JP6526511B2 - 吸着剤及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、水中に含まれるストロンチウムの吸着除去に好適に用いられる吸着剤及びその製造方法に関する。
従来、放射性廃液中に含まれる放射性核種の吸着除去には、例えば無機系吸着剤やイオン交換樹脂等が用いられてきた。例えば特許文献1には、高塩濃度の溶液を、無機系吸着剤の一種である二酸化マンガンによって処理して、ストロンチウム及び/又はアンチモンを除去する方法が提案されている。特許文献2には、アルギン酸カルシウム膜で被覆したA型ゼオライトやX型ゼオライトを、放射性ストロンチウムで汚染された海水や海水塩成分を含む水溶液中で使用する処理方法が提案されている。特許文献3には、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムを含む放射性廃液を、チタンケイ酸塩化合物、チタン酸、チタン酸塩及びゼオライト化合物のうちの少なくとも一種からなる吸着材を充填した吸着材層に供給して、この吸着材で放射性セシウム及びストロンチウムを除去する処理方法が提案されている。
特開平4−86599号公報 特開2013−174578号公報 特開2014−29269号公報
しかしながら、海水中にはストロンチウムよりもはるかに多くの同族イオン(カルシウムやマグネシウム)が含有されており、これらの同族イオンの中からストロンチウムを選択的に効率よく除去しようとする場合、共存するカルシウムの影響を受けてストロンチウムを選択的に効率よく分離吸着することが困難である。
本発明の課題は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得るストロンチウムの吸着剤及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、非晶質のケイ酸バリウムを含む、ストロンチウムの吸着剤であって、
前記吸着剤はそのBET比表面積が15m/g以上50m/g以下であり、且つBaO/SiOのモル比が0.5以上0.6未満である吸着剤を提供するものである。
更に本発明は、前記の吸着剤の好適な製造方法として、
請求項1に記載の吸着剤の製造方法であって、
可溶性バリウム化合物とケイ酸の可溶性アルカリ金属塩とをアルカリ剤の存在下に反応させる工程を有する吸着剤の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、水中に含まれるストロンチウムを効率良く吸着除去することができる。
図1は、実施例1及び2で得られたケイ酸バリウムのXRDチャートである。
本発明の吸着剤は、ケイ酸バリウムを含むものである。本発明の吸着剤は、非晶質のケイ酸バリウムを含有することを必須としている。
本発明においては、吸着剤中にケイ酸バリウムが含まれていることによって、カルシウムが共存している場合であってもその影響をほとんど受けずに、水中に含まれるストロンチウムを効率良く吸着除去できるという有利な効果が奏される。特に塩濃度の高い水中、例えば海水中に含まれるストロンチウムを効率良く吸着除去できる。このような有利な効果が奏される理由は次のとおりであると本発明者は考えている。本発明の吸着剤が、ストロンチウムを含む水、例えば海水と接触すると、吸着剤中に含まれているケイ酸バリウムの表面に存在するBaが、海水中の硫酸イオン(SO )と反応する。この反応によって水難溶性の化合物である硫酸バリウムが生成する。生成した硫酸バリウムは、ケイ酸バリウムの表面に沈積される。これとともに、ケイ酸バリウムからBaイオンが抜けた空隙に、Srイオンが選択的に吸着されると考えられる。
本発明の吸着剤は、非晶質のケイ酸バリウムを含有することから、XRDの回折測定をしたときに、非晶質のケイ酸バリウムに由来するハローピークが観察されるものであることが好ましい(後述する図1参照)。
本発明の吸着剤は非晶質のケイ酸バリウムに加えて、結晶質のケイ酸バリウムを含有していてもよく、結晶質のケイ酸バリウムを含有していなくてもよい。例えば、本発明の吸着剤は、非晶質のケイ酸バリウムに由来するハローピークが観察されることに加えて、BaSiO・HOのXRD回折ピークが観察されてもよく、観察されなくてもよい。BaSiO・HOのXRD回折ピークとしては、主たるピークとして、2θ=23.5°、2θ=24.2°、2θ=26.5°、2θ=30.0°、2θ=33.9°、2θ=49.7°にピークが観察される。最強ピークは2θ=23.5°である。
前記のXRD回折ピークは、本発明の吸着剤を測定対象とした粉末X線法によって測定される。測定条件は次のとおりとする。すなわち、測定機器として装置名:D8 ADVANCE、メーカー:Bruker AXSを用いる。測定条件は、ターゲットCu−Kα、管電圧40kV、管電流40mA、走査速度0.1°/secに設定してX線回折測定を行う。
本発明の吸着剤は、そのBET比表面積が大きいことが特徴の一つである。具体的には、BET比表面積が15m/g以上50m/g以下である。BET比表面積は20m/g以上50m/g以下であることが好ましく、22m/g以上40m/g以下であることが更に好ましい。この範囲のBET比表面積を有する本発明の吸着剤は、ストロンチウムの選択的吸着性能及び吸着速度が非常に良好なものとなる。BET比表面積は、島津製作所製のFlowsorb II2300(商品名)を用いてBET1点法にて測定する。使用ガスは、窒素ヘリウム混合ガス(窒素30vol%)とする。本発明の吸着剤に含まれるケイ酸バリウムのBET比表面積も、吸着剤のBET比表面積の範囲として上記で述べた範囲内であることが好ましい。
ケイ酸バリウムにおけるBaO/SiOのモル比は0.5以上0.6未満である。BaO/SiOのモル比をこの範囲内に設定することによって、ストロンチウムの選択的吸着性能が高いものとなる。またBaO/SiOのモル比をこの範囲とすることで、後述する製造方法により、本発明の吸着剤を容易に製造できる。BaO/SiOのモル比は、0.52以上0.60未満であることが好ましく、0.53以上0.60未満であることが更に好ましく、0.55以上0.60未満であることが一層好ましい。ケイ酸バリウムにおけるBaO/SiOのモル比を上述の値以上にするためには、例えば後述する方法でケイ酸バリウムを合成すればよい。BaO/SiOのモル比を算出するためのSiOの定量は、後述するBaO成分と同様に蛍光X線で行うことができる。
本発明の吸着剤自体のBaO/SiOのモル比も、ケイ酸バリウムにおけるBaO/SiOのモル比の好ましい範囲として上記で挙げた範囲と同様の範囲であることが好ましい。
BaSiO・HOで表されるケイ酸バリウムにおいては、BaO含有率が理論上71.9質量%であるところ、本発明の吸着剤に含まれるケイ酸バリウムは、BaO含有率が40質量%以上、特に45質量%以上、とりわけ50質量%以上であることが好ましい。BaO成分は海水中の硫酸イオンと結合して、水難溶性の物質である硫酸バリウムを生成するものである。したがってBaO成分が多いほど、ケイ酸バリウムは、海水中の硫酸イオンとの反応性に優れたものになる。しかし、BaO含有率が高くなりすぎると、ストロンチウム吸着後に吸着剤が脆くなる傾向があることから、BaO含有率の上限値は70質量%以下、好ましくは68質量%以下とすることにより、耐久性に優れ、且つストロンチウムの選択的吸着性能も高いものとなる。ケイ酸バリウム中のBaO含有率を上述の値以上にするためには、例えば後述する方法でケイ酸バリウムを合成すればよい。なお、前記の有効BaO成分の量とは、ケイ酸バリウム中のBaOの量から、ケイ酸バリウムに由来しないBaOの量を減じた値のことである。本発明の吸着剤自体のBaO含有率も、ケイ酸バリウムにおけるBaO含有率の好ましい範囲として上記で挙げた範囲と同様の範囲であることが好ましい。
上述したBaO成分は、蛍光X線を用い、次の方法によって測定される。すなわち、蛍光X線分析装置として、リガク社製 ZSX100eを用いる。測定条件は、管球:Rh(4kW)、雰囲気:真空、分析窓材:Be(厚み30μm)、測定モード:SQX分析(EZスキャン)、測定径:30mmφとして全元素測定を行う。測定結果は酸化物換算で表示される。
本発明で使用するケイ酸バリウムは、後述する本発明の吸着剤の製造方法において、原料で用いるケイ酸の可溶性アルカリ金属塩及び/又はアルカリ剤に起因してケイ酸バリウム中にアルカリ金属或いは製造の過程で副生する炭酸バリウムが含有される場合があるが、本願発明の効果を損なわない範囲で含有されていても差し支えない。
次に、本発明の吸着剤の好適な製造方法について説明する。本製造方法においては、可溶性バリウム化合物とケイ酸の可溶性アルカリ金属塩とをアルカリ剤の存在下において反応させる工程によってケイ酸バリウムを生成させることが望ましい。可溶性バリウム化合物としては、バリウムの硝酸塩、バリウムのハロゲン化物、酢酸バリウム等のバリウムの有機酸塩等を挙げることができる。特に、塩化バリウム及び硝酸バリウムから選ばれる1種又は2種を用いることが好ましい。本発明者らは、アルカリ剤の存在下において、可溶性バリウム化合物として、特に、塩化バリウムや硝酸バリウムを使用した場合は、得られるケイ酸バリウムの比表面積を充分に大きくすることができ、その結果、得られる吸着剤のストロンチウム吸着能力を充分に高くできることを知見した。
可溶性バリウム化合物と反応させるケイ酸の可溶性アルカリ金属塩としては、各種ケイ酸ソーダ(JIS1号、2号、3号)、メタケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ、ケイ酸リチウムなどが挙げられる。これらの物質は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、ケイ酸ソーダを用いることが最も一般的であり、また安価なので経済的にも有利である。
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物等を用いることが好ましい。本製造方法で用いるアルカリ剤としては、ケイ素及びバリウムをいずれも非含有であるものが好ましい。
可溶性バリウム化合物と、ケイ酸の可溶性アルカリ金属塩との仕込み配合比率は、反応終了後の母液中にBaイオンを残留させずに、仕込んだ可溶性バリウム化合物を全量反応に関与させるような比率に設定することが重要である。反応終了後の母液中にBaイオンが残留した場合は、その分ケイ酸バリウム中のBaO成分の含有量が少なくなってしまうので注意を要する。このような理由から、可溶性バリウム化合物と、ケイ酸の可溶性アルカリ金属塩との好ましい配合比率は、可溶性バリウム化合物1モルに対してケイ酸の可溶性アルカリ金属塩を、SiO換算で1.2モル以上2.5モル以下に設定することが好ましく、1.5モル以上2.0モル以下に設定することが更に好ましい。ケイ酸の可溶性アルカリ金属塩の配合比率を1.2モル以上にすることで、反応後の母液中にBaイオンが残留しにくくなり、ケイ酸バリウム中のBaO成分の割合を高くすることができる。一方、ケイ酸の可溶性アルカリ金属塩の配合比率を2.5モル以下にすることで、反応後の母液中にSiが過剰に残留することを効果的に防止できるので、該母液の処理を容易に行うことができる。
また、アルカリ剤としてアルカリ金属化合物を用いる場合、可溶性バリウム化合物との仕込み配合比率は、仕込んだ可溶性バリウム化合物1モルに対して、アルカリ剤を、アルカリ金属換算で1.5モル以上5.0モル以下に設定することが好ましく、1.6モル以上4.0モル以下に設定することが更に好ましい。アルカリ剤の配合比率を1.5モル以上とすることで、ケイ酸バリウムの比表面積が20m3/g以上で、ストロンチウムの吸着性能が一層向上したものが得られるという利点がある。また、アルカリ剤の配合比率を5.0モル以下とすることで、過剰のアルカリ使用によるコスト増を抑え、反応母液の排水中和薬剤の使用を抑えるという利点がある。
可溶性バリウム化合物と、ケイ酸の可溶性アルカリ金属塩との反応は、これらそれぞれを水溶液の状態となし、アルカリ剤の存在下において、両水溶液を混合することで行うことが好ましい。この場合、アルカリ剤は、可溶性バリウム化合物の水溶液及びケイ酸の可溶性アルカリ金属塩の水溶液のいずれか一方又は両方に予め含有させていてもよい。或いは、可溶性バリウム化合物の水溶液とケイ酸の可溶性アルカリ金属塩の水溶液との混合と同時に、これらの水溶液にアルカリ剤又はこれを含有する水溶液を混合してもよい。好ましくは、ケイ酸の可溶性アルカリ金属塩の水溶液と可溶性バリウム化合物の水溶液とを混合させる前に、可溶性バリウム化合物の水溶液中にアルカリ剤を含有させておく。溶性バリウム化合物の水溶液中にアルカリ剤を含有させておくには、アルカリ剤と可溶性バリウム化合物とを水の存在下で混合すればよい。
可溶性バリウム化合物の水溶液と、ケイ酸の可溶性アルカリ金属塩の水溶液との混合方法は、可溶性バリウム化合物の水溶液中に、ケイ酸の可溶性アルカリ金属塩の水溶液を一括又は逐次添加してもよい。この反対に、ケイ酸の可溶性アルカリ金属塩の水溶液中に、可溶性バリウム化合物の水溶液を一括又は逐次添加してもよい。あるいは、可溶性バリウム化合物の水溶液と、ケイ酸の可溶性アルカリ金属塩の水溶液とを同時に混合してもよい。
なお、アルカリ剤は、前述したように可溶性バリウム化合物の水溶液及びケイ酸の可溶性アルカリ金属塩の水溶液のいずれか一方又は両方に予め含有させていてもよい。或いは、可溶性バリウム化合物の水溶液とケイ酸の可溶性アルカリ金属塩の水溶液との混合と同時に、これらの水溶液にアルカリ剤又はこれを含有する水溶液を混合してもよい。
可溶性バリウム化合物の水溶液の濃度は、可溶性バリウム化合物の溶解度との関係から、2.5質量%以上12質量%以下に設定することが好ましい。可溶性バリウム化合物の濃度を2.5質量%以上に設定することで、反応液が過度に希薄になることが防止され、それによって製造設備(反応タンク)が過度に大容量となることが防止される。製造設備が過度に大容量となると、設備効率の低下の一因となる場合がある。一方、可溶性バリウム化合物の濃度を過度に高くすると、可溶性バリウム化合物の溶解度が充分に高いとは言えないことに起因して、その析出沈殿を防止するために可溶性バリウム化合物の水溶液の温度を高めに保持する必要がある。可溶性バリウム化合物の水溶液の温度を高めに保持すると、そのことに起因して炭酸バリウムが副生するおそれがある。これに対して、可溶性バリウム化合物の濃度を12質量%以下に設定することで、可溶性バリウム化合物の水溶液の温度を高めに保持する必要がなくなる。その結果、炭酸バリウムの副生を効果的に防止できる。
ケイ酸の可溶性アルカリ金属塩の水溶液の濃度に関しては、SiO濃度に換算して10質量%以上20質量%に設定することが好ましい。この水溶液の濃度をSiO換算で10質量%以上に設定することで、反応液が過度に希薄になることが防止され、それによって製造設備(反応タンク)が過度に大容量となることが防止される。一方、この水溶液の濃度を20質量%以下に設定することで、局部的な不均一の反応が生じることを効果的に防止できる。
可溶性バリウム化合物、ケイ酸の可溶性アルカリ金属塩及びアルカリ剤との反応温度は、60℃未満の広い範囲で設定することができる。特に反応温度を5℃以上60℃未満に設定することによって、ストロンチウム吸着性能の高い非晶質のケイ酸バリウムを効率良く生成させることができる。
反応時間は、反応温度が上述の範囲内であることを条件として、1時間以上3時間以下に設定すれば充分である。3時間以上反応時間を長くしても、吸着剤のストロンチウム吸着性能に有意な差異は生じにくい。
反応終了後、反応液を常法に従い、ろ過及びリパルプ洗浄を繰り返して付着する遊離アルカリを洗浄する。引き続き固形分を乾燥させ、更に必要に応じて粉砕する。このようにして非晶質のケイ酸バリウムを含む吸着剤が得られる。
得られた吸着剤はそのままの状態で用いることができるが、これを造粒して造粒体とすると取り扱い性等の点で有利となる。造粒を行うには、例えば撹拌混合造粒、転動造粒、押し出し造粒、破砕造粒、流動層造粒、噴霧乾燥造粒(スプレードライ)、圧縮造粒等を採用することができる。造粒の過程において必要に応じ、結合剤成分や溶媒を添加してもよい。結合剤成分としては、例えばシリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾルなどの無機バインダー;ベントナイト、カオリナイトなどの粘土系バインダー;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系バインダー;ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイドなどの高分子バインダーなどを用いることができる。これらの結合剤成分は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。造粒された吸着剤に占める結合剤成分の割合は1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、2質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。溶媒としては、各種の水性溶媒や有機溶媒を用いることができる。
造粒装置によって造粒された造粒体は、これを乾燥させ、必要に応じて焼成した後、粒度調整を行って吸着剤として使用に供する。造粒体の形状や大きさは、該造粒体を吸着容器や充填塔に充填した状態で、ストロンチウムを含む処理水を通水するのに適応するように適宜調整することが好ましい。造粒体の大きさに関しては、JIS Z8801規格による標準フルイによって測定された粒径が好ましくは200μm以上1000μm以下であり、更に好ましくは300μm以上600μm以下である。この範囲の粒径を有する造粒体からなる吸着剤を用いると、例えば該吸着剤を吸着塔に充填した場合に、目詰まりが起こりにくくなるという利点がある。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
500mlのビーカーに0.1モルの硝酸バリウム(Ba(NO)、0.2モルの水酸化ナトリウム(NaOH)を仕込み、そこにイオン交換水を加え、全量を400gとした。液を30℃に加熱して硝酸バリウムを溶解させた。溶液中のBa(NOの濃度は6.5%であった。
この操作とは別に、3号ケイ酸ソーダ(SiO分に換算して濃度28.5%)0.2モルを100mLビーカーに仕込み、そこにイオン交換水を加えて希釈し全量を100gとした。溶液中のSiO濃度は12%であった。
硝酸バリウム水溶液を撹拌しながら、そこにケイ酸ソーダ希釈液を約30分間にわたり連続して添加した。添加終了後、30分間にわたり撹拌を継続して反応を行った。この間、液の温度を30℃に保持した。反応によって液中に固体のケイ酸バリウムが生成した。反応終了後、常法に従い、ろ過及びリパルプ洗浄を繰り返し、引き続き乾燥及び粉砕して、目的とする非晶質のケイ酸バリウムを得た。得られたケイ酸バリウムについて、上述の方法でBET比表面積、BaO成分含有率、組成比を測定した。その結果を以下の表1に示す。更に、ケイ酸バリウムのXRDチャートを図1に示す。図1に示すとおり、得られたケイ酸バリウムのXRDチャートでは炭酸バリウムのピークが観察される一方で、2θ=20〜35°の範囲に非晶質のケイ酸バリウムのハローピークが観察された。
〔実施例2〕
500mlのビーカーに0.1モルの塩化バリウム(BaCl)、0.2モルの水酸化ナトリウムを仕込み、そこにイオン交換水を加え、全量を400gとし、液を30℃に加熱して塩化バリウムを溶解させた。溶液中のBaClの濃度は5.2%であった。
この操作とは別に、3号ケイ酸ソーダ(SiO分に換算して濃度28.5%)0.2モルを100mLビーカーに仕込み、そこにイオン交換水を加えて希釈し全量を100gとした。溶液中のSiO濃度は12%であった。
塩化バリウム水溶液を撹拌しながら、そこにケイ酸ソーダ希釈液を約30分間にわたり連続して添加した。添加終了後、30分間にわたり撹拌を継続して反応を行った。この間、液の温度を30℃に保持した。反応によって液中に固体のケイ酸バリウムが生成した。反応終了後、常法に従い、ろ過及びリパルプ洗浄を繰り返し、引き続き乾燥及び粉砕して、目的とする非晶質のケイ酸バリウムを得た。得られたケイ酸バリウムについて、上述の方法でBET比表面積、BaO成分含有率、組成比を測定した。その結果を以下の表1に示す。更に、ケイ酸バリウムのXRDチャートを図1に示す。図1に示すとおり、得られたケイ酸バリウムのXRDチャートでは炭酸バリウムのピークが観察される一方で、2θ=20〜35°の範囲に非晶質のケイ酸バリウムのハローピークが観察された。
〔比較例1〕
本比較例は、吸着剤の製造においてアルカリ剤を用いなかった例である。
0.1モルの塩化バリウムを500mLのビーカーに仕込み、そこに350mLのイオン交換水を加えて溶解させた。溶液中のBaClの濃度は5.9%であった。
この操作とは別に、3号ケイ酸ソーダ(SiO分に換算して濃度28.5%)0.1モルを100mLビーカーに仕込み、そこに29mLのイオン交換水を加えて希釈した。溶液中のSiO濃度は12%であった。
塩化バリウム水溶液を撹拌しながら、そこにケイ酸ソーダ希釈液を約1分間にわたり連続して添加した。添加終了後、1時間にわたり撹拌を継続して反応を行った。この間、液の温度を常温に保持した。反応によって液中に固体のケイ酸バリウムが生成した。反応終了後、常法に従い、ろ過及びリパルプ洗浄を繰り返し、引き続き乾燥及び粉砕した。得られたケイ酸バリウムについて、実施例1と同様の測定を行った。その結果を以下の表1に示す。
〔比較例2〕
本比較例は、吸着剤の製造においてアルカリ剤を用いなかった例である。
0.1モルの硝酸バリウムを500mLのビーカーに仕込み、そこに350mLのイオン交換水を加えて溶解させた。溶液中のBa(NOの濃度は6.9%であった。
その後は比較例1と同様の操作を行い、ケイ酸バリウムを得た。得られたケイ酸バリウムについて、実施例1と同様の測定を行った。その結果を以下の表1に示す。
〔比較例3〕
本比較例は、吸着剤の製造において、可溶性バリウム塩の代わりに、水酸化バリウムを用いた例である。
0.1モルの水酸化バリウムを500mLのビーカーに仕込み、そこに350mLのイオン交換水を加えた。液を50℃に加熱して水酸化バリウムを溶解させた。溶液中のBa(OH)の濃度は4.9%であった。
この操作とは別に、3号ケイ酸ソーダ(SiO分に換算して濃度28.5%)0.1モルを100mLビーカーに仕込み、そこに29mLのイオン交換水を加えて希釈した。溶液中のSiO濃度は12%であった。
水酸化バリウム水溶液を撹拌しながら、そこにケイ酸ソーダ希釈液を約1分間にわたり連続して添加した。添加終了後、1時間にわたり撹拌を継続して反応を行った。この間、液の温度を40℃に保持した。反応によって液中に固体のケイ酸バリウムが生成した。反応終了後、常法に従い、ろ過及びリパルプ洗浄を繰り返し、引き続き乾燥及び粉砕して、目的とするケイ酸バリウムを得た。得られたケイ酸バリウムについて、実施例1と同様の測定を行った。その結果を以下の表1に示す。
〔比較例4〕
本比較例は、吸着剤の製造においてアルカリ剤を用いなかった例である。
0.1モルの塩化バリウムを500mLのビーカーに仕込み、そこに350mLのイオン交換水を加えて溶解させた。溶液中のBaClの濃度は5.9%であった。
この操作とは別に、3号ケイ酸ソーダ(SiO分に換算して濃度28.5%)0.2モルを100mLビーカーに仕込み、そこに58mLのイオン交換水を加えて希釈した。溶液中のSiO濃度は12%であった。
塩化バリウム水溶液を撹拌しながら、そこにケイ酸ソーダ希釈液を約1分間にわたり連続して添加した。添加終了後、1時間にわたり撹拌を継続した反応を行った。この間、液の温度を常温に保持した。反応によって液中に固体のケイ酸バリウムが生成した。反応終了後、常法に従い、ろ過及びリパルプ洗浄を繰り返し、引き続き乾燥及び粉砕した。得られたケイ酸バリウムについて、実施例1と同様の測定を行った。その結果を以下の表1に示す。
〔比較例5〕
本比較例は、ケイ酸バリウムの製造の出発原料として、ケイ酸ソーダではなくシリカを用い、且つ可溶性バリウム塩の代わりに水酸化バリウムを用いた例である。
0.1モルの水酸化バリウムを500mLのビーカーに仕込み、そこに350mLのイオン交換水を加えた。液を80℃に加熱して水酸化バリウムを溶解させた。溶液中のBa(OH)の濃度は4.9%であった。
この水酸化バリウム水溶液に6.0gのシリカ((株)トクヤマ製のトクシール(登録商標)U)を添加して分散させた。分散スラリーを100℃で3時間撹拌を行い、反応を継続した。その後は比較例3と同様にしてケイ酸バリウムを得た。得られたケイ酸バリウムについて、実施例1と同様の測定を行った。その結果を以下の表1に示す。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られたケイ酸バリウムを吸着剤として用い、人工海水中に含まれるストロンチウムの吸着除去性能を評価した。
人工海水としては、富田製薬製の試験研究用人工海水マリンアートSF−1を用いた。この人工海水は、Ca濃度が409ppmであり、Sr濃度が7.19ppmであった。この人工海水100mLに0.1gのケイ酸バリウムを入れ、スターラーで1時間撹拌した後、ケイ酸バリウムをろ過し、ろ液についてICPによる元素の定量分析を行った。その結果を下記の表1に示す。
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られたケイ酸バリウムは、BET比表面積が大きく、更にBaO含有率が50%以上と高いものであることが判る。
また表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られたケイ酸バリウムを吸着剤として用いると、93.9%以上のストロンチウム吸着率を示すことが判る。このことから、各実施例のケイ酸バリウムが、カルシウムを含有する海水からのストロンチウムの選択的吸着性に優れたものであることが判る。

Claims (6)

  1. 非晶質のケイ酸バリウムを含む、ストロンチウムの吸着剤であって、
    前記吸着剤はそのBET比表面積が15m/g以上50m/g以下であり、且つケイ酸バリウムにおけるBaO/SiOのモル比が0.5以上0.6未満である吸着剤。
  2. ケイ酸バリウムがBaO成分を40質量%以上の割合で含有する請求項1記載の吸着剤。
  3. 更に結合剤成分を1質量%以上30質量%以下含み、造粒体の形態をしている請求項1又は2に記載の吸着剤。
  4. 請求項1に記載の吸着剤の製造方法であって、
    可溶性バリウム化合物とケイ酸の可溶性アルカリ金属塩とをアルカリ剤の存在下に反応させる工程を有する吸着剤の製造方法。
  5. 可溶性バリウム化合物として、硝酸バリウム及び塩化バリウムから選ばれる1種又は2種を用いる請求項4記載の吸着剤の製造方法。
  6. 請求項4又は5に記載の吸着剤の製造方法であって、
    前記工程においては、可溶性バリウム化合物1モルに対してケイ酸の可溶性アルカリ金属塩をSiO換算で1.2モル以上2.5モル以下の割合で用い、可溶性バリウム化合物1モルに対してアルカリ剤をアルカリ金属換算で1.5モル以上5モル以下の割合で用い、かつ反応温度を5℃以上60℃未満に設定する、吸着剤の製造方法。
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