%以上24質量%以下が好ましい量として挙げられる。これらの量は上記と同様XRFを用いて測定される。
M−CST含有原料の好適な製造方法の例を以下説明するが、M−CST含有原料の製造方法はこれに限定されるものではない。
<M−CST含有原料の好適な製造方法>
本製造方法は、ケイ酸源と、アルカリ金属化合物、第5族金属M源、チタン源及び水を混合して混合ゲルを製造する第一工程と、第一工程により得られた混合ゲルを水熱反応させる第二工程とを有する。
第一工程において用いられるケイ酸源としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸アルカリが挙げられる。また、ケイ酸アルカリ(すなわちケイ酸のアルカリ金属塩)をカチオン交換することにより得られる活性ケイ酸も用いることができる。なお、非特許文献1に記載するテトラエチルオルソシリケート等の有機ケイ素化合物は危険物である点で使用し難い面があるが、ケイ酸源として使用できる。
第一工程において用いられるアルカリ金属化合物としては、例えば、ナトリウム、カリウムを含有する化合物である。ナトリウムを含有する化合物としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムが挙げられる。またカリウムを含有する化合物としては、水酸化カリウムや炭酸カリウムが挙げられる。これらの化合物のうち、炭酸塩を用いると炭酸ガスが発生する一方、水酸化物にはそのようなガスの発生がない水酸化物という利点を有する。
第5族金属源としては、水酸化物、酸化物、シュウ酸塩等が挙げられる。例えばニオブ源としては、水酸化ニオブ、酸化ニオブ、シュウ酸ニオブ、シュウ酸ニオブアンモニウム等が挙げられる。このうち水酸化ニオブのは酸化ニオブよりも反応性に優れ、またシュウ酸ニオブやその塩よりも安価であるという利点を有する。
チタン源としては、四塩化チタンを用いることが好ましい。チタン源として酸化チタンやチタンのアルコキシド等の他のチタン化合物をチタン源とした場合には、反応が進行しにくくなり、通常は170℃で100時間以上の反応時間を必要とするが、本製造方法では、チタン源として四塩化チタンを用いることで、反応時間を短縮し、X線回折的にTi/Siのモル比が2/1の結晶性シリコチタネートを含む吸着性能の優れた吸着剤を製造することができる。
第一工程において、下記モル比で表される組成の混合ゲルとなるようにケイ酸源、アルカリ金属化合物、第5族金属M源、チタン源及び水を混合することが、目的とするNb−CSTの収率を満足すべき程度に高くすることができ、かつ、残存する酸化チタンやCST以外の非結晶のケイ酸塩化合物、第5族金属含有珪チタン酸塩等の不純物の副生物を抑制できる観点から好ましい。
(M+TiO)/SiO=0.70〜2.50、好ましくは0.81〜2.2
O/SiO=0.65〜3.50、好ましくは1.00〜3.00
O/SiO=40〜180、好ましくは50〜150
なお、上記においてAO/SiOのモル比中のAOのモル数は、混合ゲル中のナトリウム及びカリウムのイオン数を酸化物換算で表したもの、換言すれば、混合ゲル中のナトリウム及びカリウムの総量から、四塩化チタンとの中和反応に使用されたナトリウムやカリウムの量を除いて求められるものである。
また、第5族金属M源の添加量は、混合ゲル中のチタンに対する第5族金属のモル比(M/TiO)で0.03〜0.35、好ましくは0.05〜0.29とすることが目的とするM−CST含有原料の生成、及び副生物のNb含有珪チタン酸塩の生成を抑制することができるという観点から好ましい。
なお、ケイ酸源として、ケイ酸ナトリウムやケイ酸カリウム等のケイ酸アルカリを用いた場合には、ケイ酸アルカリに含まれるアルカリ金属成分であるナトリウムやカリウムは同時にNaOHやKOHとみなされ、アルカリ成分でもある。従って、前記のAOは全てのアルカリ成分の和として計算される。
ケイ酸源の選択と混合ゲル中のアルカリ金属濃度の調整を組み合わせることにより、X線回折的にTi/Siのモル比が2/1の結晶性シリコチタネート以外の結晶性シリコチタネートの生成を極力抑制することができる。ケイ酸源としてケイ酸アルカリを用いた場合、混合ゲル中のアルカリ金属濃度をAO換算で2.6質量%以上とすることで、Ti/Siのモル比が5/12の結晶性シリコチタネートの生成を効果的に抑制することが可能となる。一方、混合ゲル中のアルカリ金属濃度をAO換算で9.4質量%以下とすることで、Ti/Siのモル比が1/1の結晶性シリコチタネートの生成を効果的に抑制することが可能となる。
また、第一工程において四塩化チタンは、少なくともケイ酸源、アルカリ金属化合物及び水を含む液に、四塩化チタンを添加することが、特に海水からのセシウム、更にはストロンチウムの吸着能の優れた結晶性シリコチタネートが得られる観点から好ましい。
具体的な操作方法としては、(1)ケイ酸源、アルカリ金属化合物、水及び第5族金属M源を含む液に四塩化チタンを添加する方法や(2)ケイ酸源、アルカリ金属化合物及び水を含む液に、四塩化チタンを添加して混合ゲルを得、この混合ゲルに第5族金属M源を添加する方法が挙げられる。
第一工程により得られた混合ゲルは、後述する第二工程である水熱反応を行う前に、0.5時間以上2時間以下の時間にわたり、20℃以上100℃以下で熟成を行うことが、均一な生成物を得る点で好ましい。熟成工程は、例えば静置状態で行ってもよく、あるいはラインミキサーなどを用いた撹拌状態で行ってもよい。
本製造方法では、第一工程において得られた前記混合ゲルを、第二工程である水熱反応に付してM−CST含有原料を得る。水熱反応としては、結晶性シリコチタネートが合成できる条件であればよい。通常、オートクレーブ中で好ましくは120℃以上200℃以下、更に好ましくは140℃以上200℃以下の温度において、好ましくは6時間以上100時間以下、更に好ましくは12時間以上80時間以下の時間にわたって、加圧下に反応させる。
得られたM−CST含有原料は粉末状、顆粒状、顆粒以外の成形体(球状、円柱状)等のいずれであってもよい。例えば含水状態のM−CST含有原料を複数の開孔が形成された開孔部材から押出成形して棒状成形体を得、得られた該棒状成形体を乾燥させて柱状にしたり、乾燥させた該棒状成形体を球状に成形したり、解砕又は粉砕して粒子状とすることができる。このような押出成形(押出造粒)のほか、例えば撹拌混合造粒、転動造粒、破砕造粒、流動層造粒、噴霧乾燥造粒(スプレードライ)、圧縮造粒等の各種造粒方法を採用することができる。造粒の過程において必要に応じ、結合剤成分や溶媒を添加してもよい。結合剤成分としては、例えばシリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾルなどの無機バインダ;ベントナイト、カオリナイトなどの粘土系バインダ;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系バインダ;ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイドなどの高分子バインダなどを用いることができる。これらの結合剤成分は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。造粒されたNb−CST含有原料に占める結合剤成分の好ましい割合は上述した吸着剤中の結合剤成分の好ましい割合と同様である。溶媒としては、各種の水性溶媒や有機溶媒を用いることができる。
造粒装置によって造粒された造粒体は、これを乾燥させ、必要に応じて焼成した後、粒度調整を行って次の有機カルボン酸処理に供する。造粒体の形状や大きさは、該造粒体を吸着容器や充填塔に充填した状態で、ストロンチウムを含む処理水を通水するのに適応するように適宜調整することが好ましい。造粒体の大きさに関しては、JIS Z8801規格による標準フルイによって測定された粒径が好ましくは200μm以上1000μm以下であり、更に好ましくは300μm以上600μm以下である。この範囲の粒径を有する造粒体から得られる吸着剤を用いると、例えば該吸着剤を吸着塔に充填した場合に、目詰まりが起こりにくくなるという利点がある。
また、Nb−CST含有原料は造粒過程に供さずに、粉末状等の未成形体の状態のまま有機カルボン酸及びアルカリ金属剤と接触させてもよい。
Nb−CST含有原料を処理する有機カルボン酸としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、シュウ酸、マレン酸、マロン酸、酒石酸、コハク酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でもクエン酸を用いると、ニオブ溶出量が高く、望ましい低濃度域のストロンチウム吸着性能を有する吸着剤を製造しやすい観点から好ましい。
有機カルボン酸は溶媒に溶解させて使用することが好ましい。この場合の溶媒としては、水が挙げられる。得られる溶液中の有機カルボン酸の濃度は、望ましいストロンチウム吸着性能を有する吸着剤を効率よく得る観点から0.05M以上が好ましい。また溶液中の有機カルボン酸の濃度は、M−CSTの過度の溶解を防止するという観点から1M以下が好ましい。これらの観点から、溶液中の有機カルボン酸の濃度は0.1M以上0.5M以下がより一層好ましく、0.1M以上0.3M以下が特に好ましい。
M−CST含有原料を有機カルボン酸と接触させる際の有機カルボン酸の温度としては、望ましいストロンチウム吸着性能を有する吸着剤を効率よく得る観点から5℃以上であることが好ましい。またこの時の有機カルボン酸の温度は、高温の酸処理によりM−CSTの吸着性能を損なうことを防止する観点から、80℃以下であることが好ましい。これらの観点から有機カルボン酸の温度は15℃以上60℃以下がより一層好ましく、20℃以上50℃以下が特に好ましい。
M−CST含有原料を有機カルボン酸と接触させる時間としては、有機カルボン酸の温度が上記範囲であることを前提として、望ましいストロンチウム吸着性能を有する吸着剤を効率よく得る観点から0.5時間以上であることが好ましい。またこの時間は、長時間の酸処理によりM−CSTの吸着性能を損なうことを防止する観点から、2時間以下であることが好ましい。これらの観点から接触時間は0.5時間以上1.5時間以下がより一層好ましい。
M−CST含有原料を有機カルボン酸と接触させる方法としては、M−CST含有原料を有機カルボン酸溶液中に分散させたり、浸漬させる方法のほか、M−CST含有原料に有機カルボン酸溶液をスプレーする方法、或いはM−CST含有原料をカラムに充填し、有機カルボン酸を溶解した溶液をカラムに通水する方法等が挙げられる。M−CST含有原料を有機カルボン酸溶液に分散させたり、浸漬させる場合には、適宜撹拌を行っても良い。有機カルボン酸溶液に分散させたり浸漬させる場合、得られるスラリー中の吸着剤の濃度を3質量%以上15質量%以下、特に5質量%以上10質量%以下とすることが効率よい酸処理のために好ましい。
有機カルボン酸と接触させた酸処理物を、アルカリ金属剤と接触させる。Nb−CST中の細孔中に存在するプロトンはストロンチウムと置換しがたい。このため、クエン酸処理後のNb−CST含有原料をアルカリ金属剤で処理して、Nb−CST中の細孔中に存在するプロトンをストロンチウムと交換可能なアルカリ金属と置換させる必要がある。アルカリ金属剤としては、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属炭酸塩等が挙げられ、特にアルカリ金属水酸化物が価格や取り扱いやすさ(溶解性)の観点から好ましい。アルカリ金属水酸化物の中でも、扱いやすさや価格の観点から水酸化ナトリウムが好ましい。酸処理物は水等で洗浄した後にアルカリ金属剤と接触させることが好ましい。
アルカリ金属剤は溶媒に溶解させて用いることが好ましく、その場合の溶媒としては、有機カルボン酸を溶解させる溶媒と同様のものを用いることができる。アルカリ金属剤を溶解してなる溶液中のアルカリ金属剤の濃度は、望ましいストロンチウム吸着性能を有する吸着剤を効率よく得る観点から0.1M以上が好ましい。また溶液中のアルカリ金属剤の濃度は、プロトン置換後の洗浄の容易性の観点から2.0M以下が好ましい。これらの観点から、溶液中のアルカリ金属剤の濃度は0.2M以上1.5M以下がより一層好ましく、0.3M以上1.0M以下が特に好ましい。
酸処理物をアルカリ金属剤と接触させる際のアルカリ金属剤の温度としては、5℃以上であれば良い。また酸処理物をアルカリ金属剤と接触させる際のアルカリ金属剤の温度は、高温のアルカリ金属剤処理によりNb−CSTの吸着性能を損なうことを防止する観点から、80℃以下であることが好ましい。これらの観点から前記のアルカリ金属剤の温度は5℃以上50℃以下がより一層好ましく、5℃以上40℃以下が特に好ましい。
酸処理物をアルカリ金属剤と接触させる時間としては、アルカリ金属剤の温度が上記範囲であることを前提として、望ましいストロンチウム吸着性能を有する吸着剤を効率よく得る観点から0.5時間以上であることが好ましい。またこの時間は、長時間のアルカリ金属剤による処理によりNb−CSTの吸着性能を損なうことを防止する観点から、2時間以下であることが好ましい。これらの観点から酸処理物をアルカリ金属剤と接触させる接触時間は0.5時間以上1.5時間以下がより一層好ましい。
酸処理物をアルカリ金属剤と接触させる方法としては、酸処理物をアルカリ金属剤の溶液中に分散させたり、浸漬させる方法のほか、酸処理物にアルカリ金属剤の溶液をスプレーする方法或いは酸処理物をカラムに充填し、アルカリ金属剤の溶液をカラムに通水する方法等が挙げられる。酸処理物をアルカリ金属剤の溶液に分散させたり、浸漬される場合には、適宜撹拌を行っても良い。酸処理物をアルカリ金属剤溶液に分散させたり浸漬させる場合、得られるスラリー中の吸着剤の濃度を3質量%以上15質量%以下、特に5質量%以上10質量%以下とすることが効率よいアルカリ金属剤処理のために好ましい。
上記のアルカリ金属剤処理後に得られた処理物は、適宜洗浄後、ろ過し、乾燥させて使用することができる。乾燥は100℃以上120℃以下で2時間以上12時間以下行うことが好ましい。
得られた吸着剤はそのままの状態で用いることができる。また、吸着剤が粉末状等の未成形体である場合は、この後に、上述したM−CST含有材料の造粒過程と同様の造粒過程による造粒を行ってもよい。好ましい造粒体の粒径は、M−CST含有材料の造粒体の好ましい粒径として上記で述べた粒径と同様である。
また、本発明の吸着剤は、これを例えば不織布などの各種の吸着シートやマットに使用する場合、そのまま粉末状体として材料を加工する際に添加することにより用いられる。不織布に吸着剤を固定する具体的な方法としては、粉末状の吸着剤を、エマルジョン化した樹脂バインダとともに、水に分散させ、これに、不織布を含浸添着させたのち乾燥する方法が挙げられる。この樹脂バインダとしては、例えば、ラテックスバインダ、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリレートの共重合体、メタクリレートの共重合体、スチレンブタジエン共重合体、スチレンアクリル共重合体、エチレンビニルアセテート共重合体、ニトリルゴム、アクリルニトリルブタジエン共重合体、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。不織布としては例えばポリエステル及び/又はポリオレフィン繊維で構成されるものが用いられる。
このように吸着剤を塗布した不織布を、例えば吸着剤を塗布した面を内側にして巻回した形態とすることによっても、水処理に好適に用いることができる。
上述したセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤の製造方法によって得られる顆粒状の吸着剤や粉末状体として不織布に固定させた吸着剤は、放射性物質吸着剤を充填してなる吸着容器及び吸着塔を有する水処理システムの吸着剤として好適に使用することが出来る。特に、本発明の吸着剤はストロンチウムが低濃度である液におけるストロンチウム吸着性能に優れたものである。ここでいう低濃度とは、本発明の吸着剤の性能を充分に発揮する観点、及び、求められる用途に対応する観点から、吸着対象の液中のストロンチウムが0.01ppm以上10ppm以下であることが好ましく、0.05ppm以上5ppm以下であることがより好ましく、0.1ppm以上5ppm以下であることが特に好ましい。
以下に、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に断らない限り「%」は「質量%」を表す。実施例及び比較例で使用した評価装置及び使用材料は以下のとおりである。
<評価装置>
・X線回折:Bruker社 D8 AdvanceSを用いた。線源としてCu−Kαを用いた。測定条件は、管電圧40kV、管電流40mA、走査速度0.1°/secとした。
・ICP−AES:Varian社720−ESを用いた。Csの測定波長は697.327nm、Srの測定波長は216.596nmとしてCs及び/又はSrの吸着試験を行った。Srの測定波長は216.596nmとしてSrの吸着試験を行った。標準試料はNaClを0.3%含有したCs:100ppm、50ppm及び10ppmの水溶液、並びにNaClを0.3%含有したSr:100ppm、10ppm及び1ppmの水溶液を使用した。
・XRF:蛍光X線装置(装置名:ZSX100e、管球:Rh(4kW)、雰囲気:真空、分析窓:Be(30μm)、測定モード:SQX分析(EZスキャン)、測定径:30mmφ、(株)リガク製)で全元素測定した。測定用試料は、適当な容器(アルミリング等)に入れ、ダイスで挟みこんでからプレス機で10MPaの圧力をかけてペレット化することにより得た。この試料中のNaO、SiO、TiO及びNbの含有量(質量%)を、半定量分析法であるSQX法で計算することで算出した。この算出したNaO、SiO、TiO及びNbの含有量をもとに、モル比(Nb/Ti)、SiO/TiO及びAO/SiO(下記の各実施例ではNaO/SiOと同一)を求めた。
<使用材料>
・3号ケイ酸ソーダ:日本化学工業株式会社製(SiO2:28.5%、Na2O:9.2%、H2O:62.3%、SiO2/Na2O=3.1)。
・25%液体苛性ソーダ:工業用25%水酸化ナトリウム(NaOH:25%、H2O:75%)。
・四塩化チタン水溶液:株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ社製36.48%水溶液・水酸化ニオブ;市販品(Nb:76.5%含有)
・模擬海水1:Sr及びCsをそれぞれ100ppm含有した0.3%NaCl水溶液を模擬海水とした。模擬海水は、NaCl(99.5%):3.0151g、SrCl・6HO(99%):0.3074g、CsNO(99%):0.1481g、HO:996.5294gを混合して得た。
・模擬海水2:人工海水(富田製薬製「マリンアート」1kgをイオン交換水25Lに溶解したもの)をイオン交換水により1/20に希釈し、Srを3ppm、Csを10ppm含有した水溶液を模擬海水とした。
〔比較例1〕
(1)第一工程
3号ケイ酸ソーダ 280g、25%液体苛性ソーダ1238gを混合し撹拌して混合水溶液を得た。この混合水溶液に、水酸化ニオブ70g(Nb:76.5質量%)を加えて撹拌混合した後、四塩化チタン水溶液522gをペリスタポンプで30分にわたって連続的に添加して混合ゲルを製造した。当該混合ゲルは、四塩化チタン水溶液の添加後、1時間にわたり70℃で混合して熟成した。
(2)第二工程
第一工程で得られた混合ゲルをオートクレーブに入れ、1時間かけて170℃に昇温したのち、この温度を維持しながら静置下に72時間反応を行った。反応後のスラリーを濾過し、得られたケーキを直径0.6μmの円形の開孔部材で押出成形した後、乾燥し、分級して粒度が300μm以上600μm以下の粒状物を得た。得られた粒状物をX線回折測定した。得られたX線回折チャートを図1に示し、またチャートにより得られた相の特定及びピークの有無について表1に示す。また、XRFにて上記の組成分析を行った。その結果を表1に示す。
図1及び表1に示すように、得られた粒状物は、2θ=12°にCSTのメーンピークがピーク強度29000cpsで観察されるとともに、15°、28°のCST構造に特徴的なピークが観察され、表1に示す組成分析結果と総合すると、ニオブ含有結晶性シリコチタネート(Nb−CST)を主相としていると判断された。一方で図1に示すように、29.5°にシリコニオベート由来のピーク(図1のP1)がピーク強度2420cpsで観察されるとともに、8.7°にもシリコニオベート由来のピークがピーク強度1470cpsで観察された(図1のP2)。また、2θ=12°のメーンピークの半値幅及びシェラーの式より結晶子径を求めた。その結果を表1に示す。測定は前記の半値幅を用い、シェラーの式(D=Κλ/(βcosθ))を用いて評価した。式中、Dは結晶子径、λはX線の波長、βは回折線幅(半値幅)、θは回折角である。Κは定数である。Κは積分幅とフーリエ幅が既知であるようなピーク形状モデル関数を使用して最適化されたピーク形状から結晶サイズの統計的な分布をコンピューターで自動的に計算している。
また得られた粒状物を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真を図2に示す。得られた写真(倍率1000倍、加速電圧10kV)において、50μm×50μmの面積である異なる10箇所の視野を観察し、各箇所における、最大長さが5μm以上15μm以下である粒子の数を求めた。10箇所におけるそれぞれの粒子の数を平均した。結果を表1に示す。
更に、得られた粒状物について下記の方法にて、クエン酸処理によるろ液中のニオブ濃度(ppm)を求めた。その結果を表1に示す。
<ニオブ溶出量>
0.1Mクエン酸水溶液に粒状物を分散させ、スラリーを得た。スラリー中の粒状物濃度は5%とした。このスラリーを50℃で2時間撹拌した。次いで、得られたスラリーをNo.5Cろ紙でろ過し、得られたろ液中のニオブ濃度(ppm)をICP−AESで求めた。Nbの測定波長は313nmとした。標準試料はNb1000ppm標準原液(関東化学)を使用した。
〔実施例1〕
比較例1で得られたNb−CST含有粒状物20gを、0.1Mクエン酸水溶液400mlに分散させ、これを50℃で2時間撹拌した。スラリー中の粒状物の濃度は5%とした。クエン酸処理終了後、粒状物をイオン交換水で置換洗浄したのち、1M苛性ソーダ水溶液400mlに分散させ、常温(25℃)で1時間撹拌した。スラリー中の粒状物の濃度は5%とした。終了後に粒状物をイオン交換水で置換洗浄したのち、ろ過し、110℃で3時間乾燥後、フルイで分級して300〜600μmの粒状品を得た。得られた粒状物について、比較例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表1に示すとともに、X線回折測定により得られたチャートを図1に示す。図1及び表1に示すように、得られた粒状物は、2θ=12°にCSTに由来するメーンピークがピーク強度29000cpsで観察されるとともに、15°、28°にCSTに特徴的なピークが観察され、表1に記載の組成分析と合わせて総合的に判断すると、Nb−CSTを主相としていると判断される。また、図1によれば、請求項1に規定する29°以上30°以下の範囲にシリコニオベート由来のピーク(ピーク強度100cps以下)で実質的に観察されなかった。その他、8.5°以上9.5°以下の範囲にもシリコニオベート由来のピーク(ピーク強度100cps以下)が実質的に観察されなかった。
また得られた粒状物を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真を図3に示す。
〔実施例2〕
実施例1と原料組成を変更した。具体的には、3号珪酸ソーダ183g、25%液体苛性ソーダ671g及びイオン交換水360gの混合水溶液に、水酸化ニオブ41g撹拌混合した後、四塩化チタン水溶液412gをペリスタポンプで添加した。その点以外は、実施例1と同様にして、粒状物を得た。得られた粒状物について、比較例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。また得られた粒状物をX線回折測定したチャートを図4に示す。図4及び表1に示すように、得られた粒状物は、2θ=12°にCSTに由来するメーンピークがピーク強度8700cpsで観察されるとともに、15°、28°にCSTに特徴的なピークが観察され、表1に記載の組成分析と合わせて総合的に判断すると、Nb−CSTを主相としていると判断される。また、図4によれば、請求項1に規定する29°以上30°以下にシリコニオベート由来のピーク(ピーク強度100cps以下)が実質的に観察されなかった。その他、8.5°以上9.5°以下の範囲にもシリコニオベート由来のピーク(ピーク強度100cps以下)が実質的に観察されなかった。
比較例1、実施例1及び2の粒状物を以下の<吸着試験>に供した。
<Cs及びSrバッチ吸着試験>
比較例1及び実施例1で得られた粒状物を、100mlのポリ容器に0.5g取り、模擬海水1(100.00g)を添加し、蓋をした後、内容物を振り混ぜた。内容物の振り混ぜは、ポリ容器の倒立を10回行うことにより行った。その後、静置して1時間経過した後、再び内容物を振り混ぜ、約50mlを5Cのろ紙でろ過し、ろ過によって得られたろ液を採取した。また、残りの50mlはそのまま静置し、更に23時間後(最初に振り混ぜてから24時間後)に再び振り混ぜた。そして、5Cのろ紙でろ過し、ろ過によって得られたろ液を採取した。採取されたろ液を対象として、ICP−AESを用い、ろ液中のCs及びSrの含有量を測定した。初期濃度Coとろ液中の濃度Cとの差(Co−C)の初期濃度Coに対する割合((Co−C)/Co×100(%))を吸着率とした。その結果を以下の表2に示す。
<Srカラム吸着試験>
カラムとして内径φ12mmのものを用いた。このカラムに高さが4.5cm(容積5ml)となるように、吸着剤試料を充填した。カラムに、下記組成の模擬海水2を通液した。通液流量は、16.7(ml/min)、LV=8.9(m/h)、SV=200(1/h)とした。定期的にサンプリングした試験液におけるストロンチウム濃度をICP−AESにて測定し、初期濃度Coに対する通液後濃度Cの比率(Co/C)を求めた。横軸に前記の容量5mlに対する模擬海水の総通液容量(B.V.)を示し、縦軸にC/Cを示したグラフを図5とする。
図5に示すように、Nb−CSTを用い、XRDパターンにおいて2θ=11°以上12°以下の範囲に観察されるメーンピークの半値幅が0.320°以下であり且つ29°以上30°以下のピークを有さない各実施例の吸着剤は、この29°以上30°以下のピークを有する比較例1の吸着剤に比べて、低濃度におけるストロンチウム吸着能が大幅に高いことが判る。
〔比較例2〕
(1)第一工程
3号ケイ酸ソーダ 225g、25%液体苛性ソーダ700g、イオン交換水530gを混合し撹拌して混合水溶液を得た。この混合水溶液に、水酸化ニオブ82.3g(Nb:76.5質量%)を加えて撹拌混合した後、四塩化チタン水溶液430gをペリスタポンプで30分にわたって連続的に添加して混合ゲルを製造した。当該混合ゲルは、四塩化チタン水溶液の添加後、1時間にわたり70℃で混合して熟成した。
(2)第二工程
第一工程で得られた混合ゲルをオートクレーブに入れ、1時間かけて170℃に昇温したのち、この温度を維持しながら静置下に72時間反応を行った。反応後のスラリーを濾過し、得られたケーキを直径0.6μmの円形の開孔部材で押出成形した後、乾燥し、分級して粒度が300μm以上600μm以下の粒状物を得た。得られた粒状物をX線回折測定した。得られたX線回折チャートを図6に示し、またチャートにより得られた相の特定及びピークの有無について表3に示す。また、XRFにて上記の組成分析を行った。その結果を表3に示す。
図6及び表3に示すように、得られた粒状物は、2θ=12°にCSTのメーンピークがピーク強度19000cpsで観察されるとともに、15°、28°のCST構造に特徴的なピークが観察され、表3に示す組成分析結果と総合すると、ニオブ含有結晶性シリコチタネート(Nb−CST)を主相としていると判断された。一方で図6に示すように、29.5°にシリコニオベート由来のピーク(図6のP1)がピーク強度8700cpsで観察されるとともに、8.7°にもシリコニオベート由来のピークがピーク強度4900cpsで観察された(図6のP2)。また、2θ=12°のメーンピークの半値幅及びシェラーの式より結晶子径を求めた。その結果を表3に示す。
〔実施例3〕
比較例2の粉末について、以下のようにして有機カルボン酸処理を行い、処理物を得た。
比較例2で得られたNb−CST含有粒状物20gを、0.1Mクエン酸水溶液400mlに分散させ、これを50℃で2時間撹拌した。スラリー中の粒状物の濃度は5%とした。クエン酸処理終了後、粒状物をイオン交換水で置換洗浄したのち、1M苛性ソーダ水溶液400mlに分散させ、常温(25℃)で1時間撹拌した。スラリー中の粒状物の濃度は5%とした。終了後に粒状物をイオン交換水で置換洗浄したのち、ろ過し、110℃で3時間乾燥後、フルイで分級して300〜600μmの粒状品を得た。得られた処理物について、比較例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表3に示す。またX線回折測定の結果を図6に示す。図6及び表3に示すように、得られた粒状物は、2θ=12°にCSTに由来するメーンピークがピーク強度10800cpsで観察されるとともに、15°、28°にCSTに特徴的なピークが観察され、表3に記載の組成分析と合わせて総合的に判断すると、Nb−CSTを主相としていると判断される。また請求項1に規定する、29°以上30°以下の範囲にシリコニオベート由来のピーク(ピーク強度100cps以下)が実質的に観察されなかった。その他、8.5°以上9.5°以下の範囲にもシリコニオベート由来のピーク(ピーク強度100cps以下)が実質的に観察されなかった。
比較例2、実施例3の吸着剤を上記の<Srカラム吸着試験>に供した。結果を図7に示す。図7には、Nb−CSTを用い且つXRDパターンにおいて前記の半値幅が0.320°以下であり且つ29°以上30°以下の範囲のピークを有さない実施例3の吸着剤は、29°以上30°以下の範囲にピークを有する比較例2の吸着剤に比べて、低濃度におけるストロンチウム吸着能が大幅に高いことが示されている。
〔実施例4〕
実施例1において、0.1Mクエン酸水溶液に代えて0.2Mクエン酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、粒状物を得た。得られた粒状物について、比較例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表4に示す。また得られた粒状物をX線回折測定したチャートを図8に示す。図8及び表4に示すように、得られた粒状物は、2θ=12°にCSTに由来するメーンピークがピーク強度20900cpsで観察されるとともに、15°、28°にCSTに特徴的なピークが観察され、表4に記載の組成分析と合わせて総合的に判断すると、Nb−CSTを主相としていると判断される。また、図8によれば、請求項1に規定する29°以上30°以下にシリコニオベート由来のピーク(ピーク強度100cps以下)が実質的に観察されなかった。その他、8.5°以上9.5°以下の範囲にもシリコニオベート由来のピーク(ピーク強度100cps以下)が実質的に観察されなかった。
〔比較例3〕
比較例2で得られたNb−CST含有粒状物20gを、0.1M塩酸水溶液400mlに分散させ、これを25℃で2時間撹拌した。スラリー中の粒状物の濃度は5%とした。塩酸処理終了後、粒状物をイオン交換水で置換洗浄したのち、1M苛性ソーダ水溶液に分散させ、40℃で2時間撹拌した。スラリー中の粒状物の濃度は5%とした。終了後に粒状物をイオン交換水で置換洗浄したのち、ろ過し、110℃で3時間乾燥後、フルイで分級して300〜600μmの粒状品を得た。得られた処理物について、比較例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表4に示す。またX線回折測定の結果を図9に示す。図9及び表4に示すように、得られた粒状物は、2θ=12°にCSTに由来するメーンピークがピーク強度17700cpsで観察されるとともに、15°、28°にCSTに特徴的なピークが観察され、表4に記載の組成分析と合わせて総合的に判断すると、Nb−CSTを主相としていると判断される。また請求項1に規定する、29°以上30°以下の範囲にシリコニオベート由来のピーク(図9のP1)がピーク強度10200cpsで観察されるとともに、8.7°にもシリコニオベート由来のピーク(図9のP2)がピーク強度5600cpsで観察された。また、2θ=12°のメーンピークの半値幅及びシェラーの式より結晶子径を求めた。その結果を表4に示す。
比較例3及び実施例4の吸着剤を上記の<Srカラム吸着試験>に供した。結果を図10に示す。図10には、Nb−CSTを用い且つXRDパターンにおいて前記の半値幅が0.320°以下であり且つ29°以上30°以下の範囲のピークを有さない実施例3の吸着剤は、29°以上30°以下の範囲にピークを有する比較例2の吸着剤に比べて、低濃度におけるストロンチウム吸着能が大幅に高いことが示されている。

Claims (9)

  1. 一般式;ATi(SiO)・nHO(式中、AはNa及びKから選ばれる1種又は2種のアルカリ元素を示す。nは0以上2以下の数を示す。)で表される結晶性シリコチタネートに第5族元素Mが含有されている第5族元素M含有結晶性シリコチタネートを含むセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤であって、Cu−KαをX線源に用いて回折角(2θ)が5°以上80°以下の範囲でX線回析測定したときに、2θ=11°以上12°以下の範囲に観察されるメーンピークの半値幅が0.320°以下で、且つ2θ=29°以上30°以下の範囲にピークが観察されないものであり、且つ200μm以上1000μm以下の粒度を有し、走査型電子顕微鏡で1000倍で50μm×50μmの面積を観察したときに、最大長さが5μm以上15μm以下の粒子の数が3個以下である、セシウム又は/及びストロンチウム吸着剤。
  2. チタンに対する第5族元素Mのモル比(M/Ti)が0.20以上0.50以下である請求項1に記載のセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤。
  3. X線回折分析において2θ=11°以上12°以下のメーンピークから算出される結晶子径が20nm以上である請求項1又は2に記載のセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤。
  4. 前記の半値幅が0.265°以上0.320°以下である、請求項1〜3の何れか1項に記載のセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤。
  5. 前記の結晶子径が26.0nm以上31.5nm以下である、請求項3又は4に記載のセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤。
  6. BET比表面積が50m/g以上200m/g以下である請求項1〜5の何れか1項に記載のセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤。
  7. 一般式;ATi(SiO)・nHO(式中、AはNa及びKから選ばれる1種又は2種のアルカリ元素を示す。nは0以上2以下の数を示す。)で表される結晶性シリコチタネートに第5族元素Mが含有されている第5族元素M含有結晶性シリコチタネートを含む原料を、有機カルボン酸に接触させる酸処理を行い、次いで、得られた酸処理物をアルカリ金属剤に接触させる、セシウム又は/及びストロンチウム吸着剤の製造方法。
  8. 有機カルボン酸がクエン酸である、請求項7に記載のセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤の製造方法。
  9. 第5族元素M含有結晶性シリコチタネートを含む原料が以下の原料製造工程により得られるものである、請求項7又は8に記載のセシウム又は/及びストロンチウム吸着剤の製造方法。
    原料製造工程:ケイ酸源と、アルカリ金属化合物、第5族元素M源、チタン源及び水を混合して混合ゲルを製造する第一工程と、第一工程により得られた混合ゲルを水熱反応させる第二工程とを有し、チタン源として四塩化チタンを用いる。
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